JP2010128275A - 感光性樹脂組成物、これを用いた感光性フィルム及び永久レジスト - Google Patents

感光性樹脂組成物、これを用いた感光性フィルム及び永久レジスト Download PDF

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【課題】 アルカリ現像可能で、且つはんだ耐熱性、HAST耐性、耐クラック性及び耐金めっき性に優れた感光性樹脂組成物、これを用いた感光性フィルム及び永久レジストを提供する。
【解決手段】 (a)カルボキシル基及びエチレン性不飽和基を有するアクリル系ポリマ、(b)分子中に少なくとも1個以上のエチレン性不飽和基を有する光重合性モノマ、(c)光重合開始剤、及び(d)熱硬化剤を含有する感光性樹脂組成物であって、前記(a)が、分子中に下記一般式(I)に示すマレイミド又はマレイミド誘導体に由来する繰り返し単位を有する、感光性樹脂組成物。
【化4】
Figure 2010128275

(一般式(I)中、Rは水素、アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基又はアリール基を示し、nは正の整数を示す。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、感光性樹脂組成物、これを用いた感光性フィルム及び永久レジストに関する。
各種電気及び電子機器の小型化、軽量化及び多機能化に伴い、それを構成する半導体素子、半導体パッケージ、プリント配線板、フレキシブル配線板等は高精細化しており、微細な開口パターンを形成できる感光性のソルダーレジストが要求されている。
ソルダーレジストには、一般的に、アルカリ現像性、高解像性、絶縁性、表面硬化性、はんだ耐熱性及びめっき耐性等の特性に加え、−55℃〜125℃の温度サイクル試験(TCT)に対する耐クラック性、及び超加速高温高湿寿命試験(HAST)に対する微細配線間でのHAST耐性等の特性が求められる。
一方、近年では、膜厚均一性、表面平滑性及び薄膜形成性の観点から、ドライフィルムタイプのソルダーレジストが注目されている。さらに、ドライフィルムタイプは、工程簡便化、溶剤排出量の低減化などの利点を有している。
現在、ソルダーレジストを形成するために使用される感光性樹脂組成物は、硬化剤であるエポキシ樹脂と、アルカリ現像性を付与させるためのカルボン酸含有感光性プレポリマーとを別々に分けた液状2液タイプが主流である。感光性プレポリマーとしては、ノボラック型、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型等のエポキシ樹脂にアクリル酸を付加し、その後、酸変性したアルカリ現像可能な感光性プレポリマーが広く使用されている(例えば、特許文献1を参照)。
特開平11−240930号公報
しかしながら、上記従来の感光性樹脂組成物は、はんだ耐熱性等には優れるが、樹脂が硬くもろいため、耐クラック性に劣るという欠点があった。
また、アルカリ現像性を向上させるためのカルボン酸含有プレポリマーを含むことにより、耐金めっき性が劣るという問題があった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、アルカリ現像可能で、且つはんだ耐熱性、HAST耐性、耐クラック性及び耐金めっき性に優れた感光性樹脂組成物、これを用いた感光性フィルム及び永久レジストを提供することを目的とする。
本発明は、[1](a)カルボキシル基及びエチレン性不飽和基を有するアクリル系ポリマ、(b)分子中に少なくとも1個以上のエチレン性不飽和基を有する光重合性モノマ、(c)光重合開始剤、及び(d)熱硬化剤、を含有する感光性樹脂組成物であって、前記(a)カルボキシル基及びエチレン性不飽和基を有するアクリル系ポリマが、分子中に下記一般式(I)に示されるマレイミド又はマレイミド誘導体に由来する繰り返し単位を有する、感光性樹脂組成物を提供する。
Figure 2010128275
(一般式(I)中、Rは水素、アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基又はアリール基を示し、nは正の整数を示す。)
また、本発明は、[2]前記(a)カルボキシル基及びエチレン性不飽和基を有するアクリル系ポリマが、前記一般式(I)に示されるマレイミド又はマレイミド誘導体に由来する繰り返し単位を分子中に5〜60質量%含有する、上記[1]記載の感光性樹脂組成物を提供する。
また、本発明は、[3]前記(a)カルボキシル基及びエチレン性不飽和基を有するアクリル系ポリマのエチレン性不飽和基濃度が、1.0×10−5〜6.0×10−3モル/gである上記感光性樹脂組成物を提供する。
また、本発明は、[4]前記(a)カルボキシル基及びエチレン性不飽和基を有するアクリル系ポリマが、分子内にカルボキシル基及び水酸基を有する共重合体と、エチレン性不飽和基及びイソシアネート基を含む化合物とを反応させて得られるアクリル系ポリマである、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を提供する。
また、本発明は、[5](e)分子内に2個以上の水酸基とエチレン性不飽和基を有するエポキシアクリレート化合物、ジイソシアネート化合物、カルボキシル基を有するジオール化合物とを反応させて得られるポリウレタン化合物、を更に含有する上記[1]〜[4]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を提供する。
また、本発明は、[6]前記(d)熱硬化剤が、エポキシ化合物、ブロック型イソシアネート化合物又はメラミン誘導体のうち少なくとも1つを含む、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を提供する。
また、本発明は、[7](f)無機フィラーを更に含有する上記[1]〜[6]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を提供する。
また、本発明は、[8]支持体と、該支持体上に形成された上記[1]〜[7]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層と、を備える感光性フィルムを提供する。
また、本発明は、[9]基板上に形成された上記[1]〜[7]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層を硬化させて得られる永久レジストを提供する。
本発明によれば、アルカリ現像可能で、且つ、はんだ耐熱性、HAST耐性、耐クラック性及び耐金めっき性に優れた感光性樹脂組成物、これを用いた感光性フィルム及び永久レジストを提供することができる。
また、本発明によれば、プリント配線板、半導体パッケージ基板、フレキシブル配線板に最適な感光性のドライフィルムタイプの永久レジストを提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
なお、本発明における(メタ)アクリル酸とはアクリル酸及びそれに対応するメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートとはアクリレート及びそれに対応するメタクリレートを意味し、(メタ)アクリロイル基とはアクリロイル基及びそれに対応するメタクリロイル基を意味し、(メタ)アクリロキシ基とはアクリロキシ基及びそれに対応するメタクリロキシ基を意味する。
本発明の感光性樹脂組成物は、(a)カルボキシル基及びエチレン性不飽和基を有するアクリル系ポリマ、(b)分子中に少なくとも1個以上のエチレン性不飽和基を有する光重合性モノマ、(c)光重合開始剤、及び(d)熱硬化剤、を含有する。
