以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。ここでは、本発明に係る液体吐出装置をインクジェットプリンタに適用する場合を例示する。
[第1実施形態]
図1は本発明の第1実施形態に係るインクジェットプリンタ4を備えた複合機1の外観を示す斜視図である。なお、以下の説明では、複合機1を水平面に適正に設置した際の鉛直方向を「上下方向」、正面側を「前側」、その反対側を「後側」、後側から前側に向かったときの左手側を「左側」、その反対側を「右側」としている。複合機1にはインクカートリッジが着脱可能に装着されるが、インクカートリッジの方向は便宜的に複合機1に装着した際の複合機1の方向を基準にして説明する。
図1に示すように、複合機1は、略直方体状に形成された本体2の上部にスキャナ3を備え、本体2の下部にインクジェットプリンタ4を備えている。本体2の前面2aの下部に形成されている開口5には、給紙トレイ6及び排紙トレイ7が上下に重なる状態で設けられている。本体2の前面2aの上部には、図示しないオペレータが入力操作を行うための操作パネル8と、オペレータに各種の情報を視覚的に提示する表示部9とが設けられている。本体2の前面2aの左下部にはカートリッジ挿入口10が形成されており、本体2にはカートリッジ挿入口10を開閉する開閉蓋11が設けられている。
図2は本発明の第1実施形態に係るインクジェットプリンタ4の構成を模式的に示す側面図、図3は図2に示すインクジェットプリンタ4の構成を模式的に示す平面図である。
図2に示すように、給紙トレイ6の内部には被記録媒体である用紙12を貯留可能になっており、給紙トレイ6の後端部にはこれら用紙12が搬送される搬送路13が接続されている。搬送路13は、給紙トレイ6の後端部から上側へUターンした後に前方に向かって水平に延び、排紙トレイ7の後端部に繋がっている。そのうち水平部分の一部は、給紙トレイ6の上方に配置されたプラテン14の上面により形成される。給紙トレイ6とプラテン14との間や搬送路13上には、給紙トレイ6に貯留されている用紙12を1枚ずつ搬送路13に沿って排紙トレイ7まで搬送するための搬送機構15が設けられている。
図3に示すように、プラテン14の上方には、プラテン14を前後に挟むようにして配置された一対のガイドレール16,17が左右に平行に延び、これらガイドレール16,17にキャリッジ18が跨るようにして支持されている。ガイドレール17には左右一対のローラ19が設けられ、キャリッジ18はローラ19に巻き掛けられたベルト20に固定されている。このため、ローラ19が回転駆動されるとベルト20が周回し、キャリッジ18がガイドレール16,17に沿って左右に移動する。
図2に示すように、キャリッジ18には、インクを吐出するための複数のノズル(図示せず)を有したインクジェットヘッド21が搭載されている。インクジェットヘッド21はノズルが開口したノズル開口面22を有し、このノズル開口面22は搬送路13の一部をなすプラテン14の上面と上下に対向している。
このインクジェットプリンタ4によれば、キャリッジ18を左右に走査しながら、搬送機構15により給紙トレイ6から搬送路13に沿ってプラテン14の上面まで到達した用紙12に向かってインクジェットヘッド21のノズルより下方へインクを吐出することにより、用紙12に画像を形成することができる。画像が形成された用紙12は搬送機構15によって排紙トレイ7(図1参照)に搬送される。
インクジェットヘッド21は、キャリッジ18に搭載されたサブタンク23を介してチューブ等によって形成されるインク供給路24と接続され、さらにこのインク供給路24を介してインクを貯留しているインクカートリッジ80と接続可能になっている。つまり、インクジェットヘッド21には、インクカートリッジ80内のインクが、インク供給路24及びサブタンク23を介して供給される。
本体2の内部には、インクカートリッジ80が着脱可能に装着されるカートリッジ装着部25が設けられている。カートリッジ装着部25は、前述したように開閉蓋11により開閉されるカートリッジ挿入口10の後側に配置されている。開閉蓋11は端部を左右に延びる枢軸26を支点にして本体2に対して揺動可能になっており、図2に実線で示すように開閉蓋11が枢軸26から上方に延びてその外面が本体2の前面2aと滑らかに連続する姿勢をとるときにカートリッジ挿入口10が閉鎖される(以下、この開閉蓋11の位置を全閉位置と呼ぶ)。開閉蓋11が全閉位置から枢軸26とは反対側の端部を前下方に傾けるようにして揺動すると、カートリッジ挿入口10が開放されていく。開閉蓋11が全閉位置を基準にして揺動し得る角度範囲は略90度となっており、開閉蓋11が全閉位置からこの範囲の限界に達するまで揺動すると、開閉蓋11は図2に二点鎖線で示すように枢軸26から前方へ略水平に延びる姿勢をとる(以下、この開閉蓋11の位置を全開位置と呼ぶ)。
開閉蓋11は例えば画像を形成する動作を実行しているとき等の通常時には全閉位置に位置し、オペレータは開閉蓋11を手前に引っ張りカートリッジ挿入口10を開放することによって本体2の前方からカートリッジ装着部25へとアクセス可能となる。そして、インクカートリッジ80を本体2の前方からカートリッジ挿入口10を通じて後方に挿入することによって該インクカートリッジ80をカートリッジ装着部25に装着することができ、カートリッジ装着部25に装着されているインクカートリッジ80を前方に抜き出すことによって該インクカートリッジ80を本体2から取り出すことができる。
図3に示すように、カートリッジ装着部25は、それぞれインクカートリッジ80を保持する4つのホルダ27を有している。これらホルダ27は左右に配列しているため、カートリッジ装着部25には互いに色の異なるインクを貯留した4種類のインクカートリッジ80が左右に配列する状態で装着されることとなる。
インク供給路24は各インクカートリッジ80に個別に対応しており、各インクカートリッジ80内のインクは対応するインク供給路24を介してインクジェットヘッド21へ供給される。インクジェットヘッド21の内部にはインク供給路21の下流端からインクをノズルまで導く図示しない流路が形成され、該流路も各色のインクに個別に対応している。このようにしてインクジェットヘッド21は各色のインクを対応するノズルより互いに独立して吐出可能となっており、このインクジェットプリンタ4は用紙12にフルカラー画像を形成可能となっている。
インク供給路24及びインクジェットヘッド21の流路がこのように構成されるため、各インクカートリッジ80は、対応するインク供給路24と接続されるよう予め決められた位置のホルダ27に装着される必要がある。このため、カートリッジ装着部25及びインクカートリッジ80は、各ホルダに適切でないインクカートリッジが誤装着されないよう構成される。この構成を実現するための具体的な構造は特に限定されず、例えば図2に示すように各ホルダ27の後端面に上下及び/又は左右に互いに異なる位置に突起27aを設け、各インクカートリッジ80の後端面に同様にして孔80aを形成してもよい。これにより、あるホルダにそれに対応するインクカートリッジを装着しようとすると、突起が孔に受容され、該インクカートリッジをホルダの後端に達するまで挿入してホルダに適正に装着することができる。そのホルダに他のインクカートリッジを装着しようとすると、突起が該インクカートリッジの後端面に当接し、該インクカートリッジをホルダの後端に達するまで挿入することができなくなる。突起は十分に長いものとなっており、このように突起が後端面に当接する状態で開閉蓋を全開位置から揺動しても、開閉蓋はインクカートリッジの前下部と干渉して全閉位置まで戻せなくなるようにしている。オペレータは開閉蓋が完全に戻らないという状況に鑑みてインクカートリッジが誤装着されていることを認識することができる。
