JP2010133100A - 止水構造および大断面トンネルの構築方法 - Google Patents

止水構造および大断面トンネルの構築方法 Download PDF

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【課題】施工が容易な止水構造および大断面トンネルの構築方法を提供することを課題とする。
【解決手段】隣り合う二つのトンネル函体10,10のうち、一方のトンネル函体10(10a)の他方のトンネル函体10(10b)に対向する外表面10’に推進方向に沿って設けられる直線状の弾性シール部材20を備え、弾性シール部材20は、ベース部21と、このベース部21と一体的に形成され先端が大断面トンネル1の外側に向いたリップ部22とを備えてなり、リップ部22は、大断面トンネル1の外側の圧力によって他方のトンネル函体10の外表面10’に向かって弾性的に付勢されるように構成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、推進工法によって並設された複数本の函体を利用して構築される大断面トンネルの内部と外部との間を止水する止水構造および大断面トンネルの構築方法に関する。
近年、複数本の小断面トンネルを構築した後に、各トンネルの不要な覆工を撤去して大きな空間を形成しつつ、各トンネルの残置された覆工を利用して本設の頂底版や側壁などを形成することにより大断面トンネルを築造する技術が知られている。なお、複数の小断面トンネルは、時間差をもって順次に構築され、後行のトンネルは、先行のトンネルの隣りに構築される。また、各トンネルは、例えば、推進工法によって構築される。
ここで、推進工法とは、トンネルの覆工となる筒状の推進函体(トンネル函体)を坑口から順次地中に圧入してトンネルを構築する工法である。なお、推進函体の先端には、刃口や掘進機などが取り付けられている。推進工法の掘進機は、推進函体に反力をとって自ら掘進するもの(つまり、推進ジャッキを装備しているもの)でもよいし、推進函体を介して伝達された元押しジャッキの推力により掘進するものであってもよい。
ところで、推進工法で小断面トンネルを構築する場合、特に、トンネルの後方から元押しジャッキで推進函体を押し出す場合には、後行のトンネルが、先行のトンネルに対して平行に推進しないことがある。したがって、先行のトンネルを後行のトンネルに沿って平行に推進させるために、図10に示すように、隣り合う二つのトンネル100,100のうち、一方のトンネル100の推進函体101には、他方のトンネル100側に開口するガイド溝102がトンネル軸方向に沿って形成され、他方のトンネル100の推進函体101には、一方のトンネルのガイド溝102に遊嵌する突条103が形成された大断面トンネルが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような構成の大断面トンネルでは、突条103とガイド溝102との間に止水材104を充填することで、隣り合うトンネル100,100間の隙間をシールするようになっている。
特開2006−90098号公報
しかしながら、前記の大断面トンネルでは、ガイド溝102を洗浄してその内部に詰まった裏込材を除去した後に止水材104を充填するため、施工に多くの手間と時間を要してしまう問題があった。
このような観点から、本発明は、施工が容易な止水構造および大断面トンネルの構築方法を提供することを課題とする。
このような課題を解決するために創案された本発明は、推進工法によって並設された複数本のトンネル函体を利用して築造する大断面トンネルの内部と外部との間を止水する止水構造において、
隣り合う二つの前記トンネル函体のうち、一方のトンネル函体の他方のトンネル函体に対向する外表面に推進方向に沿って設けられる直線状の弾性シール部材を備え、前記弾性シール部材は、前記一方のトンネル函体の外表面に固定されるベース部と、このベース部と一体的に形成され先端が前記大断面トンネルの外側に向いたリップ部とを備えてなり、前記リップ部は、前記大断面トンネルの外側の圧力によって前記他方のトンネル函体の外表面に向かって弾性的に付勢されるように構成されていることを特徴とする止水構造である。
このような構成によれば、トンネル函体の外表面に弾性シール部材を設けてトンネル函体を推進させるだけで止水施工を行うことができるので、施工の手間と時間を短縮でき、施工が容易になる。さらに、弾性シール部材は、大断面トンネルの外側の圧力によって隣り合う他方のトンネル函体の外表面に向かって弾性的に付勢されるリップ部を有しているので、他方のトンネル函体との密着性が高くなり、止水性を高めることができる。
請求項2に係る発明は、前記弾性シール部材は、前記ベース部の先端部と前記リップ部の先端部同士を連結する補強連結板部をさらに備え、内部に中空部を有することを特徴とする請求項1に記載の止水構造である。
なお、本発明における「先端部」とは、先端から所定距離の範囲の先端近傍も含む。このような構成によれば、リップ部が大断面トンネルの内側に捲れて反転するのを防止できるので、止水性を高めることができる。
請求項3に係る発明は、前記リップ部の先端が、鋭角に形成されており、前記他方のトンネル函体の外表面に沿って変形可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の止水構造である。
このような構成によれば、リップ部と他方のトンネル函体の外表面との密着性がさらに高くなり、止水性をより一層高めることができる。
