以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本発明の技術的範囲は以下に記述する実施の形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
図1は本発明が適用される電子写真方式の画像形成装置の構成例を示す概略図である。画像形成装置1は、大きくは、画像読取装置2と、画像形成部3と、用紙搬送装置4とを備えた構成となっている。
画像読取装置2は、原稿の画像を光学的に読み取るものである。画像形成部3は、画像読取装置2によって読み取られた原稿の画像データや外部の端末装置(例えば、パーソナルコンピュータ等)から送られた画像データに基づいて、記録媒体となる用紙に画像を形成(印刷)するものである。用紙搬送装置4は、画像の形成に使用される用紙を搬送するものである。画像読取装置2は、画像形成装置本体5の上部に設けられている。画像形成部3は、画像形成装置本体5の内部に設けられている。用紙搬送装置4は、一部を除いて画像形成装置本体5の内部に設けられている。
画像読取装置2は、自動原稿搬送装置6を搭載する原稿押さえ部材7と、画像読取部8とを備えている。自動原稿搬送装置6は、被読取媒体となる原稿を1枚ずつ読取位置を経由するように搬送するものである。原稿押さえ部材7は、原稿台に置かれた原稿を上から押さえるもので、画像形成装置本体5の最上部に開閉自在に設けられている。画像読取部8は、原稿台に置かれた原稿の画像や自動原稿搬送装置6によって読取位置に搬送された原稿の画像を光学的に読み取るものである。画像読取部8は、例えば図示しない光源、ミラー、レンズ、撮像素子等を用いて構成される。
画像形成部3は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応する4つの感光体ドラム9,10,11,12と、各々の感光体ドラム9〜12に対応する4つの一次転写ロール13,14,15,16と、中間転写体となる無端状の中間転写ベルト17と、転写部18とを備えた4連タンデム式のマシン構成となっている。
各々の感光体ドラム9〜12の周囲には、帯電器、潜像形成装置、現像器、クリーナー等が配置されている。帯電器は、感光体ドラムの表面を一様に帯電するものである。潜像形成装置は、帯電器によって帯電された感光体ドラムの表面をレーザ光で露光走査することにより、感光体ドラムの表面に静電潜像を形成するものである。現像器は、二成分現像剤に含まれるトナーを感光体ドラムの表面に供給することにより、静電潜像をトナー画像(可視画像)に現像するものである。クリーナーは、感光体ドラムに残留する不要なトナーを除去するものである。
一次転写ロール13〜16は、それぞれに対応する感光体ドラム9〜12の近傍に中間転写ベルト17を介して対向する状態に配置されている。一次転写ロール13は感光体ドラム9に形成されたトナー画像を中間転写ベルト17に転写(一次転写)するものである。一次転写ロール14は感光体ドラム10に形成されたトナー画像を中間転写ベルト17に転写(一次転写)するものである。一次転写ロール15は感光体ドラム11に形成されたトナー画像を中間転写ベルト17に転写(一次転写)するものである。一次転写ロール16は感光体ドラム12に形成されたトナー画像を中間転写ベルト17に転写(一次転写)するものである。
中間転写ベルト17は、トナー画像を保持する中間転写体として設けられたものである。中間転写ベルト17は、複数のベルト支持ロールによってループ状に支持されている。中間転写ベルト17のループ途中には転写部18が設けられている。中間転写ベルト17は、当該中間転写ベルト17の走行経路上で反時計回り方向に走行するものとなっている。転写部18は、中間転写ベルト17から用紙に画像の転写が行なわれる部分である。転写部18は、一方のロールを二次転写ロールとし、他方のロールをベルト支持ロールとして、中間転写ベルト17を挟み込む一対のロールを用いて構成されている。二次転写ロールは、前述のように中間転写ベルト17に形成されたトナー画像を用紙に転写(二次転写)するものである。このため、中間転写ベルト17を間に挟んで対向する二次転写ロールとベルト支持ロールとの間(ニップ部分)が、中間転写ベルト17から用紙に画像(トナー画像)が転写される「転写位置」となっている。
