JP2010127623A - 積層シートの剥離性評価装置及び評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】積層シートの剥離性を簡便に測定すること。
【解決手段】積層シートからなる試験片を、その一方の面に接する第1のローラーと他方の面に接する第2のローラーを具備するしごきユニットに通して、試験片を長手方向に沿って2箇所で曲げ変形させると共に、試験片の長手方向の一端部を固定チャックにより挟持し、他端部を移動可能な移動チャックにより挟持し、加重機構により移動チャックに所定の力を加えて試験片の長手方向に引張り力を与え、更に、前記しごきユニットを、前記固定チャックと移動チャック間において往復移動させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、積層シートの剥離性評価装置及び評価方法に関する。
板紙等の積層シートは複数のシートを重ね合わせて互いに接着することにより作られている。このような積層シートでは、それぞれの層間の相互接着が重要となる。何故なら、層間接着の度合いが弱いと、印刷・加工時に応力が紙に加わり、層間の剥離を招くことになるからである。剥離が発生すると紙の強度がなくなり、箱の材料として使用する場合は、箱としての機能をなさなくなり、不良品となることが多い。このための品質管理方法として、例えば、JAPAN TAPPI NO.18−1で規格化されている紙および板紙の内部結合強さ試験方法(Z軸方向引張試験法)に基づき、これを基準とすることが多い。
ところで、積層シートの印刷・加工工程においては、シートに張力を与えた状態で、各種ローラーの曲面に沿って走行し、またシートの湾曲方向は表側・裏側と絶えず変化するため、シートはしごかれた状態となる。したがって、印刷・加工前における積層シートで強度基準を満たしていても、印刷・加工中にシートが受けるしごきにより強度が低下し、工程中あるいは後の段階で剥離が生じることがある。
特許文献1に記載された積層シートのしごき装置においては、シートをしごくことのできる機構を有し、積層シートがシート加工機によって加工処理された状態と同じ状態に再現処理したのちに、シートの剥離強度を測定することにより、積層シートがシート加工機によって適正に処理されるかどうかを判別する。
しかしながら、現場操業レベルにおいては、しごき装置による処理に引き続いて、剥離強度の測定を行うことは煩雑であるため、できるだけ簡便な評価方法が求められている。
特開2005−59236号公報
特許文献1に記載された積層シートのしごき装置を用いて、積層シートがシート加工機によって加工処理された状態と同じ状態に再現処理したのちに、シートの剥離強度を測定することを現場操業レベルにおいて行うことは煩雑であるという問題がある。
本発明は、積層シートの剥離性を簡便に測定することができる、積層シートの剥離性評価装置の提供を目的とする。
本発明の第1の発明は、積層シートの剥離性評価装置であって、前記積層シートからなる試験片の長手方向の一端部を挟持して固定する固定チャックと、試験片の他端部を挟持するとともに移動可能な移動チャックと、前記移動チャックの移動方向を規定して、前記試験片の長手方向に移動チャックを移動可能とする移動チャック案内台と、前記試験片の長手方向に引張り力を与えるべく、前記移動チャックに所定の力を加える加重機構と、前記試験片の一方の面に接する第1のローラーと他方の面に接する第2のローラーにより、前記試験片を長手方向に沿って2箇所で曲げ変形させるしごきローラー対を具備したしごきユニットと、前記しごきユニットを往復移動させる駆動機構と、を具備し、前記しごきユニットを往復移動させ、試験片の剥離性の評価が可能であることを特徴とする積層シートの剥離性評価装置である。
本発明の第2の発明は、前記移動チャックに所定の力を与える加重機構は、ワイヤーを介した錘であることを特徴とする第1の発明に記載の積層シートの剥離性評価装置である。
本発明の第3の発明は、前記積層シートの剥離性評価装置は、しごきユニットの往復移動回数をカウントして表示するカウンターを具備することを特徴とする第1または第2の発明に記載した積層シートの剥離性評価装置である。
