JP2010121992A - ひび割れ検出方法 - Google Patents

ひび割れ検出方法

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Abstract

【課題】ウェーブレット係数や輝度情報などを用いて、空間分解能以下のひび割れ幅を精度よく、しかも高い確証のもとに推定し、もって実際のひび割れ幅を特定することのできるひび割れ検出方法を提供すること。
【解決手段】ウェーブレット画像を作成する第一工程と、ひび割れ抽出画像を作成する第二工程と、該ひび割れ幅を目的変数とし、かつ、複数の説明変数から形成されるひび割れ幅の推定式を重回帰分析から規定し、該推定式に基づいてひび割れ幅を特定する第三工程と、からなるひび割れ検出方法である。
【選択図】図3

Description

本発明は、コンクリート表面に生じているひび割れの検出をおこなうひび割れ検出方法に係り、特に、撮影されたコンクリート表面の汚れや照明条件などによってひび割れの検出が困難な場合においても、簡易に高精度のひび割れ検出をおこなうことのできるひび割れ検出方法に関するものである。
コンクリート表面上のひび割れを検出する方法としては、従来、調査員がスケールを使用しながら目視観察をおこない、ひび割れの幅や長さを測定する方法が一般的であった。しかし、この目視観察による方法は調査員の測定技量などによって精度のばらつきが大きくなることや、ひび割れが大量に存在する場合においては大量の情報を正確に処理するために莫大な労力および時間を要するといった問題があった。
上記の問題に対して、コンクリート表面の撮影画像をコンピュータに取り込み、画像をひび割れ領域とそれ以外の領域とに2値化処理する画像処理手法が適用されている。画像の2値化処理とは、ある濃度値に対して画像の濃度を0または1に表現することであり、例えば、入力画像f(i,j)に対して2値化処理で得られる2値化画像b(i,j)はb(i,j)=1(f(i,j)>k)、0(f(i,j)≦k)となる。ここで、kは2値化する際の閾値であり、したがって2値化画像の良し悪しは閾値kの選定によって決まるといってよい。
従来の閾値を求める手法としては、固定閾値または可変閾値による処理方法がある。固定閾値による処理方法には、Pタイル法やモード法、相関比を用いた方法などが挙げられる。固定閾値による処理方法は、対象画像の濃度ヒストグラムを作成し、画像の背景(コンクリート表面)の濃度値とひび割れの濃度値との間に明確な谷が現れるような双峰性のヒストグラムが得られる場合において有効な方法である。
一方、可変閾値による処理方法は、照明条件などによって撮影ムラが生じ、背景の濃度値と対象部分の濃度値が画像全体で一定でない場合に有効な方法である。この可変閾値処理法は、注目している画素を中心とする局所領域の平均濃度値を閾値とする方法である。この方法の欠点は、背景領域の微妙な濃淡変化に応じて、例えばひび割れ以外のノイズが多い画像となってしまう点である。
従来の画像処理方法は、撮影された入力画像に対して閾値を決定し、2値化処理をおこないながらひび割れの抽出をおこなうものである。すなわち、この一般的な処理の流れは次のようになる。1)撮影画像をコンピュータに取り込んで入力画像を作成する。2)入力画像の濃度の補正をする。3)2値化処理をおこなってひび割れの抽出をおこなう。4)ひび割れの平滑化や輪郭線の追跡をおこなう。5)特定されたひび割れの特徴量の算定をおこなう。
上記する従来の画像処理法は、濃度が一様なコンクリート表面上のひび割れの検出においては比較的高精度のひび割れ検出が可能である。しかし、実際のコンクリート構造物の表面は様々な汚れを含んでおり、さらにはひび割れの濃度も、ひび割れの幅や深度などに応じてばらつきがあるのが一般的である。このようなコンクリート表面に対して従来の画像処理法を用いると、ひび割れの抽出に際しては様々な問題が生じ得る。例えば、固定閾値処理の場合において、コンクリート表面上の汚れ領域とひび割れ領域が同程度の濃度値である場合には、これらを2値化処理することが極めて困難となる。濃度ヒストグラムが双峰性を呈していて、閾値を容易に決定できたとしても、ひび割れ領域と判断される範囲には汚れ領域が含まれる可能性が極めて高くなる。また、逆に、ひび割れ周辺部の汚れ領域を含ませないような閾値をあらたに設定しようとすると、今度は他のひび割れ領域を除外してしまうことになってしまう。
可変閾値処理の場合には、コンクリート表面上の汚れが多くなるにしたがって、ひび割れ抽出画像中にひび割れ以外のノイズが多く含まれることになり、場合によってはひび割れ抽出画像を一見しても、どの部分がひび割れ領域なのか全く判別できないこととなる。
