JP2010126604A - スルホン化キノキサリン構造を有する芳香族ジハロゲン化合物およびその製造法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、固体高分子形燃料電池および直接メタノール形燃料電池に用いられる高分子電解質を製造するための原料となる低分子化合物及びその製造方法に関する。
固体高分子電解質の重要な用途として、これをプロトンの伝導体として利用する固体高分子形燃料電池および直接メタノール形燃料電池が挙げられる。これらの燃料電池の触媒層イオノマーおよびプロトン伝導性の高分子電解質膜としては、従来、スルホン酸基を有するパーフルオロ炭化水素系高分子が用いられてきた。しかし、この系統の材料は、ガラス転移温度が低く80℃以上の温度で使用できない、燃料ガス(水素、メタノール、酸素など)のクロスオーバーが大きい、低加湿下発電での耐久性が低い、高価であるなどの欠点があった。
そのため、高温でも使用でき、燃料ガスクロスオーバーの小さい固体高分子電解質として、スルホン化芳香族系高分子が検討されてきた。芳香族系高分子の中で、ポリキノキサリンは、耐熱性、化学的安定性に特に優れるので、スルホン酸基を導入したスルホン化ポリキノキサリンが検討されている。
そのため、高温でも使用でき、燃料ガスクロスオーバーの小さい固体高分子電解質として、スルホン化芳香族系高分子が検討されてきた。芳香族系高分子の中で、ポリキノキサリンは、耐熱性、化学的安定性に特に優れるので、スルホン酸基を導入したスルホン化ポリキノキサリンが検討されている。
ポリフェニルキノキサリンを直接スルホン化することによりスルホン化ポリフェニルキノキサリンは得られる。(非特許文献1,2)しかし、この方法で得られたスルホン化ポリフェニルキノキサリン膜は、燃料電池発電条件下で耐久性に劣る。非特許文献1によれば、70℃で350時間の耐久性しかなく、燃料電池用電解質膜としては適さない。これは、ポリフェニルキノキサリンの直接スルホン化では、電子密度の高い芳香環、例えば、化学式(I)と(II)に示すように、高分子主鎖骨格のオキシフェニレン環がスルホン化されるためと考えられる。そこでキノキサリン環の側鎖芳香環にスルホン酸基を含む側鎖型のスルホン化ポリキノキサリンが望まれる。
ポリフェニルキノキサリンは、芳香族テトラケトンと3,3’−ジアミノベンジジンなどの芳香族テトラアミンを用いて合成することができる。この場合、高分子量のポリマーを得るには、99%以上の高純度モノマーとモノマー比の厳密な調整が必要である。テトラケトンモノマーにスルホン酸基を導入したものを用いれば、化学式(III)に示す例のようにスルホン化ポリフェニルキノキサリンを合成できると考えられる。しかし、スルホン化モノマーを高純度で合成することは難しく、この方法で、高分子量のスルホン化ポリマーを合成することは非常に難しい。特許文献1では、化学式(III)の方法で合成したスルホン化ポリフェニルキノキサリンは、膜形成できなかった。このため、特許文献1では、キノキサリンとベンゾイミダゾールの共重合体(化学式IV)を開示している。
また、非特許文献3では、化学式(V)に示すように、側鎖にフルオロフェニル基を導入したポリフェニルキノキサリンを合成し、その後、求核的芳香族置換反応によりスルホン酸基を有する芳香族置換基を導入して、スルホン化ポリフェニルキノキサリンを合成する方法を報告している。これは、スマートな合成法であるが、合成行程が多くのステップを要し複雑であること、高分子反応のためスルホン酸基の導入量に限界がありイオン交換容量を十分に高くできないこと、そして、報告されている粘度から高分子量のポリマーを得ることが難しいと考えられることなどの問題がある。
簡便な方法で合成でき、高い分子量を有し、高分子電解質膜としての高いプロトン伝導性と耐久性並びに機械的特性を有するスルホン化ポリキノキサリンの開発が必要とされており、そのためのモノマー化合物の開発が必要である。
簡便な方法で合成でき、高い分子量を有し、高分子電解質膜としての高いプロトン伝導性と耐久性並びに機械的特性を有するスルホン化ポリキノキサリンの開発が必要とされており、そのためのモノマー化合物の開発が必要である。
本発明は、優れた高温耐水性と機械的特性並びに高いプロトン伝導性と発電性能を有する固体高分子電解質を与えるスルホン化ポリマーの合成の原料モノマーであるスルホン化芳香族置換基を有するキノキサリン化合物及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行なった結果、以下のスルホン化芳香族置換基を有するキノキサリン化合物を提供することにより、上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)(a)または(b)で表されるスルホン化芳香族置換基を有するキノキサリン化合物、に関する。
