以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。本明細書および図面において、実質的に同一の機能または構成を有する構成要素については、同一の符号を付すことにより、重複する説明は省略する。
<画像形成構成の構成>
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体構成の一例を示す概略図である。
図1に示すように、画像形成装置10は、用紙を供給する給紙部12と、用紙に画像を形成する画像形成部14と、用紙を排出する排紙部16と、制御部17と、原稿の画像を読み取る画像読取部18と、ユーザーインタフェースとなる操作表示部20と、を備えている。本実施形態においては、一例として、画像形成装置10が電子写真方式に基づいて画像形成処理(印刷処理)を行うタンデム式のカラー画像形成装置である場合について説明する。
給紙部12には、3つの給紙トレイ12a,12b,12cと、給紙搬送路36とが設けられている。各々の給紙トレイ12a,12b,12cには、画像形成(印刷)に用いる用紙が収納される。また、各々の給紙トレイ12a,12b,12cには、用紙のサイズによって識別された用紙(規格用紙等)が収納される。各々の給紙トレイ12a,12b,12cは、印刷ジョブなどでユーザーが指定したサイズ、あるいは原稿のサイズなどに応じて自動的に選択されたサイズの用紙を供給する。給紙搬送路36は、いずれかの給紙トレイ12a,12b,12cから供給される用紙を搬送するための搬送路である。
排紙部16は、画像形成部14を経由して搬送された用紙を所定のトレイに排出するものである。排紙部16には、排紙搬送路38が設けられている。排紙搬送路38の途中には搬送路切替部27が設けられている。また、排紙部16には、メイントレイ31mとサブトレイ31sとが設けられている。メイントレイ31mとサブトレイ31sのいずれに用紙を排出するかは、搬送路切替部27によって切り替えられる。
画像読取部18は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿送り装置18aと、原稿画像走査装置(スキャナー)18bとを備える。自動原稿送り装置18aは、原稿トレイに載置された原稿を搬送機構により搬送して原稿画像走査装置18bへ送り出す。画像読取部18は、自動原稿送り装置18aと原稿画像走査装置18bとの協働により、原稿トレイに載置された多数枚の原稿の画像を連続して読み取ることができる。原稿画像走査装置18bは、自動原稿送り装置18aによってコンタクトガラス上に搬送された原稿、またはコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー等の受光面上に結像させることで、原稿の画像を読み取る。画像読取部18は、原稿画像走査装置18bによる読取結果に基づいて画像データを生成する。この画像データには、後述する画像処理部11によって所定の画像処理が施される。
操作表示部20は、たとえばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)を用いて構成されるものである。操作表示部20は、表示部20aおよび操作部20bとして機能する。表示部20aは、制御部17から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、設定画面、画像の状態表示、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部20bは、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部17に出力する。ユーザーは、操作表示部20を操作して、原稿設定、画質設定、倍率設定、応用設定、出力設定、片面/両面設定、および用紙設定など、画像形成に関する種々の設定を行うことができる。
画像形成部14は、いずれかの給紙トレイ12a,12b,12cから給紙搬送路36を通して供給された用紙に画像を形成する。画像形成部14は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応する4つの感光体ユニット22Y,22M,22C,22Kを備えている。感光体ユニット22Yは、像担持体であるドラム形状の感光体の表面にイエローのトナー画像を形成するものである。感光体ユニット22Yは、図示はしないが、帯電器、露光器、現像器、一次転写ローラー、クリーナー等を備える。帯電器は、感光体の表面を所定の電位に帯電するものである。露光器は、帯電器によって帯電された感光体の表面をレーザービームによって走査することにより、感光体の表面に静電潜像を形成するものである。現像器は、露光器によって静電潜像が形成された感光体の表面にイエローのトナーを供給することにより、感光体の表面にイエローのトナー画像を形成するものである。一次転写ローラーは、現像器による現像処理(トナーの供給処理)によって感光体の表面に形成されたトナー画像を中間転写ベルト24に転写(一次転写)するものである。クリーナーは、一次転写ローラーを通過した後に感光体の表面に残留するトナーを除去するものである。他の感光体ユニット22M,22C,22Kは、現像器が供給するトナーの色が異なるだけで、感光体ユニット22Yと同様の構成を有する。
中間転写ベルト24は、図示しない複数のベルト支持ローラーによってループ状に支持されている。中間転写ベルト24を支持する複数のベルト支持ローラーのうちの一つは、中間転写ベルト24を矢印方向に周回移動させるための駆動ローラーとなる。中間転写ベルト24は、各々の感光体ユニット22Y,22M,22C,22Kが有する感光体の表面に接触する状態で配置されている。感光体ユニット22Yによって形成されたイエローのトナー画像は、感光体ユニット22Yの感光体との間で中間転写ベルト24を挟持する一次転写ローラー(不図示)によって中間転写ベルト24に転写(一次転写)される。
