JP2010133068A - 耐薬品性手袋 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐薬品性、触感及び耐摩耗性に優れた手袋を提供する。
【解決手段】繊維製手袋の上に、クロロプレン系ゴム層、ニトリルブタジエン系ゴムとクロロプレン系ゴムの混合ゴム層を順次形成してなり、前記混合ゴム層のニトリルブタジエン系ゴムとクロロプレン系ゴムの混合比率が固形分重量比率で60:40〜10:90であることを特徴とする耐薬品性手袋である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム被覆の耐薬品性手袋、特にクロロプレン系ゴムで繊維製手袋を被覆した、耐薬品性を著しく改良し、安全性、信頼性を高めるとともに、触感及び耐摩耗性に優れた耐薬品性手袋に関する。
繊維性手袋の表面をゴム又は樹脂で被覆した防湿性手袋が、作業用手袋として広く使用されている。被覆されるゴムや樹脂としては、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ポリウレタン(PU)、塩化ビニル樹脂(PVC) などがある。これらの中でもクロロプレンゴムは耐候性、耐熱性、耐油性、耐薬品性に優れ、とりわけ耐薬品性に関しては、特に耐酸性、耐アルカリ性、耐油性に優れていることが知られており、クロロプレンゴムを繊維性手袋の表面に被覆した手袋が耐薬品性手袋として広く採用されている。
手袋用のクロロプレンゴムとしては、例えば、柔軟性の経時安定性と引張強度、引張伸びとのバランスに優れた手袋用クロロプレン系重合体ラテックスが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上記のようなクロロプレン系重合体を用いた場合であっても、被覆層が1層のクロロプレンゴムのみから形成される場合には、製品に穴などが発生するなどの不具合が発生し、その欠陥が見落とされて薬液による事故となる虞もある。一方、かかる問題を解消せんとして多層構造にすると、手袋が硬くなり、ごわごわとした触感となり、使用しにくいという問題がある。
特開2007−106994号公報
本発明は上記実情に鑑み、酸性、アルカリ性、その他薬品を取り扱う作業用の耐薬品性手袋において、触感や作業性を損なうことなく薬品に対する安全性、信頼性を著しく改善するとともに、耐摩耗性にも優れた耐薬品性手袋を提供するものである。
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、本発明の請求項1は、繊維製手袋の上に、クロロプレン系ゴム層、ニトリルブタジエン系ゴムとクロロプレン系ゴムの混合ゴム層を順次形成してなり、前記混合ゴム層のニトリルブタジエン系ゴムとクロロプレン系ゴムの混合比率が固形分重量比率で60:40〜10:90であることを特徴とする耐薬品性手袋を内容とする。
本発明の請求項2は、混合ゴム層のニトリルブタジエン系ゴムとクロロプレン系ゴムの混合比率が固形分重量比率で40:60〜20:80であることを特徴とする請求項1記載の耐薬品性手袋を内容とする。
本発明の請求項3は、請求項1又は2記載の耐薬品性手袋のクロロプレン系ゴム層と、ニトリルブタジエン系ゴムとクロロプレン系ゴムの混合ゴム層との間に、更にクロロプレン系ゴム層を形成したことを特徴とする耐薬品性手袋を内容とする。
本発明によれば、繊維製手袋の上に、第1層としてクロロプレン系ゴム層、第2層としてNBR 系ゴムとクロロプレン系ゴムの混合ゴム層を順次形成することにより、極めて耐薬品性に優れ、安全性、信頼性に優れるとともに、触感及び耐摩耗性に優れた手袋が提供される。
また、第1層と第2層との間に、更に中間層としてクロロプレン系ゴム層を形成することにより、一層耐薬品性に優れた手袋が提供される。
本発明の耐薬品性手袋は、繊維製手袋の上に、クロロプレン系ゴム層、ニトリルブタジエン系ゴムとクロロプレン系ゴムの混合ゴム層を順次形成してなり、前記混合ゴム層のニトリルブタジエン系ゴムとクロロプレン系ゴムの混合比率が固形分重量比率で60:40〜10:90であることを特徴とする。
