JP6973738B2 - 極細線引張試験装置および極細線引張試験方法 - Google Patents

極細線引張試験装置および極細線引張試験方法 Download PDF

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Description

本発明は、極細線試験片を簡易かつ容易に試験するための極細線用引張試験機であって、特に極細線試験片を把持するチャッキング部材および極細線用引張試験方法に関する。
一般に、材料試験における引張試験は試験機に設けた上下の2個のチャッキング装置(チャック、ホルダーともいう。)にそれぞれ試験片の両端を挟持して行われる。極細線を試験する場合には、試験片を挟持するチャッキング装置には、極細線がすべらないこと、チャッキング装置により切断されないこと、最小の摩擦力で極細線を把持できることなどが要求されている。
最も一般的方法は、太めの挟持部と細めの破断部とを持つ試験片を準備し、挟持部を噛合可能な凹凸部を設けたチャッキング部材で挟み、引っ張る方法である。しかし極細線には太めの挟持部を設けることはできないのでこの方法は使用できない。試験片の挟持部分が傷つくために把持部分から破断して引張試験には耐えられない。
以上の極細線を直接挟持することによる破断防止のため、試験片の両端をドラム状巻枠方式が提案されている(特許文献1)。しかし、ドラム状巻枠に巻回されている試験片の端部は幾重になり、荷重が負荷されると巻回部分同士の摩擦力による破断や非巻回部との境界付近にドラム状巻枠への大きな摩擦力が作用しこの部分での極細線の破断が生じやすくなる。
一方、極細線の機械的な挟持では、挟持部または挟持部付近で破断することから、機械的な挟持に加えて接着力による化学的な把持との組合せ方式が提案されている(特許文献2)。試験片の先端部をパイプに挿入し、パイプの端面より突き出した部分をパイプ外径以上の長さを有する円筒ピンに巻き掛けて折り返し、折り返した先端部をパイプの端面まで再挿入するとともに挿入部に接着剤を充填した先端組立品を極細線試験片の両端に形成し、この先端組立品をチャッキング装置に挟持して引張試験を行なう。
しかし、極細線試験片の挟持・把持チャックに必要なすべりとめ、破断防止に効果が期待できるが先端組立品の作製に時間を要するとともに複雑な方式である。
他方、接着剤の接着力による化学的な把持が検討されており、試験片の両端に厚紙と極細線との間に接着剤を注入し、固定した試験片把持部を作製して引張試験を行なうものである。例えば、JIS R 7607(非特許文献1)によると、炭素繊維の引張特性の試験方法として台紙に試験片を載せて接着剤を塗布して接着する方法である。
しかし、接着剤が硬化した把持部あるいは把持部との境界に応力が集中して、その位置で破断しやすい。また、接着剤の種類、極細線試験片の直径に対する接着剤の厚み不足や不均等厚さによる接着強度が足りない場合には、試験片が厚紙から滑りやすくなって外れたりして試験が行えなくなるという問題があった。
公開実用昭和55−170650号公報 実用新案登録第3161367号公報
日本工業規格 JIS R 7607
極細線の引張試験は、極細線の直径が小さくなるほど、また引張強度が大きくなるほど、極細線試験片を挟持するチャッキング部(把持部)に応力が集中し、その部位で破断しやすくなる。また、応力集中を避けるために試験片の把持力や固定力を小さくすると、試験片がチャッキング部からすべりやすくなって外れやすくなる。
さらに、引張試験のための試験片を把持するチャッキング部材を簡易かつ容易に作製して引張試験に供試できることが求められている。
本発明者は、極細線試験片への応力集中を避ける方法について鋭意検討した。その結果、チャッキング装置から試験片の把持部に対する応力の負荷の仕方として、機械的な把持力、すなわち固体による把持の代わりに流動性を持つ粘着剤をからなる粘着層をチャッキング部材として用いる方法に想到した。
