JP2010116521A - エポキシ樹脂の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】イソシアヌレート環の発生が顕著に抑制され、安定性に優れたエポキシ樹脂およびその製造方法、安定性に優れたエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、および十分な耐熱性と強度を有する繊維強化複合材料を製造方法の提供。
【解決手段】グリシジル化合物(α)とイソシアネート化合物(β)を40〜90℃の範囲で予め混合し溶解させる工程、触媒を添加する工程、130〜180℃で5時間以上加熱する工程、を有するオキサゾリドン環を有するエポキシ樹脂(A)の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、特定の構造を有するエポキシ樹脂の製造方法及びこれを用いたエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、繊維強化複合材料に関する。
エポキシ樹脂は硬化後の機械的特性、電気的特性や接着性に優れるため、電子材料用封止材、塗料・塗装用材料、接着剤等の分野に広く用いられている。とりわけ、加工性と耐熱性を両立させる観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂と、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン等の多官能エポキシ樹脂、さらにはフェノキシ樹脂等の熱可塑性樹脂を組み合わせた樹脂組成物が幅広く使用されている。
また、昨今、さらなる強靭化・高耐熱化・軽量化等の高機能化への要請がある。耐熱性と可撓性を両立できるエポキシ樹脂としては、例えば、特許文献1に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のトリレンジイソシアネート変性エポキシ樹脂が挙げられる。
トリレンジイソシアネート以外にも特許文献2には、ポリメチレンイソシアネートを用いてビスフェノールA型エポキシ樹脂を変性させたエポキシ樹脂が記載されている。
特開平5−222160号公報 特表平4−506678号公報
近年の要求事項としては、さらなる耐熱性や低粘度化が求められている。しかしながら、特許文献1、2ともに、耐熱性を高めるためにイソシアネートの量を増やすと、同時に高粘度化してしまい、耐熱性と低粘度化を両立することはできない。
さらなる耐熱性や低粘度化の向上手段の一つとして、イソシアネート化合物の骨格が剛直であるナフタレン骨格を有するイソシアネートによる変性があげられる。しかし、特許文献1、2に記載の従来公知の方法でエポキシ樹脂に代表されるグリシジル化合物とナフタレン骨格を有するイソシアネートとの反応により変性を行うと、イソシアヌレート環の発生を抑制することが困難であり、また安定した製造が困難となる。さらに、得られた樹脂の安定性も悪いものである。
本発明者は、上記課題を解決するために、製造方法の鋭意研究を重ねた結果、特定の工程を含む製造方法によると、ナフタレン骨格を有するイソシアネート化合物による変性においてイソシアヌレート環の発生を顕著に抑制し、保存安定性に優れたエポキシ樹脂を製造でき、さらに保存安定性に優れたエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、および十分な耐熱性と強度を有する繊維強化複合材料を製造でき、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1]
式(1)で表される構造を有するグリシジル化合物(α)と式(2)で表されるイソシアネート化合物(β)を40〜90℃の範囲で予め混合し溶解させる工程、
触媒を添加する工程、
130〜180℃で5時間上加熱する工程、
を有するオキサゾリドン環を有するエポキシ樹脂(A)の製造方法。
Figure 2010116521
(式中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示す)
Figure 2010116521
(式中、R′〜R′は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す)。
[2]
前記エポキシ樹脂(A)が下記式(3)で表される構造を有する前項[1]に記載のエポキシ樹脂(A)の製造方法。
Figure 2010116521
(式中、R′〜R′は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Rは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示す)。
[3]
前記式(1)で表される構造を有するグリシジル化合物(α)と前記式(2)で表されるイソシアネート化合物(β)を40〜90℃の範囲で予め混合し溶解させる工程、触媒を添加する工程、130〜180℃で5時間以上加熱する工程、により得られうるオキサゾリドン環を有するエポキシ樹脂(A)。
[4]
前記エポキシ樹脂(A)が前記式(3)で表される構造を有する前項[3]に記載のエポキシ樹脂(A)。
[5]
下記式(4)で表されるヌレート比が0.2以下である前項[3]または[4]に記載のエポキシ樹脂(A)。
ヌレート比=吸光度A/吸光度B (4)
(吸光度A:イソシアヌレート環由来の波数1710cm−1の吸光度、吸光度B:オキサゾリドン環由来の波数1750cm−1の吸光度)
[6]
前項[3]〜[5]いずれか一項に記載のエポキシ樹脂(A)、(A)とは異なるエポキシ樹脂(B)および/または硬化剤(C)を含有するエポキシ樹脂組成物。
[7]
可塑剤(D)を更に含有する前項[6]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[8]
フィラー(E)を更に含有する前項[6]または[7]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[9]
繊維基材に前項[6]〜[8]いずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物を塗布および/または浸漬により含浸させて得られうるプリプレグ。
[10]
前項[6]〜[8]いずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物に有機および/または無機の短繊維を加えて得られうるプリプレグ。
[11]
更にプリプレグを乾燥させて得られうる前項[9]または[10]に記載のプリプレグ。
[12]
前項[9]〜[11]のいずれか一項に記載のプリプレグを積層し、加熱加圧形成させて得られうる繊維強化複合材料。
本発明によれば、特定の構造を有するイソシアネート化合物により変性されたエポキシ樹脂の製造において、イソシアヌレート環の発生を抑制したエポキシ樹脂の製造、安定性に優れたエポキシ樹脂組成物、安定性に優れたプリプレグ、および耐熱性と強度に優れた繊維強化複合材料の製造を可能にする。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、本実施形態)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[エポキシ樹脂(A)およびその製造方法]
本実施形態のオキサゾリドン環を有するエポキシ樹脂(A)の製造方法は、40〜90℃の範囲でグリシジル化合物(α)とイソシアネート化合物(β)を予め混合し溶解させる工程、触媒を混合する工程、130〜180℃で5時間以上加熱する工程を有することを特徴とする。