本発明で使用される繊維製手袋には各種繊維のものが適用でき、綿、ポリエステル、ポリウレタン、高強度延伸ポリエチレン、例えば、ダイニーマ(登録商標)、アラミド、例えば、ケブラー(登録商標)、これら混紡等でニットの外、織布や不織布の縫製によるものなどが使用できる。
本発明において、第1層であるクロロプレン系ゴム層としては、クロロプレン重合体、クロロプレンとその他共重合成分とのクロロプレン系共重合体の水系分散ラテックスが一般的であるが、溶剤系溶液や溶剤系分散液でも使用できる。市販品としては、ショウプレン(登録商標)671A (昭和電工株式会社製)、ショウプレン(登録商標)571(昭和電工株式会社製)、ショウプレン(登録商標)750(昭和電工株式会社製)、スカイプレン(登録商標)ラテックスLA- 502(東ソー株式会社製)、デンカクロロプレン(登録商標)LM−61(電気化学工業株式会社製)、デンカクロロプレン(登録商標)LM−50(電気化学工業株式会社製)、デンカクロロプレン(登録商標)LV−60N (電気化学工業株式会社製)、Lipren−T (PolymerLatex社製)などがある。これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。
第1層の乾燥後の厚さは、0.18〜0.23mm程度が好ましい。0.18mm未満のクロロプレン系ゴム層の作製を試みると、繊維製手袋の内部に原料が浸透する傾向があり、その結果、得られた手袋は装着時の触感が極めて悪くなる。一方で0.23mmを超えるクロロプレン系ゴム層の作製を試みると、繊維製手袋に対して、原料の均一な付着性が損なわれる傾向があり、その結果、得られた手袋では、耐薬品性などが一様に得られないものとなる。
本発明において、第2層である混合ゴム層として、クロロプレン系ゴムとともに用いられるニトリルブタジエン系ゴム(以下、ニトリルブタジエン系ゴムをNBR と略記する場合がある)としては、Nipol (登録商標)Lx−550(日本ゼオン株式会社製)、Nipol (登録商標)Lx−551(日本ゼオン株式会社製)、Nipol (登録商標)Lx−556(日本ゼオン株式会社製)、PERBUNAN(登録商標)N LATEX VT-LA (PolymerLatex社製)、PERBUNAN(登録商標) N LATEX X 1130 (PolymerLatex社製)、PERBUNAN(登録商標) N LATEX X 1138 (PolymerLatex社製)、PERBUNAN(登録商標) N LATEX X 1150 (PolymerLatex社製)、PERBUNAN(登録商標) N LATEX X 1172 (PolymerLatex社製)、PERBUNAN(登録商標) N LATEX 2890 (PolymerLatex社製)、PERBUNAN(登録商標)N LATEX 3415 M(PolymerLatex社製)、PERBUNAN(登録商標)N LATEX X 1200(PolymerLatex社製)、Synthomer (登録商標)EL2675(Synthomer 社製)、Synthomer (登録商標)6311(Synthomer 社製)、Synthomer (登録商標)6501(Synthomer 社製)、Synthomer (登録商標) 6617 (Synthomer 社製)、Synthomer (登録商標) 6710 (Synthomer 社製)などが使用可能である。これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。
第2層の乾燥後の厚さは、0.14〜0.18mm程度が好ましい。0.14mm未満のクロロプレン系ゴム層の作製を試みると、成膜せず第2層を形成しにくい傾向がある。一方で0.18mmを超えるクロロプレン系ゴム層の作製を試みると、手袋にした際に、ごわごわとした触感が強くなる傾向がある。
