JP2010116511A - 変性ポリオレフィン樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

変性ポリオレフィン樹脂組成物およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、難接着基材に対して優れた接着性を有し、原料の流動性を出来る限り維持して、成形性に優れた変性ポリオレフィン樹脂およびその製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明は、少なくとも1つ以上の混練ゾーン、および樹脂混合物をせき止めるか逆送りするための圧力保持ゾーンを少なくとも1つ有する構成のスクリューを有する同方向回転二軸押出機において、(A)ポリオレフィン樹脂に対して(B)ラジカル重合開始剤を溶融混練して可塑化するとともに、(C−1)エポキシ基含有ビニル単量体及び(C−2)芳香族ビニル単量体、またはさらに(C−3)(メタ)アクリル酸エステル単量体を溶融混練して得られることを特徴とする変性ポリオレフィン樹脂組成物の製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオレフィン樹脂とラジカル重合開始剤の存在下、エポキシ基含有ビニル単量体と芳香族ビニル単量体を加え溶融混練して得られる変性ポリオレフィン組成物の製造方法に関する。さらに、難接着基材に対する優れた接着性を有するポリオレフィンシートまたはフィルム状成形体およびその製造方法を提供することを目的とする。
ポリオレフィン樹脂、例えばポリプロピレン樹脂は、その成形性、剛性、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性などに優れ、また安価であることから、フィルム、繊維、そのほか様々な形状の成形品として汎用的に使用されている。一方で、ポリプロピレンは分子内に極性基を持たず、非極性で化学的に極めて不活性な高分子である。そのため、接着性、塗装密着性、耐油性等が低いという課題がある。この課題を改善するために、ポリオレフィン樹脂へ極性官能基を有する重合可能なモノマーをグラフト重合させて、変性樹脂を製造する方法が試みられ、以下のような方法が提案されている。
(i)水中に分散させたポリオレフィン樹脂粒子にビニル単量体を含浸させ、過酸化物の存在下で加熱して変性ポリオレフィンを製造する方法(特許文献1)。
(ii)ポリオレフィン樹脂、無水マレイン酸と有機過酸化物とを溶融混練し、変性ポリオレフィンを製造する方法(特許文献2)。
(i)の方法では様々なビニル単量体をポリオレフィン樹脂にグラフトさせることができる。しかし、エポキシ基などの極性の高い官能基を持つモノマーは、非極性であるポリオレフィン樹脂に含浸しにくく、共重合できる量に限界があった。また、該モノマーの水への溶解抑制剤を必要とするため、反応後の変性ポリオレフィン組成物中に溶解抑制剤が残存し、印刷性、インキ密着性、接着性を阻害するという問題点があった。
(ii)の方法では、ポリオレフィン樹脂に共重合できるモノマーの種類は限られている。例えば無水マレイン酸の代わりにメタクリル酸グリシジルを用いると、モノマーが未反応のまま揮発したり、モノマー同士の重合が起こるだけでポリオレフィン樹脂にグラフトしなかったり、余剰の過酸化物によりポリオレフィンの主鎖が切断されて低分子量化するため、機械的特性が低下し、接着性への充分な要求に応えるレベルに達しているとは言えないのが現状である。
また、一般的に、ポリプロピレンに極性基を含有するビニル化合物をグラフトする目的で、有機過酸化物を作用させると、ポリプロピレン分子鎖中にラジカルが形成され、極性基を含有するビニル化合物のグラフト共重合が進行してグラフト変性物が得られるが、これと同時にポリプロピレン分子鎖切断による分子量低下が起こる。このため、グラフト変性物の分子量は変性前のポリプロピレン樹脂の分子量よりかなり小さくなる。分子量が大きく低下すると、溶融張力が低下し、押出成形性に支障をきたし、またポリプロピレンが本来有している機械物性などが失われる。そのため、グラフト変性法では、必要以上にポリプロピレン分子鎖を分解させずにポリプロピレン分子鎖中に形成したラジカルを、効率よく極性基を含有するビニル化合物を付加させる必要がある。
従って、得られた変性ポリプロピレン樹脂の分子量が大きく、高グラフト量での変性ポリプロピレン樹脂を低コストで効率よく製造することができる方法は、工業的に非常に重要となる。
特開平6−122738号公報 特開平9−278956号公報
本発明は、難接着基材に対して優れた接着性を有し、原料の流動性を出来る限り維持して、成形性に優れた変性ポリオレフィン樹脂およびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上述の現状に鑑み、鋭意検討した結果、特定の構成を有する装置を用いて、ポリオレフィン樹脂とラジカル重合開始剤の存在下、エポキシ基含有ビニル単量体と芳香族ビニル単量体または、任意成分として(メタ)アクリル酸エステル単量体を加え、溶融混練することにより、上記の物性を付与することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記1)〜7)に関する。