図3に示すように、プラテン14の左側には、ノズル開口面22(図2参照)に接離するよう上下に昇降可能なキャップ28が設けられ、キャップ28は通常は下方で退避している。必要に応じてキャリッジ18をキャップ28の上方まで移動させて停止させ、その後にキャップ28を上昇させると、キャップ28がノズル開口面22に密着する。これによりノズル(図示せず)がキャップ28で封止され、ノズル周辺のインクの乾燥を防止可能になる。また、キャップ28には吸引ポンプ29が接続されている。ノズルがキャップ28で封止された状態で吸引ポンプ29が作動すると、これらノズルが開口する密閉空間内に負圧が印加され、ノズルよりインクが強制的に吸引される。このパージ動作により、インクジェットヘッド21内に侵入したエアやノズル周辺で硬化したインクを排出可能になる。
図2に示すように、本体2の内部には、複合機1に備わる装置のうち少なくともインクジェットプリンタ4の動作を制御する主制御部30が設けられている。主制御部30は前述した表示部9と接続され、画像や文字の情報を表示部9に表示させる制御を実行する。この表示部9は例えば液晶パネル等によって構成されている。また、主制御部30は、スキャナ部3や外部機器(図示せず)より入力された画像データに基づいてインクジェットヘッド21のアクチュエータ、ローラ19(図3参照)を駆動する走査モータ31及び搬送機構15を駆動する搬送モータ32を駆動し、画像データに従って画像を用紙12に形成する動作の制御を実行する。主制御部30は、走査モータ31、キャップ28を昇降させるアクチュエータ33及び吸引ポンプ29を駆動し、パージ動作の制御を実行する。この画像を形成する動作やパージ動作は開閉蓋11によってカートリッジ挿入口10が閉鎖された状態で実行される。
本体2には、カートリッジ挿入口10の上縁の近傍に位置して、開閉蓋11が全閉位置にあるか否かを検知する開閉スイッチ34が設けられている。この開閉スイッチ34は主制御部30と接続され、主制御部30には開閉スイッチ34が出力する開閉検出信号が入力されるようになっており、主制御部30は開閉蓋11が全閉位置にあるか否かを判断可能に構成されている。
各インクカートリッジ80には自身に関連する情報を表す被検知部90が設けられており、インクジェットプリンタ4には、カートリッジ装着部25に装着されたインクカートリッジ80の被検知部90を読み取るカートリッジセンサ35が設けられている。カートリッジセンサ35は主制御部30と接続され、主制御部30にはカートリッジセンサ35が出力する検出パルス信号が入力されるようになっている。主制御部30はこの検出パルス信号に基づき、カートリッジ装着部25に装着された状態のインクカートリッジ80に関連する情報を認識するよう構成されている。
また、本実施形態のインクジェットプリンタ4には基準信号発生装置36が設けられている。基準信号発生装置36は主制御部30と接続され、主制御部30には基準信号発生装置34が出力する基準パルス信号が入力されるようになっている。主制御部30は、この基準パルス信号を参照して、カートリッジセンサ35からの検出パルス信号に基づいて情報を認識する処理を実行するよう構成されている。
以下、この処理に関係する説明をより詳細に行うが、本説明の便宜上、図3に示す左端に位置する第1ホルダ24Aには、ブラックインクを貯留した黒インクカートリッジ80Aが装着され、その右側に位置する第2ホルダ24Bには、シアンインクを貯留している青インクカートリッジ80Bが装着され、その右側に位置する第3ホルダ24Cには、マゼンタインクを貯留した赤インクカートリッジ80Cが装着され、右端に位置する第4ホルダ24Dには、イエローインクを貯留した黄インクカートリッジ80Dが装着されるものとする。これら4種類のインクカートリッジ80A〜80Dの構成は互いに類似しており、各インクカートリッジを特別に区別して説明する際にはサフィックスA〜Dを参照符号に付け加えるものとし、これら4種類のインクカートリッジの間で共通する構成についてはこれらサフィックスA〜Dを省略するものとしている。
図4は図2及び図3に示すインクカートリッジ80の外観を示す斜視図である。図4に示すように、インクカートリッジ80は合成樹脂材より略直方体状に形成された筐体81を備えている。筐体81の内部には樹脂フィルムより袋状に形成されたインクタンク82が配設され、このインクタンク82の内部には適宜の色のインクが貯留される。
筐体81の両側面81a,81bにはそれぞれ、前後方向に延びる光透過性を有する樹脂材から形成された窓部材83が設けられている。この一対の窓部材83は左右方向に見て互いに重なる位置に設けられるとともに、インクタンク82その他の機能部品と重ならない位置に設けられる。なお、本実施形態ではこれら一対の窓部材83を筐体81の下端部に設けた場合を例示する。
一対の窓部材83のうち一方(例えば左側面81aに設けられた窓部材83)には、被検知部90が設けられている。被検知部90はバーコード状となっており、上下方向に長く前後方向に短い短冊状の1以上のマーカからなる。なお、本実施形態では被検知部90が最大2本のマーカ91,92からなる場合を例示する。これらマーカ91,92は、光透過性を有しない例えば黒色の染料や顔料を塗布又は印刷したり、光透過性を有しない材料より形成された短冊状のマーカ部材を接着することにより、窓部材83上に設けられうる。
被検知部90としてマーカ91,92が設けられるか否かは、インクカートリッジ80は自身に関連する情報に応じて決まる。本実施形態では、各インクカートリッジ80に内蔵されるインクタンクの容量が大型である場合には後側のマーカ92が設けられ、その容量が標準サイズである場合には後側のマーカ92が設けられないようにしており、また、前側のマーカ91は各インクカートリッジ80に必ず設けられるようにしている。これにより、主制御部30は、後述するようにカートリッジセンサ35がこの前側のマーカ91を読み取ればインクカートリッジ80がカートリッジ装着部25に装着されていると認識し、この前側のマーカ91を読み取ることができなければインクカートリッジ80がカートリッジ装着部25に装着されていないと認識するよう構成されている。
図5(a)は黒インクカートリッジ80Aの左側面図、図5(b)は青インクカートリッジ80Bの左側面図、図5(c)は赤インクカートリッジ80Cの左側面図、図5(d)は黄インクカートリッジ80Dの左側面図である。これら図面を併せて参照すると、各インクカートリッジ80A〜80Dは互いに同位置に設けられた窓部材83A,83B,83C,83Dを備えているが、各窓部材83A〜83Dに設けられている4つの被検知部90A,90B,90C,90Dは前後に関して互いに異なる位置に設けられている。具体的には、左端に配置される黒インクカートリッジ80Aに設けられている第1被検知部90Aから順に前側から後側へとずれるようにして配置されている。
