JP2011184616A - エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性、保存安定性、及び機械的特性(破壊靭性及び圧縮強度)のバランスに優れた硬化物を得ることができる、取り扱い性に優れたエポキシ樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】下記一般式(1)で表されるイソシアネート変性エポキシ樹脂。
Figure 2011184616

(式中、Rは置換基を有することができる有機基であり、X及びYは各々独立してエポキシ基を有する有機基又はオキサゾリドン環を有する有機基であり、X及びYは互いに結合して、エポキシ基を置換基として有する環を形成することができ、Zはイソシアネート基又はオキサゾリドン環を有する有機基を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明はエポキシ樹脂組成物、及びそれを用いて得られるプリプレグ、繊維強化複合材料に関する。
エポキシ樹脂は、その硬化物が、機械的特性、電気的特性、熱的特性、耐薬品性及び接着性等の点で優れた性能を有することから、塗料、電気電子用絶縁材料、接着剤等の幅広い用途に利用されている。昨今、エポキシ樹脂のさらなる強靭化・高耐熱化・軽量化等の高機能化への要請が強まっている。
特許文献1には、耐熱性と可撓性を両立できるエポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のトリレンジイソシアネート変性エポキシ樹脂が開示されている。
トリレンジイソシアネート以外の化合物で変性したエポキシ樹脂として、特許文献2には、ポリメチレンイソシアネートを用いてビスフェノールA型エポキシ樹脂を変性させたエポキシ樹脂が開示されている。
特開平5−222160号公報 特表平4−506678号公報
特許文献1及び2に開示された樹脂は、耐熱性を高めようとすると、同時に高粘度化してしまうため、耐熱性と低粘度(保存安定性)を両立できないという問題点がある。
また一方、現在市販されているテトラグリシジルジアミノジフェニルメタンは、耐熱性が良好であるが、保存安定性が悪いことが知られている。
上記事情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、耐熱性、保存安定性、及び機械的特性(破壊靭性及び圧縮強度)のバランスに優れた硬化物を得ることできる、取り扱い性に優れたエポキシ樹脂組成物を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、以下の通りである。
[1] 下記一般式(1)で表されるイソシアネート変性エポキシ樹脂。
Figure 2011184616

(式中、Rは置換基を有することができる有機基であり、X及びYは各々独立してエポキシ基を有する有機基又はオキサゾリドン環を有する有機基であり、X及びYは互いに結合して、エポキシ基を置換基として有する環を形成することができ、Zはイソシアネート基又はオキサゾリドン環を有する有機基を表す。)
[2] 一般式(1)のZが下記式(2)である、[1]に記載のイソシアネート変性エポキシ樹脂。
Figure 2011184616

(式中、V及びWは各々独立してエポキシ基又はオキサゾリドン環を有する有機基を表し、V及びWは互いに結合して、エポキシ基を置換基として有する環を形成することができる。)
[3] Rが、イソホロン、ベンゼン、トルエン、ジフェニルメタン、ナフタレン、ポリメチレンポリフェニレンポリフェニル及びヘキサメチレンからなる群から選択される1種以上の骨格を含む有機基である、[1]又は[2]に記載のイソシアネート変性エポキシ樹脂。
[4] 数平均分子量が800以上5000以下である、[1]〜[3]のいずれか一つに記載のイソシアネート変性エポキシ樹脂。
[5] エポキシ当量が250以上1000以下である、[1]〜[4]のいずれか一つに記載のイソシアネート変性エポキシ樹脂。
[6] [1]〜[5]のいずれか一つに記載のイソシアネート変性エポキシ樹脂(A)及び硬化剤(C)を含むエポキシ樹脂組成物。
[7] 可塑剤(D)を更に含む[6]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[8] 前記エポキシ樹脂組成物中の前記(A)成分の割合が、(A)+(B)を100としたとき10〜95質量部である、[6]又は[7]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[9] [6]〜[8]のいずれか一つに記載のエポキシ樹脂組成物より得られるプリプレグ。
[10] [9]に記載のプリプレグより得られる繊維強化複合材料。
[11] グリシジル基を少なくとも2つ有し、アミン骨格を有するグリシジル化合物と、少なくともイソシアネート基を2つ以上有するイソシアネート化合物との反応により得られ、下記式(1)で表されるイソシアネート変性エポキシ樹脂。
Figure 2011184616

(式中、Rは置換基を有することができる有機基を表し、X及びYは各々独立して、エポキシ基又はオキサゾリドン環を有する有機基を表し、X及びYは互いに結合して、エポキシ基を置換基として有する環を形成することができ、Zはイソシアネート基又はオキサゾリドン環を有する有機基を表す。)
[12] 前記イソシアネート化合物が、3−イソシアナートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、1−メチルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、1−メチルベンゼン−2,5−ジイソシアネート、1−メチルベンゼン−2,6−ジイソシアネート、1−メチルベンゼン−3,5−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,3’−ジメトキシビスフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジメトキシジフェニルメタン−3,3’−ジイソシアネート、ω,ω’−1,4−ジメチルナフタレンジイソシアネート、ω,ω’−1,5−ジメチルナフタレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、及びヘキサン−1,6−ジイソシアネートヘキサメチレンからなる群から選ばれる1種以上のイソシアネート化合物である、[11]に記載のイソシアネート変性エポキシ樹脂。