カラー画像を形成する場合は、各々の感光体ユニット22Y,22M,22C,22Kに対応する一次転写ローラーにより、イエローのトナー画像と、マゼンタのトナー画像と、シアンのトナー画像と、ブラックのトナー画像とが、中間転写ベルト24に順に重ねて転写される。これにより、中間転写ベルト24にカラーのトナー画像が形成される。
中間転写ベルト24の移動方向において、感光体ユニット22Kの下流側には二次転写部26が設けられている。二次転写部26は、上述した一次転写ローラーによって中間転写ベルト24に転写されたトナー画像を用紙に転写(二次転写)するものである。二次転写部26は、二次転写ローラーを用いて構成される。
画像形成部14は、上述した感光体ユニット22Y,22M22C,22K、中間転写ベルト24、一次転写ローラー、二次転写部26等により構成されている。また、画像形成部14は、画像形成装置本体30の内部に設けられている。
画像形成装置本体30には用紙搬送路32が設けられている。用紙搬送路32には複数の搬送ローラー34が設けられている。各々の搬送ローラー34は、用紙搬送路32に沿って用紙を搬送するものである。用紙搬送路32は、給紙部12に設けられた給紙搬送路36と、排紙部16に設けられた排紙搬送路38とに接続されている。給紙部12から供給される用紙は、用紙搬送路32を図1の右側から左側に向かって搬送される。よって、用紙搬送方向はY方向となる。なお、図1では省略しているが、用紙搬送路32は、用紙の表裏を反転するための反転搬送路と、反転搬送路によって表裏を反転した用紙を画像形成部14の二次転写部26に向けて再び搬送するための再搬送路とを有している。
二次転写部26の用紙搬送方向下流側には定着部40が設けられている。定着部40は、二次転写部26によって用紙に転写されたトナー画像を加熱および加圧によって用紙に定着させるものである。定着部40は、ヒーター等を内蔵する加熱ローラー40aと、この加熱ローラー40aに所定の加圧力で接触する加圧ローラー40bとによって構成されている。加熱ローラー40aと加圧ローラー40bとの接触部分には定着ニップが形成され、この定着ニップ部を用紙が通過するときに、加熱ローラー40aによる加熱作用と加圧ローラー40bによる加圧作用とを用紙が受けることにより、用紙にトナー画像が定着される。
一方、二次転写部26の用紙搬送方向上流側には、片寄り検出部42と、位置合わせ部44とが設けられている。片寄り検出部42は、画像形成部14の二次転写部26に向かって搬送される用紙の片寄り量を出力するものである。位置合わせ部44は、片寄り検出部42の用紙搬送方向上流側に配置されている。位置合わせ部44は、片寄り検出部42によって出力された用紙の片寄り量に基づいて、用紙と画像の位置合わせを行うものである。以下、片寄り検出部42および位置合わせ部44についてさらに詳しく説明する。
図2は、片寄り検出部42および位置合わせ部44の構成を示す平面図であり、図3は、片寄り検出部42の構成を用紙搬送方向の上流側から見た図である。図2および図3においては、用紙搬送方向をY方向、用紙搬送方向に直交する方向をX方向、X方向およびY方向に直交する方向をZ方向としている。X方向およびY方向は、用紙搬送路32に沿って搬送される用紙の紙面に平行な方向となり、Z方向は、用紙搬送路32に沿って搬送される用紙の厚さ方向に平行な方向となる。
図2に示すように、片寄り検出部42は、片寄り検出センサー85を用いて構成されている。片寄り検出センサー85は、たとえばラインセンサーまたはCIS(Contact Image Sensor)によって構成される。片寄り検出センサー85の長手方向は、X方向と平行に配置されている。片寄り検出センサー85は、図示しない発光素子と受光素子とを有する反射型の光学センサーである。片寄り検出センサー85は、用紙搬送方向Yに搬送される用紙の一方の端部と交差(直交)するように配置される。片寄り検出センサー85の発光素子は、搬送中の用紙が片寄り検出センサー85の検出領域を通過している所定のタイミングで、用紙の紙面に向けて発光する。このとき、片寄り検出センサー85の受光素子は、用紙の紙面から反射する光を受光する。これにより、片寄り検出センサー85は、受光素子の受光量に応じたレベルのセンサー出力を生成する。このような片寄り検出センサー85を備える片寄り検出部42は、用紙の幅方向の端部位置と基準位置とのずれ量を、用紙幅方向の用紙の片寄り量として出力する。
位置合わせ部44は、図2および図3に示すように、一対のレジストローラー81,82と、一対のレジストローラー81,82をX方向(レジスト揺動方向)に揺動させるための駆動源である揺動用モーター83とを備えている。一対のレジストローラー81,82のうち、一方のレジストローラー81は駆動ローラーであり、他方のレジストローラー82は従動ローラーである。レジストローラー81は、たとえばゴム製のローラーで構成され、レジストローラー82は、たとえば金属製のローラーで構成される。レジストローラー82は、レジストローラー81に対して常に圧接された状態に保持される。レジストローラー82がレジストローラー81に圧接されることにより、一対のレジストローラー81,82の間に用紙を挟持して搬送するニップ部(レジストニップ部)が形成される。位置合わせ部44は、一対のレジストローラー81,82によって用紙を挟持し、その状態で一対のレジストローラー81,82をX方向に揺動させることにより、用紙幅方向の用紙の片寄りを補正する。
一対のレジストローラー81,82は、フレーム88に取り付けられた軸受け(不図示)に挿通されることにより、それぞれ回転可能に設けられている。レジストローラー81はローラー軸81bを有し、レジストローラー82はローラー軸82bを有する。レジストローラー81のローラー軸81bとレジストローラー82のローラー軸82bとは、連結部材87によって連結されている。これにより、用紙の片寄りを補正する際、一対のレジストローラー81,82は、用紙搬送方向と直交する方向(X方向)に一緒に揺動する。レジストローラー81のローラー軸81bの一端側には歯車81aが取り付けられている。歯車81aは、ローラー軸81bと一体に回転するように、ローラー軸81bに固定されている。歯車81aには歯車86aが噛み合っている。
