JP2010117537A - 偏光板及びそれを用いた投射型液晶表示装置 - Google Patents

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由美子 橋本
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篤志 金澤
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貴志 藤井
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Abstract

【課題】偏光子と位相差フィルムとを有する偏光板の耐光性を向上させ、フロントプロジェクターやリアプロジェクターなどの投射型液晶表示装置の光学系を小型化する。
【解決手段】離隔対向する透明基板1及び透明基板2の、向かい合う内面に接着剤層5及び接着剤層7をそれぞれ形成し、これらの接着剤層5及び接着剤層7によって偏光子3及び位相差フィルム4を透明基板1,2にそれぞれ取り付ける。そして、偏光子3の、接着剤層5と接している面と反対側の面に接着剤層6を形成し、この接着剤層6によって偏光子3と位相差フィルム4とを接合する。さらに、偏光子3及び位相差フィルム4の、接着剤層5,6,7と接していない露出部分を封止剤8で封止し、空気中からの偏光子3及び位相差フィルム4への水分の浸入を防止する。
【選択図】図1

Description

本発明は、フロントプロジェクター、リアプロジェクターなどの投射型液晶表示装置に好適に用いられる偏光板に関するものである。
大画面化に対応するために、従来のブラウン管型の表示装置に代わり、投射型液晶表示装置が業務用及び家庭用に急速に普及しつつある。ここで、投射型とは、光源からの光をRGBの三原色に分離した後、それぞれの光をそれぞれの光路において、液晶パネル、偏光板などを通過させ、最終的に投射レンズにより拡大して、スクリーン上に結像させて画像を表示する方式である。投射型液晶表示装置は、観察者の側から見てスクリーンの表側に画像が投射されるフロントプロジェクターが主に業務用として用いられ、スクリーンの裏側に画像が投射されるリアプロジェクターが主に家庭用として用いられている。
投射型液晶表示装置では、偏光子と位相差フィルムとを含む偏光板を当該装置の光路に配置したものがある。ここで使用される偏光板の具体的構成としては、例えば特許文献1に示されるような、トリアセチルセルロースで被覆された偏光子と、位相差フィルムとが粘着剤層を介して接合したものが挙げられる。
一方、投射型液晶表示装置は近年、画面の高輝度化が進み、それに伴って強力な光を放出する高圧水銀ランプが光源として用いられるようになってきた。このため、光路に配置された偏光板には、その強力な光が長時間透過しても光洩れが生じにくいという短期耐光性、及び、高湿下で長期間保管した後でも光洩れが生じないとう長期耐光性(以下、両者を合わせて単に「耐光性」と記すことがある)が要求されるようになってきた。そして現在、偏光子と位相差フィルムとを含む偏光板の耐光性は、投射型液晶表示装置の寿命を決定するほどの重要な要素となっている。
特開平8-29617([実施例2])
現在、投写型液晶表示装置には、光源の光強度の増加が求められており、このような状況下、偏光子と位相差フィルムとを含む偏光板には耐光性の一層の向上が求められている。
上記の目的を達成するために、本発明者らは偏光板の構成について鋭意検討した結果、本発明に至った。
すなわち本発明は、[1]〜[16]を提供する。
[1]少なくとも2枚の透明基板が離隔対向し、一方の最外に位置する第1の透明基板と他方の最外に位置する第2の透明基板との間に、少なくとも偏光子と位相差フィルムとが設けられた偏光板であって、前記偏光子と前記位相差フィルムとが外気に接しないように封止されていることを特徴とする偏光板。
[2]前記偏光子の一方面側に第1の接着剤層が設けられ、他方面側に第2の接着剤層が設けられ、第1の接着剤層と第2の接着剤層のガラス転移温度が異なっている[1]記載の偏光板。
[3]第1の接着剤層及び第2の接着剤層の、一方の接着剤層が弾性接着剤又は粘着剤からなり、他方の接着剤層が硬化性接着剤からなる[2]記載の偏光板。
[4]前記偏光子は、第1の接着剤層によって第1の透明基板と接合し、第2の接着剤層によって前記位相差フィルムと接合している[2]又は[3]記載の偏光板。
[5]第2の透明基板と前記位相差フィルムとが第3の接着剤層で接合されている[1]〜[4]のいずれか記載の偏光板。
[6]第3の接着剤層が弾性接着剤又は粘着剤からなる[5]記載の偏光板。
[7]第1の透明基板及び第2の透明基板に取り付けられた前記偏光子及び前記位相差フィルムの、第1の接着剤層及び第3の接着剤層と接していない露出部分が封止剤で封止されている[4]〜[6]のいずれか記載の偏光板。
[8]前記封止剤が、透湿度60g/(m・24hr)以下の樹脂である[7]記載の偏光板。
[9]前記封止剤の煮沸吸水率が4重量%以下である[7]又は[8]記載の偏光板。
[10]前記封止剤が、前記第1の接着剤層と同一材料である[7]〜[9]のいずれか記載の偏光板。
[11]第1の透明基板及び第2の透明基板の少なくとも一方の熱伝導率が5W/(m・K)以上である請求項[1]〜[10]のいずれか記載の偏光板。