本発明の第4の発明は、積層シートの剥離性評価方法であって、前記積層シートからなる試験片を、その一方の面に接する第1のローラーと他方の面に接する第2のローラーを具備するしごきユニットに通して、試験片を長手方向に沿って2箇所で曲げ変形させると共に、試験片の長手方向の一端部を固定チャックにより挟持し、他端部を移動可能な移動チャックにより挟持するステップと、前記試験片の長手方向に引張り力を与えるべく、前記移動チャックに荷重機構により所定の力を加えるステップと、前記しごきユニットを、前記固定チャックと移動チャック間において往復移動させるステップと、前記しごきユニットの往復移動回数をカウントするステップと、前記試験片が剥離するまでに要した往復移動回数により、前記積層シートの剥離性を評価するステップと、を備えることを特徴とする積層シートの剥離性評価方法である。
本発明に係わる積層シートの剥離性評価装置では、積層シートの試験片をしごくことにより剥離させ、試験片の剥離に要した前記ローラーの往復回数により積層シートの剥離性を評価するため、現場操業レベルにおいても作業が簡便となる。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
まず、本発明の実施形態における積層シートの剥離性評価装置12を、図1ないし図3に基づき説明する。なお、図1は正面図、図2は平面図、図3はA−A´矢視図(側面図)である。
図1ないし図3に示すように、本実施形態における積層シートの剥離性評価装置は、主として、積層シートからなる帯状の試験片Tの両端部近傍のそれぞれを挟持するための固定チャック1と移動チャック2、および試験片Tにしごきを与えることのできるしごきユニット7などを備える。
移動チャック2は、帯状の試験片Tの長手方向に、移動チャック案内台3上を自由にスライドできる機構を有する。また、移動チャック2において、試験片Tを狭持している側と反対側に加重機構11を具備し、加重機構11は、ワイヤー4、滑車5を介して錘6を吊り下げることにより、試験片Tに所定のテンションを与えることができる。
しごきユニット7は、2本のしごきローラー8と、それらを取り付けるしごきローラー固定板9と、固定板9に結合されたしごきローラー移動板10を有する。2本のしごきローラー8はしごきローラー固定板9に対し自由に回転することができ、試験片Tとしごきローラー8間のすべりによる摩擦を低減することができる。例えば、箱の製造に使用するような所定の積層シートに用いるしごきユニット7の場合、しごきローラー8の外径は10〜40mm、しごきローラー8の中心間距離は25〜100mm、2本のしごきローラー8による試験片の屈曲角度(試験片がローラー側に屈曲してなす角度α)は80〜140°であることが好ましいが、これに限定されるものではない。また、上記角度αは、2本のしごきローラーにおいて同一であっても異なっていてもよい。
また、しごきユニット7は、移動チャック1と固定チャック2の間に位置し、帯状の試験片Tに沿って往復運動することのでき、本発明の剥離性評価装置12は、しごきユニット7を移動させる移動機構(図示せず)と駆動機構(図示せず)を具備する。例えば、箱の製造に使用するような所定の積層シートに用いるしごきユニット7の場合、しごきユニットの移動速度は2〜20m/min、移動距離はローラー8の中心間距離の2倍以上が好ましいが、これに限定されるものではない。
しごきユニット7の固定板9に結合されている移動板10が移動機構であるレール(図示せず)上をすべることにより、直線的に移動することができる。駆動機構としては、タイミングベルト、直流モーター等が用いられ、しごきローラー移動板10にタイミングベルト(図示せず)を係合させて、直流モーター(図示せず)により正転、逆転を繰り返すことにより、しごきユニット7は往復運動をすることができる。この往復運動により、試験片Tにしごきを繰り返し与えることができ、やがては、積層シートからなる試験片Tに剥離を引き起こさせることが可能となる。また、しごきユニットの往復移動回数をカウントして表示するカウンターを具備する。
次に、上記積層シートの剥離性評価装置を用いた剥離性評価の一実施形態を説明する。
本例においては、箱の製造に使用する積層シートから、幅10mm、長さ450mmの試験片Tを作成し、しごきユニット7の2本のしごきローラー8にS字状に掛け、両端部近傍をそれぞれ、固定チャック1と移動チャック2で狭持する。
