JP2010120558A - 車両操舵用伸縮軸およびこれを備える車両用操舵装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】操舵軸3の内軸10の雄セレーション27、および外軸11の雌セレーション29は、両軸10,11の相対位相が所定範囲を超えたとき、互いに噛合う。樹脂棒41は、両軸10,11の相対位相が所定範囲内のときに、両軸10,11同士を周方向Cに浮動状に支持する。軸方向に沿って見たとき、樹脂棒41は、内軸10および外軸11に対して、第1〜第4の接触点81〜84で接触する。軸方向に沿って見たとき、第1および第4の接触点81,84を結ぶ第1のラインE1と、第2および第3の接触点82,83を結ぶ第2のラインE2との交点Fは、雄セレーション27と雌セレーション29との噛合いのピッチ円D上に配置されている。
【選択図】図5
Description
このような場合、外軸と内軸とは弾性的に支持されているが、ステアリングホイールが回転操作(操舵)されると、両軸は、外軸、板ばね、およびこれらに挟まれた転動体によってがたつきの無い剛的な嵌合とされながら、操舵軸の中心軸線から外れた両回転軸線を元に戻そうとする動きを生じるために、ステアリングホイールの回転トルクの脈動が大きくなる。
また、軸方向に相対移動可能な外軸と内軸とは、利便性の面とコスト面から、伸縮可能なステアリングシャフトとしても使用できることが望ましい。
なお、上記において、括弧内の数字等は、後述する実施の形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
図1は、本発明の一実施の形態にかかる車両操舵用伸縮軸を備える車両用操舵装置1の概略構成を示す模式図である。図1を参照して、車両用操舵装置1は、ステアリングホイール等の操舵部材2の位置を、運転者に対して略上下に調節するためのチルト調節機能、および操舵部材2の位置を運転者に対して略前後に調整するためのテレスコ調節機能の双方を備えている。
操舵部材2は、操舵軸3の一端に取り付けられている。操舵軸3は、操舵部材2が取り付けられている一端が上側(アッパ側)となるように傾けて配置されている。操舵軸3の他端は、自在継手4、中間軸5および自在継手6を介して舵取り機構7に連結されている。
内軸10は、中心軸線Aを有しており、外軸11は、中心軸線Bを有している。また、操舵軸3は、中心軸線Qを有している。操舵軸3の中心軸線Qは、内軸10の他端10bと、外軸11の一端11aとを結ぶ軸線であり、両軸10,11の中心軸線A,Bが一致しているときは、操舵軸3の中心軸線Qも一致している。
操舵軸3は、コラムチューブ12によって回転可能に支持されている。コラムチューブ12は、外軸11を取り囲む外筒13と、外筒13とは相対摺動可能に嵌合されて内軸10を取り囲む内筒14と、を含んでいる。外筒13は、軸受15を介して外軸11の一端を回転可能に且つ軸方向Sに同行移動可能に支持している。内筒14は、軸受16を介して、内軸10の中間部を回転可能に且つ軸方向Sに相対移動不能に支持している。
外筒13には第3のブラケット21が固定されている。第3のブラケット21は、車体18に固定された第4のブラケット22と対向している。第3のブラケット21は、ロック機構23によって第4のブラケット22にロックされる。
図2を参照して、操舵軸3の内軸10および外軸11は、それぞれ、金属製の高剛性部材である。これら内軸10および外軸11には、剛性連結要素としてのセレーション25が設けられている。セレーション25は、内軸10および外軸11の相対位相(周方向Cに関する相対位置)が所定範囲を超えたときに、両軸10,11を周方向Cに剛的に連結するものである。
周方向Cに関して、雄セレーション27は、内軸10の後述する軸方向溝31,33,35を除く全域に亘って形成されており、雌セレーション29は、外軸11の後述する軸方向溝32,34,36を除く全域に亘って形成されている。これらのセレーション27,29は、それぞれ、対応する内軸10および外軸11の軸方向と平行に延びている。
より具体的には、内軸10の一端10aの外周面26には、周方向Cに沿って等間隔に3つの軸方向溝31,33,35が形成されている。各軸方向溝31,33,35は、それぞれ、溝底70と、溝底70を挟んで周方向Cに並ぶ第1および第2の斜面71,72と、を含んでいる。
溝底75は、外軸11の径方向外方に向けて凸となる円弧面に形成されている。なお、溝底75は、平坦な面に形成されていてもよい。第3および第4の斜面73,74は、全体として断面テーパ状に形成されており、外軸11の径方向の内方に進むにしたがい、互いの間隔が広くされている。第3および第4の斜面73,74は、平坦な面に形成されているが、湾曲する面に形成されていてもよい。周方向Cの一方C1に関して、上流側から第3の斜面73および第4の斜面74の順に並んでいる。