レジストローラー81は、歯車81a,86aを含む動力伝達部を介して駆動用モーター86に接続されている。歯車81aは、レジスト揺動時にレジストローラー81が軸方向に揺動しても駆動力が伝達されるように、レジスト揺動方向であるX方向に所定の長さを有する。歯車86aは駆動用モーター86の出力軸に取り付けられている。これにより、駆動用モーター86の駆動力は、歯車86aおよび歯車81aを介してレジストローラー81に伝達される。この駆動力の伝達により、一対のレジストローラー81,82が回転する。一対のレジストローラー81,82による用紙の搬送動作(駆動用モーター86の駆動)は、制御部17によって制御される。
また、レジストローラー81は、ラック84bおよびピニオン84aからなる動力伝達部84を介して揺動用モーター83に接続されている。つまり、動力伝達部84及び揺動用モーター83により、一対のレジストローラー81,82を用紙幅方向に揺動させ、用紙の幅方向の位置を補正する片寄り補正部80が構成される。ラック84bは、内面に軸受けを有する円筒状の部材である。ラック84bは、ローラー軸81bに挿通されている。ラック84bは、ローラー軸81bに固定された2つの座金(たとえば、Eリング)でラック84bの両端を挟み込むことにより、歯車81aの近傍に固定されている。つまり、ラック84bは、レジストローラー81の回転を許容する一方で、軸方向には揺動不能に固定されている。
ここで、片寄り検出センサー85によって検出される用紙の片寄り量と、この片寄り量に基づく用紙の片寄り補正について、図4を用いて説明する。
図4においては、用紙幅方向に片寄りがないときの用紙の位置を基準位置とし、このときの片寄り検出センサー85による検出値を検出基準値X0としている。そうした場合、用紙搬送路32を搬送される用紙50の片寄り量ΔXは、検出基準値X0-検出値Xiで表される。図4では、搬送されてきた用紙50の位置が基準位置に対して-側(図4では右側)にΔXだけ片寄っている。この片寄り量ΔXが、用紙50の幅方向の位置を基準位置に戻すために必要な用紙の揺動量(以下、「必要揺動量」という。)となる。この場合、用紙50の幅方向の一端部(図4では左端部)が端部基準位置に一致するように一対のレジストローラー81,82(図4ではレジストローラー82のみ表示)を+側に揺動させることで、用紙の片寄りを補正することができる。端部基準位置は、一対のレジストローラー81,82の揺動動作によって用紙の端部位置を位置合わせすべき目標位置(揺動目標位置)となる。端部基準位置は、画像センター(用紙幅方向中央)から幅方向に用紙幅Wの1/2だけ離れた位置で表される。また、画像センターの位置および用紙幅Wに基づいて画像の書込範囲が設定される。画像センターの位置、および画像の書込範囲は、たとえば画像形成装置の出荷時に設定される。
片寄り検出センサー85による用紙の片寄り量の検出は、用紙の検出適合領域に対して行われる。「検出適合領域」とは、用紙の搬送ばらつきを許容でき、かつ、用紙の先端が転写部(二次転写部26)に到達する前に位置合わせ部44による用紙位置合わせ動作(レジスト揺動動作)を完了可能な領域である。以下、検出適合領域について図5を用いて詳しく説明する。
図5において、用紙50の先端50aから距離Lxの領域R1は、用紙搬送方向における用紙の搬送ばらつきにより、片寄り検出時に片寄り検出センサー85の検出領域を用紙50が確実に通過するとはいえない領域である。用紙50の先端50aは、用紙搬送方向の下流側の用紙端である。本実施形態においては、一例として、領域R1を規定する用紙先端50aからの距離Lxを5mmとする。この場合、たとえば用紙50の先端50aから距離3mmの位置が片寄り量を得るための所定の距離として片寄り検出センサー85の検出タイミングが設定されると、用紙の片寄り量を正確に検出できないおそれがある。一方、用紙50の先端50aから距離Ly以降の領域R2は、距離Lyが[片寄り検出センサー85から転写部までの距離]-[レジスト揺動動作に必要な距離]よりも長く、レジスト揺動動作が完了する前に用紙が転写部に到達する領域である。この場合、正常なレジスト揺動動作が行われなくなるために用紙の片寄りを補正できず、さらには用紙に傾きが生じるおそれもある。したがって、用紙50の先端50aからの距離が、Lx以上で、かつ、Ly以下である領域R3が、検出適合領域となる。また、片寄り検出センサー85の検出タイミングは、用紙50の先端50aからの距離Lzが、「Lx≦Lz≦Ly」の条件を満たすタイミングに設定される。これにより、片寄り検出部42は、画像形成部14の転写部(二次転写部26)に向かって搬送される用紙50の先端50aから用紙搬送方向上流側に予め設定された所定の距離Lzだけ離れた位置を検出対象位置Pとし、この検出対象位置Pにおける用紙幅方向の用紙の片寄り量を出力することになる。片寄り検出部42による片寄り量の検出対象位置Pは、たとえば画像形成装置10の操作表示部20を操作するユーザーが、用紙の先端からの距離Lzを指定することにより、上述のように予め設定される。
図6は、片寄り検出センサー85のセンサー出力を示す図である。ここでは、用紙50がある場合にセンサー出力がオンとなり、用紙50がない場合にセンサー出力がオフとなる場合を示している。図6に示すように、片寄り検出センサー85のセンサー出力は、用紙50の端部位置50bを境界として変化する。片寄り検出部42は、このセンサー出力の変化点の出現位置を用紙50の端部位置50bと認識することにより、用紙の片寄り量ΔX(図4参照)を出力する。また、片寄り検出部42においては、片寄り検出センサー85のセンサー出力を一方向に走査し、片寄り検出部42のセンサー出力の変化点が最初に出現する位置を、用紙50の端部位置50bとして認識する。