混合ゴム層において、NBR 系ゴムとクロロプレン系ゴムの混合比率は、固形分重量比率で60:40〜10:90であり、好ましくは、40:60〜20:80である。NBR 系ゴムが上記比率よりも大きくなると手袋にしたときにごわごわとした触感の手袋となり、NBR 系ゴムが上記比率よりも小さくなると、配合時にラテックスが凝集を起こす、耐摩耗性が低下するなどの問題が発生し、手袋の作製が困難となる場合がある。
NBR 系ゴムとクロロプレン系ゴムの各ラテックスの混合については、水系分散ラテックス同士、あるいは同じ溶剤系の溶液あるいは同種溶剤系の分散液の使用が好ましい。
本発明では、第1層あるいは中間層のクロロプレン系ゴム層に使用するクロロプレン系ゴムラテックス、第2層の混合ゴム層においてNBR 系ラテックスと混合して使用するクロロプレン系ゴムラテックスは、上記したクロロプレン系重合体ラテックス、クロロプレン系共重合体のラテックスのうちの同じものを用いてもよく、また異なるものを用いてもよい。
中間層の乾燥後の厚さは、0.18〜0.23mm程度が好ましい。0.18mm未満では製膜せず中間層を形成しにくい傾向があり、0.23mmを超えると均一な製膜性が損なわれる傾向がある。
クロロプレン系ゴムラテックスあるいはNBR 系ゴムとクロロプレン系ゴムとの混合ゴムのラテックスの粘度は、塗膜厚みの調節や塗布の作業性から重要で、V6で、第1層2800〜3200mPa ・秒、第2層1500〜2000mPa ・秒、中間層1800〜2200mPa ・秒が好ましい。
繊維製手袋への第1層、第2層及び中間層の形成する方法としては、ラテックス液への浸漬、噴霧塗布、刷毛等による塗布などが採用できる。塗布の際、繊維製手袋は手型に被せて置くことが一般的で便利である。手型としては、金属製、セラミック製、木製、プラスチック製のものなどが使用できる。
ラテックスには、加工の容易性、加硫後のゴム被膜の柔軟性や強度の安定性等から、金属酸化物、加硫促進剤、硫黄、界面活性剤、老化防止剤、pH 調整剤、可塑剤、充填剤等を配合することが好ましい。
金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化鉛、四酸化三鉛などが挙げられる。これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。金属酸化物の配合量は、ゴムラテックスの固形分100重量部に対し1〜10重量部が好ましい。1重量部未満では架橋が十分でないために引張強度及びモジュラスの基本特性が得られにくく、また10重量部を超えるとモジュラスが高くなりすぎて手袋にした際にごわごわとした触感となる傾向がある。
加硫促進剤は、クロロプレン系ゴムラテックスの加硫に一般的に用いられるチウラム系、ジチオカーバメート系、チオウレア系、グアニジン系の加硫促進剤が使用できるが、中でもチウラム系、ジチオカーバメート系のものが好ましい。チウラム系の加硫促進剤としては、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィドなどが挙げられる。ジチオカーバメート系加硫促進剤としては、ジブチルチオジカルバミン酸ナトリウムジブチルチオジカルバミン酸亜鉛、ジエチルチオジカルバミン酸亜鉛などが挙げられる。チオウレア系加硫促進剤としては、エチレンチオウレア、ジエチルチオウレア、トリメチルチオウレア、N,N ’−ジフェニルチオウレアなどが挙げられる。特にこれらの中では、N,N ’−ジフェニルチオウレアが好ましい。グアニジン系の加硫促進剤としては、ジフェニルグアニジン、ジオルトトルイジングアニジンなどが挙げられる。これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。
加硫促進剤の配合量は、ゴムラテックスの固形分100重量部に対し0.5〜5.0重量部が好ましい。0.5重量部未満では、加硫の促進効果が十分でなく、また5.0重量部を超えると手袋にしても硬い触感の手袋となったり、初期加硫が進み、スコーチ現象を起こすなどの問題が発生する場合がある。