[12]第1の透明基板及び第2の透明基板の少なくとも一方の正面位相差が、380nm〜780nmの波長範囲において5nm未満である請求項[1]〜[11]のいずれか記載の偏光板。
[13]前記偏光子の水分含有量が5重量%以下である請求項[1]〜[12]のいずれか記載の偏光板。
[14]少なくとも2枚の透明基板が離隔対向し、一方の最外に位置する第1の透明基板と他方の最外に位置する第2の透明基板との間に、少なくとも偏光子と位相差フィルムとが設けられ、前記偏光子と前記位相差フィルムとが外気に接しないように封止され、前記偏光子の一方面側に第1の接着剤層が設けられ、他方面側に第2の接着剤層が設けられ、第1の接着剤層と第2の接着剤層のガラス転移温度が異なっている偏光板の製造方法であって、減圧下で、第1の接着剤層及び/又は第2の接着剤層の形成を行う工程を有することを特徴とする偏光板の製造方法。
[15]
前記偏光子を130℃以下の温度で乾燥する工程をさらに有する[14]記載の製造方法。
[16][1]〜[13]のいずれか記載の偏光板を有することを特徴とする投射型液晶表示装置。
本発明の偏光板では、偏光子及び位相差フィルムが外気と接しないように封止したので、耐熱性が格段に向上する。
以下、図を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。
本発明の偏光板は、少なくとも2枚の透明基板が離隔対向し、一方の最外に位置する第1の透明基板と他方の最外に位置する第2の透明基板との間に、少なくとも偏光子と位相差フィルムとが設けられた偏光板であって、前記偏光子と前記位相差フィルムとは外気に接しないように封止されていることを特徴とする。
図1は、本発明に係る偏光板の一実施形態を示す概説図である。この図の偏光板では、離隔対向する透明基板(第1の透明基板)1及び透明基板(第2の透明基板)2の、向かい合う内面に接着剤層5(第1の接着剤層)及び接着剤層(第3の接着剤層)7が形成されている。そして、これらの接着剤層5及び接着剤層7によって偏光子3及び位相差フィルム4が透明基板1,2にそれぞれ取り付けられている。また、偏光子3の、接着剤層5と接している面と反対側の面に接着剤層(第2の接着剤層)6が形成され、この接着剤層6によって偏光子3と位相差フィルム4とが接合されている。
偏光子3及び位相差フィルム4の、接着剤層5,6,7と接していない露出部分は、封止剤8で覆われ、空気中からの偏光子3及び位相差フィルム4への水分の浸入が防止された構成となっている。この封止剤8は偏光子3及び位相差フィルム4の外周部領域に形成され、例えば偏光子3及び位相差フィルム4が四角形の場合はその四辺全てに形成される。
本発明者等は、偏光子と位相差フィルムとを含む従来の偏光板の熱に対する脆弱さが、偏光子(通常は)PVAを用いてなる。)に内部の微量水分に起因すると考え、偏光子3及び位相差フィルム4の露出部分を封止剤8で封止することにより、耐光性評価における偏光度の低下や吸収軸方向の透過率の上昇などの発生を抑制し、耐光性を良好に向上させることができた。これは、偏光子3及び位相差フィルム4の、空気に露出している端面から水分が偏光子3及び位相差フィルム4内に浸入し、偏光子3及び位相差フィルム4の劣化を促進させているためである。偏光子3及び位相差フィルム4の露出部分を封止剤8で封止することにより、大気中からの偏光子3及び位相差フィルム4への水分の浸入が防止されて、偏光板の耐光性が著しく向上する。
本発明で使用する封止剤8としては、従来公知のものを使用できるが、加工時には流動性を有し、加工後には硬化して封止機能を持つものが好ましい。例えば、紫外線硬化型樹脂や熱硬化型樹脂、又は両方の作用で硬化する樹脂などが好適に使用できる。このような封止剤8としては、後述する第1の接着剤層5と同一種類のものであってもよく、具体的には、エチレン・酸無水物共重合体(エポキシ樹脂系接着剤(例えばセメダイン社製熱硬化性エポキシ樹脂EP582、ADEKA社製 紫外硬化性エポキシ樹脂KR695A、スリーボンド社製 紫外硬化性エポキシ樹脂TB3025G、ナガセケムテックス社製 紫外硬化性樹脂XNR5516Z)、ウレタン樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤などの熱硬化性接着剤、シリコーン樹脂(例えば、紫外線硬化型シリコーン、シリル基末端ポリエーテルを有する変成シリコーン樹脂)、シアノアクリレート、アクリル樹脂などの紫外線硬化性接着剤などが例示される。また、封止剤8として、挿入して封止機能を持たせる、熱収縮フィルムや熱接着フィルムのようなフィルム状のものも使用できる。
封止剤8として硬化性型樹脂を用いる場合、硬化前の揮発成分が2重量%以下のものが好ましく、更に好ましくは、1重量%以下のものである。揮発成分が2重量%以下の封止剤であると、加工後における封止剤内での微小気泡の発生が抑えられると共に、減圧下での封止剤の塗布が可能となり加工歩留まりが大きく向上する。ここで、揮発成分は、「JIS K 6249」で測定された値である。
また、封止剤8の硬化後のガラス転移温度は80℃以上、煮沸吸収率は4重量%以下であるのが好ましい。これにより耐熱性が向上すると共に、大気から偏光子3及び位相差フィルム4への水分の浸入が抑えられ、偏光板の耐光性が向上する。ここで、煮沸吸水率とは、硬化物を沸騰水中に1時間浸漬した後に増加した質量の、浸漬前の硬化物の質量に対する百分率を意味し、「JIS K 6911」に従って求めたものである。
