JP2010123679A - 中空封止体及び中空封止体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】封止体を剛性の高い構造とすることで、大気との圧力差、または有機膜の熱膨張による変形を抑制できる中空封止構造体を提供する。
【解決手段】マイクロマシン装置1は、基板11と、前記基板11に設けられ、電界の作用により変形する機構を備え該変形に伴って電気特性を変化させるMEMS素子16と、前記基板11の主面上に設けられ、中空部17を介して前記MEMS素子16を覆う封止体20と、前記中空部17において前記基板11と連結して前記封止体20を支える支持部19と、を有することを特徴とする。
【選択図】 図2
【解決手段】マイクロマシン装置1は、基板11と、前記基板11に設けられ、電界の作用により変形する機構を備え該変形に伴って電気特性を変化させるMEMS素子16と、前記基板11の主面上に設けられ、中空部17を介して前記MEMS素子16を覆う封止体20と、前記中空部17において前記基板11と連結して前記封止体20を支える支持部19と、を有することを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
本発明は、例えば微小電気機械部品のパッケージング等の中空封止体及び中空封止体の製造方法に関する。
中空封止体の一例として、図11及び図12に示されるように、基板102上に動作を伴うマイクロマシンとしてのMEMS素子104が搭載され、中空に封止された、微小電気機械部品(MEMS:Micro−Electro−Mechanical−Systems)101が知られている(例えば、特許文献1または2参照)。微小電気機械部品101は、基板102、絶縁層103、MEMS素子104、信号用配線105、駆動電極106、下部電極107、第1封止体108および第2封止体109で構成され、内部に中空部110を構成する。MEMS素子104は両持ちの梁構造であり、梁の中央部分が信号用配線105と数μm程度のギャップを持って成形されている。MEMS素子104の直下の絶縁層103には、信号用配線105がAuなどで形成されている。MEMS素子104は、ばね特性の高いPoly−Si(ポリシリコン)もしくはAl(アルミニウム)などで構成されており、静電力等の駆動力を与えることで信号用配線105の方へ近接する。また、この駆動力を除荷すると、MEMS素子104は自身のばね特性により、再び信号用配線105とギャップを持った位置に戻る。このようにMEMS素子104と信号用配線105との間のギャップを変化させることで、可変電気容量、スイッチングなどの機能を果たす。
MEMS素子104の動作と保護のため、これを中空に封止する必要がある。製造コストの低減や小型化を目的として成膜プロセスによるマイクロマシン装置の製造方法が提供されている。図13に示すように、まずMEMS素子104と基板間にギャップを持たせるために、後の工程で完全に除去する犠牲層111を基板102上に形成する。ついで、MEMS素子104を、犠牲層111上に形成する。この犠牲層111上に形成されたMEMS素子104に、第2の犠牲層112を形成する。第2の犠牲層112上に、第1封止体108を形成する。第1封止体108に、成膜中もしくは成膜後に、MEMS素子104の周囲の犠牲層111,112を除去する際にエッチング材を導入するための開口形状部108aを形成する。犠牲層除去用エッチング材を開口形状部108aより導入し、全ての犠牲層111,112を完全に除去する。最後に第2封止体109を、開口形状部108aが完全に閉口するまで第1封止体108上に形成する。以上により、図10に示すように、第1および第2封止体108,109で構成された封止体によって、MEMS素子104を中空に封止することが可能となる。このようなマイクロマシン装置101では、封止体は封止される対象となるマイクロマシン装置101の外周部分において基板に支持され、中央部分が基板と離間して浮いている構造となっている。また、小型化のために複数のマイクロマシンを一つの中空部内に封止する場合もある。
特開2005−207959号公報
米国特許第7008812B1号
