JP2010126661A - ポリオール組成物、その製造方法および該ポリオール組成物を用いるポリウレタン樹脂の製造方法 - Google Patents

ポリオール組成物、その製造方法および該ポリオール組成物を用いるポリウレタン樹脂の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来のものより粘度が低く、作業性に優れ得るポリオール組成物及びその製造方法及びかかるポリオール組成物を用いるポリウレタン樹脂の製造方法を提供する。
【解決手段】分子内に3個以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸と、分子内に水酸基および1個または2個のカルボキシル基を有するヒドロキシカルボン酸と、分子内に少なくとも2個の活性水素を有する活性水素化合物とを脱水縮合反応させてなる反応物に、炭素数2〜4のアルキレンオキシドを付加重合させてなることを特徴とするポリオール組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオール組成物およびその製造方法さらには該ポリオール組成物を用いるポリウレタン樹脂の製造方法に関する。
ポリオール組成物は、様々な工業分野で用いられ、例えば、ポリウレタンフォーム、ポリウレタンエラストマーなどのポリウレタン樹脂の原料として使用されている。
従来、この種のポリオール組成物としては、様々な種類のものが知られ、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとを反応させて得られるポリエステルポリオール組成物が、ポリウレタンフォームなどのポリウレタン樹脂の原料として知られている。
斯かるポリオール組成物は、多価カルボン酸と多価アルコールとがエステル化されてなるポリエステル化合物を含むため、該ポリエステル化合物分子に存在するエステル結合が分子間に作用する凝集力を強めるものと考えられ、従って、比較的高粘度となりやすく、ハンドリング性などの作業性の点で好ましくないものとなり得る。さらには、斯かるポリオール組成物がポリイソシアネート化合物などと混合されてなるポリウレタン樹脂製造用の反応液も高粘度となり得るため、施工性などの作業性の点で好ましくないものとなり得る。
これに対して、低粘度のポリオール組成物とすべく、特定の脂肪酸、油脂、又は脂肪酸化合物の1種以上を含ませた状態で多価カルボン酸と多価アルコールとを反応させて得られるポリエステルポリオール組成物が提案されている(特許文献1)。
しかしながら、特許文献1のごとく特定の脂肪酸、油脂、又は脂肪酸化合物の1種以上を含ませた状態で多価カルボン酸と多価アルコールとを反応させてなるポリエステルポリオール組成物は、未だ粘度が満足できるほど低いものではなく、必ずしも作業性の点で優れているものではないという問題がある。具体的には、例えばポリウレタン樹脂の製造時において、作業性を向上させるべく、ポリウレタン樹脂の物性等に悪影響を与え得る低粘度化剤や、フロンなどの有機溶剤などをさらに添加して低粘度化させる操作を要するという問題がある。従って、低粘度化剤や有機溶剤等を添加しなくとも、十分に粘度が低く、作業性に優れ得るポリオール組成物が要望されている。
特開平10−330470号公報
本発明は、上記の問題点、要望点等に鑑み、従来のものより粘度が低く、作業性に優れ得るポリオール組成物及びその製造方法を提供することを課題とする。また、かかるポリオール組成物を用いるポリウレタン樹脂の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決すべく、本発明に係るポリオール組成物は、分子内に3個以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸と、分子内に水酸基および1個または2個のカルボキシル基を有するヒドロキシカルボン酸と、分子内に少なくとも2個の活性水素を有する活性水素化合物とを脱水縮合反応させてなる反応物に、炭素数2〜4のアルキレンオキシドを付加重合させてなることを特徴とする。
上記構成からなるポリオール組成物によれば、前記ポリカルボン酸の各カルボキシル基と、前記ヒドロキシカルボン酸の水酸基、又は前記活性水素化合物の活性水素とが脱水縮合反応され得る。
また、前記ヒドロキシカルボン酸のカルボキシル基と、前記ヒドロキシカルボン酸の水酸基、又は前記活性水素化合物の活性水素とが脱水縮合反応され得る。
さらには、カルボキシル基が脱水縮合した後のヒドロキシカルボン酸において未反応の水酸基と、前記ヒドロキシカルボン酸のカルボキシル基、又は前記ポリカルボン酸のカルボキシル基とが脱水縮合反応され得る。
加えて、水酸基が脱水縮合した後のヒドロキシカルボン酸において未反応のカルボキシル基と、前記ヒドロキシカルボン酸の水酸基、又は前記活性水素化合物の活性水素とが脱水縮合反応され得る。
その他、様々な態様の中間化合物のカルボキシル基と、様々な態様の中間化合物の水酸基又は中間化合物の活性水素とが脱水縮合反応され得る。
このような脱水縮合反応によって、様々な中間反応物が生じ、該中間反応物に対して上記アルキレンオキシドが付加重合されることによって様々なポリオール化合物が生じ得る。従って、前記ポリオール組成物は、様々なポリオール化合物を含むこととなり得る。
即ち、前記ポリオール組成物には、分子量が異なるだけでなく、その分子構造も大きく異なる様々な化合物が含まれている。従って、明確にその作用原理が解明されているわけではないが、前記ポリオール組成物は、含まれているポリオール化合物の分子量や分子構造が大きく異なることにより、分子量や分子構造の類似した化合物でなるポリオール組成物と比較して、ポリオール化合物が規則的に配列するような状態に極めてなりにくく、エステル結合を有するポリオール化合物が含まれ得るにもかかわらず、ポリオール化合物の分子間で作用し得る凝集力が弱いものになり得ると考えられる。
また、本発明に係るポリオール組成物は、前記ポリカルボン酸1モルに対して前記ヒドロキシカルボン酸が1〜30モル用いられて反応されてなることが好ましい。
前記ポリカルボン酸1モルに対して前記ヒドロキシカルボン酸が1〜30モル用いられて反応されてなることにより、好適な弾性、硬度を有するポリウレタン樹脂が得られ、特に軟質ポリウレタンフォームにおいては、良好な反発弾性を得ることができるという利点がある。
また、前記ポリカルボン酸1モルに対して前記ヒドロキシカルボン酸が1〜30モル用いられて反応されてなることにより、前記ポリオール組成物が、より粘度の低いものになり得るという利点がある。
また、本発明に係るポリオール組成物は、ポリウレタン樹脂原料用であることが好ましい。ポリウレタン樹脂原料用として用いれば、ポリウレタン樹脂を製造する際の反応液の粘度が比較的低くなり得るため、施工性などの作業性が良好なものとなり得るという利点がある。しかも好適な弾性、硬度を有するポリウレタン樹脂が得られ、特に軟質ポリウレタンフォームにおいては、良好な反発弾性を得ることができるという利点がある。
本発明に係るポリオール組成物の製造方法は、分子内に3個以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸に、分子内に水酸基および1個または2個のカルボキシル基を有するヒドロキシカルボン酸と、分子内に少なくとも2個の活性水素を有する活性水素化合物とを脱水縮合反応させて得られる反応物に、炭素数2〜4のアルキレンオキシドを付加重合させることを特徴とする。
