JP2010125534A - 鋼構造物の疲労き裂補修方法 - Google Patents

鋼構造物の疲労き裂補修方法 Download PDF

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Abstract

【課題】鋼構造物に発生したごく初期段階の疲労き裂に対しても適用可能であるとともに、この疲労き裂を簡便かつ安価に補修することが可能であり、疲労き裂の進展を止める、あるいは疲労き裂の進展を遅延させて鋼構造物の疲労寿命の延命化を図ることができる疲労き裂補修方法を提供する。
【解決手段】鋼板1の表面の疲労き裂3を挟んだ両側のうち少なくとも一側を疲労き裂3と平行にピーニングすることにより鋼板1の表面に塑性変形を付与し、疲労き裂3の開口部を閉じてき裂接触面3aを形成する疲労き裂周辺ピーニング工程を有する。さらに、好ましくは、疲労き裂周辺ピーニング工程の後工程として、疲労き裂3の直上をピーニングすることにより鋼板1の表面に塑性変形を付与し、き裂接触面3aの接触面積及び/又は接触圧力を増加する疲労き裂直上ピーニング工程を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は鋼構造物に発生した疲労き裂の補修方法に関するものである。
鋼橋に代表される鋼構造物が繰返し荷重を受けると、金属疲労によって鋼構造部材の表面に疲労き裂が発生する場合があり、この疲労き裂を放置すると、疲労き裂が進展し、鋼橋の耐力が維持できなくなる危険性がある。このため、鋼橋の維持・管理においては、疲労き裂の発生防止や早期発見・補修・補強などの疲労き裂対策が求められている。
日本では、1960年代からの高度経済成長に合わせて道路網が整備され、多くの鋼橋が建設されてきた。これらの鋼橋は供用開始後40〜50年が経過しており、様々な劣化現象が顕在化しているのに加えて、近年の交通荷重とその頻度の増加に伴って、鋼橋の溶接継手部に疲労き裂が発生しているのが発見されるようになった。
図16に鋼橋における代表的な継手構造である面外ガセット溶接継手のまわし溶接部における溶接止端に発生した疲労き裂がその周辺に進展していく状況を示す。面外ガセット溶接継手5は鋼構造部材14と直角にガセットプレート6がすみ肉溶接された継手構造からなる。すみ肉溶接金属2の特にまわし溶接部7の溶接止端及びその周辺は、溶接時の熱による引張残留応力の蓄積や、溶接止端を境界に形状が急変することにより応力集中の影響を受け易いことから、疲労き裂3が発生し易い部位となっている。
図16(a)は疲労き裂3が発生していない状況、図16(b)はまわし溶接部7の溶接止端に疲労き裂3が発生した状況(以下、Ntoeと呼ぶ)、図16(c)はまわし溶接部7の溶接止端に発生した疲労き裂3が進展してすみ肉溶接金属2の溶接止端から離れ始めた状況(以下、Nと呼ぶ)、図16(d)はまわし溶接部7の溶接止端に発生した疲労き裂3が進展してすみ肉溶接金属2の溶接止端から離れて鋼構造部材14の平板部まで10mm進展した状況(以下、N10と呼ぶ)を示している。なお、N10から先の疲労き裂3の進展は急速であることが知られている。
このような疲労き裂の進展状況や鋼橋の重要度に応じて、今後短期間で疲労き裂が進展して危険な状況に陥ると判断される場合には、疲労き裂発生部分に添接板を配置して高力ボルトで摩擦接合を行うという恒久的な補修・補強対策が実施されている。
また、疲労き裂が小さくて危険な状況まで進展していないと判断される場合には、疲労き裂進展方向の先端に円孔を削孔することによってき裂先端の応力集中を緩和し、一時的に疲労き裂の進展を止めるストップホールという疲労き裂対策が実施されている。
さらに、溶接止端及びその周辺の疲労き裂の発生防止対策として、特表2008−520443号公報(特許文献1)に記載の疲労き裂発生防止対策も実用化されている。この疲労き裂発生防止対策は、図17(a)に示すように超音波衝撃処理装置15をすみ肉溶接金属2の溶接止端に押し当てて、この部分に超音波振動による打撃を加えることによって、図17(b)に示すように鋼材表面に塑性変形を加えて超音波処理面16を形成するものである。
溶接止端に超音波処理面16を形成することによって、溶接時の熱によって蓄積した引張残留応力は緩和され、好ましくは超音波処理面16の周辺を圧縮残留応力が蓄積した状態に変化させるとともに、溶接止端及びその周辺の形状を丸くすることで応力集中の影響を緩和するものである。これらの効果によって、疲労き裂の発生が抑制され疲労強度が向上する。
特表2008−520443号公報
しかしながら、前述の従来の疲労き裂対策においては、例えば、添接板を摩擦接合する恒久的な補修・補強対策では、多大な労力とコストがかかり、また、施工期間中は通行止めや交通制限を施す必要があるため、疲労き裂が発生している多数の鋼橋の全てに適用するのは非現実的である。
また、小さな疲労き裂に対する簡便な補修方法であるストップホールによる疲労き裂対策は、一時的に疲労き裂の進展を止めるのに有効な手段であり、経験的には補修効果が高いことが知られているものの、適切な疲労強度評価方法が確立されていないため、応急処置として用いられているのが現状である。
さらに、ストップホールの孔径は鋼材の板厚にもよるが一般に直径20mm以上であるため、例えば、溶接止端に発生した初期段階の疲労き裂おいては、ストップホールの削孔スペースを確保することができない。このため、疲労き裂が溶接止端から離れて平板部又は曲板部まである程度進展した状況においてのみ施工が可能となる。すなわち、疲労き裂のごく初期段階においては採用することができない補修方法である。
また、特許文献1に記載の疲労き裂の発生防止対策は、疲労き裂が発生していない段階で採用する対策であり、疲労き裂が発生してしまった段階で採用したとしても、疲労き裂の進展を止める効果はないものと考えられている。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、鋼構造物に発生したごく初期段階の疲労き裂に対しても適用可能であるとともに、この疲労き裂を簡便かつ安価に補修することが可能であり、疲労き裂の進展を止める、あるいは疲労き裂の進展を遅延させて鋼構造物の疲労寿命の延命化を図ることができる疲労き裂補修方法を提供することを目的とする。
鋼材表面に発生した疲労き裂は、一般に発生箇所から横方向と深さ方向に半だ円状にき裂断面が拡大しながら進展し、やがてき裂断面が鋼材裏面まで到達する。前述のストップホールによる補修方法は、疲労き裂の横方向への進展を防止することによってき裂断面の拡大を防止するものであるが、本発明者は疲労き裂の深さ方向への進展を防止することでき裂断面の拡大を防止するという考えに基づいて本発明をなした。
以下、上記課題を解決するのに適した各手段につき、必要に応じて作用効果等を付記しつつ説明する。
鋼材の平板部又は曲板部に発生した疲労き裂を補修の対象とする本発明の鋼構造物の疲労き裂補修方法は、鋼材表面の疲労き裂を挟んだ両側のうち少なくとも一側を該疲労き裂と平行にピーニングすることにより該鋼材表面に塑性変形を付与し、該疲労き裂の開口部を閉じてき裂接触面を形成する疲労き裂周辺ピーニング工程を有することを特徴とする。
ここで、鋼材の平板部又は曲板部には、鋼構造物を構成する鋼材の溶接金属とは異なる全ての部分が含まれている。また、鋼材の平板部又は曲板部には、鋼管や角鋼管のように曲がり加工等が施された管材の平面部分や曲面部分も含まれている。また、鋼材の平板部又は曲板部に発生した疲労き裂には、溶接止端で発生した疲労き裂が進展して溶接止端から離れて平板部又は曲板部まで進展した場合も含まれている。