しかしながら、上記の技術では、以下のような問題があった。封止体はマイクロマシンの周辺部分のみで支持される構成であるため、大気との圧力の差や熱膨張により変形する場合がある。例えば、第二封止膜を減圧したチャンバー内で行うプロセスで成膜した場合には、中空部が大気よりも低い気圧となる。このため大気と中空部の圧力差が封止膜に負荷として生じる。小型化のために複数の機能素子を一つの封止構造体で覆うと、封止膜の外形が大きくなり、この影響が著しくなって、場合によっては封止構造体が大きな変形を伴って機能素子と接触し、もしくは破断する場合がある。また、封止構造体形成後に、パッケージ組立てなどのプロセスで高温に加熱されると、有機膜が著しく膨張して第一封止膜と基板を引き剥がすような応力が生じる。封止構造体が大きな変形を伴って基板と封止体が剥がれる恐れがある。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、封止体を剛性の高い構造とすることで、大気との圧力差、または有機膜の熱膨張による変形を抑制できる中空封止構造体を提供しようとするものである。
本発明の一態様にかかる中空封止構造体は、基板と、前記基板上に設けられた被封止部と、前記基板の主面上に設けられ、中空部を介して前記被封止部を覆う封止体と、前記中空部内で前記基板及び前記封止体と連結して前記封止体を支える支持部と、を有し、前記開口形状部は、前記支持部と該支持部に最も近い前記開口形状部との距離をa、前記最も近い開口形状部以外の複数の前記開口形状部間の最長距離をbとすると、a>b/2を満たすように配置されたことを特徴とする。
本発明によれば、大気との圧力差、または有機膜の熱膨張による変形を抑制できる中空封止構造体を提供することができる。
以下に本発明の第1実施形態にかかるマイクロマシン装置1について、図1乃至図3を参照して説明する。なお、各図において適宜構成を拡大・縮小・省略して概略的に示している。図中X,Y,Zは、互いに直交する三方向を示している。
マイクロマシン装置1(中空封止構造体)は例えば微小電気機械部品(MEMS)であり、基板を構成するベース基板11及び絶縁層12と、信号用配線15と、被封止体としての2つのMEMS素子16(マイクロマシン)等を備えるとともに、封止体20が基板と結合して、内部に常圧の気体が封入された雰囲気が形成される中空部17を形成した状態で、気密に封止されている。封止体20は、中空部17を規定する第1封止体21と第2封止体22とが順次積層されて構成されている。ここでは、例えば2つのMEMS素子16を一つの中空部17内に封止した場合を示す。
ベース基板11は、シリコン(Si)基板、ガラス基板、またはサファイア基板であり、所定の板形状に形成されている。
絶縁層12は、ベース基板11上に形成され、例えばシリコン酸化膜(SiO2)からなる。これらベース基板11及び絶縁層12により基板が構成される。
絶縁層12は、ベース基板11上に形成され、例えばシリコン酸化膜(SiO2)からなる。これらベース基板11及び絶縁層12により基板が構成される。
絶縁層12の上面には、下部電極13、駆動電極14、信号用配線15及びMEMS素子16が形成されている。信号用配線15はAu(金)などで形成され、図2中Y方向に延びて形成されている。駆動電極14は、絶縁層12上であって、信号用配線15を挟んで図1中X方向における両側に設けられている。
絶縁層12の上面には、MEMS素子16が形成されている。MEMS素子16は封止体20の外部に通じる下部電極13に接続されている。MEMS素子16の直下の絶縁層12の表面には、信号用配線15が配置されている。
MEMS素子16はマイクロマシンの可動機構部であり、段差を有する両持ち梁状を成し、その両端部分は下部電極13に接続され、中央の梁部16aは、信号用配線15と数μm程度のギャップを持って離間して配されている。例えば、後述するように数μm程度の厚さをもつ犠牲層18a上にMEMS素子16を形成するような製造プロセスを経ることでギャップ構造を確保することが可能である。
MEMS素子16は、例えばPoly−SiやAl等で構成されて両持ち梁状に構成されている。この梁状のMEMS素子16は、ばね特性を有し、その中央部分が上下方向に変位するように厚み方向に弾性的に曲げ変形可能であり、弾性復元力を有する。