1)少なくとも1つ以上の混練ゾーン、および混練ゾーンの後に設けられた少なくとも1つの圧力保持ゾーンを有する構成のスクリューを有する同方向回転二軸押出機を用いて、(A)ポリオレフィン樹脂と(B)ラジカル重合開始剤とを混練ゾーンにて溶融混練し、次いで(C)(C−1)エポキシ基含有ビニル単量体および(C−2)芳香族ビニル単量体を含有する少なくとも2種以上のビニル単量体を添加し、その後混練ゾーンおよび圧力保持ゾーンにて溶融混練することを特徴とする、変性ポリオレフィン樹脂組成物の製造方法。
2)(C)ビニル単量体が、(A)ポリオレフィン樹脂100重量部あたり(C−1)エポキシ基含有ビニル単量体0.1〜100重量部、(C−2)芳香族ビニル単量体0.1〜50重量部、(C−3)(メタ)アクリル酸エステル単量体0〜50重量部を含有し、(A)ポリオレフィン樹脂、(C−1)エポキシ基含有ビニル単量体、(C−2)芳香族ビニル単量体、(C−3)(メタ)アクリル酸エステル単量体の合計100重量%中における(C−1)エポキシ基含有ビニル単量体の割合が0.1〜50重量%である、1)に記載の変性ポリオレフィン樹脂組成物の製造方法。
3)(A)ポリオレフィン樹脂が、プロピレン単位が過半量であるポリプロピレン樹脂である、1)〜2)の何れか一項に記載の変性ポリオレフィン樹脂組成物の製造方法。
4)変性ポリオレフィン樹脂組成物が、(A)ポリオレフィン樹脂から成る相中に(C)ビニル単量体からなる相が平均1μm以下の粒子径を有する多相構造を形成していることを特徴とする1)〜3)の何れか一項に記載の変性ポリオレフィン樹脂組成物の製造方法。
5)1)〜4)の何れか一項記載の製造方法により得られる変性ポリオレフィン樹脂組成物。
6)5)記載の変性ポリオレフィン樹脂組成物を用いてなる、熱溶着性を有するポリオレフィンシートまたはフィルム状成形体。
7)少なくとも1つ以上の混練ゾーン、および混練ゾーンの後に設けられた少なくとも1つの圧力保持ゾーンを有する構成のスクリューを有する同方向回転二軸押出機を用いて、(A)ポリオレフィン樹脂と(B)ラジカル重合開始剤とを混練ゾーンにて溶融混練し、次いで(C)(C−1)エポキシ基含有ビニル単量体および(C−2)芳香族ビニル単量体を含有する少なくとも2種以上のビニル単量体を添加し、その後混練ゾーンおよび圧力保持ゾーンにて溶融混練して変性ポリオレフィン樹脂組成物を製造し、該変性ポリオレフィン樹脂組成物または該変性ポリオレフィン樹脂組成物とポリオレフィン樹脂との混合物をシートまたはフィルム状に成形加工することを特徴とする、ポリオレフィンシートまたはフィルム状成形体の製造方法。
本発明の製造方法により、原料ポリオレフィン樹脂の流動性変化を抑制しながら、接着性と成形性に優れた変性ポリオレフィン樹脂を製造することができる。本発明の変性ポリオレフィン樹脂組成物は、単独使用のみならず、ポリオレフィン樹脂に添加剤として使用しても、難接着基材に対し優れた接着力を確保することができ、文具、雑貨、食品などの包装材、自動車用部品、家電などの電気電子部品、各種産業用資材などの幅広い分野に好適に用いられる。
以下に本発明の詳細について述べる。
((A)ポリオレフィン樹脂について)
前記(A)ポリオレフィン樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリイソブチレン、プロピレンとエチレンおよび/または1−ブテンとのあらゆる比率でのランダム共重合体またはブロック共重合体、エチレンとプロピレンとのあらゆる比率においてジエン成分が50重量%以下であるエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、ポリメチルペンテン、シクロペンタジエンとエチレンおよび/またはプロピレンとの共重合体などの環状ポリオレフィン、エチレンまたはプロピレンと50重量%以下のビニル化合物などとのランダム共重合体、ブロック共重合体などが挙げられる。
中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイソブチレンが好ましく、ポリプロピレンが特に好ましい。
また、極性基を有する不飽和カルボン酸単量体と相溶し易い点で、極性基が導入されたポリオレフィン樹脂も使用できる。