疲労き裂が発生した鋼材に外力が作用して疲労き裂周辺に引張応力が作用すると、疲労き裂の対向する内側面が離れる方向に引っ張られることによって、き裂開口幅が広がって、疲労き裂が深さ方向に進展しようとする。本発明の構成によれば、疲労き裂の開口が閉じて、き裂の対向する内側面同士が接触したき裂接触面が形成され、き裂接触面には少なからず圧縮残留応力が導入さている。したがって、外力による引張応力と圧縮残留応力が相殺されることによって、疲労き裂が開口しにくくなる、あるいはき裂開口幅が広がりにくくなり、疲労き裂の進展を止める、あるいは疲労き裂の進展を遅延させて鋼構造物の疲労寿命の延命化を図ることができる。
また、単に疲労き裂直上のみをピーニングするだけでは、き裂開口部付近の対向する内側面を近づける方向に塑性変形を付与しにくいため、効率よくき裂接触面を形成することができない。本発明においては、疲労き裂周辺ピーニング工程によってき裂開口部付近の対向する内側面を近づける方向に塑性変形を付与することができるため、効率よくき裂接触面を形成することができる。
また、ピーニングという簡易な方法で疲労き裂の補修を行うため、簡便かつ安価に疲労き裂を補修することができ、また、鋼材表面のみに加工を施すため、疲労き裂発生部位の構造や疲労き裂の進展具合を配慮することなく、ごく初期段階の疲労き裂に対しても適用可能である。
鋼材の平板部又は曲板部に発生した疲労き裂を補修の対象とする本発明の鋼構造物の疲労き裂補修方法は、必要に応じて、前記疲労き裂周辺ピーニング工程の後工程として、前記疲労き裂の直上をピーニングすることにより前記鋼材表面に塑性変形を付与し、前記き裂接触面の接触面積及び/又は接触圧力を増加する疲労き裂直上ピーニング工程を施すことができる。
疲労き裂周辺ピーニング工程によってき裂接触面を形成した後に、疲労き裂直上ピーニング工程を施すことによって、き裂接触面の接触面積や接触圧力が増加する。これにより、き裂接触面の広い範囲で高い圧縮残留応力を導入することができるため、疲労き裂を開口しようとする引張応力に抵抗する効果はさらに高くなる。
なお、一般には疲労き裂直上ピーニング工程によって、き裂接触面の接触面積と接触圧力の両方が増加することが想定されるが、ピーニングの方法によっては、接触面積が変わらずに接触圧力のみが増加する場合や、接触圧力が変わらずに接触面積のみが増加する場合や、部分的に接触面積や接触圧力が減少する場合も想定される。
このような場合であっても、接触面積と接触圧力を掛け合わせた合力として、疲労き裂を開口しようとする引張応力に抵抗する効果が高くなれば、疲労き裂周辺ピーニング工程の後工程として疲労き裂直上ピーニング工程を実施することの利点が得られる。
鋼材の溶接止端に発生した疲労き裂を補修の対象とする本発明の鋼構造物の疲労き裂補修方法は、鋼材表面の疲労き裂を挟んだ両側のうち溶接金属側と異なる一側を該疲労き裂と平行にピーニングすることにより該鋼材表面に塑性変形を付与し、該疲労き裂の開口部を閉じてき裂接触面を形成する疲労き裂周辺ピーニング工程を有することを特徴とする。
このような構成によれば、前述の鋼材の平板部又は曲板部に発生した疲労き裂を補修の対象とした疲労き裂周辺ピーニング工程と同様に、鋼構造物に発生したごく初期段階の疲労き裂に対しても適用可能であるとともに、この疲労き裂を簡便かつ安価に補修することが可能であり、疲労き裂の進展を止める、あるいは疲労き裂の進展を遅延させて鋼構造物の疲労寿命の延命化を図ることができる。
鋼材の溶接止端に発生した疲労き裂を補修の対象とする本発明の鋼構造物の疲労き裂補修方法は、必要に応じて、前記疲労き裂周辺ピーニング工程の後工程として、前記疲労き裂の直上をピーニングすることにより前記鋼材表面に塑性変形を付与し、前記き裂接触面の接触面積及び/又は接触圧力を増加する疲労き裂直上ピーニング工程を施すことができる。
このような構成によれば、前述の鋼材の平板部又は曲板部に発生した疲労き裂を補修の対象とした疲労き裂直上ピーニング工程と同様に、き裂接触面の広い範囲で高い圧縮残留応力を導入することができるため、疲労き裂を開口しようとする引張応力に抵抗する効果はさらに高くなる。
面外ガセット溶接継手のまわし溶接部における溶接止端に発生した疲労き裂を補修の対象とする本発明の鋼構造物の疲労き裂補修方法は、溶接止端に発生した疲労き裂が進展して該溶接止端から離れる前に、該溶接止端に対して、前述した鋼材の溶接止端に発生した疲労き裂を補修の対象とする本発明の鋼構造物の疲労き裂補修方法を適用することができる。
また、面外ガセット溶接継手のまわし溶接部における溶接止端及びその周辺に発生した疲労き裂を補修の対象とする本発明の鋼構造物の疲労き裂補修方法は、溶接止端に発生した疲労き裂が進展して該溶接止端から離れて平板部又は曲板部まで進展した後で、該平板部又は曲板部に対して、前述した鋼材の平板部又は曲板部に発生した疲労き裂を補修の対象とする本発明の鋼構造物の疲労き裂補修方法を適用するとともに、該溶接止端に対して、前述した鋼材の溶接止端に発生した疲労き裂を補修の対象とする本発明の鋼構造物の疲労き裂補修方法を適用することができる。
ここで、まわし溶接部における溶接止端に発生した疲労き裂が進展して該溶接止端から離れる前には、ごく初期の小さな疲労き裂であるNtoeや、それが少し進展したNの段階が含まれる。また、まわし溶接部における溶接止端に発生した疲労き裂が進展して該溶接止端から離れて平板部又は曲板部まで進展した後には、Nの段階からさらに疲労き裂が進展したN10の段階が含まれる。
面外ガセット溶接継手に発生した疲労き裂の補修方法として、前述した本発明の鋼構造物の疲労き裂補修方法を適用すれば、ピーニングという簡易な方法で疲労き裂の補修を行うため、簡便かつ安価に面外ガセット溶接継手の疲労耐久性の向上が図れて、疲労き裂の進展を止める、あるいは疲労き裂の進展を遅延させて鋼構造物の疲労寿命の延命化を図ることができる。なお、N10から先の疲労き裂の進展は急速であるため、本発明の疲労き裂補修はN10に至るまでに実施することが好ましい。
本発明の鋼構造物の疲労き裂補修方法は、前記疲労き裂と平行に設置したガイドにより前記ピーニングの軌道を案内しながら、該ピーニングを行うことが好ましい。
疲労き裂に沿って設置したガイドによりピーニングの軌道を案内すれば、まわし溶接部における溶接止端に発生した疲労き裂のように、疲労き裂が曲線的に発生している場合であっても、この疲労き裂に平行して正確な軌道でピーニングを行うことができる。したがって、ピーニングによる鋼材表面の塑性変形の精度を確保することができる。
本発明の鋼構造物の疲労き裂補修方法は、前記き裂接触面に作用する圧縮残留応力が設計引張応力以上であることが好ましい。
き裂接触面に作用する圧縮残留応力が、設計荷重によって発生する引張応力(設計引張応力)以上であれば、設計荷重に対して疲労き裂が開口することがない。したがって、疲労き裂の進展を止める、あるいは疲労き裂の進展を遅延させて鋼構造物の疲労寿命の延命化を図る効果を十分に得ることができる。
さらに好ましくは、前記き裂接触面に作用する圧縮残留応力が降伏応力以上であるとよい。
許容応力度法で設計された既設の鋼構造物は、設計引張応力が鋼材の許容引張応力以内に収まるように設計されている。設計では許容引張応力を降伏応力の1/1.7程度としており、実際に作用する引張応力は許容引張応力のさらに1/2程度と考えられている。したがって、圧縮残留応力が降伏応力以上となっていれば、疲労き裂の進展を確実に防ぐことが可能である。
