JP2010131789A - 金属合金を含む接着複合体とその製造方法 - Google Patents

金属合金を含む接着複合体とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金属合金を含む接着複合体において、80〜90℃以上の環境下の接着力を高め、接着剤の耐熱性を向上させる。
【解決手段】表面が(1)ミクロンオーダーの粗度を有するとともに、(2)数十nmオーダー超微細凹凸で覆われ、(3)表面に環境的に安定な金属酸化物または金属リン酸化物薄層が形成されるNAT処理により得られた金属形状物21と、同様に処理された他の金属形状物またはFRPの被着体22とをエポキシ系接着剤23で接着し硬化させ一体化させる。エポキシ系接着剤は充填材として粒径分布の中心が5〜20μmの無機粉体、少なくとも粒径100nm以下の超微細無機粉末0.3〜3質量%を含む。無機粉体、超微細無機粉末の凝集を解くために破壊分散手法用い、また、微粉型の熱可塑性樹脂を充填材として加える。
【選択図】図14

Description

本発明は、金属合金を含む接着複合体とその製造方法に関し、より詳細には、移動機械、電気機器、医療機器、一般機械等において用いられる金属合金を含む接着複合体とその製造方法に関する。さらに詳細には、本発明は、新たな基礎的部品として、金属部品と金属部品とを一体化し、あるいは金属と繊維強化プラスチック(以下、「FRP(Fiber reinforced plasticsの略)」という)をエポキシ系接着剤にて強固に接着一体化した複合体とその製造技術に関する。特に、耐熱性が通常のエポキシ系接着剤を使用した場合よりも向上し、実用面で最も貢献度が期待される移動機械用に対応した複合体とその製造技術に関する。
金属と樹脂を一体化する技術は、航空機、自動車、家庭電化製品、産業機器等、あらゆる部品部材製造業において求められており、このために多くの接着剤が開発されている。この中には非常に優れた接着剤がある。例えば常温、または加熱により機能を発揮する接着剤は、金属と合成樹脂を一体化する接合に使用され、この方法は現在では一般的な接着技術である。
一方、接着剤を使用しない接合方法も研究されてきた。マグネシウム、アルミニウムやその合金である軽金属類、また、ステンレスなど鉄合金類に対し、接着剤の介在なしで高強度の熱可塑性のエンジニアリング樹脂と一体化する方法がその例である。例えば、射出等の方法で樹脂成形と同時に接合をなす方法(以下、「射出接合」という)として、アルミニウム合金に対し熱可塑性樹脂であるポリブチレンテレフタレート樹脂(以下「PBT」という)またはポリフェニレンサルファイド樹脂(以下「PPS」という)を射出接合させる製造技術が開発されている(例えば特許文献1、2参照)。加えて、マグネシウム合金、銅合金、チタン合金、ステンレス鋼等も同系統の樹脂の使用で射出接合することが実証されている(特許文献4、5、6、7、8参照)。
特許文献1における射出接合の原理は、以下のようであると言われている。アルミニウム合金を水溶性アミン系化合物の希薄水溶液に浸漬させ、アルミニウム合金を水溶液の弱い塩基性によって微細にエッチングさせるものである。また、この浸漬ではアルミニウム合金表面へのアミン系化合物分子の吸着が同時に起こる。この処理がなされたアルミニウム合金を射出成形金型にインサートし、溶融した熱可塑性樹脂を高圧で射出させる。
このとき、熱可塑性樹脂と、アルミニウム合金表面に吸着していたアミン系化合物分子が遭遇することで化学反応する。この化学反応は、この熱可塑性樹脂が低温の金型温度に保たれたアルミニウム合金に接して急冷されて結晶化し固化せんとする物理反応を抑制する。その結果、樹脂は、結晶化や固化が遅れ、その間に超微細なアルミニウム合金面上の凹部に潜り込み得る。このことにより、熱可塑性樹脂は外力を受けてもアルミニウム合金表面から剥がれ難くなる。すなわち、アルミニウム合金と形成された樹脂成形物は強固に接合する。別の言い方で、化学反応と物理反応が競争反応の関係になり、この場合は化学反応が優先されるため強固な射出接合が生じる、と言える。
実際、アミン系化合物と化学反応できるPBTやPPSがこのアルミニウム合金と射出接合ができることを確認している。この射出接合のメカニズムを発明者らは「NMT(Nano molding technologyの略)」理論(仮説)と称した。
また、NMT理論ではないが他に、予めケミカルエッチングし、次に金属部品を射出成形機の金型にインサートして熱可塑性樹脂材料を用いて射出成形する技術が知られている(例えば、特許文献3参照)。この技術は接合法としては稚拙であり前記「NMT」による接合よりも不十分なものであったが、NMT理論はアルミニウム合金においてしか効果を示さないので、NMT理論の提唱者でもある本発明者らもアルミニウム合金以外の金属への射出接合に対して新規な接合技術の開発を行うべきと考えた。
そのような目的で開発を進めた結果、本発明者らは新たな技術「新NMT」理論に行き着いた。すなわち、アミン系化合物の金属合金表面への化学吸着なしに、要するに特段の発熱反応や何らかの化学反応の助力を得ることなしに、射出接合が可能な条件を思いついた。そしてこれは以下にのべるが多種の金属合金で実証できた。
新NMT理論による射出接合理論では少なくとも以下の条件を必要とする。第1条件は、硬い高結晶性樹脂を使用すること、すなわちPPSやPBTやポリアミド樹脂を使うことである。しかもこれらを射出接合に合わせてさらに改良した組成物にすることが必要である。他の条件は、金型にインサートする金属部品の表層が丈夫で硬く、かつ特定の表面形状を有していることである。
例えば、マグネシウム合金を素材としてその形状物を使用する場合、自然酸化層で覆われたままのマグネシウム合金では耐食性が低いので、これを化成処理して表層を金属酸化物、金属炭酸化物、または金属リン酸化物にすることで、硬度の高いセラミックス質で覆われた表面とすることができる。これらセラミック質の表層を有し、かつ、ミクロンオーダーでの凹凸面を有するマグネシウム合金部品であれば前記条件に合致させることができた。
理論的には、これら表面処理されたマグネシウム合金形状物を射出成形金型にインサートした場合を設定して考えると以下のようになる。金型及びインサートしたマグネシウム合金形状物は射出する樹脂の融点より100℃以上低い温度に保たれているので、射出された樹脂は金型内の流路に入った途端に急冷されマグネシウム金属部品に接近した時点で融点以下になっている可能性が高い。
どのような結晶性樹脂でも溶融状態から急速に冷却されて融点以下になった場合、即時に結晶化固化するわけでなくわずかな時間であるが融点以下の溶融状態、すなわち、過冷却状態の時間がある。マグネシウム合金形状物上の凹部の径が1〜10μm程度と比較的大きい場合、過冷却から微結晶が生じる限られた時間内に樹脂は入り込み得る。また、生じた高分子微結晶群の数密度がまだ小さい場合も大きな凹部なら樹脂は入り込み得る。それは微結晶、すなわち不規則に運動していた分子鎖から分子鎖に何らかの整列状態が生じたときの形を有する微結晶の大きさは、分子モデルから推定すると数nm〜10nmの大きさとみられるからである。
それゆえ、微結晶は10nm径の超微細凹部に対し簡単に侵入できるとは言い難いが、数十nm周期の凹凸面の凹部なら若干は樹脂流の頭を突っ込める可能性がある。ただし、微結晶は同時発生的に無数に生じるので、射出樹脂の先端や金型金属面に接している箇所では樹脂流の粘度が急上昇する。結果的に言って、急冷時の結晶化速度を特殊なコンパウンドで遅くした樹脂を使用した場合、1〜10μm周期で深さがその周期の半分の0.5〜5μm程度の凹部までであれば溶融樹脂はその凹部奥底まで侵入でき、もしその凹部内壁面にさらに10〜100nm周期程度の超微細凹凸がさらにあった場合、その超微細凹凸の隙間の凹部に若干は樹脂流の頭を突っ込むことができるとみられた。
偶然にも、化成処理をしたマグネシウム合金表面を電子顕微鏡で観察すると10〜50nm周期の超微細な凹凸面が観察され、上記するような超微細表面構造のあることが確認された。マグネシウム合金に限らず、同様な形の表面をなす金属部品がある場合に樹脂射出したとした場合、樹脂流はミクロンオーダーの大きな凹部(すなわち、1〜10μm周期の凹凸があり、その凹凸高低差が周期の半分程度までの物)の奥底まで侵入し得て、さらにその大きな凹部の中で硬い超微細凹凸部に引っ掛けられることがあれば、この大きな凹部の中で樹脂が結晶化固化した場合にこれを引き抜くのは結構難しいと推定できる。
実際、そのような形状を目指して銅、チタンや鋼材の合金部品をエッチング加工や化学処理をして製作し、改良PPS樹脂(急冷時のPPS分子結晶化速度を低下させ得たPPS樹脂コンパウンド)を射出接合すると相当強い接合力が生じた。合金形状物の表面は酸化や化成処理によって金属酸化物等のセラミックス質の微結晶群やアモルファス層となっており、硬く丈夫なスパイクになっていたのである。すなわち、超微細凹凸がミクロンオーダー凹部の中でスパイクのように働き、樹脂部に強い引き剥がし力がかかっても大きな凹部の中で固化した樹脂分は抜けることなく、結果的に合金形状物と樹脂間の強い接合を得たものである。
上記した改良PPS樹脂等について述べる。すなわち、射出成形に於いては、樹脂組成物は射出により溶融状態から融点以下の温度に急冷される。もし、急冷時の結晶化速度を遅くなるように仕組んだ樹脂組成物が手に入れば、金型にインサートした金属合金部品上の上記したような細かな凹部に侵入する時間が取れることになり、より強い接合力を生むことになる。これは射出接合に適する樹脂組成物の重要で必要な条件となる。
本発明者らは、前記の考え方に基づき、前述のようにマグネシウム合金やその他の金属合金の形状物を化学エッチングし、さらに化成処理等の表面処理によって表層をセラミックス化硬化することで、これに特殊組成とした硬質の結晶性樹脂を射出接合させて高接合性を得ることを見出した(特許文献4〜8)。各文献では、各金属種毎に接合条件を詳述しているが、共通している考え方は前記した新NMT理論である。要するに、特許文献4〜8から新NMT理論は金属種に捉われない一般論として通じることがわかる。
新NMT理論のほぼ最終的な条件について述べる。金属合金についてまず述べれば、その金属合金種に見合った化学処理をして以下の(1)〜(3)を備えた表面にすることが基本的な必要条件である。すなわち、
(1)1〜10μm周期で高低差がその周期の半分程度までの凹凸面とする、すなわちミクロンオーダーの粗度を有した表面とすること、
(2)前記の凹部内壁面は10〜500nm周期、最も好ましくは50〜100nm周期、の超微細凹凸面とすること、
(3)表面はセラミック質の硬質相の薄層で覆われたものにすること、具体的には、環境的に安定な金属酸化物や金属リン酸化物の薄層で覆われたものにすること、
である。これらを模式的に図にすると図16のようになる。このようにした金属合金に液状の樹脂組成物が侵入したとして侵入後に硬く硬化したとしたら金属合金基材と硬化した樹脂分は非常に強固に接合する、という簡潔な考え方である。
この新NMT理論で熱可塑性樹脂の射出接合を説明すると以下になる。急冷時の結晶化固化速度を遅くすることができた硬質で高結晶性の熱可塑性樹脂組成物を射出した場合、射出成形金型内に射出された樹脂組成物は融点以下の温度に冷やされてもしばらくの間は過冷却状態の液状である。
それゆえに、射出成形金型内に前記の金属合金を前もってインサートしておけば、前記(1)のミクロンオーダーの粗度をなす凹部に容易に侵入し得る。さらに(2)の超微細凹凸の凹部にも完全ではないだろうがある程度侵入できるのである。その後に結晶化が高速で進み固化に至ったとして、ミクロンオーダーの粗度をなす凹部内に侵入固化した樹脂は(2)の超微細凹凸に引っ掛けられ、かつその超微細凹凸は(3)にて非常に硬質であるのでスパイクされたように強固に止められて凹部から抜け出すことができない。これが熱可塑性樹脂を使用した射出接合の技術である(特許文献4〜8)。
また、新NMT理論の接合メカニズムが正しいとすれば、無溶剤型の1液性熱硬化型接着剤を使った接着で強い接合を産むことが予期できる。すなわち、新NMT理論に従った表面処理済みの金属合金に対し液状樹脂が接近してミクロンオーダーの凹部に侵入し、かつ、その凹部内壁面にある超微細凹凸の凹部隙間にもそこそこ侵入しその後に硬く固化すれば、スパイク効果で固化樹脂は凹部から抜けられず強い接合が得られることが推測できる。ただし、液状樹脂がその環境(圧力、温度)においてどの程度の粘度であるかがどの程度まで超微細凹凸の隙間に侵入できるかを決めると考えられる。
このように、未硬化時の液粘度はどの程度なのかが重要事項になると考えつつ、本発明者らは新NMT理論に基づく手法で金属合金片を表面処理し市販の汎用型1液性エポキシ系接着剤を使って前記金属合金片同士を接着した。その結果、せん断破断力や引っ張り破断力で50〜70MPaという強烈な接着の生じることを確認した。
ただし、接着剤塗布後に工夫をした。すなわち、接着剤塗布物をデシケータに入れてほぼ真空にし、その後に常圧に戻す処理を繰り返した。圧力差は1気圧以下だが液状の接着剤は金属表面上の凹部に侵入し易いと考えた。その後、塗布した金属合金同士をクリップ等で固定し、加熱して硬化したのである。この染込まし工程の追加で従来にみられぬ強固な金属合金同士の接着物が得られた。この技術を本発明者らは「NAT(Nano adhesion technologyの略)」と称し、射出成形を利用した技術と別物の接着剤接合技術であることがわかるようにした(特許文献9〜16)。
NATで1液性接着剤が好ましいのは、塗布やその後の染込まし操作など硬化前操作で接着剤分子のゲル化が進まず、金属上の(2)の超微細凹凸の隙間にも接着剤分子がある程度侵入できるからである。2液性熱硬化型接着剤でも本発明に従う表面処理をした金属合金を使用すると接合力が向上するが、多くの場合その接合力向上度が劇的ではない。2液性接着剤では主液に硬化剤成分を加えて混合した瞬間からゲル化が始まるものがほとんどであり、ゲル化が進むと(2)の超微細凹凸の隙間に樹脂成分の侵入が少なくなる。
要するに、2液性接着剤を使用した場合は、硬化剤を混合した後の経過時間によって接着力が変化することが多く、安定性や再現性に劣ることがある。ただ、2液性接着剤と一般には見られている酸無水物を硬化剤とするエポキシ樹脂接着剤であっても、これらはゲル化が始まるまでの時間が長く、手際よく作業を進めると高い接着力が得られた。一般に2液性とされる接着剤でもゲル化速度を遅くできるものであれば、1液性接着剤と同じ扱いができNATが有効であることがわかっている。
特開2004−216425号 WO2004−055248号 特開2001−225352号 特願2006−329410号 特願2006−281961号 特願2006−345273号 特願2006−354636号 特願2007−185547号 特願2007−62376号 特願2007−106454号 特願2007−100727号 特願2007−106455号 特願2007−114576号 特願2007−140072号 特願2007―325736号 特願2007―336378号 特願2007−325737号
本発明者らは、市販の1液性熱硬化型エポキシ接着剤を使用しNATにて金属片同士や金属片と炭素繊維強化プラスチック(以下、「CFRP(Carbon-fiber reinforced plasticsの略)」という)を接着する実験を重ね、その実用化商業化に向かっていた中で解決すべき課題のあることに気付いた。大きくは二点あり、その一つは接着物の耐熱性であった。
すなわち、硬化したエポキシ接着剤の耐熱性に直接関係するのは硬化剤種であり、アミン系硬化剤の中で具体的に言えば、ジシアンジアミド、イミダゾール類、芳香族ジアミン類の順で接着力の耐熱性が上がることが知られている。ところが芳香族ジアミン類は固体であるため、でき上がった熱硬化性樹脂組成物は常温下においてはペースト状というよりも固体になる。これではNAT用接着剤としての使用が難しい。すなわち、NATでは液状接着剤を1気圧程度の低圧で金属表面上のミクロンオーダー凹部底まで侵入させる必要があり固体型では昇温溶融して使用するしかない。
しかし、昇温する温度が高ければゲル化硬化も始まり作業時の温度調整が難しい。結局、芳香族ジアミン類使用の熱硬化性エポキシ樹脂組成物はNAT用接着剤に現状のところ、まずは適さないとした。耐熱性接着剤とすべく硬化剤に酸無水物(一般に液体である)を使用することも考えたが、本発明の目的の一つが金属合金とCFRPの共硬化接着(接着関係の業界では、通常の固体同士の接着剤接合を「コボンド」と言い、一方または双方がプリプレグのような未硬化物を接着剤接合する場合を「コキュア」型の接着と言うから、共硬化は「コキュア」の翻訳語である)にもあり、硬化剤系はCFRPに合わして、やはりアミン系化合物群から選ぶべきとして、酸無水物は除外した。結局、硬化剤として具体的に検討したのはジシアンジアミドとイミダゾール類となった。それゆえに、今回のNAT改良の目的の一つを「硬化剤に頼らずに充填材の工夫でできるだけ接着物の耐熱性を上げること」とした。