このため、片寄り検出センサー85によって用紙幅方向の端部側から中央側に向けて走査する場合に、たとえば図7に示すように、片寄り検出センサー85で検出すべき用紙50の端部位置50bの近傍に紙粉55があると、この紙粉55の存在によってセンサー出力が変化し、この変化点の出現位置を用紙の端部位置と誤って認識してしまうおそれがある。このような誤認識を避けるには、図中矢印で示すように片寄り検出センサー85によって用紙幅方向の中央側から端部側に向けて走査することが有効である。用紙幅方向の中央側から端部側に向けて走査した場合は、用紙50の端部位置50bでセンサー出力の最初の変化点が出現するため、紙粉55の存在に影響されることなく、用紙50の端部位置50bを正しく認識することができる。
一方で、画像形成に用いられる用紙は、無地の用紙だけでなく、既に画像が形成されている用紙もある。このような用紙に画像を形成する場合、すなわち追い刷り印刷を行う場合に、上述した検出対象位置に画像が形成されていると、用紙の端部位置を正確に検出できなくなるおそれがある。具体的には、図8に示すように、追い刷りの対象となる用紙50に予め形成されている画像52が、片寄り検出部42による検出対象位置Pに存在すると、片寄り検出センサー85のセンサー出力を用紙幅方向の中央側から端部側に向けて走査したときに、画像52の位置でセンサー出力の最初の変化点が出現する。したがって、本来の用紙50の端部位置50bよりも中央側の位置を用紙の端部位置と誤認識してしまう。その結果、用紙の片寄り補正を適切に行うことができなくなる。また、用紙の片寄り補正を適切に行うには、片寄り検出部42による検出対象位置Pが画像52以外の位置に設定されるよう、所定の距離Lzを再設定する必要がある。
なお、1つの印刷ジョブで追い刷り印刷を指定する場合、追い刷り印刷の対象となる所定枚数の用紙(追い刷り用の用紙)には、予め用紙内の同じ位置に同じ画像が形成される。このため、片寄り量の検出対象位置Pが画像52以外の位置(無地の部分)になるように所定の距離Lzを設定または再設定することにより、用紙50の端部位置50bを正しく認識することが可能となる。
図9は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
図9に示すように、画像形成装置10は、前述した給紙部12、画像形成部14、排紙部16、制御部17、画像読取部18、操作表示部20、用紙搬送路32、給紙搬送路36、排紙搬送路38、定着部40、揺動用モーター83、片寄り検出センサー85、駆動用モーター86などの他に、画像処理部11、通信部13、記憶部15を備えている。
画像処理部11は、画像形成の対象となる画像データに対して、初期設定またはユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。たとえば、画像処理部11は、制御部17の制御下で、階調補正データに基づいて階調補正を行う。また、画像処理部11は、画像データに対して、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。
制御部17は、CPU(Central Processing Unit)21、ROM(Read Only Memory)23、RAM(Random Access Memory)25等を備える。CPU21は、ROM23または記憶部15から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM25に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置10の各部の動作を統括的に制御する。
また、制御部17は、通信部13を介してLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続され、この通信ネットワークを通して外部の装置(たとえば、パーソナルコンピュータ)と各種データの送受信を行う。制御部17は、たとえば、外部の装置から送信されたページ記述言語(PDL:Page Description Language)を受信し、PDLに含まれる画像データに基づいて、画像形成部14や定着部40などの動作を制御することにより、用紙に画像を形成させる。また、制御部17は、片寄り検出センサー85の検出結果に基づいて揺動用モーター83を駆動することにより、一対のレジストローラー81,82の揺動動作を制御する。すなわち、制御部17は、片寄り検出部42が出力する片寄り量に応じた片寄り補正により用紙と画像の位置合わせを行う。一対のレジストローラー81,82の揺動動作(以下、「レジスト揺動動作」または「レジスト揺動」ともいう。)は、用紙幅方向の用紙の片寄りを補正するために行われる動作である。通信部13は、たとえばNIC(Network Interface Card)、MODEM(MOdulator-DEModulator)、USB(Universal Serial Bus)等の各種インターフェースで構成される。
記憶部15は、たとえば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。記憶部15には、たとえば制御部17が画像形成装置10の各部の動作を制御する際に参照されるルックアップテーブルLUTが格納される。ルックアップテーブルLUTの1つは、片寄り補正処理時に参照される揺動制御テーブルである。揺動制御テーブルには、必要揺動量と、用紙が必要揺動量分だけ揺動するように片寄り補正部を動作させるための揺動指令値とが対応付けられている。この揺動制御テーブルは、画像形成装置10の製造段階で設定され、画像形成装置10の運転状況(たとえば総印刷枚数)に応じて適宜に更新される。