なお、鋼構造物はある程度の寿命(耐用年数)を想定して設計されており、疲労き裂等の補修や塗装の塗替えなどの部分的な維持補修を行いながら全体構造としての健全性が維持されている。したがって、疲労き裂を補修する場合には、構造物の耐用年数を超えるほどの強固な補修を施す必要はなく、疲労き裂の進展を止める、あるいは残存寿命が十分に確保できる程度に進展を遅延することができればよい。このような観点からは、従来技術のストップホールによる補修方法と同様に本発明の疲労き裂補修方法も、恒久的な疲労き裂補修対策と見なすこともできる。
以下、本発明の鋼構造物の疲労き裂補修方法を具体化した実施形態について図面を参照しつつ具体的に説明する。
<第1実施形態>
図1(a)及び(b)に本実施形態の疲労き裂補修方法を説明する斜視図を示す。図1(a)は鋼材の平板部に疲労き裂が発生した状況、図1(b)は本実施形態における疲労き裂周辺ピーニング工程を実施している状況を示している。
図1(a)に示すように鋼板1に疲労き裂3が発生すると、この疲労き裂3の進展を防止するために補修が行われる。図1(b)はその補修状況を示し、まず疲労き裂3と平行に疲労き裂3の両側に2本のピーニング軌道L及びLを設定する。ここで、疲労き裂3からピーニング軌道L及び疲労き裂3からピーニング軌道Lまでの間隔は同一間隔とし、後述するチッパー4aの先端と鋼板1とのピーニング時の接触面が疲労き裂3の直上に重ならない間隔を確保する。
次にピーニング軌道L、Lの順にピーニングを行って鋼板1の表面に塑性変形を付与し、疲労き裂3の開口部を閉じてき裂接触面3aを形成する。この工程を疲労き裂周辺ピーニング工程と呼ぶ。なお、き裂接触面3aは疲労き裂3の最上方付近のみに形成されており、き裂接触面3aより下方では疲労き裂3の対向する内側面同士が接触していない。
ピーニングには先端にチッパー4aが取り付けられた市販の手持ち可能なピーニング治具4を使用する。ピーニング治具4はコンプレッサー(図示せず)の空気圧を利用して、チッパー4aを高速振動するエアーハンマーであり、このピーニング治具4を使用したピーニングをエアーハンマーピーニングと呼ぶ。
チッパー4aの先端形状は、4mm×5mm程度の平坦な矩形形状であり、少し角が丸く面取りされている。この先端形状は、いくつかの先端形状のチッパー4aを試して、鋼板1の表面に塑性変形を付与し易いものとして決定しているが、コンプレッサーの空気圧や使用するピーニング治具4の性能によってチッパー4aの最適な先端形状は異なるものと考えられる。
ピーニング方法としては、本実施形態のエアーハンマーピーニングの他、鋼球を投射することによる衝撃を利用するショットピーニングや、超音波振動による衝撃を利用する超音波ショットピーニングなどがあるが、鋼材表面に塑性変形を効率よく付与することが可能な衝撃エネルギーと、様々な施工条件に対応可能な作業性を考慮すると、手持ち可能なエアーハンマーピーニングが本実施形態を実施する上で最も適していると考えられる。
本実施形態によれば、疲労き裂3の開口が閉じて、疲労き裂3の対向する内側面同士が接触したき裂接触面3aが形成され、き裂接触面3aには少なからず圧縮残留応力が導入さている。したがって、外力による引張応力と圧縮残留応力が相殺されることによって、疲労き裂3が開口しにくくなる、あるいはき裂開口幅が広がりにくくなり、疲労き裂3の進展を止める、あるいは疲労き裂3の進展を遅延させて鋼構造物の疲労寿命の延命化を図ることができる。
また、単に疲労き裂3の直上のみをピーニングするだけでは、疲労き裂3の開口部付近の対向する内側面を近づける方向に塑性変形を付与しにくいため、効率よくき裂接触面3aを形成することができない。本実施形態においては、疲労き裂周辺ピーニング工程によって疲労き裂3の開口部付近の対向する内側面を近づける方向に塑性変形を付与することができるため、効率よくき裂接触面3aを形成することができる。
また、市販の手持ち可能なピーニング治具4を使用してピーニングを行うという簡易な方法で疲労き裂3の補修を行うため、簡便かつ安価に疲労き裂3を補修することができ、また、鋼板1の表面のみに加工を施すため、疲労き裂3の発生部位の構造や疲労き裂3の進展具合を配慮することなく、ごく初期段階の疲労き裂3に対しても適用可能である。
本実施形態の疲労き裂補修方法は、ごく初期段階の疲労き裂3からある程度進展した疲労き裂3までを適用の対象としている。したがって、疲労き裂3がかなり進展してき裂開口幅が大きくなり、ピーニングにより鋼板1に塑性変形を加えることでき裂接触面3aを形成することができたとしても、この塑性変形量が大きくて鋼板1の断面性能等に悪影響を及ぼす場合においては適用の対象外とする。
なお、以降の実施形態においても本実施形態と同一のピーニング治具4とチッパー4aを使用している。
<第2実施形態>
図1(c)に本実施形態における疲労き裂直上ピーニング工程を実施している状況を示す。図1(b)で示した疲労き裂周辺ピーニング工程を第1実施形態と同様に実施してき裂接触面3aを形成した後に、疲労き裂3直上に設けたピーニング軌道Lに沿ってピーニングを行うことによって、き裂接触面3aの接触面積や接触圧力を増加させる。このピーニング軌道Lに沿ってピーニングを行う工程を疲労き裂直上ピーニング工程と呼ぶ。
なお、疲労き裂周辺ピーニング工程によって形成されたき裂接触面3aが疲労き裂直上ピーニング工程によって再度開口することがないように、疲労き裂直上ピーニング工程で使用するピーニング治具4のチッパー4aの先端幅は、図1(a)の疲労き裂3の開口幅よりも大きく設定されていることは言うまでもない。
き裂接触面3aの接触面積や接触圧力が増加することにより、き裂接触面3aの広い範囲で高い圧縮残留応力を導入することができるため、疲労き裂3を開口しようとする引張応力に抵抗する効果はさらに高くなる。
<第3実施形態>
図2(a)及び(b)に本実施形態の疲労き裂補修方法を説明する斜視図を示す。図2(a)は鋼材のすみ肉溶接止端に疲労き裂が発生した状況、図2(b)は本実施形態における疲労き裂周辺ピーニング工程を実施している状況を示している。
図2(a)に示すようにすみ肉溶接金属2の溶接止端の鋼板1に疲労き裂3が発生すると、この疲労き裂3の進展を防止するために補修が行われる。図2(b)はその補修状況を示し、まず疲労き裂3と平行に疲労き裂3を挟んだ両側のうちすみ肉溶接金属2から離れる側に1本のピーニング軌道Lを設定する。ここで、疲労き裂3からピーニング軌道Lまでの間隔として、チッパー4aの先端と鋼板1とのピーニング時の接触面が疲労き裂3の直上に重ならない間隔を確保する。
次にピーニング軌道Lに沿ってピーニングを行って鋼板1の表面に塑性変形を付与し、疲労き裂3の開口部を閉じてき裂接触面3aを形成する。この工程を疲労き裂周辺ピーニング工程と呼ぶ。なお、本実施形態の作用効果は第1実施形態と同様である。
<第4実施形態>
図2(c)に本実施形態における疲労き裂直上ピーニング工程を実施している状況を示す。図2(b)で示した疲労き裂周辺ピーニング工程を第3実施形態と同様に実施してき裂接触面3aを形成した後に、すみ肉溶接金属2の溶接止端の疲労き裂3直上に設けたピーニング軌道Lに沿ってピーニングを行うことによって、き裂接触面3aの接触面積や接触圧力を増加させる。このピーニング軌道Lに沿ってピーニングを行う工程を疲労き裂直上ピーニング工程と呼ぶ。なお、本実施形態の作用効果は第2実施形態と同様である。