中間転写ベルト17の走行経路上には、ホームセンサ34とレジセンサ35が配置されている。ホームセンサ34は、中間転写ベルト17の走行方向において、最終段の感光体ドラム12の下流側で、かつ当該感光体ドラム12の近傍に配置されている。ホームセンサ34は、中間転写ベルト17のホームポジションを検出するものである。具体的には、ホームセンサ34は、例えば、中間転写ベルト17の周長方向の1箇所に設けられたマークを光学的に読み取るものである。ホームセンサ34は、中間転写ベルト17に付されたマークを読み取ったときにベルトホーム信号を出力する。
レジセンサ35は、中間転写ベルト17の走行方向において、最前段の感光体ドラム9の上流側に配置されている。レジセンサ35は、中間転写ベルト17に転写される各色の画像の相対的な位置ずれを「カラーレジストレーションのずれ」として検出するために設けられたものである。カラーレジストレーションのずれは、例えば、最前段の感光体ドラム9にイエローのトナー画像が形成されるものと仮定すると、当該イエローを基準色とし、当該基準色の画像の位置を基準に、他の色(マゼンタ、シアン、ブラック)の画像の相対的な位置ずれによって表されるものである。実際にカラーレジストレーションのずれを検出するにあたっては、例えば、中間転写ベルト17の表面にレジずれ検出用のパターン画像が、YMCKの色ごとに形成され、当該パターン画像をレジセンサ35で読み取った結果に基づいて、基準色に対する他の色の画像の位置ずれ量(カラーレジストレーションのずれ量)が算出される。ここではイエローを基準色として説明したが、他の色を基準色としてもよい。
また、画像形成部3は定着部19を有している。定着部19は、転写部18で用紙に転写されたトナー画像を定着させるものである。定着部19は、例えば一方のロールをヒータ内蔵の加熱ロールとし、他方のロールを加圧ロールとした一対のロールを用いて構成されている。
用紙搬送装置4は、上下に多段に配置された4つの用紙収容部21,22,23,24と、各々の用紙収容部21〜24から用紙を給紙する給紙部25と、給紙部25によって給紙された用紙を下から上に向けて垂直に搬送する垂直搬送部26と、垂直搬送部26によって搬送された用紙を転写時刻に合わせて転写部18(転写位置)に送り込むレジスト部27と、転写部18を通過した用紙を定着部19に送り込むバキューム搬送部28と、定着部19から送り出された用紙をスイッチバックで反転させる反転搬送部29と、反転搬送部29で反転させた用紙を再び給紙するために搬送する再給紙搬送部30と、片面印刷又は両面印刷を終えた用紙を排出する排出部31と、排出部31で排出された用紙を積載状態で収容する排出収容部32と、画像の印刷に使用する用紙を手差しで供給するための手差し供給装置33とを備えている。このうち、レジスト部27は、一対のレジストロールを用いて構成され、排出部31は、一対の排出ロールを用いて構成されている。反転搬送部29及び再給紙搬送部30は、両面印刷用搬送部として設けられたものである。
次に、上記構成からなる画像形成装置1の基本的な動作について説明する。
先ず、画像読取装置2によって原稿の画像が読み取られると、これによって得られた画像データを基に画像形成部3でトナー画像が形成される。画像形成部3では、4つの感光体ドラム9〜12を回転駆動しつつ、それぞれに対応する帯電器、潜像形成装置、現像器によって各感光体ドラム9〜12の表面にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー画像が形成される。このように形成された各色のトナー画像は、一次転写ロール13〜16によって順次、中間転写ベルト17に重ね転写される。これにより、中間転写ベルト17には、4色のトナーを重ね合わせた多色(フルカラー)のトナー画像が形成される。このように中間転写ベルト17に形成されたトナー画像は、当該中間転写ベルト17に保持されて転写部18に送り込まれる。ここではカラー印刷の場合を想定しているが、白黒印刷の場合はブラックのトナー画像だけを中間転写ベルト17に転写することになる。
一方、画像形成装置1の操作パネル等を用いて使用者により選択された用紙や、自動選択機能によって選択された用紙、あるいは手差し供給装置33から供給された用紙は、予め設定された転写時刻に転写部18に到達するように、当該転写時刻に合わせてレジスト部27から転写部18へと送り込まれる。例えば、使用者が選択した用紙が最上段の用紙収容部21に収容された用紙であるとすると、この用紙収容部21から給紙部25によって用紙が給紙されるとともに、当該給紙された用紙が垂直搬送部26を経由してレジスト部27に送り込まれる。