極性基が導入されたポリオレフィン樹脂の具体例としては、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、アクリル酸変性ポリプロピレンなどの酸変性ポリプロピレン;エチレン/塩化ビニル共重合体、エチレン/塩化ビニリデン共重合体、エチレン/アクリロニトリル共重合体、エチレン/メタクリロニトリル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリルアミド共重合体、エチレン/メタクリルアミド共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体、エチレン/メタクリル酸共重合体、エチレン/マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸メチル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/アクリル酸イソプロピル共重合体、エチレン/アクリル酸ブチル共重合体、エチレン/アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン/アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体、エチレン/メタクリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸イソプロピル共重合体、エチレン/メタクリル酸ブチル共重合体、エチレン/メタクリル酸イソブチル共重合体、エチレン/メタクリル酸2−エチルヘキシル共重合体、エチレン/無水マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸エチル/無水マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸金属塩共重合体、エチレン/メタクリル酸金属塩共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、又はその鹸化物、エチレン/プロピオン酸ビニル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体エチレン/アクリル酸エチル/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル共重合体などのエチレンまたはα−オレフィン/ビニル単量体共重合体;塩素化ポリプロピレン塩素化ポリエチレンなどの塩素化ポリオレフィンなどが挙げられる。これらの極性基導入ポリオレフィンは混合しても使用できる。
前記原料ポリオレフィン樹脂には、必要に応じて、ほかの樹脂またはゴムを本発明の効果を損なわない範囲内で添加してもよい。
前記ほかの樹脂またはゴムとしては、たとえばポリエチレン;ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリイソブテン、ポリペンテン−1、ポリメチルペンテン−1などのポリα−オレフィン;プロピレン含有量が75重量%未満のエチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン−1共重合体、プロピレン含有量が75重量%未満のプロピレン/ブテン−1共重合体などのエチレンまたはα−オレフィン/α−オレフィン共重合体;プロピレン含有量が75重量%未満のエチレン/プロピレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体などのエチレンまたはα−オレフィン/α−オレフィン/ジエン単量体共重合体;ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのポリジエン共重合体;スチレン/ブタジエンランダム共重合体などのビニル単量体/ジエン単量体ランダム共重合体;スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体などのビニル単量体/ジエン単量体/ビニル単量体ブロック共重合体;水素化(スチレン/ブタジエンランダム共重合体)などの水素化(ビニル単量体/ジエン単量体ランダム共重合体);水素化(スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体)などの水素化(ビニル単量体/ジエン単量体/ビニル単量体ブロック共重合体);アクリロニトリル/ブタジエン/スチレングラフト共重合体、メタクリル酸メチル/ブタジエン/スチレングラフト共重合体などのビニル単量体/ジエン単量体/ビニル単量体グラフト共重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレンなどのビニル重合体;塩化ビニル/アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、アクリロニトリル/スチレン共重合体、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体などのビニル共重合体などがあげられる。
ポリオレフィン樹脂に対するこれらほかの樹脂またはゴムの添加量は、この樹脂の種類またはゴムの種類により異なり、前述のように本発明の効果を損なわない範囲内にあればよいものであるが、通常、25重量%程度以下であることが好ましい。
さらに、ポリオレフィン樹脂には必要に応じて、酸化防止剤、金属不活性剤、燐系加工安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、蛍光増白剤、金属石鹸、制酸吸着剤などの安定剤、または架橋剤、連鎖移動剤、核剤、滑剤、可塑剤、充填材、強化材、顔料、染料、難燃剤、帯電防止剤などの添加剤を本発明の効果を損なわない範囲内で添加してもよい。