請求項4に係る発明は、前記リップ部の先端には、当該リップ部よりも柔軟性の高いベロ部が突出して設けられており、少なくとも前記ベロ部の一部が、前記他方のトンネル函体の外表面に当接することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の止水構造である。
このような構成によれば、リップ部の先端が他方のトンネル函体の外表面に当接しない場合であっても、ベロ部が大断面トンネルの外側の圧力によって押圧され、確実に他方のトンネル函体の外表面に当接するので、止水性を確保することができる。
請求項5に係る発明は、前記ベロ部には、当該ベロ部を補強する補強手段が推進方向に沿って設けられていることを特徴とする請求項4に記載の止水構造である。
この発明は、トンネル函体の推進時に弾性シール部材が他方のトンネル函体の外表面に摺動するため柔軟性の高いベロ部が破損しやすいといった、弾性シール部材を推進工法に適用したことによる特有の問題に着目してこれを解決したものである。前記のような構成としたことによって、弾性シール部材が設けられたトンネル函体の推進時にベロ部が破損するのを防止できる。
請求項6に係る発明は、推進工法によって並設された複数本のトンネル函体を利用して構築される大断面トンネルの構築方法において、トンネル函体の外表面に固定されるベース部と、このベース部と一体的に形成され先端が前記大断面トンネルの外側に向くリップ部とを備えてなる直線状の弾性シール部材を、その長手方向が推進方向に沿うように、後行トンネル函体の先行トンネル函体に対向する外表面に取り付け、前記後行トンネル函体に取り付けられた前記弾性シール部材のリップ部を前記先行トンネル函体の外表面に当接させつつ前記後行トンネル函体を推進させることを特徴とする大断面トンネルの構築方法である。
このような方法によれば、請求項1に係る発明と同様に、止水施工が容易になるとともに、シール構造の耐久性を高めることができる。さらに、トンネル函体の推進と同時に止水施工を行える。また、止水性を高めることができる。
請求項7に係る発明は、前記先行トンネル函体の前記弾性シール部材の推進方向前端部に、前記弾性シール部材よりも硬質の先導カバーを設け、隣り合う二つの前記先行トンネル函体および後行トンネル函体間の離間距離を所定長さに保つことを特徴とする請求項6に記載の大断面トンネルの構築方法である。
このような方法によれば、トンネル函体間の離間距離を一定に保つことができるので、弾性シール部材が必要以上に圧縮されることはなく、適切な応力で圧縮され、適度な弾性力を発現できるので、止水性能を高めることができる。さらに、先導カバーが弾性シール部材を先導するので、弾性シール部材の剥離や損傷を防止することができる。
本発明によれば、容易な施工で、トンネル函体間における止水構造の耐久性および止水性を高めることができるといった優れた効果を発揮する。
(第1実施形態)
以下、本発明を実施するための最良の第1の実施形態を、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態に係る止水構造は、請求項1,4,5に対応する実施形態である。
図1に示すように、本実施形態に係る止水構造W1は、推進工法によって並設された複数本のトンネル函体10を利用して築造する大断面トンネル1の内部(内空部)と外部(地山部)との間を止水する構造である。大断面トンネル1は、その横断面の全てを実質的に含むように並設された複数本(本実施形態では六本)のトンネルT1,T1,…を利用して築造したものであり、頂版1A、底版1Bおよび側壁1C,1Cを備えている。各トンネルT1は、トンネル函体10によって構成されている。
また、図2に示すように、隣り合う二つのトンネルT1,T1(トンネル函体10,10)のうち、一方のトンネルT1の覆工L1には、他方のトンネルT1側に開口するガイド溝D1がトンネル軸方向(図2において紙面垂直方向)に沿って形成されており、他方のトンネルT1の覆工L1には、一方のトンネルT1のガイド溝D1に遊嵌する突条P1が形成されている。なお、以下では、一方のトンネルT1のガイド溝D1と他方のトンネルT1の突条P1を合わせて、単に「継手J1」と称することがある。そして、この継手J1よりも大断面トンネル1の外側(地山側)に、本発明の特徴部分である止水構造W1が形成されている。つまり、従来は継手J1で止水も行っていたのに対して、本実施形態では、継手J1と止水構造W1とが別個に設けられている。
図2に示すように、止水構造W1は、隣り合う二つのトンネルT1,T1の各トンネル函体10,10のうち、一方のトンネル函体10(本実施形態では後行トンネル函体10a)の外表面10’に推進方向(図2において紙面垂直方向)に沿って設けられる直線状の弾性シール部材20と、この弾性シール部材20よりも大断面トンネル1の内側(内空側)に設けられる反転防止手段30と、を備えて構成されている。
弾性シール部材20は、一方のトンネル函体10(後行トンネル函体10a)の外表面10’のうち、他方のトンネル函体10(本実施形態では先行トンネル函体10b)に対向する部分に設けられている。弾性シール部材20は、例えば、耐摩耗性を備えた硬質ゴムやウレタン等の材料(本実施形態ではクロロプレンゴム)にて構成されている。弾性シール部材20は、推進方向に連続して設けられている(図4参照)。弾性シール部材20は、後行トンネル函体10aの外表面10’に沿って固定されるベース部21と、このベース部21と一体的に形成されたリップ部22とを備えてなり、断面が略V字状を呈している。