レジスト部27は、転写部18よりも用紙搬送方向の上流側に配置されている。このレジスト部27においては、例えば、回転停止状態とされたレジストロールの接触部分(ニップ部)に用紙の先端を突き当てるとともに、この突き当て状態で垂直搬送部26により所定量だけ用紙を搬送してから、当該用紙の搬送を一時停止させることにより、用紙をループ状に撓ませる。これにより、用紙の先端がレジストロールの回転軸と平行になるように、用紙の斜行が補正される。その後、上記転写時刻に合わせてレジストロールの回転を開始することにより、レジスト部27から転写部18へと用紙が送り込まれる。
一方、各々の一次転写ロール13〜16によって中間転写ベルト17に転写されたトナー画像は、当該中間転写ベルト17の回転にしたがって転写部18へと送り込まれる。このとき、中間転写ベルト17に保持されているトナー画像は、転写部18で用紙に転写(二次転写)される。その後、用紙はバキューム搬送部28によって定着部19に送られ、そこでトナー画像の定着処理が施される。これ以降の動作は、画像形成モードが片面印刷モードの場合と両面印刷モードの場合で異なる。
片面印刷モードとは、用紙の片面に画像を印刷する場合に適用される画像形成モードである。両面印刷モードとは、用紙の両面に画像を印刷する場合に適用される画像形成モードである。片面印刷モードで動作する場合は、上述のように定着器19でトナー画像の定着処理を行なった用紙を、排出部31から排出収容部32へと排出する。
両面印刷モードで動作する場合は、片面印刷を終えた用紙を反転搬送部29に送り込んだ後、再給紙搬送部30を経由して再びレジスト部27に用紙を送り込む。したがって、反転搬送部29及び再給紙搬送部30は、用紙の両面に画像を印刷するための搬送部となる。以降は、片面印刷の場合と同様の手順で用紙にトナー画像を転写・定着した後、用紙の排出を行なう。また、定着部19から送り出された用紙の表裏を反転して排出する場合は、定着部19から反転搬送部29を経由して排出部31へと用紙を送り出す。
図2は潜像形成装置の構成例を示す概略図である。図示した潜像形成装置36は、各々の感光体ドラム5,6,7,8に対応したかたちでY,M,C,Kの色ごとに設けられるものである。図2では、そのうちの一つを表している。潜像形成装置36は、半導体レーザ等からなるレーザ発光器101と、コリメータレンズ102と、ポリゴンミラー(回転多面鏡)103と、fθレンズ等からなるレンズ系104と、ビームディテクトセンサ(以下、「BDセンサ」)105とを備えた構成となっている。
レーザ発光器101が発生するレーザ光は、コリメータレンズ102でビーム形状を整形された後、図中B方向に定速回転するポリゴンミラー103の一面に照射される。このとき、ポリゴンミラー103の一面でレーザ光が反射され、かつ反射したレーザ光がポリゴンミラー103の回転にしたがって偏向される。これにより、ポリゴンミラー103の一面で反射したレーザ光は、レンズ系104を介して感光体ドラム(5,6,7,8)の表面を図中A方向に走査される。レンズ系104は、ポリゴンミラー103によって偏向されたレーザ光が感光体ドラム(5,6,7,8)上で等速直線運動するように、当該レーザ光を偏向する役割を果たす。
BDセンサ105は、感光体ドラム(5,6,7,8)の軸方向に沿う主走査方向で、潜像形成装置36による静電潜像の書き込み開始位置P1よりも手前(端)の位置P0に配置され、そこでレーザ光の受光を感知したときに基準信号を出力するものである。このBDセンサ105が出力する基準信号は、感光体ドラム上にレーザ光のライン走査によって静電潜像を書き込むときに、主走査方向で静電潜像の書き込み開始位置P1を決めるための基準となる同期信号(以下、「主走査同期信号」)となる。また、潜像形成装置36で静電潜像を形成するにあたっては、副走査方向(感光体ドラムの回転方向)で静電潜像の書き込み開始位置を決めるための基準となる同期信号(以下、「副走査同期信号」)が、後述する画像形成制御部によって出力される。