(閉口させた疲労き裂の力学的な考え方)
以上で説明した第1〜第4実施形態はいずれも、疲労き裂3が開口する方向に働く引張応力に対して、き裂接触面3aに導入した圧縮残留応力が抵抗することによって、疲労き裂3が開口しにくくなる、あるいはき裂開口幅が広がりにくくなり、疲労き裂3の進展を止める、あるいは疲労き裂3の進展を遅延させて鋼構造物の疲労寿命の延命化を図ることができるという共通の作用効果を有している。
図3はこの作用効果を模式的に説明する断面図を示し、図3(a)は鋼板1に疲労き裂3が発生した状況、図3(b)は図3(a)の鋼板1の両端に引張りや曲げなどの外力が作用して鋼板1の表面に引張応力が発生することにより疲労き裂3が進展する状況、図3(c)は図3(a)の鋼板1に第2実施形態の疲労き裂周辺ピーニング工程及び疲労き裂直上ピーニング工程を適用して、疲労き裂3の開口部を閉じて圧縮残留応力が導入されたき裂接触面3aを形成した状況、図3(d)は図3(c)の鋼板1の両端に引張りや曲げなどの外力が作用してき裂接触面3aに作用する圧縮残留応力が減少している状況を示している。
疲労き裂補修を行っていない図3(b)の鋼板1は、き裂接触面3aが形成されていないため、鋼板1の表面付近に大きな引張応力が作用すると、この引張応力が疲労き裂3の開口を広げる方向に働き、この外力が繰返し載荷されると金属疲労によって疲労き裂3が進展していく。
一方、疲労き裂補修を行った図3(c)の鋼板1には疲労き裂3の開口部が閉じてき裂接触面3aが形成されており、このき裂接触面3aには圧縮残留応力が導入されている。この状態で、鋼板1の表面付近に大きな引張応力が作用すると、この引張応力が疲労き裂3の開口を広げる方向に働く。ところが、き裂接触面3aに導入した圧縮残留応力が引張応力よりも大きければ、図3(d)に示すように、引張応力と圧縮残留応力が相殺されることにより圧縮残留応力が小さくなるものの疲労き裂3が開口することはない。したがって、外力の繰返し載荷に対して、疲労き裂3の進展を止める、あるいは疲労き裂3の進展を遅延することができる。
この疲労き裂3の進展を止める、あるいは疲労き裂3の進展を遅延する効果は、力学的には以下のように考えることができる。
破壊力学を用いた疲労き裂進展のモデルでは、疲労き裂先端の力学的特性である応力拡大係数範囲ΔK(MPa・m1/2)が疲労き裂進展速度のパラメータとなる。すなわち疲労き裂進展速度da/dN(mm/cycle)は、式1で示される。
da/dN=C(ΔK−ΔKth ) ・・・・ 式1
ここで、aはき裂の進展方向の長さ(mm)、Nは応力繰返しサイクル数、Cとmは材料定数で、鋼材ではmは3に近い値となる。また、ΔKthは疲労き裂進展速度のしきい値で、鋼材では2.5(MPa・m1/2)程度である。応力拡大係数範囲ΔKは、式2で表現される。
ΔK=F・Δσ・√(πa) ・・・・ 式2
ここで、Δσは応力範囲(MPa)、Fは部材の形状やき裂の形によって変わる係数であり、遠方に応力σが作用する平板に長さ2aのき裂がある場合のGriffithき裂との差を示す。
式2に式1を代入した微分方程式を解いたり、式を変換して積分することで、疲労き裂進展寿命N(き裂があるき裂長aに達するまでの応力繰返しサイクル数N)を求めることができる。これが、一般的な破壊力学を用いた疲労き裂進展寿命の解析である。式1のmが約3であるため、ΔKが小さくなると、その3乗に逆比例して疲労き裂進展速度da/dNが小さくなり、結果的に疲労き裂進展寿命Nが長くなる。
以上の式を用いて、疲労き裂補修を行っていない図3(a)の疲労き裂3と、疲労き裂補修を行った図3(c)の疲労き裂3の疲労き裂進展寿命Nを比較する。
図3(a)の疲労き裂3は開口部が開いたエッジクラックであるため、開放端である鋼板1の表面から疲労き裂3の最深部までの距離がき裂進展に寄与するき裂長aとなる。一方、図3(c)の疲労き裂3は閉口した内部き裂であり、外力の作用によってき裂接触面3aが開口することがなければ、き裂接触面3aから疲労き裂3の最深部までの距離のおよそ半分の位置を開放端と見なすことができ、この開放端から疲労き裂3の最深部までの距離がき裂進展に寄与するき裂長となる。このき裂進展に寄与するき裂長はa/2以下であり、疲労き裂進展寿命Nを比較する上では最大値を考慮してき裂進展に寄与するき裂長をa/2とする。
以上のき裂進展に寄与するき裂長の条件を式2に代入すると、図3(a)の疲労き裂3の応力拡大係数範囲ΔKが式2で表現されるのに対して、図3(c)の疲労き裂3の応力拡散係数範囲ΔKは式3で表現されることとなる。
ΔK=F・Δσ・√(πa/2)≒0.7F・Δσ・√(πa) ・・・・ 式3
すなわち図3(c)の疲労き裂3の応力拡散係数範囲ΔKは、図3(a)の疲労き裂3の応力拡散係数範囲ΔKの0.7倍となる。前述のとおりΔKが小さくなると、その3乗に逆比例して疲労き裂進展速度da/dNが小さくなることから、ΔKが0.7倍となれば、疲労き裂進展寿命Nは1/(0.7)=約3倍となる。
図4は疲労き裂補修を行っていない図3(a)の疲労き裂3と、疲労き裂補修を行った図3(c)の疲労き裂3の疲労き裂進展寿命Nを比較したグラフである。図4の実線は疲労き裂補修を行っていない場合であり、疲労き裂3のき裂長がaとなった時点で補修を行わずに供用を継続すると、繰返し応力がNp0回作用した時点で、き裂長がaまで進展する。
一方、図4の一点鎖線は疲労き裂補修を行った場合であり、応力拡大係数範囲ΔKが疲労き裂進展速度のしきい値ΔKthよりも大きい場合(ΔK>ΔKth)と、ΔKがΔKth以下である場合(ΔK≦ΔKth)が想定される。
き裂長がaとなった時点でピーニングによる補修を実施して、疲労き裂3を閉口させてΔK>ΔKthとなった場合には、繰返し応力がNpp回作用した時点で、き裂長がaまで進展する。この時、Npp/Np0は約3であり、すなわち疲労き裂進展寿命は約3倍となる。また、疲労き裂3を閉口させてΔK≦ΔKthとなった場合には、き裂長がaから進展することはない。
以上より、疲労き裂の開口部を閉口させることは、疲労き裂の進展を止める、あるいは疲労き裂の進展を遅延させて、鋼構造物の疲労寿命の延命化を図る上で効果的であることがわかる。
<第5実施形態>
図5は前述の第1〜第4実施形態における疲労き裂補修方法を面外ガセット溶接継手に適用した第5実施形態を示しており、図5(a)は面外ガセット溶接継手5のまわし溶接部7の溶接止端に発生した疲労き裂3が進展してすみ肉溶接金属2の溶接止端から離れ始めた時点(N)で疲労き裂3を補修している状況、図5(b)はまわし溶接部7の溶接止端に発生した疲労き裂3が進展してすみ肉溶接金属2の溶接止端から離れて鋼板1の平板部まで10mm進展した時点(N10)で疲労き裂3を補修している状況を示している。
ピーニング治具4でピーニングを行う際に、疲労き裂3の発生形状に合わせて成形されたガイドを、疲労き裂3と平行に設置することにより、このガイドに沿ってピーニングの軌道を案内すれば、特に、まわし溶接部7の溶接止端に発生した疲労き裂3のように、疲労き裂3が曲線的に発生している場合であっても、この疲労き裂3に平行して正確な軌道でピーニングを行うことができる。したがって、ピーニングによる鋼材表面の塑性変形の精度を確保することができる。