本発明に係るポリウレタン樹脂の製造方法は、前記ポリオール組成物と、ポリイソシアネート化合物とを反応させることを特徴とする。前記ポリオール組成物は、従来のものより粘度が低くなり得るため、本発明に係るポリウレタン樹脂の製造方法は、前記ポリオール組成物と前記ポリイソシアネート化合物とを混合した反応液の粘度が比較的低く、施工性などの作業性を良好なものとし得る。また、本発明に係るポリウレタン樹脂の製造方法は、得られるポリウレタン樹脂の物性などを所望のものとさせやすい。
本発明のポリオール組成物は、明確にその作用原理が解明されているわけではないが、含まれているポリオール化合物の分子量や分子構造が大きく異なることにより、分子量や分子構造の類似した化合物でなるポリオール組成物と比較して、ポリオール化合物が規則的に配列するような状態に極めてなりにくく、エステル結合を有するポリオール化合物が含まれ得るにもかかわらず、ポリオール化合物の分子間で作用し得る凝集力が弱いものになり得ると考えられる。従って、本発明のポリオール組成物は、従来のものより粘度が低く、作業性に優れ取り扱いやすいという効果を奏する。
以下、本発明のポリオール組成物の実施形態について説明する。
本実施形態のポリオール組成物は、分子内に3個以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸と、分子内に水酸基および1個または2個のカルボキシル基を有するヒドロキシカルボン酸と、分子内に少なくとも2個の活性水素を有する活性水素化合物とを脱水縮合反応させてなる反応物に、炭素数2〜4のアルキレンオキシドを付加重合させてなるものである。
本実施形態のポリオール組成物は、製造時の反応において、前記ポリカルボン酸の各カルボキシル基と、前記ヒドロキシカルボン酸の水酸基、又は前記活性水素化合物の活性水素とが脱水縮合反応され得る。
また、前記ヒドロキシカルボン酸のカルボキシル基と、前記ヒドロキシカルボン酸の水酸基、又は前記活性水素化合物の活性水素とが脱水縮合反応され得る。
さらには、カルボキシル基が脱水縮合した後のヒドロキシカルボン酸において未反応の水酸基と、前記ヒドロキシカルボン酸のカルボキシル基、又は前記ポリカルボン酸のカルボキシル基とが脱水縮合反応され得る。
加えて、水酸基が脱水縮合した後のヒドロキシカルボン酸において未反応のカルボキシル基と、前記ヒドロキシカルボン酸の水酸基、又は前記活性水素化合物の活性水素とが脱水縮合反応され得る。
その他、様々な態様の中間化合物のカルボキシル基と、様々な態様の中間化合物の水酸基又は活性水素とが脱水縮合反応され得る。
このような脱水縮合反応によって、様々な中間反応物が生じ、該中間反応物に対して前記アルキレンオキシドが付加重合されることによって、様々なポリオール化合物が生じ得る。従って、前記ポリオール組成物は、様々なポリオール化合物を含むこととなり得る。
即ち、本実施形態のポリオール組成物には、分子量が異なるだけでなく、その分子構造も大きく異なる様々な化合物が含まれている。従って、明確にその作用原理が解明されているわけではないが、前記ポリオール組成物は、含まれているポリオール化合物の分子量や分子構造が大きく異なることにより、分子量や分子構造の類似した化合物でなるポリオール組成物と比較して、ポリオール化合物が規則的に配列するような状態に極めてなりにくく、エステル結合を有するポリオール化合物が含まれ得るにもかかわらず、ポリオール化合物の分子間で作用し得る凝集力が弱いものになり得ると考えられる。従って、本実施形態のポリオール組成物は、従来のものより粘度が低く、作業性に優れ取り扱いやすいものとなり得る。
本実施形態のポリオール組成物は、前記ポリカルボン酸1モルに対して前記ヒドロキシカルボン酸が1〜30モル用いられて反応されてなることが好ましく、5〜24モル用いられて反応されてなることがより好ましく、6〜21モル用いられて反応されてなることがさらに好ましい。また、6〜12モル用いられて反応されてなることがよりさらに好ましく、6〜9モル用いられて反応されてなることが最も好ましい。
前記ポリカルボン酸1モルに対して前記ヒドロキシカルボン酸が1〜30モル用いられて反応されてなることにより、好適な弾性、硬度を有するポリウレタン樹脂が得られ、特に軟質ポリウレタンフォームにおいては、良好な反発弾性を得ることができるという利点がある。
また、前記ポリカルボン酸1モルに対して前記ヒドロキシカルボン酸が30モル以下用いられて反応されてなることにより、前記ポリオール組成物が、より粘度の低いものになり得るという利点がある。さらには、前記ポリカルボン酸1モルに対して前記ヒドロキシカルボン酸が、より好ましくは24モル以下、さらに好ましくは21モル以下、よりさらに好ましくは12モル以下、最も好ましくは9モル以下用いられる。
また、前記ポリカルボン酸1モルに対して前記ヒドロキシカルボン酸が1モル以上用いられて反応されてなることにより、本実施形態のポリオール組成物に含まれている化合物の分子量がより大きくなり、前記ポリオール組成物の平均水酸基価がより小さくなり得るという利点がある。
本実施形態のポリオール組成物は、前記ポリカルボン酸に含まれるカルボキシル基1モルに対して、前記活性水素化合物が1モル以上用いられて反応されてなることが好ましい。1モル以上用いられて反応されてなることにより、得られるポリオール組成物にカルボキシル基が残存しにくく、ポリイソシアネート化合物と反応させる際のウレタン化反応における異常反応が起こりにくくなるという利点がある。また、前記ポリカルボン酸に含まれるカルボキシル基1モルに対して、前記活性水素化合物が5モル以下用いられて反応されてなることが好ましく、3モル以下用いられて反応されてなることがさらに好ましい。5モル以下用いられて反応されてなることにより、好適な弾性、硬度を有するポリウレタン樹脂が得られることができるという利点がある。
前記ポリカルボン酸としては、クエン酸、トリメシン酸、プロパントリカルボン酸、トリメリット酸などの分子内に3個のカルボキシル基を有するポリカルボン酸、ピロメリット酸、ビフタル酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸などの分子内に4個のカルボキシル基を有するポリカルボン酸、ベンゼンペンタカルボン酸などの分子内に5個のカルボキシル基を有するポリカルボン酸、ベンゼンヘキサカルボン酸などの分子内に6個のカルボキシル基を有するポリカルボン酸、上記分子内に少なくとも2個のカルボキシル基を有する化合物とポリアミン化合物との縮合反応により得られるポリカルボン酸、上記分子内に少なくとも2個のカルボキシル基を有する化合物とのエステル化反応により得られるポリカルボン酸、およびこれらの酸無水物などが挙げられる。
これらポリカルボン酸のうち、容易に入手可能であり、且つ、ポリウレタン樹脂に好適な硬度および機械強度を付与できるという点で、分子内に3〜6個のカルボキシル基を有するポリカルボン酸が好ましく、3〜4個のカルボキシル基を有するポリカルボン酸がより好ましい。なかでも、より入手しやすいという点で、分子内に3個のカルボキシル基を有するポリカルボン酸が好ましい。
また、これらポリカルボン酸のうち、石油などの化石由来資源を代替するという点で、天然由来原料またはこれを用いて合成された化合物が好ましく、このような化合物としては、具体的には、天然由来原料であるクエン酸が好ましい。さらには、大気中に排出される二酸化炭素と吸収される二酸化炭素とが同じとなり得るというカーボンニュートラルの観点から、植物由来原料またはこれを用いて合成された化合物がより好ましい。