また、これらポリオレフィン樹脂(各種の添加材料を含むばあいもある)は粒子状のものであってもペレット状のものであってもよく、その大きさや形はとくに制限されるものではない。
また、前記の添加材料(ほかの樹脂、ゴム、安定剤および/または添加剤)を用いる場合は、この添加材料は予めポリオレフィン樹脂に添加されているものであっても、ポリオレフィン樹脂を溶融するときに添加されるものであってもよく、また変性ポリオレフィン樹脂を製造したのちに適宜の方法でこの変性ポリオレフィン樹脂に添加されるものであってもよい。
ポリオレフィン樹脂におけるプロピレン成分に関しては、ポリオレフィン樹脂に対しラジカルが発生し易くなる点で、プロピレン単位が過半量であることが好ましい。ここでいう過半量とはポリオレフィン樹脂100重量%に対するプロピレン成分が50重量%以上のことを意味する。
((C)ビニル単量体について)
本発明に用いる(C)ビニル単量体は、必須成分として(C−1)エポキシ基含有ビニル単量体および(C−2)芳香族ビニル単量体を含有する。任意成分としてさらに(C−3)(メタ)アクリル酸エステル単量体を含有してもよい。さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、(C−1)、(C−2)、(C−3)成分以外の単量体を少量含有してもよい。
(C−1)エポキシ基含有ビニル単量体は、変性ポリオレフィン樹脂に極性を付与するための成分である。(C−2)芳香族ビニル単量体は、(C−1)エポキシ基含有ビニル単量体のグラフト効率を向上させるための成分である。(C−1)成分および(C−2)成分を併用することにより、優れた接着性を有する変性ポリオレフィン樹脂が得られる。
((C−1)エポキシ基含有ビニル単量体について)
例示するならば、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、マレイン酸モノグリシジル、マレイン酸ジグリシジル、イタコン酸モノグリシジル、イタコン酸ジグリシジル、アリルコハク酸モノグリシジル、アリルコハク酸ジグリシジル、p−スチレンカルボン酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、メタアリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル、p−グリシジルスチレン、3,4−エポキシ−1−ブテン、3,4−エポキシ−3−メチル−1−ブテンなどのエポキシオレフィン、ビニルシクロヘキセンモノオキシドなどの1種または2種以上が挙げられる。
これらのうち、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジルが安価という点で好ましい。前記エポキシ基含有ビニル単量体の添加量は、(A)ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、0.1〜100重量部であることが好ましく、0.5〜50重量部であることがさらに好ましい。また、(C−1)エポキシ基含有ビニル単量体の割合が、(A)ポリオレフィン樹脂、(C−1)エポキシ基含有ビニル単量体及び(C−2)芳香族ビニル単量体の合計量が0.1〜50重量%の範囲であることが好ましく、0.5〜40重量%の範囲であることがより好ましく、1〜30重量%の範囲であることが特に好ましい。添加量が少なすぎると接着性が充分に改善されない傾向があり、添加量が多すぎると好適な形状や外観を有する樹脂組成物として取得できない傾向がある。
((C−2)芳香族ビニル単量体について)
例示するならば、スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレンなどのメチルスチレン;o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、α−クロロスチレン、β−クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレンなどのクロロスチレン;o−ブロモスチレン、m−ブロモスチレン、p−ブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレンなどのブロモスチレン;o−フルオロスチレン、m−フルオロスチレン、p−フルオロスチレン、ジフルオロスチレン、トリフルオロスチレンなどのフルオロスチレン;o−ニトロスチレン、m−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン、ジニトロスチレン、トリニトロスチレンなどのニトロスチレン;o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、ジヒドロキシスチレン、トリヒドロキシスチレンなどのビニルフェノール;o−ジビニルスチレン、m−ジビニルスチレン、p−ジビニルスチレンなどのジビニルスチレン;o−ジイソプロペニルベンゼン、m−ジイソプロペニルベンゼン、p−ジイソプロペニルベンゼンなどのジイソプロペニルベンゼン;などの1種または2種以上が挙げられる。これらのうちスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどのメチルスチレン、ジビニルベンゼン単量体またはジビニルベンゼン異性体混合物が安価であるという点で好ましい。