本実施形態のオキサゾリドン環を有するエポキシ樹脂(A)は、40〜90℃の範囲でグリシジル化合物(α)とイソシアネート化合物(β)を予め混合し溶解させる工程、触媒を混合する工程、130〜180℃で5時間以上加熱することにより得られうることを特徴とする。
グリシジル化合物(α)とイソシアネート化合物(β)を混合する温度は40℃から90℃であり、60℃から80℃であることが好ましい。90℃よりも高い温度で混合すると、グリシジル化合物(α)とイソシアネート化合物(β)が混合中に反応を起こしてしまい、得られる樹脂が不均一なものとなる。40℃よりもエポキシ樹脂(A)は、40〜90℃の範囲でグリシジル化合物(α)とイソシアネート化合物(β)を予め混合し溶解させる工程、触媒を混合する工程、130有すできなくなる可能性がある。
グリシジル化合物(α)とイソシアネート化合物(β)を40〜90℃の範囲で混合する時間は特に制限されないが、反応が起こる前に均一に混合せしめる観点から5分以下の範囲の時間で混合することが好ましく、3分以下の範囲の時間で混合することがより好ましい。
130〜180℃で5時間以上加熱する工程に先立ち、40〜90℃の範囲でグリシジル化合物(α)とイソシアネート化合物(β)を予め混合し溶解させる工程を有することによりイソシアネート化合物同士の反応が起こる前に均一に混合できるため、オキサゾリドン環をより多く有するエポキシ樹脂を生成し得るという効果を奏する。
本実施形態のエポキシ樹脂の製造方法により、エポキシ樹脂(A)は下記式(3)で表される構造を有することが好ましく、下記式(5)で表される構造を有することがより好ましい。
Figure 2010116521
(式中、R′〜R′は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Rは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示す)。
Figure 2010116521
(式中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示し、R〜Rは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R′〜R′は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す)
一般式(5)において、R〜Rで示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
一般式(5)において、R〜Rで示される炭素数1〜4のアルキル基としては、炭素数が1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を示し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
〜Rとしては、直鎖状よりも分岐鎖状の方が高耐熱性である傾向にあるため、好ましくはイソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基であり、より好ましくはtert−ブチル基である。
〜Rで示される炭素数1〜4のアルキル基は、置換可能な位置に、1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。かかる置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基)などが挙げられる。
本実施形態のエポキシ樹脂(A)は、樹脂保存安定性の観点から、下記式(4)で表されるヌレート比が0.2以下であることが好ましい。
ヌレート比=吸光度A/吸光度B (4)
(吸光度A:イソシアヌレート環由来の波数1710cm−1の吸光度、吸光度B:オキサゾリドン環由来の波数1750cm−1の吸光度)
本実施形態において、吸光度AおよびBは、赤外分光光度測定(日本分光(株)社製 「FT/IR−6100」(商標))により、エポキシ樹脂のイソシアヌレート環由来の波数1710cm−1の吸光度Aと、オキサゾリドン環由来の波数1750cm−1の吸光度Bを測定した。
値が0に近いほどヌレート環の比率が少なくオキサゾリドン環を多く有するエポキシ樹脂であることを意味する。
[グリシジル化合物(α)]
本実施の形態で用いるグリシジル化合物(α)(以下、「原料グリシジル化合物」とも称される)は、下記一般式(1)で表される構造を有し、好ましくは下記式(6)で表される構造を有する。
Figure 2010116521
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示す)
Figure 2010116521
(式中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示し、R〜Rは、ハロゲン原子、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す)
一般式(6)における、R〜Rで示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
一般式(6)における、R〜Rで示される炭素数1〜4のアルキル基としては、炭素数が1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を示し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
〜Rとしては、直鎖状よりも分岐鎖状の方が高耐熱性である傾向にあるため、好ましくはイソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基であり、より好ましくはtert−ブチル基である。
〜Rで示される炭素数1〜4のアルキル基は、置換可能な位置に、1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。かかる置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基)などが挙げられる。
上記式(1)で表される構造を有するグリシジル化合物(α)の具体例としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA、ビフェノール、等の2価フェノール類をグリシジル化した化合物;1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、4,4−〔1−〔4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕フェニル〕エチリデン〕ビスフェノール等のトリス(グリシジルオキシフェニル)アルカン類、等をグリシジル化した化合物;フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック、等のノボラックをグリシジル化した化合物、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等が挙げられるが、これらに特に限定されるものではない。尚、上記のグリシジル化合物(α)は、1種を単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
[イソシアネート化合物(β)]
本実施形態で用いるイソシアネート化合物(β)(以下、「原料イソシアネート化合物」とも称される)は、下記一般式(2)で表される化合物である。
Figure 2010116521
(式中、R′〜R′は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す)。
一般式(2)において、R′〜R′で示される炭素数1〜4のアルキル基としては、上記R〜Rで例示したものと同様なものが挙げられる。