上記する従来手法の問題に対して本発明者等は、撮影されたコンクリート表面の汚れや照明条件などによってひび割れの検出が困難な場合においても、簡易に高精度のひび割れ検出をおこなうことのできるひび割れ検出方法を発案し、特許文献1にその開示をおこなっている。このひび割れ検出方法は、ひび割れの濃度とコンクリート表面の濃度を擬似的に設定し、2つの該濃度に対応したウェーブレット係数を算定し、該2つの濃度を256階調における各階調ごとにそれぞれ変化させた場合のそれぞれのウェーブレット係数を算定し、ひび割れ幅を任意の画素幅に設定してウェーブレット係数テーブルを作成し、ひび割れ検出対象であるコンクリート表面の撮影画像をコンピュータに入力して入力画像とし、該入力画像をウェーブレット変換することによってウェーブレット画像を作成する第一工程と、ウェーブレット係数テーブル内において、前記コンクリート表面の濃度と仮定する局所領域内の近傍画素の平均濃度と、前記ひび割れの濃度と仮定する注目画素の濃度に対応するウェーブレット係数を閾値とし、任意の近傍画素における任意の注目画素のウェーブレット係数が閾値よりも大きな場合は該近傍画素における該注目画素をひび割れと判定し、任意の近傍画素における任意の注目画素のウェーブレット係数が閾値よりも小さな場合は該近傍画素における該注目画素をひび割れでないと判定し、局所領域および注目画素を変化させながら前記判定をおこなうことによってひび割れ抽出画像を作成する第二工程と、からなる方法である。
特許文献1に開示のひび割れ検出方法によれば、局所的に閾値を設定しながらひび割れの検出をおこない、この操作を対象となるコンクリート表面全てにわたっておこなうことから、極めて精度のよいひび割れの検出を実現することができる。しかし、この方法では、撮影された画像データの分解能によって最小ひび割れ幅が決定されてしまう。したがって、例えば0.8mm/1画素(ピクセル)のような低分解能の撮影画像データの場合には、ひび割れ幅は1画素の0.8mm単位で評価されることになる。そこで、より細かいひび割れ幅を評価するに際し、対象物をより近接位置からより高い分解能で撮影する必要が生じる。
そこで、本発明者等はさらに、分解能の低い画像データによっても、微細幅のひび割れを高精度で検出することのできるひび割れ検出方法を発案し、特許文献2にその開示をおこなっている。このひび割れ検出方法は、上記する特許文献1に開示の検出方法の第二工程に続いて、以下の第三工程および第四工程をさらに具備する方法である。すなわち、ひび割れ抽出画像においてひび割れであると特定されたひび割れ画素のみを抽出するとともに、所定のひび割れ幅またはひび割れ幅の範囲ごとに層分けされ、各層に対応するウェーブレット係数範囲が設定された対応表を作成する第三工程と、抽出された各ひび割れ画素のウェーブレット係数値を前記対応表における各層に割り振ることにより、層分けされたひび割れデータを作成する第四工程と、を具備し、前記対応表における層間のひび割れ幅の間隔またはひび割れ幅の範囲が前記撮影画像の画像データの分解能よりも小さく設定される、ひび割れ検出方法である。また、より限定された発案として、前記第三工程においては、抽出された各ひび割れ画素のウェーブレット係数の中から最大値と最小値を抽出し、該最大値から該最小値までを所定のウェーブレット係数間隔ごとに層分けし、各層ごとに所定のひび割れ幅またはひび割れ幅の範囲を割り当てることによって前記対応表が作成されるものもある。
特許第4006007号公報 特開2008−185510号公報
特許文献2に開示のひび割れ検出方法によれば、分解能の低い画像データによっても、微細幅のひび割れを高精度で検出することが可能となる。例えば1画素の分解能が0.8mmの場合に評価されるひび割れ幅の最大値を0.8mmとすることができ、最小ひび割れ幅を0.1mmに設定でき、0.1〜0.2mm、0.2〜0.3mm、・・・・・、0.7〜0.8mmの7層に層分けするとともに、層間のひび割れ間隔(またはひび割れ幅の範囲)を0.1mmとすることができる。なお、特許文献2に開示するように、本発明者等の検証によれば、このひび割れ検出方法を適用した場合に、ひび割れ幅範囲を0.1mmに設定して解析した場合には、その適中率は50%であり、不適中の大小(±0.05mm)までを誤差範囲として含めると70.0%、また不適中の大小(±0.1mm)までを誤差範囲として含めると76.7%となり、高い精度でひび割れの特定がおこなわれることが実証されている。さらに、ひび割れ幅範囲を0.2mmに設定して解析した場合には、その適中率は62.2%であり、不適中の大小(±0.1mm)までを誤差範囲として含めると、77.8%となり、ひび割れ幅範囲を相対的に広くした場合でも高い精度でひび割れ幅の特定がおこなわれることが実証されている。