図5(a)に示すように、まわし溶接部7の溶接止端に発生した疲労き裂3を補修する際のガイド8としては、例えばアルミ製の薄板を、まわし溶接部7の溶接止端に発生した疲労き裂3の形状に合わせてU字状に曲げ加工したもの使用することができる。このガイド8の固定方法は、クランプ等のガイド固定治具9を用いて、ガセットプレート6を外側から覆ったU字状のガイド8の外側面を挟み込むことによって固定すれば作業性がよい。
また、図5(b)に示すように、鋼板1の平板部まで進展した疲労き裂3を補修する際のガイド8aとしては、平板部における疲労き裂3は直線的に進展することから、木製の角材を使用することができる。面外ガセット溶接継手5の構造によっては、クランプ等のガイド固定治具9を用いて、ガセットプレート6が溶接されている鋼板1とガイド8aとを一緒に挟み込むことによって固定することが可能であるが、鋼板1がクランプ等で挟み込めない構造である場合には、マグネットを用いて鋼板1にガイド8aを固定することもできる。
本実施形態によれば、市販の手持ち可能なピーニング治具4を使用してピーニングを行うという簡易な方法で疲労き裂3の補修を行うため、簡便かつ安価に面外ガセット溶接継手5の疲労耐久性の向上が図れて、疲労き裂3の進展を止める、あるいは疲労き裂3の進展を遅延させて鋼構造物の疲労寿命の延命化を図ることができる。なお、N10から先の疲労き裂の進展は急速であるため、本実施形態の疲労き裂補修はN10に至るまでに実施することが好ましい。
以上で説明した第1〜第5実施形態において、き裂接触面3aに作用する圧縮残留応力は設計引張応力以上であることが好ましい。き裂接触面3aに作用する圧縮残留応力が、設計荷重によって発生する引張応力(設計引張応力)以上であれば、設計荷重に対して疲労き裂3が開口することがない。したがって、疲労き裂3の進展を止める、あるいは疲労き裂3の進展を遅延させて鋼構造物の疲労寿命の延命化を図る効果を十分に得ることができる。
さらに好ましくは、き裂接触面3aに作用する圧縮残留応力が降伏応力以上であるとよい。許容応力度法で設計された既設の鋼構造物は、設計引張応力が鋼材の許容引張応力以内に収まるように設計されている。設計では許容引張応力を降伏応力の1/1.7程度としており、実際に作用する引張応力は許容引張応力のさらに1/2程度と考えられている。したがって、圧縮残留応力が降伏応力以上となっていれば、疲労き裂3の進展を確実に防ぐことが可能である。
このように、き裂接触面3aに大きな圧縮残留応力を発生させるためには、ピーニングによって疲労き裂3周辺の鋼材表面に塑性変形を付与して疲労き裂3の開口部を閉口してき裂接触面3aを形成するとともに、さらなる塑性変形を加えて、き裂接触面3aの接触圧力を大きくする必要がある。
鋼材に圧縮応力が作用すると、圧縮応力が作用した方向(圧縮方向)に鋼材が縮み、圧縮方向の直角方向に膨らもうとする性質がある。したがって、疲労き裂周辺ピーニング工程によって鋼材表面にピーニングの衝撃を加えれば、ピーニングの衝撃荷重が作用した方向(荷重方向)には鋼材が縮み、荷重方向の直角方向に膨らもうとする。すなわち、疲労き裂3が閉じる方向に変形しようとする。疲労き裂3が閉じてき裂接触面3aが形成された時点で、この変形が塑性変形領域まで到達していれば、き裂接触面3aが保持され、き裂接触面3aに圧縮残留応力を発生させることができる。
図6に一般的な構造用鋼材の応力−ひずみ曲線を示す。この応力−ひずみ曲線は引張試験によって得られた鋼材の引張特性であるが、鋼材の引張特性と圧縮特性は類似していることから、鋼材の圧縮特性として代用することもできる。ここでは、図6を圧縮特性として代用して鋼材表面に付与する塑性変形(塑性ひずみ)について説明する。
図6において、pは比例限界、pは弾性限界、pは上降伏点、pは下降伏点、pは引張強度、pは破断点であり、0−p間は応力−ひずみが直線的な比例関係にある比例範囲、0−p間は除荷することでひずみεが0に戻る弾性範囲、下降伏点p以降は除荷してもひずみεが0に戻らずに残留ひずみが蓄積する塑性範囲と呼ばれており、鋼材に塑性変形を付与するということは、鋼材に残留ひずみを付与することである。
例えば、鋼材に作用する圧縮応力を徐々に大きくしていけば、やがて応力−ひずみ曲線上のpに到達する。ここで、圧縮応力を除荷すれば、pからpに向かって弾性的にひずみεが減少し、0−p間に相当する残留ひずみが蓄積する。
鋼材表面にピーニングによる衝撃荷重を繰返し加えれば、ピーニングの衝撃荷重が作用した方向(荷重方向)には鋼材が縮み、荷重方向の直角方向に膨らもうとする。しかし、き裂接触面3aが形成された以降は、荷重方向の直角方向の変形が拘束されるため、ピーニングの衝撃荷重により鋼材が縮むほど、き裂接触面3aの接触圧力が大きくなり、ここでピーニングを終了しても塑性変形した鋼材表面の形状は保持され、き裂接触面3aの接触圧力も保持される。
以上詳述したことから明らかなように、本実施形態の鋼構造物の疲労き裂補修方法は、鋼構造物に発生したごく初期段階の疲労き裂に対しても適用可能であるとともに、この疲労き裂を簡便かつ安価に補修することが可能であり、疲労き裂の進展を止める、あるいは疲労き裂の進展を遅延させて鋼構造物の疲労寿命の延命化を図ることができる。
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能であることは言うまでもない。
例えば、図1及び図2に示すき裂接触面3aは疲労き裂3の最上方付近のみに形成されており、き裂接触面3aより下方では疲労き裂3の対向する内側面同士が接触してはいないが、疲労き裂3の最上方から最深部までの全域にわたってき裂接触面3aが形成されていてもよい。
また、き裂接触面3aの接触面積と接触圧力を掛け合わせた合力として、疲労き裂3を開口しようとする引張応力に抵抗することができれば本発明の鋼構造物の疲労寿命の延命化を図る効果が得られることから、き裂接触面3aは必ずしも疲労き裂3の最上方付近に形成されている必要はなく、疲労き裂3の最上方の対向する内側面同士が接触していなくてもよい。ただし、一般に鋼板1の表面において最も大きな引張応力が発生することを勘案すれば、き裂接触面3aの接触面積と接触圧力が一定の場合には、き裂接触面3aの形成位置が疲労き裂3の上方に近いほど本発明の鋼構造物の疲労寿命の延命化を図る効果が高くなる。
また、図1及び図2に示す疲労き裂周辺ピーニング工程において、疲労き裂3を挟んだ両側のうち少なくとも一側に、疲労き裂3と平行にピーニング軌道を1本のみ設定しているが、一側に複数のピーニング軌道を設定してもよい。
また、図1に示す疲労き裂周辺ピーニング工程において、疲労き裂3と平行に疲労き裂3の両側に2本のピーニング軌道を設定したが、き裂接触面3aの形成が可能であれば、疲労き裂3を挟んだ両側のうち一側のみにピーニング軌道を設定してもよい。
また、本実施形態におけるピーニング治具4のチッパー4aの先端形状は、平坦な矩形形状としているが、平坦に限らず部分的に凹凸を有していてもよい。また、矩形に限らず円形であってもよい。また、疲労き裂周辺ピーニング工程と疲労き裂直上ピーニング工程で、それぞれ異なる形状のチッパー4aを使用してもよい。
また、疲労き裂周辺ピーニング工程において、ピーニング治具4のチッパー4aを鋼板1に対してほぼ直角に立ててピーニングを行っているが、鋼板1に対して斜めからピーニングを行ってもよい。
また、図2ではすみ肉溶金属2の溶接止端に発生した疲労き裂3の補修を対象として示したが、溶接はすみ肉溶に限定されるものではなく、突き合わせ溶接等のあらゆる種類の溶接の溶接止端に発生した疲労き裂の補修に適用できる。