図5(e)は(a)乃至(d)にそれぞれ示した4種類のインクカートリッジ80A〜80Dをカートリッジ装着部に装着した状態として示す左側面図である。図5(e)に示すように、カートリッジ装着部25(図3参照)には4種類のインクカートリッジ80A〜80Dが左右に配列するため、左外側から見ると各インクカートリッジ80A〜80Dが互いに重なる。このとき、各窓部材83A〜83Dも互いに重なり、側面視において4つの被検知部90A〜90Dは互いと重なることなく前後に並ぶようにして配置される。
青インクカートリッジ80Bに設けられた第2被検知部90Bは、左外側から見ると黒インクカートリッジ80Aの側面で覆われるが、第2被検知部90Bが設けられている第2窓部材83Bは、黒インクカートリッジ80Aに設けられた第1窓部材83Aと側面視で重なっている。このため、光が左外側から右側に向けて射出されると、その光は第1窓部材83Aを透過して第2窓部材83Bに到達し、この第2窓部材83Bをさらに透過したり第2窓部材83Bに設けられた第2被検知部90Bにおいて反射する。同様にして、第2窓部材83Bを透過して赤インクカートリッジ80Cに設けられている第3窓部材83Cまで到達した光は、この第3窓部材83Cをさらに透過したり第3窓部材83Cに設けられた第3被検知部90Cにおいて反射する。第3窓部材83Cを透過して黄インクカートリッジ80Dに設けられた第4窓部材83Dまで到達した光は、この第4窓部材83Dをさらに透過したり第4窓部材83Dに設けられた第4被検知部90Dで反射する。このように各インクカートリッジ80A〜80Dは、他のインクカートリッジと重なる位置において光を透過させて他のインクカートリッジに設けられた被検知部に到達させるための構造を有している。
図6は図2及び図3に示すカートリッジ装着部25の周辺の構成を示す斜視図である。図6に示すように、開閉蓋11の裏面(後面)には、開閉蓋11の揺動を前後方向の直線運動に変換する走査機構40が設けられている。この走査機構40は、一端が開閉蓋11の裏面に揺動可能に連結された左右一対のリンク41を備えており、各リンク41の他端は、カートリッジ装着部25の左右外側の領域に配置されたスライダ42に揺動可能に連結されている。カートリッジ装着部25の左右外側の領域には前後に延在する一対のガイドレール43が設けられており、左右のスライダ42はそれぞれこのガイドレール43に摺動可能に支持されている。なお、スライダ42の上面44は水平となっている。
このため、開閉蓋11が全閉位置から全開位置に向けて揺動すると、リンク41の上端部が開閉蓋11の上部とともに前方へ移動し、これによりリンク41は、その他端を前方へ移動させながら揺動する。これによりスライダ42は、その上面44を水平に向けた水平姿勢を維持したままガイドレール43に沿って前方へと移動する。開閉蓋11が全開位置から全閉位置まで揺動するときには、スライダ42はこれと逆に動作し、水平姿勢を維持したまま後方へと移動する。このようにして左右のスライダ42は開閉蓋11の動作に応じて同じ方向に同じ速度で移動する。スライダ42の可動範囲は開閉蓋11が揺動し得る角度範囲によって決まる。開閉蓋11が全閉位置に位置しているときにはスライダ42は可動範囲のうち前端の限界位置に位置し、開閉蓋11が全開位置に位置しているときにはスライダ42は可動範囲のうち後端の限界位置に位置することとなる。
このスライダ42の上面44には、前述したカートリッジセンサ35が載置されている。このカートリッジセンサ35はフォトインタラプタによって構成され、レーザ光等の検査光を射出する発光素子45と、所定強度以上の光を受光すると受光信号を出力してそうでなければ非受光信号を出力する受光素子46とを備えている。本実施形態では、発光素子45及び受光素子46はカートリッジ装着部25を左右に挟んで離れて配置されている。発光素子45は左側のスライダ42に載置され、受光素子46が配置された右側に向けて検査光を射出するよう配置されている。受光素子46は右側のスライダに載置され、発光素子45と左右に対向するよう配置されている。左右のスライダ42は開閉蓋11の動作に応じて同じ方向に同じ速度で移動するため、発光素子45及び受光素子46は開閉蓋11の揺動に連動して同期して前後に走査される。このため、開閉蓋11の位置及び左右のスライダ42の位置に関わらず、発光素子45は受光素子46に対して前後方向に相対的に変位することがなく、両素子45,46が互いに左右に対向する状態が維持されることとなる。つまり、仮にカートリッジ装着部25にインクカートリッジ80が全く装着されていないとすると、発光素子45が射出する検査光が受光素子46により受光され、主制御部30(図2参照)には受光素子46からの受光信号が入力される。
前述した基準信号発生装置36はこの走査機構40の動作を利用する構成となっている。基準信号発生装置36は、本体2側に固定されたエンコーダ47と、開閉蓋11が揺動すると走査機構40によって前後に走査されるエンコーダセンサ48とを備えている。
エンコーダ47は例えば、樹脂等の光透過性を有する材料から形成された矩形平板状のベース49上に複数本のエンコーダマーカ50を設けてなる。エンコーダマーカ50はインクカートリッジ80に設けられた被検知部90と同様にして短冊状になっている。エンコーダマーカ50の上下の寸法は特に限定されないが、少なくともその左右の寸法はインクカートリッジ80の被検知部90をなすマーカ91,92と等しい。エンコーダマーカ50の本数は4つの被検知部として設けられ得るマーカ91,92の総本数に等しく、本実施形態では8本となっている。また、これら8本のエンコーダマーカ50は、左外側から見たときに左右に並ぶ8本のマーカ91,92と同じ間隔をあけて左右に並んでいる。
エンコーダ47は走査機構40のスライダ42の移動方向である前後に延在するようにして本体2側に固定されるが、この固定のための手段や構造は特に限定されない。例えば本体2の内面にカートリッジ装着部25の外側領域を延びるブラケット(図示せず)を固定し、このブラケットの端部にクランプ(図示せず)を取り付け、このクランプ(図示せず)でエンコーダ47を宙吊り状態で保持するようにしてもよい。
エンコーダセンサ48は所謂一体型・透過型フォトインタラプタにより構成され、底壁と一対の垂壁とを有したU字状の筐体を備えている。エンコーダセンサ48の底壁は左側のスライダ42の上面44に載置され、一対の垂壁は左右に対向するようにして配置されている。左側の垂壁には右側に検査光を射出する発光素子が内蔵され、右側の垂壁には所定強度以上の光を受光すると受光信号を出力してそうでなければ非受光信号を出力する受光素子が内蔵されており、エンコーダ47はこれら左右一対の垂壁の間に挟まれるようにして配置されている。なお、発光素子を右側に配置して受光素子を左側に配置してもよい。
この構成により、開閉蓋11が全閉位置から全開位置まで揺動すると、スライダ42が後端の限界位置から前方へと移動する。その過程では、エンコーダセンサ48の発光素子から射出される光がベース49を透過して受光素子により受光され、主制御部30(図2参照)にエンコーダセンサ48からの受光信号が入力される状態と、発光素子から射出される光がエンコーダマーカ50により遮蔽されて受光素子に到達せず、主制御部30(図2参照)にエンコーダセンサ48からの非受光信号が入力される状態とが交互に繰り返し行われることとなる。