しかし、上記する特許文献2に開示の方法では、求められるひび割れ幅が、自ずと層分けされたひび割れ幅(たとえば、上記する0.1mmや0.2mm)に規定されてしまうという課題を有している。さらには、上記のごとく検証によってその効果が十分に期待される一方で、ウェーブレット係数の最大値と最小値からひび割れ幅を設定することに関して、その根拠に高い確証を置き難いという側面もある。
本発明のひび割れ検出方法は上記する問題に鑑みてなされたものであり、ウェーブレット係数や輝度情報などを用いて、空間分解能以下のひび割れ幅を精度よく、しかも高い確証のもとに推定でき、もって実際のひび割れ幅を特定することのできるひび割れ検出方法を提供することを目的としている。
前記目的を達成すべく、本発明によるひび割れ検出方法は、コンクリート表面に生じているひび割れの検出をおこなうひび割れ検出方法であって、ひび割れの濃度とコンクリート表面の濃度を擬似的に設定し、2つの該濃度に対応したウェーブレット係数を算定し、該2つの濃度を256階調における各階調ごとにそれぞれ変化させた場合のそれぞれのウェーブレット係数を算定し、ひび割れ幅を任意の画素幅に設定してウェーブレット係数テーブルを作成し、ひび割れ検出対象であるコンクリート表面の撮影画像をコンピュータに入力して入力画像とし、該入力画像をウェーブレット変換することによってウェーブレット画像を作成する第一工程と、ウェーブレット係数テーブル内において、前記コンクリート表面の濃度と仮定する局所領域内の近傍画素の平均濃度と、前記ひび割れの濃度と仮定する注目画素の濃度に対応するウェーブレット係数を閾値とし、任意の近傍画素における任意の注目画素のウェーブレット係数が閾値よりも大きな場合は該近傍画素における該注目画素をひび割れと判定し、任意の近傍画素における任意の注目画素のウェーブレット係数が閾値よりも小さな場合は該近傍画素における該注目画素をひび割れでないと判定し、局所領域および注目画素を変化させながら前記判定をおこない、ひび割れ以外のノイズを除去することによってひび割れ抽出画像を作成する第二工程と、前記第一工程および第二工程に続く、もしくはこれらの工程の流れとは独立した、ひび割れ幅を推定する第三工程であって、該ひび割れ幅を目的変数とし、かつ、複数の説明変数から形成されるひび割れ幅の推定式を重回帰分析から規定し、該推定式に基づいてひび割れ幅を特定する第三工程と、からなるものである。
ウェーブレット(wavelet)とは、小さな波という意味であり、局在性を持つ波の基本単位をウェーブレット関数を用いた式で表現することができる。このウェーブレット関数を拡大または縮小することにより、時間情報と周波数情報を同時に解析することが可能となる。このウェーブレット係数をひび割れを有するコンクリート表面に適用する場合の該ウェーブレット係数の特徴としては、該係数が、コンクリート表面の濃度と、ひび割れの濃度と、ひび割れ幅に依存するということである。例えば、ひび割れ幅が大きくなるにつれてウェーブレット係数の値は大きくなる傾向があり、また、ひび割れの濃度が濃くなるにつれて(黒色に近づくにつれて)ウェーブレット係数の値は大きくなる傾向がある。
ウェーブレット変換によって算定されるウェーブレット係数を用いて、ひび割れの検出をおこなうアルゴリズムは以下のようになる。まず、コンクリート表面の撮影画像とウェーブレット関数との内積よりウェーブレット係数を求める。このウェーブレット係数を256階調に変換することで、連続量を持ったウェーブレット画像が作成できる。
ウェーブレット係数は、上記するようにひび割れ幅やひび割れの濃度、コンクリート表面の濃度によって変化することから、擬似的に作成されたデータを用いてひび割れの濃度とコンクリート表面の濃度に関するウェーブレット係数を各階調ごとに算定しておき、ウェーブレット係数テーブルを作成しておく。このウェーブレット係数テーブルにある各階調ごとのウェーブレット係数が、ひび割れ検出の際の閾値となる。例えば、対比される2つの濃度(一方の濃度をコンクリート表面の濃度、他方の濃度をひび割れの濃度と仮定することができる)に対応するウェーブレット係数(閾値)がウェーブレット係数テーブルを参照すれば一義的に決定される。したがって、後述するように、撮影画像において対比される2つの濃度間のウェーブレット係数を算定した際に、このウェーブレット係数がウェーブレット係数テーブルの閾値よりも大きな場合は、ひび割れであると判断できるし、閾値よりも小さな場合はひび割れでないと判断することが可能となる。
このウェーブレット係数テーブルを作成する際の擬似的なデータは特に限定するものではないが、例えば、ひび割れ幅が一画素(一ピクセル)〜五画素(五ピクセル)までの中で、各画素幅のひび割れごとに、コンクリート表面の階調とひび割れの階調に対応するウェーブレット係数を算定する。閾値の設定に際しては、例えば、ひび割れ幅が一画素の場合のウェーブレット係数のうち、ひび割れに対応するウェーブレット係数を選定し、ひび割れ幅が五画素の場合のウェーブレット係数のうち、ひび割れ領域でない箇所のウェーブレット係数を選定し、これら2つのウェーブレット係数の平均値をもって任意の階調における閾値とすることができる。