また、本実施形態の疲労き裂補修によって、疲労き裂3の進展を止める、あるいは疲労き裂3の進展を遅延させて鋼構造物の疲労寿命を耐用年数まで延命化することができれば、恒久的な疲労き裂補修対策となるが、仮に耐用年数まで延命化することができずに、補修後に更に疲労き裂が大きく進展した場合には、本実施形態の疲労き裂補修を再度実施して延命化を図ることも可能であるし、従来の補修方法を施すことも可能である。
本実施形態で示した疲労き裂周辺ピーニング工程によれば、単に疲労き裂の直上のみをピーニングする場合よりも、疲労き裂が発生した箇所及びその周辺に高い圧縮残留応力を発生させることができる。したがって、本発明のピーニング方法を応用すれば、疲労き裂が発生していない鋼構造物の疲労強度向上対策として活用することも可能である。この場合には、鋼材表面における疲労き裂が発生し易いラインを予想し、この疲労き裂発生予想ラインと一定の間隔をおいて平行にピーニングを行い、鋼材表面に塑性変形を付与することにより疲労き裂発生予想ライン及びその周辺に圧縮残留応力を導入し、疲労き裂の発生を防止することができる。
〈解析例〉
本発明の疲労き裂周辺ピーニング工程においては疲労き裂3の周辺を先行してピーニングするため、単に疲労き裂3の直上のみをピーニングする場合よりも、効率よくき裂接触面3aを形成し、き裂接触面3aに圧縮残留応力を発生させることができる。この作用効果について、有限要素解析によって定性的に実証した。
(比較解析例)
図7に比較解析例として疲労き裂3の直上のみをピーニングした場合の有限要素解析モデルを示す。疲労き裂3が発生した鋼板1としては溶接構造用圧延鋼材(JIS G 3106)の鋼種SM400を想定した。SM400は、引張強度400MPa、降伏点235MPaとJISで規定されている材料である。ここではSM400を例としているが、SM490Yなどの鋼材も鋼構造部材として一般に利用されている。
解析条件は以下のとおりである。なお、解析メッシュ分割は0.125mmとしたが、図面では解析メッシュを省略している。
材料定数 :ヤング率E=200GPa,ポアソン比μ=0.3,
降伏応力σ=235MPa(SM400)
材料構成側 :線形弾性−完全塑性,等方硬化則(ピーニング治具線形弾性)
降伏条件 :Von Mises
接触状態 :圧縮のみ伝達,摩擦なし
解析コード :Msc Marc 2005r3
ピーニング量:幅10mm,深さ0.5mm
図7に示すとおり、鋼板1の幅は50mm、厚さは12mmであり、鋼板1の表面中央から幅0.01mm、深さ4mmの疲労き裂3が発生している。鋼板1の下面はヒンジで支持されており、下面中央はX方向及びY方向に固定、下面中央以外はX方向が自由、Y方向が固定となっている。
ピーニング用チッパー4aの幅は10mmであり、半径1.25mmの面取りが施されている。このチッパー4aを鋼板1の表面中央、すなわち疲労き裂3の直上に押し付けた後、図7の破線で示すようにチッパー4aが鋼板1の表面から0.5mm食い込むまで強制変位を与えた。この変形量をピーニング量と定義した。
その後、チッパー4aを鋼板1から引き離すことによりピーニングを完了した。図7の破線で示した鋼板1の表面の変形(ピーニング量)は弾性変形分と塑性変形分の総和であるため、チッパー4aを鋼板1から引き離すと、荷重が除荷され弾性変形分が回復する。
本比較解析例のピーニング完了後の応力分布は図8に示すとおりである。図8では疲労き裂3の周辺を拡大して示しているが、疲労き裂3の幅は0.01mmと非常に小さいために、この縮尺ではき裂接触面が形成されたかどうかを表現することはできない。したがって、図8においては疲労き裂3の位置のみを明示することとした。
図8に示すとおり、疲労き裂3の最上方付近には引張残留応力(図中の白塗り部分)が発生しており、引張残留応力が発生しているということは、すなわち疲労き裂3の最上方付近にき裂接触面が形成されていないことを意味している。また、降伏応力に近い210MPa以上の大きな圧縮残留応力(図中の黒塗り部分)は鋼板1の表面の変形部分の両端のみで発生しており、疲労き裂3の最深部付近には70MPa以上の圧縮残留応力が発生している。
前述のとおり設計では許容引張応力を降伏応力の1/1.7程度としており、実際に作用する引張応力は許容引張応力のさらに1/2程度と考えられている。したがって、降伏応力σ=235MPaのSM400においては、許容引張応力はσa=140MPa、実際に作用する引張応力は鋼板1の表面でσ=70MPa程度と考えられる。
疲労き裂3の最上方付近には引張残留応力が発生しており、また、疲労き裂3の深さ方向に大きな圧縮残留応力が発生していないことから、仮に、鋼板1の表面に実際に作用すると考えられるσ=70MPa程度の引張応力が作用した場合には、疲労き裂3はこの引張応力に抵抗できずに開口が大きくなるものと推測できる。
(解析例)
図9に前述の第2実施形態の疲労き裂補修方法を模擬した有限要素解析モデルを示す。チッパー4aの寸法と、疲労き裂周辺ピーニング工程(ピーニング軌道L及びL)に続いて疲労き裂直上ピーニング工程(ピーニング軌道L)を実施すること以外の解析条件については比較解析例と同一条件とした。
図9に示すとおり、ピーニング用チッパー4aの幅は5mmであり、半径1.25mmの面取りが施されている。疲労き裂周辺ピーニング工程の第1段階(ピーニング軌道L)として、疲労き裂3の左側2.5mmの位置をチッパー4aの中心として、チッパー4aを鋼板1の表面に押し付けた後、チッパー4aが鋼板1の表面から0.5mm食い込むまで強制変位を与え、その後、チッパー4aを鋼板1から引き離した。
続いて、疲労き裂周辺ピーニング工程の第2段階(ピーニング軌道L)として、疲労き裂3の右側2.5mmの位置をチッパー4aの中心として、チッパー4aを鋼板1の表面に押し付けた後、チッパー4aが鋼板1の初期状態の表面から0.5mm食い込むまで強制変位を与え、その後、チッパー4aを鋼板1から引き離した。
最後に、疲労き裂直上ピーニング工程(ピーニング軌道L)として、疲労き裂3の直上にチッパー4aを押し付けた後、チッパー4aが鋼板1の初期状態の表面から0.5mm食い込むまで強制変位を与え、その後、チッパー4aを鋼板1から引き離した。
以上の3段階のピーニング工程(ピーニング軌道L,L,L)により、鋼板1の表面は図9の破線で示した位置まで変形する。この変形量をピーニング量と定義し、このピーニング量は比較解析例のピーニング量とほぼ等しい。
本解析例のピーニング完了後の応力分布は図10に示すとおりである。図10(a)は疲労き裂周辺ピーニング工程の第1段階(ピーニング軌道L)完了後の状況、図10(b)は疲労き裂周辺ピーニング工程の第2段階(ピーニング軌道L)完了後の状況、図10(c)は疲労き裂直上ピーニング工程(ピーニング軌道L)完了後の状況を示している。
疲労き裂周辺ピーニング工程の第1段階(ピーニング軌道L)完了後には、ピーニングされた側の疲労き裂3の最上方付近に140MPa以上の圧縮残留応力が発生しており、圧縮残留応力が発生しているということは、すなわち疲労き裂3の最上方付近にき裂接触面が形成されていることを意味している。
疲労き裂周辺ピーニング工程の第2段階(ピーニング軌道L)完了後には、疲労き裂3の最上方から最深部までのほぼ全域にわたって70MPa以上の圧縮残留応力が発生している。本解析例においては、ピーニング軌道L及びLの2段階の疲労き裂周辺ピーニング工程を実施するのみでも、外力の作用に対して疲労き裂3が開口するのを防ぐのに十分なき裂接触面の接触面積と接触圧力が確保されていると考えられる。