上記構成からなる潜像形成装置36においては、レーザ発光器101からコリメータレンズ102を介してポリゴンミラー103に照射されたレーザ光が、ポリゴンミラー103の回転によって感光体ドラム(5,6,7,8)の軸方向(主走査方向)にライン走査される。このライン走査をポリゴンミラー103の回転と感光体ドラムの回転により1ラインごとに繰り返すことにより、感光体ドラム(5,6,7,8)の表面に二次元の静電潜像が形成される。
このとき、感光体ドラム(5,6,7,8)の軸方向で、実際にドラム表面にレーザ光の走査によって静電潜像の書き込み動作が行なわれる領域を有効領域とすると、この有効領域は、潜像形成装置36による静電潜像の書き込み開始位置P1と書き込み終了位置P2との間で規定される。これに対して、BDセンサ105がレーザ光を感知する位置P0と静電潜像の書き込み開始位置P1との間では、感光体ドラムに対してレーザ光による画像の書き込み動作が行われない。このため、P0−P1間の領域は実質的に無効領域となる。また、感光体ドラムの有効領域(P1−P2間)をレーザ光で露光走査するときは、K,Y,M,Cの色ごとに分解された画像信号に応じてレーザ光が変調(点滅)される。
図3は本発明の実施の形態に係る画像形成装置の制御系の構成例を示すブロック図である。図3において、システム制御部41は、画像形成装置1全体の処理動作を統括的に制御するものである。画像入力制御部42は、画像読取装置2による原稿画像の読取動作を制御するものである。画像処理部43は、画像読取装置2が原稿の画像を読み取ったときに得られる画像信号に対して、予め設定された画像処理(例えば、色変換、色補正、階調補正、拡大縮小、画像回転、スクリーン生成などの処理)を行なうものである。操作パネル44は、画像形成装置1を使用する使用者が各種の情報を入力したり、使用者に対して各種の情報を表示したりするためのインターフェースとなる。操作パネル44は、例えば、各種のボタン、スイッチ、キー等を有する入力部と、タッチパネル付きの液晶ディスプレイからなる表示部とによって構成されるものである。通信制御部45は、パーソナルコンピュータ等の外部機器との間の通信を制御するものである。
画像形成制御部46は、感光体制御部47、ベルト制御部48、書き込み制御部49及び用紙搬送制御部50を介して、画像形成部3及び用紙搬送装置4を用いた画像の形成動作を制御するものである。感光体制御部47は、感光体ドラム9〜12の回転動作を制御するものである。ベルト制御部48は、中間転写ベルト17の回転動作を制御するものである。書き込み制御部49は、潜像形成装置36による静電潜像の書き込み動作を制御するものである。用紙搬送制御部50は、用紙搬送装置4による用紙の搬送動作を制御するものである。
画像形成制御部46には、上述したホームセンサ34が出力するベルトホーム信号と、レジセンサ35が出力するレジずれ検出用のパターン画像の読取信号(以下、「レジずれ検出用パターン読取信号」)が、それぞれ入力される構成となっている。また、画像形成制御部46は、演算部51と、レジずれ補正部52と、擬似信号補正部53とを有している。
演算部51は、中間転写ベルト17に転写された画像が上記転写位置又はその近傍に到達する時刻を演算により求め、当該求めた時刻を擬似信号の発生によって用紙搬送制御部50に通知するものである。演算部51は、中間転写ベルト17上のトナー画像の先端が転写位置又はその近傍に到達する時刻を、そのトナー画像をセンサ等により直接検知するのではなく、そのトナー画像の先端が転写位置又はその近傍に到達するであろう時刻に対応する擬似信号を電気的に作りだすことで、その時刻を用紙搬送制御部30に通知する。
レジずれ補正部52は、レジセンサ35から出力されるレジずれ検出用パターン読取信号に基づいて、画像の主走査方向及び副走査方向の位置ずれ補正量を求め、当該求めた位置ずれ補正量に応じて感光体ドラム(9〜12)上の画像形成位置を補正するものである。
擬似信号補正部53は、レジずれ補正部52が求めた副走査方向の位置ずれ補正量に応じて擬似信号の発生時刻を規定する基準値(詳細は後述)を補正するものである。
ここで、演算部51における画像到達時刻の求め方について説明する。まず、擬似信号の発生によって通知すべき時刻は、各々の感光体ドラム9〜12から中間転写ベルト17に転写されたトナー画像の先端が、転写位置又はその近傍に到達する時刻となる。ここでは一例として、トナー画像の先端が転写位置の近傍に到達する時刻を擬似信号の発生によって通知するものとする。トナー画像の先端とは、中間転写ベルト17の走行方向(以下、「ベルト走行方向」)の下流側の画像端をいう。また、転写位置の近傍とは、最終段の感光体ドラム12よりもベルト走行方向の下流側で、かつ転写位置よりもベルト走行方向の上流側で、予め設定された位置をいう。