下記式(1)において、Xはハロゲン原子を示す。Yは水素原子、または−SO3Z基を有する芳香族置換基、Zは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、−N+R4(RはH若しくは炭素数1〜10のアルキル基)または炭素数1〜10のアルキル基を示す。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)(a)または(b)で表されるスルホン化芳香族置換基を有するキノキサリン化合物、に関する。
下記式(1)において、Xはハロゲン原子を示す。Yは水素原子、または−SO3Z基を有する芳香族置換基、Zは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、−N+R4(RはH若しくは炭素数1〜10のアルキル基)または炭素数1〜10のアルキル基を示す。
式(2)中、Dは−、−O−、−S−、−SO2−、−(CH2)−、−C(CH3)2−、−CO−、−CF2−、及び−C(CF3)2−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。kは0,1または2の整数、lは0〜5の整数を示す。Zは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属原子、−N+R4(RはH若しくは炭素数1〜10のアルキル基)または炭素数1〜10のアルキル基を示す。
他の本発明の態様は、下記第1〜第4工程を含む上記スルホン化キノキサリン化合物を製造する方法である。
下記化学式(A)で表わされる芳香族置換アセチルクロリドとハロゲン化べンゼンとをフリーデルクラフツ反応させて、1−(4−ハロゲン化フェニル)−2−アリールエタノンを得る第1工程。
第1工程によって得られた1−(4−ハロゲン化フェニル)−2−アリールエタノンのアリール基を選択的にスルホン化する第2工程。
第2工程で得られた1−(4−ハロゲン化フェニル)−2−スルホン化アリールエタノンのメチレン基を酸化し、1−(4−ハロゲン化フェニル)−2−スルホン化アリール−ジケトンを得る第3工程。
第3工程で得られた1−(4−ハロゲン化フェニル)−2−スルホン化アリール−ジケトンとハロゲン化−1,2−ジアミノベンゼンとを縮合させて、請求項2に記載されるスルホン化キノキサリン化合物を生成させる第4工程。
下記化学式(A)で表わされる芳香族置換アセチルクロリドとハロゲン化べンゼンとをフリーデルクラフツ反応させて、1−(4−ハロゲン化フェニル)−2−アリールエタノンを得る第1工程。
第1工程によって得られた1−(4−ハロゲン化フェニル)−2−アリールエタノンのアリール基を選択的にスルホン化する第2工程。
第2工程で得られた1−(4−ハロゲン化フェニル)−2−スルホン化アリールエタノンのメチレン基を酸化し、1−(4−ハロゲン化フェニル)−2−スルホン化アリール−ジケトンを得る第3工程。
第3工程で得られた1−(4−ハロゲン化フェニル)−2−スルホン化アリール−ジケトンとハロゲン化−1,2−ジアミノベンゼンとを縮合させて、請求項2に記載されるスルホン化キノキサリン化合物を生成させる第4工程。
キノキサリン環の2位または3位にスルホン化芳香族置換基を導入した3(または2)−(4−ハロゲン化フェニル)−6−ハロゲン化キノキサリン化合物(及びそれらの混合物)を提供する。該化合物は、両末端に反応性の高いハロゲン原子を有するので、該化合物からスルホン化キノキサリン構造を有するポリマーを製造することができる。該ポリマーは、高い分子量と優れた高温耐水性と機械的特性を有する。
該スルホン化ポリマーは、側鎖に高濃度にスルホン酸基を有する構造を特徴とするので、イオン交換容量を高めても、主鎖にスルホン酸基などの親水性基が存在しないため、高温耐水性と機械的特性を損なうことなく、プロトン伝導性に優れた固体高分子電解質およびプロトン伝導膜を得ることができる。
該スルホン化ポリマーは、側鎖に高濃度にスルホン酸基を有する構造を特徴とするので、イオン交換容量を高めても、主鎖にスルホン酸基などの親水性基が存在しないため、高温耐水性と機械的特性を損なうことなく、プロトン伝導性に優れた固体高分子電解質およびプロトン伝導膜を得ることができる。
式(1)中、Xはハロゲン原子を示す。Yは水素原子、または−SO3Z基を有する芳香族置換基、Zは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、−N+R4(RはH若しくは炭素数1〜10のアルキル基)または炭素数1〜10のアルキル基を示す。