もう一つの課題は、金属合金とCFRPのコキュア接着でもコボンド接着でも、その接着力が金属合金同士の接着で得られる接着力より劣る点である。特に、コキュア接着で劣る点が気になった。使用する接着剤は同じであるから、接着剤と金属合金の間で破壊が起こる場合や接着剤硬化相内で破壊が起こるのであれば前記のような差異の発生はあり得ない。
実際、金属合金片とCFRPのコキュア法による接着物をせん断破断して得た破断面を観察すると、両面ともに樹脂相が露出しており、それゆえ、本発明者らはエポキシ系接着剤硬化物相とCFRPマトリックス樹脂硬化相の間で破断したものと判断した。双方ともエポキシ樹脂であるし共硬化させているのにその接合面は意外に脆いと思い驚いたのである。この判断が正しいとして、両硬化物相間の接合力を高めるには、硬化物双方の物性差を縮めることだと本発明者らは推論した。
すなわち、現行のCFRPマトリックス樹脂用エポキシ樹脂の組成的特徴は靱性の高いことである。CFRP材としての強度は炭素繊維が受け持つから、炭素繊維とマトリックス樹脂の接着性を高度にしておくことができれば、マトリックス樹脂に必要なのは強度や硬度ではなくむしろ柔軟性や耐衝撃性となる。
その考え方から、具体的には、ゴム粉体(例えば合成ゴムラテックスから作製された微粒子)や熱可塑性樹脂の粉体等を混合分散させたエポキシ樹脂系組成物が昨今は使用されている。これらから想定するに、接着相手が金属合金ではなくエラストマー粒子入りのエポキシ樹脂硬化物となれば、使用する接着剤も変わらねばならぬと本発明者らも考えた。従って、CFRPとの物性差を意識し、接着剤を改造することが第2の改良目標となる。
本発明は前述した課題を解決すべくなしたものであり、本発明の請求項1による金属合金を含む接着複合体は、表面が化学エッチングによるミクロンオーダーの粗度を有しているとともに5〜500nmの不定期な周期の超微細凹凸面で覆われた形状であり、かつ該表面に金属酸化物または金属リン酸化物の薄層が形成されている金属形状物と、該金属形状物と接着接合される被着材と、前記金属形状物と前記被着材との接着面に塗布された接着剤が硬化してなり前記金属形状物と前記被着材とを一体的に接着させる接着剤硬化層と、からなる金属合金を含む接着複合体であって、前記接着剤が熱硬化型エポキシ系接着剤であり、充填材として粒径分布の中心が5〜20μmの無機粉体充填材を含むとともに、少なくとも粒径100nm以下の超微細無機粉末を0.3〜3質量%含むものである。
本発明の請求項1を引用する請求項2による金属合金を含む接着複合体は、 前記接着剤が充填材としてさらに、熱可塑性樹脂粉体1〜10質量%含むものである。
本発明の請求項2を引用する請求項3による金属合金を含む接着複合体は、前記熱可塑性樹脂をポリエーテルスルホンとしたものである。
本発明の請求項1ないし3のいずれか1項を引用する請求項4による金属合金を含む接着複合体は、前記接着剤が、充填材としてさらに、カーボンナノチューブ0.02〜0.2質量%含むものである。
本発明の請求項1ないし4のいずれか1項を引用する請求項5による金属合金を含む接着複合体は、前記超微細無機粉末をヒュームドシリカとしたものである。
本発明の請求項1ないし5のいずれか1項を引用する請求項6による金属合金を含む接着複合体は、前記接着剤がサンドグラインドミル型湿式粉砕機を使用して充填材をエポキシ樹脂中に高品位分散させることにより作製されたものである。
本発明の請求項1ないし6のいずれか1項を引用する請求項7による金属合金を含む接着複合体は、前記金属形状物が、表面が化学エッチングによるミクロンオーダーの粗度を有しているとともに10〜100nm径で同等の深さまたは高さの凹部もしくは突起である不定期な周期の超微細凹凸面で覆われた形状であり、かつ該表面にナトリウムイオンを含まない厚さ2nm以上の酸化アルミニウム薄層が形成されているアルミニウム合金製の金属形状物であるようにしたものである。
本発明の請求項1ないし6のいずれか1項を引用する請求項8による金属合金を含む接着複合体は、前記金属形状物が、表面が化学エッチングによるミクロンオーダーの粗度を有しているとともに50〜20nm径で20〜200nm長さの棒状物が無数に錯綜した形の超微細凹凸面で覆われた形状であり、かつ該表面にマンガン酸化物の薄層が形成されているマグネシウム合金製の金属形状物であるようにしたものである。
本発明の請求項1ないし6のいずれか1項を引用する請求項9による金属合金を含む接着複合体は、前記金属形状物が、表面が化学エッチングによるミクロンオーダーの粗度を有しているとともに50〜20nm径で10〜30nm長さの棒状突起が無数に有する直径80〜100nmの球状物が不規則に積み重なった形状の超微細凹凸面で覆われた形状であり、かつ該表面にマンガン酸化物の薄層が形成されているマグネシウム合金製の金属形状物であるようにしたものである。
本発明の請求項1ないし6のいずれか1項を引用する請求項10による金属合金を含む接着複合体は、前記金属形状物が、表面が化学エッチングによるミクロンオーダーの粗度を有しているとともに20〜40nmの粒形物及び/または不定多角形状物が積み重なった形状の超微細凹凸面で覆われた形状であり、かつ該表面にマンガン酸化物の薄層が形成されているマグネシウム合金製の金属形状物であるようにしたものである。
本発明の請求項1ないし6のいずれか1項を引用する請求項11による金属合金を含む接着複合体は、前記金属形状物が、表面が化学エッチングによるミクロンオーダーの粗度を有しているとともに直径または長径短径の平均が10〜150nmの孔開口部または凹部が30〜300nmの非定期な間隔で全面に存在する超微細凹凸面でほぼ全面が覆われた形状であり、かつ該表面に主として酸化第2銅の薄層が形成されている銅合金製の金属形状物であるようにしたものである。
本発明の請求項1ないし6のいずれか1項を引用する請求項12による金属合金を含む接着複合体は、前記金属形状物が、表面が化学エッチングによるミクロンオーダーの粗度を有しているとともに直径または長径短径の平均が10〜200nmの凸部が混在して全面に存在する超微細凹凸形状であり、かつ該表面に主として酸化第2銅の薄層が形成されている銅合金製の金属形状物であるようにしたものである。
本発明の請求項1ないし6のいずれか1項を引用する請求項13による金属合金を含む接着複合体は、前記金属形状物が、表面が化学エッチングによるミクロンオーダーの粗度を有しているとともに直径または長径短径の平均が10〜150nmの粒形物または不定多角形状物連なり一部融け合って積み重なった形状の超微細凹凸形状でほぼ全面が覆われており、かつ該表面に主として酸化第2銅の薄層が形成されている銅合金製の金属形状物であるようにしたものである。
本発明の請求項1ないし6のいずれか1項を引用する請求項14による金属合金を含む接着複合体は、前記金属形状物が、表面が化学エッチングによるミクロンオーダーの粗度を有しているとともに直径10〜20nmの粒形物及び50〜150nm径の不定多角形状物が混在して積み重なった形状の超微細凹凸形状でほぼ全面が覆われており、かつ該表面に主として酸化第2銅の薄層が形成されている銅合金製の金属形状物であるようにしたものである。
本発明の請求項1ないし6のいずれか1項を引用する請求項15による金属合金を含む接着複合体は、前記金属形状物が、表面が化学エッチングによるミクロンオーダーの粗度を有しているとともに高さ及び幅が10〜350nm、長さが10nm以上の山状または連山状凸部が10〜350nm周期で全面に存在する超微細凹凸形状であり、かつ、その表面に主としてチタン酸化物の薄層が形成されているチタン合金製の金属形状物であるようにしたものである。
本発明の請求項1ないし6のいずれか1項を引用する請求項16による金属合金を含む接着複合体は、前記金属形状物が、表面が化学エッチングによる山谷平均間隔RSmが1〜10μm、最大粗さ高さRzが1〜5μmである粗度を有するとともに10μm角の面積内に円滑なドーム状形状と枯葉状形状の双方が観察される超微細凹凸形状で覆われており、かつ該表面に主としてチタンとアルミニウムを含む金属酸化物薄層が形成されているα−β型チタン合金製の金属形状物であるようにしたものである。
本発明の請求項1ないし6のいずれか1項を引用する請求項17による金属合金を含む接着複合体は、前記金属形状物が、表面が化学エッチングによるミクロンオーダーの粗度を有するとともに直径20〜70nmの粒形物や不定多角形状物が積み重なった形状の超微細凹凸形状でほぼ全面が覆われており、かつ該表面に金属酸化物の薄層が形成されているステンレス鋼製の金属形状物であるようにしたものである。
本発明の請求項1ないし6のいずれか1項を引用する請求項18を引用する金属合金を含む接着複合体は、前記金属形状物が、表面が化学エッチングによるミクロンオーダーの粗度を有するとともに高さ80〜150nm、奥行き80〜200nmで幅が数百〜数千nmの段差が無限に続いた形状の超微細凹凸形状でほぼ全面が覆われており、かつ該表面にマンガン酸化物、クロム酸化物、亜鉛リン酸化物、または亜鉛とカルシウムのリン酸化物のいずれかの薄層が形成されている鋼材製の金属形状物であるようにしたものである。
本発明の請求項1ないし6のいずれか1項を引用する請求項19による金属合金を含む接着複合体は、前記金属形状物が、表面が化学エッチングによるミクロンオーダーの粗度を有するとともに高さ80〜150nm、奥行きが80〜500nmで幅が数百〜数千nmの段差が無限に続いた形状の超微細凹凸形状でほぼ全面が覆われており、かつ、該表面にマンガン酸化物、クロム酸化物、亜鉛リン酸化物、または亜鉛とカルシウムのリン酸化物のいずれかの薄層が形成されている鋼材製の金属形状物であるようにしたものである。
本発明の請求項1ないし6のいずれか1項を引用する請求項20による金属合金を含む接着複合体は、前記金属形状物が、表面が化学エッチングによるミクロンオーダーの粗度を有するとともに高さ50〜100nm、奥行きが80〜200nmで幅が数百〜数千nmの段差が無限に続いた形状の超微細凹凸形状でほぼ全面が覆われており、かつ、該表面にマンガン酸化物、クロム酸化物、亜鉛リン酸化物、または亜鉛とカルシウムのリン酸化物のいずれかの薄層が形成されている鋼材製の金属形状物であるようにしたものである。
本発明の請求項1ないし20のいずれか1項を引用する請求項21による金属合金を含む接着複合体は、前記被着材が前記金属形状物と全く同種同質の金属形状物であるか、または化学エッチングによるミクロンオーダーの粗度を有するとともに5〜500nmの不定期な周期の微細凹凸形状で覆われた形状であり、かつ該表面に金属酸化物または金属リン酸化物の薄層が形成されている金属形状物であるようにしたものである。
本発明の請求項1ないし20のいずれか1項を引用する請求項22による金属合金を含む接着複合体は、前記被着材がエポキシ樹脂をマトリックスとする繊維強化プラスチックであるようにしたものである。
本発明の請求項22を引用する請求項23による金属合金を含む接着複合体は、 前記被着材がエポキシ樹脂をマトリックスとする炭素繊維強化プラスチックであるようにしたものである。
本発明の請求項24による金属合金を含む接着複合体の製造方法は、同種または異種の複数の金属合金材を機械的加工によりそれぞれの所定形状を有する金属形状物を形成する工程と、前記所定形状を有する前記金属形状物の表面を5〜500nmの不定期な周期の超微細凹凸形状で覆われた超微細凹凸面としかつ該超微細凹凸面が山谷平均間隔RSmが1〜10μmで最大粗さ高さRzが0.2〜5μmの粗度のより大きな凹凸形状を有する面となるよう化学エッチング含む各種液処理を施す表面処理工程と、エポキシ樹脂、硬化剤、粒度分布の中心が5〜20μmの無機粉体及び粒子径100nm以下の無機微粉末を少なくとも含む熱硬化型エポキシ系接着剤を作製しこれを前記金属形状物に塗布する工程と、前記の熱硬化型エポキシ系接着剤を塗布済みの同種または異種の金属合金からなる金属形状物同士を貼り合せ、固定し、加熱によって全未硬化樹脂をゲル化硬化させて両者を一体化させる工程と、を含むものである。
本発明の請求項25による金属合金を含む接着複合体の製造方法は、金属合金材を機械的加工によりそれぞれの所定形状を有する金属形状物を形成する工程と、前記所定形状を有する前記金属形状物の表面を5〜500nmの不定期な周期の超微細凹凸形状で覆われた超微細凹凸面としかつ該超微細凹凸面が山谷平均間隔RSmが1〜10μmで最大粗さ高さRzが0.2〜5μmの粗度のより大きな凹凸形状を有する面となるように化学エッチング含む各種液処理を施す表面処理工程と、エポキシ樹脂、硬化剤、充填材としての粒度分布の中心が5〜20μmの無機粉体及び超微細充填材としての平均粒子径100nm以下の無機微粉末を少なくとも含む熱硬化型エポキシ系接着剤を作製しこれを前記金属形状物に塗布する工程と、エポキシ系樹脂組成物をマトリックス樹脂とする繊維強化プラスチックのプリプレグを切断積層等の作業により所定形状に整える工程と、前記の熱硬化型エポキシ系接着剤を塗布済みの金属形状物とプリプレグ形状物とを合せ押し付けつつ固定し加熱によって全未硬化樹脂をゲル化硬化させて両者を一体化させる工程と、を含むものである。
本発明の請求項26による金属合金を含む接着複合体の製造方法は、金属合金材を機械的加工によりそれぞれの所定形状を有する金属形状物を形成する工程と、前記所定形状を有する前記金属形状物の表面を5〜500nmの不定期な周期の超微細凹凸形状で覆われた超微細凹凸面としかつ該超微細凹凸面が山谷平均間隔RSmが1〜10μmで最大粗さ高さRzが0.2〜5μmの粗度のより大きな凹凸形状を有する面となるように化学エッチング含む各種液処理を施す表面処理工程と、エポキシ系樹脂組成物をマトリックス樹脂とする繊維強化プラスチックの硬化形状物を用意し接着すべき箇所を粗面化する工程と、エポキシ樹脂、硬化剤、粒度分布の中心が5〜20μmの無機粉体及び粒子径100nm以下の無機超微粉末を少なくとも含む熱硬化型エポキシ系接着剤を作製しこれを前記金属形状物及び前記繊維強化プラスチックの硬化形状物に塗布する工程と、前記熱硬化型エポキシ系接着剤を塗布済みの金属形状物と繊維強化プラスチックの硬化形状物とを合せ押し付けつつ固定し加熱によって全未硬化樹脂をゲル化硬化させて両者を一体化させる工程と、を含むものである。
本発明の請求項24ないし26のいずれか1項を引用する請求項27による金属合金を含む接着複合体の製造方法は、前記した金属形状物及び/または繊維強化プラスチックのプリプレグないし硬化形状物に接着剤を塗布する工程後に、塗布済み材を密閉容器に収納し、容器内を減圧しその後に加圧する操作を繰り返し行う、材料表面への接着剤染み込まし工程を付加したものである。
本発明の請求項24ないし27のいずれか1項を引用する請求項28による金属合金を含む接着複合体の製造方法は、前記した熱硬化型エポキシ系接着剤の製造過程で充填材の分散を進めるためにサンドグラインドミル型湿式粉砕機を使用するものである。
金属合金同士及び金属合金とエポキシ系FRPを強烈な接着力で接着可能にした以前の本発明者らが特許出願において開示した接着技術においても、接着力の耐熱性は未解決な問題であり、また、被着材としての金属合金は前記特許出願に開示した接着技術の段階ですでに最高性能まで達していて、接着力は接着剤自体の性能に依存すると言えるものであったが、本発明ではエポキシ系接着剤の耐熱性能を上げるべく検討した結果、エポキシ接着剤に超微細無機充填材を加えることにより、100〜150℃以下での接着力を現行より10〜30MPa高めることができた。
本発明の金属合金複合体とその製造方法は、金属合金部品同士、または金属合金とFRPが強く一体化したものであり、その耐熱性も優れているから、軽量丈夫で且つ実用的な部品を提供することができる。金属合金を超々ジュラルミン等の高強度アルミニウム合金や耐熱性あるチタン合金とすると、CFRPと一体化することにより航空機用や自動車用部材として非常に軽量で特徴ある構造部材が製造できる。すなわち、複合体の端部が金属合金部であるとネジ止め、ボルト止めができて非常に便利になると同時に一定設計の部品化が可能となり、安価な大量生産が可能になる。
本発明は、NATによる金属合金を含む接着複合体を形成する上で、その課題とする、接着物の耐熱性を高めることと、接着剤を改造することとについての解決策を与えるものであるが、はじめに本発明のNATによる金属合金を含む接着複合体を形成するために望まれる接着剤の特徴、それについての検討内容に関して説明し、さらに実際に金属合金を含む接着複合体を形成する形態について説明する。
〔A〕NATによる金属合金を含む接着複合体を形成する上での接着剤の特徴
接着剤組成について種々検討した結果、以下のような基本方針とした。すなわち、接着剤の基本組成として、
1)無機充填材(タルク、クレー類)を必ず含むこと、
2)本発明者らが過去にNAT用として開発していたカーボンナノチューブを含むこと、
3)ヒュームドシリカ等の超微細無機充填材を加えること(理由は後述)、
4)CFRPとの類似性確保を目指しCFRPマトリックス樹脂に昨今よく使用されている非晶性熱可塑性樹脂のポリエーテルスルホン(以下「PES」という)粉体を配合すること、