加硫促進剤だけでは加硫が不十分の場合、通常、硫黄を併用する。硫黄の配合量は、ゴムラテックスの固形分100重量部に対し0.1〜3.0重量部が好ましい。0. 1重量部未満では架橋が十分でないために、引張強度およびモジュラスの基本特性が得られにくく、また3.0重量部を超えるとモジュラスが高すぎて手袋にした際にごわごわとした触感となる傾向がある。
界面活性剤としては、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物ナトリウム、ロジン酸石鹸、脂肪酸石鹸などが挙げられる。これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。
界面活性剤の配合量は、ゴムラテックスの固形分100 重量部に対し0.1〜10.0重量部が好ましい。0.1重量部未満では、ラテックスの安定性が不十分となりやすく、また10.0重量部を超えると、ラテックスが安定となり過ぎ、被膜が形成しにくくなる傾向がある。
老化防止剤としては、ナフチルアミン系、ジフェニルアミン系、p−フェニレンジアミン系、キノリン系、ハイドロキノン誘導体系、モノフェノール系、ビスフェノール系、ポリフェノール系、イミダゾール系、ジチオカルバミン酸ニッケル塩系、亜リン酸エステル系、有機チオ酸系、チオウレア系等の化合物が挙げられる。
ナフチルアミン系化合物としては、フェニル−1 −ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミンなどが挙げられる。ジフェニルアミン系化合物としては、4 ,4 −ビス( α,α−ジメチルベンジル) ジフェニルアミン、p −(p−トルエンスルホニルアミド) ジフェニルアミン、アルキル化ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミンなどが挙げられる。p−フェニレンジアミン系化合物としては、N ,N'−ジフェニル−p −フェニレンジアミン、N −フェニル−N'−イソブロピル−P −フェニレンジアミン、N ,N'−ジ−2 −ナフチル−p −フェニレンジアミン、N −フェニル−N'−(1,3 −ジメチルブチル) −p −フェニレンジアミン、N −フェニル−N'−(3−メタクリロイルオキシ−2 −ヒドロキシプロピル〕−p −フェニレンジアミンなどが挙げられる。キノリン系化合物としては、2 ,2 ,4 −トリメチル−1 ,2-ジヒドロキノリン重合体、6 −エトキシ−1 ,2 −ジヒドロ−2 ,2 ,4 −トリメチルキノリンなどが挙げられる。ハイドロキノン誘導体系化合物としては、ハイドロキノン、メトキノン、2 ,5 ジフェニル−P −ベンゾキノンなどが挙げられる。モノフェノール系化合物としては、2, 6- ジ- tert- ブチル- 4- メチルフェノール、モノ(α- メチルベンジル)フェノール、ジ(α- メチルベンジル)フェノール、トリ(α- メチルベンジル)フェノールなどが挙げられる。ビスフェノール系化合物としては、2, 2'-メチレンビス(4- メチル- 6- tert- ブチルフェノール)、4, 4'-ブチリデンビス(3- メチル- 6- tert- ブチルフェノール)、4, 4'-チオビス(3- メチル- 6- tert- ブチルフェノール)などが挙げられる。ポリフェノール系化合物としては、2, 5- ジ- tert- ブチルハイドロキノン、2, 5- ジ- tert- アミルハイドロキノンなどが挙げられる。イミダゾール系化合物としては、2-メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプトメチルベンズイミダゾール、2-メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩などが挙げられる。ジチオカルバミン酸ニッケル塩系化合物としてはジエチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケルなどが挙げられる。亜リン酸エステル系化合物としては、トリス(ノニルフェニル)ホスファイトなどが挙げられる。有機チオ酸系化合物としては、チオジプロピオン酸ジラウリルなどが挙げられる。チオウレア系化合物としては、1, 3- ビス( ジメチルアミノプロピル)- 2- チオ尿素、トリブチルチオ尿素などが挙げられる。これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。これらの中でも、モノフェノール系やビスフェノール系の化合物が好ましい。