このように記憶部15に格納されている揺動制御テーブルを参照して、制御部17は、必要揺動量に対応する揺動指令値を取得し、この揺動指令値によって揺動用モーター83を駆動する。そうすると、揺動用モーター83の回転運動がピニオン84a及びラック84bによって直線運動に変換され、レジストローラー81に伝達される。これにより、一対のレジストローラー81,82が軸方向に所定量(揺動指令値に対応する揺動量)だけ揺動する。一対のレジストローラー81,82が回転しながら、すなわち用紙を搬送しながら用紙幅方向に揺動することにより、用紙の幅方向の位置(片寄り)が補正される。これにより、用紙の幅方向において、用紙の所定位置に画像を形成することができる。
なお、片寄り検出部42によって出力された片寄り量が所定の範囲に収まらない場合、制御部17は、片寄り検出の異常が発生した、すなわち片寄り補正ができない、と判断する。所定の範囲は、一対のレジストローラー81,82の揺動動作によって用紙の片寄りを補正可能な範囲に設定される。このため、用紙の片寄り量が所定の範囲を超えている場合は、用紙の幅方向の位置を完全には補正することはできない。すなわち片寄り補正ができない。この場合、制御部17は、片寄り検出の異常による片寄り補正エラーが発生したと判断して印刷動作(画像形成処理)を停止する。
上述したように、片寄り検出センサー85による用紙の端部位置の検出(片寄り量の検出)は、予め設定された所定の距離に対応する用紙の検出対象位置に対して行われる。つまり、用紙の検出対象位置が片寄り検出センサー85の検出領域を通過するタイミングで、用紙の端部位置の検出が行われる。また、本実施形態では、上記図7に示したように用紙の端部位置の近傍に紙粉等があることによる誤認識を避けるため、片寄り検出センサー85のセンサー出力を用紙幅方向の中央側から端部側に向けて走査したときに最初に現れるセンサー出力の変化点の出現位置を、用紙の端部位置として検出(認識)する。その場合、上記図8に示したように、追い刷り印刷の対象となる用紙に予め形成されている画像が、片寄り検出部42による検出対象位置に存在すると、本来の用紙の端部位置よりも中央側の位置を用紙の端部位置と誤って認識することになる。このため、用紙の片寄り量が所定の範囲に収まらず、片寄り検出の異常による片寄り補正エラーが発生する。この場合、制御部17は、片寄り検出部42によって検出された片寄り量が所定の範囲に収まらず、片寄り検出が異常となった段階で、既に給紙部12から給紙が行われた用紙および給紙を開始している用紙を給紙済み用紙として用いて、片寄り検出における所定の距離を再設定する。所定の距離の再設定を含む制御部17の処理内容については後段で詳しく説明する。
操作表示部20の表示部20aには、たとえば図10に示すような設定画面が表示される。この設定画面では、印刷モードの選択、所定の距離の設定、片寄り検出の異常時の動作の設定を行うことができる。印刷モードは、通常印刷モードおよび追い刷り印刷モードのうちいずれか一方を選択可能である。通常印刷モードを選択した場合は、印刷ジョブで通常印刷が指定され、追い刷り印刷モードを選択した場合は、印刷ジョブで追い刷り印刷が指定される。所定の距離は、上記図5に示す用紙50の先端50aからの距離Lzを表す数値(図10では「11」と表示)を、ボタン操作によって変更することにより、1mm刻みで設定可能である。また、所定の距離Lzを表す数値で特定される検出対象位置は、上記検出適合領域R3の範囲内である5mm以上25mm以下の範囲内で設定可能である。
片寄り検出の異常時の動作は、印刷モードとして追い刷り印刷モードを選択している場合のみ設定可能となる。片寄り検出の異常時の動作としては、所定の距離の自動更新を許可するか否かを選択可能であると共に、印刷動作の自動再開を許可するか否かを選択可能である。所定の距離の自動更新とは、所定の距離を自動的に再設定することを意味する。印刷動作とは、給紙部12から供給された用紙に画像形成部14によって画像を形成する一連の動作を意味する。ユーザーは、図10に示す設定画面を見ながら操作表示部20を操作することにより、印刷モードの選択、所定の距離の設定、片寄り検出の異常時の動作の設定を行うことができる。また、設定画面の下方には、ユーザーが選択または設定した内容を確定するための「OK」ボタンと、その内容を取り消すための「キャンセル」ボタンが設けられている。
このような設定画面を表示部20aに表示してユーザーの操作を操作部20bで受け付ける操作表示部20を備えることにより、ユーザーは、検出適合領域の範囲内で所望の位置を片寄り検出の検出対象位置とすべく所定の距離を設定することができる。また、ユーザーは、片寄り検出の異常が発生した場合に、ユーザー自身の希望に応じて、所定の距離の自動更新を実行させたり、実行させなかったりすることができる。また、ユーザーは、片寄り検出の異常が発生した場合に、ユーザー自身の希望に応じて、印刷動作の自動再開を実行させたり、実行させなかったりすることができる。
なお、図10に示す設定画面では、印刷モードの選択、所定の位置の設定、片寄り検出の異常時の動作の設定が、それぞれ次のように選択または設定されている状態を示している。まず、印刷モードに関しては、追い刷り印刷モードが選択された状態を示している。また、所定の距離は、用紙先端から11mmの距離に設定された状態を示している。また、片寄り検出の異常時の動作として、所定の距離の自動更新は「許可」が選択され、印刷動作の自動再開も「許可」が選択された状態を示している。
図11および図12は、片寄り量の検出および所定の距離の再設定を含む処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、制御部17の制御下で行われる。
まず、制御部17は、操作表示部20または外部の装置から印刷ジョブを受け付けると、この印刷ジョブで指定された画像データに基づいて用紙に画像を形成すべく印刷動作を開始させる(ステップS1)。印刷動作を開始すると、印刷ジョブで指定されたサイズの用紙が、いずれかの給紙トレイ12a,12b,12cから給紙搬送路36を通して画像形成装置本体30に送られる。画像形成装置本体30に送られた用紙は、搬送ローラー34の回転により用紙搬送路32に沿って搬送される。また、画像形成部14では、印刷ジョブで指定された画像データに基づいて、所定のタイミングでトナー画像の形成が開始される。