本発明の大きな特徴となすところは、前記(a)カルボキシル基および光重合性不飽和基を有するアクリル系ポリマが、分子中に下記一般式(I)に示されるマレイミド又はマレイミド誘導体に由来する繰り返し単位を有することにより、硬化膜の物性を向上させ、前記課題を達成することにある。
本発明の(a)カルボキシル基及びエチレン性不飽和基を有するアクリル系ポリマは、側鎖にエチレン性不飽和基を有していればよく、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、マレイミド又はマレイミド誘導体、及びその他の共重合可能なビニルモノマを共重合成分として得られるビニル系共重合体である。
下記一般式(I)で示される繰り返し単位はマレイミド又はマレイミド誘導体に由来するものである。マレイミド誘導体としては、具体的には、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ヒドロキシエチルマレイミド、N−ヒドロキシブチルマレイミド、N−エトキシエチルマレイミド、N−ブトキシエチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−メチルフェニルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−カルボキシフェニルマレイミド、N−メトキシフェニルマレイミド、N−ベンジルマレイミド等が挙げられる。
Figure 2010128275
(一般式(I)中、Rは水素、アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基又はアリール基を示し、nは正の整数を示す。)
前記マレイミド又はマレイミド誘導体に由来する繰り返し単位は、分子内に5〜60質量%含むことが好ましく、10〜50質量%含むことがより好ましい。5質量%未満では硬化膜のはんだ耐熱性が不足する傾向にあり、60質量%を超えると、密着性が低下し、また硬化膜が固く脆くなる傾向にある。
本発明で用いる(a)アクリル系ポリマは、側鎖にエチレン性不飽和基を含むものであり、エチレン性不飽和基の濃度は、1.0×10−5〜6.0×10−3モル/gであることが好ましく、1.0×10−4〜6.0×10−3モル/gであることがより好ましい。
アクリル系ポリマにエチレン性不飽和基を導入する方法としては、公知の方法が挙げられ、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート等の分子内にエチレン性不飽和基及びエポキシ基を有する化合物などをアクリル系ポリマのカルボキシル基に反応させる手法が挙げられる。
本発明の(a)カルボキシル基及びエチレン性不飽和基を有するアクリル系ポリマは、分子内にカルボキシル基及び水酸基を有する共重合体と、エチレン性不飽和基及びイソシアネート基を含む化合物とを反応させて得られるアクリル系ポリマであることが好ましい。これにより得られたアクリル系ポリマは、原料に由来する不純物の影響がなく、HAST耐性等の電気特性を向上できる。
前記分子内にカルボキシル基及び水酸基を有する共重合体は、例えば、(メタ)アクリル酸及び置換基に水酸基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル等を共重合することにより得られる。
また、前記エチレン性不飽和基及びイソシアネート基を含む化合物としては、分子内に(メタ)アクリレート基及び側鎖にイソシアネート基を含む化合物が好ましく、例えば、イソシアネートメチル(メタ)アクリレート、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
その他の共重合成分としては、特に制限はなく、例えば、2−カルボキシエチルメタクリレート、(無水)マレイン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、メタクリル酸アミノメチル、メタクリル酸N−メチルアミノメチル、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノメチル等のメタクリル酸アミノアルキル、アクリル酸N−メチルアミノメチル、アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル等のアクリル酸アミノアルキル、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体、酢酸ビニル等が挙げられる。
(a)成分の酸価は、アルカリ現像性と耐金めっき性の見地から、20〜200mgKOH/gが好ましく、40〜150mgKOH/gがより好ましい。また、重量平均分子量は、フィルム形成性と現像時間の見地から、5000〜150000が好ましく、8000〜100000がより好ましく、10000〜50000がさらに好ましい。
なお、酸価は、以下の方法により測定することができる。まず、測定樹脂溶液約1gを精秤した後、その樹脂溶液にアセトンを30g添加し、樹脂溶液を均一に溶解する。次いで、指示薬であるフェノールフタレインをその溶液に適量添加して、0.1NのKOH水溶液を用いて滴定を行う。そして、滴定結果より以下の式(1);
A=10×Vf×56.1/(Wp×I) (1)
により酸価を算出する。なお、式中Aは酸価(mgKOH/g)を示し、VfはKOH水溶液の滴定量(mL)を示し、Wpは測定樹脂溶液重量(g)を示し、Iは測定樹脂溶液の不揮発分の割合(質量%)を示す。
重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる(標準ポリスチレンによる換算)。
本発明において(b)成分として用いる分子中に少なくとも1個以上のエチレン性不飽和基を有する光重合性モノマとしては、例えば、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物;多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー又はウレタンオリゴマーが挙げられ、これら以外にも、ノニルフェノキシポリオキシエチレンアクリレート;γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシアルキル−β’−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−o−フタレート等のフタル酸系化合物;(メタ)アクリル酸アルキルエステル、EO変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート等が例示可能である。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリブトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。