老化防止剤の配合量は、ゴムラテックスの固形分100重量部に対し0.5〜5.0重量部が好ましい。0.5重量部未満では、劣化を遅延させる十分な効果が得られにくく、また、5.0重量部を超えると、特に劣化を遅延させる効果が増大するわけでもなく、さらには強度が低下する場合もある。
pH調節剤としては、ラテックスの安定化や塗膜の厚み調節の目的で、アルカリあるいはアミノ酸、酢酸などの弱酸が使用できる。アルカリとしては、水酸化カリウム、アンモニアなどが、弱酸としては、グリシンなどが例示される。これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。pH調節剤は、ラテックスの安定性を損なわないよう使用前に水溶液として添加されるのが好ましい。
pH調節剤の配合量は、クロロプレン系ゴムラテックスを用いた配合では、pH調節剤を含めた全ての添加剤を配合した時点でpH 10.0〜11.5となるようにpH 調整剤を添加することが好ましく、具体的には、pH 10.0〜10.5となるように添加することがより好ましい。pH が10.0を下回ると、ラテックスが不安定となり、凝集を起こしやすくなり、また11.5を超えるとラテックスが過度に安定となってラテックスが凝固しにくくなり、ゴム皮膜の作製が難しくなる傾向がある。
また、クロロプレン系ゴムラテックスとNBR 系ゴムラテックスを混合した場合の配合では、p H調節剤を含めた全ての添加剤を配合した時点でpH 9.0〜10.5となるようにpH 調整剤を添加することが好ましく、具体的には、pH 10.0〜10.5となるように添加することがより好ましい。pH が9.0を下回ると、ラテックスが不安定となり、凝集を起こしやすくなり、また10.5を超えるとラテックスのアルカリが過多となり、ラテックスが固化する場合がある。
可塑剤としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ブチルオクチルフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート、ジイソオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸エステル類、ジメチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジ−(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、オクチルデシルアジペート、ジ−(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジイソオクチルアゼレート、ジイソブチルアゼレート、ジブチルセバケート、ジ−(2−エチルヘキシル)セバケート、ジイソオクチルセバケート等の脂肪酸エステル類、トリメリット酸イソデシルエステル、トリメリット酸オクチルエステル、トリメリット酸n−オクチルエステル、トリメリット酸系イソノニルエステル等のトリメリット酸エステル類の他、ジ−(2−エチルヘキシル)フマレート、ジエチレングリコールモノオレート、グリセリルモノリシノレート、トリラウリルホスフェート、トリステアリルホスフェート、トリ−(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリクレジルホスフェート、エポキシ化大豆油、ポリエーテルエステル等を挙げることができる。これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。