Xはフッ素原子および塩素原子が好ましい。
式(1)において、
で表されるベンゼン環上の−SO3Z基は、ベンゼン環上のいずれの位置において置換していてもよい。Yが水素原子である場合には、その水素原子が更に−SO3Z基により置換されている構造をとることができる。
Yは水素原子、または下記化学式(2)(a)または(b)で表される−SO3Z基を有する芳香族置換基であることが好ましい。
Xはフッ素原子および塩素原子が好ましい。
式(1)において、
で表されるベンゼン環上の−SO3Z基は、ベンゼン環上のいずれの位置において置換していてもよい。Yが水素原子である場合には、その水素原子が更に−SO3Z基により置換されている構造をとることができる。
Yは水素原子、または下記化学式(2)(a)または(b)で表される−SO3Z基を有する芳香族置換基であることが好ましい。
式(2)中、Dは−、−O−、−S−、−SO2−、−(CH2)−、−C(CH3)2−、−CO−、−CF2−、または−C(CF3)2−を示す。kは0,1または2の整数、lは0〜5の整数を示す。Zは水素、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属、−N+R4(RはH若しくは炭素数1〜10のアルキル基)または炭素数1〜10のアルキル基を示す。
本発明の化合物は、化学式(3)に示す例のように、スルホン酸基(−SO3Z基)を有さない前駆体化合物を直接スルホン化することによっては合成できない。キノキサリン環の側鎖芳香環とハロゲン化フェニル環のスルホン化に対する反応性がほぼ同じなので、前駆体の化合物Aをスルホン化すると、キノキサリン環の側鎖芳香環がスルホン化された化合物Bとハロゲン化フェニル環がスルホン化された化合物Cと両方がスルホン化された化合物Dの混合物が得られ、その分離は困難である。詳細は比較例1で述べる。
スキーム1に示すように、芳香族置換アセチルクロリドからフリーデルクラフツ反応、スルホン化反応、そして酸化反応によって、1−(4−ハロゲン化フェニル)−2−スルホン化アリール−ジケトン化合物を合成し、次いで、4−ハロゲン化−1,2−ジアミノベンゼンと縮合させて、目的のスルホン化キノキサリン化合物を製造できる。
下記スキーム1Aは、スキーム1の具体的な一例である。
下記スキーム1Aは、スキーム1の具体的な一例である。
上記反応について更に詳細に説明する。
第1工程
原料の式(A)で表わされる芳香族置換アセチルクロリドの入手方法あるいは製造方法については、後述する(スキーム2)。
式(A)で表わされる芳香族置換アセチルクロリドと反応させるハロゲン化ベンゼンは、塩化ベンゼン、フッ化ベンゼン、臭化ベンゼン、ヨウ化ベンゼンなど公知のものを用いることができる。
フリーデルクラフツ反応(Friedel-Crafts reaction)とは、塩化アルミニウム等のルイス酸触媒存在下、ハロゲン化アルキルまたはハロゲン化アシル等のハロゲン化物が、芳香族化合物環上の水素に対して求電子置換する反応である。
本発明において、式(A)で表わされる芳香族置換アセチルクロリドとハロゲン化ベンゼンとのフリーデルクラフツ反応は、従来公知のフリーデルクラフツ反応の条件を用いて行うことができる。溶媒は例えば、ジクロロメタン、四塩化炭素等を用いることができる。
反応温度は−10〜50℃程度(好ましくは0〜40℃)、反応時間は6〜48時間程度(好ましくは8〜20時間程度)である。
塩化アルミニウム等の触媒は、フリーデルクラフツ反応において用いられている従来公知のものを用いることができる。
反応後は、反応溶液をクエンチし、反応物を有機溶媒により抽出、水洗し、溶媒を留去して1−(4−ハロゲン化フェニル)−2−アリールエタノンを得る。前記粗生成物をそのまま第2工程に用いてもよく、または再結晶等により更に精製して用いてもよい。
第1工程
原料の式(A)で表わされる芳香族置換アセチルクロリドの入手方法あるいは製造方法については、後述する(スキーム2)。
式(A)で表わされる芳香族置換アセチルクロリドと反応させるハロゲン化ベンゼンは、塩化ベンゼン、フッ化ベンゼン、臭化ベンゼン、ヨウ化ベンゼンなど公知のものを用いることができる。
フリーデルクラフツ反応(Friedel-Crafts reaction)とは、塩化アルミニウム等のルイス酸触媒存在下、ハロゲン化アルキルまたはハロゲン化アシル等のハロゲン化物が、芳香族化合物環上の水素に対して求電子置換する反応である。
本発明において、式(A)で表わされる芳香族置換アセチルクロリドとハロゲン化ベンゼンとのフリーデルクラフツ反応は、従来公知のフリーデルクラフツ反応の条件を用いて行うことができる。溶媒は例えば、ジクロロメタン、四塩化炭素等を用いることができる。