前記ヒドロキシカルボン酸は、分子内に水酸基および1個または2個のカルボキシル基を有するものである。
前記ヒドロキシカルボン酸としては、分子内に1個のカルボキシル基を有するヒドロキシモノカルボン酸、分子内に2個のカルボキシル基を有するヒドロキシジカルボン酸が挙げられる。前記ヒドロキシカルボン酸としては、ポリオール組成物の平均水酸基数を制御することが容易であるという点で、前記ヒドロキシモノカルボン酸が好ましい。また、前記ヒドロキシモノカルボン酸としては、ポリオール組成物の平均水酸基数を制御することが容易であるという点で、分子内に1個の水酸基を有するものが好ましい。
また、前記ヒドロキシカルボン酸としては、炭素数が5〜30であるものが好ましく、炭素数が10〜22であるものがさらに好ましい。炭素数が5〜30であることにより、弾性を有する低硬度のポリウレタン樹脂が得られ、特に軟質ポリウレタンフォームにおいては、良好な反発弾性を得ることができるという利点がある。
なお、前記ヒドロキシカルボン酸の炭素数とは、ヒドロキシカルボン酸分子内にある炭素の個数を意味し、詳しくは、前記ヒドロキシカルボン酸1分子あたりの平均炭素数を意味する。より詳しくは、複数のヒドロキシカルボン酸が混合される場合は、前記ヒドロキシカルボン酸の平均炭素数、即ち、混合された前記ヒドロキシカルボン酸1分子あたりの平均炭素数を意味する。
より詳しくは、前記ヒドロキシカルボン酸としては、ポリオール組成物の平均水酸基数を制御することが容易であり、且つ弾性を有する低硬度のポリウレタン樹脂が得られるという点で、分子内に1個の水酸基を有し且つ炭素数が5〜30であるヒドロキシモノカルボン酸が好ましい。
前記ヒドロキシモノカルボン酸としては、例えば、脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸、芳香族ヒドロキシモノカルボン酸、および、ヒドロキシル基を有していない不飽和カルボン酸のアルキルエステルを、ギ酸法、ヒドロオキシホルミル化、エポキシ基の開環などの公知の方法によってヒドロキシル化し、アルキルエステルを除去したヒドロキシル化カルボン酸などが挙げられる。
前記脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸としては、例えば、グリコール酸、乳酸、リシノール酸、グリセリン酸、酒石酸、ロイシン酸、メバロン酸、パントイン酸、セレブロン酸、キナ酸、シキミ酸などが挙げられる。なかでも、前記脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸としては、グリコール酸、リシノール酸などが好ましい。
前記リシノール酸を用いる場合、該リシノール酸を含む混合物としては、ヒマシ油を加水分解することにより得られるヒマシ油脂肪酸混合物が挙げられる。該ヒマシ油脂肪酸混合物は、リシノール酸だけでなくリシノール酸以外のヒドロキシカルボン酸や水酸基を有しない脂肪酸などを含み得るものであるが、前記ポリカルボン酸とエステル化させるものとしては、植物由来原料であり、比較的入手しやすいという点で好ましい。
なお、前記ヒマシ油脂肪酸混合物を用いる場合であっても、本実施形態のポリオール組成物は、前記ヒマシ油脂肪酸混合物中にあるリシノール酸およびリシノール酸以外のヒドロキシカルボン酸の水酸基が前記ポリカルボン酸のカルボキシル基にエステル化反応し得る。
前記芳香族ヒドロキシモノカルボン酸としては、サリチル酸、クレオソート酸、バニリン酸、シリング酸などのモノヒドロキシ安息香酸誘導体、ピロカテク酸、レソルシル酸、プロトカテク酸、ゲンチジン酸、オルセリン酸などのジヒドロキシ安息香酸誘導体、没食子酸などのトリヒドロキシ安息香酸誘導体、マンデル酸、ベンジル酸、アトロラクチン酸などのフェニル酢酸誘導体、メリロト酸、フロレト酸、クマル酸、ウンベル酸、コーヒー酸、フェルラ酸、シナピン酸などのケイヒ酸・ヒドロケイヒ酸誘導体、および、これらに水素添加したものが挙げられる。
前記ヒドロキシル化カルボン酸としては、例えば、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸などのモノ不飽和脂肪酸、リノール酸などのジ不飽和脂肪酸、α-リノレン酸、エレオステアリン酸などのトリ不飽和脂肪酸、ステアリドン酸、アラキドン酸などのテトラ不飽和脂肪酸、エイコサペンタエン酸、イワシ酸などのペンタ不飽和脂肪酸、ドコサヘキサエン酸などのヘキサ不飽和脂肪酸などの二重結合部分をヒドロキシル化したものが挙げられる。なかでも前記ヒドロキシル化カルボン酸としては、水酸基を分子内に1個有するヒドロキシカルボン酸を選択的に得られるという点で、モノ不飽和脂肪酸から得られるヒドロキシカルボン酸が好ましく、入手が容易であるという点で、オレイン酸から得られるモノヒドロキシステアリン酸がより好ましい。
前記ヒドロキシジカルボン酸としては、例えば、リンゴ酸、タルトロン酸、シトラマル酸などが挙げられる。
前記ヒドロキシカルボン酸は、1種が単独で用いられ得る。または、2種以上が併用され得る。
なお、前記ポリオール組成物としては、前記ポリカルボン酸、前記ヒドロキシカルボン酸、及び前記活性水素化合物の他に、さらに水酸基を有していないモノカルボン酸が反応されてなるポリオール組成物が挙げられる。該モノカルボン酸としては、例えば、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸など、ヒドロキシル基を有していない前記不飽和モノカルボン酸が挙げられる。
前記活性水素化合物は、活性水素を分子内に少なくとも2個有する化合物である。前記活性水素化合物は、活性水素としての水酸基の水素、第一級アミノ基又は第二級アミノ基の水素、又は、チオール基の水素を分子内に有する化合物である。なお、分子内にある活性水素の種類は、1種であってもよく2種以上であってもよい。
また、前記活性水素化合物は、数平均分子量が50〜1000であることが好ましい。数平均分子量が50〜1000であることにより、好適な弾性、硬度を有するポリウレタン樹脂が得られることができるという利点がある。
なお、前記数平均分子量は、分子構造が既知のものの場合は、その分子量で表され、分子構造が既知のものが混合されている場合は、その混合比率から算出された平均値で表される。また、前記数平均分子量は、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール等のように、分子量の異なるものが分子量分布をもって混在しているものの場合は、下記に示す高速液体クロマトグラフィーによって測定された数平均分子量で規定されるものである。
ここで、数平均分子量の測定方法を示す。まず、ポリエチレングリコールの標準物質を高速液体クロマトグラフィー(製品名:HP−1050 ヒューレットパッカード社製)で測定し、検量線を作成した。続いて、各ポリオール組成物を同様の条件で測定し、検出されたリテンションタイム、ピーク面積をもとにして検量線からそれぞれの分子量とその比率を求め、数平均分子量を算出した。なお、測定条件は下記の通りである。
・カラム :4.6mmΦ×150mm
(製品名:Inertsil ヒューレットパッカード社製)
・溶離液 :水/アセトニトリル=45/55(重量比)の混合溶媒
・ポンプ流量:1.0mL/min.