可塑剤の配合量は、ゴムラテックスの固形分100重量部に対し0.001〜10.0重量部が好ましい。0.001重量部未満では可塑化が十分でなく、また10.0重量部を超えるとブリード現象を起こす傾向がある。
無機充填剤としては、酸化物系充填剤、炭酸塩系充填剤、ケイ酸塩系充填剤、窒化物系充填剤などが挙げられる。酸化物系充填剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化マグネシウム、珪藻土、アルミナ、酸化鉄、酸化スズなどが挙げられ、中でも、シリカ、酸化チタン、酸化鉄が好ましい。炭酸塩系充填剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛などが挙げられるが、中でも炭酸カルシウムが好ましい。ケイ酸塩系充填剤としては、クレー、カリオナイト、パイロフィライトといったケイ酸アルミニウム、タルクのようなケイ酸マグネシウム、ウォラストナイト、ゾノトライトといったケイ酸カルシウム、ベントナイト、ガラスビーズ、ガラス繊維などが挙げられるが、中でもケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ベントナイトが好ましい。これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。
充填剤の配合量は、ゴムラテックスの固形分100重量部に対し5〜15重量部が好ましい。5重量部未満では手袋作製時のキュア工程においてブリスターが発生する傾向があり、また15重量部を超えるとゴムラテックスの安定性が損なわれる場合がある。
本発明では、クロロプレン系ゴムラテックス、あるいはクロロプレン系ゴムラテックスとNBR 系ゴムラテックス混合物に、必要に応じて、更に上記以外の添加剤、例えば、顔料、着色剤、湿潤剤、消泡剤などを適宜配合することができる。
以下に実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
尚、以下の実施例、比較例において、第1層及び中間層の乾燥後の厚さはともに0.2mm、第2層の乾燥後の厚さは0.15mmとした。
以下の実施例、比較例で用いた原材料を表1に示す。
Figure 2010133068
実施例1
セラミック製手型に18ゲージの編み機で編んだ綿・ポリエステル(50:50)混紡シームレス手袋を被せ、凝固剤浴槽に浸漬した。凝固剤液はメタノール:100、硝酸カルシウム:2.0から成るものを用いた。続いて、表2に示す第1層のゴム配合液の浴槽に約3秒間浸漬し、浴槽から引き上げた後、すぐに15%の硝酸カルシウム水溶液に浸漬した。更に、このゴム被覆した手袋を被せた手型を75℃の乾燥機中で3 分間乾燥させ、第1層のクロロプレン系ゴム層を形成した。
Figure 2010133068
続いて、表3に示す第2層の混合ゴム配合液の浴槽に、上記第1層被覆手袋を被せた手型を約3秒間浸漬した後、浴槽から引き上げ、キュアを行った。キュアの条件は75℃で60分間加熱した後、140℃で30分間加熱し、第2層の混合ゴム層を形成した。その後、被覆手袋を手型からはずし、水洗し、乾燥して、繊維製手袋の上に、第1層のクロロプレン系ゴム層及び第2層の混合ゴム層を形成した耐薬品性手袋を得た。
Figure 2010133068
実施例2
第2層の混合ゴム配合液を表4に示す混合ゴム配合液に変更した以外は、実施例1と同様にして、繊維製手袋の上に、第1層のクロロプレン系ゴム層及び第2層の混合ゴム層を形成した耐薬品性手袋を得た。
Figure 2010133068
実施例3
第2層の混合ゴム配合液を表5に示す混合ゴム配合液に変更した以外は、実施例1と同様にして、繊維製手袋の上に、第1層のクロロプレン系ゴム層及び第2層の混合ゴム層を形成した耐薬品性手袋を得た。
Figure 2010133068
実施例4
第2層の混合ゴム配合液を表6に示す混合ゴム配合液に変更した以外は、実施例1と同様にして、繊維製手袋の上に、第1層のクロロプレン系ゴム層及び第2層の混合ゴム層を形成した耐薬品性手袋を得た。