次に、用紙搬送路32上において、用紙が位置合わせ部44および片寄り検出部42を順に通過すると、この通過の際に所定のタイミングで片寄り検出部42が用紙の片寄り量を出力する(ステップS2)。このとき、上記図10に示すように所定の距離が用紙の先端から11mmの距離に設定されている場合は、片寄り検出部42に設けられている片寄り検出センサー85が、所定の距離に対応するタイミングで発光および受光の動作を行う。これにより、片寄り検出部42は、現在設定されている所定の距離に対応する検出対象位置で、用紙幅方向の用紙の片寄り量を出力する。また、片寄り検出部42は、片寄り検出センサー85によって用紙幅方向の中央側から端部側に向かって走査することにより、用紙幅方向の用紙の片寄り量を検出する。
次に、制御部17は、片寄り検出部42によって出力された片寄り量が所定の範囲外であるかどうかを判断する(ステップS3)。片寄り量が所定の範囲外である場合とは、片寄り検出の異常により片寄り検出エラーが発生した場合に相当する。片寄り量が所定の範囲内である場合(ステップS3でNo)は、制御部17は、他の処理に移行し、印刷ジョブで指定された用紙枚数分の印刷動作を画像形成部14等に実行させる。この場合、印刷を終えた用紙はメイントレイ31mに排出される。
これに対し、片寄り量が所定の範囲外である場合(ステップS3でYes)、制御部17は、搬送路切替部27を動作させることにより、排紙部16における用紙の排出先を、メイントレイ31mからサブトレイ31sへと切り替える(ステップS4)。排紙部16における用紙の排出先を、メイントレイ31mからサブトレイ31sへと切り替える動作は、給紙済み用紙をパージ紙として排出するための動作となる。パージ紙とは、画像形成(印刷)が正常に行われなかった用紙をいう。なお、片寄り量が所定の範囲内となる先行用紙が存在する場合は、制御部17は、先行用紙をメイントレイ31mに排出した後で、用紙の排出先をサブトレイ31sに切り替える。
次に、制御部17は、画像形成部14による印刷動作を中断する(ステップS5)。次に、制御部17は、上述した片寄り量が所定の範囲に収まらずに片寄り検出が異常となった時点で、既に給紙部12から給紙が行われた用紙および給紙を開始している用紙を給紙済み用紙としてその枚数を確認する(ステップS6)。なお、片寄り検出が異常と判断された用紙も給紙済み用紙に含めて良い。
次に、制御部17は、片寄り検出の異常時の動作として所定の距離の自動更新が許可されているかどうかを確認する(ステップS7)。このとき、予めユーザーが操作表示部20を操作することにより、図10に示す設定画面で所定の距離の自動更新について「許可」を選択していれば、制御部17は、所定の距離の自動更新が許可されていると判断して(ステップS7でYes)、ステップS8の処理に進む。また、図10に示す設定画面でユーザーが所定の距離の自動更新について「不許可」を選択していれば、制御部17は、所定の距離の自動更新が許可されていないと判断して(ステップS7でNo)、ステップS14の処理に移行する。
ステップS8において、制御部17は、印刷ジョブで追い刷り印刷が指定されているかどうかを確認する。このとき、予めユーザーが操作表示部20を操作することにより、図10に示す設定画面で追い刷り印刷モードを選択していれば、制御部17は、追い刷り印刷が指定されていると判断して(ステップS8でYes)、次のステップS9に進む。また、図10に示す設定画面でユーザーが通常印刷モードを選択していれば、制御部17は、追い刷り印刷が指定されていないと判断して(ステップS8でNo)、ステップS14の処理に移行する。
ステップS9において、制御部17は、給紙済み用紙を片寄り検出の対象とすべく、給紙済み用紙ごとに片寄り検出の確認位置を決定する。片寄り検出の確認位置は、所定の距離を再設定するために給紙済み用紙に対して行われる片寄り量の検出位置となる。片寄り検出の確認位置は、たとえば、演算によって決定してもよいし、予め設定された位置にしたがって決定してもよい。片寄り検出の確認位置は、上記図5に示す検出適合領域R3内で決定される。その際、制御部17は、給紙済み用紙に対して片寄り検出部42が実行する片寄り検出の回数および片寄り検出の確認位置を、給紙済み用紙の枚数に応じて設定する。
以下に、片寄り検出の確認位置の具体的な決定方法について、給紙済み用紙が1枚の場合と複数枚の場合に分けて説明する。また、説明の前提として、片寄り検出センサー85を用いた片寄り量の検出対象位置を決める所定の距離は、予めユーザーが操作表示部20を操作することにより、用紙の先端から11mmの距離に設定されているものとする。また、片寄り検出センサー85を用いて片寄り量を検出可能な用紙搬送方向Yの最小間隔は5mmであるものとする。また、片寄り検出に適した検出適合領域の範囲は、用紙の先端から5mm以上25mm以下の範囲内であるものとする。
(給紙済み用紙が1枚の場合)
給紙済み用紙が1枚の場合は、この給紙済み用紙の先端からの距離が11mmの位置で片寄り検出部42により出力される片寄り量が所定の範囲に収まらずに片寄り検出が異常となる。この場合、制御部17は、片寄り検出が異常となった所定の距離、すなわち用紙先端から11mmの距離を基準に、そこから5mm間隔で片寄り検出の確認位置を決定する。これにより、給紙済み用紙が1枚の場合は、用紙先端からの距離が16mm、21mmの位置が、それぞれ片寄り検出の確認位置に決定される。この場合、再設定する前の所定の距離は、用紙の先端から11mmの距離であり、片寄り検出の確認位置は、用紙の先端からの距離が11mmよりも長い位置に決定される。また、片寄り検出の回数は2回に設定される。なお、用紙先端から11mmの距離は、現在設定されている所定の距離と同じであり、この距離で片寄りが異常となっているため、片寄り検出の確認位置から除外している。