一般に、接着剤は液体状態(液状)からなり、被着体に塗布すると化学反応により硬化して固体に変化して接着力が上昇する。固体化することにより、把持部あるいは挟持部に応力が集中しやすくなる。
一方、粘着剤は液状からなり、かつ反応は完了していることから被着体に接着しても化学反応は起こらないで液状のままで使用状態が維持できる。この粘着剤が一定の厚さからなる粘着層は、液状であることから加圧すると粘着層内には等方的な加圧力を生じて静水圧が発生し、粘着層内の試験片にはこの静水圧的な機械的固定力による把持が期待できる。
さらに、この静水圧的機械的固定は応力集中を発生させないと考えられる。
なお、粘着とは、接着の一種であり、特徴として水、溶剤、熱などを使用せずに、常温で短時間、僅かな圧力を加えるだけで接着することをいう。また、粘着は、粘着テープの例にあるように使用後は剥がすことを前提にしている。
液体(液状物質)の粘着剤は、使用の際の時間が経過しても流動性を保持することができ、また、粘着剤は支持体に塗布されて一定の厚みを有する粘着層となって試験片を把持することができる。
すなわち、長い極細径の試験片の両側から粘着層を線接触で挟んで接着(挟持・接着)し、粘着層に荷重を負荷すると、2つの粘着層はお互いに接着するとともに試験片は粘着層に埋没して、把持される。
この状態で、試験片の長手方向に荷重を加えても、先ず粘着剤の保持力、粘着力により試験片は外れなくなる(分子間力による化学的固定)。さらに、粘着層に荷重を負荷すると、一体化した2つの粘着層は液状物質のために埋没している試験片の外周に静水圧が発生し、この静水圧による機械的固定力により、試験片は一層外れにくくなる。
実際には、粘着剤が支持体に塗布形成された粘着テープを用いて、試験片の両側から把持するチャッキング部材とする方法が簡易的である。
粘着テープには、支持体、粘着層(粘着面ともいわれる。)からなる片面粘着テープと、粘着層、支持体、粘着層および剥離紙からなる両面テープとの2種類があるが、いずれでもよい。化学的固定と機械的固定を行なうことができるチャッキング部材であればよい。
極細線の引張試験機は、チャッキング装置は極細線試験片を把持するチャッキング部材を挟持し、チャッキング部材は極細線試験片を把持する粘着剤からなる粘着層と粘着層を支持する支持体とを備え、極細線試験片は粘着剤による化学的固定力とチャッキング装置から支持体を介して粘着層に平面的に加えられた加圧力が粘着層内において変換された静水圧的機械的固定力とにより把持している。
また、チャッキング装置と支持体との間に粘着剤から粘着層を備えていてもよい。
本発明によれば、極細線のチャッキング部への応力集中を防止し、極細線試験片の破断なく引張試験を簡単かつ容易に行なうことができる。
実施形態における引張試験機の外観正面図である。 実施形態における引張試験のチャッキング状態を示す図である。 極細線試験片を把持している図であって、試験片断面方向(図3a)および試験片長手方向(図3b)を示す図である。 チャック荷重を負荷したときの静水圧による試験片に対する応力方向を示す図であって、試験片断面方向(図4a)および試験片長手方向(図4b)を示す図である。 引張試験における代表的な荷重・変位グラフを示す図である。 比較試験方法における試験片を組み込んだチャッキング部材である。
本発明の実施形態は次の通りである。
極細線の引張試験機において、チャッキング装置は極細線試験片を把持するチャッキング部材を挟持し、チャッキング部材は直径5〜50μm、引張強度150〜300kg/mm からなる極細線試験片を把持する液状の粘着剤からなる粘着層と粘着層を支持する支持体とを備えてなり、極細線試験片は粘着剤による化学的固定力とチャッキング装置から支持体を介して粘着層に平面的に加えられた加圧力が粘着層内において変換された静水圧的機械的固定力とにより把持されている。
また、チャッキング装置と支持体との間に液状の粘着剤からなる粘着層を備えていてもよい。