ベース部21は、後行トンネル函体10aの外表面10’に当接しており、例えば、ボルト211等の固定手段によって、外表面10’に固定されている。ベース部21は、その先端部(大断面トンネル1の外側)において、ボルト211が挿通されている。なお、ベース部21が設置される後行トンネル函体10aの外表面10’には、接着材を塗布してなる接着層24が形成されている。ベース部21は、接着層24を介して外表面10’に密着しており、接着層24により外表面10’とベース部21とのシール性が確保されている。リップ部22は、ベース部21と一体的に形成されている。リップ部22は、ベース部21の基端部から外側に向かって斜めに立ち上がっている。リップ部22は、ベース部21に対して弾性的に傾倒変形可能な部位であって、後行トンネル函体10aと先行トンネル函体10bとで挟まれることで圧縮されて傾倒したときに、復元しようとする力によって、先行トンネル函体10bの外表面10’に向かって弾性的に付勢される。
弾性シール部材20は、リップ部22の先端が大断面トンネル1の外側に向くように配置されている。つまり、ベース部21とリップ部22とにより形成される断面略V字状の溝条が、大断面トンネル1の外側に向くように配置されている。そして、弾性シール部材20の断面略V字状の溝条部分に、大断面トンネル1の外側の圧力(水圧)が作用するようになっている。このような構成によって、リップ部22は、大断面トンネル1の外側の圧力(水圧)によって、先行トンネル函体10bの外表面10’に押圧されて、先行トンネル函体10bに密着するようになっている。
リップ部22の先端には、リップ部22よりも柔軟性の高いベロ部23が突出して設けられている。ベロ部23は、リップ部22と同様に、耐摩耗性を備えた硬質ゴムやウレタンにて構成されている。ベロ部23は、リップ部22よりも薄く形成されており、リップ部22よりも柔軟性が高くなるようになっている。このような構成によれば、万一、リップ部22が、先行トンネル函体10bの外表面10’に当接しない場合があっても、柔軟性の高いベロ部23が、大断面トンネル1の外側からの圧力によって先行トンネル函体10bの外表面10’側に向かって付勢されて変形し、少なくともベロ部23の一部が、先行トンネル函体10bの外表面10’に当接することとなる(図7参照)。なお、ベロ部23は、前記の構成に限定されるものではなく、リップ部22と異なる材質からなる板材を、リップ部22に固定して形成してもよい。
ところで、ベロ部23は、後行トンネル函体10aの推進時に、先行トンネル函体10bの外表面10’に摺動する。そのため、図8に示すように、ベロ部23を補強する補強手段50を推進方向に沿って設けるのが好ましい。図8の(a)に示す補強手段50は、鉄筋51をベロ部23の内側先端部に取り付けたものである。鉄筋51は接着剤にてベロ部23に接着されて固定されている。また、図8の(b)に示す補強手段50は、鉄筋51をベロ部23の内側中間部に取り付けたものである。ここでも、鉄筋51は接着剤にてベロ部23に接着されて固定されている。図8の(c)に示す補強手段50は、ワイヤーメッシュ52をベロ部23の内側面に接着して敷設したものである。図8の(d)に示す補強手段50は、ガラスクロスやアラミド繊維などの補強繊維からなる帯状補強部材53をゴム内部にサンドイッチ状に挟み込んだものである。
なお、弾性シール部材20は、本実施形態では、断面略V字状に形成されているが、弾性シール部材20の断面形状を限定する趣旨ではない。例えば、断面U字状、L字状、T字状等、他の形状であってもよい。
図2および図6に示すように、反転防止手段30は、弾性シール部材20のリップ部22が大断面トンネル1の内側に捲れて反転するのを防止するためのものである。反転防止手段30は、弾性シール部材20が取り付けられている後行トンネル函体10aの外表面10’と同一の面で、弾性シール部材20よりも大断面トンネル1の内側の部分に取り付けられている。
反転防止手段30は、リップ部22を押える押え板31と、この押え板31を回動可能に支持するベース板32とを備えて構成されている。押え板31とベース板32は、ともに金属製の板材にて構成されている。ベース板32は、後行トンネル函体10aの外表面10’に当接しており、例えば、サラ小ねじ321や六角穴付きボルト等の固定手段あるいは溶接によって、外表面10’に固定されている。押え板31は、ベース板32にばねヒンジ33を介して接続されている。押え板31は、隣り合う二つのトンネル函体10,10間の離間距離よりも大きい幅寸法を有している。ばねヒンジ33は、押え板31がベース板32に対して開く方向に回動するように、押え板31を付勢するように構成されている。すなわち、ばねヒンジ33は、押え板31とベース板32とが成す角度が大きくなる方向に押え板31を付勢する。
このような構成の反転防止手段30は、押え板31とばねヒンジ33が、ベース板32よりも弾性シール部材20側(大断面トンネル1の外側)に位置するような向きで配置・固定されている。そして、押え板31は、大断面トンネル1の外側に向かって傾斜して、弾性シール部材20の背面(リップ部22の反転防止手段30側の面)に当接している。これによって、押え板31が、ばねヒンジ33を中心としてベース板32に対して開くことで、リップ部22を大断面トンネル1の外側に向かって付勢する方向に回動することとなる。
反転防止手段30は、トンネル函体10の推進方向に形成されており、推進方向に沿って、連続して直列に連設されている(図4および図6参照)。本実施形態では、隣り合う反転防止手段30同士は、互いに近接して連設されているが、所定の間隔をあけて間欠的に配置するようにしてもよい。