反応温度は−10〜50℃程度(好ましくは0〜40℃)、反応時間は6〜48時間程度(好ましくは8〜20時間程度)である。
塩化アルミニウム等の触媒は、フリーデルクラフツ反応において用いられている従来公知のものを用いることができる。
反応後は、反応溶液をクエンチし、反応物を有機溶媒により抽出、水洗し、溶媒を留去して1−(4−ハロゲン化フェニル)−2−アリールエタノンを得る。前記粗生成物をそのまま第2工程に用いてもよく、または再結晶等により更に精製して用いてもよい。
第2工程
次に、第1工程により得られた1−(4−ハロゲン化フェニル)−2−アリールエタノンのアリール基を選択的にスルホン化する。
スルホン化は、例えば、濃硫酸と発煙硫酸を用いてそれぞれの系に適した反応条件で行うことができる。例えば、1−(4−ハロゲン化フェニル)−2−アリールエタノン10gに対して、濃硫酸と発煙硫酸を5ml〜20mlの量で加える。反応温度は、0℃〜室温程度で行うことが好ましい。
反応終了後は、反応溶液をクエンチし、塩析により沈殿物として1−(4−ハロゲン化フェニル)−2−スルホン化アリールエタノンを得る。前記粗生成物をそのまま第2工程に用いてもよく、または再結晶等により更に精製して用いてもよい。
上記反応により、アリール部位に1または複数のスルホン酸基(−SO3Z基)を導入することができる。
次に、第1工程により得られた1−(4−ハロゲン化フェニル)−2−アリールエタノンのアリール基を選択的にスルホン化する。
スルホン化は、例えば、濃硫酸と発煙硫酸を用いてそれぞれの系に適した反応条件で行うことができる。例えば、1−(4−ハロゲン化フェニル)−2−アリールエタノン10gに対して、濃硫酸と発煙硫酸を5ml〜20mlの量で加える。反応温度は、0℃〜室温程度で行うことが好ましい。
反応終了後は、反応溶液をクエンチし、塩析により沈殿物として1−(4−ハロゲン化フェニル)−2−スルホン化アリールエタノンを得る。前記粗生成物をそのまま第2工程に用いてもよく、または再結晶等により更に精製して用いてもよい。
上記反応により、アリール部位に1または複数のスルホン酸基(−SO3Z基)を導入することができる。
第3工程
第2工程で得られた1−(4−ハロゲン化フェニル)−2−スルホン化アリールエタノンのメチレン基を酸化し、1−(4−ハロゲン化フェニル)−2−スルホン化アリール−ジケトンを得る。
酸化反応は、ジメチルスルホキシド(DMSO)中で臭化銅(CuBr2)を原料に対して2倍モル以上用いて行うことができる。
反応温度は50〜120℃程度(好ましくは60〜100℃)、反応時間は12〜48時間程度(好ましくは15〜30時間程度)である。
反応溶液は溶媒を留去した後、残渣を水に溶解して、塩析、再結晶等により1−(4−ハロゲン化フェニル)−2−スルホン化アリール−ジケトンを得ることができる。
第2工程で得られた1−(4−ハロゲン化フェニル)−2−スルホン化アリールエタノンのメチレン基を酸化し、1−(4−ハロゲン化フェニル)−2−スルホン化アリール−ジケトンを得る。
酸化反応は、ジメチルスルホキシド(DMSO)中で臭化銅(CuBr2)を原料に対して2倍モル以上用いて行うことができる。
反応温度は50〜120℃程度(好ましくは60〜100℃)、反応時間は12〜48時間程度(好ましくは15〜30時間程度)である。
反応溶液は溶媒を留去した後、残渣を水に溶解して、塩析、再結晶等により1−(4−ハロゲン化フェニル)−2−スルホン化アリール−ジケトンを得ることができる。
第4工程
第3工程で得られた1−(4−ハロゲン化フェニル)−2−スルホン化アリール−ジケトンとハロゲン化−1,2−ジアミノベンゼンとを縮合させる。
1−(4−ハロゲン化フェニル)−2−スルホン化アリール−ジケトンをDMSO等の溶媒に溶解し、ハロゲン化−1,2−ジアミノベンゼンを添加し、100〜180℃の温度範囲で5〜24時間反応させることが好ましい。
反応後、溶媒を留去し、得られた残渣を水に溶解し、塩析、再結晶等により目的のスルホン化キノキサリン化合物XPSPPXQを生成させる。
第3工程で得られた1−(4−ハロゲン化フェニル)−2−スルホン化アリール−ジケトンとハロゲン化−1,2−ジアミノベンゼンとを縮合させる。
1−(4−ハロゲン化フェニル)−2−スルホン化アリール−ジケトンをDMSO等の溶媒に溶解し、ハロゲン化−1,2−ジアミノベンゼンを添加し、100〜180℃の温度範囲で5〜24時間反応させることが好ましい。
反応後、溶媒を留去し、得られた残渣を水に溶解し、塩析、再結晶等により目的のスルホン化キノキサリン化合物XPSPPXQを生成させる。