R′〜R′としては、直鎖状よりも分岐鎖状の方が高耐熱性である傾向にあるため、好ましくはイソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基であり、より好ましくはtert−ブチル基である。
R′〜R′示される炭素数1〜4のアルキル基は、置換可能な位置に、1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。かかる置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基)などが挙げられる。
イソシアネート化合物(β)の具体例としては、例えば、ω,ω′−1,4−ジメチルナフタレンジイソシアネート、ω,ω′−1,5−ジメチルナフタレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、等が挙げられ、中でも、耐熱性の点から、ナフタレン−1,5−ジイソシアネートが好ましい。なお、イソシアネート化合物(β)は、1種を単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
[触媒]
本実施形態で使用される触媒は、オキサゾリドン環形成に使用されるものであれば、特に限定されないが、グリシジル化合物(α)とイソシアネート化合物(β)との反応において、オキサゾリドン環を選択的に生成する触媒であることが好ましい。
このようなオキサゾリドン環を生成する触媒の具体例としては、例えば、塩化リチウム、ブトキシリチウム等のリチウム化合物、3フッ化ホウ素等の錯塩;
テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムヨーダイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩;
ジメチルアミノエタノール、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ベンジルジメチルアミン、N−メチルモルホリン等の3級アミン;
トリフェニルホスフィン等のホスフィン類;
アリルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ジアリルジフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムクロライド、エチルトリフェニルホスホニウムヨーダイド、テトラブチルホスホニウムアセテート・酢酸錯体、テトラブチルホスホニウムアセテート、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムヨーダイド等のホスホニウム化合物;
トリフェニルアンチモン及びヨウ素の組み合わせ;
2−フェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、
等が挙げられる。なお、これらに特に限定されるものではない。また、これらの触媒は、1種を単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。オキサゾリドン環形成触媒の使用量は、特に限定されるものではなく、通常は原料となるグリシジル化合物(α)とイソシアネート化合物(β)の総量に対し5ppm〜2質量%程度の範囲で使用され、好ましくは10ppm〜1質量%、より好ましくは20〜5000ppm、さらに好ましくは20〜1000ppmの範囲である。触媒の使用量を2質量%以下とすることにより、耐湿性の低下を抑制することが可能となり、一方、5ppm以上とすることにより、生産効率を向上させることが可能となる。
グリシジル化合物(α)とイソシアネート化合物(β)との反応温度は、通常110〜200℃の範囲であり、好ましくは130〜180℃の範囲である。反応温度を180℃以下とすることにより、得られるエポキシ樹脂(A)のエポキシ樹脂同士の縮合反応による高粘度化等の性能劣化が抑制され、110℃以上とすることにより、トリイソシアヌレート環の生成が抑制される。
トリイソシアヌレート環が多く存在すると、保存中に粘度の上昇を招き、長期わたる安定性が悪化する。反応温度を130℃〜180℃の範囲であることで、得られるエポキシ樹脂の硬化物の耐水性低下や保存中の劣化を抑制することができる。
[エポキシ樹脂組成物]
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、上記エポキシ樹脂(A)、(A)とは異なる他のエポキシ樹脂(B)および/または硬化剤(C)を含有する。
[エポキシ樹脂(B)]
エポキシ樹脂(B)としては、特に限定されるものではなく、各種公知のものを適宜選択して用いることができる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ヒンダトイン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビスAノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン/フェノールエポキシ樹脂、脂環式アミンエポキシ樹脂、脂肪族アミンエポキシ樹脂、及び、これらをハロゲン化したエポキシ樹脂等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用することができる。
エポキシ樹脂(B)は、加工性向上や難燃性の付与、耐熱性の向上の観点から、エポキシ樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)の合計100質量部に対して5質量部〜90質量部であることが好ましく、10質量部〜70質量部であることがより好ましい。
[硬化剤(C)]
硬化剤(C)としては、特に限定されるものではなく、各種公知のものを適宜選択して用いることができるが、硬化時の反応速度の観点から、グアニジン誘導体、芳香族アミン化合物及びノボラック型フェノール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらグアニジン誘導体、芳香族アミン化合物及びノボラック型フェノール樹脂は、1種を単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
グアニジン誘導体の具体例としては、例えば、ジシアンジアミド、ジシアンジアミド−アニリン付加物、ジシアンジアミド−メチルアニリン付加物、ジシアンジアミド−ジアミノジフェニルメタン付加物、ジシアンジアミド−ジアミノジフェニルエーテル付加物等のジシアンジアミド誘導体、硝酸グアニジン、炭酸グアニジン、リン酸グアニジン、スルファミン酸グアニジン、重炭酸アミノグアニジン等のグアニジン塩、アセチルグアニジン、ジアセチルグアニジン、プロピオニルグアニジン、ジプロピオニルグアニジン、シアノアセチルグアニジン、コハク酸グアニジン、ジエチルシアノアセチルグアニジン、ジシアンジアミジン、N−オキシメチル−N’−シアノグアニジン、N、N’−ジカルボエトキシグアニジン等が挙げられるが、これらに特に限定されるものではない。
芳香族アミン化合物の具体例としては、例えば、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4、4’−ジアミノジフェニルエーテル等が挙げられるが、これらに特に限定されるものではない。
ノボラック型フェノール樹脂の具体例としては、例えば、フェノールノボラック、ビスフェノールAノボラック、クレゾールノボラック、ナフトールノボラック等が挙げられるが、これらに特に限定されるものではない。