図7は図2及び図6に示す開閉蓋11の位置とカートリッジセンサ35及びエンコーダセンサ48が出力する信号との関係性を説明するチャートである。図7及び前述の説明から明らかなように、カートリッジセンサ及びエンコーダセンサはそれぞれ、開閉蓋が揺動しているときに受光信号及び非受光信号を交互に出力する。開閉蓋は通常は全閉位置にあることから、このような信号が出力されるのは、実質的には、インクカートリッジの装着状態の確認や着脱交換等の所望の作業を行うべくオペレータが全閉位置にある開閉蓋を全開位置に向けて揺動してから、該所望の作業を終えて開閉蓋を再び全閉位置まで戻すまでの間となる。
開閉蓋が全閉位置から全開位置に移動するまでの間、エンコーダセンサは、後端に配置されているものから順に8本のエンコーダマーカを全て読み取る。ここでいう「読み取る」とは、発光素子が射出する検査光がエンコーダマーカで遮蔽されること、すなわちエンコーダセンサが非受光信号を出力していることを指す。ここでは、エンコーダマーカを読み取っていることを示す非受光信号の電圧値を「ON値」とし、エンコーダマーカを読み取っていないことを示す受光信号の電圧値を「OFF値」として説明する。図7ではON値がOFF値よりも電圧が大きい場合を例示しているが、このON値/OFF値と電圧値の大小との関係は逆となっていてもよい。そして、開閉蓋が全開位置から全閉位置に移動するまでの間には、これとは逆に、エンコーダセンサは前端に配置されているものから順に8本のエンコーダマーカを読み取る。
このように開閉蓋が全閉位置から全開位置に移動するまでの間、及び全開位置から全閉位置に移動するまでの間ではそれぞれ、エンコーダセンサは、間欠的に現れる8個のON値と、これらON値同士の間に現れるOFF値とを含んだ一連の矩形波状の信号(基準パルス信号)を出力する。
前述したように各インクカートリッジの被検知部をなすマーカは、そのインクカートリッジに付与された情報に応じて、設けられていたり設けられていなかったりする。開閉蓋の動作時にカートリッジセンサ35は前述の基準パルス信号と類似する一連の矩形波状の信号(検出パルス信号)を出力するが、この検出パルス信号の波形はマーカの設け方によって様々に変化する。
検出パルス信号の第1例として、カートリッジ装着部に装着されている4種類のインクカートリッジの被検知部の各々が2本のマーカからなる場合を示す。開閉蓋が全閉位置から全開位置に移動するまでの間、カートリッジセンサは、後端に配置された黄インクカートリッジの後側のマーカから順に4種類のインクカートリッジに設けられた8本のマーカを全て読み取る。ここでいう「読み取る」も、発光素子が射出する検査光がマーカで遮蔽されること、すなわちカートリッジセンサが非受光信号を出力していることを指している。なお、マーカを読み取っていることを示す非受光信号の電圧値を「ON値」とし、マーカを読み取っていないことを示す受光信号の電圧値を「OFF値」としており、図7ではON値がOFF値よりも電圧が大きい場合を例示するが、このON値/OFF値と電圧値の大小との関係は逆となっていてもよい。そして、開閉蓋が全開位置から全閉位置に移動するまでの間、カートリッジセンサはこれと逆の順で8本のマーカを全て読み取る。すなわち、この第1例の検出パルス信号には、間欠的に現れる8個のON値と、これらON値同士の間に現れるOFF値とが含まれ、その波形は基準パルス信号と同一となる。
検出パルス信号の第2例として、例えば黒インクカートリッジの容量が通常よりも大きいタイプのものであり、黒インクカートリッジの被検知部から後側のマーカが省略された場合を示す。この場合、第1例において読み取られたマーカが1つ省略されるため、検出パルス信号においても対応する箇所においてON値がOFF値となって現れ、基準パルス信号に含まれるON値の個数が1つ少なくなる。
このように主制御部30(図2参照)には、開閉蓋が動作すると検出パルス信号及び基準パルス信号が入力される。図7では横軸に便宜的に時間をとっているが、これらパルス信号の周期は開閉蓋11の動作速度、すなわちオペレータが開閉蓋11に作用させる力の大きさに依存するため、予め決められた値とはならない。
図8は図2に示す主制御部30が実行する情報認識処理の内容を説明するフローチャートである。本処理の概要を説明すると、主制御部30は開閉蓋11が全閉位置から全開位置までの間に入力された基準パルス信号に基づいて開閉蓋11が正常に動作したか否かを判断する。正常に動作したときには、検出パルス信号に基づいて基準パルス信号を参照しながらカートリッジ装着部に装着されたインクカートリッジに関連する情報を認識する。以下、この処理について具体的に説明する。
図8に示すように、主制御部30は開閉スイッチ34から入力される開閉検出信号に基づいてカートリッジ挿入口10が開放されているか否かを判断し(ステップS1)、開閉蓋11が全閉位置にあるときには(S1:NO)、この処理を終了する。開閉蓋11が全閉位置にないときには(S1:YES)、開閉蓋11が再び全閉位置に戻ったか否かを判断する(ステップS2)。全閉位置に戻っていない間(S2:NO)は、このステップS2を繰り返して全閉位置に戻るのを待つ。なお、この間に、開閉蓋11の位置の変化に応じて検出パルス信号及び基準パルス信号が主制御部30に入力され得る。開閉蓋11が全閉位置に戻ると(S2:YES)、ステップS2を繰り返している間に主制御部30に入力された基準パルス信号に含まれるON値の個数Nを計測し、これがエンコーダマーカ50の本数aの2倍と等しいか否か(N=2a,本実施形態ではa=8)を判断する(ステップS3)。
図7に戻り、開閉蓋11が全閉位置から全開位置に至るまで方向を変えずに移動すると、基準パルス信号にはa個(8個)のON値が含まれ、全開位置から全閉位置に至るまで方向を変えずに移動すると、基準パルス信号には同じくa個(8個)のON値が含まれる。このように開閉蓋11が方向を変えずに移動して全閉位置に戻ったときには、基準パルス信号には2a個(16個)のON値が含まれることとなる。
図9は図2に示す主制御部30に入力され得る検出パルス信号及び基準パルス信号の他のパターンを説明するチャートである。図9に「パターン1」として示すものを参照すると、例えば開閉蓋11が全開位置まで達することなく再び全閉位置まで戻った場合などに、基準パルス信号に含まれるON値の個数Nが2a個(16個)未満となる。「パターン2」として示すものを参照すると、方向を2回以上変えながら開閉蓋11が移動した場合などに、基準パルス信号に含まれるON値の個数Nが2a個(16個)を超える。これらの場合、主制御部30は基準パルス信号を参照して検出パルス信号に基づいて情報を認識することができなくなる。
このため、図8に戻り、基準パルス信号に含まれるON値の個数Nが2a個ではないときには(S3:NO)、開閉蓋11が正常に動作しなかったとして、インクカートリッジ80の着脱作業に異常性があったことを示す文字情報及び/又は画像情報を表示部9に表示させ(ステップS21)、オペレータにこの旨を警告する。そして、再びカートリッジ挿入口10が開放されたか否かを判断し(ステップS22)、全閉位置にある間(S22:NO)は、このステップS22を繰り返して開閉蓋11が再び動作するのを待つ。開閉蓋11が全閉位置になければ(S22:YES)、開閉蓋11が再び全閉位置に戻ったか否かを判断し(ステップS23)、全閉位置に戻っていない間(S23:NO)は、このステップS23を繰り返して全閉位置に戻るのを待ち、検出パルス信号及び基準パルス信号を再び入力する。開閉蓋11が全閉位置に戻ると(S23:YES)、表示部9の表示を停止して(ステップS24)、ステップS3に戻る。なお、ステップS21からステップS24までの間で行われる警告は視覚的に情報を提示する形態に限られず、スピーカから警告音を発するようにしてもよい。