本発明のひび割れ検出方法においては、まず、第一工程において、上記するウェーブレット係数テーブルを作成しておくとともに、撮影画像をコンピュータに入力して入力画像とし、該入力画像をウェーブレット変換することによってウェーブレット画像を作成する。このウェーブレット画像の作成は、コンピュータ内部において以下のように実施される。まず、適宜に設定された広域領域(例えば30×30画素の領域)に対してウェーブレット係数を算定する。次に、この広域領域から一画素移動した広域領域(同じように例えば30×30画素の領域であって、移動前の30×30画素の領域とほとんどの画素が共通している)で、同じようにウェーブレット係数を算定する。この操作を入力画像全体に繰り返すことにより、コンピュータ内部には、ウェーブレット係数の連続量からなるウェーブレット画面が作成される。
次に第二工程において、このウェーブレット係数の連続量からなるウェーブレット画像において、ウェーブレット係数テーブル内の閾値(ウェーブレット係数)とウェーブレット画像を構成するウェーブレット係数とを比較し、画像を構成するウェーブレット係数が閾値よりも大きな場合はひび割れと判断し(画面上では例えば白色)、閾値よりも小さな場合はひび割れでないと判断する(画面上では例えば黒色)。この操作をウェーブレット画像全体でおこなうことにより、黒い背景色内に白いひび割れが描き出されたひび割れ抽出画像が作成される。
このひび割れ抽出画像の作成に際し、2値化処理に加えてノイズの除去も実施される。このノイズを除去する方法としては、公知の画像編集ソフトを使用して、ドット部を除去したり、所定長さ未満の線分を非クラック部として除去するといった方法がある。また、ノイズ除去方法のアルゴリズムの一つとしては輪郭線追跡処理を挙げることができる。この輪郭線追跡処理は、ある任意の画素(ひび割れと判断されている画素)から出発して、隣接する画素がひび割れ箇所の場合には出発画素と接続し、さらに隣接する画素がひび割れ箇所の場合にはさらに双方を接続し、最終的に出発画素に閉合した場合(例えば、第一画素、第二画素、…、第n−1画素、第n画素、第一画素の順に接続される場合)や、次に繋がるひび割れ箇所が存在しなくなった場合に終了するものである。かかる輪郭線追跡処理によれば、ループ状に閉合するようなひび割れラインや、複数の屈曲部を備えて線状に伸びるひび割れラインなど、適宜のひび割れラインが作成されることになる。この際、繋げられる画素数の最小数を予め設定しておくことにより、かかる設定数以下の画素はすべてひび割れでないとして、画面のひび割れ表示から削除することができる。
また、平滑化処理をおこなった後に輪郭線追跡処理を実行してもよい。ここで、平滑化処理は、適宜に設定された数の画素内の平均値を算定し、例えば、かかる複数の画素の中で、平均値よりも濃い濃度の画素はひび割れである画素とし、平均値よりも薄い濃度の画素はひび割れでないと判断する手法である。
さらに、第二工程において、ひび割れ抽出画像に対して細線化処理を実行することにより、ひび割れの中心線で構成され、たとえばひび割れ全体が一画素幅(一ピクセル幅)を有する細線化画像を作成し、最終的なひび割れ抽出画像としてもよい。発明者等の検証によれば、任意幅のひび割れにおいて、その中心線部分が最も濃度が濃くなることが分かっており、したがって、細線化処理により、任意幅で任意長さのひび割れを構成するひび割れにおいて、各部位のひび割れ濃度を設定することができる。
本発明のひび割れ検出方法は、さらに第三工程を具備するものである。この第三工程は、前記第一工程および第二工程に続いて実行されるものであってもよいし、これらの工程の流れとは独立して実行されるものであってもよいが、いずれにせよ、本第三工程でひび割れ幅の推定がおこなわれるものである。具体的には、ひび割れ幅を目的変数とし、かつ、複数の説明変数から形成されるひび割れ幅の推定式を重回帰分析から規定し、該推定式に基づいてひび割れ幅を特定する工程である。
上記する推定式を規定する一実施の形態として、前記説明変数を、前記ウェーブレット係数と、前記近傍画素の平均輝度と、前記ひび割れ抽出画像を形成する画素の輝度と、一画素当たりの画素幅で規定される空間分解能と、から作成し、それぞれの説明変数に固有の係数であって重回帰分析で求められた係数をそれぞれの説明変数に乗じ、それらが足しあわされて前記推定式を規定する方法を挙げることができる。
すなわち、上記する推定式の実施の形態では、4つの説明変数からひび割れ幅(目的変数)が推定されるものであるが、本発明者等によれば、クラックスケールを画像撮影し、その画像解析をおこなった際に、たとえば上記する4つの説明変数(パラメータ)がひび割れ幅と高い相関を有していることが特定されており、したがって、これらのパラメータから形成される推定式を重回帰分析によって規定することで、本発明者等による該推定式の精度検証結果でも、極めて高い精度で実際のひび割れを特定できることが実証されている。