2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘプタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシオクタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシノナエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシウンデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシドデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサデカエトキシ)フェニル)プロパン等が挙げられ、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−500(製品名、新中村化学工業株式会社製)として商業的に入手可能であり、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−1300(商品名、新中村化学工業株式会社製)として商業的に入手可能である。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘプタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシオクタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシノナプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシウンデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシドデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサデカプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシオクタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラエトキシテトラプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシヘキサプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、例えば、エチレン基の数が2〜14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレン基の数が2〜14でありプロピレン基の数が2〜14であるポリエチレン・ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO・PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
なお、「EO」とは「エチレンオキシド」のことをいい、「PO」とは「プロピレンオキシド」のことをいう。また、「EO変性」とはエチレンオキシドユニット(−CH−CH−O−)のブロック構造を有することを意味し、「PO変性」とはプロピレンオキシドユニット(−CH−CH−CH−O−)、(−CH−CH(CH)−O−)又は(−CH(CH)−CH−O−)のブロック構造を有することを意味する。
グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)フェニル等が拳げられる。
α,β−不飽和カルボン酸としては、例えば(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
ウレタンモノマーとしては、例えば、β位にOH基を有する(メタ)アクリルモノマーとイソホロンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物との付加反応物、トリス((メタ)アクリロキシテトラエチレングリコールイソシアネート)ヘキサメチレンイソシアヌレート、EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、EO又はPO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
さらに、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル等が挙げられる。
これら(b)成分は、1種類を単独で或いは2種類以上を組み合わせて用いられる。
本発明において(c)成分として用いる光重合開始剤としては、特に制限はなく、例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラアルキル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−モルホリノフェノン)−ブタノン−1,2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン等の芳香族ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物等などが挙げられる。これらは1種類を単独で或いは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
(d)成分である熱硬化剤としては、エポキシ化合物、ブロック型イソシアネート化合物又はメラミン誘導体のうち少なくとも1つを含むと好ましい。
エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル等のビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールSジグリシジルエーテル等のビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェノールジグリシジルエーテル等のビフェノール型エポキシ樹脂、ビキシレノールジグリシジルエーテル等のビキシレノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールAグリシジルエーテル等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、及び、それらの二塩基酸変性ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。これらの化合物としては市販のものを用いることができる。例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテルとしては、エピコート828,エピコート1001及びエピコート1002(いずれもジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名)等を挙げることができる。ビスフェノールFジグリシジルエーテルとしてはエピコート807(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名)等を挙げることができ、ビスフェノールSジグリシジルエーテルとしてはEBPS−200(日本化薬株式会社製、商品名)及びエピクロンEXA−1514(大日本インキ化学工業株式会社製、商品名)等を挙げることができる。また、ビフェノールジグリシジルエーテルとしてはYL−6121(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名)等を挙げることができ、ビキシレノールジグリシジルエーテルとしてはYX−4000(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名)等を挙げることができる。さらに、水添ビスフェノールAグリシジルエーテルとしてはST−2004及びST−2007(いずれも東都化成株式会社製、商品名)等を挙げることができ、上述した二塩基酸変性ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂としてはST−5100及びST−5080(いずれも東都化成株式会社製、商品名)等を挙げることができる。