なお、本方法によるとXPSPPXQは、2種の異性体の混合物として得られる。これを適当な公知の手段で分離することもできるが、例えば、これらを更に縮重合して燃料電池等に用いるプロトン伝導体として用いる場合には、敢えて分離する必要なく、混合物の状態で用いることができる。
上記第1工程の原料である芳香族置換アセチルクロリドは、スキーム2に示す方法によって合成でき、その後、スキーム1に示すのと同様の方法によって、目的のスルホン化キノキサリン化合物を製造できる。
また、1−(4−ハロゲン化フェニル)酢酸を出発物質とし、スキーム3に示す方法によってスルホン化アリールジケトンを合成するルートによっても、目的のスルホン化キノキサリン化合物を製造できると考えられるが、後の比較例2で述べるように、アリールジケトンのハロゲン化フェニル基をスルホン化せずに、もう一方のアリール基のみを選択的にスルホン化することは、困難であり、スキーム3の合成ルートは適切ではない。
実施例
以下に実施例を示すが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。
以下に実施例を示すが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。
3−(4−フルオロフェニル)−2−(4−スルホン酸ナトリウムフェニル)−6−フルオロキノキサリンと2−(4−フルオロフェニル)−3−(4−スルホン酸ナトリウムフェニル)−6−フルオロキノキサリンの混合物(FPSPFQ、化合物1)の合成
スキーム1に示すルートで以下のようにして合成した。
(1)1−(4−フルオロフェニル)−2−フェニルエタノン(FPPE)の合成
攪拌子入りの三つ口丸底フラスコ(1L)にジクロロメタン(150ml)と乾燥した塩化アルミニウム46.1g(0.345mol)を加え、混合液をアイスバス中で5℃に冷却した後、フェニルアセチルクロライド46.35g(0.3mol)とジクロロメタン50mlの混合液をゆっくり(液温を15℃以下に保持)滴下した。フッ化ベンゼン28.8g(0.3mol)とジクロロメタン50mlの混合液をフラスコにゆっくり(液温5℃以下に保持)滴下し、反応溶液を5℃で1h攪拌し、それからゆっくり室温まで昇温し、一晩攪拌した。反応溶液を0.1M塩酸氷水500ml中に注ぎ、分液漏斗に移し、ジクロロメタン80mlを加え、振とうした。有機層を水で、中性になるまで洗浄した。溶媒を減圧留去し、残査を真空蒸留して、白色結晶44.9gを得た(収率70%)。
スキーム1に示すルートで以下のようにして合成した。
(1)1−(4−フルオロフェニル)−2−フェニルエタノン(FPPE)の合成
攪拌子入りの三つ口丸底フラスコ(1L)にジクロロメタン(150ml)と乾燥した塩化アルミニウム46.1g(0.345mol)を加え、混合液をアイスバス中で5℃に冷却した後、フェニルアセチルクロライド46.35g(0.3mol)とジクロロメタン50mlの混合液をゆっくり(液温を15℃以下に保持)滴下した。フッ化ベンゼン28.8g(0.3mol)とジクロロメタン50mlの混合液をフラスコにゆっくり(液温5℃以下に保持)滴下し、反応溶液を5℃で1h攪拌し、それからゆっくり室温まで昇温し、一晩攪拌した。反応溶液を0.1M塩酸氷水500ml中に注ぎ、分液漏斗に移し、ジクロロメタン80mlを加え、振とうした。有機層を水で、中性になるまで洗浄した。溶媒を減圧留去し、残査を真空蒸留して、白色結晶44.9gを得た(収率70%)。
(2)1−(4−フルオロフェニル)−2−(4−スルホン酸ナトリウムフェニル)エタノン(FPSPE)の合成
攪拌子入りの三つ口丸底フラスコ(300mL)に、FPPE10.0g(46.68mmol)を入れ、室温で濃硫酸10mlをゆっくり滴下した。固体が溶解した後、溶液を5℃に冷却し、60%発煙硫酸10mlを滴下した。反応溶液を5℃で4h攪拌した後、氷水300ml中に注いだ。溶液に塩化ナトリウム50gを加え塩析し、沈殿物を回収した。これを水に溶かし、塩化ナトリウム(17%)を加えて塩析を2回行なった。固体を70mlの水で洗浄し、さらに100mlのメタノールで洗浄した後、真空乾燥し、白色固体8.5g(収率55%)を得た。
攪拌子入りの三つ口丸底フラスコ(300mL)に、FPPE10.0g(46.68mmol)を入れ、室温で濃硫酸10mlをゆっくり滴下した。固体が溶解した後、溶液を5℃に冷却し、60%発煙硫酸10mlを滴下した。反応溶液を5℃で4h攪拌した後、氷水300ml中に注いだ。溶液に塩化ナトリウム50gを加え塩析し、沈殿物を回収した。これを水に溶かし、塩化ナトリウム(17%)を加えて塩析を2回行なった。固体を70mlの水で洗浄し、さらに100mlのメタノールで洗浄した後、真空乾燥し、白色固体8.5g(収率55%)を得た。