本発明によれば、チャッキング装置による極細線試験片を直接的ないし間接的に機械的固定(硬化による固定を含む。)によらず、試験片は、粘着剤による分子間力による化学的固定力と、粘着剤からなる粘着層に外部から負荷された平面的加圧を、粘着層内にて等方的加圧に変換して静水圧による機械的固定力でもって把持することができる。よって、試験片の特定部位に応力集中が発生しないために、試験片は破断されることなく引張試験を行い得る。
また、本発明の引張試験方法は、液状の粘着剤からなる粘着層と支持体からなるチャッキング部材を用いて、直径5〜50μm、引張強度150〜300kg/mm からなる極細線試験片(以下、試験片という。)の両側からチャッキング部材の粘着層で接着・挟持し、次いでチャッキング部材を挟持するチャッキング装置に荷重を負荷して、試験片を接着・挟持している両側の2つの粘着層を密着させて一体化した粘着層とすることにより、試験片と粘着剤との分子間力による化学的固定を行ない、さらにチャッキング装置に荷重を追加負荷して試験片に対して粘着層の等方的加圧による静水圧を発生させることによる機械的固定を行ない得るチャッキング部材をチャッキング装置でもって挟持した後に引張試験を行なう。
以下に、図1〜5を参考にして、実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明のチャッキング装置にチャッキング部材を挟持した極細線用引張試験機の引張試験機の外観正面図であり、図2は下部チャッキング装置にチャッキング部材を挟持している状態を示す。図3は線接触により極細線試験片を把持している図であって、試験片断面方向(図3a)および試験片長手方向(図3b)を示す図であり、図4はチャッキング装置に荷重を負荷したときの静水圧による試験片に対する応力方向を示す図であって、試験片断面方向(図4a)および試験片長手方向(図4b)を示す図である。図5は引張試験における代表的な荷重・変位グラフを示す。
なお、図3および図4では、両面テープによる実施形態を示している。
<極細線>
直径100μm以下の極細線であって、好ましくは5〜50μmである。極細線の引張強度は、150kg/mm以上であって好ましくは200kg/mmから300kg/mm以下である。
極細線の直径が小さすぎると、極細線の表面積が小さくなって分子間力が小さくなって粘着力・保持力が低下する一方で極細線の断面積が小さくなって静水圧の効果も期待できなくなるので、直径は5μmとする。
また、極細線の直径が大きくなると、粘着剤の粘着力・保持力が相対的に小さくなって外れやすくなるため50μm以下とする。
本引張試験方法の対象として引張強度150kg/mm以上の極細線とし、本発明は引張強度の大きな極細線の引張試験に適しており、好ましくは200kg/mm以上であるが、300kg/mmを超えると分子間力による化学的固定と静水圧による機械的固定の和による把持力では耐え切れなくなって外れやすくなるため好ましくない。
<引張試験機>
一般的な微小荷重引張試験機1などで、最小荷重0.1gにて最大荷重50kgで十分であり、直径50μmの極細線にて引張強度300kg/mmとすると、荷重計は750gとなる。
チャッキング装置(12、14)は、偏心ロール形状のタイプで回動によりチャッキング部材13に線接触で押付け力による荷重を負荷することができる。極細線の直径に対しては円弧の線接触面は、面接触と近似できる。ここで、ロール径は15mmである。
ロールタイプのチャッキング装置は、チャッキングがすべって外れにくい一方で応力集中が生じやすい。非ロールタイプである平面タイプのチャッキング装置は、応力集中が発生しにくい一方で引張力が大きくなるとすべって外れやすくなる。
<チャッキング部材>
チャッキング部材13は、液状の粘着剤を支持体に塗布して粘着層あるいは粘着面が形成されている粘着テープである。極細線試験片の両側から2つの粘着層でもって把持するような粘着テープで接着する方法が簡易的である。