基準パルス信号に含まれるON値の個数Nが2a個であるときには(S3:YES)、入力された基準パルス信号の1番目の立ち上がりからa番目の立ち上がりまでの合計a回の立ち上がり時の各々に関し、その立ち上がり時に検出パルス信号がON値であったか否かを判定し、検出パルス信号がON値であった回数nを算出する(ステップS5)。
図7に示すように、開閉蓋11が正常に方向を変えることなく動作していれば、開閉蓋11が全開位置から全閉位置に移動するまでの間に入力された検出パルス信号は、エンコーダマーカ50の個数に対応して、OFF値からON値へとa回(8回)立ち上がることとなる。本実施形態では、エンコーダ47が、この全開位置から全閉位置に移動するまでの間において、基準パルス信号の位相が検出パルス信号の位相よりも早くなるよう設置されている。このため、全閉位置から全開位置まで方向を変えずに開閉蓋11が移動した場合、1番目から順にa番目までの立ち上がり時における検出パルス信号は、何れの立ち上がり時においても必ずOFF値となり、ステップS5で算出される回数nは0となる。
これに対し、図9に「パターン3」として示すものを参照すると、基準パルス信号に含まれるON値の総数Nは16個(2a個)となっている。このように、開閉蓋11が全開位置まで開放されることなく方向を複数回変えながら全閉位置に戻った場合には、基準パルス信号に含まれるON値の総数が2a個であったとしても、基準パルス信号がa回立ち上がるまでの間に検出パルス信号にON値が含まれてしまう。
図8に戻り、ステップS5でON値の回数nが算出されると、次いでその回数nが0であるか否かが判断される(ステップS6)。この回数nが1以上である場合には(S6:NO)、検出パルス信号の初頭部分の波形が正常な開閉蓋11の開放動作を想定して予め定められた特定の波形(本実施形態では、基準パルス信号の立ち上がり時に全てOFF値を示すような波形)と相違しており、開閉蓋11が正常に開放動作しなかったとして、前述したステップS21に進み、オペレータにインクカートリッジの着脱作業に異常性があった旨が警告される。このステップS21からステップS3に戻るまでの処理は前述同様であるため重複する説明を省略する。
他方、回数nが0である場合には(S6:YES)、開閉蓋11が正常に動作して基準パルス信号を参照しながら検出パルス信号に基づいて情報を認識することができる状態であるとし、ステップS11以降の処理に進む。
このようにステップS4,S6の判断処理を介することで、開閉蓋11が予め想定したよう正常に動作していない場合には情報を認識するためのステップS11以降の処理に進まず、オペレータに再び開閉蓋11を動作させるようにしている。このため、開閉蓋11の動作に連動して走査されるカートリッジセンサ35やエンコーダセンサ48からの信号に基づいて取得される情報が、開閉蓋11が変則的に動作したために誤認識されるのを防止することができる。
ステップS11では、基準パルス信号の立ち上がり序数xを「a+1」に設定する。ここでいう「立ち上がり序数」とは、基準パルス信号におけるOFF値からON値への立ち上がりが、最初に現れたものから数えて何番目に現れたものであるかを指す数である。立ち上がり序数xの最大値は2aとなり、本実施形態では「a+1」が9となり「2a」が16となる。ステップS11以降の処理においては、立ち上がり序数xがa+1から2aまでの間における基準パルス信号の立ち上がりのタイミングが参照される。つまり、主制御部30は、情報を認識するため、開閉蓋11が全開位置から全閉位置に移動するまでの間に入力された基準パルス信号を参照する構成となっている。開閉蓋11が全開位置から全閉位置に移動するまでの間においては、基準パルス信号の位相が検出パルス信号の位相よりも遅くなるため、基準パルス信号の立ち上がりのタイミングにおいては、カートリッジセンサ35が被検知部90のマーカ91,92を読み取っていれば検出パルス信号の値がON値となるし、そうでなければ検出パルス信号の値はOFF値となる。
次いで、基準パルス信号のx番目の立ち上がりのタイミングにおける検出パルス信号がON値であるか否かを検知し(ステップS12)、この検知内容に基づいて情報を認識する(ステップS13)。
図10は立ち上がり序数xと検出パルス信号と認識される情報との関係性を説明する図である。図10に示すように、立ち上がり序数xが9であって、その立ち上がり時の検出パルス信号がON値であれば、黒インクカートリッジ80Aの前側のマーカ91Aが読み取られたこととなる。この前側のマーカ91Aは前述したように必ず設けられるものである。主制御部30は、立ち上がり序数xが9に対応して検知された検出パルス信号の値がON値であったことに基づいて、黒インクカートリッジ80Aが第1ホルダ27Aに保持されておりカートリッジ装着部25に装着されている状態であるという情報を認識する。
図8に戻り、ステップS13の処理が終了すると、設定されている立ち上がり序数xが2aに達しているか否かを判断し(ステップS14)、これに達していない場合(S14:NO)には、立ち上がり序数xを1つ加算して設定し直し(ステップS15)、ステップS12に戻り再び同じ処理を繰り返す。このようにして全開位置から全閉位置に移動するまでの間に入力した検出パルス信号及び基準パルス信号に基づいてインクカートリッジに関連する情報を順次認識する。例えば、立ち上がり序数xが10に設定されたときには、その立ち上がり時の検出パルス信号がON値であれば黒インクカートリッジ80Aの後側のマーカ92Aが読み取られたこととなる。前述したように後側マーカ92Aは貯留しているインクの容量が大型であるときに設けられるものであるため、主制御部30は立ち上がり序数xが10に対応して検知された検出パルス信号の値がON値であったことに基づいて、黒インクカートリッジ80Aには大容量のインクが貯留されているという情報を認識する。
以上のように、本実施形態によれば、オペレータがインクカートリッジ80の装着作業を行うため、開閉蓋11を動作すると、インクカートリッジ80に設けられている被検知部90を読み取るためのカートリッジセンサ35が被検知部90の並ぶ方向に走査され、これら被検知部90が順にカートリッジセンサ35により読み取られるようになっている。このように単一のカートリッジセンサ35によって複数の被検知部90が読み取られるため、低コストを実現することができる。また、開閉蓋11と連動してカートリッジセンサ35が走査されるようにしており、開閉蓋11が全閉位置に戻ってから被検知部90を読み取ることだけを目的としてカートリッジセンサ35を走査する必要がないためインクカートリッジ80の装着作業が行われてから例えば画像を形成するための動作やパージ動作などのインクジェットプリンタ4のその他の動作に速やかに移行することができる。
また、開閉蓋11を動作させると、主制御部30には全閉位置から全開位置に移動するまでの間と、全開位置から全閉位置に移動するまでの間の両方において基準パルス信号及び検出パルス信号が入力されるが、上記手順を踏むことによって主制御部30は全開位置からの移動時に入力される基準パルス信号を参照しながら検出パルス信号に基づいて情報を認識する構成となっているため、開閉蓋11を全開位置に位置させてオペレータがインクカートリッジの装着状態の確認や着脱交換の作業を終えた状態においてカートリッジセンサからの検出パルス信号に基づいて情報を認識することができるようになっている。