連結部44は、円板状をなす主体部45を含んでいる。主体部45には、挿通孔46が形成されている。挿通孔46には、内軸10の一端面に突設された円柱状の突部47が挿通している。突部47には、プッシュナット48が取り付けられており、このプッシュナット48と内軸10の一端面とによって、連結部44の主体部45が挟まれて固定されている。
図2および図4を参照して、各樹脂棒41,42,43は、連結部44の主体部45から軸方向Sと平行に延びている。これらの樹脂棒41,42,43は、対応する一対の軸方向溝31,32;33,34;35,36間にそれぞれ跨っている。
各樹脂棒41,42,43の長さは等しい。各樹脂棒41,42,43には、溝50が形成されている。溝50は、当該溝50が形成されている樹脂棒41,42,43の長手方向Lに沿って延びている。長手方向Lと軸方向Sとは平行である。各樹脂棒41,42,43の断面は、内軸10の径方向Rの外方に向けて開放するU字形形状を有している。
円弧面54は、軸方向溝31,32の第1〜第4の斜面71〜74に4点接触状態で接触している。円弧面54は、第1〜第4の斜面71〜74のそれぞれと線接触しており、円弧面54と第1〜第4の斜面71〜74との接触部は、軸方向Sと平行に延びている。
このように、軸方向Sに沿って見たとき、樹脂棒41の円弧面54は、内軸10の軸方向溝31に対して、第1および第2の接触点81,82で2点接触しているとともに、外軸11の軸方向溝32に対して第3および第4の接触点83,84で2点接触している。
第1のラインE1において、第1の接触点81と交点Fとの間の距離G1は、交点Fと第4の接触点84との間の距離G1’と等しい(G1=G1’)。また、第2の接触点82と交点Fとの間の距離G2は、交点Fと第3の接触点83との間の距離G2’と等しい(G2=G2’)。
第4の接触点84において、第4の斜面74と樹脂棒41の円弧面54とは、第4の接触角H4を形成している。第4の接触角H4は、上記平面Jと、第4の斜面74によって円弧面54へ伝えられる力の合力K4の作用線とがなす角度をいう。
第2の接触点82において、第2の斜面72と樹脂棒41の円弧面54とは、第2の接触角H2を形成している。第2の接触角H2は、上記平面Jと、第2の斜面72によって円弧面54へ伝えられる力の合力K2の作用線とがなす角度をいう。
第2の接触角H2と、第3の接触角H3とは、等しくされている。これにより、合力K2,K3は、互いに近づくように反対方向を向いている。
このとき、周方向Cおよび径方向Rの双方に関して、両軸10,11は、各樹脂棒41,42,43(図5において、樹脂棒41のみを図示)によって互いに弾性支持(浮動状に支持)されており、雄セレーション27および雌セレーション29は、互いに噛み合っていない。各樹脂棒41,42,43は、内軸10と外軸11との間で圧縮されて弾性変形している。
θ1<θとなることにより、両軸10,11の相対位相が所定の範囲を超えると、対応するセレーション部27,29間の隙間がなくなる。これにより、雄セレーション27と、雌セレーション29とが互いに噛み合い、両軸10,11は、セレーション部27,29を介して剛的にトルク伝達可能となる。
両軸10,11が中折れ状態の場合であって、両軸10,11の相対位相が所定範囲内にあるときは、操舵角θの絶対値がゼロからθ1までの間で増すに従い、両軸10,11が次第に真直ぐに延び、ついには、図8に示すように、両軸10,11の中心軸線A,Bが一直線に並ぶ。このように、両軸10,11が真直ぐに並んだ状態で、両軸10,11は、セレーションによって剛的に連結される。
なお、θ2は、周方向Cの一方C1に関する操舵角θ2の許容値(ロック角)であり、−θ2は、周方向Cの他方C2に関する操舵角θ2の許容値(ロック角)である。図9に示すように、操舵角θの変化に対して、トルクTの脈動的な変化が極めて少なく、操舵部材2の操舵に違和感が生じないようにされている。
ΔTが大きく、操舵部材の操舵に違和感が生じてしまう。
また、図8を参照して、内軸10の他端10bが、自在継手4、中間軸5、舵取り機構7および転舵輪60等の転舵輪60側の各部材の摩擦抵抗によって回転規制されているときの、操舵角θとトルクT(操舵軸3のねじれ)との関係は、図11に示すものとなる。図11に示すように、操舵角θの絶対値がゼロから増すに従い、トルクT(操舵軸3のねじれ)は略線形的に増すようにされている。
したがって、操舵角θの絶対値がゼロから増すにしたがい、トルクが略線形的に増すこととなり、自然な操舵フィーリングを実現できる。操舵角θが−θ1≦θ≦θ1のときにはトルクが略ゼロであり、θ<−θ1、またはθ1<θとなったときに急にトルクが大きくなるといった不自然な特性とならない。その結果、操舵中立付近での操舵のふらつきを生じないようにすることができる。