・カラム温度:40℃
・検出器 :ELSDドリフトチューブ
・検出器温度:140℃
詳しくは、前記活性水素化合物としては、分子内に複数の水酸基を有するポリオール化合物、分子内に第一級アミノ基又は第二級アミノ基を有するアミン化合物、分子内にチオール基を有するチオール化合物などが挙げられる。これらの活性水素化合物は、混合されて用いられ得る。
前記ポリオール化合物としては、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの脂肪族ポリオール化合物、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの分子内に1つのエーテル基を有する脂肪族モノエーテルポリオール化合物、α−メチルグリコシド、ショ糖などの脂環式ポリオール化合物、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどの芳香族ポリオール化合物等が挙げられる。
また、前記ポリオール化合物としては、具体的には、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミンなどのアミノ基含有ポリオール化合物等が挙げられる。
さらに、前記ポリオール化合物としては、ポリエステルポリオール化合物、ポリエーテルポリオール化合物、ポリエーテルポリエステルポリオール化合物等が挙げられる。また、これらを組み合わせたものが採用され得る。
前記ポリエステルポリオール化合物としては、具体的には、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロオルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸などのポリカルボン酸、その酸エステル、またはその酸無水物等の1種以上と、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの低分子アルコール化合物、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミンなどの低分子アミン化合物、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の低分子アミノアルコール化合物の1種以上との脱水縮合反応で得られる、ポリエステルポリオールまたはポリエステルアミドポリオールが挙げられる。また、例えば、低分子アルコール、低分子アミノアルコールなどを開始剤として、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトンなどの環状エステル(ラクトン)モノマー開環重合で得られるラクトン系ポリエステルポリオールが挙げられる。
前記ポリエーテルポリオール化合物としては、例えば、前述のポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子アルコール化合物、低分子アミン化合物、低分子アミノアルコール化合物や、フェノール類を開始剤として、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどのアルキレンオキシド、テトラヒドロフラン等を開環重合させたものが挙げられ、具体的には、ポリエチレングリコールなどのポリオキシエチレンポリオール、ポリプロピレングリコールなどのポリオキシプロピレンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルポリオール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールなどのポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオールなどが挙げられる。
前記ポリエーテルポリエステルポリオール化合物としては、前述のポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールを開始剤とするポリエーテルポリエステルが挙げられる。好ましくは、アルキレンオキシドを開環重合により付加させたものが挙げられる。なお、アルキレンオキシドの付加は、ランダム付加、ブロック付加など、いずれの形態であってもよい。
前記アミン化合物としては、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族アミン化合物、ピペラジンなどの環状アミン化合物、トルエンジアミン、フェニレンジアミン、ジフェニルエタンジアミンなどの芳香族アミン化合物、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミンなどのアルカノール第一級アミン化合物等が挙げられる。
前記チオール化合物としては、チオグリコール等が挙げられる。
これらのうち、前記活性水素化合物としては、好適な弾性、硬度を有するポリウレタン樹脂になり得るという点で、前記ポリオール化合物が好ましく、さらには、前記脂肪族モノエーテルポリオール化合物や前記ポリエーテルポリオール化合物など、分子内に複数の水酸基を有し少なくとも1個のエーテル基を有するエーテルポリオール化合物がより好ましい。前記活性水素化合物としては、具体的には、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの前記脂肪族モノエーテルポリオール化合物、又はポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールなどの前記ポリエーテルポリオール化合物が好ましい。なかでもジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールが特に好ましい。
具体的には、本実施形態のポリオール組成物としては、より粘度の低いポリオール組成物になり得るという点で、分子内に3個のカルボキシル基を有するポリカルボン酸と、分子内に1個の水酸基を有し且つ炭素数が5〜30であるヒドロキシモノカルボン酸と、分子内に複数の水酸基を有し少なくとも1個のエーテル基を有する前記エーテルポリオール化合物とを脱水縮合させてなるものが好ましい。より具体的には、クエン酸と、モノヒドロキシステアリン酸又はリシノール酸と、分子内に1つのエーテル基を有する脂肪族モノエーテルポリオール化合物とを脱水縮合させてなるものが好ましい。
前記炭素数2〜4のアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、グリシドール、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、又はこれらの混合物などが挙げられる。これらのうち、後述する他のポリオールおよびその他の添加剤との相溶性に優れるという点で、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドが好ましい。即ち、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、およびこれらの混合物が好ましい。
なお、通常、エチレンオキシドが付加重合されて生じる水酸基は1級水酸基になり、プロピレンオキシドが付加重合されて生じる水酸基は2級水酸基になることから、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの混合物を用いる場合、この2種のアルキレンオキシドの混合比を変化させることによって、前記ポリオール組成物にある1級水酸基と2級水酸基との比を適宜調整することができる。
このように、本実施形態のポリオール組成物は、前記ポリカルボン酸と前記ヒドロキシカルボン酸と前記活性水素化合物とを脱水縮合反応させてなる反応物に、所定のアルキレンオキシドが所定量付加重合されてなることから、ポリオール組成物に存在する水酸基の態様が十分に調整されたものとなり得る。