次に、大断面トンネル1の築造方法の概要を、図3の(a)〜(d)を参照して説明する。なお、以下の説明においては、複数のトンネルT1,T1,…を、施工順にトンネルT11〜T16と称することがある。
大断面トンネル1を築造するには、まず、図3の(a)に示すように、その断面内の下部中央に一本目のトンネルT11を構築したうえで、この一本目のトンネルT11の横両隣りに二本目のトンネルT12および三本目のトンネルT13を順次構築する。
続いて、図3の(b)に示すように、一本目のトンネルT11の縦(上)隣りに四本目のトンネルT14を構築し、さらに、トンネルT12およびトンネルT14に隣接する位置に五本目のトンネルT15を構築し、トンネルT13およびトンネルT14に隣接する位置に六本目のトンネルT16を構築する。なお、トンネルT11〜T16の構築順序は、図示のものに限らず、適宜変更しても差し支えない。また、本実施形態においては、隣り合うトンネルT1,T1は、後行のトンネルT1を構築する際に、継手J1を介して互いに平行になるようにガイドされる。
なお、トンネルT1は、推進工法により構築するものとする。つまり、本実施形態においては、各トンネルT1の覆工L1は、トンネル軸方向に連設された複数のトンネル函体(推進函体)10,10,…(図4参照)からなり、また、後行のトンネルT1は、先行して構築したトンネルT1の隣りにおいて、複数のトンネル函体10,10,…を図示せぬ坑口から先行トンネルT1に沿って順次押し出すことにより構築される。なお、図示は省略するが、各トンネルT1において、トンネル軸方向に隣り合うトンネル函体10,10は、ボルト・ナット等を用いて互いに連結される。
なお、図3の(a)に示す掘進機Kは、トンネル函体10を介して坑口側から伝達された図示せぬ元押しジャッキの推力により掘進するものであってもよいし、その後方のトンネル函体10(図4参照)に反力をとって自ら掘進するもの(つまり、図示せぬ推進ジャッキを装備しているもの)でもよい。また、掘進機Kのカッターヘッドとしては、例えば、放射状に配置されたカッタースポークK1,K1と、四隅に設けられたコーナーカッターK2,K2,…とを備えるものを採用することができる。なお、カッタースポークK1は、半径方向に伸縮可能に構成されている。これにより、掘削断面を矩形にすることが可能となる。なお、カッターヘッドの形態は、図示のものに限定されるものではなく、掘削断面の形状や土質等に応じて変更しても差し支えない。例えば、図示は省略するが、略菱形を呈する二つの揺動カッターを備えるカッターヘッドを採用してもよい。この場合、揺動カッターは、それぞれ揺動軸を中心に揺動し、互いに干渉しないように相反する方向に制御される。
トンネルT11〜T16の構築が完了したら、図3の(c)に示すように、大断面トンネル1の断面形状に合わせて、トンネルT11〜T16の不要な覆工L12,L12,…を撤去して大きな空間を形成する。
そして、図3の(d)に示すように、地山との境界(すなわち、大断面トンネル1の外縁)に沿って残置されたトンネルT11〜T16の覆工L11,L11,…を利用して本設の頂版1A、底版1Bおよび側壁1C,1Cを形成すると、大断面の大断面トンネル1となる。なお、不要な覆工L12を全部撤去した後に頂版1A、底版1Bおよび側壁1C,1Cを形成してもよいし、トンネルT11〜T16の不要な覆工L12の一部を撤去しつつ、大断面トンネル1の頂版1A、底版1Bおよび側壁1C,1Cを構築してもよい。
次に、図4を参照してトンネル函体10の構成を詳細に説明する。なお、図4の右側に示すトンネル函体10は、一本目のトンネルT11(図2の(a)参照)に使用されるものであり、左側に示すトンネル函体10は、二本目のトンネルT12(図2の(a)参照)に使用されるものである。
トンネル函体10は、角筒状に形成された外殻11と、トンネル軸方向に所定の間隔をあけて並設された複数の主桁12,12,…と、隣り合う主桁12,12間においてトンネル軸方向に沿って配置された複数のリブ13,13,…と、を備えて構成されている1。
外殻11は、溶接により接合された複数枚の鋼製のスキンプレート111,111,…からなり、全体として断面矩形を呈している。
なお、図4の右側に示すトンネル函体10(以下、「先行トンネル函体10b」と称する場合がある)の外殻11の上面および左側面は、大小3枚のスキンプレート111により形成されており、かつ、隣り合うスキンプレート111,111間には隙間11aが形成されている。この隙間11aは、トンネル軸方向に延在しており、ガイド溝D1の開口部となっている。
主桁12は、外殻11の内面に沿って枠状に配置された四枚の鋼製の板材からなり、各板材は、溶接により外殻11の内周面に接合されている。また、図4の右側に示すトンネル函体10の主桁12には、後記する溝部材14の断面形状に合わせて切欠きが形成されている。
リブ13は、外殻11の内周面に溶接により接合された鋼製の板材からなる。なお、リブ13の長手方向の端部は、主桁12の側面に溶接により接合されている。
また、トンネル函体10には、ガイド溝D1となる溝部材14および突条P1となる突部材15の両方または一方が外殻11の隅角部の近傍に取り付けられている。なお、ガイド溝D1および突条P1の位置および個数は、トンネルT1の位置に応じて適宜設定する。