とした。加えて、現行の接着剤メーカーは無機充填材等の配合に通常は自動乳鉢やニーダーを使用して接着剤を製造しているが、本発明者らは過去にカーボンナノチューブの分散に使用した最新型湿式粉砕機が良い分散結果を与えたことから、
5)サンドグラインドミルをエポキシ樹脂と全充填材との混合に標準使用すること、
とした。
なお、3)の超微細無機充填材だが、単なる思い付きから充填すべきとしたのではない。破壊のメカニズムを推論し、後述する破壊の理論仮説を立て実験に望んだ。すなわち、本発明者らが行う接着剤性能の第一評価はNAT処理したA7075アルミニウム合金(「超々ジュラルミン」ともいう)片同士の接着物のせん断破断力値であったが、ジシアンジアミドを硬化剤とする市販の1液性エポキシ接着剤使用での常温接着力は65〜70MPaという強烈さにも拘らず、100℃、150℃の高温下でのせん断破断力は15〜20MPa及び6〜7MPaといずれも大幅に低下した。
また、イミダゾール系化合物を硬化剤にした市販接着剤では、常温の破断試験では50〜60MPaだったのが、150℃で15MPaほどとなる。イミダゾール系化合物を硬化剤としたエポキシ接着剤は耐熱性接着剤と呼ばれ、ジシアンジアミド使用物より高温下で確かに強いがこの程度である。樹脂硬化物はガラス転移点(Tg)に近づくと急激に硬度が低下することが知られ、ジシアンジアミドやイミダゾール類を硬化剤としたエポキシ樹脂硬化物のTgは100〜140℃であるから上記の結果は致し方ないと片付けることもできる。
しかしながら、本発明者らは、エポキシ樹脂硬化物が高温で柔らかくなると何ゆえ接着力が低下するかのメカニズムもさらに細かく推論すべきと考えた。この推論をすることで、ジシアンジアミドやイミダゾール類を使用するエポキシ系接着剤の高温下の接着力を多少であれ向上する手掛りが得られると予想した。なお上記したジシアンジアミドを硬化剤とする市販の1液性エポキシ接着剤とは「EP106NL(セメダイン社製)」であり、イミダゾール系化合物を硬化剤とする市販の1液性エポキシ接着剤とは「EP160(セメダイン社製)」である。
以下推論の結果、高温下での接合物破断の直接原因は、「NAT処理した金属合金上のミクロンオーダー凹部の内壁面にあるスパイクの押さえが接着剤硬化物の軟化で効かなくなることによる」と仮説をおくに至った。実際、破断面を観察すれば金属側に残存付着している樹脂量が常温下破壊の場合より少なかった。これは、樹脂部が凹部入口付近で千切れるのではなく単純に抜けたものが多いことを示すものとみたのである。
前記仮説が正しいとすると、ミクロンオーダー凹部内で固化した樹脂部の中に無機充填材が沢山含まれていると多少は抜け難くなり接着力を向上すると予期できる。さらには、ミクロンオーダー凹部の中には蛸壺型凹部(内部径より入口径が小さい凹部)も散見されるはずで、そこの樹脂部に無機充填材が多く含まれていたら硬化物は凹部から簡単には抜け出せないはずである。そしてここで言う無機充填材とは、ミクロンオーダー凹部に平気に入ってくれるものであり、粒子径は少なくとも0.1μm(100nm)以下の超微粒子でなくてはならない。この推論から前記の(3)の無機超微細充填材の添加案を検討したのであった。
耐熱性向上の目標は、ジシアンジアミドを硬化剤とした接着剤にて接着したA7075片同士のせん断破断力として常温下では60〜70MPa程度(現行市販接着剤レベル)でよいとし、100℃下では40MPa以上(現行市販接着剤では15〜25MPa)にしたいと希望した。また、A7075片とCFRPとの接着では、常温下の接着力で平均値としてせん断破断力60MPa以上(現行市販接着剤でのコキュアでもコボンドでも30〜34MPa)を予期した。この目標を持って、前記の材料組成の中で組成比を種々変更して接着剤を作製し試行錯誤の実験を繰り返した。その結果、コボンドでは目標より遥かに上、コキュアでは目標にわずか及ばぬ数値を得た。前述の仮説が正しいか否かに拘らず、明らかに接着力を向上させ、本発明に到達した。
すなわち、A7075アルミニウム合金片とCFRP片の一体化物を、本発明に従って改良された接着剤及び市販CFRPプリプレグを使用したコキュア接着で得て、引っ張り破断試験をしたところせん断破断力で40〜45MPaが得られた。一方、CFRPプリプレグからメーカー指示どおりの硬化条件でCFRP片を作り上げ、さらに本発明者らが決めたよりきつい条件を二度三度と加えてCFRP片を作製した。このCFRP片とNAT処理したA7075アルミニウム合金片を上記接着剤で多少の工夫を加えたコボンド接着したところ、せん断破断力は60〜70MPaに達し、A7075アルミニウム合金片同士の接着力と同等にすることができた。
また、コキュアによって作製したCFRP片とA7075アルミニウム合金片の一体化物も、再度180℃で数時間加熱すると45〜50MPaに達した。このような現象はたまたま使用したCFRPプリプレグ材によるものかもしれないが、その炭素繊維とマトリックス樹脂間の接着力を最大にする硬化条件と、CFRP材として最高性能を発揮させるための硬化条件が異なっていたのだろうと思われた。
すなわち、プリプレグがしっかりしたものであれば、そのCFRPとNAT処理済み金属合金とのコキュア接着は、改良されたエポキシ系接着剤の使用でせん断破断力60〜70MPaを十分なし得ることが想定できた。何故なら、多少の工程工夫はあったがCFRP片とA7075アルミニウム合金片のコボンド法接着で安定して60〜70MPaのせん断破断力が得られ、これはA7075アルミニウム合金片同士の同接着剤による接着実験で測定されるせん断破断力と全く同レベルにできたからである。それゆえ、プリプレグに関する改良研究や硬化条件の改良がなされれば、コボンドもコキュアも同レベルにできるはずである。
なお、当初行った単純なコキュア接着での接着力が何故35〜40MPaに留まったのかについての理由について本発明者らの考えを述べる。これらの状況は実施例で示すが、コキュア品を引っ張り破断して得た破断片の観察で、破断起点となる場所が分かったのである。すなわち、A7075アルミニウム合金片とCFRPのコキュア法による一体化試料を破断し、アルミニウム合金側の破断面を見たところ、せん断破断力が40MPa付近以上だったものでは必ず炭素繊維が付着していた。要するに、本発明者らが行った接着剤の改良によりCFRPマトリックス樹脂とエポキシ接着剤間の接着での問題が解消し、破壊の起点は炭素繊維とマトリックス樹脂の間の剥がれに移ったのである。
プリプレグ製造時には、先ず炭素繊維束や炭素繊維布を表面処理して親エポキシ型とする。しかる後にマトリックス樹脂シートで両面を挟み、熱ロールで一体化しプリプレグとするのが通常のプリプレグ製造工程である。硬化後の炭素繊維とマトリックス樹脂間の接着力は非常に重要な要素であるから、炭素繊維の表面処理法は随分と研究されている。それゆえに、前記のコキュア品での炭素繊維剥がれの実態を見て驚いたが、過去にNATは存在しなかったから40MPaレベルもあれば十分だったのかもしれないし、たまたま使用したプリプレグが最高の炭素繊維表面処理法を施したものでなかったのかもしれない。
やや面白い現象は、せん断破断力が約40MPaであったコキュア法によるA7075/CFRP一体化品と同じものを、190℃という高めの温度で再加熱して2回目の硬化処理をしてから引っ張り破断すると43MPa、2回の再加熱を加えると45MPaというふうにせん断破断力が向上した。本発明者らは、プリプレグメーカーではないので繊維処理の中身や理論について全くわからないが、前述したように、プリプレグ自体に求められる硬化条件と炭素繊維とマトリックス樹脂間の接着力を最高にする温度条件が一致していないのかもしれない。
それゆえに正しくは、最善の炭素繊維処理を行ったプリプレグをプリプレグメーカーに提供してもらい、その材料を使用しての実験結果を得ることが必要だろう。もちろんこれは、コボンド法にて接着する場合も同じことが言える。高い接着力データを叩き出すために、わざわざコキュア接着で得た一体化品を何回も焼き直すのはおかしいことだし、強いコボンド接着実証値を得るために接着前のCFRP材を焼き直すのはおかしなことだからである。
結論としては、最善の炭素繊維表面処理法を実施するというようなことではなくて、コキュアであれコボンドであれ、硬化用の加熱処理工程は1回で済ませられるようなバランス調整されたCFRPプリプレグを作って頂くことではないかと考えられる。要するに、前記したような1回の接着/加熱硬化で、CFRP表面上の接着面に最大100MPa程度のせん断力がかかったとしてもその表層部が壊れることがないようにしたCFRPプリプレグ材を作って頂きたいとの思いである。もしかしたらこれはすでに存在しているのかもしれないが、本発明者らは未だ遭遇していない。
さて、コボンド法でCFRP片を接着する場合、#100〜#2000の各種サンドペーパーで数回端部を研磨して粗面化し、得た物を水道水、各種水溶液、各種溶剤等で洗浄し、乾燥した上で、接着剤を塗布した。塗布後は、NATで標準的に行うのと同じ減圧加圧処理して接着剤をCFRP材の粗面に染込ませた。多くの組み合わせを試行錯誤した結果、粗面化は#100サンドペーパーによる研磨品が良い成績のように見受けられ、かなり粗い面にするのが適していることがわかった。そして、その後の洗浄は加熱しかつ超音波をかけた界面活性剤入り水溶液に浸漬し、その後に純水か水道水で十分に洗浄し、80〜90℃で乾燥するのが最適のようであった。
本発明による接着剤を使用すれば、前記処理をしたCFRP片であると全く問題なく接着する。すなわち、A7075アルミニウム合金片と前記のCFRP片をコボンド接着すると、A7075アルミニウム合金片同士を接着した場合と同等のせん断破断力が得られ、かつ、アルミニウム合金側の破断面には炭素繊維がごくわずかに付着しているか全く付着していないかの何れかとなる。要するに、アルミニウム合金の表面近傍の接着剤硬化物の壊れが起点になって破断すれば70MPa付近で破断するから、その他の場所はそれ以上に丈夫であったと言える。この場合、アルミニウム合金側に炭素繊維は基本的に付着しないはずであるが、#100という粗いサンドペーパーで擦っており、炭素繊維が剥き出しになっている箇所が多くある。それゆえ、多少の炭素繊維カスがアルミニウム合金側に残るものと思われる。
さらに本発明が得た最大の利点は、耐熱性の確保である。それも前述したように硬化剤にはジシアンジアミドを主に使ったので、高温での接着力は急減しておかしくなかったが、超微細無機充填材等の添加によりよいものでは100℃下で60MPaものせん断破断力を得た。これは本発明者らにとっても驚くべき数値であった。前述した破壊理論が正しい故のものか全く異なる理由によるものかはわからぬが、数値としては非常に高く、過去にみられない強い接着力である。
〔B〕金属合金を含む接着複合体の形成
実際にNATによる金属合金を含む接着複合体を形成する形態について詳細に説明する。
(1)金属合金形状物
本発明でいう金属合金形状物、すなわち前述のNATで被着材として使用する金属合金には理論上特にその種類に制限はない。全金属種としてもよいが、実際に意味を有しているのは硬質で実用的な金属種、合金種である。すなわち、水銀は当然ながら液状だから本発明に関係しないが、鉛など軟質金属種も本発明者の考える金属種からは除外されている。当然であるが、化学的には存在するが大気中で活発に反応するアルカリ金属種、アルカリ土類金属種(マグネシウムを除いて)も基本的には除外の対象である。
本発明では、実質的にNATが役立つ金属合金種として、マグネシウム、アルミニウム、銅、チタン、鉄を主成分とする合金種と考えている。以下、これらについて説明する。しかし、あくまでもNAT理論は、金属種を限定していないし、さらに言えば金属であること自体も限定していない。ただし非金属をNATで条件とする粗度や超微細凹凸面、かつ、高硬度の表面層とすることの3条件を同時に備えさせることは実際上容易でない。要するにNATは表面形状とその表面薄層硬度だけを規定してアンカー効果論で接着を論じているので、少なくとも下記した金属合金種に限定されるものではない。
特許文献9にアルミニウム合金に関して記載され、また、特許文献10にマグネシウム合金に関して記載されている。特許文献11に銅合金に関して記載され、特許文献12にチタン合金に関して記載されている。特許文献13にはステンレス鋼に関して記載され、特許文献14に一般鋼材に関して記載されている。特許文献15に黄銅合金に関して記載されている。特許文献16にアルミ鍍金鋼板に関して記載されている。アルミニウム合金から特殊鋼材まで並べたこれらの金属合金種に関しては、これら各特許文献における〔金属合金部品〕の項が本発明にも適用されるので、個々の詳細説明は省略する。個々の内容については本発明においても全く同様である。
(2)金属合金材の化学エッチング
腐食には全面腐食、孔食、疲労腐食など種類があるが、その金属合金に対して全面腐食を生じる薬品種を選んで試行錯誤し、適当なエッチング剤を選ぶことができる。文献記録(例えば「化学工学便覧(化学工学協会編集)」)によれば、アルミニウム合金は塩基性水溶液、マグネシウム合金は酸性水溶液、ステンレス鋼や一般鋼材全般は、塩酸等ハロゲン化水素酸、亜硫酸、硫酸、これらの塩、等の水溶液で全面腐食するとの記録がある。また、耐食性の強い銅合金は、強酸性とした過酸化水素などの酸化剤によって全面腐食させられるし、チタン合金は蓚酸や弗化水素酸系の特殊な酸で全面腐食させられることが専門書や特許文献から散見される。実際に市場で販売されている金属合金類は、純銅系銅合金や純チタン系チタン合金のように純度が99.9%以上で合金とは言い難いものもあるが、これらも本発明には含まれる。実際に世間で使用されているものの大部分は特徴的な物性を求めて多種多用な他元素が混合されて純金属系のものは少なく、実質的には合金である。
すなわち、純金属から合金化した目的の金属のほとんどが、もともとの金属物性を低下させることなく耐食性を上げることにあった。それゆえ、合金では、前記したように文献から参照して適用した酸塩基類や特定の化学物質を使っても、目標とする化学エッチングができない場合も多い。要するに、前記した酸塩基類、特定化学薬品の使用は基本であって、実際には使用する酸塩基水溶液の濃度、液温度、浸漬時間、場合によっては添加物を工夫しつつ試行錯誤して適正な化学エッチングを行うことになる。
化学エッチング法について言えば、特許文献9にアルミニウム合金に関する記載、特許文献10にマグネシウム合金に関する記載、特許文献11に銅合金に関する記載、特許文献12にチタン合金に関する記載、特許文献13にステンレス鋼に関する記載、特許文献14に一般鋼材に関する記載、特許文献15に黄銅合金に関する記載、特許文献16にアルミ鍍金鋼板に関する記載をした。アルミニウム合金から特殊鋼材に関しては、これら各特許文献の〔化学エッチング〕の項を確認するとよい。本発明においても全く同様に適用できる。詳細はこれら特許文献を参照すればよいが、実際に行う作業として全般的に共通する点を説明すると、金属合金形状物を得たらまず各金属用の市販脱脂剤を溶かした水溶液に浸漬して脱脂し水洗する。この工程は、金属合金形状物を得る工程で付着した機械油や指脂の大部分を除けるので好ましく、常に行うべきである。
次いで、薄く希釈した酸塩基水溶液に浸漬して水洗するのが好ましい。これは本発明者等が予備酸洗浄や予備塩基洗浄と称している工程であるが、一般鋼材のように酸で腐食するような金属種では、塩基性水溶液に浸漬し水洗し、また、アルミニウム合金のように塩基性水溶液で特に腐食が早い金属種では、希薄酸水溶液に浸漬し水洗することである。これらは化学エッチングに使用する水溶液と逆性のものを前もって金属合金に付着(吸着)させる工程であり、その後の化学エッチングが誘導期間なしに始まることになって処理の再現性が著しく向上する。それゆえ、予備酸洗浄、予備塩基洗浄工程は本質的なものではないが、実務上、採用することが好ましい。
(3)表面硬化処理、微細エッチング
金属合金種によっては前記の化学エッチングを行っただけで同時にナノオーダーの微細エッチングもなされ、さらに合金種によっては表面の自然酸化層がもとよりも厚くなって硬化処理も処理済みになっている場合もある。例えば、純チタン系のチタン合金は化学エッチングだけを行うことで微細エッチングもなされる。しかし、多くは化学エッチングによりミクロンオーダーの大きな凹凸面を作った後で微細エッチングや表面硬化処理を行う必要がある。
この時でも予測できない化学現象に見舞われることが多い。すなわち、表面硬化処理や表面安定化処理を目的に化学エッチング後の金属合金に酸化剤等を反応させたり化成処理したりするとき、得られる表面が偶然ながら超微細凹凸化される例である。マグネシウム合金を過マンガン酸カリ系水溶液で化成処理した場合に生じた酸化マンガンとみられる表面層は10万倍電子顕微鏡でようやく判別つく5〜10nm直径の棒状結晶が錯綜したものである。この試料をXRD(X線回折計)で分析したが、酸化マンガン類由来の回折線は検出できなかった。表面が酸化マンガンで覆われていることはXPS分析で明らかである。XRDで検出できなかった理由は結晶が検出限界を超えた薄い層であったからとみている。要するに、マグネシウム合金では化成処理したことが微細エッチング操作を兼ねていたことになる。