[13] 前記グリシジル化合物が、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジルジアミノジフェニルスルホン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、オルソトルイジン型グリシジルアミン、アニリン型グリシジルアミン、トリグリシジルイソシアヌレート、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミンからなる群から選ばれる一種以上のグリシジル化合物である、[11]又は[12]に記載のイソシアネート変性エポキシ樹脂。
[14] グリシジル基を少なくとも2つ有し、アミン骨格を有するグリシジル化合物と、少なくともイソシアネート基を2つ以上有するイソシアネート化合物とをオキサゾリドン環形成触媒の存在下で反応させることを含む、[1]〜[5]のいずれか一つに記載のイソシアネート変性エポキシ樹脂の製造方法。
[15] イソシアネート基とエポキシ基のモル比を1:4〜1:10で反応させる、[14]に記載のイソシアネート変性エポキシ樹脂の製造方法。
本発明のエポキシ樹脂組成物から得られる硬化物は、耐熱性、保存安定性、及び機械的特性(破壊靭性及び圧縮強度)のバランスに優れており、プリプレグや繊維強化複合材料の材料として好適に用いることができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、本実施形態)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態のイソシアネート変性エポキシ樹脂は、下記一般式(1)で表される構造を有することを特徴とする。
Figure 2011184616

(式中、Rは置換基を有することができる有機基であり、X及びYは各々独立してエポキシ基又はオキサゾリドン環を有する有機基であり、X及びYは互いに結合して、エポキシ基を置換基として有する環を形成することができ、Zはイソシアネート基又はオキサゾリドン環を有する有機基を表す。)
上記イソシアネート変性エポキシ樹脂は、上記一般式(1)に示される通り、構造中にオキサゾリドン環を有することが特徴である。該構造を有することにより、上記イソシアネート変性エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物の保存安定性は向上し、且つ、その硬化物は耐熱性や破壊靭性が非常に優れたものとなる。
一般的に、イソシアネート変性エポキシ樹脂を得るための原料として考えられる化合物の1つである、アミン骨格を有するグリシジル化合物は、耐熱性が良好であるが、保存安定性が悪いことが知られており、従来エポキシ樹脂組成物の原料としては、使用されていなかった。しかしながら、該化合物を用い、さらにイソシアネート化をすることで、耐熱性を維持しつつ、良好な保存安定性を達成することができた。これはイソシアネート化を行ってオキサゾリドン環を形成することで、窒素元素近くの構造が嵩高くなり、エポキシ基同士の反応触媒としての効果が小さくなるため保存安定性が向上するものと考えられる。また、硬化物中に、該骨格を持つと、その剛直性から耐熱性は向上し、硬化剤での架橋点間距離が長くなるため、その硬化物は強靭なものとなる。ここで「架橋点間距離」とは、エポキシ樹脂と硬化剤による架橋の分子間の距離を示す。
また、上記イソシアネート変性エポキシ樹脂は、下記一般式(3)で表される構造を有することがより好ましい。オキサゾリドン環が構造中に増えることにより、上記効果がより顕著に得られるため、得られたエポキシ樹脂組成物の保存安定性、さらにその硬化物の耐熱性や破壊靭性の観点から好ましい。
Figure 2011184616
以下、本実施形態における各記号の説明を行う。
式(1)において、X及びYのいずれか一方は、原料で使用するグリシジル化合物の主骨格を含み、他方は、グリシジル化合物由来のグリシジル基、又はそのグリシジル基とイソシアネート基との反応により得られるオキサゾリドン環を含む有機基である。
グリシジル化合物の主骨格は、グリシジル基を2個以上有することが特徴である。グリシジル化合物自体にアミン骨格を有することで、硬化時の触媒メカニズムから、硬化速度上昇の効果を奏する。主骨格は、グリシジル基を2個以上有するので、更にイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応し、結果的にX及びYのうち、グリシジル化合物の主骨格を含む方も、グリシジル基及び/又はグリシジル基由来のオキサゾリドン環を含むことができる。つまり原料のグリシジル化合物のエポキシ基の1つが、イソシアネート基と反応してオキサゾリドン環を形成し、未反応の部分が残る。そうして残った部分のうち、グリシジルアミン化合物のエポキシ基の1つがエポキシ基(グリシジル基)としてそのまま残るか、さらにイソシアネートと反応してオキサゾリドン環を形成する。
また、グリシジル化合物の主骨格はグリシジル基を2個以上有することから、イソシアネートと反応しても、結合できるエポキシ基が残存し、硬化用の樹脂として使用できる。グリシジル化合物としては、例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジルジアミノジフェニルスルホン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、オルソトルイジン型グリシジルアミン、アニリン型グリシジルアミン、トリグリシジルイソシアヌレート、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミンの骨格が挙げられる。この中でも耐熱性の点から、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルイソシアヌレート、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミンが好ましく、テトラグリシジルジアミノフェニルメタンが特に好ましい。ここで主骨格とは、グリシジル化合物から、オキサゾリドン環を形成するのに使用されたグリシジル基を除いた構造を意味する。なお、一般式(3)におけるV及びWについても、上記X及びYの説明で挙げられた有機基であることができ、上記X及びYの説明で挙げられた好ましい有機基が、V及びWについても好ましい有機基である。