(給紙済み用紙が複数枚の場合)
給紙済み用紙が複数枚、たとえば4枚の場合は、制御部17は、1枚目の給紙済み用紙については、給紙済み用紙が1枚の場合と同様に、用紙先端からの距離が16mmの位置と21mmの位置を片寄り検出の確認位置に決定する。また、制御部17は、2枚目の給紙済み用紙については、検出適合領域の範囲を規定する最小値(5mm)および最大値(25mm)のうち、最小値に対応する用紙先端から5mmの距離を基準に、そこから5mm間隔で片寄り検出の確認位置を決定する。これにより、2枚目の給紙済み用紙では、用紙先端からの距離が5mm、10mm、15mm、20mm、25mmの位置が、それぞれ片寄り検出の確認位置に決定される。また、片寄り検出の回数は5回に設定される。
また、制御部17は、3枚目の給紙済み用紙については、検出適合領域の範囲を規定する最小値(5mm)に2mmを加算した7mmの距離を基準に、そこから5mm間隔で片寄り検出の確認位置を決定する。これにより、3枚目の給紙済み用紙では、用紙先端からの距離が7mm、12mm、17mm、22mmの位置が、それぞれ片寄り検出の確認位置に決定される。また、片寄り検出の回数は4回に設定される。
また、制御部17は、4枚目の給紙済み用紙については、検出適合領域の範囲を規定する最小値(5mm)に4mmを加算した9mmの距離を基準に、そこから5mm間隔で片寄り検出の確認位置を決定する。これにより、4枚目の給紙済み用紙では、用紙先端からの距離が9mm、14mm、19mm、24mmの位置が、それぞれ片寄り検出の確認位置に決定される。また、片寄り検出の回数は4回に設定される。
このように片寄り検出の確認位置を決定すると、制御部17は、給紙済み用紙の紙面内で片寄り検出の確認が可能であるか否かを判断する(ステップS10)。たとえば、給紙済み用紙が1枚の場合に、現在設定されている所定の距離が用紙先端から23mmの距離であると、そこから5mm間隔で片寄り検出の確認位置を決定するときに、その確認位置が検出適合領域の範囲(用紙先端から5mm以上25mm以下の範囲)を外れてしまう。この場合、制御部17は、給紙済み用紙の紙面内で片寄り検出の確認が不可能であると判断する。また、給紙済み用紙が複数枚の場合であって、1枚目の給紙済み用紙に対して現在設定されている所定の距離が用紙先端から23mmの距離である場合にも、制御部17は、片寄り検出の確認が不可能であると判断する。これに対し、2枚目以降の給紙済み用紙については、検出適合領域の範囲内で片寄り検出の確認位置を決定することができるため、制御部17は、給紙済み用紙の紙面内で片寄り検出の確認が可能であると判断する。給紙済み用紙の紙面内で片寄り検出の確認が可能であると判断した場合(ステップS10でYes)は、ステップS11の処理に進み、不可能であると判断した場合(ステップS10でNo)は、ステップS14の処理に移行する。
ステップS11において、片寄り検出部42は、制御部17からの制御指令に基づき、給紙済み用紙に対して決定したすべての確認位置で片寄り量の出力を行う。たとえば、給紙済み用紙が1枚の場合は、用紙先端から16mm、21mmの距離で片寄り検出部42が片寄り量の出力を行う。
次に、制御部17は、上記ステップS11で片寄り検出部42により出力された片寄り量のうち、所定の範囲に収まる片寄り量が得られた確認位置が存在するか否かを確認する(ステップS12)。そして、制御部17は、ステップS11で出力された1つまたは複数の片寄り量のうち少なくとも1つの片寄り量が所定の範囲に収まる場合はステップS12でYesと判断してステップS13の処理に進み、すべての片寄り量が所定の範囲から外れる場合はステップS12でNoと判断してステップS14の処理に移行する。
ステップS13において、制御部17は、所定の範囲に収まる片寄り量が得られた確認位置の距離情報を記憶部15に記憶する。たとえば、給紙済み用紙が1枚の場合に、用紙先端から16mmの距離と21mmの距離の両方で、所定の範囲に収まる片寄り量が得られた場合は、制御部17は、それらの距離情報を記憶部15に記憶する。距離情報は、所定の範囲に収まる片寄り量が得られた確認位置を特定可能な距離情報であり、たとえば、本実施形態のように用紙先端からの距離によって確認位置を特定する場合は、用紙先端からの距離の値を記憶部15に記憶すればよい。
その後、ステップS14において、排紙部16は、制御部17からの制御指令に基づき、給紙済み用紙をサブトレイ31sに排出する。これにより、片寄り検出の確認が済んだ給紙済み用紙は、パージ紙としてサブトレイ31sに排出される。このため、ユーザーは、サブトレイ31sに排出された給紙済み用紙を目視で確認することにより、追い刷り印刷が正常に行われなかったことを把握することができる。
次に、制御部17は、すべての給紙済み用紙の排出を終了したか否かを判断する(ステップS15)。制御部17は、上記ステップS6で確認した枚数の給紙済み用紙をすべてサブトレイ31sに排出した場合は、ステップS15でYesと判断してステップS16の処理に進む。また、制御部17は、サブトレイ31sへの排出を終えてない給紙済み用紙が残っていれば、ステップS15でNoと判断してステップS7の処理に戻る。これにより、給紙済み用紙が複数枚の場合は、給紙済み用紙ごとにステップS7~S14の処理が適用される。このため、給紙済み用紙が4枚の場合、1枚目の給紙済み用紙に対しては、給紙済み用紙が1枚の場合と同様に、用紙先端から16mm、21mmの距離で片寄り検出部42が片寄り量の検出を行う。また、2枚目の給紙済み用紙に対しては用紙先端から5mm、10mm、15mm、20mm、25mmの距離で片寄り検出部42が片寄り量の出力を行う。また、3枚目の給紙済み用紙に対しては用紙先端から7mm、12mm、17mm、22mmの距離で片寄り検出部42が片寄り量の出力を行い、4枚目の給紙済み用紙に対しては用紙先端から9mm、14mm、19mm、24mmの距離で片寄り検出部42が片寄り量の出力を行う。