(3)1−(4−フルオロフェニル)−2−(4−スルホン酸ナトリウムフェニル)エタン−1,2−ジオン(FPSPED)の合成
攪拌子入りの三つ口丸底フラスコ(300mL)にFPSPE12.26g(38.75mmol)とDMSO40mlを入れ、混合液を80℃に加熱し、臭化銅(II)14.3g(77.5mmol)を加え、80℃で24h攪拌した。反応溶液から溶媒減圧留去し、得られた固体を水400mlに溶解させ、塩化ナトリウム64g(16%)を加え、塩析させた。溶解―塩析を二回行い、得られた固体をエタノール/水(容積比:4/1)で再結晶し、黄色結晶9.4g(収率70%)を得た。
攪拌子入りの三つ口丸底フラスコ(300mL)にFPSPE12.26g(38.75mmol)とDMSO40mlを入れ、混合液を80℃に加熱し、臭化銅(II)14.3g(77.5mmol)を加え、80℃で24h攪拌した。反応溶液から溶媒減圧留去し、得られた固体を水400mlに溶解させ、塩化ナトリウム64g(16%)を加え、塩析させた。溶解―塩析を二回行い、得られた固体をエタノール/水(容積比:4/1)で再結晶し、黄色結晶9.4g(収率70%)を得た。
(4)FPSPFQの合成
攪拌子入りの三つ口丸底フラスコ(100mL)に窒素バブリング下でFPSPED5.046g(15.28mmol)とDMSO50mLを入れ、次いで1,2−ジアミノ−4−フルオロベンゼン(DAFB)1.923g(15.28mmol)を加え、150℃で8h攪拌した。反応溶液から溶媒を100℃で減圧留去し、得られた固体を水100mlに溶解させ、塩化ナトリウム16g(16%)を加え、塩析させた。溶解―塩析を二回行い、得られた固体をエタノールから再結晶を2回行い、固体4.67g(収率70%)を得た。この化合物のIRスペクトルと1H−NMRスペクトルを図1と図2に示す。スペクトルから、この化合物は、下記化学式(4)(a)及び(b)で表されるFPSPFQ(化合物1)であることが確認された。
攪拌子入りの三つ口丸底フラスコ(100mL)に窒素バブリング下でFPSPED5.046g(15.28mmol)とDMSO50mLを入れ、次いで1,2−ジアミノ−4−フルオロベンゼン(DAFB)1.923g(15.28mmol)を加え、150℃で8h攪拌した。反応溶液から溶媒を100℃で減圧留去し、得られた固体を水100mlに溶解させ、塩化ナトリウム16g(16%)を加え、塩析させた。溶解―塩析を二回行い、得られた固体をエタノールから再結晶を2回行い、固体4.67g(収率70%)を得た。この化合物のIRスペクトルと1H−NMRスペクトルを図1と図2に示す。スペクトルから、この化合物は、下記化学式(4)(a)及び(b)で表されるFPSPFQ(化合物1)であることが確認された。
2−(4−フルオロフェニル)−3−(3,6−ジスルホン酸ナトリウムビフェニル)−6−フルオロキノキサリンと3−(4−フルオロフェニル)−2−(3,6−ジスルホン酸ナトリウムビフェニル)−6−フルオロキノキサリンの混合物(化合物2)の合成
フェニルアセチルクロリドの代わりに1−ビフェニルアセチルクロリドを用い、中間化合物のスルホン化を30%発煙硫酸中50℃で10時間次いで110℃で6時間行なった以外は、実施例1と同様にして化学式(5)に示す化合物2を得た。
フェニルアセチルクロリドの代わりに1−ビフェニルアセチルクロリドを用い、中間化合物のスルホン化を30%発煙硫酸中50℃で10時間次いで110℃で6時間行なった以外は、実施例1と同様にして化学式(5)に示す化合物2を得た。
2−(4−フルオロフェニル)−3−(3(または2)−スルホン酸ナトリウム−4−(4−スルホン酸ナトリウムチオフェノキシ)−フェニル)−6−フルオロキノキサリンと3−(4−フルオロフェニル)−2−(3(または2)−スルホン酸ナトリウム−4−(4−スルホン酸ナトリウムチオフェノキシ)−フェニル)−6−フルオロキノキサリンの混合物(化合物3)の合成
フェニルチオエーテルから、スキーム2に示すルートで合成を行なった。まず、フェニルチオエーテルとアセチルクロリドからフリーデルクラフツ反応により1−アセトフェニルチオエーテルを得た。これを、Willgerodt−Kindler反応(アナーレン、481巻187頁(1923))により、以下に記すようにして、4−フェニルチオキシ−1−フェニル酢酸に変えた。
フェニルチオエーテルから、スキーム2に示すルートで合成を行なった。まず、フェニルチオエーテルとアセチルクロリドからフリーデルクラフツ反応により1−アセトフェニルチオエーテルを得た。これを、Willgerodt−Kindler反応(アナーレン、481巻187頁(1923))により、以下に記すようにして、4−フェニルチオキシ−1−フェニル酢酸に変えた。