これにより、各樹脂棒41,42,43を介して両軸10,11間でトルクを伝達する際のロスを格段に少なくでき、その結果、内軸10および外軸11の相対位相が所定範囲内のときに、スムーズなトルク伝達を達成できる。内軸10と外軸11との間のトルクの伝達に違和感が生じることを抑制でき、操舵感が低下することを確実に抑制できる。また、樹脂棒41,42,43の滑り接触による磨耗を抑制できるので、樹脂棒41,42,43の耐久性の向上を通じて操舵軸3の耐久性を向上できる。
また、操舵角θが−θ1≦θ≦θ1のときでも、樹脂棒41,42,43によって内軸10と外軸11とを周方向Cに連結することにより、操舵部材2を操舵したときに、操舵角θに応じた入力トルクに等しい反作用としての反力トルクを生じさせることができる。その結果、操舵不足または操舵過剰を防止でき、運転者の操舵のふらつきを防止できる。
本発明は、以上の実施の形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
例えば、各樹脂棒41,42,43の溝50は、径方向Rの内方に開放されるようにしてもよい。また、各樹脂棒41,42,43の円弧面54のうち、長手方向Lの中間部をより大きく切り欠くことで、外軸11との接触面積をより少なくしてもよい。これにより、各樹脂棒41,42,43と外軸11との接触面積を少なくできる。その結果、内軸10および外軸11が相対摺動するときの摺動抵抗をより低減でき、テレスコピック調整をより少ない力でスムーズに行うことができる。また、この切り欠きの長さを適宜設定することにより、両軸10,11間の摺動抵抗を所望の値にできる。
さらに、各上記実施の形態において、連結部に連結されない単品の樹脂棒を用いてもよい。
また、セレーション25に代えて、スプラインを設けてもよい。この場合、スプラインの雄スプラインは、内軸10の外周面26に形成され、雌スプラインは、外軸11の内周面28に形成される。
さらに、電動モータで操舵軸に操舵補助力を付与する電動パワーステアリング装置や、油圧シリンダでラック軸に操舵補助力を付与する油圧パワーステアリング装置等のパワーステアリング装置に、本発明を適用することができる。
この場合、操舵補助力の付与が開始される操舵角θの絶対値は、上記所定の操舵角θ1に相当するように設定される。すなわち、操舵角θが−θ1≦θ≦θ1である領域は、操舵部材2の操舵にかかわらず操舵補助力が生じない、いわゆる不感帯領域とされる。操舵補助力が付与されない程度の微小な操舵角(不感帯領域)のとき、各樹脂棒を介して、内軸10と外軸11との間でトルクが伝達される。
Claims (4)
- 操舵部材の操舵に応じて回転する車両操舵用伸縮軸において、
軸方向に相対摺動可能に且つ互いにトルク伝達可能に嵌め合わされた内軸および筒状の外軸と、
内軸の外周面に形成された複数の雄歯、および外軸の内周面に形成された複数の雌歯を含み、両軸の相対位相が所定範囲を超えたときに、雄歯と雌歯との噛合により両軸を周方向に剛的に連結する剛性連結要素と、
内軸の外周面および外軸の内周面のそれぞれに形成されて互いに対向する少なくとも三対の軸方向溝と、
上記対をなす軸方向溝間のそれぞれに4点接触状態で介在し、内軸および外軸の相対位相が所定範囲内のときに、両軸の一方を他方に対して周方向に浮動状に支持する複数の弾性連結要素としての長尺の樹脂棒と、を含み、
内軸の軸方向に沿って見たとき、各上記樹脂棒は、内軸の軸方向溝に対して第1および第2の接触点で2点接触し、外軸の軸方向溝に対して第3および第4の接触点で2点接触し、
上記内軸の軸方向に沿って見たとき、上記第1および第4の接触点を結ぶラインと、第2および第3の接触点を結ぶラインとの交点は、上記雄歯と雌歯との噛合いのピッチ円上に配置されていることを特徴とする車両操舵用伸縮軸。 - 請求項1において、各上記樹脂棒は、断面U字形形状をなしており、内軸の径方向一方に開放された溝を含むことを特徴とする車両操舵用伸縮軸。
- 請求項1または2において、上記内軸の軸方向に沿って見て、上記第1の接触点における内軸の軸方向溝と樹脂棒との接触角が、上記第4の接触点における外軸の軸方向溝と樹脂棒との接触角と等しくされており、且つ、上記第2の接触点における内軸の軸方向溝と樹脂棒との接触角が、上記第3の接触点における外軸の軸方向溝と樹脂棒との接触角と等しくされていることを特徴とする車両操舵用伸縮軸。
- 操舵部材の操舵に応じて回転する請求項1〜3の何れか1項に記載の車両操舵用伸縮軸を備えることを特徴とする車両用操舵装置。
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