X及びYのうち、原料のグリシジル化合物由来のグリシジル基又はそのグリシジル基由来のオキサゾリドン環を含む有機基である方についても、原料のグリシジル化合物のエポキシ基が更にイソシアネートと反応するとオキサゾリドン環を形成するし、特に反応しなければ、当該部位はそのままエポキシ基を有することになる。
本実施形態のイソシアネート変性エポキシ樹脂は、X及び/又はY中に(V及び/又はW中に)、上述した骨格の他に、ビフェニル、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAF、ビスフェノールAC、ビスフェノールS、フェノールノボラック、及びクレゾールノボラックから選択される1種以上の骨格を含むことができる。
Rで示される2価の有機基としては、特に限定されず、後述する原料として用いるイソシアネート化合物の構造によって決まる。特に、靭性や耐熱性の観点から、炭素が6個以上含むものが良く、その中でも、特に靭性や耐熱性の観点から、イソホロン、ベンゼン、トルエン、ジフェニルメタン、ナフタレン、ポリメチレンポリフェニレンポリフェニル、ヘキサメチレンから選択される1種以上の骨格を含むことが好ましく、反応効率の点から芳香環を有している化合物、すなわち、ベンゼン、トルエン、ジフェニルメタン、ナフタレン、ポリメチレンポリフェニレンポリフェニルから選択される1種以上の骨格を含むことがさらに好ましい。
本実施形態のイソシアネート変性エポキシ樹脂の数平均分子量は、下限としては、好ましくは800以上であり、より好ましくは900以上、さらに好ましくは1000以上である。上限としては、好ましくは5000以下、より好ましくは4000以下、さらに好ましくは3000以下である。硬化物の耐熱性を向上させ、かつ強靭性を向上するという点から数平均分子量は800以上であることが好ましい。取り扱い性が向上できることから、数平均分子量は5000以下であることが好ましい。ここで、数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて、ポリスチレン換算により測定した値をいう。
本実施形態のイソシアネート変性エポキシ樹脂のエポキシ当量は、下限としては、好ましくは250以上であり、より好ましくは350以上、さらに好ましくは400以上である。一方、上限としては、好ましくは1000以下であり、より好ましくは900以下、さらに好ましくは800以下である。エポキシ当量が250以上であると、靭性が高くなる傾向にある。ここで、エポキシ当量は、JIS−K−7236による電位差滴定法により測定した値である。
本実施形態のイソシアネート変性エポキシ樹脂の製造方法としては、特に限定されず、例えば、イソシアネート化合物とアミン骨格を有するグリシジル化合物とを、オキサゾリドン環形成触媒の存在下で反応させることにより、ほぼ理論量で得ることができる。イソシアネート化合物とグリシジル化合物は、イソシアネート基とエポキシ基のモル比が1:4〜1:10の範囲で反応させることが好ましく、両者の比が上記範囲である場合、ゲル化することなく反応が進行し、得られるエポキシ樹脂硬化物の耐熱性及び耐水性がより良好となる傾向にある。
原料として用いるイソシアネート化合物の具体例としては、イソシアネート基を2つ以上有する化合物であればよく、例えば、メタンジイソシアネート、ブタン−1,1−ジイソシアネート、エタン−1,2−ジイソシアネート、ブタン−1,2−ジイソシアネート、トランスビニレンジイソシアネート、プロパン−1,3−ジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、2−ブテン−1,4−ジイソシアネート、2−メチルブテン−1,4−ジイソシアネート、2−メチルブタン−1,4−ジイソシアネート、ペンタン−1,5−ジイソシアネート、2,2−ジメチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、ヘキサン−1,6−ジイソシアネート、ヘプタン−1,7−ジイソシアネート、オクタン−1,8−ジイソシアネート、ノナン−1,9−ジイソシアネート、デカン−1,10−ジイソシアネート、ジメチルシランジイソシアネート、ジフェニルシランジイソシアネート、ω,ω’−1,3−ジメチルベンゼンジイソシアネート、ω,ω’−1,4−ジメチルベンゼンジイソシアネート、ω,ω’−1,3−ジメチルシクロヘキサンジイソシアネート、ω,ω’−1,4−ジメチルシクロヘキサンジイソシアネート、ω,ω’−1,4−ジメチルナフタレンジイソシアネート、ω,ω’−1,5−ジメチルナフタレンジイソシアネート、3−イソシアナートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、1−メチルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、1−メチルベンゼン−2,5−ジイソシアネート、1−メチルベンゼン−2,6−ジイソシアネート、1−メチルベンゼン−3,5−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−2,4’−ジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、ビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,3’−ジメトキシビスフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジメトキシジフェニルメタン−3,3’−ジイソシアネート、ジフェニルサルファイト−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルスルフォン−4,4’−ジイソシアネート等の2官能イソシアネート化合物;
ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(4−フェニルイソシアネートチオフォスフェート)−3,3’,4,4’−ジフェニルメタンテトライソシアネート等の多官能イソシアネート化合物;
上記イソシアネート化合物の2量体や3量体等の多量体、アルコールやフェノールによりマスクされたブロックイソシアネート及びビスウレタン化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。これらイソシアネート化合物は2種以上組み合わせて用いることができる。ここで、2個以上有するイソシアネート基のうちの1つがグリシジル化合物と反応してオキサゾリドン環を形成し、残りのイソシアネート基のうちの1つがさらにグリシジル化合物と反応すれば、上記のXやYと同様に、V及び/又はWはオキサゾリドン環を有することになる。また、ここで残りのイソシアネート基がグリシジル化合物と反応しなければ、エポキシ基中の水酸基や樹脂中の水分と反応して、ウレタン基となる。
上記のイソシアネート化合物の中でも、耐熱性が向上する傾向にあるため、好ましくは2又は3官能イソシアネート化合物であり、より好ましくは2官能イソシアネート化合物、さらに好ましくは3−イソシアナ−トメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(この場合R=イソホロン)、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート(これらの場合R=ベンゼン)、1−メチルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、1−メチルベンゼン−2,5−ジイソシアネート、1−メチルベンゼン−2,6−ジイソシアネート、1−メチルベンゼン−3,5−ジイソシアネート(これらの場合R=トルエン)、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,3’−ジメトキシビスフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジメトキシジフェニルメタン−3,3’−ジイソシアネート(これらの場合R=ジフェニルメタン)、ω,ω’−1,4−ジメチルナフタレンジイソシアネート、ω,ω’−1,5−ジメチルナフタレンジイソシアネート(この場合R=ナフタレン)、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(この場合R=ポリメチレンポリフェニレンポリフェニル)、ヘキサン−1,6−ジイソシアネートヘキサメチレン(この場合R=ヘキサメチレン)から選ばれる骨格を1種以上有する2官能イソシアネート化合物である。例えば、1−メチルベンゼン−2,6−ジイソシアネート(別名=トリレンジイソシアネート)等が挙げられる。イソシアネート化合物の官能基数が多すぎると、ゲル化しやすくなるため変性率があげられず、貯蔵安定性などの十分な効果が得られない傾向にあり、少なすぎると耐熱性が低下する傾向にあるため、上記のような骨格を有する2官能イソシアネートが好ましい。
アミン骨格を有するグリシジル化合物を該イソシアネートで変性することは、保存安定性の観点から好ましい。オキサゾリドン環をイソシアネートで形成させることで、窒素元素近くの構造が嵩高くなり、エポキシ基同士の反応触媒としての効果が小さくなるため保存安定性が向上すると考えられる。
[触媒]
本実施形態で使用される触媒は、オキサゾリドン環形成に使用されるものであれば、特に限定されないが、グリシジル化合物とイソシアネート化合物との反応において、オキサゾリドン環を選択的に生成する触媒であることが好ましい。
このようなオキサゾリドン環を選択的に生成する触媒としては、特に限定されず、例えば、塩化リチウム、ブトキシリチウム等のリチウム化合物、3フッ化ホウ素等の錯塩;
テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムヨーダイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩;
ジメチルアミノエタノール、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ベンジルジメチルアミン、N−メチルモルホリン等の3級アミン;
トリフェニルホスフィン等のホスフィン類;
アリルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ジアリルジフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムクロライド、エチルトリフェニルホスホニウムヨーダイド、テトラブチルホスホニウムアセテート・酢酸錯体、テトラブチルホスホニウムアセテート、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムヨーダイド等のホスホニウム化合物;
トリフェニルアンチモン及びヨウ素の組み合わせ;
2−フェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;
等が挙げられる。これらの触媒は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
オキサゾリドン環形成触媒の使用量は、特に限定されるものではなく、通常は原料となるグリシジル化合物とイソシアネート化合物の総量に対して通常5ppm〜2質量%程度の範囲で使用され、好ましくは10ppm〜1質量%、より好ましくは20〜5000ppm、さらに好ましくは20〜1000ppmの範囲で使用される。触媒の使用量を2質量%以下とすることにより、耐湿性の低下が抑制される傾向にあり、一方、5ppm以上とすることにより、生産効率が向上する傾向にある。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記イソシアネート変性エポキシ樹脂を(A)とした場合、イソシアネート変性エポキシ樹脂(A)、(A)以外のエポキシ樹脂(B)及び硬化剤(C)を含むことが好ましい。また、更に可塑剤(D)を含むことが好ましい。以下、該エポキシ樹脂(B)、硬化剤(C)及び可塑剤(D)について説明する。