またオキセタン化合物の例としては、一分子中にオキセタン環を2つ以上有するものは全て含まれ、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシルメチル)オキセタン、1,4−ベンゼンジカルボン酸ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メチル]エステル等を挙げることができる。具体的な例としては、東亜合成株式会社製のアロンオキセタンシリーズや宇部興産株式会社のエタナコールオキセタンシリーズがある。オキセタン化合物を用いる場合には、反応性が低いため、トリフェニルホスフィン等の硬化触媒を用いても良い。
その他、エポキシ化合物、オキセタン化合物同様に開環重合し、アウトガスの発生の少ない(d)熱硬化剤として、ベンゾオキサジン化合物、オキサゾリン化合物、環状カーボナート化合物を使用しても良い。
(d)熱硬化剤としてのブロック型イソシアネートは、常温(25℃)では不活性であるが加熱するとブロック剤が可逆的に解離してイソシアネート基を再生するもので、用いられるイソシアネート化合物としては、イソシアヌレート型、ビウレット型、アダクト型が挙げられるが密着性の見地からはイソシアヌレート型が好ましい。これらは、単独で又は2種類以上で使用される。上記ブロック剤としては、ジケトン類、オキシム類、フェノール類、アルカノール類及びカプロラクタム類から選ばれる少なくとも一種の化合物が挙げられる。具体的には、メチルエチルケトンオキシム、ε−カプロラクタム等が挙げられる。ブロック型イソシアネートは市販品として容易に入手可能であり、例えば、スミジュールBL−3175、デスモジュールTPLS−2957、TPLS−2062、TPLS−2957、TPLS−2078、BL4165、TPLS2117、BL1100,BL1265、デスモサーム2170、デスモサーム2265(住友バイエルウレタン株式会社製商品名)、コロネート2512、コロネート2513、コロネート2520(日本ポリウレタン工業株式会社製商品名)、B−830、B−815、B−846、B−870、B−874、B−882(三井武田ケミカル株式会社製商品名)等が挙げられる。ブロック剤の解離温度は120〜200℃のものが好ましい。
特に、絶縁性が求められる場合には、構造中に、イソシアヌル骨格、又はベンゼン環のような芳香族環を含むことが望ましい。このようなブロック型イソシアネートとしては、スミジュールBL−3175、スミジュールBL−4265、B−870などが挙げられる。
メラミン誘導体としては、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン等のアミノ基含有化合物にアルデヒドを反応させて得られる初期縮合物であり、例えば、トリメチロールメラミン樹脂、テトラメチロールメラミン樹脂、ヘキサメチロールメラミン樹脂、ヘキサメトキシメチルメラミン樹脂、ヘキサブトキシメチルメラミン樹脂、N,N′−ジメチロール尿素樹脂、サイメル300、サイメル301、サイメル303、サイメル325、サイメル350等のメラミン樹脂(三井東圧サイメル株式会社製メラミン樹脂の商品名)、メラン523、メラン623、メラン2000等のメラミン樹脂(日立化成工業株式会社製メラミン樹脂の商品名)、メラン18等の尿素樹脂(日立化成工業株式会社製尿素樹脂の商品名)、メラン362A等のベンゾグアナミン樹脂(日立化成工業株式会社製ベンゾグアナミン樹脂の商品名)などが挙げられる。特に好ましいアミノ樹脂としては、ヘキサメトキシメチルメラミン樹脂を挙げることができる。
(d)熱硬化剤がブロック化したイソシアネート、又はメラミン誘導体である場合、本発明では、樹脂組成物中の添加量が、樹脂分100質量部に対し、前記熱硬化剤、ブロック化したイソシアネート、メラミン誘導体量が20質量部以下、好ましくは10質量部以下で用いることが望ましい。20質量部以上となると、熱硬化時におけるアウトガスの発生が大きくなる傾向がある。
本発明の感光性樹脂組成物において、感度、解像性、耐熱性向上を目的に(e)分子内に2個以上の水酸基とエチレン性不飽和基を有するエポキシアクリレート化合物、ジイソシアネート化合物、カルボキシル基を有するジオール化合物とを反応させて得られるポリウレタン化合物を更に含有させることが望ましい。
ここで、ポリウレタンの主骨格の一つとなる原料の分子内に2個以上の水酸基とエチレン性不飽和基を有するエポキシアクリレート化合物のハードセグメント部の構造はビスフェノールA型構造のものが好ましく、このようなものは、UXE−3011、UXE−3012、UXE−3024(日本化薬株式会社製)として入手可能である。ポリウレタン化合物の酸価は、20〜130mg/KOHであることが好ましく、さらに、40〜110mg/KOHであることが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は必要に応じて、アクリル系ポリマと完全に相溶しないエラストマを更に加えることが有効である。感光性樹脂組成物中にエラストマを含有させることにより、導体層との密着性をより良好にすることができ、更に、感光性樹脂組成物の硬化後の耐熱性、柔軟性及び強靭性を向上させることが可能となる。
エラストマとしては、スチレン系エラストマ、オレフィン系エラストマ、ウレタン系エラストマ、ポリエステル系エラストマ、ポリアミド系エラストマ、アクリル系エラストマ、シリコーン系エラストマ等が例示できる。
スチレン系エラストマとしては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマ、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマ、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマ、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマが例示できる。スチレン系エラストマにおけるスチレン成分としては、スチレンの他に、α−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン等のスチレン誘導体を用いることができる。スチレン系エラストマは、商業的には、タフプレン、ソルプレンT、アサプレンT、タフテック(以上、旭化成工業株式会社製)、エラストマAR(アロン化成株式会社製)、クレイトンG、カリフレックス(以上、シェルジャパン株式会社製)、JSR−TR、TSR−SIS、ダイナロン(以上、日本合成ゴム株式会社製)、デンカSTR(電気化学株式会社製)、クインタック(日本ゼオン株式会社製)、TPE−SBシリーズ(住友化学株式会社製)、ラバロン(三菱化学株式会社製)、セプトン、ハイブラー(以上、クラレ株式会社製)、スミフレックス(住友ベークライト株式会社製)、レオストマ、アクティマー(以上、理研ビニル工業株式会社製)等として入手可能である。オレフィン系エラストマとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−ペンテン等の炭素数2〜20のα−オレフィンの単独又は共重合体;エチレン−プロピレン共重合体(EPR);エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM);ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタンジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ブタジエン、イソプレン等の炭素数2〜20のジエンとα−オレフィンとの共重合体;ブタジエン−アクニロニトリル共重合体にメタクリル酸を共重合したカルボキシ変性NBR;エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム;エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴム;プロピレン−α−オレフィン共重合体ゴム、ブテン−α−オレフィン共重合体ゴム等が例示できる。