封止剤8の透湿度は、通常、60g/(m・24hr)以下が好ましく、より好ましくは25g/m・24hr以下である。封止剤8の透湿度が60g/m・24hr以下であると、大気から偏光子3及び位相差フィルム4への水分の浸入を一層抑えることができ、偏光板の耐光性を向上させることができる。ここで、透湿度とは、封止剤を厚み100μmに調製した硬化物を温度40℃、相対湿度90%環境下で透過する水分量を「JIS Z 0208」に従って求めたものである。
封止剤8の注入は、後述するように、封止剤中への気泡の混入を低減する観点から、透明基板1と透明基板2との間に、接着剤層5,6,7によって偏光子3及び位相差フィルム4が接合された後に減圧下で行うのが好適である。あるいはまた、封止剤8の注入は、接着剤層6,7によって透明基板2に偏光子3及び位相差フィルム4を接合した後、偏光子3と透明基板1とを接合する際に同時に行ってもよく、この場合、封止剤8は、封止機能と共に接着機能をも果たすことがある。
偏光子3の両面に形成される接着剤層5と接着剤層6は、そのガラス転移温度を異なるようにするのが望ましい。これによって、透過光による発熱で偏光板内部に応力歪みが生じても偏光子3の剥がれを抑制できる。具体的なガラス転移温度に特に限定はないが、接着剤層5,6のガラス転移温度の差は60℃以上あることが好ましい。通常は、一方の接着剤層のガラス転移温度を−80℃〜−10℃の範囲、より好ましくは−70℃〜−30℃の範囲とし、他方の接着剤層のガラス転移温度を50℃〜200℃の範囲、より好ましくは80℃〜120℃の範囲とすることが推奨される。ここで、ガラス転移温度はJIS C 6481で測定される値である。
ガラス転移温度が−80℃〜−10℃の接着剤層を形成する接着剤の具体例としては、弾性接着剤(例えば、シリコーンゴム、アクリルゴム等)及び粘着剤(例えば、アクリル系粘着剤など)が挙げられる。
ガラス転移温度が50℃〜200℃の接着剤層を形成する接着剤の具体例としては、エポキシ樹脂系接着剤(例えばセメダイン社製熱硬化性エポキシ樹脂EP582、ADEKA社製 紫外硬化性エポキシ樹脂KR695A)、ウレタン樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤などの熱硬化性接着剤、シリコーン樹脂(例えば、紫外線硬化型シリコーンシリル基末端ポリエーテルを有する変成シリコーン樹脂)、シアノアクリレート、アクリル樹脂などの紫外線硬化性接着剤などが挙げられる。
図1の偏光板において、接着剤層5は硬化性接着剤からなるのが好ましく、接着剤層6は弾性接着剤又は粘着剤からなるのが好ましい。また、偏光子3で発生した熱は、主に透明基板1から放出されるため、接着剤層5の厚みは重要である。接着剤層5の厚みは0.1μm以上15μm以下が好ましく、より好ましくは、1μm以上10μm以下である。接着剤層5の厚みを0.1μm以上とすることにより、十分な接着強度が得られ、15μm以下とすることにより、偏光子3で発生した熱を効率よく透明基板1へ伝導でき、偏光板の耐光性を向上させることができる。なお、接着剤層5による偏光子3と透明基板1との接合は、第1の接着剤層5への気泡の混入を防止するためには、大気圧下よりも減圧下で行うのが望ましい。
接着剤層7を形成する接着剤は、弾性接着剤・粘着剤又は硬化性接着剤のいずれでもよいが、生産性等を考慮すれば弾性接着剤又は粘着剤であるのが好ましい。
本発明で使用する透明基板1,2の材質としては、例えば、無機透明材料が挙げられる。具体的には、珪酸塩ガラス、ホウ珪酸塩ガラス、チタン珪酸塩ガラス、フッ化ジルコニウム等のフッ化物ガラス、溶融石英、水晶、サファイア、YAG結晶、蛍石、マグネシア、スピネル(MgO・Al)などが例示される。これらの中でも、偏光子3及び位相差フィルム4で発生する熱を効率よく外部に放熱し、偏光子3及び位相差フィルム4を低温化して偏光板の耐光性を向上させる観点から、熱伝導率が5W/mK以上のものが好ましい。このような材質としては、例えば、サファイア(熱伝導率:40W/mK)や水晶(熱伝導率:8W/mK)が例示される。
また、透明基板1,2の少なくとも一方は、380nmから780nmの波長範囲における正面位相差が5nm未満であることが好ましい。透明基板1,2の正面位相差が5nm未満であると、光源からの光が偏光子3を通過することで生成する偏光の面がゆがむことなく、透明基板1,2を通過するため、プロジェクターから投射される画面のコントラストが良好となる。このような透明基板1,2としては、珪酸塩ガラス、ホウ珪酸塩ガラス、チタン珪酸塩ガラス、溶融石英(石英ガラス)、マグネシア、スピネルが例示される。
ここで「正面位相差」とは、透明基板面内の屈折率が最大となる方向をX軸、X軸に垂直な方向をY軸、透明基板の厚さ方向をZ軸とし、それぞれの軸方向の屈折率をnx1、ny1、nz1とし、フィルム厚みをd(nm)とした場合に、(nx1−ny1)×dで計算される数値である。
透明基板1,2の厚さとしては、工業化する場合の歩留まりや適用するプロジェクター光学系とのサイズ的なマッチングの観点から、0.05mm〜3mmが好ましく、更に好ましくは0.08〜2mmである。透明基板1,2の厚さが0.05mm以上であると、加工時に透明基板の破損が抑制され、安定的に製造できる。また、透明基板1,2の厚さが3mm以下であると、得られる偏光板を小型化・軽量化できる。