硬化剤(C)の配合量は、特に制限されるものではなく、所望の設計に応じて適宜設定されるが、硬化剤(C)がグアニジン誘導体の場合、エポキシ樹脂(A)の総量に対して1〜9質量%であることが好ましく、硬化剤(C)が芳香族アミン化合物の場合はエポキシ樹脂(A)の総量に対して10〜50質量%であることが好ましく、硬化剤(C)成分がノボラック型フェノール樹脂の場合はエポキシ樹脂(A)の総量に対して20〜60質量%であることが好ましい。配合量をこれらの範囲とすることは、硬化物の架橋密度の低下及びTgの低下を抑制し、耐湿性を確保する観点から好適である。
[可塑剤(D)]
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、さらに、可塑剤(D)を含有しても良い。可塑剤(D)としては熱可塑性エラストマーや架橋ゴムが挙げられる。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー等が挙げられ、後者の方が、繊維強化複合材料の圧縮強度、層間剪断強度等の物性に優れるため、好ましい。
架橋ゴムとしては、例えば、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体等が挙げられ、前者の方が、エポキシ樹脂との相溶性の点から好ましい。
可塑剤(D)の含有量は、エポキシ樹脂組成物全体に対して、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは2〜20質量%である。可塑剤(D)の含有量を30質量%以下とすることは、樹脂粘度が増大してプリプレグへの樹脂の含浸性が悪くなることを防止する観点から好適である。一方、1質量%以上とすることは、プリプレグのタック性を良好に維持し、また、成型不良を抑制する観点から好適である。
[フィラー(E)]
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、さらに、フィラー(E)を含有しても良い。フィラー(E)は、レオロジー制御すなわち増粘やチキソトロピー性付与効果があるため好ましい。
フィラー(E)としては、例えば、タルク、ケイ酸アルミニウム、微粒状シリカ、炭酸カルシウム、マイカ、アルミナ水和物、亜鉛末、カーボンブラック、炭化ケイ素などが挙げられ、チキソトロピー性付与効果の点から微粒状シリカが好ましい。
フィラー(E)の含有量は、エポキシ樹脂組成物全体に対して、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは1〜5質量%である。フィラー(E)の含有量を10質量%以下とすることは、樹脂粘度が高すぎてプリプレグへの樹脂の含浸が困難となって、プリプレグ間の接着強度が低下することを防止する観点から好適である。一方、1質量%以上とすることは、成型物表面に樹脂かすれが発生することを抑制する観点から好適である。
[エポキシ樹脂ワニス]
上記のエポキシ樹脂組成物は、好ましくは、溶媒中に均一に溶解又は分散させたエポキシ樹脂ワニスとして使用される。ここで用いる溶媒は、上記のエポキシ樹脂組成物を溶解又は分散可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、メチルイソブチルケトン、ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、キシレン等及びこれらの混合溶媒が挙げられる。
[硬化促進剤]
また、上記のエポキシ樹脂組成物に、硬化促進剤をさらに配合して、エポキシ樹脂組成物の硬化速度の調整を行なうことも可能である。硬化促進剤としては、各種公知のものを特に制限なく用いることができるが、例えば、尿素化合物、イミダゾール類、第3級アミン類、ホスフィン類或いはアミノトリアゾール類等が挙げられ、また、上記エポキシ樹脂(A)との公知の組み合わせを用いることができる。
[プリプレグ]
本実施形態のプリプレグは、上記のエポキシ樹脂組成物を繊維基材に塗布および/または浸漬により含浸させることにより得られうる。また、本実施形態のプリプレグは、有機及び/又は無機の短繊維を本実施形態のエポキシ樹脂組成物に加えても得られうる。
本実施形態のプリプレグは、上記工程によりエポキシ樹脂組成物を繊維基材に含浸させる工程又は短繊維をエポキシ樹脂組成物に加える工程に加え、乾燥せしめることにより得られうることが好ましい。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物を用いることで機械的強度が高められ且つ寸法安定性を増大された、安定性に優れたプリプレグが作製される。
本実施形態で用いる繊維基材としては、各種公知のものを適宜選択して用いることができ、特に限定されないが、例えば、ロービングクロス、クロス、チョップドマット、サーフェシングマット等の各種ガラス布、アスベスト布、金属繊維布、及び、その他合成若しくは天然の無機繊維布;ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、全芳香族ポリアミド繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維等の合成繊維から得られる織布又は不織布;綿布、麻布、フェルト等の天然繊維布;カーボン繊維布;クラフト紙、コットン紙、紙−ガラス混繊紙等の天然セルロース系布、等が挙げられ、中でも、低比重かつ比強度、比弾性率に優れた、カーボン繊維布が好ましい。
また、これらの繊維基材は、1種を単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
繊維基材の厚さは、プリプレグの厚さや、所望の機械的強度及び寸法安定性等に応じて適宜設定すればよく、通常、0.05〜0.30mm程度であるが、特に限定されるものではない。
プリプレグにおいて繊維基材の占める割合は、所望のプリプレグの性能に応じて適宜設定され、特に限定されるものではなく、プリプレグの総量に対し、30〜90質量%であることが好ましく、40〜80質量%であることがより好ましく、50〜70質量%であることがさらに好ましい。繊維基材を30質量%以上とすることは、寸法安定性及び強度により一層優れる硬化物を得る観点から好適である。一方、繊維基材を90質量%以下とすることは、密着性により一層優れる硬化物を得る観点から好適である。尚、プリプレグの総量に対し、30〜90質量%となる場合に、本実施の形態において、含浸性良好と呼ぶ。
プリプレグは、例えば、エポキシ樹脂組成物及び必要に応じ他の成分を、繊維基材に含浸させた後に乾燥する工程を含む方法が挙げられる。繊維基材へのエポキシ樹脂組成物の含浸は、例えば、エポキシ樹脂組成物を基材に塗布したり、エポキシ樹脂組成物中に繊維基材を浸漬(ディッピング)したりすることより実施できる。この含浸処理は、必要に応じ複数回繰り返して行なうことも可能であり、また、その際に組成や濃度の異なる複数のエポキシ樹脂組成物を用いて含浸を繰り返して行ない、所望の樹脂組成及び樹脂量に調整することも可能である。
さらに、プリプレグの乾燥の際、加熱の程度を調節してエポキシ樹脂組成物を半硬化させた状態、いわゆるBステージ状態にすることが好ましい。プリプレグの乾燥条件は、所望のプリプレグの素材や厚さ等に応じて適宜設定され、通常、乾燥温度100〜200℃、乾燥時間1〜30分程度の条件下である。
プリプレグの製造の際、エポキシ樹脂組成物と繊維基材との界面における接着性を改善する目的で、必要に応じカップリング剤を添加したエポキシ樹脂組成物を用いることができる。ここで用いるカップリング剤としては、各種公知のものを適宜選択して用いることができ、例えば、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネートカップリング剤が挙げられるが、これらに特に限定されるものではない。