Figure 2010133068
実施例5
第2層の混合ゴム配合液を表7に示す混合ゴム配合液に変更した以外は、実施例1と同様にして、繊維製手袋の上に、第1層のクロロプレン系ゴム層及び第2層の混合ゴム層を形成した耐薬品性手袋を得た。
Figure 2010133068
実施例6
第2層の混合ゴム配合液を表8に示す混合ゴム配合液に変更した以外は、実施例1と同様にして、繊維製手袋の上に、第1層のクロロプレン系ゴム層及び第2層の混合ゴム層を形成した耐薬品性手袋を得た。
Figure 2010133068
比較例1
セラミック製手型に18ゲージの編み機で編んだ綿・ポリエステル(50:50)混紡シームレス手袋を被せ、凝固剤浴槽に浸漬した。凝固剤液はメタノール:100、硝酸カルシウム:2.0から成るものを用いた。続いて、上記表2に示す第1層のゴム配合液の浴槽に約3間浸漬し、浴槽から引き上げた後、実施例1と同様にして、繊維製手袋の上に、第1層のクロロプレン系ゴム層を形成した耐薬品性手袋を得た。
比較例2
第2層の混合ゴム配合液を表9に示すゴム配合液に変更した以外は、実施例1と同様にして、繊維製手袋の上に、第1層のクロロプレン系ゴム層及び第2層のゴム層を形成した耐薬品性手袋を得た。
Figure 2010133068
比較例3
第2層の混合ゴム配合液を表10に示す混合ゴム配合液に変更した以外は、実施例1と同様にして、繊維製手袋の上に、第1層のクロロプレン系ゴム層及び第2層の混合ゴム層を形成した耐薬品性手袋を得た。
Figure 2010133068
比較例4
第2層の混合ゴム配合液を表11に示す混合ゴム配合液に変更した以外は、実施例1と同様にして、繊維製手袋の上に、第1層のクロロプレン系ゴム層及び第2層の混合ゴム層を形成した耐薬品性手袋を得た。
Figure 2010133068
比較例5
表5に示す第2層の混合ゴム配合液のうち、NBR ラテックス「PERBUNAN(登録商標) N LATEX X1150」をSBR ラテックス「Nipol(登録商標)Lx470A」に置き換えた以外は実施例1と同様にして、繊維製手袋の上に、第1層のクロロプレン系ゴム層及び第2層の混合ゴム層を形成した耐薬品性手袋を得た。
実施例7
実施例1と同様に、セラミック製手型に繊維製手袋を被せ、凝固剤処理を行い、前記表2に示す第1層のゴム配合液の浴槽に浸漬し、引き上げて乾燥処理を行い、第1層のクロロプレン系ゴム層を形成し、続いて、表12に示す中間層のゴム配合液の浴槽に浸漬し、上記第1層と同様に引き上げ、乾燥処理し、中間層のクロロプレン系ゴム層を形成した。続いて、実施例1と同様に、前記表3に示す第2層の混合ゴム配合液の浴槽に浸漬し、引き上げ、キュアを行い、繊維製手袋の上に、第1層のクロロプレン系ゴム層、中間層のクロロプレン系ゴム層及び第2層の混合ゴム層を形成した耐薬品性手袋を得た。
Figure 2010133068
実施例8
第2層の混合ゴム配合液を前記表4に示す第2層の混合ゴム配合液に変更した以外は、実施例7と同様にして、繊維製手袋の上に、第1層のクロロプレン系ゴム層、中間層のクロロプレン系ゴム層及び第2層の混合ゴム層を形成した耐薬品性手袋を得た。
実施例9
第2層の混合ゴム配合液を前記表5に示す第2層の混合ゴム配合液に変更した以外は、実施例7と同様にして、繊維製手袋の上に、第1層のクロロプレン系ゴム層、中間層のクロロプレン系ゴム層及び第2層の混合ゴム層を形成した耐薬品性手袋を得た。
実施例10
第2層の混合ゴム配合液を前記表6に示す第2層の混合ゴム配合液に変更した以外は、実施例7と同様にして、繊維製手袋の上に、第1層のクロロプレン系ゴム層、中間層のクロロプレン系ゴム層及び第2層の混合ゴム層を形成した耐薬品性手袋を得た。
実施例11
第2層の混合ゴム配合液を前記表7に示す第2層の混合ゴム配合液に変更した以外は、実施例7と同様にして、繊維製手袋の上に、第1層のクロロプレン系ゴム層、中間層のクロロプレン系ゴム層及び第2層の混合ゴム層を形成した耐薬品性手袋を得た。