MEMS素子16は、例えば、電界の作用として駆動電極14から静電力等の駆動力が与えられると、弾性変形して中央部分が信号用配線15の方へ近接し、駆動力が除去されると、自身のばね特性により、再び元の位置に戻る。すなわち、MEMS素子16は、静電力等の駆動力が印加、除荷されることにより、MEMS素子16が駆動力に応じて信号用配線15との間隔を変化させるように変形することで、マイクロマシン装置1の電気特性を変える。その変え方に応じて、可変電気容量、スイッチングなどの機能を果たす。
MEMS素子16の梁部16aには、厚み方向に貫通された複数の開口16bが形成されている。このため、梁部16aは、プルイン時に下方へ変形しやすい上、犠牲層除去用のドライエッチングガスがこの開口16bを通ることにより短時間で犠牲層18をエッチングすることが可能となる。
第1封止体21は、その辺縁部分がMEMS素子16と離間した位置で周囲の絶縁層12の上面に結合しているとともに、その中央部分が中空部17を介してMEMS素子16を上方から覆うように形成されている。すなわち、第1封止体21はMEMS素子16から離間している。
第1封止体21は、例えばSiO2で構成される厚さ1〜2μm程度の膜であり、MEMS素子16と数〜数十μm程度距離を保って設置される。例えば、後述するように、数十μm程度の厚さをもつ犠牲層(被腐食材)を形成した後に第1封止体21を形成し、犠牲層18を除去することにより、中空部17の形成が可能となる
第1封止体21は、製造工程において、犠牲層除去用のドライエッチングガス(O2プラズマガス等)の導入のために設けられた開口であった第1開口形状部21aが複数設けられている。第1開口形状部21aは、複数箇所に配置されている。この開口形状部21aを含む第1封止体21の外側は、第2封止体22に覆われている。
第1封止体21は、製造工程において、犠牲層除去用のドライエッチングガス(O2プラズマガス等)の導入のために設けられた開口であった第1開口形状部21aが複数設けられている。第1開口形状部21aは、複数箇所に配置されている。この開口形状部21aを含む第1封止体21の外側は、第2封止体22に覆われている。
第2封止体22は、1〜2μm程度の厚みを有する膜であり、SiN(シリコンナイトライド)等の無機材料から構成されている。第2封止体22は第1開口形状部21aを気密に閉塞して、中空部17を密封するように成膜される。
支持部19は、第1封止体21と絶縁層12とを連結する柱状に構成され、第1封止体21と第2封止体22とで構成される封止体20を下側から支えている。
この支持部19により、減圧された中空部17と外気との圧力差からの負荷による、封止体20の変形を抑制することができる。支持部19は後述する犠牲層18a,18bを成すポリイミド等により構成されている。すなわち、後に詳述するように犠牲層除去の際に、二つのMEMS素子16同士の間の所定部分を除去しないで残すことにより支持部19が形成される。
このような構成のマイクロマシン装置1において、駆動電流が印加されたプルイン時には、MEMS素子16の中央部分が下方に向かって変位するように梁部16aが変形し、信号用配線15に接触するとともに、中央部分の左右近傍が駆動電極14にそれぞれ接触する。
駆動電流を除荷したプルアウトの際には、プルイン時の変形が元に戻るよう弾性復元力が生じ、これにより中央部分が信号用配線15及び駆動電極14から離れる方向すなわち上方に向かって変位するように梁部16aが変形する。
以下、本実施形態にかかるマイクロマシン装置1の製造方法について図4乃至図9を参照して説明する。
まず、図4に示すように、ベース基板11上に絶縁層12を形成し、絶縁層12上に信号用配線15を形成する。ついで、図5に示すようにMEMS素子16として、例えば、Auを構成材料として用いたカンチレバー構造を有する静電駆動型高周波用スイッチを形成する。
このとき、まず図5に示すように、信号用配線15とMEMS素子16との間にギャップを持たせるために、信号用配線15上に、後の工程で除去する所定形状の犠牲層18aを形成して段差を形成してから、この犠牲層18a上にMEMS素子16を形成する。以上により、MEMS素子16が、段差を有し、信号用配線15から離間する梁部16aを有する所定の両持ち梁形状に形成される。