[炭素繊維強化複合材料]
本実施形態の炭素繊維強化複合材料は、上記のプリプレグを積層し加熱加圧成形せしめることにより得られうる。
加熱加圧成形は、常法にしたがって行なえばよく、例えば、温度80〜300℃、圧力0.01〜100MPa、時間1分〜10時間の条件下、より好ましくは、温度120〜250℃、圧力0.1〜10MPa、時間1分〜5時間の条件下で行なうことができる。
温度、圧力、時間を上記範囲内することにより、樹脂の分解が起こらず、プリプレグ同士の接着が良好であり、成形精度が良好であるため、好ましい。
[測定方法]
本明細書中の物性等の測定方法は以下の通りである。
(1)エポキシ当量
1g当量のエポキシ基を含む樹脂の質量であり、JIS K−7236に準拠して求めた。
(2)樹脂保存安定性
エポキシ樹脂(A)を80℃のオーブンに30日間投入し、投入前後の140℃の溶融粘度を測定し、下記式により樹脂保存安定性を評価した。
(樹脂保存安定性)=(30日投入後の粘度)/(投入前の粘度)
1に近いほど粘度変化が少なく、安定性が高いと評価した。
(3)ヌレート比
赤外分光光度測定(測定装置:日本分光(株)社製 「FT/IR−6100」(商標))により、グリシジル化合物とイソシアネート化合物の反応によって得られたエポキシ樹脂のイソシアヌレート環由来の波数1710cm−1の吸光度Aと、オキサゾリドン環由来の波数1750cm−1の吸光度Bとの比を測定し、ヌレート比=A/Bとして算出した。
値が0に近いほどヌレート環の比率が少なくオキサゾリドン環を多く有するエポキシ樹脂であることを意味する。なお、吸光度の測定は、1650〜1700cm−1で最小になる点と1830〜1870cm−1で最小になる点とを結合した線をベースラインとして各波数での高さを吸光度として測定した。
(4)樹脂組成物保存安定性
エポキシ樹脂組成物を80℃のオーブンに30日間投入し、投入前後の140℃の溶融粘度を測定し、下記式により樹脂保存安定性を評価した。
(樹脂組成物保存安定性)=(30日投入後の粘度)/(投入前の粘度)
1に近いほど粘度変化が少なく、安定性が高いと評価した。
(5)プリプレグ保存安定性
作成したプリプレグを40℃オーブンに投入し、ゲルタイムから評価した。
(プリプレグ保存安定性)=(試験前のゲルタイム‐試験後のゲルタイム)/(試験前のゲルタイム)
1に近いほどゲルタイムの減少が少なく、安定性が高いと評価した。
(6)ガラス転移温度
ガラスクロスに含浸させて得られた積層体について、オリエンテック株式会社製の動的粘弾性測定装置「DDV−25FP」(商標)を用い、長さ20mm×幅4mm×厚さ2mmの試験片を、2℃/分で昇温させ、tanδが最大となる温度として求めた。
(7)圧縮強度測定
炭素繊維クロスに含浸させて得られた積層体について、SACMA−SRM−2R−94に準拠し、圧縮強度を測定した。
[1.エポキシ樹脂(A)]
[実施例1−1]
反応器内に、グリシジル化合物(α)としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:AER260、旭化成ケミカルズ(株)製、エポキシ当量189g/eq)100質量部に、及びイソシアネート化合物(β)としてナフタレンジイソシアネート(商品名:デスモジュール15(商標)、住友バイエルウレタン(株)製)19.5質量部を一度に全量投入し、70℃に加熱して溶解させた。このとき、グリシジル化合物のエポキシ基とイソシアネート化合物のイソシアネート基とのモル比率は0.35であった。溶解後、触媒としてテトラブチルアンモニウムブロマイド(商品名:臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム、和光純薬工業(株)製)0.04質量部を投入し、撹拌加熱し、均一に溶解した後で内温を175℃に昇温した。反応温度を175℃に保ち、8時間撹拌し、オキサゾリドン環を有しているエポキシ樹脂(A−1)を得た。得られたエポキシ樹脂(A−1)のエポキシ当量は0.258であり、樹脂保存安定性は1.03であり、ヌレート比は0.1であった。
[実施例1−2]
グリシジル化合物(α)をフェノールノボラック型エポキシ樹脂(商品名:EPN1138、旭化成ケミカルズ(株)製、エポキシ当量182g/eq)100質量部、及び原料イソシアネート化合物としてナフタレンジイソシアネート(商品名:デスモジュール15(商標)、住友バイエルウレタン(株)製)、を5.9質量部に変更して、実施例1−1と同様に反応を行い、オキサゾリドン環を有しているエポキシ樹脂(A−2)を得た。このとき、グリシジル化合物のエポキシ基とイソシアネート化合物のイソシアネート基とのモル比率は0.1であった。得られたエポキシ樹脂(A−2)のエポキシ当量は0.455であり、樹脂保存安定性は1.07であり、ヌレート比は0.07であった。
[実施例1−3]
イソシアネート化合物(β)としてナフタレンジイソシアネートを27.9質量部に変更した以外は実施例1−1と同様に反応を行い、オキサゾリドン環を有しているエポキシ樹脂(A−3)を得た。このとき、グリシジル化合物のエポキシ基とイソシアネート化合物のイソシアネート基とのモル比率が0.5であった。得られたエポキシ樹脂(A−3)のエポキシ当量は0.18であり、樹脂保存安定性は1.07であり、ヌレート比は0.17であった。
[実施例1−4]
反応器内に、グリシジル化合物(α)としてテトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂(商品名:YX4000、ジャパンエポキシレジン(株)製、エポキシ当量185g/eq)100質量部を一旦110℃で溶融させた後90℃まで冷却し、イソシアネート化合物(β)としてナフタレンジイソシアネート(商品名:デスモジュール15(商標)、住友バイエルウレタン(株)製)14.2質量部を一度に全量投入し、溶解させた。このとき、グリシジル化合物のエポキシ基とイソシアネート化合物のイソシアネート基とのモル比率は0.25であった。溶解後、触媒としてテトラブチルアンモニウムブロマイド(商品名:臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム、和光純薬工業(株)製)0.04質量部を投入し、撹拌加熱し、溶解した後で内温を175℃に昇温した。反応温度を175℃に保ち、8時間撹拌し、オキサゾリドン環を有しているエポキシ樹脂(A−4)を得た。得られたエポキシ樹脂(A−4)のエポキシ当量は0.34であり、樹脂保存安定性は1.05であり、ヌレート比は0.12であった。
[実施例1−5]
反応器内に、グリシジル化合物(α)としてヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル(商品名:CY−184、ハンツマン株式会社製、エポキシ当量91g/eq)100質量部、イソシアネート化合物(β)としてナフタレンジイソシアネート(商品名:デスモジュール15(商標)、住友バイエルウレタン(株)製)、を11.8質量部に変更して、実施例1−1と同様に反応を行い、オキサゾリドン環を有しているエポキシ樹脂(A−5)を得た。このとき、グリシジル化合物のエポキシ基とイソシアネート化合物のイソシアネート基とのモル比率が0.1であった。得られたエポキシ樹脂(A−5)のエポキシ当量は0.91であり、イソシアネート基とエポキシ基のモル比率は0.1であり、樹脂保存安定性は1.04であり、ヌレート比は0.08であった。
[比較例1−1]
イソシアネート化合物としてトリレンジイソシアネート(商品名:コスモネートT80(商標)、日本ポリウレタン(株)製)16.3質量部に変更した以外は実施例1−1と同様に行い、オキサゾリドン環を有しているエポキシ樹脂(A−6)を得た。このとき、グリシジル化合物のエポキシ基とイソシアネート化合物のイソシアネート基とのモル比率が0.35であった。得られたエポキシ樹脂(A−6)のエポキシ当量は0.299であり、イソシアネート基とエポキシ基のモル比率は0.35であり、樹脂保存安定性は2.1であり、ヌレート比は0.59であった。