オレフィン系エラストマは、商業的には、ミラストマ(三井石油化学株式会社製)、EXACT(エクソン化学株式会製)、ENGAGE(ダウケミカル株式会社製)、水添スチレン−ブタジエン共重合体であるDYNABON HSBR、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体であるNBRシリーズ、架橋点を有する両末端カルボキシル基変性ブタジエン−アクニロニトリル共重合体であるXERシリーズ(以上、日本合成ゴム株式会社製)等として入手可能である。ウレタン系エラストマは、短鎖ジオール及びジイソシアネートからなるハードセグメントと、長鎖ジオール及びジイソシアネートからなるソフトセグメントと、から構成される。長鎖ジオールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンオキサイド、ポリ(1,4−ブチレンアジペート)、ポリ(エチレン−1,4−ブチレンアジペート)、ポリカプロラクトン、ポリ(1,6−ヘキシレンカーボネート)、ポリ(1,6−ヘキシレン−ネオペンチレンアジペート)等が例示でき、長鎖ジオールの数平均分子量は、500〜10000であることが好ましい。
短鎖ジオールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ビスフェノールA等が例示でき、短鎖ジオールの数平均分子量は、48〜500であることが好ましい。上記ウレタン系エラストマは、商業的にはPANDEX T−2185、T−2983N(以上、大日本インキ化学工業株式会社製)等として入手可能である。ポリエステル系エラストマは、ジカルボン酸又はその誘導体とジオール化合物又はその誘導体とを重縮合して得られるエラストマである。ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸及びこれらの芳香環がメチル基、エチル基、フェニル基等で置換された芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸などが例示でき、これらの化合物の1種又は2種以上を用いることができる。
ジオール化合物としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等の脂肪族又は脂環式ジオール;ビスフェノールA、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−プロパン、レゾルシン等が例示でき、これらの化合物の1種又は2種以上を用いることができる。
また、芳香族ポリエステル(例えば、ポリブチレンテレフタレート)をハードセグメント成分、脂肪族ポリエステル(例えば、ポリテトラメチレングリコール)をソフトセグメント成分としたマルチブロック共重合体を用いることができる。上記のポリエステル系エラストマは、商業的には、ハイトレル(デュポン−東レ株式会社製)、ペルプレン(東洋紡績株式会社製)、エスペル(日立化成工業株式会社製)等として入手可能である。ポリアミド系エラストマは、ポリアミドからなるハードセグメントと、ポリエーテル又はポリエステルからなるソフトセグメントと、から構成されるエラストマであり、ポリエーテルブロックアミド型とポリエーテルエステルブロックアミド型との2種類に大別される。
ポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12等が例示でき、ポリエーテルとしては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリテトラメチレングリコール等が例示できる。上記ポリアミド系エラストマは、商業的には、UBEポリアミドエラストマ(宇部興産株式会社製)、ダイアミド(ダイセルヒュルス株式会社製)、PEBAX(東レ株式会社製)、グリロンELY(エムスジャパン株式会社製)、ノバミッド(三菱化学株式会社製)、グリラックス(大日本インキ化学工業株式会社製)等として入手可能である。
アクリル系エラストマは、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート等のアクリル酸エステルと、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基を有する単量体及び/又はアクリロニトリルやエチレン等のビニル系単量体とを共重合して得られるエラストマである。
アクリル系エラストマとしては、アクリロニトリル−ブチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−ブチルアクリレート−エチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−ブチルアクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体等が例示できる。
シリコーン系エラストマは、オルガノポリシロキサンを主成分したエラストマーであり、ポリジメチルシロキサン系、ポリメチルフェニルシロキサン系又はポリジフェニルシロキサン系のシリコーン系エラストマが例示できる。オルガノポリシロキサンをビニル基、アルコキシ基等で変性したエラストマーを用いてもよい。シリコーンエラストマは、商業的には、KEシリーズ(信越化学株式会社製)SEシリーズ、CYシリーズ、SHシリーズ(以上、東レダウコーニングシリコーン株式会社製)等として入手可能である。また、上記したエラストマ以外に、ゴム変性したエポキシ樹脂やエポキシ樹脂に上記したエラストマーの粒状物を混錬したもの等を用いることができる。ゴム変性したエポキシ樹脂は、エポキシ樹脂のエポキシ基の少なくとも一部を、両末端カルボンキシル基変性ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、末端アミノ変性シリコーンゴム等で変性してなるものである。さらに、エラストマとしては、両末端カルボキシル基変性ブタジエン−アクリロニトリル共重合体や、ポリエステル系エラストマであるエスペル(エスペル1612、エスペル1620、日立化成工業株式会社製)を用いることもできる。
また、本発明では、密着性、硬度等の特性を向上する目的で必要に応じて(f)無機及び/又は有機フィラーを用いることができ、無機フィラーを用いることが好ましい。例えば、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、粉状酸化珪素、無定形シリカ、タルク、クレー、焼成カオリン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、雲母粉等の無機充填剤が使用できる。有機フィラーとしては、ジアリルフタレート、ジアリルフタレートプレポリマ、アクリルゴム、ニトリルゴム(NBR)、シリコーン粉末、ナイロン粉末、エアロジル、ベントン、モンモリロナイト等がある。その使用量は、好ましくは0〜70質量%である。