1−アセトフェニルチオエーテル11.4g(0.05mol)、硫黄3.52g(0.11mol)とモルホリン15.48g(0.18mol)を三つ口丸底フラスコ(100mL)に入れ、反応液を110℃で12時間還流して反応させた後、反応液を冷エタノールに注ぎ、沈殿物を濾別した。得られた固体を酢酸30mL、濃硫酸5mL、そして水6mLの溶液に溶かし、6時間還流して反応させた後、水中に注いで、沈殿を濾別し、これをエタノールから再結晶して、4−フェニルチオキシ−1−フェニル酢酸を得た(収率50%)。
4−フェニルチオキシ−1−フェニル酢酸をチオニルクロリドで酸クロリドにした後は、実施例1と同様にして、化学式(6)で表される化合物3を得た。
4−フェニルチオキシ−1−フェニル酢酸をチオニルクロリドで酸クロリドにした後は、実施例1と同様にして、化学式(6)で表される化合物3を得た。
<参考例1>
FPSPFQと4,4’−ビフェノール(BP)からのスルホン化ポリマー(SPPQ−1)の合成
攪拌子、温度計、Dean−stark管、窒素導入管および冷却管を取り付けた100mL三口フラスコに、実施例1で合成したFPSPFQ1.498g(3.44mmol)、4,4’−ビフェノール(BP)0.640g(3.44mmol)および炭酸カリウム0.57g(3.96mmol)をはかりとった。次いで、乾燥窒素置換した後、NMP10mLおよびトルエン7.0mLを加え、130℃で加熱攪拌した。反応によって生成する水は、Dean−stark管にトラップした。4時間後、水の生成がほとんど認められなくなったところで、トルエンをDean−stark管から系外に除去した。次に、反応温度を175℃にあげ、20時間攪拌を続けた。さらに反応温度を202℃にあげ、3時間攪拌した後、反応液を放冷後、水100mLにいれ、生成物を沈殿させた。沈殿物を60℃の温水に一晩浸漬後、アセトン洗浄し、真空乾燥して、下記化学式(7)で表されるスルホン化ポリマーを得た。ポリマーの還元粘度は1.5dl/gそしてイオン交換容量は1.7meq/gであった。
FPSPFQと4,4’−ビフェノール(BP)からのスルホン化ポリマー(SPPQ−1)の合成
攪拌子、温度計、Dean−stark管、窒素導入管および冷却管を取り付けた100mL三口フラスコに、実施例1で合成したFPSPFQ1.498g(3.44mmol)、4,4’−ビフェノール(BP)0.640g(3.44mmol)および炭酸カリウム0.57g(3.96mmol)をはかりとった。次いで、乾燥窒素置換した後、NMP10mLおよびトルエン7.0mLを加え、130℃で加熱攪拌した。反応によって生成する水は、Dean−stark管にトラップした。4時間後、水の生成がほとんど認められなくなったところで、トルエンをDean−stark管から系外に除去した。次に、反応温度を175℃にあげ、20時間攪拌を続けた。さらに反応温度を202℃にあげ、3時間攪拌した後、反応液を放冷後、水100mLにいれ、生成物を沈殿させた。沈殿物を60℃の温水に一晩浸漬後、アセトン洗浄し、真空乾燥して、下記化学式(7)で表されるスルホン化ポリマーを得た。ポリマーの還元粘度は1.5dl/gそしてイオン交換容量は1.7meq/gであった。
ポリマーを溶媒DMAcに溶解させ、ろ過、脱泡後、ガラス板状にキャストして製膜し、1Nの硫酸でプロトン交換し、150℃,1時間真空中でキュアリングを行い、電解質膜を得た。得られた電解質膜は、強靭であり、弾性率1.9GPa、破断応力67MPa、そして破断点伸度59%の優れた機械的特性を示した。膜の80℃での水収着量は43%であり、プロトン伝導度は0.08S/cmであった。膜は、140℃加圧水中に48時間浸漬後も、重量損失はほとんどなく、プロトン伝導および機械的強度の低下は見られなかった。この電解質膜は優れた高温耐水性を有することが分かった。
(比較例1)
フェニルキノキサリン化合物の直接スルホン化
化学式(8)に示すスルホン酸基を含まないフェニルキノキサリン化合物Aを、実施例1の(2)と同様に、30%発煙硫酸を用いて反応温度と時間は変えて、スルホン化を行なった。30℃で4時間、さらに40℃で2時間反応させた場合は、水に不溶な原料が回収され、スルホン化は全く起こらなかった。60℃で6時間反応させた時の生成物の1H−NMRスペクトルを図3の上段に示す。比較のため、化合物1と化合物Aのスペクトルをそれぞれ中段と下段に示す。生成物は、キノキサリン環の側鎖フェニル環がスルホン化された化合物Bとハロゲン化フェニル環がスルホン化された化合物Cと両方がスルホン化された化合物Dの混合物であることが分かった。目的とするキノキサリン環の側鎖フェニル環のみがスルホン化された化合物Bをこの混合物から単離することはできなかった。