犠牲層18a、18bは、例えば、スピンコート法によりポリイミド膜が成膜され、パターニングにより所定形状に形成され、硬化されて構成されている。
図6に示すように、犠牲層18a,18bの形成後、第1封止体21として、プラズマCVD装置により、SiO2を、所定厚さで形成する。
さらに、図7に示すように、フォトリソグラフィ処理等により、第1封止体21に、成膜中もしくは成膜後にMEMS素子16の周囲の犠牲層18a,18bを除去する際に除去材を導入するための犠牲層除去用の開口であり、犠牲層除去の後で閉塞される開口形状部21aを複数形成する。
開口形状部21aは、犠牲層18a,18bで構成される支持部19を形成するため、以下の条件を満たすように配置する。犠牲層18a、18bを残して支持部19を形成する中心位置と、この位置に最も近い開口形状部21aとの距離をaとする。また、支持部19を形成せず、犠牲層18a、18bを全て除去したい領域には開口形状部21aが等間隔で格子状に配列する。
このとき支持部19以外にある開口形状部21a間の最長距離をbとする。犠牲層を全て除去する領域は、開口部間の最長距離の半分b/2以上を最低限エッチングする。このため、支持部19と開口形状部21aとの距離aは、a>b/2に設定されている。ドライエッチングで犠牲層が除去されてゆく領域は、開口形状部21aを中心にほぼ同心円状に広がってゆく。このとき、エッチング距離cは、支持部19の位置に犠牲層を残し、かつそれ以外の領域の犠牲層を全て除去するために、b/2<c<aとなるように設定する。
ついで、犠牲層除去用のエッチング材を開口形状部21aより導入し、図8に示すよう支持部19を残して他の部位の犠牲層18a,18bを除去する。例えば、多結晶シリコンを選択的に除去するXeF2ガスを、開口形状部21aから導入することにより、犠牲層が除去される。犠牲層のドライエッチングを十分な時間をかけて行うと、全ての犠牲層を除去することができるが、完全除去前にエッチングを停止することにより、犠牲層18bを残し、支持部19が形成される。この結果、第1封止体21覆われる内部に外部側と連通する中空部17が形成されるとともに、柱状の支持部19が残り、この支持部19により第1封止体21が支持される状態となる。
ついで、図9に示すように、第1封止体21上に、例えば、プラズマCVD装置もしくはスパッタ装置により、第1封止体21を覆うように、低透湿のSiNを、例えば数μm以上の厚さで成膜し、第2封止体22を形成する。この第2封止体22が薄膜プロセスによって形成されることで、第1封止体21の開口形状部21aが密封されることにより、中空部17の気密性が保たれ、内気の漏れが防止される。
以上により、図1及び図2に示すマイクロマシン装置1が完成する。このようにして構成されたマイクロマシン装置1としてのパッケージは、例えばドライバICチップ等に用いることができる。
本実施形態にかかる及びマイクロマシン装置1及びマイクロマシン装置1の製造方法は以下に掲げる効果を奏する。すなわち、中空部17内に第一封止膜と基板を連結する支持部19を配置することで、中空部が減圧のときに生じる大気との圧力差などで、中空封止構造体の変形を抑制することが可能となる。したがって、第1封止体21がMEMS素子16に接触することを防ぐことが可能となる。MEMS素子16に接触することを防ぐことが可能となる。また、この支持部を、中空部を形成するために用いられる犠牲層で形成することで、追加材料および追加プロセスを必要としないため、コストアップ無く実現できる。外力に対して変形を抑制できる剛性の高い封止体で、微小電気機械部品を保護することができる。
MEMS素子16の梁部16aを貫通する開口を多数設けたことにより、駆動電流を印加したプルインの際に変形しやすい構造とするとともに、犠牲層18除去の際のエッチングガスの流動を可能として除去時間を短縮することが可能となる。
さらに、封止体20は、SiO2、SiNなどの絶縁性を有する材料で構成されているため、導電性をもつMEMS素子16との間に電気容量を形成しない。したがって、MEMS素子16と周囲の導体とでの容量形成を回避し可変電気容量を用途とした電気機械部品において、高い容量変化をもつ性能を実現できる。