さらに、疲労き裂直上ピーニング工程(ピーニング軌道L)完了後には、疲労き裂3の最上方付近には若干の引張残留応力が発生するもの、疲労き裂3の深さ方向の広い範囲で降伏応力に近い210MPa以上の大きな圧縮残留応力が発生していることから、外力の作用に対して疲労き裂3が開口するのを防ぐ効果は非常に高くなっているものと考えられる。
以上詳述したことから明らかなように、本発明の疲労き裂周辺ピーニング工程においては疲労き裂3の周辺を先行してピーニングするため、単に疲労き裂3の直上のみをピーニングする場合よりも、同一のピーニング量において効率よくき裂接触面3aを形成することが可能であり、き裂接触面3aの接触面積と接触圧力の確保に効果的であることが実証された。
前述のとおり、疲労き裂の開口部を閉口させることが疲労き裂の進展を止める、あるいは疲労き裂の進展を遅延させて、鋼構造物の疲労寿命の延命化を図る上で効果的であるという点については、破壊力学を用いた疲労き裂進展のモデルにより算術的に説明できる。ここでは、実際の試験体に疲労き裂を発生させて、この疲労き裂の補修を行ったものと、補修を行っていないものとで疲労寿命の比較を行った。
(実施例1)
本実施例は、前述した第2実施形態の疲労寿命の延命化効果を実験により検証したものである。実験には図11に示す板曲げ疲労試験機10を使用した。板曲げ疲労試験機10は、平板試験体11の一端側をボルト固定して、他端側に加振器10aにより繰返し載荷を行う装置である。
図12に本実施例における平板試験体11の構造を説明する斜視図を示す。平板試験体11は、幅300mm、長さ700mm、厚さ12mmの鋼板1(材質SM400)に、鋼板1の幅方向の中心線に沿って幅10mm程度の溶接ビード11aを設けて、溶接ビード11aの中央に疲労き裂3を誘発するために幅8mmの切り欠き部(ノッチ11b)を設けたものである。
この平板試験体11を板曲げ疲労試験機10にセットして、応力範囲150MPaの応力制御の条件で繰返し載荷による疲労試験を行った。平板試験体11の固定位置は長さ方向の端部から240mmの範囲、繰返し荷重の載荷位置は固定位置と反対側の端部から115mmの位置とした。
ここで、平板試験体11に作用する応力の検出にはひずみゲージ12を使用し、ひずみゲージ12の貼り付け位置は、平板試験体11の長さ方向の中心線から載荷方向に12mm離れ、幅方向の中心線から両側に75mm離れた位置の2箇所とした。
図13に本実施例の延命化効果を説明するS−N線図を示す。S−N線図は横軸を繰返し載荷の繰返し数N、縦軸を応力範囲Δσとして、試験体が破断に至った点をプロットしたグラフであって、日本鋼構造協会(JSSC)ではS−N線図に破線で示すJSSC−A〜Hの8段階の等級を定めて鋼構造物の継手構造の疲労破壊に対する耐久性を評価している。ここで、JSSC−E(80)という表記はΔσ=80MPaで200万回の繰返し荷重が載荷されると破断に至ることを示している。
図13にプロットした黒塗り丸印は本実施例の比較例として実施した疲労試験の試験結果を示し、疲労き裂3の補修を行わずに破断に至るまで試験を続けた結果である。この場合、繰返し数約210万回で破断に至っている。すなわち疲労き裂3の補修を行わない場合の平板試験体11はJSSC−E等級に相当する疲労破壊に対する耐久性を有しているものと見なせる。
図13にプロットした白塗り丸印は本実施例の疲労試験結果を示している。約30万回の繰返し数で切り欠き部に幅10mmの疲労き裂3が発生した。この時点では破断に至っていないが参考としてこの段階も図中にプロットした。この段階で疲労試験を中断し、き裂の前後15mm程度の溶接ビード11aをグラインダーで削り取り、ピーニング処理を行った後、疲労試験を再開した。ピーニング処理を行ったことによって、累積繰返し数1千万回の載荷では破断することがなかった。すなわち疲労き裂3の補修を行った場合の平板試験体11は、少なくともJSSC−B等級に相当する疲労破壊に対する耐久性を有しているものと見なせる。
このように、適切な時期に疲労き裂の開口部を閉口させるという補修を行うことによって、疲労き裂の進展を止める、あるいは疲労き裂の進展を遅延させて、疲労破壊に対する耐久性を格段に向上させることができる。これにより、鋼構造物の疲労寿命の延命化を図ることができる。
(実施例2)
本実施例は、前述した第5実施形態の疲労寿命の延命化効果を実験により検証したものである。実験には実施例1と同様に図11に示す板曲げ疲労試験機10を使用した。
図14に本実施例における面外ガセット溶接継手試験体13の構造を説明する斜視図を示す。面外ガセット溶接継手試験体13は、幅300mm、長さ700mm、厚さ12mmの鋼板1(材質SM400)の面と直角方向に、高さ100mm、長さ340mm、厚さ12mmのガセットプレート6(材質SM400)をすみ肉溶接した構造からなる。
この面外ガセット溶接継手試験体13を板曲げ疲労試験機10にセットして、応力範囲80MPaの応力制御の条件で繰返し載荷による疲労試験を行った。面外ガセット溶接継手試験体13の固定位置及び載荷位置は実施例1と同じ位置とした。
ここで、面外ガセット溶接継手試験体13に作用する応力の検出にはひずみゲージ12を使用し、ひずみゲージ12の貼り付け位置は、面外ガセット溶接継手試験体13の長さ方向の中心線から載荷方向に12mm離れ、幅方向の中心線上及び中心線から両側に75mm離れた位置の3箇所とした。
図15に本実施例の延命化効果を説明するS−N線図を示す。図15にプロットした黒塗り丸印は本実施例の比較例として実施した疲労試験の試験結果を示し、疲労き裂3の補修を行わずに破断に至るまで試験を続けた結果である。この場合、繰返し数約80万回で破断に至っている。すなわち疲労き裂3の補修を行わない場合の面外ガセット溶接継手試験体13はJSSC−F等級に相当する疲労破壊に対する耐久性を有しているものと見なせる。
図15にプロットした白塗り丸印、白塗り四角印、白塗り三角印は本実施例の疲労試験結果を示している。白塗り丸印と白塗り四角印は、面外ガセット溶接継手試験体13のまわし溶接部7の溶接止端に発生した疲労き裂3が進展してすみ肉溶接金属2の溶接止端から離れ始めた時点(N)で疲労き裂3をピーニングにより補修した場合の試験結果を示し、白塗り三角印は、まわし溶接部7の溶接止端に発生した疲労き裂3が進展してすみ肉溶接金属2の溶接止端から離れて鋼板1の平板部まで10mm進展した時点(N10)で疲労き裂3を補修した場合の試験結果を示している。
約70〜100万回の繰返し数でN又はN10の疲労き裂3が発生した。この時点では破断に至っていないが参考としてこの段階も図中にプロットした。なお、N10はNよりも疲労き裂3が進展した状態ではあるものの、実験はバラツキが発生するものであるため、必ずしもNよりも多い繰返し数でN10に至るとは限らない。
又はN10の疲労き裂3が発生した段階で疲労試験を中断し、まわし溶接部7とすみ肉溶接金属2の溶接止端に発生した疲労き裂3に対しては、図2(b)で示した疲労き裂周辺ピーニング工程のみを実施し、鋼板1の平板部まで進展した疲労き裂3に対しては、図1(c)で示した疲労き裂周辺ピーニング工程と疲労き裂直上ピーニング工程の両方を実施した。