溝部材14は、外殻11の内周面において隙間11aに沿って配置されている。また、図5に示すように、溝部材14は、外殻11の隙間11aを挟んで対向する一対の対向片14a,14aと、この一対の対向片14a,14aのそれぞれの先端部に設けられた板材14bとを備えて構成されており、断面棒状の溝が形成されている。なお、対向片14aおよび板材14bは鋼製の部材からなり、溶接により互いに接合されている。
突部材15は、図4に示すように、外殻11の外表面においてトンネル推進方向に沿って配置されており、その突端部分が外殻11の外側に突出している。また、図5に示すように、突部材15は、外殻11の外表面に配置された断面T字状の突条部材151と、外殻11の内周面に配置された押えプレート152と、突条部材151のフランジ151aと押えプレート152とを貫通するボルト153,153,…と、各ボルト153を締結するナット154,154,…とを備えて構成されている。
突条部材151は、熱押形鋼、形鋼、鋳鉄、研り出し鋼などからなり、外殻11の外表面に固定されるフランジ151aと、このフランジ151aから立ち上がるウェブ151bとを備えている。また、図5に示すように、突条部材151のウェブ151bの幅(厚さ)が溝部材14の幅(すなわち、ガイド溝D1の開口幅a)よりも小さくなっており、突条部材151のウェブ151bは、上下左右に動き得るクリアランスをもって溝部材14の内部に入り込む。つまり、突条P1となる突条部材151は、ガイド溝D1となる溝部材14と遊嵌状態で結合することになる。このようにすると、突条部材151のウェブ151bは、溝部材14の幅内で移動が規制されることから、隣り合うトンネル函体10,10同士がこれらの近接離間方向(突条P1の突出方向)と直交する方向(図2中、上下方向)にずれるのを防ぐことができる。このとき、後行のトンネル函体10(以下、「後行トンネル函体10a」と称する場合がある)が推進する際には、先行トンネル函体10bに近付く傾向があるので、後行トンネル函体10aが先行トンネル函体10bから離反することはない。
図4および図5に示すように、外殻11の外表面(後行トンネル函体10aの外表面10’)には、止水構造W1(図2参照)を構成する弾性シール部材20と反転防止手段30が設けられている。
弾性シール部材20は、工場等で長尺に形成されており、図示しないボビン等に巻き付けられた状態で運搬される。弾性シール部材20は、巻き付けられた状態で発進立坑(図示せず)内に載置され、推進されるトンネル函体10の外表面10’に順次固定されながら送り出される。このような構成によれば、弾性シール部材20を連続的に設けることができるので、施工現場での接着継ぎ作業を少なくでき、止水性および施工性を向上することができる。
後行トンネル函体10aの推進時には、図6に示すように、弾性シール部材20の推進方向前端部に先導カバー55が設けられる。先導カバー55は、推進方向前方から見て、弾性シール部材20の前端面を覆うように設けられる部材であって、先行トンネル函体10bおよび後行トンネル函体10a間の離間距離を所定長さに保つ役目と、弾性シール部材20の前端部を保護する役目を果たす。先導カバー55は、硬質樹脂あるいは鋼製の部材にて形成されており、弾性シール部材20よりも硬質である。先導カバー55は、端から後方に向かうに連れて厚くなるように傾斜して形成されており、トンネル函体10の推進時に前方の地山の土砂を弾性シール部材20が通過する位置から押し退ける。なお、先導カバー55は、後行トンネル函体10aの推進終了後に取り除かれ、その先導カバー55が設けられていた部分には、シール材(図示せず)が充填される。
以上のように構成されたトンネル函体10を利用して各トンネルT1を構成すると、図4に示すように、後行トンネル函体10aを先行トンネル函体10bに沿って推進させることで、弾性シール部材20が後行トンネル函体10aと先行トンネル函体10bとの間に自動的に挟まれて、各外表面10’,10’に密着するので、施工時から止水性を得ることができる。
詳しくは、後行トンネル函体10aを推進させると、この後行トンネル函体10aは、先行トンネル函体10bに近付く方向に進行していく傾向がある。このとき、先導カバー55が、先行トンネル函体10bの外表面10’に当接するので、後行トンネル函体10aが先行トンネル函体10bに近づき過ぎず、弾性シール部材20が先行トンネル函体10bの外表面10’に当接可能な適度な間隔を保ちながら推進する。したがって、弾性シール部材20は、断面略V字状を保ちながら圧縮され、リップ部22が、先行トンネル函体10bの外表面10’に当接する。さらにこのとき、弾性シール部材20の断面略V字の内側部分には、図7の(a)に示すように、大断面トンネル1の外側の圧力(水圧(図7中、矢印にて示す))がかかり、リップ部22がV字の外側に向かって付勢される。これによって、リップ部22が先行トンネル函体10bの外表面10’に押圧されて密着するので、高い止水性が得られる。また、弾性シール部材20は長尺に形成されているので、継手部分が少なく止水性および施工性が高い。
さらに、リップ部22を備えた弾性シール部材30は、これを直線状に配置したことによって、隣り合うトンネル函体10,10間の止水構造W1として利用することができる。
さらに、弾性シール部材20は、反転防止手段30によって、リップ部22を大断面トンネル1の外側に向かって弾性的に押圧されているので、大断面トンネル1の外側の圧力が大きい場合でも、リップ部22が内側に捲れて反転するのを防止できる。これによって、止水性をより一層高めることができる。特に、外側の圧力が大きい程、リップ部22の、先行トンネル函体10bの外表面10’への密着性が高まるので、止水性が高まる。また、弾性シール部材20単体では大断面トンネル1の外側の圧力に対抗できない場合であっても、反転防止手段30と合わさることで、反転を防止しつつ止水性を確保することができる。さらには、大断面トンネル1の外側の圧力がかかる面積が大きくなって反転させようとする力が大きくなっても、反転防止手段30によってリップ部22の反転を防止できるので、弾性シール部材20の大型化も可能となる。