透明基板1,2の空気と接する外面には、使用する光の波長に応じた反射防止処理を施すことが望ましい。反射防止処理としては、例えば、スパッタ法や真空蒸着法による誘電体多層膜の形成によるもの、コーティングによる一層以上の低屈折率層の付与などによる方法が挙げられる。さらに、反射防止面には、表面に汚れが付着することを防止するための防汚処理が付与されていてもよい。防汚処理としては、例えば、反射防止性能にほとんど影響を与えない程度のフッ素を含む薄膜層を表面に形成することが挙げられる。
本発明で使用する偏光子3としては、吸収型偏光子、反射型偏光子、拡散型偏光子のいずれあってもよい。吸収型偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂を1軸延伸したフィルムにヨウ素、あるいは二色性染料など、二色性色素を吸着させたPVA系樹脂からなる偏光子が挙げられる。反射型偏光子としては、例えば、金属細線を配列させてなるワイヤグリッド偏光子、誘電体薄膜を積層してなるフォトニック結晶偏光子、あるいは誘電体多層膜偏光子が挙げられる。これらは、透明基板の上に直接形成されるか、または透明フィルム上に形成され、偏光子として供される。また、反射型偏光子としては、例えば、特定の条件を満たす位相差を有するフィルムを積層してなる偏光子(3M Companyより商品名DBEFとして販売されているもの等)が挙げられる。拡散型偏光子としては、バインダー中に特定の条件を満たす液晶分子を配向・分散させてなる偏光子等がある。
本発明の偏光板では、吸収型偏光子を用いた場合にその効果は顕著である。吸収型偏光子としては、ポリビニルアルコール系の樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン/酢酸ビニル(EVA)樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等の偏光子の基材に、二色性染料又はヨウ素を吸着配向されたものが例示できる。
ここで、偏光子3の基材に用いられるポリビニルアルコール系の樹脂には、ポリ酢酸ビニルの部分又は完全ケン化物であるポリビニルアルコール;ケン化EVA樹脂などの酢酸ビニルと他の共重合可能な単量体(例えば、エチレンやプロピレンのようなオレフィン類、クロトン酸やアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸のような不飽和カルボン酸類、不飽和スルホン酸類、ビニルエーテル類等)との共重合体のケン化物;ポリビニルアルコールをアルデヒドで変性したポリビニルホルマールやポリビニルアセタール等が包含される。偏光子の基材としては、ポリビニルアルコール系の樹脂のフィルム、特にポリビニルアルコールからなるフィルムが、染料の吸着性及び配向性の観点から好適に用いられる。
ポリビニルアルコール/ポリビニレンコポリマーからなる偏光子とは、延伸などによって分子的に配向したポリビニルアルコールフィルムを濃塩酸又は濃硫酸などに曝して、一部を脱水してポリビレンの共役ブロックを生成したものである。該コポリマーをそのまま偏光子としてもよいが、通常、ホウ酸及び/又はホウ砂を含浸させてものが偏光子として用いられる。
偏光子3の基材に吸着配向されるものとしては、耐光性の観点から二色性染料が好ましい。波長依存性の異なる染料を用いることにより、投射型液晶表示装置のブルーチャンネル(Bch)用、グリーンチャンネル(Gch)用、レッドチャンネル(Rch)用のそれぞれの偏光子が作製される。
二色性染料としては、「液晶表示装置用二色性色素の開発」(栢根ら、住友化学、2002−II、23〜30頁)に記載されている化合物が挙げられる。具体的には、遊離酸の形で式(I)で示される二色性染料が例示される。
(式(I)中、Meは銅原子、ニッケル原子、亜鉛原子および鉄原子から選ばれる金属原子を示す。A1は置換されていてもよいフェニル基または置換されていてもよいナフチル基を示す。B1は置換されていてもよいナフチル基を示し、Meに結合している酸素原子と−N=N−で示されるアゾ基とは、ベンゼン環上の炭素が互いに隣接位置にある炭素に結合している。R1およびR2はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、カルボキシル基、スルホキシ基、スルホンアミド基、スルホンアルキルアミド基、アミノ基、アシルアミノ基、ハロゲン原子またはニトロ基を示す。)
また、遊離酸の形で式(II)で示される二色性染料が例示される。
(式(II)中、A3およびB3はそれぞれ独立に置換されていてもよいフェニル基または置換されていてもよいナフチル基を示し、R3およびR4はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、カルボキシル基、スルホキシ基、スルホンアミド基、スルホンアルキルアミド基、アミノ基、ハロゲン原子またはニトロ基を示し、mは0または1を示す。)
また、遊離酸の形で式(III)で示される二色性染料が例示される。
Q1−N=N−Q2−X−Q3−N=N−Q4 (III)
〔式(III)中、Q1およびQ4はそれぞれ独立に置換されていてもよいフェニル基または置換されていてもよいナフチル基を示し、Xは化学式(III−1)
または化学式(III−2)