さらに、封止体20は、SiO2、SiNなどの絶縁性を有する材料で構成されているため、導電性をもつMEMS素子16との間に電気容量を形成しない。したがって、MEMS素子16と周囲の導体とでの容量形成を回避し可変電気容量を用途とした電気機械部品において、高い容量変化をもつ性能を実現できる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態にかかるマイクロマシン装置2(中空封止構造体)について図10を参照して説明する。なお、本実施形態のマイクロマシン装置2は、封止体30の構成及び製造工程以外の点は上記第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
本発明の第2実施形態にかかるマイクロマシン装置2(中空封止構造体)について図10を参照して説明する。なお、本実施形態のマイクロマシン装置2は、封止体30の構成及び製造工程以外の点は上記第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
封止体30は、中空部17を規定する内側無機封止膜31、有機封止膜32、外側無機封止膜33が順次積層されて構成されている。
内側無機封止膜31は、その辺縁部分がMEMS素子16と離間した位置で周囲の絶縁層12の上面に結合しているとともに、その中央部分が中空部17を介してMEMS素子16を上方から覆う。
内側無機封止膜31は、製造工程において、犠牲層除去用のドライエッチングガス(O2プラズマガス等)の導入のために設けられた開口であった開口形状部31aが複数設けられている。複数の開口形状部31aは、MEMS素子16の上方を含む周囲全域に後述する所定の配置で形成されている。内側無機封止膜31の外側は、有機封止膜32に覆われている。
内側無機封止膜31上には、有機封止膜32が形成されている。有機封止膜32は、樹脂材からなり、所定の厚みを有して内側無機封止膜31を覆うように成膜されている。この有機封止膜32により、開口形状部31aが閉塞されている。
なお、有機封止膜32を成膜する際に温度が高くなると、内部圧力の上昇により有機膜に泡が発生してしまうため、有機封止膜32を形成する工程は低温にすることが望ましい。したがって、有機封止膜32を構成する樹脂としては、UV(光)硬化型の樹脂の方が適している。熱を伴わない硬化反応が期待できればUV以外の波長の光によって硬化する樹脂を用いてもよい。有機封止膜32の上に、外側無機封止膜33が形成されている。
外側無機封止膜33は、有機封止膜32を構成する有機材料よりも透水性の低い無機材料、例えばSiN(シリコンナイトライド)等から構成され、有機封止膜32の外側を覆うように成膜されている。この外側無機封止膜33により、水分の吸収及び透過が抑止される。また、中空部17が加圧雰囲気絵ある場合には中空部から外界への成分透過を抑制する障壁ともなる。
次に、本実施形態にかかるマイクロマシン装置2の製造方法について図11乃至図15を参照して説明する。
まず、第1実施形態と同様に、図4示すように、ベース基板11上に絶縁層12を形成し、絶縁層12上に信号用配線15、MEMS素子16としての静電駆動型高周波用スイッチ、を形成する。さらに、図5に示すように、犠牲層18a,18bを形成する。
まず、第1実施形態と同様に、図4示すように、ベース基板11上に絶縁層12を形成し、絶縁層12上に信号用配線15、MEMS素子16としての静電駆動型高周波用スイッチ、を形成する。さらに、図5に示すように、犠牲層18a,18bを形成する。
犠牲層18a,18bの形成後、図11に示すように、内側無機封止膜31として、プラズマCVD装置により、SiO2を、所定厚さ形成する。内側無機封止膜31の厚さは、例えば1ミクロン程度である。
さらに、フォトリソグラフィ処理等により、図12に示すように、内側無機封止膜31に、成膜中もしくは成膜後にMEMS素子16の周囲の犠牲層18a,18bを除去する際に除去材を導入するための犠牲層除去用の開口であり、犠牲層除去の後で閉塞される開口形状部31aを複数形成する。特に、開口形状部31aが、機能素子としてのマイクロマシンの直上を含む面内に2次元的に配置されていると、犠牲層18a,18bを除去する際、短時間でエッチングが可能である。