その後、ステップS16において、制御部17は、印刷ジョブで追い刷り印刷が指定されているかどうかを確認する。そして、追い刷り印刷が指定されていない場合(ステップS16でNo)は、その段階で一連の処理を終える。また、追い刷り印刷が指定されている場合(ステップS16でYes)は、制御部17は、上記ステップS13で記憶部15に記憶された距離情報を基に、所定の距離を再設定する(ステップS17)。
その際、制御部17は、記憶部15に記憶されている距離情報のうち、用紙の先端からの距離が最も短い距離を抽出し、抽出した距離を、所定の距離として再設定する。たとえば、用紙の先端から7mm、15mm、17mm、22mm、24mmの距離がそれぞれ距離情報として記憶部15に記憶されている場合、制御部17は、用紙の先端から7mmの距離を所定の距離として再設定する。これにより、位置合わせ部44の用紙位置合わせ動作(レジスト揺動動作)によって用紙の片寄りを補正する場合に、片寄り補正のための時間的な余裕度が大きい距離に合わせて所定の距離を設定することができる。また、追い刷り印刷を行う場合に、たとえば図8に示すように再設定前の所定の距離に対応する検出対象位置Pが画像52の存在する位置に設定されていたとしても、所定の距離を再設定した後は、画像52の存在しない位置に検出対象位置を設定することができる。
また、本実施形態においては、上記ステップS9で片寄り検出の確認位置を決定する場合に、画像形成部14の二次転写部26に用紙の先端が到達する前に位置合わせ部44による用紙位置合わせ動作(レジスト揺動動作)を完了可能な領域、すなわち検出適合領域内で、片寄り検出の確認位置を決定している。このため、ステップS17において、制御部17は、検出適合領域内に片寄り検出量の検出対象位置が存在するように所定の距離を再設定することになる。したがって、再設定後の所定の距離に対応する検出対象位置で片寄り検出量を検出することにより、画像形成部14の二次転写部26に用紙の先端が到達する前に位置合わせ部44の用紙位置合わせ動作を確実に完了することができる。
その後、制御部17は、片寄り検出の異常時の動作として印刷動作の自動再開が許可されているかどうかを確認する(ステップS18)。このとき、予めユーザーが操作表示部20を操作することにより、図10に示す設定画面で印刷動作の自動再開について「許可」を選択していれば、制御部17は、印刷動作の自動再開が許可されていると判断して(ステップS18でYes)、画像形成部14等による印刷動作を再開させて(ステップS19)、一連の処理を終える。印刷動作を再開させる場合、制御部17は、印刷ページのカウント値をリセットする。これにより、追い刷り印刷モードにおいては、最初のページから印刷動作を再開することができる。また、図10に示す設定画面でユーザーが印刷動作の自動再開について「不許可」を選択していれば、制御部17は、印刷動作の自動再開が許可されていないと判断し(ステップS18でNo)、その段階で一連の処理を終える。
以上説明したように、本発明の実施形態に係る画像形成装置10は、予め設定された所定の距離で片寄り検出センサーによる片寄り量の出力を実行した結果、片寄り補正ができないと判断した場合に、所定の距離を変えて再度、片寄り検出センサーによる片寄り量の出力を実行し、その出力結果に基づき所定の距離を再設定する構成となっている。この構成によれば、印刷前の用紙を画像読取部18に読み取らせなくても、片寄り検出のための所定の距離を再設定することができる。このため、所定の距離の再設定にかかる手間を減らすことができる。印刷前の用紙を画像読取部18に読み取らせる場合は、読み取らせる用紙の向きを間違えると、所定の位置の設定が不適切なまま追い刷り印刷が行われるおそれがあるが、本実施形態によれば、そのようなおそれはない。また、本実施形態においては、給紙済み用紙を用いて所定の距離を適切に変更することができるため、片寄り検出の異常に伴う機械停止の発生を抑制し、生産性の向上に寄与することができる。
なお、追い刷り印刷モードにおいては、追い刷り用の用紙に予め形成されている画像の位置によっては、所定の距離の再設定ができない場合もあり得る。このような場合、制御部17は、位置合わせ部44による位置合わせ動作の機能を無効とする。また、制御部17は、位置合わせ動作の機能を無効とした後に、画像形成部14等による印刷動作を自動的に再開させる。所定の距離の再設定ができない場合とは、たとえば、追い刷り用の用紙の検出適合領域R3(図5参照)に高い面積比率で画像が形成されており、片寄り検出の確認位置のすべてに画像が存在するために、確認位置で片寄り検出部42が出力した片寄り量がいずれも所定の範囲を外れる場合である。
このように所定の距離の再設定ができない場合に、位置合わせ部44による位置合わせ動作の機能を無効とすることにより、片寄り検出の異常に伴う位置合わせ部44の動作不良を未然に回避することができる。また、位置合わせ動作の機能を無効とした後に、印刷動作を自動的に再開させることにより、片寄り検出の異常に伴う機械停止の時間を短縮し、画像形成の生産性を向上させることができる。なお、所定の距離の再設定ができない場合に位置合わせ動作の機能を無効とした場合は、画像と用紙の位置合わせが行われないため画像品質は低下するが、用紙搬送時に生じる用紙の片寄りは数mm程度であるため、高画質が要求されない場合には許容される。
<変形例等>
本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
たとえば、上記実施形態においては、一対のレジストローラー81,82が位置合わせ部として機能する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、たとえば、各々の感光体ユニット22Y,22M,22C,22Kにおいて、感光体の表面に露光器が静電潜像を形成するときの像形成位置を調整することにより、用紙と画像の位置合わせを行うようにしてもよい。