比較例6
実施例1と同様に、セラミック製手型に繊維製手袋を被せ、凝固剤処理を行い、前記表2に示す第1層のゴム配合液の浴槽に浸漬し、引き上げ、乾燥処理を行い第1層のクロロプレン系ゴム層を形成し、続いて、表12に示す中間層のゴム配合液の浴槽に浸漬し、引き上げ、乾燥処理を行い、繊維製手袋の上に第1層及び中間層ともクロロプレン系ゴム層を形成した耐薬品性手袋を得た。
比較例7
第2層の混合ゴム配合液を表9に示す混合ゴム配合液に変更した以外は、実施例7と同様にして、繊維製手袋の上に、第1層、中間層及び第2層ともクロロプレン系ゴム層を形成した耐薬品性手袋を得た。
比較例8
第2層の混合ゴム配合液を表10に示す混合ゴム配合液に変更した以外は、実施例7と同様にして、繊維製手袋の上に、第1層のクロロプレン系ゴム層、中間層のクロロプレン系ゴム層及び第2層の混合ゴム層を形成した耐薬品性手袋を得た。
比較例9
第2層の混合ゴム配合液を表11に示す混合ゴム配合液に変更した以外は、実施例7と同様にして、繊維製手袋の上に、第1層のクロロプレン系ゴム層、中間層のクロロプレン系ゴム層及び第2層の混合ゴム層を形成した耐薬品性手袋を得た。
比較例10
表5に示す第2層の混合ゴム配合液のうち、NBR ラテックス「PERBUNAN(登録商標) N LATEX X1150」をSBR ラテックス「Nipol(登録商標)Lx470A」に置き換えた以外は実施例1と同様にして、繊維製手袋の上に、第1層のクロロプレン系ゴム層、中間層のクロロプレン系ゴム層及び第2層の混合ゴム層を形成した耐薬品性手袋を得た。
上記実施例1〜11及び比較例1〜10で得られた耐薬品性手袋について、ISO 6529に準拠して耐薬品性試験を行い破過時間(分)を測定し、更に、触感及び耐摩耗性を下記の方法により評価した。結果を表13、表14に示す。
尚、表13、表14において、CRはクロロプレン系ゴム、NBRはニトリルブタジエン系ゴム、SBRはスチレンブタジエン系ゴムを表わす。
実施例1〜11の手袋及び比較例1〜10の手袋を10人の被験者が装着し、そのときの触感を下記の基準で評価した。
「触感」
A:柔らかい。
B:多少ごわごわするが柔らかい。
C:ごわごわした触感で硬い。
「耐摩耗性」
実施例1〜11の手袋及び比較例1〜10の手袋をEN388に準拠して耐摩耗試験を行い、得られた耐摩耗回数を下記の基準で評価した。一般に、耐摩耗回数が500回未満のものは耐薬品性手袋をはじめとした防護用手袋には適していないと判断される。
A:1001回以上。
B:501回以上1000回未満。
C:500回未満。
Figure 2010133068
Figure 2010133068
叙上のとおり、本発明によれば、繊維製手袋の上に、第1層としてクロロプレン系ゴム層、第2層としてNBR 系ゴムとクロロプレン系ゴムの混合ゴム層を順次形成することにより、極めて耐薬品性に優れ、安全性に優れるとともに、触感及び耐摩耗性に優れた手袋を提供することができる。
また、第1層と第2層との間に、更に、中間層としてクロロプレン系ゴム層を形成することにより、一層耐薬品性に優れた手袋を提供することができる。

Claims (3)

  1. 繊維製手袋の上に、クロロプレン系ゴム層、ニトリルブタジエン系ゴムとクロロプレン系ゴムの混合ゴム層を順次形成してなり、前記混合ゴム層のニトリルブタジエン系ゴムとクロロプレン系ゴムの混合比率が固形分重量比率で60:40〜10:90であることを特徴とする耐薬品性手袋。
  2. 混合ゴム層のニトリルブタジエン系ゴムとクロロプレン系ゴムの混合比率が固形分重量比率で40:60〜20:80であることを特徴とする請求項1記載の耐薬品性手袋。
  3. 請求項1又は2記載の耐薬品性手袋のクロロプレン系ゴム層と、ニトリルブタジエン系ゴムとクロロプレン系ゴムの混合ゴム層との間に、更にクロロプレン系ゴム層を形成したことを特徴とする耐薬品性手袋。
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