なお、検出パルス信号に基づく情報の認識処理を行うに際し、本実施形態においては開閉蓋11と連動してカートリッジセンサ35が走査されるために、検出パルス信号の周期を制御することができない。すなわち、主制御部30に内蔵されるクロック等を参照しながら検出パルス信号に基づく情報の認識処理を実行することができない構成となっている。そこで、本実施形態では、検出パルス信号と位相がずれた基準パルス信号を発生する装置を設けており、これにより基準パルス信号の立ち上がりをトリガとして検出パルス信号に基づく情報の認識処理を行うようにしている。このように主制御部30の内部クロックを利用できない構成となるものの、検出パルス信号に基づく情報の認識を正確に行うことができるようになる。
[第2実施形態]
図11は本発明の第2実施形態に係るインクジェットプリンタ104の構成を示す模式図である。本インクジェットプリンタ104も図1に示す複合機1に備えられ得るものであるが、第1実施形態に対し、カートリッジセンサ135の構成が相違しているとともに、基準信号発生装置が設けられていない点で相違している。以下、第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図11に示すインクジェットプリンタ104の主制御部130は、開閉スイッチ34及びカートリッジセンサ135と接続され、開閉蓋11が全閉位置から動作して再び全閉位置に戻るまでの間においてカートリッジセンサ135から入力した検出パルス信号に基づいて、インクカートリッジに関連する情報を認識する処理を実行する構成となっている。
図12(a)は黒インクカートリッジ180Aの左側面図、図12(b)は青インクカートリッジ180Bの左側面図、図12(c)は赤インクカートリッジ180Cの左側面図、図12(d)は黄インクカートリッジ180Dの左側面図、図12(e)は(a)乃至(d)にそれぞれ示した4種類のインクカートリッジ180A〜180Dをカートリッジ装着部に装着した状態として示す左側面図であり、第1実施形態を説明した図5と対応している。図12(e)に示すように、本実施形態においても、各インクカートリッジ180の筐体181の両側面下端部には、光透過性を有した窓部材183が設けられ、これら窓部材183は、カートリッジ装着部にインクカートリッジが装着された状態において、側面視で互いに重なるように配置されている。各インクカートリッジ180には、この窓部材183に被検知部190A〜190Dをなすマーカ191A〜191Dが設けられている。これら4つの被検知部A〜190Dを構成するマーカ191A〜191Dは、側面視で前後に直線状に並ぶように設けられている。
図12(a)〜図12(d)に示すように、本実施形態においては、各インクカートリッジの被検知部をなすマーカの本数が、互いに相違している。例えば、左端に配置される黒インクカートリッジ180Aの被検知部190Aは1本のマーカ191Aからなり、その右側に配置される青インクカートリッジ180Bの被検知部190Bは2本のマーカ191Bからなり、その右側に配置される赤インクカートリッジ180Cの被検知部190Cは4本のマーカ191Cからなり、右端に配置される黄インクカートリッジ180Dの被検知部190Dは8本のマーカ191Dからなる。
図13は図11に示すカートリッジ装着部25の周辺の構成を示す斜視図である。図12に示すように、開閉蓋11の裏面には第1実施形態と同様構成の走査機構40が連結されている。本カートリッジセンサ135は所謂反射型フォトインタラプタによって構成されており、左側のスライダ42の上面44に、カートリッジセンサ133の発光素子145と受光素子146とが並んで設けられている。図12では両素子145,146が前後に並ぶ場合を例示しているが、これらは上下に並んで設けられていてもよい。
開閉蓋11が全閉位置から全開位置に移動するまでの間、カートリッジセンサは、後端に配置されているマーカから順に合計15本のマーカを全て読み取る。ここでいう「読み取る」とは、発光素子が射出する検査光がマーカで反射されること、すなわちカートリッジセンサの受光素子が受光信号を出力していることを指す。また、以下、マーカを読み取っていることを示す受光信号の電圧値を「ON値」とし、発光素子が射出する検査光が窓部材を透過して受光素子によって検査光の反射光が受光されておらずマーカを読み取ってはいないことを示す非受光信号の電圧値を「OFF値」としている。そして、開閉蓋が全開位置から全閉位置に移動するまでの間には、これとは逆に、カートリッジセンサは前端に配置されているものから順に15本のマーカを読み取る。
図14は開閉蓋11の位置とカートリッジセンサ35が出力する検出パルス信号との関係性を説明するチャートである。ここでは、4種類のインクカートリッジは、開閉蓋11が全閉位置から全開位置に移動するまでの間、及び全開位置から全閉位置に移動するまでの間の両方において、カートリッジ装着部25に4種類のインクカートリッジが全て装着されているものとし、さらに開閉蓋11は方向を変えることなく正常に動作した場合を仮定している。図14に示すように、開閉蓋11が全閉位置から動作すると、カートリッジセンサ135は後端の限界位置から前端の限界位置に移動するまでの間、4種類のインクカートリッジに設けられている15個のマーカを全て読み取ることとなる。つまり、この間に主制御部には、15個のON値と、これらON値との間に現れるOFF値とを含む一連の矩形波状の信号(基準パルス信号)が入力されることとなる。
同様にして、開閉蓋11が全開位置から動作すると、カートリッジセンサ135は前端の限界位置から後端の限界位置に移動するまでの間に、4つの被検知部を構成する15個のインクカートリッジを全て読み取ることとなり、前述同様の基準パルス信号が主制御部には入力されることとなる。ここで、オペレータが開閉蓋11を全開位置まで揺動した後、黒インクカートリッジを装着しないままで開閉蓋11を全閉位置に戻したものとする。すると、カートリッジセンサは、黒インクカートリッジに設けられているべき1本のマーカを読み取ることができないため、カートリッジセンサが出力する検出パルス信号には14個のON値が含まれていることとなる。
図15は検出パルス信号に含まれるON値の数と、カートリッジ装着部25に装着されているインクカートリッジの種類との関係性を説明する図である。前述したように、黒インクカートリッジには1本のマーカ、青インクカートリッジには2本のマーカ、赤インクカートリッジには4本のマーカ、黄インクカートリッジには8本のマーカがそれぞれ設けられている。これを2進法で表現すると同じ順に「1」本のマーカ、「10」本のマーカ、「100」本のマーカ、「1000」本のマーカがそれぞれ設けられていることとなる。このため、4種類のインクカートリッジのうちから1以上のインクカートリッジを任意に選択したとき、その選択の態様に関わらず、選択されたインクカートリッジに設けられているマーカの総本数は全て相違する。例えば4種類のインクカートリッジを全て選択した場合、マーカの総本数は2進法で「1111」本(10進法で15本)となるが、その他にはこの本数を得る組み合わせが存在しない。マーカの本数は検出パルス信号のON値の個数に直接対応するものであるため、検出パルス信号のON値の個数を検知すれば、カートリッジ装着部25に何れのインクカートリッジが装着されているのか、逆に言うとカートリッジ装着部25に何れのインクカートリッジが装着されていないのかを認識可能となる。例えば基準パルス信号に15個のON値が含まれていれば、全てのインクカートリッジが装着されている状態であることを表し、6個のON値が含まれていれば、青及び赤インクカートリッジ180B,180Cは装着されているものの黒及び黄インクカートリッジ180A,180Dは装着されていない状態であることを表す。