で示される2価の残基を示す。Q2およびQ3はそれぞれ独立に置換されていてもよいフェニレン基をしめす。〕
また、式(IV)
〔式(IV)中、Meは銅原子、ニッケル原子、亜鉛原子および鉄原子から選ばれる金属原子を示し、Q5およびQ6はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいナフチル基を示し、Meと結合している酸素原子と−N=N−で示されるアゾ基とは、ベンゼン環上の炭素が互いに隣接位置にある炭素に結合している。Yは化学式(IV−1)
または、化学式(IV−1)
で示される2価の基を示す。R5およびR6はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基またはスルホキシ基を示す。〕
で示される二色性染料が例示される。
また、二色性染料としては、シ−・アイ・ダイレクト・イエロ−12、シ−・アイ・ダイレクト・レッド31、シ−・アイ・ダイレクト・レッド28、シ−・アイ・ダイレクト・イエロ−44、シ−・アイ・ダイレクト・イエロ−28、シ−・アイ・ダイレクト・オレンジ107、シ−・アイ・ダイレクト・レッド79、シ−・アイ・ダイレクト・レッド2、シ−・アイ・ダイレクト・レッド81、シ−・アイ・ダイレクト・オレンジ26、シ−・アイ・ダイレクト・オレンジ39、シ−・アイ・ダイレクト・レッド247およびシ−・アイ・ダイレクト・イエロ−142からなる群で示されるカラー・インデックス・ジェネリック・ネーム(Color Index Generic Name)で表わされるものなどが例示される。
二色性染料は、遊離酸の形で用いられてもよいし、アンモニウム塩、エタノールアミン塩、アルキルアミン塩などのアミン塩の形で用いられてもよいが、通常、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩の形で用いられる。かかる二色性染料はそれぞれ単独または2種以上を組み合わせて用いられる。
偏光子3は、例えば、次のようにして製造される。まず、二色性染料を0.0001〜10重量%程度の濃度となるように水に溶解して染浴を調製する。必要により染色助剤を用いてもよい。例えば、染色助剤としての芒硝を染浴中に0.1〜10重量%溶解するのが好適である。
このようにして調製した染浴に偏光子の基材を浸漬し染色を行う。好ましい染色温度は40〜80℃である。染料の配向は、染色の前の偏光フィルム基材または染色された偏光子の基材を延伸することによって行われる。延伸する方法としては、例えば、湿式法または乾式法等で延伸する方法等が挙げられる。
偏光子3の光線透過率、偏光度及び耐光性を向上させる目的で、ホウ酸処理等の後処理を施してもよい。ホウ酸処理は、用いる偏光子の基材の種類や用いる染料の種類によって異なるが、通常、1〜15重量%、好ましくは5〜10重量%範囲の濃度に調製されたホウ酸水溶液を用いて、30〜80℃、好ましくは50〜80℃の温度範囲で偏光フィルム基材を浸漬させる処理である。更に必要に応じて、カチオン系高分子化合物を含む水溶液でフィックス処理を併せて行ってもよい。
本発明で使用する偏光子3の水分含有量は、好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下である。PVAに二色性染料を添加して作成した偏光子では、水分含有量を5重量%以下とすると、染料の分解が著しく抑制され、得られる偏光板の耐光性を大きく向上させることができる。
偏光子3の水分含有量の測定方法は、偏光子を曝露した状態で130℃×20分間、通風乾燥し、偏光子重量の減った量の占める割合を求める方法である。すなわち、下記式から偏光子の水分含有量を算出する。
(水分含有量,%)=[(W1−W2)/W1]×100
W1:偏光子の乾燥前の重量,W2:偏光子の乾燥後の重量
偏光子3の水分含有量の調整は、偏光子を乾燥することによりできる。偏光子3の水分含有量を5重量%以下に調整するための乾燥工程は、偏光子3に透明基板が全く接合されていない段階でもよいし、偏光子3に透明基板が接合された後の段階でもよいが、透明基板が接合された段階で乾燥する方が、偏光子3の平坦性を維持することができ、また偏光子3の透明基板を接合していない面からの水分除去が迅速に行われるためより好ましい。さらにこの場合、乾燥後の透明基板側からの水分の浸入がなく、偏光子3の乾燥状態を維持しやすいという利点もある。
乾燥方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば加熱乾燥法や減圧乾燥法などが挙げられる。偏光板の生産設備の簡易性等からは加熱乾燥法が好ましい。加熱乾燥法としては、例えば、加熱オーブンへ投入する方法、偏光板に光を照射して、偏光子の光の吸収による偏光板自体の発熱を利用する方法などが挙げられる。加熱乾燥法における加熱温度としては、加熱の方法に関わらず130℃以下が好ましく、より好ましくは、40℃〜130℃である。40℃以上とすることにより、比較的短時間で乾燥を終了することができ、130℃以下とすることにより接着剤層や保護層の劣化や偏光子の光学特性の劣化を抑えることができる。さらに好ましい加熱温度は50〜100℃である。