前記(C−2)芳香族ビニル単量体の添加量は、(A)ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、0.1〜50重量部であることが好ましく、0.5〜40重量部であることがさらに好ましく、1〜30重量部であることが特に好ましい。添加量が少なすぎるとポリオレフィン樹脂に対するエポキシ基含有ビニル単量体のグラフト率が劣る傾向がある。一方、添加量が多すぎるとエポキシ基含有ビニル単量体のグラフト効率が飽和域に達するので、50重量部を上限とすることが好ましい。
((C−3)(メタ)アクリル酸エステル単量体について)
(メタ)アクリル酸エステル単量体の具体例としては、特に制限されないが、好ましくは炭素数4〜20、より好ましくは4〜10の(メタ)アクリル酸エステルである。具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニルエチル、(メタ)アクリル酸ナフチル等が挙げられる。これらの単量体は単独で使用してもよく、2種以上組み合わせて使用してもよい。なかでも(メタ)アクリル酸メチルおよび(メタ)アクリル酸n−ブチルが安価である点で好ましい。
(C−3)(メタ)アクリル酸エステル単量体を使用する場合の添加量は、(A)ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、0.01〜50重量部であることが好ましく、0.05〜40重量部であることがさらに好ましく、0.1〜30重量部であることが特に好ましい。添加量が多いほどポリオレフィン樹脂に対するエポキシ基含有ビニル単量体のグラフト率が優れる傾向があるが、添加量が多すぎるとグラフトに寄与しないフリーポリマーの副生する傾向があるので、芳香族ビニル単量体と同重量部を上限とすることが好ましい。
(その他ビニル単量体について)
(C)ビニル単量体は、本発明の効果を損なわない範囲で(C−1)エポキシ基含有ビニル単量体、(C−2)芳香族ビニル単量体、(C−3)(メタ)アクリル酸エステル単量体以外のビニル単量体を少量含有してもよい。
その他ビニル単量体として例示するならば、塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルイソプロピルエーテル、ビニルn−ブチルエーテル、ビニルtert−ブチルエーテル等のビニルエーテル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン等が挙げられる。これらの単量体は単独で使用してもよく、2種以上組み合わせて使用してもよい。
((B)ラジカル開始剤について)
ラジカル重合開始剤としては、一般に過酸化物またはアゾ化合物などがあげられる。前記ラジカル重合開始剤としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール;パーメタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド;ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α´−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3などのジアルキルパーオキサイド;ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド;ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−メトキシブチルパーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート;t−ブチルパーオキシオクテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレートなどのパーオキシエステルなどの有機過酸化物の1種または2種以上があげられる。
これらのうち、とくに水素引き抜き能が高いものが好ましく、そのようなラジカル重合開始剤としては、たとえば1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール;ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α´−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3などのジアルキルパーオキサイド;ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド;t−ブチルパーオキシオクテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレートなどのパーオキシエステルなどの1種または2種以上があげられる。