たとえば、第二工程で作成されたひび割れ抽出画像(もしくは、該ひび割れ抽出画像を細線化処理してなる細線化画像)に対して、上記する特定された複数のパラメータと、たとえばクラックスケールのひび割れ幅を目的変数とする重回帰分析をおこなうことで、上記するひび割れ幅の推定式を規定することもできる。
上記するひび割れ幅の推定式を一度規定してしまえば、該推定式に代入される前記空間分解能が異なる際に、他の説明変数も該代入される空間分解能に応じた説明変数が代入され、結果として、異なる前記空間分解能に対して近似した前記目的変数が得られることも、本発明者等によって実証されている。たとえば、空間分解能が0.3mm/画素の場合は、該空間分解能に対応したウェーブレット係数、近傍画素の平均輝度、ひび割れ抽出画像を形成する画素の輝度が規定されるし、代入される空間分解能が0.5mm/画素に変化した場合には、該空間分解能に対応したウェーブレット係数等が規定されるものであり、双方の目的変数(推定されるひび割れ幅)の値は、同一か、極めて近似した値が得られることになる。
したがって、たとえば上記する推定式を一度規定しておけば、空間分解能以下のひび割れ幅であっても、精度よく、しかも高い確証のもとに推定する(実際のひび割れ幅を特定する)ことが可能となる。したがって、たとえば、任意の空間分解能ごとに重回帰分析をおこなって該任意の空間分解能に固有の推定式を個別に作成する必要はない。
以上の説明から理解できるように、本発明のひび割れ検出方法によれば、ひび割れ幅と高い相関を有しているウェーブレット係数等のパラメータを説明変数とし、重回帰分析によってひび割れ幅の推定式を一度規定することで、精度よく、しかも高い確証のもとに実際のひび割れ幅を推定し、特定することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、入力画像と局所領域の関係を示した模式図である。本発明のひび割れ検出方法では、入力画像1における広域領域2のうち、ひび割れが集中的に存在する、あるいは偏在する局所領域3を取り出し、該局所領域3におけるひび割れの検出をおこなうものである。この方法により、従来の固定閾値法のように、例えば入力画像1内で一つの閾値を決める方法に比べて、精度のよいひび割れの検出をおこなうことができる。
図2は、局所領域3を拡大した図であり、図示する実施形態では、3×3の9つの画素(8つの近傍画素31,31,…と、中央に位置する注目画素32)を対象としてひび割れ判定をおこなう。なお、ウェーブレット係数の算定は、図1における広域領域2を対象としておこなわれる。
ここで、ウェーブレット関数(マザーウェーブレット関数)を用いたウェーブレット変換をおこなうことでウェーブレット係数を算定する算定式を以下に示す。
Figure 2010121992
Figure 2010121992
Figure 2010121992
ここで、f(x、y)は入力画像(ここで、x、yは2次元入力画像中の任意の座標である)を、ψはマザーウェーブレット関数(ガボール関数)を、(x、y)はψの平行移動量を、aはψの拡大や縮小を(ここで、aは周波数の逆数であって、幾つかの周波数領域について計算するための周波数幅を整数kで示した値)、fは中心周波数を、σはガウス関数の標準偏差を、θは波の進行方向を表す回転角を、(x’、y’)は(x、y)を角度θだけ回転させた座標を、それぞれ示している。
ここで、数式1を用いて計算した複数のθ、kに対して、ウェーブレット係数Ψの累計値C(x、y)を求めたのが数式4となる。
Figure 2010121992
上記のパラメータは、任意に設定できるが、例えば、σを1.0に、aは0〜5に、fは0.1に、回転角は0〜180度に、それぞれ設定できる。
数式4における平行移動量(x、y)は、注目画素の位置に対応するものであり、注目画素の位置を順次移動させることによって、ウェーブレット係数の連続量(C(x、y))が算定でき、この連続量を図示することによってウェーブレット画像が作成できる。
広域領域2を構成する全画素に対して、ウェーブレット係数を上算定式に基づいて算定した後、注目画素を一つ左右または上下に移動させてできる広域領域2の全画素において同様にウェーブレット係数を算定する。このウェーブレット係数算定を入力画像全体で実施することにより、適宜の範囲内における構成画素がそれぞれのウェーブレット係数を備えたウェーブレット画像(ウェーブレット係数の連続量からなる画像)を作成することができる。
次に、図3に基づいて、ひび割れ検出方法の一実施形態を説明する。