また、本発明では、必要に応じて希釈剤を用いることが望ましい。希釈剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、ヘキサノール等の脂肪族アルコール類、ベンジルアルコール、シクロヘキサン等の炭化水素類、ジアセトンアルコール、3−メトキシ−1−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケトン、メチルヘキシルケトン、エチルブチルケトン、ジブチルケトン等の脂肪族ケトン類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテル類及びそのアセテート、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル類及びそのアセテートジエチレングリコールジアルキルエーテル類、トリエチレングリコールアルキルエーテル類、プロピレングリコールアルキルエーテル類及びそのアセテート、ジプロピレングリコールアルキルエーテル類、また、トルエン、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ若しくはソルベントナフサ等の石油系溶剤、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸アミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル等のカルボン酸エステル類、アミン、アミド類の例えば、N、N‐ジメチルホルムアミド、N、N‐ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン等や、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、3−ヒドロキシ−2−ブタノン、4−ヒドロキシ−2−ペンタノン、6−ヒドロキシ−2−ヘキサノン等の溶剤を単独、或いは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
さらに、本発明の感光性樹脂組成物は特に銅等の金属との密着が必要とされる場合、密着性向上剤として、メラミン、ジシアンジアミド、トリアジン化合物及びその誘導体、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系、シランカップリング剤等の添加剤類を用いることができる。例えば、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン−フェノール−ホルマリン樹脂、ジシアンジアミド、四国化成工業株式会社製;2MZ−AZINE,2E4MZ−AZINE,C11Z−AZINE、2MA−OK等が挙げられる。あるいはエチルジアミノ−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−キシリル−s−トリアジン等のトリアジン誘導体類が挙げられる。これらの化合物は銅回路との密着性を上げ耐PCT性を向上させ、HAST耐性にも効果がある。これらは(a)から(c)成分の総量100質量部に対して0.1%〜10質量%で使用されるのが好ましい。
また、必要に応じてフタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アイオジングリーン、ジスアゾイエロー、マラカイトグリーン、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラック、アゾ系の有機顔料などの着色剤、染料等を用いることができる。更にハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、tert−ブチルカテコール、ピロガロール、フェノチアジン等の重合禁止剤、ベントン、モンモリロナイト、エアロジル、アミドワックス等のチキソ性付与剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤、レベリング剤を用いることができる。
感光性樹脂組成物中の各成分の含有量は、成分(a)と(b)、若しくは成分(a)と(b)、(e)の合計100質量部に対して、成分(a)が10〜60質量部、成分(b)10〜60質量部、成分(c)10〜50質量部、成分(e)10〜60質量部を配合してなることが好ましく、成分(a)が20〜50質量部、成分(b)20〜40質量部、成分(c)20〜50質量部を配合してなることがさらに好ましい。
また、成分(d)は、光感度の観点及びはんだ耐熱性の観点から、成分(a)と(b)、若しくは成分(a)と(b)、(e)の合計100質量部に対して、0.1〜30質量部であることが好ましく、0.2〜20質量部であることがより好ましい。但し、成分(d)として、ブロック化したイソシアネート、又はメラミン誘導体を用いた場合、アウトガス発生量の観点から、20質量部、さらに10質量部以下であることがより好ましい。
本発明に用いる希釈剤の含有量は、感光性樹脂組成物を液状のまま使用する場合には、全質量中の5〜40質量%が望ましい。支持体に塗布し感光性フィルムとして使用する場合には、塗布前のワニス状態では、全質量中の30〜70質量%含有させる。その後、フィルムとした後はフィルム作製時の乾燥工程において揮発させるため、3質量%以下となる。
次に、本発明の感光性フィルムについて説明する。
本発明の感光性フィルムは、支持体と、該支持体上に形成された本発明の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層とを備えるものである。感光性樹脂組成物層上には、該感光性樹脂組成物層を被覆する保護フィルムを更に備えていてもよい。
感光性樹脂組成物層は、本発明の感光性樹脂組成物を上記溶剤又は混合溶剤に溶解して固形分30〜80質量%程度の溶液とした後に、かかる溶液を支持体上に塗布して形成することが好ましい。感光性樹脂組成物層の厚みは、用途により異なるが、加熱及び/又は熱風吹き付けにより溶剤を除去した乾燥後の厚みで、10〜100μmであることが好ましく、20〜60μmであることがより好ましい。この厚みが10μm未満では工業的に塗工困難な傾向があり、100μmを超えると本発明により奏される上述の効果が小さくなりやすく、特に、物理特性及び解像度が低下する傾向がある。
感光性フィルムが備える支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムなどが挙げられる。
支持体の厚みは、5〜100μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。この厚みが5μm未満では現像前に支持体を剥離する際に当該支持体が破れやすくなる傾向があり、また、100μmを超えると解像度及び可撓性が低下する傾向がある。
上述したような支持体と感光性樹脂組成物層との2層からなる感光性フィルム又は支持体と感光性樹脂組成物層と保護フィルムとの3層からなる感光性フィルムは、例えば、そのまま貯蔵してもよく、又は保護フィルムを介在させた上で巻芯にロール状に巻き取って保管することができる。
本発明の感光性樹脂組成物又は感光性フィルムを用いたレジストパターンの形成方法は、初めに、其々、公知のスクリーン印刷、ロールコータにより塗布する工程、又はラミネート等により貼り付ける工程により、レジストを形成する基板上に積層する。次いで、必要に応じて上述した感光性フィルムから保護フィルムを除去する除去工程を行い、活性光線を、マスクパターンを通して、感光性樹脂組成物層の所定部分に照射して、照射部の感光性樹脂組成物層を光硬化させる露光工程を行う。照射部以外の感光性樹脂組成物層は、次の現像工程により除去される。なお、レジストを形成する基板とは、プリント配線板、半導体パッケージ用基板、フレキシブル配線板を指す。