前記炭素数2〜4のアルキレンオキシドが付加重合されてなるポリオール組成物は、例えば、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのどちらか一方が付加重合されてなるものでもよく、また例えば、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとが別々に付加重合されてなるものでもよく、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとを混合したオキシド化合物が付加重合されてなるものでもよい。
本実施形態のポリオール組成物は、ポリウレタン樹脂原料として用いられることが好ましく、ポリウレタンフォーム用原料として用いられることがより好ましい。ポリウレタン樹脂原料として用いられることにより、ポリウレタン樹脂を製造する際の反応液の粘度が比較的低くなり得るため、施工性などの作業性が良好なものとなり得るという利点があり、しかも弾性を有する低硬度のポリウレタン樹脂が得られるという利点がある。また、軟質ポリウレタンフォーム用原料として用いられることが特に好ましく、軟質ポリウレタンフォーム用原料として用いられることにより、良好な反発弾性を得ることができるという利点がある。
本実施形態のポリオール組成物の平均水酸基価は、15〜800mgKOH/gの範囲であることが好ましく、20〜600mgKOH/gであることがより好ましい。上記範囲内とすることにより、ポリウレタン樹脂に好適な硬度及び機械強度を付与できるという利点がある。なお、前記平均水酸基価は、実施例に記載した方法により求めることができる。
本実施形態のポリオール組成物を軟質ポリウレタンフォームに使用する場合、平均水酸基価は15〜180mgKOH/gの範囲であることが好ましく、20〜150mgKOH/gであることがより好ましい。上記範囲内とすることにより、好適な硬度または反発弾性を有する軟質ポリウレタンフォームにすることができる。
本実施形態のポリオール組成物の粘度は、50〜2500mPa・sであることが好ましく、100〜1000mPa・sであることがより好ましい。上記範囲内であれば、取り扱いやすくハンドリング性などの作業性に優れる。なお、前記粘度は、実施例に記載した方法により求めることができる。
なお、本実施形態のポリオール組成物は、ポリオール化合物を主成分とするものであるが、前記脱水縮合反応に伴って生じる副反応物などを含み得る。また、例えば、前記ポリカルボン酸を含む混合物と、前記ヒドロキシカルボン酸を含む混合物と、前記活性水素化合物を含む混合物とを用いて脱水縮合反応させる場合には、それら混合物に含まれている不純物などが本実施形態のポリオール組成物に含まれ得る。
次に、ポリオール組成物の製造方法の一実施形態について説明する。
本実施形態のポリオール組成物の製造方法は、分子内に3個以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸と、分子内に水酸基および1個または2個のカルボキシル基を有するヒドロキシカルボン酸と、分子内に少なくとも2個の活性水素を有する活性水素化合物とを脱水縮合反応させて得られる反応物に、炭素数2〜4のアルキレンオキシドを付加重合させることを特徴とする。
本実施形態のポリオール組成物の製造方法は、製造されたポリオール組成物の粘度を従来のものより低くし得る。よって、製造された前記ポリオール組成物は、前記ポリイソシアネート化合物と混合しやすくなり、取り扱いやすくハンドリング性や施工性などの作業性が良好なものとなり得る。
前記ポリカルボン酸、前記ヒドロキシカルボン酸、前記活性水素化合物、前記炭素数2〜4のアルキレンオキシドは、上述のポリオール組成物の実施形態で述べたものと同様のものを用いることができる。
前記ポリカルボン酸と、前記ヒドロキシカルボン酸と、前記活性水素化合物との脱水縮合反応は、触媒を用いて行なう従来公知の方法を採用して行うことができる。詳しくは、前記脱水縮合反応は、従来公知のエステル化技術を採用したエステル化反応と同様な反応によって行なうことができる。
前記エステル化反応のうちでも代表的なものとしては、例えば常圧下でエステル化反応を行なう方法、真空下でエステル化反応を行なう方法、トルエンなどの不活性溶剤の存在下にエステル化反応を行ったのち、縮合水と溶剤とを共沸させて反応系外に除去する方法などが例示される。
また、前記エステル化反応の触媒としては、従来公知のものが挙げられ、例えば、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸等の有機酸、硫酸、リン酸などの無機酸、酢酸カリウム、オクチル酸カリウムなどの有機酸塩、塩化リチウム、塩化カリウムなどの金属塩化物、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムなどの金属酸化物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの金属水酸化物、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、アルミニウムトリイソプロポキサイド、イソプロピルチタネート、ブチルチタネートなどの金属アルコラート化合物、ナトリウムフェノラートなどの金属フェノラート化合物、スルホン酸型イオン交換樹脂などが挙げられる。
なお、前記エステル化反応においては、1回の反応で前記ポリオール組成物を製造できるという点で、前記ポリカルボン酸、前記ヒドロキシカルボン酸、及び前記活性水素化合物を同時に反応させることが好ましい。これら全てを同時に反応させることにより、1回の反応で簡便に比較的低粘度のポリオール組成物を製造することができるという利点がある。
また、所望の物性等をポリウレタン樹脂に付与させるべく、より制御されたポリオール組成物を製造できるという点では、最初にいずれか2成分を脱水縮合反応させ、続いて残りの1成分を脱水縮合反応させることが好ましい。具体的には、例えば、前記ポリカルボン酸と前記ヒドロキシカルボン酸とを反応させた後に、さらに前記活性水素化合物を反応させる製造方法は、より分子構造の類似したポリオール化合物をポリオール組成物に含ませ得るという点で好ましい。
前記エステル化反応物へのアルキレンオキシドの付加重合反応は、従来知られている公知の方法に準じて行うことができる。
次に、前記ポリオール組成物を用いるポリウレタン樹脂の製造方法の一実施形態について説明する。
本実施形態のポリウレタン樹脂の製造方法は、前記ポリオール組成物と、ポリイソシアネート化合物とを反応させるものである。なお、前記ポリオール組成物と前記ポリイソシアネート化合物との反応は、前記ポリオール組成物の水酸基と前記ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基とが主に反応することにより進行する。
本実施形態のポリウレタン樹脂の製造方法においては、作業性に優れ得る程度に粘度の低い前記ポリオール組成物を用いるため、前記ポリオール組成物と前記ポリイソシアネート化合物とを混合した反応液の粘度が比較的低くなり、ポリウレタン樹脂製造時における施工性などの作業性が良好なものとなり得る。また、本実施形態のポリウレタン樹脂の製造方法は、ポリウレタン樹脂の物性などを所望のものとさせやすいものである。
前記ポリイソシアネート化合物は、分子内に複数のイソシアネート基を有する化合物である。前記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルジイソシアネート、ポリメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等のポリイソシアネート化合物を挙げることができる。また、該ポリイソシアネート化合物の変性物として、ポリエーテルポリオール、トリメチロールプロパンなどの多価アルコールなどで変性したプレポリマー変性物、二量化変性物、三量化変性物、ウレア変性物、カルボジイミド変性物を用いてもよい。これらのポリイソシアネート化合物は、2種類以上併用することも可能である。これらのうち、得られるポリウレタン樹脂の成型性が良好であるという点で、TDI、MDI単独および、その併用が好ましい。軟質ポリウレタンフォームを製造する際には、成型性、反発弾性が良好なポリウレタン樹脂を得ることができるという点で、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートをポリエーテルポリオールで変性したものを用いることがさらに好ましい。なお、前記ポリイソシアネート化合物としては、少なくとも1種が用いられ得る。