前記ラジカル重合開始剤の添加量は、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部の範囲内にあることが好ましく、0.2〜5重量部の範囲内にあることがさらに好ましい。0.01重量部未満では変性が充分に進行せず、10重量部を超えると流動性、機械的特性の低下を招くことがある。
(スクリュー構成について)
変性ポリオレフィン樹脂組成物を製造するには、グラフト開始剤として前記ラジカル重合開始剤(有機過酸化物)を添加する。本発明の製造方法においては、(A)ポリオレフィン樹脂と(B)ラジカル重合開始剤を溶融混練する過程と、(C−1)エポキシ基含有ビニル単量体および(C−2)芳香族ビニル単量体、任意成分として(C−3)(メタ)アクリル酸エステル単量体をグラフト化する過程とをが、同方向回転型の二軸押出機を使用して同一装置内で行われる。押出機スクリューは、少なくとも1つ以上の混練ゾーン、及び少なくとも1つ以上の樹脂混合物をせき止めるか逆送りするための圧力保持ゾーンを有する構成のスクリューを有している。スクリューには、混練ゾーンと圧力保持ゾーンの他に、送りスクリューを設けてもよい。
混練ゾーンは主にニーディングディスクやローターと呼ばれるエレメントから構成され、該混練ゾーンで樹脂混合物に剪断応力が加えられる。また、圧力保持ゾーンは樹脂混合物をせき止めるか逆送りする働きを持つエレメントから構成され、通常はシールディスクや逆フライト、逆ニーディングディスクエレメント等が設けられる。
原料(A)ポリオレフィン樹脂と(B)ラジカル重合開始剤は、樹脂混合物の流れ方向に対して、最後の混練ゾーンの前までに加えられ、また(C−1)エポキシ基含有ビニル単量体および(C−2)芳香族ビニル単量体、任意成分として(C−3)(メタ)アクリル酸エステル単量体は、請求項の記載を充たす範囲で、前記(A)、(B)が添加された場所よりも樹脂混合物の流れ方向に対して後で添加されればよい。なお、そのほか必要に応じ添加される材料の混合や溶融混練の順序及び方法はとくに制限されるものではない。
変性ポリオレフィン樹脂組成物の製造において、混練ゾーンと圧力保持ゾーンの配置によって、組成物のMFRが大きく変化する。特に、ポリプロピレンを変性する場合、(A)ポリオレフィン樹脂と(B)ラジカル重合開始剤を混練するための混練ゾーンの後には、変性を行うための単量体類を添加するまでに、圧力保持ゾーンを配置しないほうが、樹脂のMFRの増大(分子鎖の切断)を抑制する観点から好ましい。
また、混練ゾーンの好ましいバレル温度としては、100〜300℃、より好ましくは150〜250℃、さらに好ましくは170℃〜220℃であり、バレル温度が低すぎるとせん断発熱により樹脂温が異常に上昇し、またバレル温度が高すぎると樹脂の劣化やラジカル開始剤の失活につながる。
スクリュー回転数は、押出機の能力にもよるが、一般に50rpm以上が好ましく、余りに低い回転数では、押出機の吐出量が稼げず、生産性の面で好ましくない。
また溶融混練の時間(ラジカル重合開始剤を混合してからの時間)は、通常30秒間〜5分間である。
また、各々の材料を充分に均一に混合するために、前記溶融混練を複数回繰返してもよい。
(変性ポリオレフィン樹脂組成物について)
本発明の変性ポリオレフィン樹脂組成物は、(A)ポリオレフィン樹脂に対して(B)ラジカル重合開始剤存在下、一定量の(C−1)エポキシ基含有ビニル単量体、(C−2)芳香族ビニル単量体及び/または(C−3)(メタ)アクリル酸エステル単量体を溶融混練して得られる。必須成分として(C−1)エポキシ基含有ビニル単量体および(C−2)芳香族ビニル単量体を使用し、必要に応じて(C−3)(メタ)アクリル酸エステル単量体を使用してもよい。これらを溶融混練することにより、含浸重合などの方法で反応させる場合に比べてエポキシ基含有ビニル単量体の使用量を増やすことができる。さらに、(C−1)エポキシ基含有ビニル単量体と(C−2)芳香族ビニル単量体及び(C−3)(メタ)アクリル酸エステル単量体を併用し、かつ(A)成分、(C−1)成分、(C−2)成分、(C−3)成分の合計100重量%中における(C−1)成分の割合を0.1〜50重量%の範囲にすることにより、グラフト効率を向上させ本発明の効果を得ることができる。
溶融混練時の添加順序及び方法については、ポリオレフィン樹脂とラジカル重合開始剤を溶融混練した混合物に、エポキシ基含有ビニル単量体、芳香族ビニル単量体、その他ビニル単量体を加え溶融混練する添加順序がよく、この添加順序で行うことでグラフトに寄与しない低分子量体の生成を抑制することができる。
溶融混練時の加熱温度は、130〜300℃であることが、ポリオレフィン樹脂が充分に溶融し、かつ熱分解しないという点で好ましい。