演算部51は、擬似信号を発生させるためのカウンタを有している。このカウンタは、YMCKの色ごとに設けられるものである。図4はカウンタの概要を示す説明図である。カウンタ54は、一定周期の基準クロック信号に同期して動作するものである。カウンタ64は、カウント開始のトリガ信号が出力されたタイミングから基準クロック信号のカウントを開始し、そのカウント値が予め設定された規定値に達すると、カウントアップ出力として擬似信号を出力する構成となっている。このため、擬似信号の発生時刻は、基準値によって規定されるものとなる。カウント開始のトリガ信号としては、4つの感光体ドラムのうちの一つ、例えば、最終段の感光体ドラム12に静電潜像を書き込む際に適用される副走査書き込み開始信号(詳細は後述)を用いればよい。カウンタ54内部のカウント値は、擬似信号を出力(カウントアップ出力)するたびにリセットされる。
擬似信号の出力タイミングを規定する基準値は、感光体ドラムの回転速度と中間転写ベルト17の移動速度とに基づいて、次のように設定する。即ち、潜像形成装置36が副走査同期信号に基づいて感光体ドラムに静電潜像の書き込みを開始してから、その静電潜像を現像して得られたトナー画像が感光体ドラムから中間転写ベルト17に転写されて上記転写位置の近傍に到達するまでの時間に相当する値となるように、基準値を設定する。なお、ここではトナー画像の先端が転写位置の近傍に到達する時刻に合わせて擬似信号を出力するものとしているが、これに限らず、トナー画像の先端が転写位置に到達する時刻に合わせて擬似信号を出力してもよい。
但し、用紙搬送制御部50では、画像形成制御部46の演算部51から出力される擬似信号に基づいて、用紙の先端が転写位置に到達するタイミングを可変制御する。具体的には、用紙搬送制御部50は、擬似信号の出力タイミングから一定時間経過したタイミングを、トナー画像の先端が転写位置に到達する時刻と認識し、この到達時刻に合わせて用紙搬送装置4による用紙の搬送動作(例えば、レジスト部27による用紙の搬送速度、加速タイミング、減速タイミングなど)を制御する。このため、演算部51は、トナー画像が転写位置又はその近傍に到達する時刻を擬似信号の発生により通知するにあたって、トナー画像の先端が転写位置に到達する時刻よりも前に擬似信号を出力することになる。
次に、レジずれ補正部52によるカラーレジストレーション(各色の画像の位置合わせ)の補正方法について説明する。まず、画像形成装置1においては、予め設定されたタイミングでカラーレジストレーション補正が行なわれる。具体的には、例えば、次のようなタイミングで行なわれる。即ち、カラーレジストレーション補正は、画像形成部3が規定枚数(例えば、数百枚)の画像形成を行なったときに行なわれる。また、カラーレジストレーション補正は、画像形成装置1の設置環境(例えば、温度、湿度など)が規定範囲を超えて変化したときに行なわれる。また、カラーレジストレーション補正は、画像形成装置1の電源を投入したときに行なわれる。また、カラーレジストレーション補正は、画像形成装置1の定期点検を実施したときに行なわれる。また、カラーレジストレーション補正は、画像形成装置1の構成部品(例えば、消耗部品、不良部品など)を交換したときに行なわれる。
カラーレジストレーション補正では、予め設定されたパターン信号に基づいて、各々の感光体ドラム9〜12に各色のトナーによりパターン画像が形成されるとともに、当該パターン画像が各々の感光体ドラム9〜12から中間転写ベルト17に順に転写される。こうして中間転写ベルト17に転写されたパターン画像は、レジセンサ35によって光学的に読み取られ、その読取結果(レジずれ検出用パターン読取信号)が画像形成制御部46に取り込まれる。