[エポキシ樹脂(B)]
エポキシ樹脂(B)としては、特に限定されるものではなく、各種公知のものを適宜選択して用いることができる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ヒンダトイン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビスAノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン/フェノールエポキシ樹脂、脂環式アミンエポキシ樹脂、脂肪族アミンエポキシ樹脂、及び、これらをハロゲン化したエポキシ樹脂等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
エポキシ樹脂組成物中のイソシアネート変性エポキシ樹脂(A)成分の割合は、((A)+(B))を100としたとき、10〜95質量部であることが靭性の点から好ましい。より好ましくは20〜90質量部、更に好ましくは35〜85質量部である。(A)成分の割合が上記範囲にあると、破壊靭性と弾性率の低下開始温度のバランスが良好となる傾向にある。
[硬化剤(C)]
硬化剤(C)としては、特に限定されるものではなく、各種公知のものを適宜選択して用いることができるが、硬化時の反応速度の観点から、グアニジン誘導体、芳香族アミン化合物及びノボラック型フェノール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらのグアニジン誘導体、芳香族アミン化合物及びノボラック型フェノール樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
グアニジン誘導体の具体例としては、例えば、ジシアンジアミド、ジシアンジアミド−アニリン付加物、ジシアンジアミド−メチルアニリン付加物、ジシアンジアミド−ジアミノジフェニルメタン付加物、ジシアンジアミド−ジアミノジフェニルエーテル付加物等のジシアンジアミド誘導体、硝酸グアニジン、炭酸グアニジン、リン酸グアニジン、スルファミン酸グアニジン、重炭酸アミノグアニジン等のグアニジン塩、アセチルグアニジン、ジアセチルグアニジン、プロピオニルグアニジン、ジプロピオニルグアニジン、シアノアセチルグアニジン、コハク酸グアニジン、ジエチルシアノアセチルグアニジン、ジシアンジアミジン、N−オキシメチル−N’−シアノグアニジン、N,N’−ジカルボエトキシグアニジン等が挙げられるが、これらに特に限定されるものではない。
芳香族アミン化合物の具体例としては、例えば、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4、4’−ジアミノジフェニルエーテル等が挙げられるが、これらに特に限定されるものではない。
ノボラック型フェノール樹脂の具体例としては、例えば、フェノールノボラック、ビスフェノールAノボラック、クレゾールノボラック、ナフトールノボラック等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
硬化剤(C)の配合量は、特に制限されるものではなく、所望の設計に応じて適宜設定されるが、硬化剤(C)がグアニジン誘導体の場合は、イソシアネート変性エポキシ樹脂(A)の総量に対して1〜9質量%であることが好ましく、硬化剤(C)が芳香族アミン化合物の場合は、イソシアネート変性エポキシ樹脂(A)の総量に対して10〜50質量%であることが好ましく、硬化剤(C)がノボラック型フェノール樹脂の場合は、イソシアネート変性エポキシ樹脂(A)の総量に対して20〜60質量%であることが好ましい。硬化剤(C)の配合量を上記範囲とすることは、硬化物の架橋密度の低下及びTgの低下を抑制し、耐湿性を確保する観点から好適である。
[可塑剤(D)]
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、破壊靭性を向上させるという点から可塑剤(D)を更に含むことができる。可塑剤(D)としては、例えば、熱可塑性エラストマーや架橋ゴム等が挙げられる。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー等が挙げられるが、ポリアミド系熱可塑性エラストマーの方が、繊維強化複合材料の圧縮強度、層間剪断強度等の物性に優れる傾向にあるため好ましい。
架橋ゴムとしては、例えば、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体等が挙げられ、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体の方が、エポキシ樹脂との相溶性が良好となる傾向にあるため好ましい。
可塑剤(D)の含有量は、エポキシ樹脂組成物全体に対して、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは2〜20質量%である。可塑剤(D)の含有量を30質量%以下とすることは、樹脂粘度が増大してプリプレグへの樹脂の含浸性が悪くなることを防止する観点から好適である。一方、1質量%以上とすることは、プリプレグのタック性を良好に維持し、また、成型不良を抑制する観点から好適である。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、フィラー(E)、硬化促進剤を更に含んでもよい。
[フィラー(E)]
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、フィラー(E)を更に含むことができる。フィラー(E)を含有することは、レオロジー制御、即ち増粘やチキソトロピー性付与効果があるため好ましい。