これらのピーニング処理によって疲労き裂3の開口部を閉口した後に疲労試験を再開した結果、累積繰返し数1千万回の載荷では破断することがなかった。すなわち疲労き裂3の補修を行った場合の面外ガセット溶接継手試験体13は、少なくともJSSC−D等級に相当する疲労破壊に対する耐久性を有しているものと見なせる。
このように、適切な時期に面外ガセット溶接継手に発生した疲労き裂の開口部を閉口させるという補修を行うことによって、疲労き裂の進展を止める、あるいは疲労き裂の進展を遅延させて、疲労破壊に対する耐久性を格段に向上させることができる。これにより、鋼構造物の疲労寿命の延命化を図ることができる。
本発明の疲労き裂補修方法を説明する斜視図であって、(a)は鋼材の平板部に疲労き裂が発生した状況、(b)は本発明の第1実施形態における疲労き裂周辺ピーニング工程を実施している状況、(c)は本発明の第2実施形態における疲労き裂直上ピーニング工程を実施している状況を示している。 本発明の疲労き裂補修方法を説明する斜視図であって、(a)は鋼材のすみ肉溶接金属の溶接止端に疲労き裂が発生した状況、(b)は本発明の第3実施形態における疲労き裂周辺ピーニング工程を実施している状況、(c)は本発明の第4実施形態における疲労き裂直上ピーニング工程を実施している状況を示している。 本発明の疲労き裂補修方法の効果を模式的に説明する断面図であって、(a)は鋼材の平板部に疲労き裂が発生した状況、(b)は(a)の鋼材の両端に外力が作用して鋼材表面に引張応力が発生することにより疲労き裂が進展する状況、(c)は(a)の鋼材に本発明の疲労き裂補修方法を適用して疲労き裂の開口部を閉じて圧縮残留応力が導入されたき裂接触面を形成した状況、(d)は(c)の鋼材の両端に外力が作用してき裂接触面に作用する圧縮残留応力が減少している状況を示している。 本発明の疲労き裂補修方法による延命化効果を説明するグラフである。 本発明の第5実施形態における面外ガセット溶接継手に対する疲労き裂補修方法を説明する斜視図であって、(a)はまわし溶接部の溶接止端に発生した疲労き裂が進展して溶接止端から離れ始めた時点で疲労き裂を補修している状況、(b)はまわし溶接部の溶接止端に発生した疲労き裂が進展して溶接止端から離れて平板部まで10mm進展した時点で疲労き裂を補修している状況を示している。 一般的な構造用鋼材の応力−ひずみ曲線である。 本発明の疲労き裂補修方法によるき裂接触面形成効果を説明するための比較解析例であって、疲労き裂直上のみをピーニングした場合の有限要素解析モデルを示している。 図7に示した比較解析例の応力分布を示している。 本発明の疲労き裂補修方法によるき裂接触面形成効果を説明するための解析例であって、疲労き裂周辺をピーニングした後に、疲労き裂直上をピーニングした場合の有限要素解析モデルを示している。 図8に示した解析例の応力分布であって、(a)は疲労き裂周辺の第1段階ピーニング後の状況、(b)は疲労き裂周辺の第2段階ピーニング後の状況、(c)は疲労き裂直上をピーニングした後の状況を示している。 板曲げ疲労試験機の側面図である。 本発明の実施例1における平板試験体の構造を説明する斜視図である。 本発明の実施例1による延命化効果を説明するS−N線図である。 本発明の実施例2における面外ガセット溶接継手試験体の構造を説明する斜視図である。 本発明の実施例2による延命化効果を説明するS−N線図である。 面外ガセット溶接継手のまわし溶接部における溶接止端に発生した疲労き裂がその周辺に進展していく状況を説明する斜視図であって、(a)は疲労き裂が発生していない状況、(b)はまわし溶接部の溶接止端に疲労き裂が発生した状況、(c)はまわし溶接部の溶接止端に発生した疲労き裂が進展して溶接止端から離れ始めた状況、(d)はまわし溶接部の溶接止端に発生した疲労き裂が進展して溶接止端から離れて平板部まで10mm進展した状況を示している。 鋼材のすみ肉溶接金属の溶接止端の疲労き裂の発生を防止するための従来技術を説明する斜視図であって、(a)は超音波衝撃処理装置をすみ肉溶接金属の溶接止端に押し当てている状況、(b)は超音波衝撃処理後の鋼材表面の塑性変形状況を示している。
符号の説明
,L,L … ピーニング軌道
1 … 鋼板 2 … すみ肉溶接金属
3 … 疲労き裂 3a … き裂接触面
4 … ピーニング治具 4a … チッパー
5 … 面外ガセット溶接継手 6 … ガセットプレート
7 … まわし溶接部 8,8a … ガイド
9 … ガイド固定治具 10 … 板曲げ疲労試験機
10a… 加振器 11 … 平板試験体
11a… 溶接ビード 11b… ノッチ
12 … ひずみゲージ 13 … 面外ガセット溶接継手試験体
14 … 鋼構造部材 15 … 超音波衝撃処理装置
16 … 超音波処理面

Claims (9)

  1. 鋼材の平板部又は曲板部に発生した疲労き裂を補修の対象とし、
    鋼材表面の疲労き裂を挟んだ両側のうち少なくとも一側を該疲労き裂と平行にピーニングすることにより該鋼材表面に塑性変形を付与し、該疲労き裂の開口部を閉じてき裂接触面を形成する疲労き裂周辺ピーニング工程を有することを特徴とする鋼構造物の疲労き裂補修方法。
  2. 請求項1に記載の疲労き裂周辺ピーニング工程の後工程として、前記疲労き裂の直上をピーニングすることにより前記鋼材表面に塑性変形を付与し、前記き裂接触面の接触面積及び/又は接触圧力を増加する疲労き裂直上ピーニング工程を有することを特徴とする鋼構造物の疲労き裂補修方法。
  3. 鋼材の溶接止端に発生した疲労き裂を補修の対象とし、
    鋼材表面の疲労き裂を挟んだ両側のうち溶接金属側と異なる一側を該疲労き裂と平行にピーニングすることにより該鋼材表面に塑性変形を付与し、該疲労き裂の開口部を閉じてき裂接触面を形成する疲労き裂周辺ピーニング工程を有することを特徴とする鋼構造物の疲労き裂補修方法。
  4. 請求項3に記載の疲労き裂周辺ピーニング工程の後工程として、前記疲労き裂の直上をピーニングすることにより前記鋼材表面に塑性変形を付与し、前記き裂接触面の接触面積及び/又は接触圧力を増加する疲労き裂直上ピーニング工程を有することを特徴とする鋼構造物の疲労き裂補修方法。
  5. 面外ガセット溶接継手のまわし溶接部における溶接止端に発生した疲労き裂を補修の対象とし、
    溶接止端に発生した疲労き裂が進展して該溶接止端から離れる前に、該溶接止端に請求項3又は4に記載の疲労き裂補修方法を適用することを特徴とする鋼構造物の疲労き裂補修方法。
  6. 面外ガセット溶接継手のまわし溶接部における溶接止端及びその周辺に発生した疲労き裂を補修の対象とし、
    溶接止端に発生した疲労き裂が進展して該溶接止端から離れて平板部又は曲板部まで進展した後で、該平板部又は曲板部に請求項1又は2に記載の疲労き裂補修方法を適用するとともに、該溶接止端に請求項3又は4に記載の疲労き裂補修方法を適用することを特徴とする鋼構造物の疲労き裂補修方法。
  7. 前記疲労き裂と平行に設置したガイドにより前記ピーニングの軌道を案内しながら、該ピーニングを行うことを特徴とする請求項1〜6に記載の鋼構造物の疲労き裂補修方法。
  8. 前記き裂接触面に作用する圧縮残留応力が設計引張応力以上であることを特徴とする請求項1〜7に記載の鋼構造物の疲労き裂補修方法。
  9. 前記き裂接触面に作用する圧縮残留応力が降伏応力以上であることを特徴とする請求項1〜8に記載の鋼構造物の疲労き裂補修方法。
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