そうすると、レジずれ補正部52は、レジセンサ35の検出結果に基づいてパターン画像の位置ずれ量を求める。この位置ずれ量は、最前段の感光体ドラム9を用いて形成される画像の色を基準色とし、当該基準色のパターン画像に対して、他の色のパターン画像が、主走査方向及び副走査方向において、それぞれ正規の位置からどの程度ずれているかを示すものとなる。この位置ずれ量を求めたら、レジずれ補正部52は、基準色以外の色の画像に関して、それぞれに対応する位置ずれ量をゼロにするための位置ずれ補正量を求める。そして、求めた位置ずれ補正量に応じて、感光体ドラム10,11,12上の画像形成位置を補正する。具体的には、主走査方向に関しては、上記主走査同期信号が出力されてから潜像形成装置2が感光体ドラムに静電潜像の書き込みを開始するまでの時間を変更することで補正する。また、副走査方向に関しては、上記副走査同期信号が出力されてから潜像形成装置2が感光体ドラムに静電潜像の書き込みを開始するまでの時間を変更することで補正する。
次に、擬似信号補正部53による基準値の補正方法について説明する。まず、擬似信号補正部53では、図5に示すように、上記のカラーレジストレーション補正が行なわれると(ステップST1)、レジずれ補正部52が求めた画像の位置ずれ補正量のうち、特に、副走査方向の画像の位置ずれ補正量が変更になったかどうかを判断する(ステップST2)。そして、位置ずれ補正量が変更になった場合は、その変更量が予め設定された閾値以上であるかどうかを判断する(ステップST3)。そして、位置ずれ補正量の変更量が閾値以上であれば、基準値を補正する(ステップST4)。また、位置ずれ補正量が変更されなかった場合や、その変更量が閾値未満である場合は、基準値を補正せずに処理を終える。
レジずれ補正部52が副走査方向でトナー画像の形成位置を補正する場合は、前述したように副走査同期信号が出力されてから潜像形成装置2が感光体ドラムに静電潜像の書き込みを開始するまでの時間(以下、「副走査書き込み開始時間」)を変更する。例えば、基準色のトナー画像を感光体ドラム9に形成するときに適用される副走査書き込み開始時間(固定値)を「基準書き込み開始時間」とし、基準色以外の任意の色に関して、レジずれ補正部52が求めた副走査方向の画像の位置ずれ補正量に相当する補正時間(可変制御値)を「レジずれ補正時間」とすると、レジずれ補正部52は、当該任意の色の副走査書き込み開始時間を、「基準書き込み開始時間+レジずれ補正時間」に変更(補正)する。この場合、レジずれ補正時間が正の値をとれば、任意の色の副走査書き込み開始時間は、基準書き込み開始時間よりも長くなる方向で補正される。また、レジずれ補正時間が負の値をとれば、任意の色の副走査書き込み開始時間は、基準書き込み開始時間よりも短くなる方向で補正される。
上記画像の位置ずれ補正量に相当するレジずれ補正時間は、カラーレジストレーション補正を行なうたびに、レジずれ補正部52で求められる。そして、例えば、今回のカラーレジストレーション補正を行なう直前の画像形成動作に適用されていたレジずれ補正時間に対して、今回のカラーレジストレーション補正で求められたレジずれ補正時間が異なる場合は、今回のカラーレジストレーション補正で求めたレジずれ補正時間を、今回のカラーレジストレーション補正以降の画像形成動作に適用するように、レジずれ補正時間を更新する。
これに対して、擬似信号補正部53は、上述のようにレジずれ補正部52が副走査方向でトナー画像の形成位置を補正するための位置ずれ補正量(レジずれ補正時間)を変更した場合に、当該変更後の位置ずれ補正量に基づいて、擬似信号の発生時刻を規定する基準値を補正する。また、実際に基準値を変更するにあたって、擬似信号補正部53は、位置ずれ補正量の変更前後の差分に基づいて、基準値の補正量を決定する。例えば、変更前の画像形成動作に適用されていた位置ずれ補正量と、変更後の画像形成動作に適用される位置ずれ補正量が、それぞれ正負の値で表されるものとすると、擬似信号補正部53は、それらを加算処理することで両者の差分を求める。そして、求めた位置ずれ補正量の差分を、基準値の補正に反映させる。具体的には、以下のように処理すればよい。
まず、基準色のトナー画像を形成する場合、画像形成制御部46は、副走査同期信号を出力してから基準書き込み開始時間が経過した時点で副走査方向の静電潜像の書き込み開始信号(以下、「副走査書き込み開始信号」)を出力する。そして、この書き込み開始信号を出力してから上記カウンタ54がカウントアップ出力することで演算部51が擬似信号を発生する。このとき、上記カウンタ54に入力する基準値を大きくすれば、擬似信号の発生時刻は遅くなる方向で補正され、基準値を小さくすれば、擬似信号の発生時刻は早くなる方向で補正される。このため、擬似信号補正部53は、副走査書き込み開始時間が長くなる方向(換言すると、副走査書き込み開始信号の出力タイミングが遅くなる方向)でレジずれ補正量が変更された場合は、擬似信号の発生時刻が早くなる方向で基準値を補正する。また、擬似信号補正部53は、副走査書き込み開始時間が短くなる方向(換言すると、副走査書き込み開始信号の出力タイミングが早くなる方向)でレジずれ補正量が変更された場合は、擬似信号の発生時刻が遅くなる方向で基準値を補正する。