粘着テープには、支持体、粘着層からなる片面粘着テープと、粘着層、支持体、粘着層および剥離紙からなる両面粘着テープとの2種類があるが、いずれでもよい。化学的固定と機械的固定を行なうことができるチャッキング部材であればよい。
極細線試験片を粘着して化学的固定と機械的固定を行なうためには、粘着テープの厚さ、幅および長さは次のとおりである。ここで、幅とは試験片の直径方向をいい、長さとは試験片の長手方向をいう。
先ず、粘着テープの厚さでは、機械的固定のための静水圧を発生させる粘着層21の厚さ(2つの粘着層の合わせた厚さ)が、試験片(極細線)23の直径の2〜40倍とする。したがって、市販の粘着テープの粘着層21bの厚さでは、30〜50μm程度が少なくとも必要である。
片面粘着テープの場合には、支持体と接着部の厚さの合計は、取扱い性・作業性およびチャッキング装置による挟持性を考慮して300〜500μm程度が好ましい。
両面粘着テープの場合には、試験片に接着する第1接着部21b、支持体22、第2接着部21aおよび剥離紙からなり、第1粘着層21bの厚さは同様に30〜50μ程度は少なくとも必要である。従って、両面粘着テープとしての厚さは、取扱い性・作業性およびチャッキング装置による挟持性を考慮して300〜800μm程度が好ましい。
粘着テープの幅は、液状の粘着層21bによる静水圧を試験片に付与するために試験片の直径の10倍以上の粘着層21bの幅が必要な上に、粘着テープからなるチャッキング部材を挟持するチャッキング装置のサイズの考慮とチャッキング部材の調整、作業性を考慮すると、5〜20mmの幅となる。
粘着層の幅が試験片の直径の10倍より小さいと静水圧の発生が不十分となるからである。粘着テープの幅が5mm未満の場合には、その中央に試験片を接着する調整作業が容易ではなく、20mmを超える場合にはチャッキング装置の幅を超えて余分なチャッキング部材となる。
また、両面粘着テープを使用する場合には、第2接着部をチャッキング装置に粘着させるため、試験終了後の剥離作業が困難になることから最大幅で20mmとする。
粘着テープの長さは、液状の粘着剤による保持力・粘着力のための分子間力の化学的固定から長いほど粘着面積が大きくなる。好ましくは、5〜20mmの長さとする。短いと調整作業が容易でなく、長くしすぎても化学的固定力は飽和してくるからである。
本発明の引張試験に際しては、粘着テープに極細線試験片を貼り、長さ方向に静荷重をかけたときの粘着剤がズレに耐える力と定義されている保持力が十分であれば、外れにくくなる。保持力は、極細線試験片との接触面積にも比例することから、極細線試験片の外周面の面積である外周距離と長さとの積に比例する。
粘着テープの粘着強度は、一般的には両面テープの剥離強度は15mm角にて、被粘着材がステンレスとステンレスの場合で200〜700gにて、本発明では500g以上でよい。片面テープの場合には、凹凸を有するチャッキング装置により支持体は加圧挟持されることから、粘着テープの粘着強度は両面テープと同様と考えられる。
<引張試験方法>
極細線の引張試験方法は、次のステップで行なう。
チャッキング部材として、液状の粘着剤からなる粘着層と支持体からなるチャッキング部材を用いて、
チャッキング部材の粘着層は、極細線試験片を接着・挟持し、さらに極細線試験片が挟持されているチャッキング部材はチャッキング装置により挟持され、
次いで、チャッキング装置はチャッキング部材に荷重を負荷し、極細線試験片を粘着・挟持している両側の2つの粘着層を密着させて一体化した粘着層とすることにより、極細線試験片は粘着層により把持されるとともに粘着剤との分子間力による化学的固定力を生ぜしめ、
さらに、チャッキング装置に荷重を負荷して、チャッキング装置から支持体を介して粘着層に平面的に加えられた加圧力が粘着層内において変換された静水圧的機械的固定力を発生させた後に引張試験を行なう。