CCDカメラ等のデジタルカメラで撮影されたコンクリート表面の撮影画像をコンピュータに取り込むことにより、入力画像の作成(ステップS10)がおこなわれる。
次に、入力画像とは何らの関係もない、対比する2つの濃度からなる擬似画像に対して、ウェーブレット係数の算定をおこなう。例えば、図4に示すように、コンクリート表面と仮定される背景色a(例えば、背景色のR、G、Bが、255,255,255とする)と、ひび割れと仮定される線分b1〜b5からなる擬似画像のウェーブレット係数を求める。ここで、線分b1〜b5は、線幅が順に1画素(1ピクセル)〜5画素(5ピクセル)まで変化しており、さらに、各線分は、3種類の濃度を備えている(例えば、線分b1では、濃度の濃い順に、b11(黒色)、b12(薄い黒色)、b13(灰色)と変化している)。この擬似画像に対してウェーブレット変換をおこなうことで算定されるウェーブレット係数の鳥瞰図を示したのが図5である。図5において、X軸は線分の幅を、Y軸は線分の色の濃度を、Z軸はウェーブレット係数をそれぞれ示している。この線幅の設定は、最終的に抽出したいひび割れ幅の最大値によって設定すればよい。なお、画素幅ごとに、ひび割れ領域のウェーブレット係数と、ひび割れ領域以外のウェーブレット係数が算定できる。
本実施形態では、コンクリート表面と仮定される任意の濃度(階調)と、ひび割れと仮定される任意の濃度(階調)に対応する閾値(ウェーブレット係数)を算定するにあたり、例えば、ひび割れ幅が1画素幅の場合におけるひび割れ領域のウェーブレット係数と、ひび割れ幅が5画素幅の場合におけるひび割れ領域以外のウェーブレット係数との平均値をもって、設定したひび割れ幅範囲内において対象となる階調に対応した閾値としている。この閾値の設定は、勿論任意でかまわない。
対比する2つの濃度の組み合わせをそれぞれ0〜255の256階調でおこなうことで、図6に示すようなウェーブレット係数テーブルの作成(ステップS30)がおこなわれる。なお、この作業は、図示するフロー位置でなくともよく、例えば、入力画像の作成前であってもかまわない。
入力画像をウェーブレット変換することにより、ウェーブレット画像の作成(ステップS20)がおこなわれる。
ウェーブレット画像は、上記するように、各画素が固有のウェーブレット係数を備えた連続量からなるものであり、各画素のウェーブレット係数を対応するウェーブレット係数テーブルのウェーブレット係数(閾値)と比較することにより、ひび割れ抽出画像の作成(ステップS40)がおこなわれる。例えば、任意の画素のウェーブレット係数が、該画素の濃度(ウェーブレット係数テーブルではこの画素濃度はひび割れ濃度に対応する)と、局所領域内の近傍画素の平均濃度(ウェーブレット係数テーブルではこの局所領域内の近傍画素の平均濃度がコンクリート濃度に対応する)で一義的に決定されるウェーブレット係数(閾値)よりも大きな場合は、この画素をひび割れであると判定する。
各画素のウェーブレット係数に対して同様の比較をコンピュータ内でおこなうことにより、例えば、黒い画面(コンクリート表面)内に、白い線分(ひび割れ)が描き出された2値化画像が作成され、この2値化画像からノイズを除去することにより、ひび割れ抽出画像が作成される(ステップS40)。
このノイズの除去方法は、簡易には公知の画像編集ソフトを使用して、ドット部を除去する方法、所定長さ未満の線分を非クラック部として除去するといった方法がある。
また、他の方法として、平滑化処理と輪郭線追跡処理によっておこなう方法がある。平滑化処理では、局所領域内の濃度の平均値(例えば、中央値)を該局所領域内の注目画素の濃度値とすることにより、2値化画像からノイズを除去してひび割れ箇所を絞り込む。この平滑化処理がおこなわれることにより、平滑化画像が作成される。
次に、平滑化画像に対して輪郭線追跡処理をおこなう。輪郭線追跡処理は、各ひび割れ領域における任意のひび割れ画素を起点とし(第一画素)、例えば、この第一画素から反時計回りに隣接する画素に注目し、かかる隣接画素(第二画素)がひび割れ画素である場合には第一画素と第二画素を接続する。以後、同様に第二画素、第三画素、…、第n−1画素、第n画素とひび割れ画素の追跡をおこない、該n画素の次に起点となる第一画素がくる場合には、第一画素〜第n画素までを一つのひび割れ箇所(ひび割れライン)と判定する。あるいは、該n画素の次に続くひび割れ画素が存在しなくなった時点で、第一画素〜第n画素を一つのひび割れ箇所(ひび割れライン)と判定する。なお、ひび割れラインの中には、その途中で二股以上に分岐するようなひび割れ形態も含まれる。かかる次数nの設定は任意であり、第一画素からの追跡数がこの設定された次数n以上の場合をひび割れと判定することにより、ひび割れ抽出画像が作成される。
次に、ステップS40にて作成されたひび割れ抽出画像において、ひび割れの中心線で構成され、たとえばひび割れ全体が一画素幅(一ピクセル幅)を有する細線化画像を作成する(ステップS50)。