[比較例1−2]
反応器内に、グリシジル化合物としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:AER260、旭化成ケミカルズ(株)製、エポキシ当量189g/eq)100質量部、及び、オキサゾリドン環形成触媒としてテトラブチルアンモニウムブロマイド(商品名:臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム、和光純薬工業(株)製)0.04質量部を投入し、撹拌加熱し、内温を175℃にした。さらに、イソシアネート化合物としてナフタレンジイソシアネート(商品名:デスモジュール15(商標)、住友バイエルウレタン(株)製)19.5質量部を90分かけて反応器内に投入した。投入終了後、反応温度を175℃に保ち撹拌し始めたところで、ゲル化をおこし、オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂は得られなかった。このとき、グリシジル化合物のエポキシ基とイソシアネート化合物のイソシアネート基とのモル比率が0.35であった。
[比較例1−3]
グリシジル化合物をフェノールノボラック型エポキシ樹脂(商品名:EPN1138、旭化成ケミカルズ(株)製、エポキシ当量182g/eq)100質量部、及びイソシアネート化合物としてナフタレンジイソシアネート(商品名:デスモジュール15)、5.9質量部に変更した以外は比較例1−2と同様に反応を行い、オキサゾリドン環を有しているエポキシ樹脂(A−7)を得た。このとき、グリシジル化合物のエポキシ基とイソシアネート化合物のイソシアネート基とのモル比率が0.1であった。得られたエポキシ樹脂(A−7)のエポキシ当量は0.453であり、イソシアネート基とエポキシ基のモル比率は0.1であり、樹脂保存安定性は1.5であり、ヌレート比は0.23であった。
[比較例1−4]
グリシジル化合物とイソシアネート化合物を混合する温度を30℃で行った以外は比較例1−1と同様の方法で製造を実施したが、イソシアネート化合物がグリシジル化合物に溶解せず、高粘度化し、均一な樹脂は得られなかった。
上記実施例1−1〜1−5および比較例1−1〜1−4を表1にまとめ、得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量EV、樹脂保存安定性、およびヌレート比の測定結果を記載した。
Figure 2010116521
表1より、40〜90℃で予め溶解させた後に130℃〜180℃で5時間以上加熱した実施例はいずれもヌレート比が0.2以下であり、オキサゾリドン環を主として含む良好で保存安定性に優れたエポキシ樹脂が得られたことがわかる。
[2.エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、繊維強化複合材料]
[実施例2−1]
エポキシ樹脂(A)としてエポキシ樹脂(A−1)100質量部をメチルエチルケトンに溶解し、硬化剤としてジシアンジアミドを0.6当量、硬化促進剤として2−メチルイミダゾールを0.1質量部投入し、エポキシ樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の樹脂安定性は2.1であった。
得られたエポキシ樹脂組成物にガラスクロス(商品名:AS2117、旭シュエーベル(株)社製)を5分間浸漬し、ガラスクロスにエポキシ樹脂組成物を含浸せしめた後、該ガラスクロスを170℃のオーブンで2分間加熱して、プリプレグを得た。得られたプリプレグのプリプレグ安定性は0.89であった。
得られたプリプレグを10cm四方に切断し、7枚重ねて、熱板プレスにて40kgf/cm、180℃で60分プレスを行い、繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料からガラス転位温度Tgを測定した。得られた繊維強化複合材料のガラス転移温度Tgは200℃であった。
同様にガラスクロスの代わりに、炭素繊維クロス(商品名:トレカクロスCO6343、東レ(株)社製)を使用して同様の方法で繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料から圧縮強度を測定した。得られた繊維強化複合材料の圧縮強度は450MPaであった。
[実施例2−2]
エポキシ樹脂(A)としてエポキシ樹脂(A−2)を用いた以外は実施例2−1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の樹脂安定性は2.6であった。
得られたエポキシ樹脂組成物にガラスクロス(商品名:AS2117、旭シュエーベル(株)社製)を5分間浸漬し、ガラスクロスにエポキシ樹脂組成物を含浸せしめた後、該ガラスクロスを170℃のオーブンで2分間加熱して、プリプレグを得た。得られたプリプレグのプリプレグ安定性は0.93であった。
得られたプリプレグを10cm四方に切断し、7枚重ねて、熱板プレスにて40kgf/cm、180℃で60分プレスを行い、繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料からガラス転位温度Tgを測定した。得られた繊維強化複合材料のガラス転移温度Tgは240℃であった。
同様にガラスクロスの代わりに、炭素繊維クロス(商品名:トレカクロスCO6343、東レ(株)社製)を使用して同様の方法で繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料から圧縮強度を測定した。得られた繊維強化複合材料の圧縮強度は370MPaであった。
[実施例2−3]
エポキシ樹脂(A)としてエポキシ樹脂(A−3)を用いた以外は実施例2−1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の樹脂安定性は1.6であった。
得られたエポキシ樹脂組成物にガラスクロス(商品名:AS2117、旭シュエーベル(株)社製)を5分間浸漬し、ガラスクロスにエポキシ樹脂組成物を含浸せしめた後、該ガラスクロスを170℃のオーブンで2分間加熱して、プリプレグを得た。得られたプリプレグのプリプレグ安定性は0.91であった。
得られたプリプレグを10cm四方に切断し、7枚重ねて、熱板プレスにて40kgf/cm、180℃で60分プレスを行い、繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料からガラス転位温度Tgを測定した。得られた繊維強化複合材料のガラス転移温度Tgは230℃であった。
同様にガラスクロスの代わりに、炭素繊維クロス(商品名:トレカクロスCO6343、東レ(株)社製)を使用して同様の方法で繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料から圧縮強度を測定した。得られた繊維強化複合材料の圧縮強度は500MPaであった。
[実施例2−4]
エポキシ樹脂(A)としてエポキシ樹脂(A−4)を用いた以外は実施例2−1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の樹脂安定性は2.4であった。
得られたエポキシ樹脂組成物にガラスクロス(商品名:AS2117、旭シュエーベル(株)社製)を5分間浸漬し、ガラスクロスにエポキシ樹脂組成物を含浸せしめた後、該ガラスクロスを170℃のオーブンで2分間加熱して、プリプレグを得た。得られたプリプレグのプリプレグ安定性は0.93であった。