銅合金でも同様で、塩基性下の酸化で表面を酸化第2銅に変化させる硬化処置を取ったところ、純銅系銅合金では、その表面は円形や円が歪んだ形の穴開口部が一面に生じ特有の微細凹凸面になる。純銅系でない銅合金では凹部型でなく10〜150nm径の粒径物や不定多角形状物が連なり、一部融け合って積み重なった形の超微細凹凸形状になったりする。この場合でも表面の殆どは酸化第2銅で覆われており、硬化と微細凹凸化が同時に生じる。
一般鋼材については未だ詳細が不明である。化学エッチング工程だけで微細凹凸も一挙になされることが多く、もともと表層(自然酸化層)が硬いこともあってそのままNAT用として使用できないことはなかった。問題は自然酸化層の耐食性が十分でないために、接着工程までに腐食が始まってしまったり、接着後の環境が厳しいと直ぐ接着力が低下したりすることであった。これらは化成処理によって防ぐことができる可能性はあるが、前例がないので接着物を温度衝撃試験にかける試験、一般環境下に放置する試験、塗装した物を塩水噴霧装置にかける試験、その他を行って接着の耐久性を調べる必要がある。少なくとも4週間という短期間で、化成処理をせずにフェノール樹脂系接着剤で接着した鋼材(実際にはSPCC:冷間圧延鋼材)は接合力が急減した。しかし前記化成処理をした一般鋼材(SPCC)はこの条件では当初の接着力から低下しなかった。
また、本発明者らの経験では、化成処理を行って耐食性向上を兼ねた表面処理や超微細凹凸作成処理をした場合、一般に化成処理層の膜厚が厚いと、接着力が低下することの多いことがわかっている。前記のマグネシウム合金に付着した酸化マンガン薄層のようにXRDで回折線が検出されないような薄層である方が強い接着力が観察される。化成処理層が厚くなったもの同士をエポキシ樹脂系接着剤で接着し、破壊試験した場合、破壊面はほとんどが金属相と化成皮膜の間となる。
本発明者等の経験では、化成処理で作製した厚い皮膜(化成皮膜)とエポキシ接着剤硬化物との接合力は、その化成皮膜と内部金属合金相との接合力より常に強かった。すなわち、一般鋼材でも化成処理時間を更に伸ばして化成処理層を厚くすれば接着物の永続性は向上するはずである。しかしながら化成皮膜を厚くすれば接着力自体が低下する。どの程度でバランスを取るかは、おそらく本発明を使用した後の商業化研究開発に委ねられる。
(4)エポキシ系接着剤/樹脂分
エポキシ系接着剤について述べる。硬化性樹脂分はエポキシ樹脂と硬化剤からなる。双方とも容易に市中から入手でき、エポキシ樹脂について言えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、多官能ポリフェノール型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、等が市販されている。また、エポキシ基が多官能の化合物、例えば複数の水酸基やアミノ基を有する多官能化合物やオリゴマー等と結合した多官能エポキシ樹脂も多種が市販されている。通常の市販接着剤に使われる全エポキシ樹脂の内の過半を占めるのは液状で粘度の低いビスフェノール型エポキシ樹脂単量体型である。本発明でも接着剤としての低粘度を確保すべくビスフェノール型エポキシ樹脂単量体を過半配合した。
一方、硬化する能力はアミン系化合物、フェノール樹脂、酸無水物等にあるが、本発明ではアミン系化合物を使用する。その理由は、CFRPプリプレグに使用されているのが通常アミン系硬化剤系だからである。本発明の目的は、金属合金同士を強く接着することだけでなく、金属合金とCFRPとをコキュア法で強く接着することにもある。コボンド法と異なってコキュア法では、金属合金との接着とCFRP部材としての成形硬化を同時になし遂げられるので、工業的なCFRP部材の量産方法としてコボンド法よりも合理的と考えられるからである。コキュアでは、CFRPプリプレグのマトリックス樹脂(やはり1種の1液性エポキシ樹脂接着材である)と同種の硬化剤を使用することが必要であるから、アミン系の接着剤の使用を条件とした。
すなわち、本発明で使用する硬化剤はアミン系化合物であり、具体的にはジシアンジアミド、イミダゾール系化合物、芳香族ジアミン系化合物である。脂肪族系アミン化合物は好ましくない。脂肪族系アミン化合物を硬化剤として用いると常温域でゲル化が始まることが多いからである。ただし、常温でゲル化がすぐ始まらず、硬化剤混合から数時間以内でNAT処理金属合金に塗布し染み込まし処理が有効なものであれば使用できる。そのような物として脂環族アミン化合物の一部が使用できる。すなわち、ポットライフの長い2液性エポキシ樹脂組成物用の硬化剤として市販され、硬化に100℃程度の加熱が有効とされる組成物である。このような硬化剤は、脂環族アミンを主成分とする混合アミンとカタログ表示されて市販されており、使用できるのであるが、塗布と染込まし作業は時間制限付きで行う必要がある。
(5)エポキシ樹脂系接着剤/無機充填材
充填材について述べる。接着剤は無機充填材を含むのが普通であり、この無機充填材は重要な役目を果たす。すなわち、現在の破壊理論に従えば、物体が破壊に至る前段には応力集中域の中の何処か微少な部分や応力集中域近辺の強度の弱い部分で微小な局所破壊が先ず起こり、この局所破壊が隣の微小部分の応力集中を高めて局所破壊の連鎖に進むと考える。この微小破壊の連鎖は拡大し、破壊部の大きさは微小でなくなり大きなヒビとなり遂にはそれが完全破壊、接着系では被着材同士の剥がれに至るとのメカニズム論である。
実際、接着剤硬化物の強度は全体として一様なわけはなく、ミクロ的には必ず強弱がある。従って、もし破壊が連鎖し易ければ微小破壊はほとんど完全破壊に至り、完全破壊はミクロ的に強度の弱い部分での強度値だけで決まることになる。それゆえ、最も弱い微小部分の局所破壊が起こってもこれが連鎖せぬようにすれば次に弱い微小部分にて局所破壊が起こるまで事件は起こらず結果的に接着力は向上する。局所破壊が生じてもそれを局所で止める上で数μm〜数十μm径の無機充填材の存在が非常に有効というのが現行の破壊理論である。
それゆえに、構造用接着剤には無機充填材が必ず含まれる。市販エポキシ系接着剤には粒径数μm〜数十μmのシリカ、クレー(粘土、カオリン)、タルク、アルミナ、等の粉体が通常数%以上含まれている。添加する無機充填材の詳細は接着剤性能を左右するだけに接着剤メーカーの重要企業秘密であり本発明者らの知るところではない。それゆえ、市中から微粉が購入できるクレー、タルクに限り本発明者らは実験に使用した。
本発明者らは、無機充填材に関する詳細なノウハウのないことがハンデキャップであったが、その分は最新型湿式粉砕機を充填材分散機として使うことで相殺できると考え実験を進めた。すなわち、無機充填材の選択にはその表面性(すなわち、エポキシ樹脂との親和性)が重要であると見られ、その実践上の知識が本発明者らに欠落していたが、分散を最新型湿式粉砕機で行うことである程度のメカノケミカル効果が発揮されてエポキシ樹脂と充填材の間の親和性が向上する可能性に期待した。
(6)エポキシ樹脂系接着剤/超微細無機充填材
本発明で最も重要なことだが、NATで作製した界面周辺の状況を想定し、そこで起こり得る破壊現象を推論してNATに関係する破壊理論の仮説を考えた。すなわちNAT処理した金属合金表面に存在する凹凸が1〜10μmの最小で1μm周期の凹凸であるから、粒径数μm以上の大きさの既存の無機充填材はこの凹部にほとんど入れ込めず関係ない。それゆえ、NATでの破壊理論のみが関与する充填材は、1μmの凹部に進入し得る微細充填材であり、具体的には粒径0.1μm(100nm)以下のものである。これは本発明で使用する接着剤の最大の特徴で、それゆえに必要条件であるが実際の効果も大きい。常温下では全く効果がないが100℃下では超微細無機充填材を含まない接着剤に比較して10〜30MPaも接着力が向上し得る。
本発明者らの仮説は、高温下に接着物が置かれ環境温度が接着物硬化物のガラス転移点に近づいて軟化し接着力が急減する場面で超微細無機充填材が役立つとするものである。すなわち、NATによるエポキシ接着剤硬化物が高温度下の強い引き剥がし応力に見舞われたとき、最初に変異が生じる箇所を2箇所と推定した。図16はNATで接合した金属合金部と接着剤硬化物を模式的に示しており、40は金属合金片の金属合金相、41はセラミック質相、42は接着剤硬化物相を示すが、変異が生じる場所候補の一つは図16にあるミクロンオーダー凹部の入口付近である。ここで壊れるのであれば本発明者らがすでに開示したCNTを添加することで強化でき(特許文献17)る。ただし、この接着力向上効果があるのは常温付近で最も大きく高温下では明確な添加効果が認められなかった。常温下で効果があるCNT添加量は、実験値からみて0.2質量%以下であり、特に0.005〜0.1質量%で明確であった。
もう一つの破壊候補箇所はミクロンオーダーの凹部内であって、凹部内の接着剤硬化物が高温で柔らかくなりスパイクのグリップが緩んで抜けかけること、すなわち、スパイクに接する部分のどこかで形が崩れるなど変形して滑りが起こることとした。この微小界面での滑りが界面に沿って連鎖的に進めばスパイク効果はなくなりこのミクロンオーダー凹部が有したアンカー効果はゼロになる。そうなるとその凹部周辺にある凹部群への応力集中度が高まり、次はその周辺凹部で同じことが生じる。結局はミクロンオーダー凹部から接着剤硬化物が抜けて浮くことになり破断に繋がる。やはりスパイクが滑るとまずいはずである。
スパイクに接している接着剤硬化物の硬度強度を維持したくても高温下では樹脂硬度が下がるので充填材に頼るしかない。しかしスパイク部の凹凸周期は数十nmレベルなので数nm径の超微細な充填材が要ることになる。残念ながら数nm径の超微細粉末は世の中に見当たらないし例え存在しても接着剤内に均一分散させるのは至難だろう。そこでスパイク周辺で滑りが連鎖して進み、スパイクの効きがなくなってミクロンオーダー凹部の中の接着剤硬化物凸部がすでに数十nm程度浮いた状態になった場合を仮定する。この様子の模式図を図17に示す。
この場合、その周囲のミクロンオーダー凹部にその連鎖が伝わらないようにするには、浮いた距離が数十nmレベル以上にならずにそこまでのガタで止まることである。止まる条件としては、その凹部形状がアンダー形状であって内部径よりも開口部が狭まっていること、金属合金側凹部に収まっている接着剤硬化物が全体として崩れず壊れないで頑張ってくれること、の双方である。本発明者らの一人である安藤はこの仮説に基づきNAT用接着剤に超微細無機充填材の有用性を予想した。
すなわち、NAT処理した金属合金側の凹部は化学エッチング手法で得られているので素直な半球形状やV字溝状でないもの、すなわち内部より開口部が狭い蛸壺状の凹部や凹部開口方向が垂直方向ではなく斜め方向となったようないわゆるアンダー形状の凹部がそこそこの確率で存在するとする。そのようなアンダー形状の凹部内に粒径数十〜数百nmの超微細充填材が分散している接着剤が侵入し固化した場合、これら凹部の中に存在する接着剤硬化物は簡単には粉々に壊れない。
例えば強烈な垂直方向の剥がし力がかかった場合、高温下なので接着剤中の硬化ポリマーもやや軟化しておりスパイクの効き目が落ちているので応力集中箇所付近で最も強い力がかかったミクロンオーダー凹部にては、その内壁面スパイクに接しているポリマー部が滑ってスパイクの効きがなくなると考える。そのような凹部が上記したアンダー形状であればその凹部内の接着剤硬化物は固定が外れ数十nmだけ浮く。すなわち、凹部がアンダー構造をしていれば、凹部内の接着剤硬化物の中心部が大きく破壊されなければ浮くだけで抜けずに止まる。
図17は破断寸前の接合面をイメージし模式的に示したものであり、50は金属合金片の金属合金相、51はセラミック質相、52は接着剤硬化物相、53は剥がれて生じた空間を示すが、並んだ5個のミクロンオーダー凹部の内の中央部3個の凹部だけがアンカーの効かない状況となり数十nm浮いた形となっている。しかし、接着剤硬化物全体は高温で軟化しているのでやや弾性があり、図中の端部の凹部2個は中央3個に引きずられて浮き上がることはない。すなわち、スパイクの効き目がなくなって3個の凹部で破壊現象が生じても、このレベルの破壊で一旦止まってくれれば連鎖破壊へは進み難いと考えるのが本発明者らのNATに基づく高温破壊時の仮説である。
別の言い方をすれば、無数あるミクロンオーダーの凹部群の内の最も弱い箇所でアンカー効果が失われても、そこは数十nm程度のガタが生じるだけで収められ、次に弱い箇所が局所破壊に至るまで接着が保てるという考え方でもある。この仮説に従って追加すべき充填材を100nm以下の超微細な無機充填材とした。これらがミクロンオーダー凹部内に入ってくれればその部分での硬度が保たれてスパイク機能が多少低下しても簡単には凹部から抜けることはないとの考えに依る。100nm以下の粒径を有する超微細無機充填材として容易に入手可能な物にはヒュームドシリカがある。
これらの超微細無機粉末は本発明に不可欠な充填材となる。ヒュームドシリカには2種あり、一つはシリカ(酸化珪素)砂を原料にして還元し金属珪素を得る還元工程の排気ガスから回収された超微細な溶融シリカであって欧州の企業が供給しており、もう一つは、四塩化珪素を気化させ燃焼して超微細溶融シリカとしたもので、「アエロジル」商標で市販されているものである。アエロジルには表面処理されたものも市販されており、本発明者らは疎水性処理をしたものを使用した。燃焼処理で得られたヒュームドシリカは親水性が強いというわけではないが、疎水性処理したものの方がエポキシ樹脂との親和性が好ましいと考えた。
通常、ミクロンオーダーより小さい粒径の粉末は凝集しており、アエロジルも実態は凝集品である。凝集力は粉体が超微粉になるほど強く、接着剤に投入して自動乳鉢で混練したくらいでは凝集は解けず本発明で想定する分散状態にならない。それゆえ、エポキシ樹脂への添加後に分散機にかける必要がある。これについては後述する。実験結果から、超微細無機充填材の充填率は0.3質量%以上が好ましく、特に0.3〜3質量%が好ましい。3質量%を超えて添加した場合、粘度が高くなって使用し難いだけでなく、使用した場合には、明確な理由はわからぬが接着力は横ばいか低下した。
(7)エポキシ樹脂系接着剤/エラストマー型充填材
本発明では充填材としてエラストマー成分を加えるのが好ましい。各種加硫ゴム、各種加硫ゴムの表面を変性した粉末ゴム、各種生ゴム、各種生ゴムを変性した変性ゴム、塩化ビニル樹脂(以下「PVC」)、酢酸ビニル樹脂(以下「PVA」)、ポリビニルホルマール樹脂(以下「PVF」)、エチレン酢酸ビニル樹脂(以下「EVA」)、ポリオレフィン樹脂類、ポリエチレンテレフタレート樹脂(以下「PET」)、各種ポリアミド樹脂(以下「PA類」)、ポリエーテルスルホン樹脂(以下「PES」)、ポリウレタン樹脂、熱可塑性ポリエステルエラストマー(以下「TPEE」)、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(以下「TPU」)、熱可塑性ポリアミドエラストマー(以下「TPA」)、熱可塑性ポリオレフィン系エラストマー(以下「TPO」)等が本発明で言うエラストマー成分である。
これらの中には通常はエラストマーとされないものが含まれているが、硬化したエポキシ樹脂は硬質でありこれからすれば熱可塑性樹脂は軟質である。これらは硬化物の靭性をその軟質ゆえに高めてくれる。好ましいのは、これらを粒径10〜20μmの微粉として配合すること、さらに、これら表面を親エポキシ樹脂型に改良したものである。高温下にてエポキシ樹脂と反応するのはアミノ基や水酸基であるからエラストマー端部等にこれらを持たせるのも有効な変性処理である。また、本発明は常温下だけでなくやや高温下でも強い接着力を示す接着剤を求めているので柔らか過ぎる物はあまり好ましくない。それらを勘案して入手が容易なものを列記すると、水酸基ができ易いPVF、端部に水酸基のあるウレタン樹脂、アミノ基が無数にあるPA類、さらには意図的に水酸基を付けたPES等がある。
エラストマー型充填材は、接着剤の3〜10%の充填率とするのが好ましい。具体的にはエラストマー成分を粉砕して求める粒度品を分級しこれを使用する方法がまず考えられる。実際には、硬度の低い前記した物質類を粉砕機で10μmレベルの微粉砕物とし収率良く得るのは難しく、液体窒素等で極低温に冷却して硬度を上げ、その温度下で機械粉砕する方法を取るのが普通だが、粒径を数十μmまでとして収率を高く得るのはそれほど容易でない。ただし、粒径の大きなものを別用途に使う道があるなど幸運があることもある。すなわち、PESを粉砕すると耐熱性ある弾性塗料の充填材に使用でき、この用途が大きいので併産される10μmオーダーの微粉砕物も市販品として供給されている。本発明での実験例では市販のPES粉体を購入して使用した。
その他に、乳化重合で得られる合成ゴムや熱可塑性樹脂については、重合工程を終えて得られるラテックス状物を互いに付着せぬように工夫しつつ水分を切り、乾燥させて粉体を得る方法がある。接着剤の充填材用として製造されているものはほとんどないが特殊機能型化成品として印刷インキや特殊塗料に用いる特殊コート材用、液晶ディスプレー等の電子機器部品用、医療用、等種々の用途に使われている。これらももちろん使用できる。