次に、図7に基づいて、ひび割れ幅の推定式の規定方法(ステップS60)を詳細に説明する。
まず、予め空間分解能の異なるクラックスケールを撮影し、その撮影画像を画像解析して、ひび割れ幅と相関の高いパラメータを特定する(ステップS1)。ここで、たとえば、0.3mm/画素、0.4mm/画素、0.6mm/画素、0.8mm/画素、0.9mm/画素の5つの異なる空間分解能でクラックスケールを撮影しておくことができる。
ひび割れ幅と相関の高いパラメータとして、具体的に、空間分解能、ウェーブレット係数、近傍画素の平均輝度、ひび割れ抽出画像を形成する画素の輝度が特定される(ステップS2)。
ステップS50で作成された細線化画像の各画素に対して、ステップS2で特定された4つのパラメータを説明変数とし、たとえばクラックスケールのひび割れ幅を目的変数とする公知の重回帰分析を実行する(ステップS3)。
たとえば、上記する重回帰分析を実行することで、以下のひび割れ幅の推定式を規定することができる(ステップS4)。
Figure 2010121992
ここで、yはひび割れ幅(mm)を、xはウェーブレット係数を、xは近傍画素の平均輝度を、xはひび割れ抽出画像を形成する画素の輝度を、xは空間分解能(mm/画素)をそれぞれ示している。
上記する推定式において、0.3mm/画素、0.4mm/画素、0.6mm/画素、0.8mm/画素、0.9mm/画素と異なる空間分解能(x)に応じて、他のパラメータ:x〜xも変化することは勿論のことである。
しかし、空間分解能が異なった場合でも、上記推定式を適用することで、推定(特定)されるひび割れ幅:yは、いずれも同一か、ほぼ近似したひび割れ幅が特定されることが本発明者等によって実証されている。
[推定式の精度評価とその結果]
本発明者等は、上記する数式5で規定されたひび割れ幅の推定式が、どの程度実際のひび割れ幅を精度よく特定しているか、に関する精度評価を実施した。この精度評価方法の具体例を以下に示す。
まず、コンクリート表面に発生しているひび割れ幅をランダムに測定し、コンクリート表面に測定位置と測定値をマーキングする。次いで、図3のステップS10〜S50を実施して、細線化画像を作成し、この細線化画像の画素上の位置座標とパラメータ値をファイルにデータ保存する。次いで、撮影画像データからマーキングされた測定位置座標を読取り、データ保存されたファイルの位置座標と測定位置の合致するパラメータ値を整理する。最後に、これらのパラメータ値をひび割れ幅の推定式に代入して推定値を求め、推定値が測定値±0.05mmの範囲に入っていれば合格、入っていなければ不合格とし、この合否に基づいて推定式の精度を評価した。
上記する推定式の精度評価は、2008年2月に道路橋床版で撮影した空間分解能が0.3mm/画素、0.8mm/画素の画像データでおこなった。ここで、7箇所の区画を撮影した画像を対象とし、ランダムに選定したひび割れ幅が0.06mm〜0.4mmまでのひび割れを計測した。図8は0.8mm/画素の場合の適中率を、図9は0.3mm/画素の場合の適中率をそれぞれ示している。なお、この適中率に関し、測定値を真値と仮定して、測定値≦推定値±0.05mmの範囲内を適中、範囲外を不適中としている。
図8より、0.8mm/画素の場合では、0.1〜0.4mmの全ひび割れ幅範囲において、その適中率は77.4%と極めて高い精度でひび割れ幅を推定(特定)できることが実証されている。中でも、0.15〜0.25mmのひび割れ幅範囲では、84〜92%程度と、さらに高い推定精度が得られることが分かった。
また、図9より、0.3mm/画素の場合では、0.06〜0.4mmの全ひび割れ幅範囲において、その適中率は91.7%と0.8mm/画素の場合に比してさらに高い精度でひび割れ幅を推定できることが実証されている。中でも、0.1〜0.25mmのひび割れ幅範囲では、96〜99%程度と、ほぼ100%に近い精度での推定が実現できることが分かった。
また、図10は、推定したひび割れ幅の分布(相対度数)をヒストグラムで示した、管理方法の一実施の形態を示したものであり、図3のフローにおけるひび割れデータの作成(ステップS70)の一例を説明したものである。
さらに、図11,12はともに、面単位でひび割れの分布状況やひび割れ幅、長さ、さらには経年変化の状況を示した、管理方法の他の実施の形態を示したものである。ここで、図11は第1回〜第2回撮影時の結果を示しており、図12は第2回〜第3回撮影時の結果を示している。
図10のごとくひび割れ幅の分布をヒストグラムで管理する管理データ、図11,12のごとく面単位でひび割れ幅の長さやその経年変化を管理する管理データは、これらのデータベースに基づいて、コンクリート表面のひび割れ補修の短期的な、もしくは中長期的な施工計画、さらには、コンクリート構造物の点検もしくは調査時点における該コンクリート構造物の耐久性の的確な評価や診断などに資するものである。