得られたプリプレグを10cm四方に切断し、7枚重ねて、熱板プレスにて40kgf/cm、180℃で60分プレスを行い、繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料からガラス転位温度Tgを測定した。得られた繊維強化複合材料のガラス転移温度Tgは226℃であった。
同様にガラスクロスの代わりに、炭素繊維クロス(商品名:トレカクロスCO6343、東レ(株)社製)を使用して同様の方法で繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料から圧縮強度を測定した。得られた繊維強化複合材料の圧縮強度は450MPaであった。
[実施例2−5]
エポキシ樹脂(A)としてエポキシ樹脂(A−5)を用いた以外は実施例2−1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の樹脂安定性は2.7であった。
得られたエポキシ樹脂組成物にガラスクロス(商品名:AS2117、旭シュエーベル(株)社製)を5分間浸漬し、ガラスクロスにエポキシ樹脂組成物を含浸せしめた後、該ガラスクロスを170℃のオーブンで2分間加熱して、プリプレグを得た。得られたプリプレグのプリプレグ安定性は0.90であった。
得られたプリプレグを10cm四方に切断し、7枚重ねて、熱板プレスにて40kgf/cm、180℃で60分プレスを行い、繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料からガラス転位温度Tgを測定した。得られた繊維強化複合材料のガラス転移温度Tgは172℃であった。
同様にガラスクロスの代わりに、炭素繊維クロス(商品名:トレカクロスCO6343、東レ(株)社製)を使用して同様の方法で繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料から圧縮強度を測定した。得られた繊維強化複合材料の圧縮強度は480MPaであった。
[比較例2−1]
エポキシ樹脂(A)としてエポキシ樹脂(A−6)を用いた以外は実施例2−1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の樹脂安定性は2.6であった。
得られたエポキシ樹脂組成物にガラスクロス(商品名:AS2117、旭シュエーベル(株)社製)を5分間浸漬し、ガラスクロスにエポキシ樹脂組成物を含浸せしめた後、該ガラスクロスを170℃のオーブンで2分間加熱して、プリプレグを得た。得られたプリプレグのプリプレグ安定性は0.64であった。
得られたプリプレグを10cm四方に切断し、7枚重ねて、熱板プレスにて40kgf/cm、180℃で60分プレスを行い、繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料からガラス転位温度Tgを測定した。得られた繊維強化複合材料のガラス転移温度Tgは190℃であった。
同様にガラスクロスの代わりに、炭素繊維クロス(商品名:トレカクロスCO6343、東レ(株)社製)を使用して同様の方法で繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料から圧縮強度を測定した。得られた繊維強化複合材料の圧縮強度は350MPaであった。
[比較例2−2]
エポキシ樹脂(A)としてエポキシ樹脂(A−7)を用いた以外は実施例2−1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の樹脂安定性は3.2であった。
得られたエポキシ樹脂組成物にガラスクロス(商品名:AS2117、旭シュエーベル(株)社製)を5分間浸漬し、ガラスクロスにエポキシ樹脂組成物を含浸せしめた後、該ガラスクロスを170℃のオーブンで2分間加熱して、プリプレグを得た。得られたプリプレグのプリプレグ安定性は0.72であった。
得られたプリプレグを10cm四方に切断し、7枚重ねて、熱板プレスにて40kgf/cm、180℃で60分プレスを行い、繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料からガラス転位温度Tgを測定した。得られた繊維強化複合材料のガラス転移温度Tgは237℃であった。
同様にガラスクロスの代わりに、炭素繊維クロス(商品名:トレカクロスCO6343、東レ(株)社製)を使用して同様の方法で繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料から圧縮強度を測定した。得られた繊維強化複合材料の圧縮強度は350MPaであった。
[実施例2−6]
エポキシ樹脂(A)としてエポキシ樹脂(A−2)100質量部、エポキシ樹脂(B)として高臭素化エポキシ樹脂(商品名:AER8018、旭化成ケミカルズ(株)社製)20質量部をメチルエチルケトンに溶解し、硬化剤(C)としてジシアンジアミドを0.6当量、硬化促進剤として2−メチルイミダゾールを0.1質量部投入し、エポキシ樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の樹脂安定性は1.05であった。
得られたエポキシ樹脂組成物にガラスクロス(商品名:AS2117、旭シュエーベル(株)社製)を5分間浸漬し、ガラスクロスにエポキシ樹脂組成物を含浸せしめた後、該ガラスクロスを170℃のオーブンで2分間加熱して、プリプレグを得た。得られたプリプレグのプリプレグ安定性は2.4であった。
得られたプリプレグを10cm四方に切断し、7枚重ねて、熱板プレスにて40kgf/cm、180℃で60分プレスを行い、繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料からガラス転位温度Tgを測定した。得られた繊維強化複合材料のガラス転移温度Tgは235℃であった。
同様にガラスクロスの代わりに、炭素繊維クロス(商品名:トレカクロスCO6343、東レ(株)社製)を使用して同様の方法で繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料から圧縮強度を測定した。得られた繊維強化複合材料の圧縮強度は400MPaであった。
[実施例2−7]
エポキシ樹脂(A)としてエポキシ樹脂(A−2)100質量部、エポキシ樹脂(B)としてグリシジル化ホスファゼン(商品名:AER8500、旭化成ケミカルズ(株)社製)18質量部をメチルエチルケトンに溶解し、硬化剤(C)としてジシアンジアミドを0.6当量、硬化促進剤として2−メチルイミダゾールを0.1質量部、可塑剤(D)としてポリエーテルスルホン(商品名:スミカエクセル 5003P、住友化学(株)社製)を2質量部投入し、エポキシ樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の樹脂安定性は2.1であった。
得られたエポキシ樹脂組成物にガラスクロス(商品名:AS2117、旭シュエーベル(株)社製)を5分間浸漬し、ガラスクロスにエポキシ樹脂組成物を含浸せしめた後、該ガラスクロスを170℃のオーブンで2分間加熱して、プリプレグを得た。得られたプリプレグのプリプレグ安定性は0.86であった。
得られたプリプレグを10cm四方に切断し、7枚重ねて、熱板プレスにて40kgf/cm、180℃で60分プレスを行い、繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料からガラス転位温度Tgを測定した。得られた繊維強化複合材料のガラス転移温度Tgは190℃であった。