どのようなエラストマー性の粉体であっても添加が有効か否かは理論的に考察して選択すべきではなく実験して採用すべきか否かを決めるべきである。この添加物はNAT処理した金属片同士の接着物を破断する接着力観察では明確な結果は通常得られない。もちろん、エラストマー粉体を配合した接着剤の使用で金属合金片同士の接着力が低下するのでは好ましくないが、接着力が低下しなければ第一関門はパスとする。この引っ張り破断試験は出来れば常温下だけでなく100℃下や150℃下でも行うのが好ましい。そして次いで金属合金片とCFRPの接着物を共硬化で作成し、その接着力を測定する。この実験で添加効果があれば使用できると判断して組成比の詳細を検討すべきである。
(8)エポキシ樹脂系接着剤/充填材の分散
本発明に使用する接着剤の基本組成は前記したように、エポキシ樹脂、硬化剤、平均粒径10μmレベルの無機充填材、及び粒径100nm以下の超微細無機充填材、平均粒径5μm〜20μmの熱可塑性樹脂粉体であるが、特に超微細無機充填材は従来型の混合混練法である自動乳鉢やニーダーで混合混練したのでは分散せず混ざったことにならない。
粒径100nm以下の超微細無機充填材及びCNTは凝集しているので、破壊分散させることが必要であり、そのために湿式粉砕機を使うのが好ましい。特にサンドグラインドミル等の最新型の湿式粉砕機の使用が好ましい。さらには、超微細無機充填材だけでなく、通常の無機充填材、熱可塑性樹脂粉体もサンドグラインドミルに同時に投入することで良い分散が得られるはずで、全ての混合分散に湿式粉砕機を採用することは好ましい。ただ湿式粉砕機の運転では発熱が伴う。硬化剤も含めてサンドグラインドミル等を使用し混合分散させようとする場合、粉砕室の温度管理を厳密に行わないと事故に至る。すなわち、湿式粉砕機は液状物の粘度がある程度低くならないと運転ができず、昇温して粘度を下げ運転開始したとしても粉砕室での発熱を上手く制御しないとゲル化による発熱も加わって一挙に暴走し粉砕室内を固化し粉砕機を使用不能におとしめる。それゆえ、硬化剤を加えずに湿式粉砕機を使用して充填材を混ぜ切り、その後に硬化剤を加えニーダー等を使用して混練するのが好ましい。
最終的に、常温下でペースト状になり、金属片にやや厚めに塗って70℃下に1分ほどおくと溶けて液状に拡がる程度の物までが使用可能と考えている。これは硬化剤がジシアンジアミドであれイミダゾールであれ芳香族ジアミンであれ、約100℃とするとゲル化が始まるので70℃程度が扱える最高温度と判断したことによる。これは今後の改良研究で変わるかもしれない。得られた接着剤を冷蔵庫に入れて5度以下で保管すれば半年以上は問題ない。もし硬化剤が脂環族アミンの混合物であるなどゲル化が常温下でも遅いながら進行するようなものを使用する場合は、混練時間も5分程度にして以下に述べる塗布や染込まし処理を数時間以内にするのが好ましい。そしてこの接着剤は保管すべきでない。
(9)接着剤塗布及びその後の処理
前記で得た接着剤を金属合金片の必要箇所に塗布する。筆塗りでもヘラ塗りでもよい。その後、50〜70℃に予め加熱しておいた減圧容器または圧力容器に入れ、数分おいてから数十mmHg程度まで減圧して数秒おき、その後空気を入れて常圧に戻すか数気圧や数十気圧の圧力下にするのが好ましい。塗布物を暖めるのは、接着剤の粘度を十数Pa秒以下にするためである。この温度が高いほど粘度は下がるが、高きに過ぎるとゲル化が始まり接着力確保に不利になる。これらはその接着剤のゲル化温度をどう予測するかで変わってくる。
次いで減圧と昇圧のサイクルを繰り返すのが好ましい。減圧下で接着剤と金属合金間の空気が抜け、常圧戻しで接着剤が金属面上の超微細凹部に侵入し易くなる。実際の量産に当たっては、圧力容器を使用して高圧空気を使用するのは設備上も経費上もコストアップに繋がるので、それよりは気密性の袋や減圧容器を使用して減圧/常圧戻しを数回行うのが経済的である。容器や袋から取り出し、常温以下の温度とした保管場所に置き短時間内に次工程に入るのが好ましい。
(10)被着材:金属合金同士の接着
同種の金属合金同士を接着する場合、上記の工程で接着剤塗布した金属合金片2枚を作製し、これらを抱き合わせてクリップ等で留め、そのまま熱風乾燥機に入れて加熱硬化させればよい。被着材に別種の金属を使用する場合では、被着材側の金属合金もNATに従った表面処理を行った上で上節に示した方法でエポキシ系接着剤を塗布し、かつ塗布後の処理も行った上で抱き合わせてクリップ等で留め、同様に加熱硬化させればよい。
接着剤の硬化剤が脂環族アミン系化合物、ジシアンジアミド、イミダゾール系化合物、または芳香族ジアミン系化合物であるとして、加熱は前記の物を熱風乾燥機に入れて行い、金属片同士の接着では、通常は90℃前後に30分程度おいて接着剤成分を溶融し、120℃まで昇温して30分程度保持し、135℃に上げてさらに30分加熱し、さらに165℃に上げて30分おき、さらに180℃に上げて30分おくと、本発明者らが扱った全接着剤、CFRPプリプレグで問題なく硬化できた。最適な温度条件は各組成物によって変わるから前記に拘ることはないが、前記条件はどのような1液性エポキシ接着剤、CFRPプリプレグの硬化も可能にするので実験が安易にできた。
(11)被着材:FRP半硬化物又はプリプレグと接着方法
FRPにはガラス繊維強化プラスチック(以下、「GFRP」という。)、アラミド繊維強化プラスチック(以下、「AFRP」という。)、CFRP等がある。本発明はエポキシ樹脂をマトリックスとするFRPについて論じており、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維はもちろん、その他の強化繊維を使用したFRPであっても、マトリックス樹脂がエポキシ樹脂であれば全て適用できる。ここではエポキシ樹脂を使用したCFRPについて具体的に説明し、その他のFRPでの説明に代える。
市販のCFRPプレプリグはその殆どがエポキシ樹脂系品であるから確認の上で使用できる。CFRPプリプレグは、1液性エポキシ接着剤と基本は同じのエポキシ樹脂と硬化剤を最低限含むエポキシ樹脂組成物からなるマトリックス樹脂に、炭素繊維を押し込んだものである。市販のCFRPプリプレグの殆どは、エポキシ樹脂、硬化剤にエラストマー型充填材も加えニーダーやロールで混練し最後はロールでシート化する。このシート状物2枚で炭素繊維織物を挟み付け、これを脱泡しながら加熱ロールに通してシート化するのが昨今のCFRPプリプレグの製造法である。
なお、炭素繊維索や炭素繊維布はマトリックス樹脂との接着性を高めるため、前もってエポキシ樹脂含む有機溶剤液等に浸漬して乾燥する等、マトリックス樹脂との接着性を高めるべく何らかの処理がなされる。詳細はプリプレグメーカーの重要秘密であり全くわからない。日本国内特許を調査すると1985年以降にこの関係が記述された公開特許が発現し、また2005年以降はみられない。それゆえに、すでに定番のものが使用されていると思われるがこれが何かはわからない。
CFRPプリプレグを必要形状に切断し、必要な形に重ね合わせてプリプレグ積層物とする。ただし、単方向プリプレグ(縦糸が多く横糸がごくわずかな織り方の織物からのプリプレグ)を、複数枚重ねる場合はその方向を重ねたり角度を傾けて重ねたりすることで、最終的なCFRP板材としての強度の方向性が制御できるため、その組み付けには多くのノウハウがあるとされる。また、炭素繊維の平織り品では縦糸横糸の数が同じであり、例えば45度ずつ角度を変えてプリプレグを重ねると強度的には全方向に対し等しくなると言われている。要するに、必要な枚数、その重ね方を前もって設計し、それに従って各プリプレグを切断し、設計通り重ね合わして準備を終える。
(12)プリプレグの積層及び複合体の製造方法
前述したエポキシ系接着剤を塗布した金属合金部品に、前記FRPプリプレグを乗せる。この状態で上手く加熱すればエポキシ樹脂接着剤とプリプレグ中のエポキシ樹脂が一旦溶融し引き続いてこれらが硬化する。しっかり接合するには両者を押し付けた状態で加熱し、間に含まれる空気が樹脂溶融時に追い出される必要がある。例えば、金属合金形状物の接合すべき面の反対側形状に合わせた台座を予め作成しておき、アルミ箔やポリエチレンフィルムを敷いた後で前記金属合金部品をおき、プリプレグを多数枚載せ、さらにプリプレグの上にポリエチレンフィルムを敷き、構造材等で別途製作した最終品プリプレグ形状に合わせた固定用部材を載せ、さらにその上に重量物を載せることで加熱硬化中の押し付けと固定ができる。
もちろん、双方を押し付けつつ硬化させればよいので重力だけでなく種々の方法が利用できる。航空機部材では上記のように組み付けた全体を耐熱性のフィルム袋(バッグ)に封じ減圧しつつ過熱し、全エポキシ分が溶融したときに内部の空気が強制的に抜けるようにしている。空気がある程度抜けるとプリプレグが締まるので、その後にバッグ内に空気を送って昇圧下で硬化させる仕掛けである。本発明者等はそこまで行う実験設備がないので、プリプレグ内の空気はエポキシ分の溶融時に押え付けている圧力でかなり抜けるだろうと期待して実験を行った。
加熱は仕組んだ全体を熱風乾燥機やオートクレーブの中に入れて行い、通常は90℃に30分程度おき、120℃まで昇温して30分保持し、135℃に上げてさらに30分加熱し、165℃に上げ30分おき、さらに180℃に上げて30分おいた。この硬化条件は本来エポキシ成分や硬化剤成分によって変わるが、本発明者らにとって市販のプリプレグの詳細組成はわからないので前記条件で加熱しどのようなものでも対応できるようにした。放冷し金型を外し、成形物を取り出す。離型ができるように前記記述の様にアルミ箔やポリエチレンフィルムを使用した場合はこれを剥がし取る。
(13)接着力の測定の例
本発明で用いた金属合金同士の接着物、または金属合金とFRPのコキュア接着物の接着力測定法を以下説明する。図13は、金属合金とFRPの接着のための焼成用のための焼成治具の断面図である。図14は、この焼成治具1で金属合金片とCFRPをコキュア接着で作製した金属合金樹脂複合体10の試験片である。焼成治具1は、金属合金板11とプリプレグ12とを焼成するときの固定治具である。金型本体2は、上面が開放されており直方体状に凹部3が形成されている。この底部には貫通孔4が形成されている。
貫通孔4には、底板5の突起6が挿入されている。突起6は、金型本体2の底面7から突出するように突き出ている。金型本体2の底面は、金型台座8上に搭載されている。底板5を金型本体2の凹部3に挿入して載置した状態で、図14に示すような金属合金片21とCFRP22を接合した金属合金樹脂複合体10,20を焼成して製造する。この複合体10,20を製造するには、概略すると次のような手順で行う。まず、底板5の全上面に離型用フィルム17を敷く。離型用フィルム17の上に金属合金片11と板状のスペーサ16を載せる。このスペーサ16の上と金属合金片11の端部の上に所要のプリプレグ12を積層する。プリプレグ12は市販品を鋏で切断したものである。
このプリプレグ12の積層の後に、離型用のポリエチレンフィルム片13をアルミニウム合金板11及びプリプレグ12の上にさらに積層する。この上にウェイトとしてPTFE(ポリテトラフルオロエチレン樹脂)のブロック14,15を載せる。さらに、必要に応じて、この上に数kgの錘(図示せず)を載せる。この状態で焼成炉に投入し、プリプレグを硬化させて放冷した後、錘及び台座8等を外して、突起6の下端を床面に押し付けると離型用フィルム13、17とともに金属合金片とCFRPを接合した金属合金樹脂複合体10(図14参照)が取り出せる。スペーサ16、離型用フィルム17、13は、接着性のない素材であるからCFRPから容易に剥がすことができる。
以下、本発明の実施例について説明する。なお、図15は金属合金片同士を接着剤接合した形状を図示したものである。金属合金片は本発明による表面処理法で処理されたもので、使用した接着剤も本発明に従ったものである。金属合金同士は接合面33で接合されている。金属合金上の微細凹凸面にはエポキシ系接着剤が介在して接着されている。また、図14は前述したように、金属合金片とFRPとをエポキシ系接着剤で接合して得た接合強度測定用の試験片を表している。
〔測定機器類〕
測定等に使用した機器類は以下に示したものである。
(a)X線表面観察(XPS観察)
数μm径の表面を深さ1〜2nmまでの範囲で構成元素を観察する形式のESCA「AXIS−Nova(クラトス/島津製作所社製)」を使用した。
(b)電子顕微鏡観察
SEM型の電子顕微鏡「S−4800(日立製作所社製)」及び「JSM−6700F(日本電子)」を使用し1〜2KVにて観察した。
(c)走査型プローブ顕微鏡観察
「SPM−9600(島津製作所社製)」を使用した。これはダイナミックフォース型の走査型プローブ顕微鏡である。
(d)X線回折分析(XRD分析)
「XRD−6100(島津製作所社製)」を使用した。
(e)複合体の接合強度の測定
引っ張り試験機「AG−10kNX(島津製作所社製)」を使用し、引っ張り速度10mm/分でせん断破断力を測定した。
(f)充填材の分散(湿式粉砕機の使用)
直径0.1〜0.5mmのジルコニアビーズをサンドとするサンドグラインドミル「ミニツエア(アシザワ・ファインテック社製)」を使用した。
次に接合系の実験例について各金属片の種類毎に説明する。
〔実験例1〕(アルミニウム合金の表面処理)
市販の3mm厚A7075板材(神戸製鋼所社製)を入手し、切断して45mm×15mmの長方形片多数とした。槽に市販のアルミニウム合金用脱脂剤「NE−6(メルテックス社製)」を水に投入して60℃、濃度7.5%の水溶液とした。これに前記アルミニウム合金板材を7分浸漬しよく水洗した。続いて別の槽に40℃とした1%濃度の塩酸水溶液を用意し、これに前記の合金板材を1分浸漬してよく水洗した。次いで別の槽に40℃とした1.5%濃度の苛性ソーダ水溶液を用意し、先ほどの合金板材を4分浸漬してよく水洗した。
続いて別の槽に40℃とした3%濃度の硝酸水溶液を用意し、これに前記合金板材を1分浸漬し水洗した。次いで別の槽に60℃とした一水和ヒドラジンを3.5%含む水溶液を用意し、これに前記合金板材を2分浸漬し、水洗した。次いで5%濃度の過酸化水素水溶液を40℃とし前記合金板材を5分浸漬し水洗した。次いで67℃にした温風乾燥機に15分入れて乾燥した。
乾燥後、アルミ箔で前記アルミニウム合金板材をまとめて包み、さらにこれをポリ袋に入れて封じ保管した。同じ処理をしたA7075片を電子顕微鏡観察したところ40〜100nm径の凹部で覆われていることがわかった。1万倍、10万倍の電顕写真を図1に示す。また、走査型プローブ顕微鏡にかけて粗度データをとったところ、山谷平均間隔(RSm)は3〜4μm、最大高さ(Rz)は1〜2μmであった。
〔実験例2〕(アルミニウム合金の表面処理)
市販の1.6mm厚A5052板材(住友軽金属工業社製)を入手し、切断して45mm×18mmの長方形片多数とした。槽に市販のアルミニウム合金用脱脂剤「NE−6(メルテックス社製)」を水に投入して60℃、濃度7.5%の水溶液とした。これに前記アルミニウム合金板材を7分浸漬しよく水洗した。続いて別の槽に40℃とした1%濃度の塩酸水溶液を用意し、これに前記の合金板材を1分浸漬してよく水洗した。次いで別の槽に40℃とした1.5%濃度の苛性ソーダ水溶液を用意し、先ほどの合金板材を2分浸漬してよく水洗した。続いて別の槽に40℃とした3%濃度の硝酸水溶液を用意し、これに前記合金板材を1分浸漬し水洗した。次いで別の槽に60℃とした一水和ヒドラジンを3.5%含む水溶液を用意し、これに前記合金板材を2分浸漬し、水洗した。
次いで67℃にした温風乾燥機に15分入れて乾燥した。乾燥後、アルミ箔で前記アルミニウム合金板材をまとめて包み、さらにこれをポリ袋に入れて封じ保管した。同じ処理をしたA5052片を電子顕微鏡観察したところ30〜100nm径の凹部で覆われていることが分かった。1万倍、10万倍の電顕写真を図2に示す。また、走査型プローブ顕微鏡にかけて粗度データを得たがこれによると山谷平均間隔(RSm)は2.0〜3.4μm、最大高さ(Rz)は0.2〜0.5μmであった。
〔実験例3〕(マグネシウム合金の表面処理)
市販の1mm厚AZ31B板材(日本金属社製)を入手し、切断して45mm×18mmの長方形片多数とした。槽に市販のマグネシウム合金用脱脂剤「クリーナー160(メルテックス社製)」を水に投入して65℃、濃度7.5%の水溶液とした。これに前記マグネシウム合金板材を5分浸漬しよく水洗した。続いて別の槽に40℃とした1%濃度の水和クエン酸水溶液を用意し、これに前記の合金板材を6分浸漬してよく水洗した。次いで別の槽に65℃とした1%濃度の炭酸ナトリウムと1%濃度の炭酸水素ナトリウムを含む水溶液を用意し、先ほどの合金板材を5分浸漬してよく水洗した。続いて別の槽に65℃とした15%濃度の苛性ソーダ水溶液を用意し、これに前記合金板材を5分浸漬し水洗した。次いで別の槽に40℃とした0.25%濃度の水和クエン酸水溶液に1分浸漬して水洗した。次いで45℃とした過マンガン酸カリを2%、酢酸を1%、水和酢酸ナトリウムを0.5%含む水溶液に1分浸漬し、15秒水洗し、90℃にした温風乾燥機に15分入れて乾燥した。