開口形状部31aは、犠牲層で構成される支持部19を形成するため、以下の条件を満たすように配置する。犠牲層18a、18bを残して支持部19を形成する位置と、この位置に最も近い開口形状部31aとの距離をaとする。また、支持部を形成せず、犠牲層を全て除去したい領域には開口形状部31aが等間隔で格子状に配列する。このとき支持部19以外にある開口形状部31a間の最長距離をbとする。犠牲層を全て除去する領域は、開口部間の最長距離の半分b/2以上を最低限エッチングする。このため、支持部19と開口形状部31aとの距離aは、a>b/2に設定されている。ドライエッチングで犠牲層が除去されてゆく領域は、開口形状部31aを中心にほぼ同心円状に広がってゆく。このとき、エッチング距離cは、支持部19の位置に犠牲層を残し、かつそれ以外の領域の犠牲層を全て除去するために、b/2<c<aとなるように設定する。
ついで、犠牲層除去用のエッチング材を開口形状部31aより導入し、図13に示すよう支持部19を残して他の部位の犠牲層18a,18bを除去する。
例えば、多結晶シリコンを選択的に除去するXeF2ガスを、開口形状部31aから導入することにより、犠牲層が除去される。この結果、第1封止体31覆われる内部に外部側と連通する中空部17が形成されるとともに、支持部が残る状態となる。
犠牲層18a,18bを除去した後、マイクロマシン装置2を、大気状態に放置する。これにより、開口形状部31aで外部に連通した中空部17は0.1MPa程度の大気圧に近い内圧となる。したがって、真空雰囲気の場合と比べて中空部17内の流体抵抗が大きい。この他、例えば、犠牲層除去後に窒素雰囲気に曝すことで、開口形状部31aで外部に連通した中空部17を窒素雰囲気にすることも可能である。
次に、図14に示すように、常圧状態において、例えば圧力0.1MPa(大気圧)、の条件化で、有機封止膜32を成膜することにより樹脂封止を行う。開口形状部31aを埋めるのに十分な厚さに、UV硬化樹脂をスクリーン印刷法を用いてUV硬化樹脂を塗布する。例えば、所定形状のマスクを形成し、UV硬化型樹脂をスキージングしたあと、マスクを除去して所定箇所にUV硬化樹脂を塗布する。この後、UV硬化型樹脂に紫外線を照射して硬化する。UV硬化型樹脂としては、粘度は、100〜400Pa・s程度がよく、例えばナガセケムテックス製光硬化樹脂(XNR−5516)が用いられる。
以上により、開口形状部31aが閉塞され、中空部17を介してMEMS素子16が密封封止される。スクリーン印刷、UV硬化を不活性ガスN2雰囲気中で行うと、封止構造内部にN2が充填された構造になる。
次に、図15に示すように、マイクロマシン装置2を真空度の高い薄膜装置チャンバー内に投入し、外側無機封止膜33を形成する。例えば、プラズマCVD装置もしくはスパッタ装置により、有機封止膜32を覆うように、低透湿のSiNを、たとえば0.5〜1ミクロンの厚さに成膜し、外側無機封止膜33を形成する
以上により、マイクロマシン装置2が完成する。このようにして構成されたマイクロマシン装置1としてのパッケージは、例えばドライバICチップ等に用いることができる。
以上により、マイクロマシン装置2が完成する。このようにして構成されたマイクロマシン装置1としてのパッケージは、例えばドライバICチップ等に用いることができる。
本実施形態にかかる及びマイクロマシン装置2及びマイクロマシン装置2の製造方法は以下に掲げる効果を奏する。すなわち、この支持部b11により、加熱プロセス等で生じる有機膜32の熱膨張からの基板12と第一封止体31を引き剥がすような負荷に対して、中空封止構造体の変形を抑制することが可能となる。