本発明で使用する位相差フィルム4としては特に限定はなく、従来公知ものが使用でき、例えば傾斜配向又はハイブリッド配向されたディスコティック液晶が、架橋された透明な有機高分子からなるマトリクスに保持されたものが使用できる。位相差フィルム4のマトリクス材料としては、通常は、トリアセチルセルロースやポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等の耐環境性や耐薬品性に優れた有機高分子フィルムが好適である。
図2及び図3に、本発明に係る偏光板のさらに他の実施形態を示す。この図の偏光板が、図1の偏光板と異なる点は、透明基板1が、偏光子3及び位相差フィルム4、接着剤層5,6,7よりも面積の狭い点であり、封止剤8によって、透明基板1と透明基板2との狭隘部にある偏光子3及び位相差フィルム4、接着剤層5,6,7の外周部が被覆されている。図3の偏光板は、2枚の透明基板1,2が、偏光子3及び位相差フィルム4、接着剤層5,6,7よりも面積の狭い場合の例であり、封止剤8によって、透明基板1と透明基板2から外方へ突出した偏光板3及び位相差フィルム4、接着剤層5,6,7の外周部が被覆されている。
図4の偏光板は、2枚の偏光子3a,3bを有するものであり、離隔対向する透明基板1と透明基板2の間に、透明基板1から順に、接着剤層51、偏光子3a、接着剤層6、偏光子3b、接着剤層52、位相差フィルム4、接着剤層7が形成されてなる。そして、2枚の偏光子3a、3b及び位相差フィルム4の、接着剤層6,7,51,52と接していない露出部分は、封止剤8で覆われ、空気中からの偏光子3a,3b及び位相差フィルム4への水分の浸入が防止された構成となっている。
ここで、接着剤層51と接着剤層6及び接着剤層6と接着剤層52のガラス転移温度をそれぞれ異なるようにするのが望ましい。これによって、透過光による発熱で偏光板内部に応力歪みが生じても偏光子3a,3bの剥がれを抑制できる。接着剤層51,52は硬化性接着剤からなるのが好ましく、接着剤層6は弾性接着剤又は粘着剤からなるのが好ましい。
また図4に示す2枚の偏光子3a,3bを備えた偏光板では、入射光が最初に透過する偏光子3aの吸収軸方向透過率を、入射光が次に透過する偏光子3bの透過率よりも高くするのが好ましい。具体的には、使用する光の中心波長において、2番目に光が透過する偏光子3bの吸収軸方向の吸収軸方向透過率を1%以下とし、最初に光が透過する偏光子3aの吸収軸方向透過率を10%以上70%以下とするのが好ましい。偏光子3aの吸収軸方向の透過率が10%より低いと、偏光子3aでの発熱量が大きくなり偏光子3aの劣化が促進される懸念がある。他方、偏光子3aの吸収軸方向の透過率が70%より高いと、偏光子3aの発熱量が大きくなる懸念がある。偏光子3aの吸収軸方向の透過率を10%以上70%以下とすることによって、偏光子3aと偏光子3bの熱負荷に不均衡が生じず、偏光子3aと偏光子3bとが一体的に積層された偏光板の劣化を抑えることができる。なお、使用する光の中心波長はRGBの色により異なり、吸収軸透過率を測定する波長は、Rchは610nm、Gchは550nm、Bchは440nmである。
以上、説明した偏光板の実施形態では、偏光子を1枚又は2枚用いていたが、本発明の偏光板において、偏光子の枚数に限定はなく、偏光子を3枚以上用いても同様の効果を得られる。透明基板についても同様に、3枚以上用いても同様の効果が得られる。
図5に、本発明に係る偏光板のさらに他の実施形態を示す。図5の偏光板は2枚の位相差フィルム4a,4bを備える。、離隔対向する透明基板1と透明基板2の間に、透明基板2から順に、接着剤層7、位相差フィルム4a、接着剤層52、位相差フィルム4b、接着剤層6、偏光子3、接着剤層51が形成されてなる。そして、2枚の位相差フィルム4a,4b及び偏光子3の、接着剤層6,7,51,52と接していない露出部分は、封止剤8で覆われ、空気中からの偏光子3及び位相差フィルム4a,4bへの水分の浸入が防止された構成となっている。
ここで、前述と同様に、偏光子3の両側に形成される接着剤層6と接着剤層51のガラス転移温度をそれぞれ異なるようにするのが望ましい。これによって、透過光による発熱で偏光板内部に応力歪みが生じても偏光子3の剥がれを抑制できる。接着剤層51は硬化性接着剤からなるのが好ましく、接着剤層6は弾性接着剤又は粘着剤からなるのが好ましい。
本発明の偏光板は、例えば、投射型液晶表示装置(プロジェクター)に用いられる。その詳細を、図8に示すリアプロジェクターの光学系を例に説明する。
高圧水銀ランプ111を光源とする光線束は、まずは第1のレンズアレイ112、第2のレンズアレイ113、偏光変換素子114、重畳レンズ115により反光線束断面での輝度の均一化と偏光化が行われる。具体的には光源111から出射された光線束は、微小なレンズ112aがマトリクス状に配置された第1のレンズアレイ112によって多数の微小な光線束に分割される。第2のレンズアレイ113及び重畳レンズ115は、分割された光線束のそれぞれが、照明対象である3つのLCDパネル140R,140G,140Bの全体を照射するように備えられており、このため、各LCDパネル入射側表面は全体がほぼ均一な照度となる。
偏光変換素子114は、通常、偏光ビームスプリッタアレイにより構成され、第2のレンズアレイ113と重畳レンズ115との間に配置される。これにより光源からのランダム偏光をあらかじめ特定の偏光方向を有する偏光光に変換し、後述する入射側偏光板での光量損失を低減して、画面の輝度を向上させる役割を果たしている。