スルホン酸基を含まないフェニルキノキサリン化合物の直接スルホン化は、目的とするスルホン化キノキサリン化合物の合成には、適さないことが分かった。
フェニルキノキサリン化合物の直接スルホン化
化学式(8)に示すスルホン酸基を含まないフェニルキノキサリン化合物Aを、実施例1の(2)と同様に、30%発煙硫酸を用いて反応温度と時間は変えて、スルホン化を行なった。30℃で4時間、さらに40℃で2時間反応させた場合は、水に不溶な原料が回収され、スルホン化は全く起こらなかった。60℃で6時間反応させた時の生成物の1H−NMRスペクトルを図3の上段に示す。比較のため、化合物1と化合物Aのスペクトルをそれぞれ中段と下段に示す。生成物は、キノキサリン環の側鎖フェニル環がスルホン化された化合物Bとハロゲン化フェニル環がスルホン化された化合物Cと両方がスルホン化された化合物Dの混合物であることが分かった。目的とするキノキサリン環の側鎖フェニル環のみがスルホン化された化合物Bをこの混合物から単離することはできなかった。
スルホン酸基を含まないフェニルキノキサリン化合物の直接スルホン化は、目的とするスルホン化キノキサリン化合物の合成には、適さないことが分かった。
<比較例2>スキーム3の方法による化合物3の合成。
4−フルオロフェニル酢酸をチオニルクロリドで酸クロリドにした後、フェニルチオエーテルとフリーデルクラフツ反応させて、1−(4−チオフェノキシフェニル)−2−(4−フルオロフェニル)エタノンを得た。これを実施例1と同様に酸化して、下記化学式(9)で表される1−(4−チオフェノキシフェニル)−2−(4−フルオロフェニル)エタン−1,2−ジオン(化合物4)を得た。化合物4を、次の条件でスルホン化した。
〈1〉12%発煙硫酸、30℃、16時間
〈2〉12%発煙硫酸、30℃、16時間、さらに80℃、16時間
〈3〉30%発煙硫酸、60℃、10時間
4−フルオロフェニル酢酸をチオニルクロリドで酸クロリドにした後、フェニルチオエーテルとフリーデルクラフツ反応させて、1−(4−チオフェノキシフェニル)−2−(4−フルオロフェニル)エタノンを得た。これを実施例1と同様に酸化して、下記化学式(9)で表される1−(4−チオフェノキシフェニル)−2−(4−フルオロフェニル)エタン−1,2−ジオン(化合物4)を得た。化合物4を、次の条件でスルホン化した。
〈1〉12%発煙硫酸、30℃、16時間
〈2〉12%発煙硫酸、30℃、16時間、さらに80℃、16時間
〈3〉30%発煙硫酸、60℃、10時間
化合物4と各条件でのスルホン化生成物の1H−NMRスペクトルを図4に示す。条件〈1〉の生成物は、下記化学式(10)で表される1−(4−(4−スルホン酸ナトリウム)チオフェノキシフェニル)−2−(4−フルオロフェニル)エタン−1,2−ジオン(化合物5)であった。スルホン化の条件を厳しくした〈3〉では、チオフェニルエーテル基が2個以上スルホン化され、フルオロフェニル基の一部もスルホン化されていることが分かった。このため、スキーム3の方法で、化合物3を合成することはできないと判断した。
Claims (3)
- 下記工程を含む、請求項2に記載のスルホン化キノキサリン化合物を製造する方法:
下記化学式(A)で表わされる芳香族置換アセチルクロリドとハロゲン化べンゼンとをフリーデルクラフツ反応させて、1−(4−ハロゲン化フェニル)−2−アリールエタノンを得る第1工程、
第1工程によって得られた1−(4−ハロゲン化フェニル)−2−アリールエタノンのアリール基を選択的にスルホン化する第2工程、
第2工程で得られた1−(4−ハロゲン化フェニル)−2−スルホン化アリールエタノンのメチレン基を酸化し、1−(4−ハロゲン化フェニル)−2−スルホン化アリール−ジケトンを得る第3工程、
第3工程で得られた1−(4−ハロゲン化フェニル)−2−スルホン化アリール−ジケトンとハロゲン化−1,2−ジアミノベンゼンとを縮合させて、請求項2に記載されるスルホン化キノキサリン化合物を生成させる第4工程。
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JP2008301604A JP2010126604A (ja) | 2008-11-26 | 2008-11-26 | スルホン化キノキサリン構造を有する芳香族ジハロゲン化合物およびその製造法 |
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