フィラー(E)としては、例えば、タルク、ケイ酸アルミニウム、微粒状シリカ、炭酸カルシウム、マイカ、アルミナ水和物、亜鉛末、カーボンブラック、炭化ケイ素等が挙げられ、チキソトロピー性付与効果の点から微粒状シリカが好ましい。
フィラー(E)の含有量は、エポキシ樹脂組成物全体に対して、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは1〜5質量%である。フィラー(E)の含有量を10質量%以下とすることは、樹脂粘度が高すぎてプリプレグへの樹脂の含浸が困難となって、プリプレグ間の接着強度が低下することを防止する観点から好適である。一方、1質量%以上とすることは、成型物表面に樹脂かすれが発生することを抑制する観点から好適である。
[硬化促進剤]
また、上記のエポキシ樹脂組成物に、硬化促進剤を更に配合して、エポキシ樹脂組成物の硬化速度の調整を行なうことも可能である。硬化促進剤としては、各種公知のものを特に制限なく用いることができ、例えば、尿素化合物、イミダゾール類、第3級アミン類、ホスフィン類、アミノトリアゾール類等が挙げられる。また、上記エポキシ樹脂と公知の硬化促進剤を組み合わせて用いてもよい。
[エポキシ樹脂ワニス]
上記のエポキシ樹脂組成物は、好ましくは、溶媒中に均一に溶解又は分散させたエポキシ樹脂ワニスとして使用される。用いる溶媒としては、上記のエポキシ樹脂組成物を溶解又は分散可能なものであれば特に限定されず、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、メチルイソブチルケトン、ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、キシレン等及びこれらの混合溶媒が挙げられる。
[プリプレグの製造方法]
上記エポキシ樹脂ワニスを用いてプリプレグを製造することができる。本実施形態のプリプレグは、例えば、上記のエポキシ樹脂組成物を、繊維基材に塗布及び/又は浸漬により含浸させる工程を含む製造方法により得ることができる。また、本実施形態のプリプレグを得るための別の方法としては、有機及び/又は無機の短繊維を、本実施形態のエポキシ樹脂組成物に加える工程を含む製造方法が挙げられる。
本実施形態のプリプレグは、上記エポキシ樹脂組成物を繊維基材に含浸させる工程又は短繊維をエポキシ樹脂組成物に加える工程に加え、エポキシ樹脂を含む繊維基材又は短繊維を乾燥させる工程を含むことが現行の乾燥装置を使用できる点から好ましい。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物を用いて得られたプリプレグは、機械的強度が高められ、且つ、寸法安定性が向上しており安定性に優れたものである。
繊維基材としては、各種公知のものを適宜選択して用いることができ、特に限定されないが、例えば、ロービングクロス、クロス、チョップドマット、サーフェシングマット等の各種ガラス布、アスベスト布、金属繊維布、及びその他合成若しくは天然の無機繊維布;ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、全芳香族ポリアミド繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維等の合成繊維から得られる織布又は不織布;綿布、麻布、フェルト等の天然繊維布;カーボン繊維布;クラフト紙、コットン紙、紙−ガラス混繊紙等の天然セルロース系布、等が挙げられる。上記の中でも、低比重であり、比強度及び比弾性率に優れているためカーボン繊維布が好ましい。また、これらの繊維基材は、1種を単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
繊維基材の厚さは、プリプレグの厚さや、所望の機械的強度及び寸法安定性等に応じて適宜設定すればよく、通常、0.05〜0.30mm程度であるが、特に限定されるものではない。
プリプレグにおいて繊維基材の占める割合は、所望のプリプレグの性能に応じて適宜設定され、特に限定されるものではないが、プリプレグの総量に対して、30〜90質量%であることが好ましく、40〜80質量%であることがより好ましく、50〜70質量%であることがさらに好ましい。繊維基材を30質量%以上とすることは、より優れた寸法安定性及び強度を有する硬化物を得る観点から好適である。一方、繊維基材を90質量%以下とすることは、より優れた密着性を有する硬化物を得る観点から好適である。なお、プリプレグの総量に対して、繊維基材の割合が30〜90質量%となる場合に、含浸性が良好であると判断できる。
繊維基材へのエポキシ樹脂組成物の含浸は、例えば、エポキシ樹脂組成物を基材に塗布したり、エポキシ樹脂組成物中に繊維基材を浸漬(ディッピング)したりすることより実施できる。この含浸処理は、必要に応じ複数回繰り返して行なうことも可能であり、また、その際に組成や濃度の異なる複数のエポキシ樹脂組成物を用いて含浸を繰り返して行ない、所望の樹脂組成及び樹脂量に調整することも可能である。
さらに、プリプレグの乾燥の際、加熱の程度を調節してエポキシ樹脂組成物を半硬化させた状態、いわゆるBステージ状態にすることが好ましい。プリプレグの乾燥条件は、所望のプリプレグの素材や厚さ等に応じて適宜設定され、通常、乾燥温度100〜200℃、乾燥時間1〜30分程度の条件下である。
[繊維強化複合材料の製造方法]
繊維強化複合材料は、上記のプリプレグを積層し、加熱加圧成形することにより製造することができる。加熱加圧成形は、常法にしたがって行なえばよく、温度は通常80〜300℃、好ましくは120〜250℃;圧力は通常0.01〜100MPa、好ましくは0.1〜10MPa;時間は通常1分〜10時間、好ましくは1分〜5時間の条件下で行なう。
次に、実施例及び比較例を挙げて本実施形態をより具体的に説明するが、本実施形態はその要旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例中の物性は以下の方法により測定した。
(1)破壊靭性試験(KIC