また、反転防止手段30の押え板31は、隣り合う二つのトンネル函体10,10間の離間距離よりも大きい幅寸法を有しているので、ばねヒンジ33の付勢力に抗して、押え板31が大断面トンネル1の内側に押し返されたとしても、押え板31の先端が、先行トンネル函体10bの外表面10’に当接し、ばねヒンジ33と先端部の二点で拘束されることになるので、それ以上は内側に回動することはない。したがって、押え板31がストッパーの役目を果たして、リップ部22の反転を確実に防止することができる。
また、弾性シール部材20のリップ部22の先端にベロ部23を設けたことによって、図7の(a)に示すように、弾性シール部材20と先行トンネル函体10bの外表面10’との接触面積が大きくなるので、止水性がより一層高まる。さらに、ベロ部23は、リップ部22よりも柔軟性が高いので、リップ部22の先端が他方のトンネル函体の外表面に当接しないような場合であっても、止水性を確保することができる。
具体的には、後行トンネル函体10aと先行トンネル函体10b間の離間距離が図7の(a)の状態よりも長くなったときは、図7の(b)に示すように、リップ部22の先端が先行トンネル函体10bの外表面10’に届かない場合がある。しかし、このような場合でも、ベロ部23が延出して、先行トンネル函体10bの外表面10’に当接して押圧されるので、止水性を確保できる。ベロ部23は、押え板31によって付勢されるので、大断面トンネル1の内側へ反転することはない。
一方、後行トンネル函体10aと先行トンネル函体10b間の離間距離が図7の(a)の状態よりも短くなったときは、図7の(c)に示すように、リップ部22が押え板31に押されて、先行トンネル函体10bの外表面10’との間に、押え板31の厚さと略同等の隙間が発生してしまう場合がある。しかし、このような場合でも、柔軟性の高いベロ部23が、先行トンネル函体10bの外表面10’に当接して押圧されるので、止水性を確保できる。
また、後行トンネル函体10aの推進時には、リップ部22およびベロ部23は、先行トンネル函体10bの外表面10’に摺動するが、ベロ部23を補強手段50で補強しておけば、リップ部22と比較して柔軟性の高いベロ部23の破損を防止できる。
さらに、本実施形態によれば、トンネル函体10の外表面10’に弾性シール部材20を設けてトンネル函体10を推進させるだけで止水施工を行うことができるので、施工の手間と時間を短縮でき、施工が容易になるとともに、曲線施工も容易に行うことができる。さらに、弾性シール部材20は永久的なシール材であるので、シール構造の耐久性を大幅に高めることができる。
一方、先行のトンネル函体10にガイド溝D1を形成して、後行のトンネル函体10にガイド溝D1に遊嵌する突条P1を形成したことによって、先行するトンネルT1が蛇行し、あるいは捩れている場合や、後行のトンネルT1の掘進機K(図2の(a)参照)にローリングやピッチング等が発生しようとした場合であっても、これらの影響が両トンネルT1,T1の連結部分(継手J1)で吸収される。また、隣り合うトンネル函体10,10が必要以上に近接することがなく、またずれることがないので、スムーズかつ正確に寸法精度の高い大断面トンネル1を構築することが可能となる。
以上、本発明を実施するための最良の形態について説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。例えば、前記実施形態に係る反転防止手段30は、押え板31、ベース板32およびばねヒンジ33より構成されているが、このような構成に限定されるものではない。例えば、図9に示すように、板ばね35より構成してもよい。
この板ばね35は屈曲されており、押え部36とベース部37とを備えている。押え部36とベース部37とは、ともに平板状に形成されている。ベース部37は、後行トンネル函体10aの外表面10’に、ボルト351等の固定手段を介して固定されている。このような構成の反転防止手段30は、押え部36が、大断面トンネル1(図1参照)の外側に位置するように配置・固定されている。そして、押え部36が、弾性シール部材20のリップ部22を押圧する方向に付勢するように構成されている。反転防止手段30は、トンネル函体10の推進方向に所定の長さに形成されており、推進方向に沿って、連続して直線状に連設されている。また、押え部36は、隣り合う二つのトンネル函体10,10間の離間距離よりも大きい幅寸法を有している。このような構成によっても、前記実施形態と同様に、弾性シール部材20の反転を防止することができる。
また、前記実施形態では、弾性シール部材20は、接着層24を介してベース部21が外表面10’に設置されているが、これに限定されるものではない。例えば、図9に示すように、ベース部21の底面に凹部を形成して、その凹部に水膨張シール材25を充填するようにしてもよい。このような構成によれば、接着層を設けなくても、水膨張シール材25が膨張することで、外表面10’に押し付けられ、外表面10’とベース部21間のシール性を確保できる。
また、前記実施形態では、弾性シール部材20および反転防止手段30は、後行トンネル函体10aに設けられているが、先行トンネル函体10bに設けてもよい。