また、中空部17の雰囲気を薄膜装置チャンバー内よりも高い圧力を有する雰囲気にすることにより、流体抵抗を高め、MEMS素子16の振動を抑えることができる。また、例えばUV硬化型の樹脂からなる有機封止膜32を塗布することとしたため、樹脂の粘度が高く、成膜の際に、開口形状部31aから下方に堆積することを防止できる。したがって、開口形状部31aの配置が限定されず、MEMS素子16の直上など、内側無機封止膜31の上面全域に開口形状部31aを設けることが可能である。したがって、犠牲層の完全除去までの時間を短縮させることができる。すなわち、第2封止体が開口形状部の下方に堆積するマイクロマシン装置では、マイクロマシンから離れた位置に開口形状部を設ける必要があるため、素子が位置する封止体の中心近傍には開口形状部が無く、犠牲層を完全に除去するまでに時間を要するが、本実施形態では、開口形状部31aをMEMS素子16の上方に設けることができ、したがって内部の犠牲層除去の時間短縮を図ることができる。
さらに、封止体30は、SiO2、SiNなどの絶縁性を有する材料で構成されているため、導電性をもつMEMS素子16との間に電気容量を形成しない。したがって、MEMS素子16と周囲の導体とでの容量形成を回避し可変電気容量を用途とした電気機械部品において、高い容量変化をもつ性能を実現できる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、各構成要素の材質、形状、配置、サイズ、構造・動作等を適宜変更して実施することができる。
また、パターニング方法や犠牲層の除去方法の一例としては、エッチングガスによるドライエッチングや、薬液によるウェットエッチング等が挙げられる。また、複数の犠牲層18a,18bは同一材料でなくても良い。また、基板として、ベース基板11上に絶縁層12を備えた構造について説明したが絶縁層12を省略してベース基板11のみで基板を構成し、このベース基板11上にMEMS素子16、信号用配線15を形成してもよい。
第2実施形態においては、スクリーン印刷法で形成する場合を例示したが、スピンコートなど、他の方法であってもよい。さらに被封止体としてMEMS素子16を例示したが、この他、半導体素子等を封止する場合にも適用できる。また、複数の被封止体が並列する場合にその間に支持部19を形成することが可能である。
この他、本発明は、実施段階においてその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
1、2…マイクロマシン装置、1…ベース基板、11…基板、12…絶縁層、
13…下部電極、14…駆動電極、15…信号用配線、16…MEMS素子、
17…中空部、18a.18b…犠牲層、19…支持部、20…封止体、
21…第1封止体、21a…開口形状部、22…第2封止体、30…封止体、
31…内側無機封止膜、31a…開口形状部、32…有機封止膜、
33…外側無機封止膜。
13…下部電極、14…駆動電極、15…信号用配線、16…MEMS素子、
17…中空部、18a.18b…犠牲層、19…支持部、20…封止体、
21…第1封止体、21a…開口形状部、22…第2封止体、30…封止体、
31…内側無機封止膜、31a…開口形状部、32…有機封止膜、
33…外側無機封止膜。
Claims (9)
- 基板と、
前記基板上に設けられた被封止部と、
前記基板の主面上に設けられ、中空部を介して前記被封止部を覆う封止体と、
前記中空部内で前記基板及び前記封止体と連結して前記封止体を支える支持部と、を有し、
前記開口形状部は、前記支持部と該支持部に最も近い前記開口形状部との距離をa、前記最も近い開口形状部以外の複数の前記開口形状部間の最長距離をbとすると、a>b/2を満たすように配置されたことを特徴とする中空封止構造体。 - 前記被封止部として、電界の作用により変形する機構を備え該変形に伴って電気特性を変化させるマイクロマシンが複数設けられるとともに、前記支持部は、前記中空部における前記複数のマイクロマシン同士の間に設けられたことを特徴とする請求項1記載の機能素子の中空封止構造体。
- 前記支持部が、前記中空部を形成する過程で形成された犠牲層で構成されたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の中空封止構造体。
- 前記支持部は、前記基板と前記封止体との間に形成されそのうち所定の部分が除去されて前記中空部を構成する被腐食材の、他の部分が残されて前記基板と前記封止体とに連結されて構成された、ことを特徴とする請求項1又は2記載の中空封止構造体。