前記ポリオール組成物は、他のポリオール化合物と混合されてポリオール成分となりポリウレタン樹脂の製造に用いられ得る。この場合、本実施形態のポリウレタン樹脂の製造方法では、前記ポリオール組成物を含む前記ポリオール成分と、前記ポリイソシアネート化合物とを反応させる。
前記ポリイソシアネート化合物と前記ポリオール成分との配合比は、ポリウレタン樹脂の成型性を考慮し、前記ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の総モル数と、前記ポリオール成分の水酸基の総モル数との比(NCO/OH比)が0.8以上であることが好ましく、1.5以下であることが好ましい。特に、軟質ポリウレタンフォームに用いる場合には、良好な反発弾性を付与し得るという点で、0.9以上1.2以下であることがより好ましい。
前記他のポリオール化合物としては、特に限定されるものではないが、ポリウレタン樹脂の原料となり得るポリオール化合物であり、通常、アルキレンオキシドを付加重合して得られるものが挙げられる。前記ポリオール成分に占める前記ポリオール組成物の割合は、前記ポリオール成分の粘度を比較的低くできるという点で、10重量%以上が好ましく、15重量%以上がより好ましい。
前記他のポリオール化合物は、平均水酸基数が2.0以上であり、且つ、平均水酸基価が20mgKOH/g以上であることが好ましい。
前記他のポリオール化合物の平均水酸基数が2.0以上であることにより、ポリウレタン樹脂が十分な機械強度を有するという利点がある。また、前記他のポリオール化合物が軟質ポリウレタンフォームの原料として用いられる場合は、前記他のポリオール化合物の平均水酸基数が6.0以下であることにより、弾性を有する低硬度のポリウレタン樹脂が得られ、特に軟質ポリウレタンフォームにおいては、良好な反発弾性を得ることができるという利点がある。
前記他のポリオール化合物の平均水酸基価は、20〜800mgKOH/g以上であることが好ましい。平均水酸基価が20〜800mgKOH/g以上であることにより、十分な機械強度を有するポリウレタン樹脂を製造し得るという利点がある。特に、軟質ポリウレタンフォームに用いる場合には、前記他のポリオール化合物の平均水酸基価が20〜90mgKOH/gであることが好ましい。
前記他のポリオール化合物を複数種用いる場合、その混合物の平均水酸基数が2.0以上であり、かつ、平均水酸基価が20mgKOH/g以上であることが好ましい。即ち、個々のポリオール化合物すべてにおいて、水酸基の平均水酸基数が2.0以上、かつ、平均水酸基価が20mgKOH/g以上である場合だけでなく、個々のポリオール化合物は、平均水酸基数2.0以上、かつ、平均水酸基価20mgKOH/g以上の範囲内あるいは範囲外であっても、混合物全体として平均水酸基数2.0以上、かつ、平均水酸基価20mgKOH/g以上を満たす場合であっても好ましい範囲内である。
前記他のポリオール化合物としては、たとえば、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリマーポリオール、これらのコポリオール、またはこれらの任意の2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち、耐加水分解性等に優れるという点で、ポリエーテルポリオール、ポリマーポリオール、またはこれらの混合物が好ましい。
前記他のポリオール化合物の前記ポリエステルポリオールとしては、たとえば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロオルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸などのポリカルボン酸、その酸エステル、またはその酸無水物等の1種以上と、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの低分子アルコール化合物、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミンなどの低分子アミン化合物、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の低分子アミノアルコール化合物の1種以上との脱水縮合反応で得られる、ポリエステルポリオールまたはポリエステルアミドポリオールが挙げられる。また、例えば、低分子アルコール化合物、低分子アミノアルコールなどを開始剤として、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトンなどの環状エステル(ラクトン)モノマー開環重合で得られるラクトン系ポリエステルポリオールが挙げられる。
前記他のポリオール化合物の前記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、前述の前記他のポリオール化合物のポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子アルコール化合物とホスゲンとの脱塩酸反応、或いは前記低分子アルコール化合物とジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等とのエステル交換反応で得られるものが挙げられる。
前記他のポリオール化合物の前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、前述のポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子アルコール化合物、低分子アミン化合物、低分子アミノアルコール化合物や、フェノール類を開始剤として、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどのアルキレンオキシド、テトラヒドロフラン等を開環重合させたポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルポリオール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオールなどが挙げられる。さらに、前述のポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールを開始剤とするポリエステルエーテルポリオールが挙げられる。好ましくは、アルキレンオキシドを開環重合により付加させたものが挙げられる。これらを用いると、反応性が良好で、成型性が良好なポリウレタンフォームが得られる。なお、アルキレンオキシドの付加は、ランダム付加、ブロック付加など、いずれの形態であってもよい。
前記他のポリオール化合物の前記ポリマーポリオールは、ポリエーテルポリオール中でエチレン性不飽和モノマーを重合させる方法、別途製造した重合体微粒子をポリエーテルポリオールに混合する方法、エチレン性不飽和基を有するマクロモノマーとエチレン性不飽和モノマーをポリエーテルポリオール中で重合させる方法などで調製され得る。前記エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、スチレン、アクリロニトリルなどのモノマー、これらの混合物が挙げられる。これらのうち、ポリエーテルポリオール中でエチレン性不飽和モノマーを重合させたものが好ましく、ポリオキシプロピレントリオール中でエチレン性不飽和モノマーを重合させたものが更に好ましい。重合体微粒子の含有量が50重量%を越えると、ポリマーポリオールの粘度が高くなり、成型時に作業性が悪化し得る。
本実施形態のポリウレタン樹脂の製造方法では、スラブ法、ワンショット法、セミプレポリマー法およびプレポリマー法等の一般的な方法を採用できる。この方法の採用により、硬質ポリウレタンフォーム、軟質ポリウレタンフォームなどのポリウレタンフォームやポリウレタンエラストマーなどを製造することができる。