活性光線の光源としては、公知の光源、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線を有効に放射するものが用いられる。また、写真用フラッド電球、太陽ランプ等の可視光を有効に放射するものも用いられる。更に直接描画方式のダイレクトレーザ露光を用いても良い。其々のレーザ光源、露光方式に対応する成分(c)を用いることにより優れたパターンを形成することが可能となる。
現像工程では、現像液として、例えば、20〜50℃の炭酸ナトリウムの希薄溶液(1〜5質量%水溶液)等のアルカリ現像液が用いられ、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知の方法により現像する。
上記現像工程終了後、はんだ耐熱性、耐薬品性等を向上させる目的で、高圧水銀ランプによる紫外線照射や加熱を行うことが好ましい。紫外線を照射させる場合は必要に応じてその照射量を調整することができ、例えば0.2〜10J/cm程度の照射量で照射を行うこともできる。また、レジストパターンを加熱する場合は、100〜170℃程度の範囲で15〜90分程行われることが好ましい。さらに紫外線照射と加熱とを同時に行うこともでき、いずれか一方を実施した後、他方を実施することもできる。紫外線の照射と加熱とを同時に行う場合、はんだ耐熱性、耐薬品性等を効果的に付与する観点から、60〜150℃に加熱することがより好ましい。
この感光性樹脂組成物層は、基板にはんだ付けを施した後の配線の保護膜を兼ね、優れた耐クラック性、HAST耐性、金めっき性を有するので、プリント配線板用、半導体パッケージ基板用、フレキシブル配線板用のソルダーレジストとして有用である。
このようにしてレジストパターンを備えた基板は、その後、半導体素子などの実装(例えば、ワイヤーボンディング、はんだ接続)がなされ、そして、パソコン等の電子機器へ装着される。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
樹脂(1〜6)を以下の方法により合成した。
樹脂(1)は、まず、攪拌機、還流冷却機、温度計及び不活性ガス導入管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチルの混合物を仕込み、窒素ガス雰囲気下で80℃に昇温し、反応温度を80℃±2℃に保ちながら、N−シクロヘキシルマレイミド40質量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル35質量部、メタクリル酸20質量部、メタクリル酸ジシクロペンタジエン(FA−513MS、日立化成工業株式会社製)10質量部を4時間かけて均一に滴下した。その後、80℃±2℃で6時間撹拌を続け、重量平均分子量が約25000のバインダポリマーの溶液(固形分35質量%)(p−1)を得た。
さらに、撹拌機、還流冷却機、不活性ガス導入口及び温度計を備えたフラスコに、イソシアネートエチルメタクリレート20質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート28質量部、乳酸メチル7質量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で70℃に昇温し、反応温度を70℃±2℃に保ちながら、ジブチル錫ジラウリレート0.1質量部と(p−1)との混合物を2時間かけて均一に滴下した。滴下後、70℃±2℃で2時間撹拌を続け、重量平均分子量が約26000のエチレン性不飽和基を有するアクリル系ポリマの溶液(固形分35質量%)(r−1)を得た。
樹脂(2)は、樹脂(1)のN−シクロヘキシルマレイミドをN−フェニルマレイミドに代えた以外は同様にしてバインダーポリマの溶液(固形分35質量%)(樹脂(2))を得た。
樹脂(3)は、樹脂(1)のN−シクロヘキシルマレイミドをp−カルボキシフェニルマレイミドに代えた以外は同様にしてバインダーポリマの溶液(固形分35質量%)(樹脂(3))を得た。
樹脂(4)は、共重合成分をN−シクロヘキシルマレイミド30質量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル35質量部、メタクリル酸20質量部、メタクリル酸メチル20質量部に代えた以外は同様にしてバインダーポリマの溶液(固形分35質量%)(樹脂(4))を得た。
樹脂(5)は、共重合成分をN−シクロヘキシルマレイミド30質量部、メタクリル酸ベンジル20質量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル25質量部、メタクリル酸15質量部、メタクリル酸メチル10質量部に代えた以外は同様にしてバインダーポリマの溶液(固形分35質量%)(樹脂(5))を得た。
なお、比較例として、カルボキシル基含有アクリルポリマの樹脂(6)、樹脂(7)を合成した。樹脂(6)は、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチルの共重合体で重量平均分子量60000、酸価110mgKOH/gである。樹脂(7)は、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ベンジルの共重合体で重量平均分子量30000、酸価80mgKOH/gである。
硫酸バリウム分散液の調整を以下の方法で調整した。前記で合成した樹脂1〜7溶液40質量部、硫酸バリウム30質量部、メラミン1.0質量部、メチルエチルケトン50質量部をスターミルLMZ(アシザワファインテック株式会社製)で、直径1.0mmのジルコニアビーズを用い、周速12m/sにて3時間分散して硫酸バリウム分散液を調整した。
感光性樹脂組成物溶液を表1に示す各成分を、そこに示す固形分の配合比(質量基準)で混合することにより得た。市販の材料として、ポリウレタン化合物(UXE−3024、日本化薬株式会社製)、ビスフェノールAペンタオキシエチレンジメタクリレート(FA−321M、日立化成工業株式会社製、商品名)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフェリノフェニル)−ブタノン−1(I−369、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名)、ブロック型イソシアネート(BL−3175、住化バイエルウレタン株式会社製、商品名)、メラミン樹脂(サイメル300、三井サイテック株式会社製、商品名)、2,2−ビス[4−(4−N−マレイミジルフェノキシ)フェニル]プロパン(BBMI、日立化成工業株式会株式会社製、商品名)ビフェノール型エポキシ樹脂(YX−4000、ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名)、希釈剤には、メチルエチルケトンを使用した。
Figure 2010128275
次いで、この感光性樹脂組成物溶液を支持体である16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(G2−16、帝人株式会社製、商品名)上に均一に塗布することにより感光性樹脂組成物層を形成し、それを、熱風対流式乾燥機を用いて100℃で約10分間乾燥した。感光性樹脂組成物層の乾燥後の膜厚は、25μmであった。
続いて、感光性樹脂組成物層の支持体と接している側とは反対側の表面上に、ポリエチレンフィルム(NF−15、タマポリ株式会社製、商品名)を保護フィルムとして貼り合わせ、感光性フィルムを得た。
[塗膜性の評価]
得られた感光性フィルムに対し、露光を行わずに、感光性フィルム上のポリエチレンテレフタレートを剥離し、その塗膜表面に指を軽く押し付け、指に対する張り付き程度を以下の基準で評価した。すなわち、指に対する張り付きが認められない、または、ほとんど認められないものは「○」とし、指に対する張り付きが認められるものは「×」として評価した。結果を表2に示した。