このような状況を作り出すためには、上述したように4種類のインクカートリッジから1以上のインクカートリッジを任意に選択したとき、その選択の態様に関わらず、選択されたインクカートリッジに設けられているマーカの総本数が全て相違するよう、各インクカートリッジに設けるべきマーカの本数を設定すればよい。このため、各インクカートリッジに設けられるマーカの本数は適宜変更可能であるが、上記のとおり2進法の観点を用いて本数を設定すると、このような状況を作り出すために必要となるマーカの総本数は最小になる。
図16は図11に示す主制御部130が実行する情報認識処理の内容を説明するフローチャートである。本実施形態においては、検出パルス信号に基づいてカートリッジ装着部に装着されているインクカートリッジが何れであるのかを示す情報を認識する処理が行われる。以下、この処理について具体的に説明する。
図16に示すように、主制御部130は開閉スイッチ34から入力される開閉検出信号に基づいて開閉蓋11が開放されているか否かを判断し(ステップS51)、開閉蓋11が全閉位置にあるときには(S51:NO)、この処理を終了する。開閉蓋11が全閉位置にないときには(S51:YES)、開閉蓋11が再び全閉位置に戻ったかを判断する(ステップS52)。全閉位置に戻っていない間(S52:NO)は、このステップS52を繰り返して全閉位置に戻るのを待つ。この間に主制御部130には検出パルス信号が入力される。
開閉蓋11が全閉位置に戻ると(S52:YES)、ステップS52を繰り返している間に主制御部130に入力された基準パルス信号に含まれるON値の個数Nを計測し(ステップS53)、この個数Nからマーカの総数sを減じて得られる個数nを算出する(ステップS54)。この処理について補足すると、ここでいう「マーカの総数s」とは、カートリッジ装着部25に装着される4種類のインクカートリッジ180に設けられているマーカ191の総本数を指し、本実施形態ではs=15となる。なお、以降に実行される後述の処理(ステップS65等)から明らかなように、本インクジェットプリンタ104は、開閉蓋11が一度開放されると4種類のインクカートリッジが全て装着された状態にあると認識されない限り、その他の動作を実行しない構成となっている。逆に言えば、ステップS51において開閉蓋11が全閉位置にあるという状況では、前回実行した情報認識処理において4種類のインクカートリッジの全てが装着された状態にあると認識されたことを意味する。このため、開閉蓋11が方向を変えずに全閉位置から全開位置に移動したとき、その間に入力された基準パルス信号に含まれるON値の数は必ず上記「マーカの総数s」となる。
次に、このステップS53で算出された個数nがマーカの総数sよりも大きいか否かを判断する(ステップS55)。この個数nがマーカの総数sを超えていれば(S55:YES)、開閉蓋11が全閉位置から動作して全閉位置に再び戻るまでの間に、移動の方向が複数回変更されており開閉蓋11が正常に動作しなかったとして、インクカートリッジ180の着脱作業に異常性があったことを示す文字情報及び/又は画像情報を表示部9に表示させ(ステップS61)、オペレータにこの旨を警告する。そして、再び開閉蓋11が開放されたか否かを判断し(ステップS62)、全閉位置にある間(S62:NO)は、このステップS62を繰り返して開閉蓋11が再び動作するのを待つ。開閉蓋11が全閉位置になければ(S62:YES)、開閉蓋11が再び全閉位置に戻ったか否かを判断し(ステップS63)、全閉位置に戻っていない間(S63:NO)は、このステップS63を繰り返して全閉位置に戻るのを待ち、検出パルス信号及び基準パルス信号を再び入力する。開閉蓋11が全閉位置に戻ると(S63:YES)、表示部9の表示を停止して(ステップS64)、ステップS53に戻る。
個数nがマーカの総数s以下であれば(S55:NO)、次いでこの個数nがマーカの総数sと等しいか否かが判断される(ステップS56)。この個数nがマーカの総数s未満である場合には(S56:NO)、4種類のインクカートリッジの全てが装着されていないか、開閉蓋11が正常に動作しなかったものとして、前述したステップS61に進み、オペレータにインクカートリッジの着脱作業に異常性があった旨が警告される。このステップS61からステップS53に戻るまでの処理は前述同様であるため重複する説明を省略する。
個数nがマーカの総数と等しい場合には(S56:YES)、開閉蓋11が正常に動作したとともに4種類のインクカートリッジの全てが装着された状態であると認識し、この処理を終了する。
以上のように、本実施形態においても、オペレータがインクカートリッジ180の装着作業を行うため、開閉蓋11を動作すると、インクカートリッジ180に設けられている被検知部190を読み取るためのカートリッジセンサ135が被検知部190の並ぶ方向に走査され、これら被検知部190が順にカートリッジセンサ135により読み取られるようになっている。このように単一のカートリッジセンサ135によって複数の被検知部190が読み取られるため、低コストを実現することができる。また、開閉蓋11と連動してカートリッジセンサ135が走査されるようにしており、開閉蓋11が全閉位置に戻ってから被検知部190を読み取ることだけを目的としてカートリッジセンサ135を走査する必要がないためインクカートリッジ180の装着作業が行われてから例えば画像を形成するための動作やパージ動作などのインクジェットプリンタ104のその他の動作に速やかに移行することができる。
しかも、カートリッジセンサ135が出力する検出パルス信号のみに基づいて情報を認識可能に構成されており、低コストを実現することができる。
[第3実施形態]
図17は本発明の第3実施形態に係るインクジェットプリンタ204の構成を示す模式図である。本インクジェットプリンタ204は、上記各実施形態に対し、インクカートリッジに設けられた被検知部の並ぶ方向と、開閉蓋11の動作に連動するカートリッジセンサの走査方向とが相違している。以下の説明では、上記各実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図17に示すように、本インクジェットプリンタ204に装着されるインクカートリッジの被検知部290は、その筐体281の下面281eに設けられている。このため、左右に配列するよう4種類のインクカートリッジ280がカートリッジ装着部25に装着されると、被検知部290も同様にして左右に直線状に並ぶこととなる。
他方、本インクジェットプリンタ204の走査機構240は、開閉蓋11の揺動を左右の直線運動に変換するよう構成されており、開閉蓋11の動作に連動して走査機構240のスライダ242が左右に移動するようになっている。開閉蓋11が全閉位置から全開位置に移動するときにはスライダ242は左右一側に移動し、開閉蓋11が全開位置から全閉位置に移動するときにはスライダ242が左右他側に移動する。このスライダ242の上面244には、第2実施形態と同様の型のカートリッジセンサ235が設置されている。カートリッジセンサには発光素子と受光素子とが一体に備えられており、発光素子は検査光を上向きに射出するようになっている。