- 前記封止体は、前記基板の主面上に設けられ中空部を介して前記被封止部を覆うとともに前記中空部と外部とを連通する第1開口形状部を有する第1封止体と、前記第1封止体上に成膜され前記開口形状部を塞ぐ第2封止体と、を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の中空封止構造体。
- 前記封止体は、
無機材料を含み、前記基板の主面上に設けられ、中空部を介して前記被封止部を覆うとともに、前記中空部と外部とを連通する開口形状部を有する、内側無機封止膜と、
有機材料を含み、前記内側無機封止膜上に成膜され、前記開口形状部を塞ぐ有機封止膜と、
前記有機材料よりも低い透湿性を有する無機材料を含み、前記有機封止膜上に成膜されて前記有機封止膜を覆う外側無機封止膜と、
を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の中空封止構造体。 - 電界の作用により変形する機構を備えるとともに該変形に伴って電気特性を変化させるマイクロマシンを、基板に配する工程と、
前記基板及び前記マイクロマシン上に犠牲層を形成する工程と、
前記犠牲層及び前記基板の主面上に、前記犠牲層を介して前記マイクロマシンを覆うとともに前記犠牲層に連通する開口形状部を有する第1封止体を形成する工程と、
前記開口形状部から犠牲層除去用の流体を導入して前記犠牲層を除去するとともに、所定の部分における犠牲層を前記基板と前記第1封止体とを連結させて残し、前記中空部内で前記犠牲層によって前記第1封止体を支持する支持部を形成する工程と、
前記第1封止体上に、第2封止体を成膜する工程と、
を備えた特徴とする中空封止構造体の製造方法。 - 電界の作用により変形する機構を備えるとともに該変形に伴って電気特性を変化させるマイクロマシンを、基板に配する工程と、
前記マイクロマシン上に犠牲層を形成する工程と、
減圧下において、前記犠牲層及び前記基板の主面上に、無機材料を含み、前記犠牲層を介して前記マイクロマシンを覆うとともに、前記中空部に連通する開口形状部を有する、内側無機封止膜を形成する工程と、
前記開口形状部から犠牲層除去用の流体を導入して前記犠牲層を除去するとともに、所定の部分における犠牲層を前記基板と前記第1封止体とを連結させて残し、前記中空部内で前記犠牲層によって前記第1封止体を支持する支持部を形成する工程と、
前記内側無機封止膜の前記開口形状部を覆うように、有機材料からなる有機封止膜を形成する工程と、
減圧下において、前記有機材料よりも低い透湿性を有する無機材料からなる外側無機封止膜を形成し、前記有機封止膜の外側を覆う工程と、を備えたことを特徴とする中空封止構造体の製造方法。 - 前記支持部と該支持部に最も近い前記開口形状部との距離をa、前記支持部を形成しない領域に配列された複数の前記開口形状部間の最長距離をb、エッチング距離をcとすると、b/2<c<aを満たすように設定されたことを特徴とする請求項7又は請求項8記載の中空封止構造体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008294672A JP2010123679A (ja) | 2008-11-18 | 2008-11-18 | 中空封止体及び中空封止体の製造方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012035337A (ja) * | 2010-08-03 | 2012-02-23 | Dainippon Printing Co Ltd | Memsデバイス及びその製造方法 |
JP2012045656A (ja) * | 2010-08-25 | 2012-03-08 | Toshiba Corp | 電気部品およびその製造方法 |
WO2013145260A1 (ja) * | 2012-03-30 | 2013-10-03 | 富士通株式会社 | 電子装置及びその製造方法 |
-
2008
- 2008-11-18 JP JP2008294672A patent/JP2010123679A/ja not_active Withdrawn
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