エポキシ樹脂組成物の硬化物について、弾塑性破壊靭性試験方法(JSME S 001−1981)に準拠し測定した。試験方法としては、試験片中央に約2.5mmのクラックを入れた長さ20mm×幅4mm×厚さ2mmの試験片を、圧子移動速度0.5mm/分、支点間距離17.6mmでの3点曲げ試験にて、装置AGS−H5kN(島津製作所社製)を使用して測定した。
(2)ガラス転移温度(E´低下開始温度)
エポキシ樹脂組成物を含浸させて硬化させた炭素繊維強化複合材料について、動的粘弾性測定装置DDV−25FP(オリエンテック(株)製)を用い、長さ20mm×幅4mm×厚さ2mmの試験片を、2℃/分で昇温させ、弾性率E’の低下開始温度をガラス転移温度とした。なお、この項目で「耐熱性」を判断する。
(3)圧縮強度
炭素繊維クロスに含浸させて得られた積層体について、SACMA−SRM−2R−94に準拠し、装置AGS−H5kN(島津製作所社製)を使用して圧縮強度を測定した。
(4)赤外線吸収スペクトル(IR)
日本分光株式会社 FT/IR−6100を使用して、600〜4000cm−1の範囲で測定を行った。
(5)ゲルタイム保持率
硬化剤配合後のエポキシ樹脂組成物を40℃で7日間放置し、その170℃ゲルタイム変化を測定した。ここでゲルタイムとは、硬化性樹脂が未硬化樹脂の状態から、流動性のなくなるゲル状態なるまでの加熱時間を言う。なお、この項目で「保存安定性」を判断する。
ゲルタイム保持率 = (7日後のゲルタイム)/(混合初期のゲルタイム)
(6)ゲル浸透クロマトグラフィー
測定装置(東ソー株式会社製「HLC−8320GPC」、昭和電工社製shodex A−804、A−803、A−802、A802をカラムとして使用して、移動相としてテトラヒドロフランを使用したゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析を行い、分子量既知のポリスチレンの溶出時間との比較で数平均分子量を求めた。
[合成例1]
反応器内に、原料グリシジル化合物としてテトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(商品名:MY721、HUNTSMAN製、エポキシ当量112g/eq)100質量部、及び、テトラブチルアンモニウムブロマイド(商品名:臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム、和光純薬工業(株)製)0.04質量部を投入し、撹拌加熱し、内温を175℃にした。さらに、原料イソシアネート化合物としてトリレンジイソシアネート(商品名:コロネートT80(商標)、日本ポリウレタン(株)製)12.1質量部を90分かけて反応器内に投入した。投入終了後、反応温度を175℃に保ち、8時間撹拌し、イソシアネート変性エポキシ樹脂(A−1)を得た。得られた樹脂をIR測定したところ、1750cm−1と910cm−1にピークが観測され、オキサゾリドン環とエポキシ基を含むことを確認した。得られた樹脂のゲル浸透クロマトグラフィーから求めた数平均分子量は930であり、エポキシ当量は310であった。
[合成例2]
テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンを、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン(商品名:TETRAD−X、三菱ガス化学(株)製、エポキシ当量100g/eq)100質量部に変更したこと以外は実施例1と同様の方法により変性を行い、イソシアネート変性エポキシ樹脂(A−2)を得た。得られた樹脂をIR測定したところ、1750cm−1と910cm−1にピークが観測され、オキサゾリドン環とエポキシ基を含むことを確認した。得られた樹脂のゲル浸透クロマトグラフィーから求めた数平均分子量は750であり、エポキシ当量は265であった。
[合成例3]
テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンを、下記式(4)に示されるトリグリシジルイソシアヌレートトリグリシジルイソシアヌレート(商品名:TEPIC−S、日産化学(株)製、エポキシ当量108g/eq)100質量部に変更したこと以外は実施例1と同様の方法により変性を行い、イソシアネート変性エポキシ樹脂(A−3)を得た。得られた樹脂をIR測定したところ、1750cm−1と910cm−1にピークが観測され、オキサゾリドン環とエポキシ基を含むことを確認した。得られた樹脂のゲル浸透クロマトグラフィーから求めた数平均分子量は860であり、エポキシ当量は290であった。
Figure 2011184616
[比較合成例1]
原料グリシジル化合物としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:AER260、旭化成ケミカルズ(株)製、エポキシ当量186g/eq)90質量部を150℃に加熱し、窒素を充填した。そこに2−メチルイミダゾール(和光純薬工業(株)製)0.03質量部を投入し、撹拌加熱し、内温を160℃にした。さらに、原料イソシアネート化合物として4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)(商品名:ミリオネートMT(商標)、日本ポリウレタン(株)製)10質量部を30分かけて反応器内に投入した。投入終了後、反応温度を160℃に保ち、15分間撹拌し、イソシアネート変性エポキシ樹脂(B−1)を得た。得られた樹脂をIR測定したところ、1750cm−1と910cm−1にピークが観測され、オキサゾリドン環とエポキシ基を含むことを確認した。得られた樹脂のゲル浸透クロマトグラフィーから求めた数平均分子量は750であった。
[実施例1〜5及び比較例1〜2]
得られたイソシアネート変性エポキシ樹脂(A−1)、(A−2)、エポキシ樹脂(B−1)及びテトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(商品名:MY721、HUNTSMAN製)を用いて、表1に示す配合によりエポキシ樹脂組成物を調製した。
[プリプレグ及び炭素繊維強化複合材料の製造]