以上の内容を模式的に表すと、図6のようになる。図中上段の図の縦軸は副走査方向の位置を表し、横軸は時間を表している。また、図中のP10kは理想的な露光開始位置を示し、P11はレジセンサ35の検知位置を示し、P12は転写位置の近傍の位置を示している。
まず、第1の状態では、副走査同期信号S1が出力されてから時間(基準色の場合は基準書き込み開始時間)T1が経過した時点で副走査書き込み開始信号S2が出力されている。この場合、副走査方向では、理想的な露光開始位置P10kに対して実際の露光開始位置(静電潜像の書き込み開始位置)P10aがΔd1だけずれている。また、これに伴い、レジセンサ35は、狙いとするタイミングよりもΔt1だけ早いタイミングでトナー画像の検知信号S3を出力している。一方、擬似信号S4は、副走査書き込み開始信号S2が出力されてから時間T2が経過した時点で発生している。ここで記述する「理想的」とは、画像形成装置1の構成部品が誤差なく設計値通りに取り付けられている状況を想定している。
第2の状態では、上述した副走査方向での画像の位置ずれを補正するために、副走査同期信号S1が出力されてからT1+Δt1(図例では、Δt1は正の値をとる)時間が経過した時点で副走査書き込み開始信号S2が出力されている。Δt1は副走査方向の画像の位置ずれ(Δd1)を補正するための補正時間となる。このため、レジセンサ35は、狙いとするタイミングでトナー画像の検知信号S3を出力している。一方、擬似信号S4は、上記同様に副走査書き込み開始信号S2が出力されてから時間T2が経過した時点で発生している。このため、第1の状態と第2の状態では、擬似信号S4の発生タイミングがずれている。
第3の状態では、上記第2の状態と同様に、副走査同期信号S1が出力されてからT1+Δt1時間が経過した時点で副走査書き込み開始信号S2が出力されている。このため、レジセンサ35は、狙いとするタイミングでトナー画像の検知信号S3を出力している。一方、擬似信号S4は、副走査書き込み開始信号S2が出力されてから時間T2+Δt2(図例では、Δt2は負の値をとる)が経過した時点で発生している。この場合、Δt1は、画像の位置ずれ補正量に相当するものとなり、Δt2は、基準値の補正量に相当するものとなる。また、Δt1とΔt2は、正負の異なる値となるが、双方の絶対値は同じ値でもよい。
第4の状態では、副走査同期信号S1が出力されてからT1+Δt3(図例では、Δt3は負の値をとる)時間が経過した時点で副走査書き込み開始信号S2が出力されている。この場合、副走査方向では、理想的な露光開始位置P10kに対して実際の露光開始位置(静電潜像の書き込み開始位置)P10bがΔd2だけずれている。Δt3は副走査方向の画像の位置ずれ(Δd2)を補正するための補正時間となる。このため、レジセンサ35は、狙いとするタイミングでトナー画像の検知信号S3を出力している。一方、擬似信号S4は、副走査書き込み開始信号S2が出力されてから時間T2+Δt4(図例では、Δt4は正の値をとる)が経過した時点で発生している。この場合、Δt3は、画像の位置ずれ補正量に相当するものとなり、Δt4は、基準値の補正量に相当するものとなる。また、Δt3とΔt4は、正負の異なる値となるが、双方の絶対値は同じ値でもよい。
上記第1〜第4の状態のなかで、第3の状態と、第4の状態は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置1によって得られるものである。また、画像の位置ずれ補正量がΔt1(第3の状態)からΔt3(第4の状態)に変更になった場合は、変更前後の差分(Δt1−Δt3)に基づいて、例えば当該差分値と同じ値で、基準値の補正量Δt4が決定されている。
1…画像形成装置、3…画像形成部、4…用紙搬送装置、9〜12…感光体ドラム、17…中間転写ベルト、18…転写部、36…潜像形成装置、35…レジセンサ、46…画像形成制御部、50…用紙搬送制御部、51…演算部、52…レジずれ補正部、53…擬似信号補正部