チャッキング部材として、液状の粘着剤が支持体に塗布・形成されている粘着テープ(市販品)を用いることが、簡便的である。粘着テープは、片面テープと両面テープのフ種類があるがいずれでもよい。
試験片の両側から粘着テープの粘着層と試験片を接着・挟持する際に、2枚の粘着両面テープ(図4a)を用いて行なう方法と、1枚の粘着テープを折り曲げて行なう方法がある。1枚の粘着テープを折り曲げて使用すると、接着部が加圧されたときに静水圧作用がより大きくなり、試験片への把持力(機械的固定力)が増大する。
本発明の実施例および比較例について、以下説明する。
試験に供した極細線は、Co基合金のアモルファスワイヤにて直径5μm、10μm、20μm、30μm、40μm、50μmの6種類で、試験片として長さ100mmである。
チャッキング部材は、例えば、ニチバン(株)製の「超強力タイプ ナイスタック」の粘着力 レベル4の超強力の両面テープにて、両面テープの厚さは0.62mm、粘着面の厚さは50μm、両面テープの幅は15mmの両面テープを長さ15mmで切断して調整した。
長さ15mmの両面テープの粘着面(粘着層)の中央部に長さ100mmの試験片の両端15mmの端部を接着し、試験片を挟むように長さ15mmの粘着面を合せて接着した。試験片を挟んで接着している2枚の両面テープのそれぞれの剥離紙を取り除いて、下部チャッキング装置12(24)および上部チャッキング装置14(24)に、それぞれ粘着層21aを接着固定した(図3)。
図3aは、極細線試験片23の断面方向を示し、同図における左右方向が両面テープの15mmの幅に相当し、極細線試験片23の直径の300〜1500倍と十分な幅とした。粘着層21bの厚さは50μmより2つの厚さの合計は100μmとなり、極細線試験片23の直径の2〜10倍と十分な厚さとした。図3bは、極細線試験片23の長手方向を示し、同図における左右方向が両面テープの15mmの長さに相当し、極細線試験片23の直径の300〜1500倍と十分な長さとした。
次に、図4によりチャッキング装置24の両側(図では、上下)挟持している両面テープに荷重を負荷して、最終的に等方的圧力である静水圧による機械的固定力で把持している状況を説明する。
図4aにて、チャッキング装置24に荷重を負荷して加圧を始めると、加圧力は粘着層21a、支持体22を介して粘着層21bに作用して、2枚の両面テープの2つの粘着層21b(厚さ50μm)同士が試験片を挟みながら近づいて接着して一体化した粘着層21(100μm)を形成する。この粘着層21に外周を包囲された試験片は、粘着剤との間に働く分子間力で化学的固定がされる。さらに加圧していくと、支持体22への平面的な加圧力(図面で、上下方向)を介して100μmの厚さからなる粘着層21への加圧力は、粘着層21の液状特性から極細線試験片23の断面の外周に対して、等方的な圧力である静水圧となって加圧される。極細線試験片23の直径に対して、粘着層21は左右には十分な幅があることから、上下からの平面的な加圧力は粘着層21の左右に開放されることなく、等方的な加圧力に変換されて静水圧的な機械的固定力が発生する。
したがって、極細線試験片23の外周面は、粘着層21と間に化学的固定力を生じせしめ、かつ静水圧的機械的固定力により強力に把持される。
また、図4bから極細線試験片23の長さ方向にて、極細線試験片23の十分な長さから化学的固定力、静水圧的機械的固定力により強く把持される。
引張試験機1により駆動部16が移動させて引っ張って、引張荷重測定器(引張荷重計と伸び計からなる。)によりで測定して、応力と歪み換算して応力歪線図として記録する(図5)。
上記の6種類の試験片について、引張強度150kg/mm、200kg/mm、250kg/mm、300kg/mmにて、それぞれ10本ずつ引張試験を行ない、断線が発生しないで試験が行なうことができた本数が8本以上は評価を〇とし、7本以下は評価を×とした。
比較例として、実施例と同様に簡易かつ容易な試験方法として図6に示す方法で行なった。