本実施形態のポリウレタン樹脂の製造方法では、さらに、触媒、発泡剤、整泡剤、架橋剤等を用いることができる。
前記触媒としては、ポリウレタン樹脂の製造で一般的に用いられる、例えば、3級アミン、ジアザビシクロアルケン類や、その塩類、有機金属化合物などが挙げられる。前記3級アミンの例としては、N、N−ジメチルエタノールアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、1、2−ジメチルイミダゾールなどが挙げられる。
前記有機金属化合物としては、亜鉛、錫、鉛、ジルコニウム、ビスマス、コバルト、マンガン、鉄などの金属とオクテン酸、ナフテン酸などの有機酸との金属塩、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンアセチルアセトナート、アセチルアセトンアルミニウム、アセチルアセトンコバルト、アセチルアセトン鉄、アセチルアセトン銅、アセチルアセトン亜鉛などの金属キレート化合物などが挙げられる。
これらは、いずれも1種を単独で、あるいは2種以上混合して用いることができる。ポリウレタンフォームの製造においては、3級アミンを用いることが好ましい。なお、添加量は、適宜調整できる。
前記発泡剤としては、水、水素原子含有炭化水素、塩化メチレン、低沸点炭化水素、液化炭酸ガスを単独でまたは組み合わせて用いることができる。前記水素原子含有ハロゲン化炭化水素としては、HFC(ハイドロフルオロカーボン類)例えば、HFC−134a、HFC−152a、HFC356mff、HFC236ea、HFC−245ca、HFC365−mfc等が挙げられる。また、前記低沸点炭化水素としては、通常沸点が−5〜70℃の炭化水素、例えば、ブタン、ペンタン、シクロペンタンおよび、これらの混合物などが挙げられる。前記発泡剤としては、水が、特に好適に用いられる。
前記整泡剤としては、通常ポリウレタン樹脂の製造に用いられるもの、例えば、ポリアルキルシロキサン-ポリオキシアルキレンブロックコポリマーなどが挙げられる。これらは、いずれも単独であるいは2種以上混合して用いることができる。前記整泡剤は、ポリオール成分100重量部に対して、5.0重量部以下、好ましくは3.0重量部以下用いることが望ましい。5重量部を超えて用いると、成型性が悪化する。
前記架橋剤としては、好適には、前述のポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子アルコール化合物、低分子アミン化合物、低分子アミノアルコール化合物などの、分子量500未満の低分子活性水素化合物が用いられる。
前記架橋剤は、いずれも単独でまたは2種以上混合して用いることができる。前記架橋剤は、軟質ポリウレタンフォームの調製で用いる場合は、ポリオール成分100重量部に対して、10重量部以下、好ましくは5重量部以下用いることが好ましい。5重量部を超えて用いると、ポリウレタンフォームの圧縮永久歪が悪化し得る。
本実施形態のポリウレタン樹脂の製造方法では、上述した触媒、発泡剤、整泡剤、架橋剤以外に所望の添加剤を用いることができる。前記添加剤としては、炭酸カリウム、硫酸バリウム等の充填剤;ポリウレタンフォーム安定化剤等の界面活性剤;酸化防止剤、紫外線吸収剤等の老化防止剤;難燃剤、着色剤、抗カビ剤、消臭剤、破泡剤、分散剤、変色防止剤、可塑剤、溶剤、造膜助剤、分散剤、香料等の慣用の添加剤を挙げることができる。
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに詳細に説明する。
まず、ポリオール組成物の製造に用いた化合物について以下に示す。
<(A)分子内に3個以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸>
(A1)クエン酸無水物
(ナカライテスク株式会社製、商品名:クエン酸無水物)
(A2)1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸
(ピロメリット酸 和光純薬工業社製)
<(B)分子内に1個または2個のカルボキシル基と水酸基とを有する
ヒドロキシカルボン酸>
(B1)モノヒドロキシステアリン酸
モノヒドロキシステアリン酸の製造方法を以下に示す。
撹拌機、温度計、窒素導入管および還流コンデンサを備えた反応器に高純度オレイン酸(日油株式会社製、商品名:EXTRA OLEINTM 99)1000g(3.5モル)、2000mLのギ酸(ナカライテスク株式会社製、商品名:ギ酸)、10mLの70%過塩素酸水溶液(オレイン酸に対して1重量%)の混合物を、5−15分間窒素雰囲気中で加熱還流、その後、過剰のギ酸を減圧で除去することで、粗製のホルムオキシステアリン酸1100g(ヨウ素価13.5gI2/100g、ケン化価298mgKOH/g、酸価170mgKOH/g)を得た。
この粗ホルムオキシステアリン酸を100%過剰(2倍当量)の6N−NaOHと15分間沸騰させ、その後、過剰の6N−HCl中に撹拌しながら注入した。油層(上層)硬化後、水相を除去し、油層(固層)を熱水中にかき混ぜながら投入して再び溶解させた。固体生成物を空気乾燥して粗製のモノヒドロキシステアリン酸1050g(ヨウ素価15.0gI2/100g、酸価184mgKOH/g、平均水酸基価184)を得た。
さらに、石油ナフサ、ヘキサンから再結晶することでモノヒドロキシステアリン酸740g(収率65%、ヨウ素価2gI2/100g、酸価187mgKOH/g、平均水酸基価195mgKOH/g)を得た。
なお、ヨウ素価はJIS K3331に準じて測定し、ケン化価は、JIS K0070に準じて測定し、酸価は、JIS K0070に準じて測定した。なお、平均水酸基価は、後に示す方法で測定した。
(B2)グリコール酸(ナカライテスク株式会社製、商品名:グリコール酸)
(B3)ヒマシ油脂肪酸(伊藤製油社製、商品名「CO−FA」 リシノール酸含有)
<(C)分子内に少なくとも2個の活性水素を有する活性水素化合物>
(C1)ジプロピレングリコール
(商品名:ジプロピレングリコール ナカライテスク社製)
(C2)ポリエチレングリコール
(数平均分子量390、商品名:PEG400 第一工業製薬社製)
(C3)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール
(数平均分子量990、プロピレングリコールに、エチレンオキシドとプロピレン
オキシドとの混合物(30/70[重量比])をランダム重合したもの)
(C4)ポリプロピレングリコール
(数平均分子量392、商品名:PPG400 第一工業製薬社製)
(C5)ジエタノールアミン(分子量105)
(C6)ポリエステルポリオール
(数平均分子量1000、商品名:ニッポラン4009 日本ポリウレタン社製)
(C7)エチレングリコール(分子量62)
<(D)炭素数2〜4のアルキレンオキシド>
(D1)エチレンオキシド
(D2)プロピレンオキシド
上記のポリカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、活性水素化合物を必要に応じて用い、ポリオール組成物1〜17を製造した。
(ポリオール組成物1)
撹拌機、温度計、窒素導入管および還流コンデンサを備えた反応器に、クエン酸57.6g(0.3モル)とモノヒドロキシステアリン酸487g(1.8モル)とジプロピレングリコール181g(1.35モル)を投入し、副生する水を反応系内から除去しながら温度220℃で8時間反応を行なった。続いて、反応液をオートクレーブに移し、48%水酸化カリウム水溶液4.5g(KOHとして反応液100重量部に対して0.3重量部)を添加し、温度130℃、圧力0.2MPaを維持しながら、エチレンオキシド38.4g(0.9モル)を導入し、さらに1時間熟成反応を行うことによりポリオール組成物1(粘度:920mPa・s、平均水酸基価:68mgKOH/g)を製造した。
(ポリオール組成物2〜17)
