JP2010115863A - 熱収縮性ポリエステル系フィルム、及び熱収縮性ラベル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも1種のラジカル重合性モノマーを疎水性共重合ポリエステルにグラフトさせたポリエステル系グラフト共重合体を含有する耐ブロッキング性改良層をポリエステル系基材フィルムの少なくとも片面に設け、且つアニオン系帯電防止剤が前記耐ブロッキング性改良層中に存在する熱収縮性ポリエステル系フィルム。
【選択図】なし
Description
しかしながら、ポリ塩化ビニル系フィルムは、耐熱性が低い上、これを焼却処理すると塩化水素ガスやダイオキシンの発生原因となるなど、環境適合性に関する問題を抱えている。また、ポリ塩化ビニル系フィルムのラベルが設けられているPET製容器等の容器をリサイクル利用する際には、当該容器からラベルを分離しなければならないという問題がある。
1. 少なくとも1種のラジカル重合性モノマーを疎水性共重合ポリエステルにグラフトさせたポリエステル系グラフト共重合体を含有する耐ブロッキング性改良層をポリエステル系基材フィルムの少なくとも片面に設け、且つアニオン系帯電防止剤が耐ブロッキング性改良層中に存在することを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
2. ポリエステル系基材フィルムの少なくとも片面に、ポリエステル系グラフト共重合体及び帯電防止剤を含む塗布液を塗布して乾燥した後、さらに少なくとも一軸延伸し、次いで熱固定して、アニオン系帯電防止剤を含む耐ブロッキング性改良層を形成した上記第1に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
3. ラジカル重合性モノマーが、少なくともマレイン酸無水物とスチレンとを含む上記第1または第2に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
4. アニオン系帯電防止剤が、アルキル基を有し且つ炭素数が10〜20である上記第1から第3のいずれか1項に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
5. 95±0.5℃の温水中に10秒間浸漬した際の主収縮方向の熱収縮率が30〜60%であり、
59.5〜90.5℃かつ[一定温度±0.5℃]に該当するいずれかの温度の温水中に10秒間浸漬した際において主収縮方向に直交する方向の長さが伸長する上記第1から第4のいずれか1項に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
〔本発明に係る熱収縮性ポリエステル系フィルムにおいて、「主収縮方向」とは、試料フィルムの最も収縮した方向を意味し、正方形のフィルムを試料とする場合、その正方形の縦方向または横方向が収縮方向となる。「熱収縮率」とは、温水中に試料フィルムを無荷重状態で浸漬した後、25℃の水中に10秒浸漬して引き上げ、温水への浸漬前(収縮前)と25℃の水への浸漬後(収縮後)の試料フィルムの寸法を下記式(1)に当てはめて算出される値である。また、「59.5〜90.5℃かつ[一定温度±0.5℃]に該当するいずれかの温度」とは、例えば、60±0.5℃、65±0.5℃、70±0.5℃、75±0.5℃、80±0.5℃、85±0.5℃、および90±0.5℃から選択された一種または二種以上の温度である。
式(1):熱収縮率(%)
=100×(収縮前の長さ−収縮後の長さ)÷(収縮前の長さ) 〕
6. 80±0.5℃の温水中に10秒間浸漬した際の主収縮方向の熱収縮率が、40%未満である上記第1から第5のいずれか1項に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
7. 60±0.5℃、65±0.5℃、70±0.5℃、75±0.5℃、80±0.5℃、85±0.5℃、90±0.5℃、および95±0.5℃の温水中に10秒間浸漬した際の何れかの温水中への浸漬で主収縮方向の熱収縮が始まり、
[(主収縮方向の熱収縮率が0%を超えた温度+10℃)の主収縮方向の熱収縮率]から[(主収縮方向の収縮率が0%を超えた温度−5℃)の主収縮方向の熱収縮率]を減じた値が20%未満である上記第1から第6のいずれか1項に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