試験片の種類、引張強度および本数は実施例と同じで、評価方法も同じである。
次に、試験方法はJIS R 7607を参考にして、穴のある厚紙からなる台紙31に接着剤33を塗布して極細線試験片32を貼り付け、その上にクランプ部材を重ねて貼り付けた後、裁断部35を裁断してクランプ部材を引張試験機1のチャッキング装置(12、14)でチャッキングして引張試験に供する。
本発明の実施例および比較例の引張試験の結果を表1に示す。
本発明によれば、極細線試験片の直径5〜50μmについて引張強度150〜300kg/mmのすべての引張試験は断線しないで行なうことができ、すなわち10本中の10本が引張試験を行なうことができて評価結果はすべて〇であった。
比較例では、極細線試験片の直径が小さいほど、また引張強度が大きいほど断線しなかった本数が少なく、直径5〜50μmの極細線試験片が150kg/mmを除いて評価は×であった。
接着剤は、液体状であることから塗布の際に厚さが薄くなるとともに硬化して固体化するために、クランプ部材をチャッキングすると機械的挟持となって応力集中が発生することによると考えられる。特に、極細線試験片の直径が小さいほどあるいは引張強度が大きいほど応力集中が発生しやすくなると考えられる。
Figure 0006973738
市販の粘着テープを使用でき、簡単かつ容易にチャッキング部材により極細線試験片を外れることなく、応力集中の防止効果を得ることができ産業上利用可能である。
1:引張試験機
11:台座、12:下部チャッキング装置、13:チャッキング部材、14:上部チャッキング装置、15:引張荷重測定器、16:駆動部
2:極細線試験片固定
2a:両面テープ(剥離紙の除去後)、21:粘着層、21a:粘着層(剥離紙側)、21b:粘着層(極細線試験側)、22:支持体、23:極細線試験片、24:チャッキング装置
3:比較試験用チャッキング
31:厚紙、32:極細線試験片、33:接着剤、34:クランク部材、35:裁断部



Claims (3)

  1. 極細線の引張試験機において、
    チャッキング装置は、極細線試験片を把持するチャッキング部材を挟持し、
    前記チャッキング部材は、前記極細線試験片を把持する液状の粘着剤からなる粘着層と、前記粘着層を支持する支持体とを備えてなり、
    前記極細線試験片は、直径5〜50μm、引張強度150〜300kg/mm からなり、
    前記粘着剤による化学的固定力と、前記チャッキング装置から前記支持体を介して前記粘着層に平面的に加えられた加圧力が粘着層内において変換された静水圧的機械的固定力とにより把持されていることを特徴とする極細線用引張試験機。
  2. 請求項1において、
    前記チャッキング装置と前記支持体との間に液状の粘着剤からなる粘着層を備えることを特徴とする極細線用引張試験機。
  3. 極細線の引張試験方法において、
    液状の粘着剤からなる粘着層と支持体からなるチャッキング部材を用いて、
    前記チャッキング部材の前記粘着層により直径5〜50μm、引張強度150〜300kg/mm からなる極細線試験片は粘着・挟持され、
    前記極細線試験片が挟持されている前記チャッキング部材は前記チャッキング装置により挟持され、
    次いで、前記チャッキング装置は前記チャッキング部材に荷重を負荷し、前記極細線試験片を粘着・挟持している両側の2つの前記粘着層を密着させて一体化した粘着層とすることにより、前記極細線試験片は前記粘着層により把持されるとともに粘着剤との分子間力による化学的固定力を生ぜしめ、
    さらに、前記チャッキング装置に荷重を負荷して、前記チャッキング装置から前記支持体を介して前記粘着層に平面的に加えられた加圧力が粘着層内において変換された静水圧的機械的固定力を発生させた後に引張試験を行なうことを特徴とする極細線引張試験方法。
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