輝度の均一化と偏光化された光は反射ミラー122を経由してRGBの3原色に分離するためのダイクロイックミラー121,123,132により順次、レッドチャンネル、グリーンチャンネル、ブルーチャンネルに分離され、それぞれLCDパネル140R,140G,140Bに入射する。
LCDパネル140R,140G,140Bについて、その入射側及び出射側にそれぞれ本発明の偏光板(入射側)142及び偏光板(出射側)143が配置されている。
RGBそれぞれの光路に液晶パネルを挟んで、入射側と出射側に配置される2枚の偏光板について説明する。各光路に配置される偏光板(入射側)142及び偏光板(出射側)143は、その吸収軸を直行とした構成で配置され、各光路に配置される各LCDパネル140R,140G,140Bで画像信号により各画素ごとに制御された偏光状態を光量に変換する機能を果たしている。
本発明の偏光板は、ブルーチャンネル、グリーンチャンネル、レッドチャンネルの全ての光路で共通した構成であり、どの光路においても耐久性の優れた偏光板として有効であるが、中でもブルーチャンネル、グリーンチャンネルでは特に有効である。
LCDパネル140R,140G,140Bの画像データに応じて、画素毎に異なる透過率で入射光を透過させることによって作成された光学像は、クロスダイクロイックプリズム150により合成され、投写レンズ170によって、スクリーン180に拡大投写される。
本偏光板は、通常、入射側、出射側ともより吸収軸方向透過率の小さい偏光子が光源側になるよう配置される。
(実施例1)
実施例1として、図1に示す構成の偏光板を以下のように作製した。まず、ポリビニルアルコールフィルム(クラレ社製 VF−PX、以下、PVA)を一軸延伸し、ポリアゾ系の青色を吸収する染料で染色し、乾燥させて、プロジェクターブルーチャンネル用の偏光子を得た。偏光子3として440nmにおける偏光度が99.9%、吸収軸方向透過率が0.0%のものを得た。位相差フィルム4として、ポリカーボネートを主成分とするλ/2板を用いた。
位相差フィルム4の片面に、接着剤層6としてアクリル系粘着剤(リンテック社製:ガラス転移温度:−50℃)を塗布し、接着剤層4と偏光子3を接合し、中間体(A)を得た。中間体(A)の位相差フィルム4の片面に、接着剤層7として粘着剤(リンテック社製:ガラス転移温度:−60℃)を塗布し、接着剤層7と透明基板2である厚み0.5mmのガラス基板とを接合し、中間体(B)を得た。
中間体(B)を80℃のオーブンで24時間乾燥させた後、透明基板1である厚み0.5mmのサファイア基板に、接着剤層5としてエポキシ系紫外硬化性樹脂(ナガセケムテックス社性:XNR5542:ガラス転移温度:105℃)を塗布し、接着剤層5と中間体(B)の偏光子面を減圧下接合した。その後、封止剤8であるエポキシ系紫外硬化性樹脂(スリーボンド社性:TB3025G:透湿度10g/m・24hr)で偏光子3、位相差フィルム4、接着剤層5、接着剤層6、接着剤層7の露出部を被覆し、図1に示す構成の偏光板を得た。
得られた偏光板を図9に示す耐光性評価装置のブルーチャンネル用の光路に投入し、劣化による光漏れの発生有無により耐光性を評価したところ、良好な耐光性を示した(以下、この評価を初期評価という場合がある)。また、得られた偏光板を60℃、相対湿度90%の環境下に72時間放置し、その後同様に耐光性評価を行ったが、初期評価と同等の耐光性を有し、光漏れは見られなかった(以下、この評価を長期評価という場合がある)。また、得られた偏光板を110℃の環境下で72時間保管したところ偏光子の剥がれは観察されなかった(以下この評価を耐熱性試験という場合がある)。
このとき用いた耐光性評価装置は、フィリップス社製の130Wの高圧水銀ランプを光源とし、偏光ビームスプリッタアレイやレンチキュラーレンズなど、リアプロジェクションTVの光学系と同様の光学系を有し、偏光板への照射光量としては、1cm当たり3.0Wであった。ここで光漏れとは、耐光性評価装置に投入後に起きる偏光板の劣化現象であり、吸収軸方向の透過率が上昇する現象である。評価対象の偏光板と正常な偏光板とをクロスニコルに配置した場合、本来透過率が低いはずのものが、光が漏れて透過してくるためこのように表現している。本実験では、Bch用偏光板の耐光性評価を行っており、光漏れの基準は「440nmでの吸収軸方向透過率が0.3%以下であれば光漏れ無し」とした。
(実施例2〜6)
透明基板1、透明基板2、封止剤8、接着剤層5、接着剤層6、および接着剤層7を表1に記載のものを用い、中間体(B)の乾燥条件を表1に記載で行なうこと以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。尚、粘着剤2とは、リンテック社製のアクリル系粘着剤(ガラス転移温度:−60℃)であり、「XNR5516Z」とは、紫外硬化性エポキシ樹脂(ナガセケムテックス社製 XNR5516Z:透湿度10g/m・24hr)である。
耐光性評価(初期評価及び長期評価)並びに耐熱性評価を実施例1と同様に行い、結果を実施例1の結果と共に表1に示す。
(比較例1)
図6に示す構成の偏光板を次のようにして作製した。実施例1で作製した偏光子3の両面に、保護フィルムであるトリアセチルセルロースフィルム9a,9bを貼合し偏光膜を作成した。続いて、透明基板(サファイア)2に接着剤層7として粘着剤(リンテック社製:ガラス転移温度:−60℃)、位相差フィルム4、接着剤層6及び上記偏光膜(TAC/偏光子/TAC)を貼合した。耐光性評価(初期評価及び長期評価)並びに耐熱性評価を実施例1と同様に行った。結果を表1に合わせて示す。