乾燥後、アルミ箔で前記マグネシウム合金板材をまとめて包み、さらにこれをポリ袋に入れて封じ保管した。この処理をしたAZ31B片を電子顕微鏡観察したところ5〜10nm径の棒状結晶が複雑に絡み合っている箇所やそれらの塊が100nm径程度の集まりとなり、その集まりが面を作っている超微細な凹凸形状で覆われている箇所があった。その10万倍電顕写真2種を図3に示す。また、走査型プローブ顕微鏡で走査して粗度観測を行ったところJISで言う山谷平均間隔、すなわち凹凸周期の平均値(RSm)が2〜3μm、最大粗さ高さ(Rz)が1〜1.5μmであった。
〔実験例4〕(銅合金の表面処理)
市販の1mm厚の純銅系銅合金であるタフピッチ銅(C1100:神戸製鋼所社製)板材を入手し、切断して45mm×18mmの長方形片多数とした。槽に市販のアルミニウム合金用脱脂剤「NE−6(メルテックス社製)」7.5%含む水溶液を60℃として5分浸漬して水洗し、次いで40℃とした1.5%濃度の苛性ソーダ水溶液に1分浸漬して水洗し予備塩基洗浄した。次いで25℃とした銅合金用エッチング材「CB5002(メック社製)」を20%、30%過酸化水素を18%含む水溶液を用意し、これに前記銅合金片を10分浸漬し水洗した。次いで別の槽に65℃とした苛性ソーダを10%、亜塩素酸ナトリウムを5%含む水溶液を酸化用水溶液として用意し、前記の合金板材を1分浸漬してよく水洗した。次いで先ほどのエッチング用槽に1分浸漬して水洗し、そして先ほどの酸化処理用の槽に1分浸漬してよく水洗した。次いで90℃とした温風乾燥機に15分入れて乾燥した。乾燥後、アルミ箔で前記銅合金板材をまとめて包み、さらにこれをポリ袋に入れて封じ保管した。
同じ処理をしたC1100片を走査型プローブ顕微鏡にかけた。その結果、JISで言う山谷平均間隔(RSm)は3〜7μm、最大粗さ高さ(Rz)は3〜5μmであった。また、10万倍電子顕微鏡観察したところ、直径又は長径短径の平均が10〜150nmの孔開口部又は凹部が30〜300nmの非定期な間隔で全面に存在する超微細凹凸形状でほぼ全面が覆われていた。その1万倍、10万倍電顕写真を図4に示す。
〔実験例5〕(銅合金の表面処理)
市販の0.8mm厚のリン青銅(C5191)板材を購入し18mm×45mmの長方形片に切断し、金属板1である銅合金片とした。槽に市販のアルミ合金用脱脂剤「NE−6(メルテックス社製)」を7.5%含む水溶液を60℃として脱脂用水溶液とした。ここへ前記銅合金板材を5分浸漬して脱脂し、よく水洗した。続いて別の槽に25℃とした銅合金用エッチング材「CB5002(メック社製)」を20%、30%過酸化水素を18%含む水溶液を用意し、これに前記銅合金片を15分浸漬し水洗した。次いで別の槽に苛性ソーダを10%、亜塩素酸ナトリウムを5%含む水溶液を酸化用水溶液として用意し、65℃としてから前記の合金板材を1分浸漬してよく水洗した。次いで再び先ほどのエッチング液に1分浸漬し水洗した。次いで酸化用の水溶液に1分再度浸漬し、水洗した。前記の銅合金片を、90℃にした温風乾燥機に15分入れて乾燥した。アルミニウム箔に包んで保管した。
同じ処理をしたC5191片を1万倍、10万倍電顕写真を図5に示すが、10万倍電子顕微鏡観察で、直径または長径短径の平均が10〜200nmの凸部が混ざり合って全面に存在する超微細凹凸形状であり、純銅系であるタフピッチ銅の微細構造とは全く異なった形状であった。また、走査型プローブ顕微鏡にかけたところ、JISで言う山谷平均間隔(RSm)は1〜3μm、最大粗さ高さ(Rz)は0.3〜0.4μmであった。
〔実験例6〕(銅合金の表面処理)
市販の0.7mm厚の微量の鉄含有銅合金「KFC(神戸製鋼所社製)」板材を入手し、切断して45mm×18mmの長方形片多数とした。槽に市販のアルミニウム合金用脱脂剤「NE−6(メルテックス社製)」7.5%含む水溶液を60℃として5分浸漬して水洗し、次いで40℃とした1.5%濃度の苛性ソーダ水溶液に1分浸漬して水洗し予備塩基洗浄した。次いで25℃とした銅合金用エッチング材「CB5002(メック社製)」を20%、30%過酸化水素を18%含む水溶液を用意し、これに前記銅合金片を8分浸漬し水洗した。次いで別の槽に65℃とした苛性ソーダを10%、亜塩素酸ナトリウムを5%含む水溶液を酸化用水溶液として用意し、前記の合金板材を1分浸漬してよく水洗した。次いで先ほどのエッチング用槽に1分浸漬して水洗し、そして先ほどの酸化処理用の槽に1分浸漬してよく水洗した。次いで90℃とした温風乾燥機に15分入れて乾燥した。乾燥後、アルミ箔で前記銅合金板材をまとめて包み、さらにこれをポリ袋に入れて封じ保管した。
同じ処理をしたKFC銅合金片を走査型プローブ顕微鏡にかけた。その結果、JISで言う山谷平均間隔(RSm)は1〜3μm、最大粗さ高さ(Rz)は0.3〜0.5μmであった。又、10万倍電子顕微鏡観察したところ、直径または長径短径の平均が10〜200nmの凸部が混ざり合って全面に存在する超微細凹凸形状で全面が覆われていた。1万倍、10万倍電顕写真を図6に示す。
〔実験例7〕(銅合金の表面処理)
市販の0.7mm厚の特殊銅合金「KLF5(神戸製鋼所社製)」板材を入手し、切断して45mm×18mmの長方形片多数とした。槽に市販のアルミニウム合金用脱脂剤「NE−6(メルテックス社製)」7.5%含む水溶液を60℃として5分浸漬して水洗し、次いで40℃とした1.5%濃度の苛性ソーダ水溶液に1分浸漬して水洗し予備塩基洗浄した。次いで25℃とした銅合金用エッチング材「CB5002(メック社製)」を20%、30%過酸化水素を18%含む水溶液を用意し、これに前記銅合金片を8分浸漬し水洗した。次いで別の槽に65℃とした苛性ソーダを10%、亜塩素酸ナトリウムを5%含む水溶液を酸化用水溶液として用意し、前記の合金板材を1分浸漬してよく水洗した。次いで先ほどのエッチング用槽に1分浸漬して水洗し、そして先ほどの酸化処理用の槽に1分浸漬してよく水洗した。次いで90℃とした温風乾燥機に15分入れて乾燥した。乾燥後、アルミ箔で前記銅合金板材をまとめて包み、さらにこれをポリ袋に入れて封じ保管した。
同じ処理をしたKLF5銅合金片を走査型プローブ顕微鏡にかけた。その結果、JISで言う山谷平均間隔(RSm)は1〜3μm、最大粗さ高さ(Rz)は0.3〜0.5μmであった。また、10万倍電子顕微鏡観察したところ、直径10〜20nmの粒径物及び50〜150nm径の不定多角形状物が混ざり合って積み重なった形状、言わば溶岩台地斜面ガラ場状の超微細凹凸形状でほぼ全面が覆われていた。1万倍、10万倍電顕写真を図7に示す。
〔実験例8〕(チタン合金の表面処理)
市販の純チタン型チタン合金JIS1種「KS40(神戸製鋼所社製)」1mm厚板材を入手し、切断して45mm×18mmの長方形片多数とした。槽に市販のアルミニウム合金用脱脂剤「NE−6(メルテックス社製)」を7.5%含む水溶液を60℃として脱脂用水溶液とした。前記水溶液に前記チタン合金板材を5分浸漬して脱脂し、よく水洗した。次いで別の槽に60℃とした1水素2弗化アンモニウムを40%含む万能エッチング材「KA−3(金属加工技術研究所社製)」を2%含む水溶液を用意し、これに前記チタン合金片を3分浸漬しイオン交換水でよく水洗した。次いで3%濃度の硝酸水溶液に1分浸漬し水洗した。90℃とした温風乾燥機に15分入れて乾燥した。乾燥後、アルミ箔で前記チタン合金板材をまとめて包み、さらにこれをポリ袋に入れて封じ保管した。
同じ処理をしたKS40チタン合金片の電子顕微鏡、及び走査型プローブ顕微鏡による観察を行った。電子顕微鏡での観察から、幅と高さが10〜数百nmで長さが数百〜数μmの湾曲した連山状突起が間隔周期10〜数百nmで面上に林立している形状の超微細凹凸面を有していることがわかった。この1万倍10万倍電顕写真を図8に示す。また、走査型プローブ顕微鏡の観察で、山谷平均間隔(RSm)は1〜3μm、最高粗さ高さ(Rz)は0.8〜1.5μmであった。また、XPSによる分析から表面には酸素とチタンが大量に観察され、少量の炭素が観察された。これらから表層は酸化チタンが主成分であることが分かり、しかも暗色であることから3価のチタンの酸化物と推定された。
〔実験例9〕(チタン合金の表面処理)
市販のα−β型チタン合金「KSTi−9(神戸製鋼社製)」の1mm厚板材を切断して45mm×18mmの長方形片多数とした。槽に市販のアルミニウム合金用脱脂剤「NE−6(メルテックス社製)」を7.5%含む水溶液を60℃として脱脂用水溶液とした。前記水溶液に前記チタン合金板材を5分浸漬して脱脂し、よく水洗した。次いで別の槽に40℃とした苛性ソーダ1.5%濃度の水溶液を用意し、1分浸漬して水洗した。次いで別の槽に、市販汎用エッチング試薬「KA−3(金属加工技術研究所社製)」を2重量%溶解した水溶液を60℃にして用意し、これに前記チタン合金片を3分浸漬しイオン交換水でよく水洗した。黒色のスマットが付着していたので40℃とした3%濃度の硝酸水溶液に3分浸漬し、次いで超音波を効かしたイオン交換水に5分浸漬してスマットを落とし、再び3%硝酸水溶液に0.5分浸漬し水洗した。次いで90℃とした温風乾燥機に15分入れて乾燥した。得られたチタン合金片に金属光沢はなく暗褐色であった。乾燥後、アルミ箔で前記チタン合金板材をまとめて包み、さらにこれをポリ袋に入れて封じ保管した。
同じ処理をしたKSTi−9チタン合金片を、電子顕微鏡及び走査型プローブ顕微鏡で観察した。1万倍、10万倍電子顕微鏡で観察した結果を図9に示す。その様子は実験例8の電顕観察写真図8に酷似した部分に加え、表現が難しい枯葉状の部分が多く見られた。また、走査型プローブ顕微鏡による走査解析によると山谷平均間隔RSmは4〜6μm、最大粗さ高さRzは1〜2μmと出た。
〔実験例10〕(ステンレス鋼の表面処理)
市販のステンレス鋼SUS304/2B(高砂鉄工所社製)の1mm厚板材を入手し、切断して45mm×18mmの長方形片多数とした。槽に市販のアルミニウム合金用脱脂剤「NE−6(メルテックス社製)」を7.5%含む水溶液を60℃として脱脂用水溶液とした。前記水溶液に前記ステンレス鋼板材を5分浸漬して脱脂し、よく水洗した。続いて別の槽に65℃とした1水素2弗化アンモニウムを1%と98%硫酸を5%含む水溶液を用意し、これに前記ステンレス鋼片を4分浸漬しイオン交換水でよく水洗した。次いで40℃とした3%濃度の硝酸水溶液に3分浸漬して水洗した。90℃とした温風乾燥機に15分入れて乾燥した。乾燥後、アルミ箔で前記ステンレス鋼板材をまとめて包み、さらにこれをポリ袋に入れて封じ保管した。
同じ処理をしたSUS304片の電子顕微鏡、及び走査型プローブ顕微鏡による観察を行った。電子顕微鏡観察から、直径30〜70nmの粒径物や不定多角形状物が積み重なった形状、言わば溶岩台地斜面ガラ場状、の超微細凹凸形状で覆われていた。この電顕写真を図10に示す。走査型プローブ顕微鏡の走査解析で、山谷平均間隔(RSm)は1〜2μmであり、その最大高低差(Rz)は0.3〜0.4μmであった。さらに別の1個をXPS分析にかけた。XPSでは表面の約1nm深さより浅い部分の元素情報が得られる。このXPS分析から表面には酸素と鉄が大量に、また、少量のニッケル、クロム、炭素、ごく少量のモリブデン、珪素が観察された。これらから表層は金属酸化物が主成分であることが分かった。この分析パターンはエッチング前のSUS304と殆ど同じであった。
〔実験例11〕(一般鋼材の表面処理)
市販の厚さ1.6mmの冷間圧延鋼材「SPCC」板材を購入し、多数の大きさ18mm×45mmの長方形片に切断し、鋼材片とした。この鋼材片の端部に穴を開け、十数個に対し塩化ビニルでコートした銅線を通し、鋼材片同士が互いに重ならないように銅線を曲げて加工し、全てを同時にぶら下げられるようにした。槽にアルミニウム合金用脱脂剤「NE−6(メルテックス社製)」7.5%を含む水溶液を60℃とし、鋼材片を5分浸漬して水道水(群馬県太田市)で水洗した。次いで別の槽に40℃とした1.5%苛性ソーダ水溶液を用意し、これの鋼材片を1分浸漬し水洗した。次いで別の槽に50℃とした98%硫酸を10%含む水溶液を用意し、これに鋼材片を6分浸漬し、イオン交換水で十分に水洗した。次いで25℃とした1%濃度のアンモニア水に1分浸漬して水洗し、次いで45℃とした2%濃度の過マンガン酸カリ、1%濃度の酢酸、0.5%濃度の水和酢酸ナトリウムを含む水溶液に1分浸漬して十分に水洗した。これを90℃とした温風乾燥機内に15分入れて乾燥した。
同じ処理をしたSPCC鋼片の10万倍電子顕微鏡による観察結果から、高さ及び奥行きが80〜200nmで幅が数百〜数千nmの階段が無限に続いた形状の超微細凹凸形状でほぼ全面が覆われていることがわかる。パーライト構造が剥き出しになった様子であり化成処理層はごく薄いことがわかる。写真を図11に示す。一方、走査型プローブ顕微鏡による走査解析では山谷平均間隔RSmが1〜3μm、最大粗さ高さRzが0.3〜1.0μmの粗度が観察された。
〔実験例12〕(一般鋼材の表面処理)
市販の厚さ1.6mmの熱間圧延鋼材「SPHC」板材を購入し、多数の大きさ18mm×45mmの長方形片に切断し、鋼材片とした。この鋼材片の端部に穴を開け、十数個に対し塩化ビニルでコートした銅線を通し、鋼材片同士が互いに重ならないように銅線を曲げて加工し、全てを同時にぶら下げられるようにした。槽にアルミニウム合金用脱脂剤「NE−6(メルテックス社製)」7.5%を含む水溶液を60℃とし、鋼材片を5分浸漬して水道水(群馬県太田市)で水洗した。次いで別の槽に40℃とした1.5%苛性ソーダ水溶液を用意し、これの鋼材片を1分浸漬し水洗した。次いで別の槽に65℃とした98%硫酸を10%と1水素2弗化アンモニウム1%を含む水溶液を用意し、これに鋼材片を2分浸漬し、イオン交換水で十分に水洗した。次いで25℃とした1%濃度のアンモニア水に1分浸漬して水洗し、次いで55℃とした80%正リン酸を1.5%、亜鉛華を0.21%、珪弗化ナトリウムを0.16%、塩基性炭酸ニッケルを0.23%含む水溶液に1分浸漬して十分に水洗した。これを90℃とした温風乾燥機内に15分入れて乾燥した。
同じ処理をしたSPHC鋼片の10万倍電子顕微鏡による観察結果から、高さ及び奥行きが80〜500nmで幅が数百〜数万nmの階段が無限に続いた形状の超微細凹凸形状でほぼ全面が覆われていることがわかり、これもやはりパーライト構造であった。この電顕写真を図12に示す。一方、走査型プローブ顕微鏡による走査解析では山谷平均間隔RSmが1〜3μm、最大粗さ高さRzが0.3〜1.0μmの粗度が観察された。
〔実験例13〕(接着剤:アエロジル)
ビスフェノール型エポキシ樹脂の単量体型が主成分の分子量約370のエポキシ樹脂「JER828(ジャパンエポキシレジン社製)」、固体である分子量約1300の多量体型のビスフェノール型エポキシ樹脂「JER1003(ジャパンエポキシレジンン社製)」、多官能型のフェノールノボラック型エポキシ樹脂「JER154(ジャパンエポキシレジン社製)」、アニリン型の3官能エポキシ樹脂「JER630(ジャパンエポキシレジン社製)」、平均粒径が15μm程度のPES粉体「PES4100MP(住友化学社製)」、直径が約50nmの多層型カーボンナノチューブ「MCNT(ナノカーボンテクノロジーズ社製)」、平均粒径が16〜20nmとされる疎水性処理したヒュームドシリカ「アエロジルR805(日本アエロジル社製)」、平均粒径が8〜12μmの微粉タルク「ハイミクロンHE5(竹原化学工業社製)」、平均粒径が10〜15μmの焼成したカオリン型クレー「サテントン5(竹原化学工業社製)」、エポキシ樹脂の硬化剤である微粉型ジシアンジアミド「DICY7(ジャパンエポキシレジン社製)」、及び、同硬化助剤となる3−(3,4−ジクロルフェニル)−1,1−ジメチル尿素「DCMU99(保土ヶ谷化学工業社製)」を入手した。
「JER828」を60部、「JER1003」を20部、「JER154」を10部、「JER630」10部をビーカーに取り130℃とした熱風乾燥機内に放置して加熱し、固体型「JER1003」を溶融すると同時に撹拌し全体を均一化した。その後、放冷しエポキシ樹脂液として保管した。
直径0.3mmのジルコニアビーズを粉砕室容量の80%充填したサンドグラインドミル「ミニツエア(アシザワ・ファインテック社製)」を用意し、その入口側に循環ポンプと撹拌機付きのオープンタンクを繋いだ。一方、サンドグラインドミルの出口はオープンタンクに開放した。上記のエポキシ樹脂液を60℃に再加熱して粘度を下げ、350gをオープンタンクに投入し、循環ポンプで粉砕室も完全に満たしてからミルを運転開始した。ミルには水冷ラインがあるので通水を調整して粉砕室内が50〜60℃になるようにした。ミル回転子の周速は11〜12m/秒とした。
その後、オープンタンクに「ハイミクロンHE5」を10g徐々に入れて循環粉砕を進め、次いで「アエロジルR805」を1.6g同様に加えた。これで5分ほど循環粉砕を進め、次いで「PES4100MP」16gを徐々に加えた後、40分間湿式粉砕(実質は分散操作)を続けた。ミルの出口をオープンタンクからポリエチ瓶に向くようにし、全エポキシ樹脂100部に対してPES4.5部、微粉タルク2.9部、アエロジル0.5部入りの混合物をポリエチ瓶に得た。次いでビーカーに前記混合物108部に対し硬化剤「DICY7」5部を取ってガラス棒でよく混練し、次いで硬化助剤「DCMU99」3部を取って再度よく混練した。次いでビーカーにアルミ箔で蓋をして常温下に50時間放置して一種の熟成を行い、ポリ瓶に取り直して5℃とした冷蔵庫に保管した。この接着剤の名称を「PES,T3,A0.5」とした。