これにより、開閉蓋11が動作するとカートリッジセンサ235によって4つの被検知部290が順に読み取られるようになる。したがって、本実施形態においても、単一のカートリッジセンサ235によって複数の被検知部を読み取り可能となることから低コストを実現できるとともに、インクカートリッジ280の装着作業が行われてからインクジェットプリンタ204のその他の動作に速やかに移行することができる。
なお、本実施形態においてカートリッジセンサを第1実施形態と同様のものとすることも可能である。この場合、インクカートリッジの上方側にも走査機構のスライダを設けておき、このスライダに発光素子及び受光素子の一方を設け、図17に示すスライダ242にその他方を設けるとよい。この場合においても、上方側のスライダと図17に示すスライダ242とは開閉蓋11の動作に連動して同期して移動するよう構成される。
また、図17に示すスライダ242の前後の寸法をある程度長く確保しておき、インクカートリッジの筐体の下面の後側にエンコーダマーカを設け、スライダ242の後部にこのエンコーダマーカを読み取るエンコーダセンサを設けてもよい。これにより主制御部230は、第1実施形態と同様にしてエンコーダセンサからの基準パルス信号を参照しながらカートリッジセンサからの検出パルス信号に基づいて各インクカートリッジに関連する情報を認識することができる。
[第4実施形態]
次に本発明の第4実施形態としてインクカートリッジの変形例を説明する。なお、本実施形態においてインクジェットプリンタの本体側の構成は第1実施形態と同一となっているため、これに関する構成には適宜図1乃至図6の参照符号を用いるものとして詳細な説明を省略する。
図18は本発明の第4実施形態に係るインクカートリッジ380の外観を示す斜視図である。図18に示すように、インクカートリッジ380は合成樹脂材より略直方体状に形成されてインクタンク82を内蔵する筐体381を備えている。
筐体381には、その下面381eから下方に突出して左右に延びる突出部383が一体的に設けられており、本インクカートリッジ380の被検知部390はこの突出部383に設けられている。被検知部390は突出部383を左右に貫通する1以上のスリットからなる。なお、本実施形態では被検知部390が最大2つのスリット391,392からなる場合を例示する。前側のスリット391は例えば第1実施形態と同様にして必ず設けられ、後側のスリット392は例えば第1実施形態と同様にしてインクタンク82の容量が大型である場合に設けられる。このように突出部383を設けることにより、インクカートリッジ380の下側には突出部383と筐体381の下面381eとで区画される空間として退避部384が形成されることとなる。
図19(a)は本発明の第4実施形態に係る黒インクカートリッジ380Aの左側面図、図19(b)は青インクカートリッジ380Bの左側面図、図19(c)は赤インクカートリッジ380Cの左側面図、図19(d)は黄インクカートリッジ380Dの左側面図、図19(e)は(a)乃至(d)にそれぞれ示した4種類のインクカートリッジ380A〜380Dをカートリッジ装着部に装着した状態として示す左側面図であり、第1実施形態を説明した図5と対応している。
図19(a)乃至図19(d)を併せて参照すると、各突出部383A,383B,383C,383Dは、前後に関して互いに異なる位置に設けられている。具体的には、左端に配置される黒インクカートリッジ380Aに設けられている突出部383Aから順に前側から後側へとずれるようにして配置されている。このため、各突出部383A〜383Dに設けられている4つの被検知部390A,390B,390C,390Dも前後に関して互いに異なる位置に設けられることとなる。なお、側面視において隣り合う突出部同士の間には隙間がないようにしており、各突出部は、隣の突出部のスリットに覆い被さることがない程度で、隣の突出部と僅かにオーバーラップしている。
図19(e)に示すように、カートリッジ装着部には4種類のインクカートリッジ380A〜380Dが左右に配列するため、左外側から見ると各インクカートリッジ380A〜380Dが互いに重なる。このとき、各突出部383A〜383Dは他のインクカートリッジの退避部と重なる位置に配置されるため、左外側に全ての突出部が露出することとなる。すなわち、側面視において4つの被検知部390A〜390Dは互いと重なることなく前後に直線状に並ぶようにして配置される。このように、各突出部383A〜383D及び退避部384A〜384Dは他のインクカートリッジと重なる位置において光を透過させて他のインクカートリッジに設けられた被検知部に到達させるための構造を有している。
図6を併せて参照し、カートリッジセンサ35の発光素子45が検査光を左側に射出し、突出部383に到達すると受光素子46にはその検査光が到達せず、受光素子46は非受光信号を主制御部に出力する。開閉蓋11の動作に応じて発光素子45がスリットを横切ると、検査光がスリット391,392を通過して受光素子に到達し、受光素子46は受光信号を主制御部に出力する。このようにしてカートリッジセンサ35により各インクカートリッジ380に設けられたスリット391,392が読み取られることとなる。結果として、開閉蓋11が全閉位置から全開位置へと移動し、更に全開位置から全閉位置へと移動するまでの間、カートリッジセンサ35は第1実施形態と同様の検出パルス信号を主制御部に出力することとなる。
これまで本発明の実施形態について説明したが、上記構成に限られず本発明の範囲内で適宜変更可能である。例えば開閉蓋の動作態様はこれに限られず、例えばスライド式であってもよい。カートリッジ装着部に装着されるインクカートリッジの個数は4個に限られず適宜変更可能である。第1実施形態において被検知部を構成するマーカの本数は主制御部において認識させたい情報量に応じて適宜変更可能である。上記実施形態で例示したものの他の情報としては、例えばインクカートリッジの製造年月日の情報等がある。
第1実施形態において、カートリッジセンサの発光素子を左側に配置して受光素子を右側に配置する場合を例示したが、これと逆に配置してもよい。また、第1実施形態の基準信号発生装置及び第2実施形態のカートリッジセンサは右側に配置されてもよい。第1実施形態のカートリッジセンサを第2及び第3実施形態で用いてもよいし、第2実施形態のカートリッジセンサを第1実施形態で用いてもよい。第3実施形態のようにカートリッジセンサがインクカートリッジの配列方向に走査される形態において、第2実施形態と同様にして基準信号発生装置が設けられていなくてもよい。
走査機構も開閉蓋の枢軸を支点とした揺動を水平面内での直線運動に変換可能に構成されていればよく、各実施形態において例示したものに限られず適宜変更可能である。
上記各実施形態ではインクジェットヘッド及び用紙を走査する方式として所謂シリアル方式が採用され、インクジェットヘッドにインクを供給する方式として所謂チューブ供給方式が採用されているが、これに限られずその他の方式が採用されていてもよい。さらに、本発明に係る液体吐出装置はインクジェットプリンタに限られず、インク以外の液体、例えば着色液を吐出して液晶表示装置のカラーフィルタを製造する装置や、導電液を吐出して電気配線を形成する装置等に使用する液体吐出装置にも好適に適用可能である。