本発明では、変性ポリオレフィン樹脂が多相構造を形成し、ポリオレフィン樹脂から成る相中のエポキシ基含有ビニル単量体、芳香族ビニル単量体及びその他ビニル単量体から成る相が微分散している場合に、特に効果的である。加熱温度、溶融混練の時間等の反応条件にも拠るが、ポリオレフィン樹脂から成る相中のエポキシ基含有ビニル単量体、芳香族ビニル単量体及びその他ビニル単量体から成る相が平均1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがさらに好ましく、0.3μm以下であることが特に好ましい。エポキシ基含有ビニル単量体から成るエポキシ基が微分散しているため、効率よく接着性を向上することができる。
本発明の、変性ポリオレフィン樹脂組成物は、任意の割合で他の樹脂と配合して使用することができる。
(シートまたはフィルム状成形体について)
本発明の接着性樹脂組成物は、熱溶着性を有するシート状またはフィルム状成形体にすることができる。また、ポリオレフィン樹脂に本発明の接着性樹脂組成物を添加してなる樹脂組成物も、熱溶着性を有するシート状またはフィルム状成形体にすることができる。本発明でいう熱溶着性とは、熱で溶けて被着体と接合する性質のことである。本発明のシートまたはフィルム状成形体とは、成形体の厚みとしては3μmから3mmが例示でき、好ましくは10μm〜2mmであり、シートあるいはフィルムとして利用することができるものである。
本発明の熱溶着性を有するシート状またはフィルム状成形体の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば本発明の接着性組成物とポリオレフィン樹脂をドライブレンド、あるいは溶融混練した後に、各種の押出成形機、射出成形機、カレンダー成形機、インフレーション成形機、ロール成形機、あるいは加熱プレス成形機などを用いてシート状成形体に成形加工することが可能である。
本発明で用いられる被着体の材料としては、例えば、本発明の接着性フィルムの接着樹脂層と接着し得る材料である。具体的には、例えば、シリコン;金、銀、銅、鉄、錫、鉛、鋼、アルミニウムなどの金属;ガラス、セラミックスなどの無機材料;紙、布などのセルロース高分子材料、メラミン樹脂、アクリル・ウレタン樹脂、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などの合成高分子材料等が挙げられる。
被着体の材料として、異なる2種類以上の材料を混合、複合してもよい。また、積層体が本発明の接着性フィルムを介して、異なる2つの被着体が接着してなるものである場合、2つの被着体を構成する材料は、同じ種類の材料でも異なる種類の材料のいずれでもよい。被着体の性状としては特に限定されないが、例えば、フィルム状、シート状、板状、繊維状などが挙げられる。また、被着体には、必要に応じて、離型剤、メッキなどの被膜、塗料による塗膜、プラズマやレーザーなどによる表面改質、表面酸化、エッチングなどの表面処理等を実施してもよい。
被着体の用途の具体例としては、トリム類(ドアトリム、内装トリムなど)、成形天井、シート材(内装シート、インパネ表皮、装飾シートなど)等の自動車部材や、室内ドア、パーティション、内装壁板、家具、システムキッチン等の住宅資材で使用される化粧フィルムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
以下に具体的な実施例を示すが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。下記実施例および比較例中「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。
[T字剥離評価]
T字剥離評価は、島津製作所製AG−2000Aを用い、23℃にて引張テストスピード200mm/minで行った。テストサンプルは、以下の方法で作成した。2枚のアルミプレート(幅15mm×長さ150mm、厚さ0.1mm、Engineering Test )の間にフィルムを挟み、プレス機(神藤金属工業所、型式NSF−50、プレス温度220℃、無圧・予熱4分、2MPa・プレス1分、無圧・冷却プレス3min)にて接着し、テストサンプルを得た。
[MFRの測定]
MFRは、JIS K7210に準拠して、230℃、21N荷重下で測定した。
(実施例1)
(A)ホモポリプロピレン((株)プライムポリマー製J105G、MFR=9)100部、(B)1,3−ジ(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(日本油脂(株)製:パーブチルP、1分間半減期175℃)0.5部をシリンダー温度200℃、スクリュー回転数150rpmに設定した二軸押出機(44mmφ、L/D=38.5、(株)日本製鋼所製、製品名TEX44XCT)に供給して溶融混練した後、次いで、シリンダー途中よりメタクリル酸グリシジル5部、およびスチレン5部を加え溶融混練して変性ポリオレフィン樹脂ペレットを得た。ここで、押出機のスクリュー構成は図1に示したものを使用した。このスクリュー構成は、圧力保持ゾーンを持たない混練ゾーンでポリプロピレンと開始剤が混練されてから、モノマー類が添加され、その後圧力保持ゾーンを持つ事が特徴である。得られた変性ペレットのMFRは63g/10minであった。