本発明のひび割れ検出方法を使用することにより、技術者の技量に左右されることなく、コンクリート表面に汚れがある場合(特に、コンクリートの打ち継ぎ箇所など)や、照明具合などによって場所により表面濃度(明度)が多様に異なる場合においても、簡易でかつ短時間に、極めて精度のよいひび割れの検出をおこなうことが可能となる。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
入力画像と局所領域の関係を示した模式図である。 局所領域と注目画素の関係を示した模式図である。 本発明のひび割れ検出方法の一実施の形態を示したフロー図である。 擬似画像を示した図である。 図4の擬似画像のウェーブレット係数の鳥瞰図である。 ウェーブレット係数テーブルの一実施の形態を示した図である。 ひび割れ幅の推定式を規定するステップの詳細なフロー図である。 推定式の適中率結果を示した図である。 推定式の適中率結果を示した図である。 ひび割れ幅分布のヒストグラムを示した図である。 面単位でひび割れの分布状況やひび割れ幅、長さ、さらには経年変化の状況を示した図であって、第1回〜第2回撮影時の結果を示した図である。 面単位でひび割れの分布状況やひび割れ幅、長さ、さらには経年変化の状況を示した図であって、第2回〜第3回撮影時の結果を示した図である。
符号の説明
1…入力画像、2…広域領域、3…局所領域、31…近傍画素、32…注目画素

Claims (4)

  1. コンクリート表面に生じているひび割れの検出をおこなうひび割れ検出方法であって、
    ひび割れの濃度とコンクリート表面の濃度を擬似的に設定し、2つの該濃度に対応したウェーブレット係数を算定し、該2つの濃度を256階調における各階調ごとにそれぞれ変化させた場合のそれぞれのウェーブレット係数を算定し、ひび割れ幅を任意の画素幅に設定してウェーブレット係数テーブルを作成し、ひび割れ検出対象であるコンクリート表面の撮影画像をコンピュータに入力して入力画像とし、該入力画像をウェーブレット変換することによってウェーブレット画像を作成する第一工程と、
    ウェーブレット係数テーブル内において、前記コンクリート表面の濃度と仮定する局所領域内の近傍画素の平均濃度と、前記ひび割れの濃度と仮定する注目画素の濃度に対応するウェーブレット係数を閾値とし、任意の近傍画素における任意の注目画素のウェーブレット係数が閾値よりも大きな場合は該近傍画素における該注目画素をひび割れと判定し、任意の近傍画素における任意の注目画素のウェーブレット係数が閾値よりも小さな場合は該近傍画素における該注目画素をひび割れでないと判定し、局所領域および注目画素を変化させながら前記判定をおこない、ひび割れ以外のノイズを除去することによってひび割れ抽出画像を作成する第二工程と、
    前記第一工程および第二工程に続く、もしくはこれらの工程の流れとは独立した、ひび割れ幅を推定する第三工程であって、該ひび割れ幅を目的変数とし、かつ、複数の説明変数から形成されるひび割れ幅の推定式を重回帰分析から規定し、該推定式に基づいてひび割れ幅を特定する第三工程と、からなる、ひび割れ検出方法。
  2. 前記説明変数は、前記ウェーブレット係数と、前記近傍画素の平均輝度と、前記ひび割れ抽出画像を形成する画素の輝度と、一画素当たりの画素幅で規定される空間分解能と、からなり、それぞれの説明変数に固有の係数であって重回帰分析で求められた係数がそれぞれの説明変数に乗じられ、それらが足しあわされて前記推定式が規定される、請求項1に記載のひび割れ検出方法。
  3. 規定された前記ひび割れ幅の推定式は、該推定式に代入される前記空間分解能が異なる際に、他の説明変数も該代入される空間分解能に応じた説明変数が代入され、異なる前記空間分解能に対して近似した前記目的変数が得られるようになっている、請求項2に記載のひび割れ検出方法。
  4. 前記第二工程におけるひび割れ以外のノイズを除去する方法は、平滑化処理と輪郭線追跡処理によっておこなわれる方法であり、
    平滑化処理は、局所領域内の濃度の平均値を該局所領域内の注目画素の濃度値とし、局所領域を変化させることによって平滑化画像を作成する処理であり、
    輪郭線追跡処理は、該平滑化画像におけるひび割れと判定された部分の第一画素を起点として、該第一画素に隣接する第二画素がひび割れである場合は第一画素と第二画素を繋ぎ、該第二画素にさらに隣接する第三画素がひび割れである場合は第二画素と第三画素を繋ぎ、かかる操作を繰り返しながらひび割れを特定する、請求項1〜3のいずれかに記載のひび割れ検出方法。
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