実施例1〜5及び比較例1〜3で得られたエポキシ樹脂組成物に炭素繊維クロス(商品名:トレカクロスCO6343、東レ(株)社製)を5分間浸漬し、炭素繊維にエポキシ樹脂組成物を含浸せしめた後、該ガラスクロスを170℃のオーブンで2分間加熱して、プリプレグを得た。
得られたプリプレグを10cm四方に切断し、7枚重ねて、熱板プレスにて40kgf/cm、180℃で60分プレスを行い、炭素繊維強化複合材料を得た。得られた炭素繊維強化複合材料のガラス転移温度(弾性率E’の低下開始温度)、破壊靭性(KIC)、及び圧縮強度を測定し、結果を表1に示した。
Figure 2011184616
本発明のイソシアネート変性エポキシ樹脂は、保存安定性が良好で、高い耐熱性を保持しながら強靭な樹脂であるため、繊維強化複合材料へのマトリックス樹脂として使用できる。

Claims (15)

  1. 下記一般式(1)で表されるイソシアネート変性エポキシ樹脂。
    Figure 2011184616

    (式中、Rは置換基を有することができる有機基であり、X及びYは各々独立して、エポキシ基を有する有機基又はオキサゾリドン環を有する有機基であり、X及びYは互いに結合して、エポキシ基を置換基として有する環を形成することができ、Zはイソシアネート基又はオキサゾリドン環を有する有機基を表す。)
  2. 一般式(1)のZが下記式(2)である、請求項1に記載のイソシアネート変性エポキシ樹脂。
    Figure 2011184616

    (式中、V及びWは各々独立してエポキシ基又はオキサゾリドン環を有する有機基を表し、V及びWは互いに結合して、エポキシ基を置換基として有する環を形成することができる。)
  3. Rが、イソホロン、ベンゼン、トルエン、ジフェニルメタン、ナフタレン、ポリメチレンポリフェニレンポリフェニル及びヘキサメチレンからなる群から選択される1種以上の骨格を含む有機基である、請求項1又は2に記載のイソシアネート変性エポキシ樹脂。
  4. 数平均分子量が800以上5000以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のイソシアネート変性エポキシ樹脂。
  5. エポキシ当量が250以上1000以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のイソシアネート変性エポキシ樹脂。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のイソシアネート変性エポキシ樹脂(A)及び硬化剤(C)を含むエポキシ樹脂組成物。
  7. 可塑剤(D)を更に含む請求項6に記載のエポキシ樹脂組成物。
  8. 前記エポキシ樹脂組成物中の前記(A)成分の割合が、(A)+(B)を100としたとき10〜95質量部である、請求項6又は7に記載のエポキシ樹脂組成物。
  9. 請求項6〜8のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物より得られるプリプレグ。
  10. 請求項9に記載のプリプレグより得られる繊維強化複合材料。
  11. グリシジル基を少なくとも2つ有し、アミン骨格を有するグリシジル化合物と、少なくともイソシアネート基を2つ以上有するイソシアネート化合物との反応により得られ、下記式(1)で表されるオキサゾリドン環を含む構造を有するイソシアネート変性エポキシ樹脂。
    Figure 2011184616

    (式中、Rは置換基を有することができる有機基を表し、X及びYは各々独立してエポキシ基又はオキサゾリドン環を有する有機基を表し、X及びYは互いに結合して、エポキシ基を置換基として有する環を形成することができ、Zはイソシアネート基又はオキサゾリドン環を有する有機基を表す。)
  12. 前記イソシアネート化合物が、3−イソシアナートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、1−メチルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、1−メチルベンゼン−2,5−ジイソシアネート、1−メチルベンゼン−2,6−ジイソシアネート、1−メチルベンゼン−3,5−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,3’−ジメトキシビスフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジメトキシジフェニルメタン−3,3’−ジイソシアネート、ω,ω’−1,4−ジメチルナフタレンジイソシアネート、ω,ω’−1,5−ジメチルナフタレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、及びヘキサン−1,6−ジイソシアネートヘキサメチレンからなる群から選ばれる1種以上のイソシアネート化合物である、請求項11に記載のイソシアネート変性エポキシ樹脂。
  13. 前記グリシジル化合物が、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジルジアミノジフェニルスルホン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、オルソトルイジン型グリシジルアミン、アニリン型グリシジルアミン、トリグリシジルイソシアヌレート、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミンからなる群から選ばれる一種以上のグリシジル化合物である、請求項11又は12に記載のイソシアネート変性エポキシ樹脂。
  14. グリシジル基を少なくとも2つ有し、アミン骨格を有するグリシジル化合物と、少なくともイソシアネート基を2つ以上有するイソシアネート化合物とをオキサゾリドン環形成触媒の存在下で反応させることを含む、請求項1〜5のいずれかに一項に記載のイソシアネート変性エポキシ樹脂の製造方法。
  15. イソシアネート基とエポキシ基のモル比を1:4〜1:10で反応させる、請求項14に記載のイソシアネート変性エポキシ樹脂の製造方法。
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