得られた樹脂組成物をTダイに供給し30μm厚みのフィルムを得た。製膜時、ドローダウンが少なくフィルム化しやすい変性樹脂であった。また、このシートで接着させたアルミプレートのT字剥離強度は33N/15mmであった。
(比較例1)
(A)ホモポリプロピレン((株)プライムポリマー製J105G、MFR=9)100部、(B)1,3−ジ(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(日本油脂(株)製:パーブチルP、1分間半減期175℃)0.5部をシリンダー温度200℃、スクリュー回転数150rpmに設定した二軸押出機(44mmφ、L/D=38.5、(株)日本製鋼所製、製品名TEX44XCT)に供給して溶融混練した後、次いで、シリンダー途中よりメタクリル酸グリシジル5部、およびスチレン5部を加え溶融混練して変性ポリオレフィン樹脂ペレットを得た。ここで、押出機のスクリュー構成は図2に示したものを使用した。このスクリュー構成は、圧力保持ゾーンを持つ混練ゾーンでポリプロピレンと開始剤が混練されてから、モノマー類が添加され、その後さらに圧力保持ゾーンを持つ事が特徴である。得られた変性ペレットのMFRは75g/10minであった。
得られた樹脂組成物をTダイに供給し30μm厚みのフィルムを得た。製膜時、ややドローダウンがきつく、フィルムの引取が難しかった。また、このシートで接着させたアルミプレートのT字剥離強度は、36N/15mmであった。
Figure 2010116511
実施例1は図1で示されるスクリューで、溶融混練で製造された本発明の変性ポリオレフィン樹脂であり、比較例1は図2で示されるスクリューで、製造された変性ポリオレフィン樹脂である。実施例、比較例ともに、優れた接着性を示し剥離強度はほぼ同程度であるが、実施例の方が、変性後の分子切断が抑制されてMFRが小さい値であるため、Tダイによる製膜時に引取が行いやすいものであった。
実施例1で使用したスクリュー構成の略図 比較例1で使用したスクリュー構成の略図

Claims (7)

  1. 少なくとも1つ以上の混練ゾーン、および混練ゾーンの後に設けられた少なくとも1つの圧力保持ゾーンを有する構成のスクリューを有する同方向回転二軸押出機を用いて、(A)ポリオレフィン樹脂と(B)ラジカル重合開始剤とを混練ゾーンにて溶融混練し、次いで(C)(C−1)エポキシ基含有ビニル単量体および(C−2)芳香族ビニル単量体を含有する少なくとも2種以上のビニル単量体を添加し、その後混練ゾーンおよび圧力保持ゾーンにて溶融混練することを特徴とする、変性ポリオレフィン樹脂組成物の製造方法。
  2. (C)ビニル単量体が、(A)ポリオレフィン樹脂100重量部あたり(C−1)エポキシ基含有ビニル単量体0.1〜100重量部、(C−2)芳香族ビニル単量体0.1〜50重量部、(C−3)(メタ)アクリル酸エステル単量体0〜50重量部を含有し、(A)ポリオレフィン樹脂、(C−1)エポキシ基含有ビニル単量体、(C−2)芳香族ビニル単量体、(C−3)(メタ)アクリル酸エステル単量体の合計100重量%中における(C−1)エポキシ基含有ビニル単量体の割合が0.1〜50重量%である、請求項1に記載の変性ポリオレフィン樹脂組成物の製造方法。
  3. (A)ポリオレフィン樹脂が、プロピレン単位が過半量であるポリプロピレン樹脂である、請求項1〜2の何れか一項に記載の変性ポリオレフィン樹脂組成物の製造方法。
  4. 変性ポリオレフィン樹脂組成物が、(A)ポリオレフィン樹脂から成る相中に(C)ビニル単量体からなる相が平均1μm以下の粒子径を有する多相構造を形成していることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の変性ポリオレフィン樹脂組成物の製造方法。
  5. 請求項1〜4の何れか一項記載の製造方法により得られる変性ポリオレフィン樹脂組成物。
  6. 請求項5記載の変性ポリオレフィン樹脂組成物を用いてなる、熱溶着性を有するポリオレフィンシートまたはフィルム状成形体。
  7. 少なくとも1つ以上の混練ゾーン、および混練ゾーンの後に設けられた少なくとも1つの圧力保持ゾーンを有する構成のスクリューを有する同方向回転二軸押出機を用いて、(A)ポリオレフィン樹脂と(B)ラジカル重合開始剤とを混練ゾーンにて溶融混練し、次いで(C)(C−1)エポキシ基含有ビニル単量体および(C−2)芳香族ビニル単量体を含有する少なくとも2種以上のビニル単量体を添加し、その後混練ゾーンおよび圧力保持ゾーンにて溶融混練して変性ポリオレフィン樹脂組成物を製造し、該変性ポリオレフィン樹脂組成物または該変性ポリオレフィン樹脂組成物とポリオレフィン樹脂との混合物をシートまたはフィルム状に成形加工することを特徴とする、ポリオレフィンシートまたはフィルム状成形体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014189775A (ja) * 2013-03-28 2014-10-06 Mitsubishi Chemicals Corp 変性プロピレン系重合体組成物

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