〔実験例14〕(接着剤:アエロジルとCNT)
実験例13と同様に接着剤を作製したが、サンドグラインドミルのオープンタンクにエポキシ樹脂350gを投入し、循環ポンプで全てを満たしてからミルを運転開始した後でオープンタンクに投入したのは「PES4100MP」16g、微粉タルク「ハイミクロンHE5」10g、ヒュームドシリカ「アエロジルR805」2gに加えてCNT「MCNT」0.3gだった。そしてミルから全エポキシ樹脂100部に対しPES4.5部、微粉タルク2.9部、アエロジル0.5部、CNT0.07部入りの混合物を得た。次いでビーカーに前記混合物108部に対し、「DICY7」5部と「DCMU99」3部を実験例13と同様に加え40℃で5分間混練した。これを常温で50時間寝かせた後にポリエチ瓶に取って5℃とした冷蔵庫に保管した。この接着剤の名称を「PES,T3,A0.5,C0.07」とした。
〔実験例15〕(接着剤:比較)
実験例13と全く同様にして接着剤を作ったがヒュームドシリカ「アエロジルR802」を加えなかったことが異なる接着剤を作製した。すなわち、硬化剤ジシアンジアミドを加える前の混合物には全エポキシ樹脂100部基準でPESが4.5部、微粉タルクが2.9部含まれたものであった。得られた接着剤の名称を「PES,T3」とした。
〔実験例16〕(接着剤)
実験例13と全く同様にして接着剤を作ったがPES粉体「PES4100MP」を加えなかったことだけが異なる接着剤を作製した。すなわち、硬化剤「DICY7」等を加える前の混合物には全エポキシ樹脂100部基準で微粉タルク「ハイミクロンHE5」が2.9部、「アエロジルR805」が0.5部含まれたものであった。得られた接着剤の名称を「T3,A0.5」とした。
〔実験例17〕(接着剤:比較)
実験例16と全く同様にして接着剤を作ったがヒュームドシリカ「アエロジルR802」を加えなかった。すなわち、硬化剤ジシアンジアミドを加える前の混合物には全エポキシ樹脂100部基準で微粉タルク「ハイミクロンHE5」が2.9部含まれたものであった。得られた接着剤の名称を接着剤「T3」とした。
〔実験例18〕(接着実験:A7075アルミニウム合金)
実験例1に示した方法で45mm×15mm×3mm厚のA7075アルミニウム合金片を6個作製し、この小片の端部に実験例13で得た接着剤「PES,T3,A0.5」を塗り付けた。これを予め60度にした温風乾燥機内に30分入れて予熱しておいた大型デシケータに入れて蓋をし、真空ポンプを使用して内部を30mmHg以下の減圧にした。減圧下に数分おき、常圧に戻した。この減圧/常圧戻しの操作を3回繰り返し、その後にデシケータを開いてアルミニウム合金片を取り出した。そして接着剤塗布面同士を突き合わせ接着面積が0.6〜0.7cmになるようにしてからクリップ2個で固定し、3組を作った。これを90℃にセットしておいた熱風乾燥機内に入れた。90℃に30分保持した後に120℃に昇温し、30分おいてから135℃に昇温してこの温度に30分保持した。その後にさらに165℃に昇温して30分保持し、さらに180℃に昇温して30分おき、熱風乾燥機の電源を切って翌日まで放冷した。
得られた一体化物を常温と100℃と150℃下で引っ張り破断試験した。せん断破断力を接着面積で除して3組のせん断破断力を算出し平均値を出したところ常温下は68.9MPa、100℃下は55.1MPa、150℃下は17.1MPaであった。
〔実験例19〕(接着実験)
実験例14で得られた接着剤「PES,T3,A0.5,C0.07」を使用して実験例1で得られたA7075アルミニウム合金片同士を接着硬化してNATによるせん断破断力測定用の試験試料を作成した。すなわち、使用した接着剤が「PES,T3,A0.5,C0.07」であるほかは実験例18と全く同様に実験を進め、せん断破断力を測定した。常温下のせん断破断力の平均は77.1MPa、100℃下の平均は54.0MPa、150℃下の平均は16.0MPaであった。常温下では実験例18より10MPa程度高く、CNTの添加が常温付近での接着力向上に役立つが高温下では効果が明白に出ない。
〔実験例20〕(接着実験:比較)
実験例15で得られた接着剤「PES,T3」を使用して実験例1で得たA7075アルミニウム合金片同士を接着硬化してNATによるせん断破断力測定用の試験試料を作製した。すなわち、使用した接着剤が「PES,T3」である他は実験例18と全く同様に実験を進め、せん断破断力を測定した。常温下のせん断破断力の平均は68.8MPa、100℃下の平均のせん断破断力は32.0MPa、150℃下の平均のせん断破断力は10.2MPaであった。実験例18と比較すればアエロジルを含まないことが異なるが、常温下ではほぼ差異がないように思われ、100℃下、150℃下では大きく低下した。アエロジル添加効果は常温下ではよくわからないが、明らかに高温下での接着力が向上した。
〔実験例21〕(接着実験)
実験例16で得た接着剤「T3,A0.5」を使用して実験例1で得たA7075アルミニウム合金片同士を接着硬化してNATによるせん断破断力測定用の試験試料を作製した。すなわち、使用した接着剤が接着剤「T3,A0.5」であるほかは実験例20と全く同様に実験を進め、せん断破断力を測定した。常温下のせん断破断力の平均は68.5MPa、100℃下の平均のせん断破断力は50.2MPa、150℃下の平均のせん断破断力は17.3MPaであった。実験例18、19と比較し、100℃下では大差なかった。
〔実験例22〕(接着実験:比較)
実験例17で得られた接着剤「T3」を使用して実験例1で得られたA7075アルミニウム合金片同士を接着硬化してNATによるせん断破断力測定用の試験試料を作製した。すなわち、使用した接着剤が接着剤「T3」である他は実験例20と全く同様に実験を進め、せん断破断力を測定した。常温下のせん断破断力の平均は67.1MPa、100℃下の平均のせん断破断力は32.0MPa、150℃下の平均のせん断破断力は7.3MPaであった。実験例18、19と比較して超微細無機充填材を全く含まないことが異なるが、高温域で接着力は大きく低下した。
〔実験例23〜33〕(接着実験)
接着剤「PES,T3」と接着剤「PES,T3,A0.5」を使用して実験例2〜12で得られた金属合金片同士を接着硬化して各種金属合金片同士のNATによるせん断破断力測定用の試験試料を作製した。これらを常温下と100℃下で各3個ずつ破断してせん断破断力を測定し平均した。その結果を表1に示す。
表1より明らかだが、100℃下のデータは金属合金種にあまり関りなく「PES,T3」で概ね25〜30MPaであり、「PES,T3,A0.5」で40〜50MPaと急上昇する。全体を比較して、厚さの薄とかやや軟質である合金片での実験値が低いこと、また、表面性のやや劣るチタン合金類が他よりやや低めであった。
〔実験例34〕(CFRPとの複合体の作製)
CFRPプリプレグ「パイロフィルTR3110(三菱レイヨン社製)」を入手し、45mm×15mmの小片多数を切り出した。実験例1にて得られた表面処理を行ったA7075アルミニウム合金片の端部に実験例13で作製した接着剤「PES,T3,A0.5」を塗布し、さらにデシケータに入れて減圧/常圧戻しの操作を3回加えた。前述した図13に示す焼成金型1を用いてアルミニウム合金片とCFRPとの接合体を作製する。金型の2と5内に、0.05mmポリエチフィルムの離型用フィルム17を敷き、上記したアルミニウム合金片11、PTFEスペーサ16を置いた。先ほど切断しておいた45mm×15mmのCFRPプリプレグ「パイロフィルTR3110(三菱レイヨン社製)」を厚さ3mm分積層して置いた。さらに、アルミニウム合金片11の上部にポリエチフィルム製の離型用フィルム14を置いた。
PTFE製のスペーサ13とブロック15を載せ、熱風乾燥機に入れた。そこで更にPFTEスペーサ、ブロック13、15の上に、5kgの鉄の錘18をのせて乾燥機に通電し90℃まで昇温して30分おき、次いで120℃まで昇温して30分おき、135℃まで昇温して30分おき、さらに165℃に昇温して30分おき、180℃まで上げて30分おき、通電を止めて扉を閉めたまま放冷した。翌日に乾燥機から出し、焼成金型1から成形物を離型し、ポリエチフィルムを剥ぎ取って図14に示すアルミニウム合金とCFRPの複合体10を得た。同じ操作を繰り返し、アルミニウム合金片とCFRPの複合体である一体化物10を6個得た。
接合後2日目に引っ張り破断試験した。CFRP部分は紙やすりをかけた1mm厚のSUS304ステンレス鋼片2枚で挟み、これをチャック板で挟んで固定する方法を取った。常温下でのせん断破断力は最高で38.0MPaだが平均では35.8MPaであり、破断面を観察するとアルミニウム合金側に炭素繊維カスが僅かだが何れも付着していた。また、100℃下の平均のせん断破断力は23.2MPaであり、アルミニウム合金側に炭素繊維カスは付着していなかった。
〔実験例35〕(CFRPとの複合体の作製)
実験例34と全く同様に実験を進め、CFRP片とA7075アルミニウム合金片を接着剤「PES,T3,A0.5」にてコキュア接着して一体化した。3対を得て、これを90℃とした熱風乾燥機に入れて30分おき、135℃に上げて30分おき、165℃に上げて30分おき、さらに180℃に上げて1時間おいて出した。
翌日、熱風乾燥機から出して常温下で引っ張り破断試験をしたところ、せん断破断力は最高で43.0MPa、平均で42.8MPaであり、実験例34より向上していた。さらに破断面を観察すると、アルミニウム合金側に炭素繊維カスが何れも付着していた。炭素繊維とマトリックス樹脂の間で剥がれが生じ、これが起点となって破断したとみられた。そしてこれは使用したこのプリプレグについて言えることであろうが、実験例34との関係から、炭素繊維とマトリックス樹脂間の接着力は硬化条件をきつくすることで向上することがわかった。
〔実験例36〕(接着剤とCFRPとの複合体の作製:クレー充填材)
実験例13と全く同様に接着剤を作製したが、無機充填材として微粉タルク「ハイミクロンHE5(竹原化学工業社製)」を使用せず、代わりに焼成カオリンクレーの「サテントン5(竹原化学工業社製)」を使用した。この接着剤の名称を「PES,KC3,A0.5」とした。
実験例1で得られた表面処理を行ったA7075アルミニウム合金片の端部に上記で作製した接着剤「PES,KC3,A0.5」を塗布した。それ以外は実験例35と全く同様に実験を進め、A7075アルミニウム合金とCFRPの複合体10を3対得た。接合後7日目に引っ張り破断試験した。CFRP部分は紙やすりをかけた1mm厚のSUS304ステンレス鋼片2枚で挟み、これをチャック板で挟んで固定する方法をとった。常温下でのせん断破断力は平均で41.2MPaであった。この結果は実験例35に近かった。
〔実験例37〕(CFRPとの複合体の作成:コボンド)
CFRPプリプレグ「パイロフィルTR3110(三菱レイヨン社製)」を入手し、45mm×15mmの小片多数を切り出した。前述した図13に示す焼成金型1を用いてCFRPの長方形体を作製する。金型の2と5内に、0.05mmポリエチフィルムの離型用フィルム17を敷き、通常は上記した11の位置に置く金属合金片に代えて同形状のPTFE片を置き、さらにPTFEスペーサ16を置いた。先ほど切断しておいた45mm×15mmのCFRPプリプレグ「パイロフィルTR3110(三菱レイヨン社製)」を3mm厚分積層して置いた。さらに、PTFE片11の上部にポリエチフィルム製の離型用フィルム14を置いた。
PTFE製のスペーサ13とブロック15を載せ、熱風乾燥機に入れた。そこでさらにPFTEスペーサ、ブロック13、15の上に、5kgの鉄の錘18を載せて熱風乾燥機を作動させ90℃まで昇温して30分おき、次いで120℃まで昇温して30分おき、135℃まで昇温して30分おき、さらに165℃に昇温して30分おき、180℃まで上げて30分おき、熱風乾燥機の作動を停止して扉を閉めたまま放冷した。翌日に熱風乾燥機から出し、焼成金型1から成形物を離型し、ポリエチフィルムを剥ぎ取ってCFRPの長方形体を得た。この作業を繰り返し、CFRP片多数を得た。
3日後に上記で得られたCFRP片の一部を再び熱風乾燥機に入れ、90℃で30分おき、次いで135℃まで昇温して30分置き、さらに165℃に昇温して30分おき、190℃まで上げて30分おき放冷した。これを2度焼き品と称した。得た2度焼き品を3日後に同じ条件でもう一度焼いた。これを3度焼き品と称した。
上記の作業で得たCFRP片の端部を#100サンドペーパーでしっかり数回擦り粗面化した。このCFRP片を実験例1で使用した60℃の脱脂槽に超音波付きで5分浸漬し、純水でよく洗浄して90℃で15分乾燥した。このCFRP部材の粗面化部に実験例13で作製した接着剤「PES,T3,A0.5」を塗布した。一方、実験例1にて得た表面処理を行ったA7075アルミニウム合金片を得てその端部にも実験例13で作製した接着剤「PES,T3,A0.5」を塗布した。得られた接着剤付きCFRP片と同A7075アルミニウム合金片の双方をデシケータに入れて減圧/常圧戻しの操作を3回加えた。
デシケータから出し、CFRP片とアルミニウム合金片の接着剤塗布片同士を0.6〜0.7cmの接着面として接触させクリップ2個で固定して対を作った。この対を熱風乾燥機に入れ、90℃まで昇温して30分置き、次いで135℃まで昇温して50分おき、さらに165℃に昇温して30分おき、放冷した。
接合後2日目に引っ張り破断試験した。その結果を表2に示す。理由はわからないが、CFRP片を何回も焼き直すと炭素繊維とマトリックス樹脂間の接着力が向上するのかアルミニウム合金片とCFRP片の接着力は高くなり、3回焼き品ではせん断破断力の最高値の物は71.8MPaあった。平均値も70MPa付近であり、A7075アルミニウム合金片同士の接着物のデータ(実験例18)とほぼ同じとなった。
〔実験例38〜42〕(CFRPとの複合体の作成:コボンド:比較も含む)
実験例37と全く同様に行ったが、使用した接着剤だけ接着剤「PES,T3,A0.5」ではなく別のものを使用した。実験例41ではジシアンジアミドを硬化剤とする市販の1液性エポキシ系接着剤「EP106NL(セメダイン社)」、実験例42ではイミダゾール類を硬化剤とする市販の1液性エポキシ系接着剤「EP160(セメダイン社)」を使用した。硬化条件等も実験例37と同じである。引っ張り破断試験した結果の平均値を表3に示す。
表3から、アエロジル入りの接着剤を使用すると高温での接着力が大きく向上し、硬化剤にジシアンジアミドではなくイミダゾール化合物を使用して耐熱性接着剤として市販されている「EP160(セメダイン社製)」よりも100℃下で優れていることが分かった。また、実験例41にて使用した市販の接着剤「EP106NL」には無機充填材が含まれており、中味としては実験例40の接着剤「T3」に最も似ていると予想した。その結果もやや似た傾向であったが、高温下での結果は若干だが実験例40の方が優れるように思われた。これが事実とすれば、その理由はエポキシ樹脂のレシピーが適当だったからだと推測される。「EP106NL」は低粘度接着剤として市販されており、エポキシ樹脂中のビスフェノールA型エポキシ樹脂単量体型の含有量が本実験でのレシピー(60%とした)より多いのではないだろうか。本実験シリーズで使用したエポキシ樹脂混合物は多分に良好な組成比だと言えよう。
図1は、A7075アルミニウム合金を苛性ソーダ水溶液でエッチングし水和ヒドラジン水溶液で微細エッチング等して得たものの1万倍、10万倍電顕写真である。 図2は、A5052アルミニウム合金を苛性ソーダ水溶液でエッチングし水和ヒドラジン水溶液で微細エッチング等して得たものの1万倍、10万倍電顕写真である。 図3は、AZ31Bマグネシウム合金をクエン酸水溶液でエッチングし過マンガン酸カリ水溶液で化成処理等して得たものの10万倍電顕写真2種である。 図4は、C1100銅合金を硫酸・過酸化水素水溶液でエッチングし亜塩素酸ソーダ水溶液で表面硬化処理等して得たものの1万倍、10万倍電顕写真である。 図5は、C5191リン青銅合金を硫酸・過酸化水素水溶液でエッチングし亜塩素酸ソーダ水溶液で表面硬化処理等して得たものの1万倍、10万倍電顕写真である。 図6は、「KFC(神戸製鋼所社製)」銅合金を硫酸・過酸化水素水溶液でエッチングし亜塩素酸ソーダ水溶液で表面硬化処理等して得たものの1万倍、10万倍電顕写真である。 図7は、「KLF5(神戸製鋼所社製)」銅合金を硫酸・過酸化水素水溶液でエッチングし亜塩素酸ソーダ水溶液で表面硬化処理等して得たものの1万倍、10万倍電顕写真である。 図8は、「KS40(神戸製鋼所社製)」純チタン系チタン合金を1水素2弗化アンモニウム水溶液でエッチング等して得たものの1万倍、10万倍電顕写真である。 図9は、「KSTi−9(神戸製鋼所社製)」α−β系チタン合金を1水素2弗化アンモニウム水溶液でエッチング等して得たものの1万倍、10万倍電顕写真である。 図10は、SUS304ステンレス鋼を硫酸水溶液でエッチング等して得たものの1万倍、10万倍電顕写真である。 図11は、冷間圧延鋼材「SPCCブライト」を硫酸水溶液でエッチング等して得たものの1万倍、10万倍電顕写真である。 図12は、熱間圧延鋼材「SPHC」を硫酸水溶液でエッチング等して得たものの1万倍、10万倍電顕写真である。 図13は、金属片とFRPプリプレグを1液性熱硬化型接着剤で貼り合せ、熱風乾燥機内で硬化させるための焼成治具を模式的に示す断面図である。 図14は、NAT型処理をした金属合金片とFRPが1液性エポキシ系接着剤によってコキュア接着して得た一体化物の形状を表したものである。 図15は、NAT型処理をした各種金属合金片同士の1液性エポキシ系接着剤による接着物の形状を表したものである。 図16は、新NMT理論、NAT理論での金属合金表面構造を示す模式的部分断面図である。 図17は、NAT型処理した金属合金片とエポキシ接着剤硬化物の接合面が破断寸前になったときの模式図である。