(第2実施形態)
以下、本発明を実施するための最良の第2の実施形態を、図10および図11を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態に係る止水構造は、請求項1,2に対応する実施形態である。本実施形態は、第1実施形態とは弾性シール部材の形状が異なり、第1実施形態では弾性シール部材20が反転防止部材30で押さえられているのに対して、本実施形態では、反転防止部材が設けられていない。
図10に示すように、本実施形態では、弾性シール部材120が、ベース部121と、リップ部122と、ベース部121の先端部とリップ部122の先端部同士を連結する補強連結板部123をさらに備えたことを特徴としており、弾性シール部材120は、その内部に中空部124を備えている。なお、本実施形態における「先端部」とは、先端から所定距離の範囲の先端近傍も含む。
補強連結板部123は、ベース部121の先端から所定距離離間した位置と、リップ部122の先端から所定距離離間した位置とを連結するように構成されており、ベース部121とリップ部122と補強連結板部123とで、断面が略三角形状の中空部124を形成している。補強連結板部123は、ベース部121とリップ部122と同一の材質(本実施形態ではクロロプレンゴム)で押出し成型によって一体的に形成されている。補強連結板部123は、ベース部121およびリップ部122と比較して、薄く形成されている。
補強連結板部123は、リップ部122にベース部121から離反しようとする応力がかかったときに、リップ部122を内側から支持することで、リップ部122が捲れて反転するのを防止する。
一方、図11に示すように、後行トンネル函体10aが推進して、後行トンネル函体10aと先行トンネル函体10bとが所定間隔に近接して、リップ部122がベース部121側に押圧されたときは、中空部124の容積が小さくなるとともに補強連結板部123が湾曲して変形する。ここで、リップ部122は、変形した補強連結板部123の復元力によって先行トンネル函体10bの外表面10’に付勢されながら、先行トンネル函体10bの外表面10’を押圧する。これによって、リップ部122と先行トンネル函体10bの外表面10’との密着性が高くなり、シール性能が向上する。
リップ部122の、補強連結板部123との接続部分より先端側は、先行トンネル函体10bの表面形状に追従して変形する追従部分125となる。つまり、追従部分125は、先端側が固定されておらず、フリーの状態になるので先行トンネル函体10bの表面形状に追従しやすい。これによっても、リップ部122と先行トンネル函体10bの外表面10’との密着性が高くなる。一方、追従部分125は、その基端部(リップ部122と補強連結板部123との接続部分)が大断面トンネルの外側を向いているとともに、大断面トンネルの外側の圧力がかかり先行トンネル函体10bの外表面10’に付勢されて密着するので、大断面トンネルの内側に捲れて反転することはない。
図10および図11に示すように、ベース部121の、補強連結板部123との接続部分より先端側は、弾性シール部材120をトンネル函体10に固定する固定金具130の係止部131が係止される部分となる。固定金具130は、弾性シール部材120に沿って、長尺に形成されており、所定間隔で設置されるボルト132によって、後行トンネル函体10aに固定されている。固定金具130は、ベース部121の基端(リップ部122との連結部)にも設けられており、ベース部121の幅方向両側から係止部131で固定している。
以上のような構成の弾性シール部材120を設けたことによって、反転防止部材を設けなくても、リップ部122が捲れて反転するのを防止することができる。したがって、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果が得られるほかに、構造が簡略化され、施工手間と施工費用を抑えることが可能となる。
また、本実施形態によれば、弾性シール部材120の内部に中空部124が形成されているので、トンネル施工後に中空部124に充填材を注入することによって、弾性シール部材120を各トンネル函体10,10の外表面10’に付勢させることができるので、より一層弾性シール部材120とトンネル函体10,10との密着性を高めることができる。
(第3実施形態)
以下、本発明を実施するための最良の第3の実施形態を、図12および図13を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態に係る止水構造は、請求項1,2,3に対応する実施形態である。本実施形態は、第2実施形態と弾性シール部材のリップ部の先端形状が異なる。
図12および図13に示すように、本実施形態に係る弾性シール部材120’は、補強連結板部123が、リップ部122’の略先端位置に接続されており、リップ部122’の先端が、鋭角に形成されていることを特徴とする。具体的には、リップ部122’の先端は、略45度の角度を成して、先行トンネル函体10bの外表面10’に対向するように構成されている。
そして、後行トンネル函体10aが推進して、後行トンネル函体10aと先行トンネル函体10bとが所定間隔に近接して、リップ部122’が先行トンネル函体10bの外表面10’に当接したとき、リップ部122’の先端は、大断面トンネルの外側に変形するとともに、背面側(ベース部121とリップ部122’が成す断面V字の外側面)が、先行トンネル函体10bの外表面10’に押圧される。このとき、リップ部122’の先端が鋭角であるので、変形しやすく、先行トンネル函体10bの表面形状に追従して変形することができる。