移動チャック2に付属しているワイヤー4の先端に錘6を吊り下げることにより、試験片Tに所定のテンションを与える。このときの錘6の重量は、100g〜2kgが好ましいが、この重量に限定されるものではない。
しごきユニット7を駆動させる駆動機構により、しごきユニット7を往復運動させると、試験片Tはしごきを繰り返し与られることにより、やがては、積層シートからなる試験片Tは剥離を引き起こす。剥離は目視により確認する。この剥離に要した、しごきユニット3の往復回数を、剥離性を表す数値とする。あるいは、往復回数の基準値をあらかじめ設定し、その基準往復回数に達した時点で剥離が生じているか否かで判定すると、工程上の品質管理をより簡便にすることができる。
本発明の積層シートの剥離性評価装置及び評価方法は、箱を製造する板紙、紙管原紙、キャリアテープ等に用いる積層シートの剥離性の評価に使用することができ、折り曲げ加工等による積層シートの剥離性を評価する際に有効である。
本発明の実施形態における積層シートの剥離性評価装置の正面図である。 本発明の実施形態における積層シートの剥離性評価装置の平面図である。 発明の実施形態における積層シートの剥離性評価装置のA−A´矢視図(側面図)である。
符号の説明
1:固定チャック
2:移動チャック
3:移動チャック案内台
4:ワイヤー
5:滑車
6:錘
7:しごきユニット
8:しごきローラー
9:しごきローラー固定板
10:しごきローラー移動板
11:加重機構
12:積層シートの剥離性評価装置

Claims (4)

  1. 積層シートの剥離性評価装置であって、
    前記積層シートからなる試験片の長手方向の一端部を挟持して固定する固定チャックと、試験片の他端部を挟持するとともに移動可能な移動チャックと、
    前記試験片に引張り力を与える方向に移動チャックを移動可能とする移動チャック案内台と、
    前記試験片の長手方向に引張り力を与えるべく、前記移動チャックに所定の力を加える加重機構と、
    前記試験片の一方の面に接する第1のローラーと他方の面に接する第2のローラーにより、前記試験片を長手方向に沿って2箇所で曲げ変形させるしごきローラー対を具備したしごきユニットと、
    前記しごきユニットを往復移動させる駆動機構と、を具備し、
    前記しごきユニットを往復移動させ、試験片の剥離性の評価が可能であることを特徴とする積層シートの剥離性評価装置。
  2. 前記移動チャックに所定の力を与える加重機構は、ワイヤーを介した錘であることを特徴とする請求項1に記載の積層シートの剥離性評価装置。
  3. 前記剥離性評価装置は、しごきユニットの往復移動回数をカウントして表示するカウンターを具備することを特徴とする請求項1または2に記載した積層シートの剥離性評価装置。
  4. 積層シートの剥離性評価方法であって、
    前記積層シートからなる試験片を、その一方の面に接する第1のローラーと他方の面に接する第2のローラーを具備するしごきユニットに通して、試験片を長手方向に沿って2箇所で曲げ変形させると共に、試験片の長手方向の一端部を固定チャックにより挟持し、他端部を移動可能な移動チャックにより挟持するステップと、
    前記試験片の長手方向に引張り力を与えるべく、前記移動チャックに加重機構により所定の力を加えるステップと、
    前記しごきユニットを、前記固定チャックと移動チャック間において往復移動させるステップと、
    前記しごきユニットの往復移動回数をカウントするステップと、
    前記試験片が剥離するまでに要した往復移動回数により、前記積層シートの剥離性を評価するステップと、
    を備えることを特徴とする積層シートの剥離性評価方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013053876A (ja) * 2011-09-01 2013-03-21 Dainippon Printing Co Ltd 剥離装置及び剥離方法
CN113092364A (zh) * 2021-03-30 2021-07-09 九江德福科技股份有限公司 一种中高Tg板材用高温高延铜箔剥离强度的检测方法

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