「(A)分子内に3個以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸」の種類および使用量と、「(B)分子内に1個または2個のカルボキシル基と水酸基とを有するヒドロキシカルボン酸」の種類および使用量と、「(C)分子内に少なくとも2個の活性水素を有する活性水素化合物」の種類および使用量と、「(D)炭素数2〜4のアルキレンオキシド」の種類および使用量とを表1に記載の通り変更した点以外は、ポリオール組成物1と同様の方法でポリオール組成物2〜17を製造した。
(ポリオール組成物18)
撹拌機、温度計、窒素導入管および還流コンデンサを備えた反応器に、テレフタル酸166g(1モル)とモノヒドロキシステアリン酸81g(0.3モル)とエチレングリコール186g(3モル)とを投入し、温度220℃で、副生する水を反応系内から除去しながら8時間反応を行ない、ポリオール組成物18(粘度:10400mPa・s、平均水酸基価228mgKOH/g)を製造した。
(ポリオール組成物19)
撹拌機、温度計、窒素導入管および還流コンデンサを備えた反応器に、テレフタル酸166g(1モル)とモノヒドロキシステアリン酸81g(0.3モル)とエチレングリコール186g(3モル)とを投入し、温度220℃で、副生する水を反応系内から除去しながら8時間反応を行った。続いて、反応液をオートクレーブに移し、48%水酸化カリウム水溶液2.7g(KOHとして反応液100重量部に対して0.3重量部)を添加し、温度130℃、圧力0.2MPaを維持しながら、エチレンオキシド132g(3モル)を導入し、さらに1時間熟成反応を行うことによりポリオール組成物19(粘度:9600mPa・s、平均水酸基価:199mgKOH/g)を製造した。
(ポリオール組成物20)
「(A)分子内に3個以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸」、「(B)分子内に1個または2個のカルボキシル基と水酸基とを有するヒドロキシカルボン酸」、「(C)分子内に少なくとも2個の活性水素を有する活性水素化合物」および「(D)炭素数2〜4のアルキレンオキシド」の使用量を表1に記載の通り変更した点以外は、ポリオール組成物19と同様の方法でポリオール組成物20を製造した。
<粘度>
ポリオール組成物の粘度は、JIS K−7117−1に準じ、BL型粘度計(東機産業社製)にて25℃にて測定した。なお、ポリオール組成物1〜19についてはローターNo.2を用いて測定し、ポリオール組成物20についてはローターNo.4を用いて測定した。
<平均水酸基価>
製造されたポリオール組成物の平均水酸基価をJIS K1557に準じて測定した。
各ポリオール組成物の製造における組成比、各ポリオール組成物の粘度、および、平均水酸基価の測定結果を表1に示す。
Figure 2010126661
表1から認識できるように、本発明のポリオール組成物の粘度は、比較的低いといえる。また、粘度が比較的低い割には、平均水酸基価が比較的低いといえる。
続いて、上記各ポリオール組成物を用いて、ポリウレタンフォームを製造した。なお、ポリオール組成物以外に、下記の原料を用いた。これら各原料の配合量を表2に示した。
<他のポリオール>
(E−1)
グリセリンにプロピレンオキシドを付加重合させ、さらに、末端にエチレンオキシドをブロック付加重合させたポリエーテルポリオール(平均水酸基数3、平均水酸基価34mgKOH/g、商品名「DKSプロピラン353」(第一工業製薬社製))
(E−2)
グリセリンにプロピレンオキシドを付加重合させ、更にスチレンモノマーを重合させたポリマーポリオール(平均水酸基数3、平均水酸基価28mgKOH/g、商品名「ハイフレックスND825C」(第一工業製薬社製))
<触媒1>
N,N−ジメチルエタノールアミン
商品名:プロパミンA(第一工業製薬社製)
<触媒2>
トリエチレンジアミンの33%DPG溶液
商品名:TOYOCAT TEDA L33(東ソー株式会社製)
<整泡剤>
シリコン系整泡剤
商品名:SZ−1313(東レ・ダウコーニング株式会社製)
<発泡剤>

<ポリイソシアネート化合物>
ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートに、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオールを反応させて得たイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(遊離 NCO=29.0%、商品名「DKシステムB−73E」(第一工業製薬社製))
表2に示した重量比になるように、ポリオール組成物1〜20、他のポリオール、発砲剤としての水、触媒および整泡剤を混合し、プレミックスを製造した。得られたプレミックスを22℃に温度調節し、表2に示した重量比になるように、同じく22℃に温度調節したポリイソシアネート化合物をさらに混合し(ハンドミキシング)、ポリオール−イソシアネート混合物を得た。この混合物を用いて、ポリウレタンフォームを製造し、その際、ポリウレタンフォームの物性評価を行った。
Figure 2010126661
<反応性の評価>
上記ポリオール−イソシアネート混合物を、ポリカップに注入し、反応性(クリームタイム、ゲルタイム、ライズタイム)を測定した。なお、クリームタイムは、発泡が始まる時間、ゲルタイムは糸引きが終わる時間、ライズタイムは発泡が終了する時間とした。
<フォーム物性の評価>
上記ポリオール−イソシアネート混合物を、55℃に調整した30×30×10cmの金型に入れ、モールド発泡を実施した。15分後脱型し、成型性(コラップス発生の有無、表面スキン剥がれの有無、ボイドの有無を指標として評価)を評価した。
その後、得られたポリウレタンフォームのコア密度(JIS K−6400準拠)、硬度、反発弾性、永久歪を、JIS K−6400に準拠して測定した。
表2から認識できるように、各実施例のポリオール組成物を使用したポリウレタンフォームは、良好な物性を得ることができた。
一方、比較例1〜3のように、従来のポリオール組成物を使用してポリウレタンフォームを製造しようとしたところ、ポリオール組成物の粘度の高さに起因して各原料を均一に混合することができなかった。
本発明のポリオール組成物は、ポリウレタンフォームなどのポリウレタン樹脂成型物の原料として好適に用いられ得る。また、本発明のポリウレタン樹脂の製造方法により得られるポリウレタン樹脂は、例えば、ポリウレタンフォームなどとして好適に用いられ得る。より詳しくは、通常ポリウレタンフォームが用いられる用途、例えば、家具、自動車用シート、ヘッドレストなどの用途に好適である。

Claims (5)

  1. 分子内に3個以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸と、分子内に水酸基および1個または2個のカルボキシル基を有するヒドロキシカルボン酸と、分子内に少なくとも2個の活性水素を有する活性水素化合物とを脱水縮合反応させてなる反応物に、炭素数2〜4のアルキレンオキシドを付加重合させてなることを特徴とするポリオール組成物。
  2. 前記ポリカルボン酸1モルに対して前記ヒドロキシカルボン酸が1〜30モル反応されてなる請求項1に記載のポリオール組成物。
  3. ポリウレタン樹脂原料用である請求項1又は2に記載のポリオール組成物。
  4. 分子内に3個以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸と、分子内に水酸基および1個または2個のカルボキシル基を有するヒドロキシカルボン酸と、分子内に少なくとも2個の活性水素を有する活性水素化合物とを脱水縮合反応させて得られる反応物に、炭素数2〜4のアルキレンオキシドを付加重合させることを特徴とするポリオール組成物の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリオール組成物と、ポリイソシアネート化合物とを反応させることを特徴とするポリウレタン樹脂の製造方法。
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