さらに、これと同時に、補強連結板部123は、湾曲して変形しており、変形した補強連結板部123の復元力によって、リップ部122’を先行トンネル函体10bの外表面10’に付勢しながら押圧する。これによって、リップ部122’の先端部と先行トンネル函体10bの外表面10’との密着性が高くなり、シール性能が向上する。
また、リップ部122’の先端の鋭角部分には、これを補強する補強手段(図示せず)を推進方向に沿って設けるのが好ましい。補強手段は、ベロ部23の補強手段50(図8参照)と同様に、鉄筋をリップ部122’内側に取り付けたものや、ワイヤーメッシュをリップ部122’の内側に接着して敷設したものや、ガラスクロスやアラミド繊維などの補強繊維からなる帯状補強部材をリップ部122’の内部にサンドイッチ状に挟み込んだものが挙げられる。
なお、その他の構成については、第2実施形態と同様であるので、同じ符号を付して説明を省略する。
以上のような構成の弾性シール部材120’を設けたことによって、本実施形態によれば、第2実施形態と同様の作用効果が得られるほかに、弾性シール部材120’の小型化が達成され、弾性シール部材120’の材料費を低減することができる。
大断面トンネルを示した断面図である。 本発明に係る止水構造の第1実施形態を示した拡大図である。 (a)〜(d)は、大断面トンネルの築造手順を示した断面図である。 大断面トンネルのトンネル函体を示した斜視図である。 隣り合う各トンネル函体の推進前の状態を示した側面図である。 (a)および(b)は、弾性シール部材の推進方向前端部を示した斜視図である。 (a)〜(b)は、トンネル函体間の隙間に応じた止水状態を示した拡大図である。 (a)〜(d)は、ベロ部の補強手段を示した斜視図である。 本発明に係る止水構造の他の実施形態を示した拡大図である。 本発明に係る止水構造の第2実施形態の弾性シール部材を示した斜視図である。 本発明に係る止水構造の第2実施形態の弾性シール部材を示した断面図である。 本発明に係る止水構造の第3実施形態の弾性シール部材を示した斜視図である。 本発明に係る止水構造の第3実施形態の弾性シール部材を示した断面図である。 従来の止水構造を示した側面図である。
符号の説明
W1 止水構造
1 大断面トンネル
10 トンネル函体
10a 後行トンネル函体
10b 先行トンネル函体
10’ 外表面
20 弾性シール部材
21 ベース部
22 リップ部
23 ベロ部
30 反転防止手段
31 押え板
120 弾性シール部材
121 ベース部
122 リップ部
123 補強連結板部

Claims (7)

  1. 推進工法によって並設された複数本のトンネル函体を利用して築造する大断面トンネルの内部と外部との間を止水する止水構造において、
    隣り合う二つの前記トンネル函体のうち、一方のトンネル函体の他方のトンネル函体に対向する外表面に推進方向に沿って設けられる直線状の弾性シール部材を備え、
    前記弾性シール部材は、前記一方のトンネル函体の外表面に固定されるベース部と、このベース部と一体的に形成され先端が前記大断面トンネルの外側に向いたリップ部とを備えてなり、前記リップ部は、前記大断面トンネルの外側の圧力によって前記他方のトンネル函体の外表面に向かって弾性的に付勢されるように構成されている
    ことを特徴とする止水構造。
  2. 前記弾性シール部材は、前記ベース部の先端部と前記リップ部の先端部同士を連結する補強連結板部をさらに備え、内部に中空部を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の止水構造。
  3. 前記リップ部の先端が、鋭角に形成されており、前記他方のトンネル函体の外表面に沿って変形可能である
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の止水構造。
  4. 前記リップ部の先端には、当該リップ部よりも柔軟性の高いベロ部が突出して設けられており、
    少なくとも前記ベロ部の一部が、前記他方のトンネル函体の外表面に当接する
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の止水構造。
  5. 前記ベロ部には、当該ベロ部を補強する補強手段が推進方向に沿って設けられている
    ことを特徴とする請求項4に記載の止水構造。
  6. 推進工法によって並設された複数本のトンネル函体を利用して構築される大断面トンネルの構築方法において、
    トンネル函体の外表面に固定されるベース部と、このベース部と一体的に形成され先端が前記大断面トンネルの外側に向くリップ部とを備えてなる直線状の弾性シール部材を、その長手方向が推進方向に沿うように、後行トンネル函体の先行トンネル函体に対向する外表面に取り付け、
    前記後行トンネル函体に取り付けられた前記弾性シール部材のリップ部を前記先行トンネル函体の外表面に当接させつつ前記後行トンネル函体を推進させる
    ことを特徴とする大断面トンネルの構築方法。
  7. 前記先行トンネル函体の前記弾性シール部材の推進方向前端部に、前記弾性シール部材よりも硬質の先導カバーを設け、隣り合う二つの前記先行トンネル函体および後行トンネル函体間の離間距離を所定長さに保つ
    ことを特徴とする請求項6に記載の大断面トンネルの構築方法。
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