同様にガラスクロスの代わりに、炭素繊維クロス(商品名:トレカクロスCO6343、東レ(株)社製)を使用して同様の方法で繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料から圧縮強度を測定した。得られた繊維強化複合材料の圧縮強度は420MPaであった。
[実施例2−8]
エポキシ樹脂(A)としてエポキシ樹脂(A−2)100質量部、エポキシ樹脂(B)として高臭素化エポキシ樹脂(商品名:AER8018、旭化成ケミカルズ(株)社製)18質量部をメチルエチルケトンに溶解し、硬化剤(C)としてジシアンジアミドを0.6当量、硬化促進剤として2−メチルイミダゾールを0.1質量部、フィラー(E)として微粒子シリカ(商品名:アエロジルRY200、日本アエロジル(株)社製)を2質量部投入し、エポキシ樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の樹脂安定性は1.07であった。
得られたエポキシ樹脂組成物にガラスクロス(商品名:AS2117、旭シュエーベル(株)社製)を5分間浸漬し、ガラスクロスにエポキシ樹脂組成物を含浸せしめた後、該ガラスクロスを170℃のオーブンで2分間加熱して、プリプレグを得た。得られたプリプレグのプリプレグ安定性は0.91であった。
得られたプリプレグを10cm四方に切断し、7枚重ねて、熱板プレスにて40kgf/cm、180℃で60分プレスを行い、繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料からガラス転位温度Tgを測定した。得られた繊維強化複合材料のガラス転移温度Tgは240℃であった。
同様にガラスクロスの代わりに、炭素繊維クロス(商品名:トレカクロスCO6343、東レ(株)社製)を使用して同様の方法で繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料から圧縮強度を測定した。得られた繊維強化複合材料の圧縮強度は400MPaであった。
[比較例2−3]
エポキシ樹脂(A)としてエポキシ樹脂(A−2)100質量部、エポキシ樹脂(B)として高臭素化エポキシ樹脂(商品名:AER8018、旭化成ケミカルズ(株)社製)20質量部をメチルエチルケトンに溶解し、硬化剤(C)としてジシアンジアミドを0.6当量、硬化促進剤として2−メチルイミダゾールを0.1質量部投入し、エポキシ樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の樹脂安定性は1.45であった。
得られたエポキシ樹脂組成物にガラスクロス(商品名:AS2117、旭シュエーベル(株)社製)を5分間浸漬し、ガラスクロスにエポキシ樹脂組成物を含浸せしめた後、該ガラスクロスを170℃のオーブンで2分間加熱して、プリプレグを得た。得られたプリプレグのプリプレグ安定性は0.74であった。
得られたプリプレグを10cm四方に切断し、7枚重ねて、熱板プレスにて40kgf/cm、180℃で60分プレスを行い、繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料からガラス転位温度Tgを測定した。得られた繊維強化複合材料のガラス転移温度Tgは234℃であった。
同様にガラスクロスの代わりに、炭素繊維クロス(商品名:トレカクロスCO6343、東レ(株)社製)を使用して同様の方法で繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料から圧縮強度を測定した。得られた繊維強化複合材料の圧縮強度は370MPaであった。
上記実施例2−1〜2−8および比較例2−1〜2−3を表2にまとめ、得られたエポキシ樹脂組成物の樹脂安定性、プリプレグのプリプレグ安定性、繊維強化複合材料のガラス転移温度Tgおよび圧縮強度の測定結果を記載した。
Figure 2010116521
表2より、40〜90℃で予め溶解させた後に130℃〜180℃で5時間以上加熱しエポキシ樹脂(A−1)〜(A−5)を用いた実施例は樹脂安定性、プリプレグ安定性、圧縮強度に極めて優れたエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、繊維強化複合材料を得られたことが分かる。
本発明の製造方法によるエポキシ樹脂は、該エポキシ樹脂を用いたエポキシ樹脂組成物、該エポキシ樹脂組成物を用いたプリプレグ、該プリプレグを用いた繊維強化複合材料の製造に適しており、該繊維強化複合材料は耐熱性、強度に優れ、ゴルフシャフトやテニスのフレーム等のスポーツ用途、航空機用途などに好適に用いることができる。

Claims (12)

  1. 式(1)で表される構造を有するグリシジル化合物(α)と式(2)で表されるイソシアネート化合物(β)を40〜90℃の範囲で予め混合し溶解させる工程、
    触媒を添加する工程、
    130〜180℃で5時間上加熱する工程、
    を有するオキサゾリドン環を有するエポキシ樹脂(A)の製造方法。
    Figure 2010116521
    (式中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示す)
    Figure 2010116521
    (式中、R′〜R′は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す)。
  2. 前記エポキシ樹脂(A)が下記式(3)で表される構造を有する請求項1に記載のエポキシ樹脂(A)の製造方法。
    Figure 2010116521
    (式中、R′〜R′は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Rは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示す)。
  3. 前記式(1)で表される構造を有するグリシジル化合物(α)と前記式(2)で表されるイソシアネート化合物(β)を40〜90℃の範囲で予め混合し溶解させる工程、触媒を添加する工程、130〜180℃で5時間以上加熱する工程、により得られうるオキサゾリドン環を有するエポキシ樹脂(A)。
  4. 前記エポキシ樹脂(A)が前記式(3)で表される構造を有する請求項3に記載のエポキシ樹脂(A)。
  5. 下記式(4)で表されるヌレート比が0.2以下である請求項3または4に記載のエポキシ樹脂(A)。
    ヌレート比=吸光度A/吸光度B (4)
    (吸光度A:イソシアヌレート環由来の波数1710cm−1の吸光度、吸光度B:オキサゾリドン環由来の波数1750cm−1の吸光度)
  6. 請求項3〜5いずれか一項に記載のエポキシ樹脂(A)、(A)とは異なるエポキシ樹脂(B)および/または硬化剤(C)を含有するエポキシ樹脂組成物。
  7. 可塑剤(D)を更に含有する請求項6に記載のエポキシ樹脂組成物。
  8. フィラー(E)を更に含有する請求項6または7に記載のエポキシ樹脂組成物。
  9. 繊維基材に請求項6〜8いずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物を塗布および/または浸漬により含浸させて得られうるプリプレグ。
  10. 請求項6〜8いずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物に有機および/または無機の短繊維を加えて得られうるプリプレグ。
  11. 更にプリプレグを乾燥させて得られうる請求項9または10に記載のプリプレグ。
  12. 請求項9〜11のいずれか一項に記載のプリプレグを積層し、加熱加圧形成させて得られうる繊維強化複合材料。
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