(比較例2)
比較例1の透明基板2の材質をサファイアに代えて水晶とした以外は比較例1と同様にして偏光板を作製し、耐光性評価(初期評価及び長期評価)並びに耐熱性評価を行った。結果を表1に合わせて示す。
(参考例)
偏光子3、位相差フィルム4、接着剤層5、接着剤層6、接着剤層7の露出部を封止剤で被覆しなかった以外は実施例1と同様にして図7に示す構成の偏光板を作製し、耐光性評価(初期評価及び長期評価)並びに耐熱性評価を実施例1と同様に行った。結果を表1に合わせて示す。
本発明の偏光板は、耐光性が一層、優れる。
本発明の偏光板の構成の一例を示す概説図である。 本発明の偏光板の構成の他の例を示す概説図である。 本発明の偏光板の構成の他の例を示す概説図である。 本発明の偏光板の構成の他の例を示す概説図である。 本発明の偏光板の構成の他の例を示す概説図である。 比較例1,2の偏光板の構成を示す概説図である。 参考例の偏光板の構成を示す概説図である。 プロジェクター光路図である。 耐光性評価装置の概説図である。
符号の説明
1,2 透明基板
3 偏光子
3a 偏光子
3b 偏光子
4 位相差フィルム
4a 位相差フィルム
4b 位相差フィルム
5 接着剤層
6 接着剤層
7 接着剤層
8 封止剤
20 高圧水銀ランプ
21 UV/IRカットフィルター
22 フライアイレンズ
23 偏光ビームスプリッタアレイ
24 ダイクロイックミラー
25 レンズ
26 サンプルホルダー
27 白色光
28 赤色、緑色光
29 青色光
51,52 接着剤層
111 高圧水銀ランプ
112 レンズアレイ
112a 微小なレンズ
113 レンズアレイ
114 偏光変換素子
115 重畳レンズ
122 反射ミラー
121 ダイクロイックミラー
123 ダイクロイックミラー
132 ダイクロイックミラー
134 反射ミラー
135 レンズ
140R 赤色用LCDパネル
140G 緑色用LCDパネル
140B 青色用LCDパネル
142 偏光板(入射側)
143 偏光板(出射側)
150 クロスダイクロイックフィルム
170 投射レンズ
180 スクリーン

Claims (16)

  1. 少なくとも2枚の透明基板が離隔対向し、一方の最外に位置する第1の透明基板と他方の最外に位置する第2の透明基板との間に、少なくとも偏光子と位相差フィルムとが設けられた偏光板であって、
    前記偏光子と前記位相差フィルムとが外気に接しないように封止されていることを特徴とする偏光板。
  2. 前記偏光子の一方面側に第1の接着剤層が設けられ、他方面側に第2の接着剤層が設けられ、第1の接着剤層と第2の接着剤層のガラス転移温度が異なっている請求項1記載の偏光板。
  3. 第1の接着剤層及び第2の接着剤層の、一方の接着剤層が弾性接着剤又は粘着剤からなり、他方の接着剤層が硬化性接着剤からなる請求項2記載の偏光板。
  4. 前記偏光子は、第1の接着剤層によって第1の透明基板と接合し、第2の接着剤層によって前記位相差フィルムと接合している請求項2又は3記載の偏光板。
  5. 第2の透明基板と前記位相差フィルムとが第3の接着剤層で接合されている請求項1〜4のいずれか記載の偏光板。
  6. 第3の接着剤層が弾性接着剤又は粘着剤からなる請求項5記載の偏光板。
  7. 第1の透明基板及び第2の透明基板に取り付けられた前記偏光子及び前記位相差フィルムの、第1の接着剤層及び第3の接着剤層と接していない露出部分が封止剤で封止されている請求項4〜6のいずれか記載の偏光板。
  8. 前記封止剤が、透湿度60g/(m・24hr)以下の樹脂である請求項7記載の偏光板。
  9. 前記封止剤の煮沸吸水率が4重量%以下である請求項7又は8記載の偏光板。
  10. 前記封止剤が、前記第1の接着剤層と同一材料である請求項7〜9のいずれか記載の偏光板。
  11. 第1の透明基板及び第2の透明基板の少なくとも一方の熱伝導率が5W/(m・K)以上である請求項1〜10のいずれか記載の偏光板。
  12. 第1の透明基板及び第2の透明基板の少なくとも一方の正面位相差が、380nm〜780nmの波長範囲において5nm未満である請求項1〜11のいずれか記載の偏光板。
  13. 前記偏光子の水分含有量が5重量%以下である請求項1〜12のいずれか記載の偏光板。
  14. 少なくとも2枚の透明基板が離隔対向し、一方の最外に位置する第1の透明基板と他方の最外に位置する第2の透明基板との間に、少なくとも偏光子と位相差フィルムとが設けられ、前記偏光子と前記位相差フィルムとが外気に接しないように封止され、前記偏光子の一方面側に第1の接着剤層が設けられ、他方面側に第2の接着剤層が設けられ、第1の接着剤層と第2の接着剤層のガラス転移温度が異なっている偏光板の製造方法であって、
    減圧下で、第1の接着剤層及び/又は第2の接着剤層の形成を行う工程を有することを特徴とする偏光板の製造方法。
  15. 前記偏光子を130℃以下の温度で乾燥する工程をさらに有する請求項14記載の製造方法。
  16. 請求項1〜13のいずれか記載の偏光板を有することを特徴とする投射型液晶表示装置。
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