[はんだ耐熱性の評価]
12μm厚の銅箔をガラスエポキシ基材に積層したプリント配線板用基板(E−679、日立化成工業株式会社製、商品名)の銅表面を砥粒ブラシで研磨し、水洗後、乾燥した。このプリント配線板用基板上に連続プレス式真空ラミネータ(MVLP−500、株式会社名機製作所製、商品名)を用いて、プレス熱板温度70℃、真空引き時間20秒、ラミネートプレス時間30秒、気圧4kPa以下、圧着圧力0.4MPaの条件の下、前記感光性フィルムのポリエチレンフィルムを剥離して積層し、評価用積層体を得た。
評価用積層体上に、ネガとして2mm角のパターンを有するフォトツールを密着させ、株式会社オーク製作所社製EXM‐1201型露光機を使用して、ストーファー21段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が8.0となるエネルギー量で露光を行った。次いで、常温(25℃)で1時間静置した後、該積層体上のポリエチレンテレフタレートを剥離し、30℃、1質量%炭酸ナトリウム水溶液で、最小現像時間(未露光部が現像される最小時間)の1.5倍の時間でスプレー現像を行いパターンを形成した。
続いて、株式会社オーク製作所社製紫外線照射装置を使用して1J/cmのエネルギー量で紫外線照射を行い、更に160℃で60分間加熱処理を行うことにより、2mm角の開口部を有するソルダーレジストを形成した評価用積層体基板を得た。
次いで、該評価用積層体基板にロジン系フラックス(MH−820V、タムラ化研株式会社製、商品名)を塗布した後、260℃のはんだ浴中に10秒間浸漬した。この処理を1回とし、計3回はんだ処理を行った。
このようにしてはんだめっきを施された評価用積層体基板上のソルダーレジストのクラック発生状況並びに基板からのソルダーレジストの浮き程度及び剥離程度を目視により観察し、次の基準で評価した。すなわち、ソルダーレジストのクラックの発生が認められず、ソルダーレジストの浮き及び剥離も認められないものは「○」とし、それらのいずれかが認められるものは「×」とした。結果を表2に示した。
[耐クラック性の評価]
上述のソルダーレジストを形成した評価用積層体基板を、−65℃の大気中に15分間晒した後、180℃/分の昇温速度で昇温し、次いで、150℃の大気中に15分間晒した後、180℃/分の降温速度で降温する熱サイクルを100回繰り返した。このような環境下に晒した後、評価用積層体基板の永久レジスト膜のクラック及び剥離程度を100倍の金属顕微鏡により観察し、次の基準で評価した。すなわち、永久レジスト膜のクラック及び剥離を観察できなかったものは「○」とし、それらのいずれかを確認できたものは「×」とした。結果を表2に示した。
[HAST耐性の評価]
12μm厚の銅箔をガラスエポキシ基材に積層したプリント配線板用基板(E−679、日立化成工業株式会社製、商品名)の銅表面を、エッチングによりライン/スペースが50μm/50μmのくし型電極を形成した。この基板を評価基板とし、基板上に上述のようにレジストの硬化物を形成し、その後、130℃、85%RH、20V条件下に100時間後晒した。その後、マイグレーションの発生の程度を、100倍の金属顕微鏡により観察し、次の基準で評価した。すなわち、永久レジスト膜に大きなマイグレーションが発生しなかったものは「○」とし、大きくマイグレーションが発生したものは「×」として評価した。結果を表2に示した。
[金めっき性の評価]
上述のソルダーレジストを形成した評価用積層体基板を市販の無電解ニッケル/金めっき液を用いて、ニッケルめっき厚5μm、金めっき厚0.1μmとなるようにめっきを行い、ソルダーレジストの外観を観察し次の基準で評価した。すなわち、ソルダーレジストに白化が認められないものは「○」とし、認められるものは「×」として評価した。結果を表2に示した。
Figure 2010128275
アクリル系ポリマにマレイミド又はマレイミド誘導体に由来する繰り返し単位を有さないカルボキシル基含有アクリルポリマを用いた比較例1〜3は、はんだ耐熱性やHAST耐性、金めっき耐性に劣る。これに対し、本発明の一般式(I)で示すマレイミド又はマレイミド誘導体に由来する繰り返し単位を有するアクリル系ポリマを使用し、少なくとも(b)〜(d)成分を有する感光性樹脂組成物とすることで、塗膜性、はんだ耐熱性、耐クラック性、HAST耐性、金めっき耐性のいずれにも優れる感光性樹脂組成物を得ることができる。

Claims (9)

  1. (a)カルボキシル基及びエチレン性不飽和基を有するアクリル系ポリマ、
    (b)分子中に少なくとも1個以上のエチレン性不飽和基を有する光重合性モノマ、
    (c)光重合開始剤、及び
    (d)熱硬化剤、
    を含有する感光性樹脂組成物であって、
    前記(a)カルボキシル基及びエチレン性不飽和基を有するアクリル系ポリマが、分子中に下記一般式(I)に示されるマレイミド又はマレイミド誘導体に由来する繰り返し単位を有する、感光性樹脂組成物。
    Figure 2010128275

    (一般式(I)中、Rは水素、アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基又はアリール基を示し、nは正の整数を示す。)
  2. 前記(a)カルボキシル基及びエチレン性不飽和基を有するアクリル系ポリマが、前記一般式(I)に示されるマレイミド又はマレイミド誘導体に由来する繰り返し単位を分子中に5〜60質量%含有する、請求項1記載の感光性樹脂組成物。
  3. 前記(a)カルボキシル基及びエチレン性不飽和基を有するアクリル系ポリマのエチレン性不飽和基濃度が、1.0×10−5〜6.0×10−3モル/gである請求項1又は2記載の感光性樹脂組成物。
  4. 前記(a)カルボキシル基及びエチレン性不飽和基を有するアクリル系ポリマが、分子内にカルボキシル基及び水酸基を有する共重合体と、エチレン性不飽和基及びイソシアネート基を含む化合物とを反応させて得られるアクリル系ポリマである、請求項1〜3のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  5. (e)分子内に2個以上の水酸基とエチレン性不飽和基を有するエポキシアクリレート化合物、ジイソシアネート化合物、カルボキシル基を有するジオール化合物とを反応させて得られるポリウレタン化合物を更に含有する請求項1〜4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  6. 前記(d)熱硬化剤が、エポキシ化合物、ブロック型イソシアネート化合物又はメラミン誘導体のうち少なくとも1つを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  7. (f)無機フィラーを更に含有する請求項1〜6のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  8. 支持体と、該支持体上に形成された請求項1〜7のいずれかに記載の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層と、を備える感光性フィルム。
  9. 基板上に形成された請求項1〜7のいずれかに記載の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層を硬化させて得られる永久レジスト。
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