符号の説明
1…焼成治具
2…金型本体
3…金型凹部
4…金型貫通孔
5…金型底板
6…底板突起
7…金型底面
8…台座
10…金属合金片とFRPの一体化物
11…金属合金片
12…FRP
13…離型用フィルム
14…PTFEブロック
15…PTFEブロック
16…PTFEスペーサ
17…離型用フィルム
20…金属合金片とFRPの一体化物
21…金属合金片
22…FRP
30…金属合金同士の複合体
31…金属合金片
32…金属合金片
40…金属合金片の金属合金相
41…セラミック質層
42…接着剤硬化物相
50…金属合金片の金属合金相
51…セラミック質層
52…接着剤硬化物相
53…剥がれて生じた空間

Claims (28)

  1. 表面が化学エッチングによるミクロンオーダーの粗度を有しているとともに5〜500nmの不定期な周期の超微細凹凸面で覆われた形状であり、かつ該表面に金属酸化物または金属リン酸化物の薄層が形成されている金属形状物と、
    該金属形状物と接着接合される被着材と、
    前記金属形状物と前記被着材との接着面に塗布された接着剤が硬化してなり前記金属形状物と前記被着材とを一体的に接着させる接着剤硬化層と、
    からなる金属合金を含む接着複合体であって、前記接着剤が熱硬化型エポキシ系接着剤であり、充填材として粒径分布の中心が5〜20μmの無機粉体充填材を含むとともに、少なくとも粒径100nm以下の超微細無機粉末を0.3〜3質量%含むものであることを特徴とする金属合金を含む接着複合体。
  2. 請求項1に記載の金属合金を含む接着複合体において、前記接着剤が充填材としてさらに、熱可塑性樹脂粉体1〜10質量%含むものであることを特徴とする金属合金を含む接着複合体。
  3. 請求項2に記載の金属合金を含む接着複合体において、前記熱可塑性樹脂がポリエーテルスルホンであることを特徴とする金属合金を含む接着複合体。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の金属合金を含む接着複合体において、 前記接着剤が充填材としてさらに、カーボンナノチューブ0.02〜0.2質量%含むものであることを特徴とする金属合金を含む接着複合体。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の金属合金を含む接着複合体において、 前記超微細無機粉末がヒュームドシリカであることを特徴とする金属合金を含む接着複合体。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の金属合金を含む接着複合体において、 前記接着剤がサンドグラインドミル型湿式粉砕機を使用して充填材をエポキシ樹脂中に高品位分散させることにより作製されたものであることを特徴とする金属合金を含む接着複合体。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の金属合金を含む接着複合体において、前記金属形状物は、表面が化学エッチングによるミクロンオーダーの粗度を有しているとともに10〜100nm径で同等の深さまたは高さの凹部もしくは突起である不定期な周期の超微細凹凸面で覆われた形状であり、かつ該表面にナトリウムイオンを含まない厚さ2nm以上の酸化アルミニウム薄層が形成されているアルミニウム合金製の金属形状物であることを特徴とする金属合金を含む接着複合体。
  8. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の金属合金を含む接着複合体において、前記金属形状物は、表面が化学エッチングによるミクロンオーダーの粗度を有しているとともに5〜20nm径で20〜200nm長さの棒状物が無数に錯綜した形の超微細凹凸面で覆われた形状であり、かつ該表面にマンガン酸化物の薄層が形成されているマグネシウム合金製の金属形状物であることを特徴とする金属合金を含む接着複合体。
  9. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の金属合金を含む接着複合体において、前記金属形状物は、表面が化学エッチングによるミクロンオーダーの粗度を有しているとともに5〜20nm径で10〜30nm長さの棒状突起が無数に有する直径80〜100nmの球状物が不規則に積み重なった形状の超微細凹凸面で覆われた形状であり、かつ該表面にマンガン酸化物の薄層が形成されているマグネシウム合金製の金属形状物であることを特徴とする金属合金を含む接着複合体。
  10. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の金属合金を含む接着複合体において、前記金属形状物は、表面が化学エッチングによるミクロンオーダーの粗度を有しているとともに20〜40nmの粒形物及び/または不定多角形状物が積み重なった形状の超微細凹凸面で覆われた形状であり、かつ該表面にマンガン酸化物の薄層が形成されているマグネシウム合金製の金属形状物であることを特徴とする金属合金を含む接着複合体。
  11. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の金属合金を含む接着複合体において、前記金属形状物は、表面が化学エッチングによるミクロンオーダーの粗度を有しているとともに直径または長径短径の平均が10〜150nmの孔開口部または凹部が30〜300nmの非定期な間隔で全面に存在する超微細凹凸面でほぼ全面が覆われた形状であり、かつ該表面に主として酸化第2銅の薄層が形成されている銅合金製の金属形状物であることを特徴とする金属合金を含む接着複合体。
  12. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の金属合金を含む接着複合体において、前記金属形状物は、表面が化学エッチングによるミクロンオーダーの粗度を有しているとともに直径または長径短径の平均が10〜200nmの凸部が混在して全面に存在する超微細凹凸形状であり、かつ該表面に主として酸化第2銅の薄層が形成されている銅合金製の金属形状物であることを特徴とする金属合金を含む接着複合体。
  13. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の金属合金を含む接着複合体において、前記金属形状物は、表面が化学エッチングによるミクロンオーダーの粗度を有しているとともに直径または長径短径の平均が10〜150nmの粒形物または不定多角形状物連なり一部融け合って積み重なった形状の超微細凹凸形状でほぼ全面が覆われており、かつ該表面に主として酸化第2銅の薄層が形成されている銅合金製の金属形状物であることを特徴とする金属合金を含む接着複合体。
  14. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の金属合金を含む接着複合体において、前記金属形状物は、表面が化学エッチングによるミクロンオーダーの粗度を有しているとともに直径10〜20nmの粒形物及び50〜150nm径の不定多角形状物が混在して積み重なった形状の超微細凹凸形状でほぼ全面が覆われており、かつ該表面に主として酸化第2銅の薄層が形成されている銅合金製の金属形状物であることを特徴とする金属合金を含む接着複合体。
  15. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の金属合金を含む接着複合体において、前記金属形状物は、表面が化学エッチングによるミクロンオーダーの粗度を有しているとともに高さ及び幅が10〜350nm、長さが10nm以上の山状または連山状凸部が10〜350nm周期で全面に存在する超微細凹凸形状であり、かつ、その表面に主としてチタン酸化物の薄層が形成されているチタン合金製の金属形状物であることを特徴とする金属合金を含む接着複合体。
  16. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の金属合金を含む接着複合体において、前記金属形状物は、表面が化学エッチングによる山谷平均間隔RSmが1〜10μm、最大粗さ高さRzが1〜5μmである粗度を有するとともに10μm角の面積内に円滑なドーム状形状と枯葉状形状の双方が観察される超微細凹凸形状で覆われており、かつ該表面に主としてチタンとアルミニウムを含む金属酸化物薄層が形成されているα−β型チタン合金製の金属形状物であることを特徴とする金属合金を含む接着複合体。
  17. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の金属合金を含む接着複合体において、前記金属形状物は、表面が化学エッチングによるミクロンオーダーの粗度を有するとともに直径20〜70nmの粒形物や不定多角形状物が積み重なった形状の超微細凹凸形状でほぼ全面が覆われており、かつ該表面に金属酸化物の薄層が形成されているステンレス鋼製の金属形状物であることを特徴とする金属合金を含む接着複合体。
  18. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の金属合金を含む接着複合体において、前記金属形状物は、表面が化学エッチングによるミクロンオーダーの粗度を有するとともに高さ80〜150nm、奥行き80〜200nmで幅が数百〜数千nmの段差が無限に続いた形状の超微細凹凸形状でほぼ全面が覆われており、かつ該表面にマンガン酸化物、クロム酸化物、亜鉛リン酸化物、または亜鉛とカルシウムのリン酸化物のいずれかの薄層が形成されている鋼材製の金属形状物であることを特徴とする金属合金を含む接着複合体。
  19. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の金属合金を含む接着複合体において、前記金属形状物は、表面が化学エッチングによるミクロンオーダーの粗度を有するとともに高さ80〜150nm、奥行きが80〜500nmで幅が数百〜数千nmの段差が無限に続いた形状の超微細凹凸形状でほぼ全面が覆われており、かつ、該表面にマンガン酸化物、クロム酸化物、亜鉛リン酸化物、または亜鉛とカルシウムのリン酸化物のいずれかの薄層が形成されている鋼材製の金属形状物であることを特徴とする金属合金を含む接着複合体。
  20. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の金属合金を含む接着複合体において、前記金属形状物は、表面が化学エッチングによるミクロンオーダーの粗度を有するとともに高さ50〜100nm、奥行きが80〜200nmで幅が数百〜数千nmの段差が無限に続いた形状の超微細凹凸形状でほぼ全面が覆われており、かつ、該表面にマンガン酸化物、クロム酸化物、亜鉛リン酸化物、または亜鉛とカルシウムのリン酸化物のいずれかの薄層が形成されている鋼材製の金属形状物であることを特徴とする金属合金を含む接着複合体。
  21. 請求項1ないし20のいずれか1項に記載の金属合金を含む接着複合体において、前記被着材は前記金属形状物と全く同種同質の金属形状物であるか、または化学エッチングによるミクロンオーダーの粗度を有するとともに5〜500nmの不定期な周期の微細凹凸形状で覆われた形状であり、かつ該表面に金属酸化物または金属リン酸化物の薄層が形成されている金属形状物であることを特徴とする金属合金を含む接着複合体。
  22. 請求項1ないし20のいずれか1項に記載の金属合金を含む接着複合体において、前記被着材はエポキシ樹脂をマトリックスとする繊維強化プラスチックであることを特徴とする金属合金を含む接着複合体。
  23. 請求項22に記載の金属合金を含む接着複合体において、前記被着材はエポキシ樹脂をマトリックスとする炭素繊維強化プラスチックであることを特徴とする金属合金を含む接着複合体。
  24. 同種または異種の複数の金属合金材を機械的加工によりそれぞれの所定形状を有する金属形状物を形成する工程と、
    前記所定形状を有する前記金属形状物の表面を5〜500nmの不定期な周期の超微細凹凸形状で覆われた超微細凹凸面としかつ該超微細凹凸面が山谷平均間隔RSmが1〜10μmで最大粗さ高さRzが0.2〜5μmの粗度のより大きな凹凸形状を有する面となるよう化学エッチング含む各種液処理を施す表面処理工程と、
    エポキシ樹脂、硬化剤、粒度分布の中心が5〜20μmの無機粉体及び粒子径100nm以下の無機微粉末を少なくとも含む熱硬化型エポキシ系接着剤を作製しこれを前記金属形状物に塗布する工程と、
    前記の熱硬化型エポキシ系接着剤を塗布済みの同種または異種の金属合金からなる金属形状物同士を貼り合せ、固定し、加熱によって全未硬化樹脂をゲル化硬化させて両者を一体化させる工程と、
    を含むことを特徴とする金属合金を含む接着複合体の製造方法。
  25. 金属合金材を機械的加工によりそれぞれの所定形状を有する金属形状物を形成する工程と、
    前記所定形状を有する前記金属形状物の表面を5〜500nmの不定期な周期の超微細凹凸形状で覆われた超微細凹凸面としかつ該超微細凹凸面が山谷平均間隔RSmが1〜10μmで最大粗さ高さRzが0.2〜5μmの粗度のより大きな凹凸形状を有する面となるように化学エッチング含む各種液処理を施す表面処理工程と、
    エポキシ樹脂、硬化剤、充填材としての粒度分布の中心が5〜20μmの無機粉体及び超微細充填材としての平均粒子径100nm以下の無機微粉末を少なくとも含む熱硬化型エポキシ系接着剤を作製しこれを前記金属形状物に塗布する工程と、
    エポキシ系樹脂組成物をマトリックス樹脂とする繊維強化プラスチックのプリプレグを切断積層等の作業により所定形状に整える工程と、
    前記の熱硬化型エポキシ系接着剤を塗布済みの金属形状物とプリプレグ形状物とを合せ押し付けつつ固定し加熱によって全未硬化樹脂をゲル化硬化させて両者を一体化させる工程と、
    を含むことを特徴とする金属合金を含む接着複合体の製造方法。
  26. 金属合金材を機械的加工によりそれぞれの所定形状を有する金属形状物を形成する工程と、
    前記所定形状を有する前記金属形状物の表面を5〜500nmの不定期な周期の超微細凹凸形状で覆われた超微細凹凸面としかつ該超微細凹凸面が山谷平均間隔RSmが1〜10μmで最大粗さ高さRzが0.2〜5μmの粗度のより大きな凹凸形状を有する面となるように化学エッチング含む各種液処理を施す表面処理工程と、
    エポキシ系樹脂組成物をマトリックス樹脂とする繊維強化プラスチックの硬化形状物を用意し接着すべき箇所を粗面化する工程と、
    エポキシ樹脂、硬化剤、粒度分布の中心が5〜20μmの無機粉体及び粒子径100nm以下の無機超微粉末を少なくとも含む熱硬化型エポキシ系接着剤を作製しこれを前記金属形状物及び前記繊維強化プラスチックの硬化形状物に塗布する工程と、
    前記熱硬化型エポキシ系接着剤を塗布済みの金属形状物と繊維強化プラスチックの硬化形状物とを合せ押し付けつつ固定し加熱によって全未硬化樹脂をゲル化硬化させて両者を一体化させる工程と、
    を含むことを特徴とする金属合金を含む接着複合体の製造方法
  27. 請求項24ないし26のいずれか1項に記載の金属合金を含む接着複合体の製造方法において、
    前記した金属形状物及び/または繊維強化プラスチックのプリプレグないし硬化形状物に接着剤を塗布する工程後に、塗布済み材を密閉容器に収納し、容器内を減圧しその後に加圧する操作を繰り返し行う、材料表面への接着剤染み込まし工程を付加した、
    ことを特徴とする金属合金を含む接着複合体の製造方法。
  28. 請求項24ないし27のいずれか1項に記載の金属合金を含む接着複合体の製造方法において、
    前記した熱硬化型エポキシ系接着剤の製造過程で充填材の分散を進めるためにサンドグラインドミル型湿式粉砕機を使用する、
    ことを特徴とする金属合金を含む接着複合体の製造方法。
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