8. 熱収縮後のヘーズが10%以下である上記第1から第7のいずれか1項に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
〔熱収縮後のヘーズは、次の通り決定される。すなわち、温度30℃、相対湿度85%の雰囲気に4週間保存した熱収縮性ポリエステル系フィルムを使用し、主収縮方向が径方向となるように作成した直径11cmのチューブ状フィルムを用いて、次の方法により求められる。
チーブ状フィルム内に温度40℃の円筒状ガラス瓶(直径6.6cm)を配置させ、そのフィルムに向けて150℃(風速10m/秒)の熱風を13秒当て、熱風による収縮後のフィルム(チューブ状フィルムサンプル数10)を切り出し、これを熱収縮後のフィルム試料とする。熱収縮後のフィルムのヘーズをJIS K7136に準拠して測定して、その平均値が熱収縮後のヘーズである。〕
9. 非塩素系有機溶剤で接着可能である上記第1から第8のいずれか1項に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
10. 上記第1から第9のいずれか1項に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムより作製された熱収縮性ラベル。
本発明で用いるラジカル重合性モノマーとしては、親水性ラジカル重合性モノマーを必須的に含むラジカル重合性モノマーであることが好ましい。これにより、本発明の耐ブロッキング性改良層を、ポリエステル系グラフト共重合体の水系溶媒の分散液を用いて形成することができるからである(詳細は後述する)。
上記親水性ラジカル重合性モノマーは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明で用いる疎水性共重合ポリエステルは、本来それ自身で水に分散または溶解しない本質的に水不溶性のポリエステルであることが好ましい。水に分散するまたは溶解するポリエステルをグラフト重合の際の幹ポリマーとして使用する場合に比べて、耐水性に優れているからである。
本発明における、疎水性共重合ポリエステルへのラジカル重合性モノマーのグラフト化は、疎水性共重合ポリエステルを有機溶剤中に溶解させた状態において、グラフト重合開始剤を用いて少なくとも一種のラジカル重合性モノマーを反応させることにより行う。
上記グラフト化によって得られるポリエステル系グラフト共重合体は、有機溶媒の溶液もしくは分散液、あるいは、水系溶媒の溶液もしくは分散液の形態になる。特に、水系溶媒の分散液、すなわち、水分散体の形態が、作業環境、塗布性の点で好ましい。この様な水分散体は、上記水性有機溶媒中で疎水性共重合ポリエステルに親水性ラジカル重合性モノマーを含むラジカル重合性モノマーをグラフト重合した後、水を添加し、次いで水性有機溶媒を留去することにより得ることができる。
上記アニオン系帯電防止剤は、アルキル基を有し且つ炭素数が10〜20のものが好ましい。このような帯電防止剤であれば、例えば、フィルム製造やフィルムの二次加工での熱による飛散・消失があっても当該飛散等の量を低く抑えることができる。また、炭素数が20を超える場合には、帯電防止剤自体の帯電防止効果が不十分な場合がある。より好ましいアニオン系帯電防止剤は、その炭素数が12〜18のものである。
本発明の耐ブロッキング性改良層は、上記ポリエステル系グラフト共重合体と帯電防止剤のみから形成することもできるが、他の目的から、汎用のポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル樹脂、それらの共重合体、各種水溶性樹脂、あるいは、例えばポリアニリンやポリピロール等の導電性樹脂や抗菌性樹脂、紫外線吸収性樹脂、ガスバリアー性樹脂等の各種機能性樹脂を混合して形成してもかまわない。
本発明で用いるポリエステル系基材フィルムとしては、多価カルボン酸とグリコールを重縮合して得られるものであれば特に限定されるものではないが、かかるポリエステル系基材フィルムを用いて得られる本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムが、後述する特性を示し得るためには、下記のように構成されることが好ましい。
以上、本発明で用いるポリエステル系グラフト共重合体、及びポリエステル系基材フィルムについて説明したが、以下において、かかるポリエステル系基材フィルムの少なくとも片面に、上記ポリエステル系グラフト共重合体を含む耐ブロッキング性改良層を設ける方法について説明する。
本発明において、耐ブロッキング性改良層を設けるポリエステル系基材フィルムは、上記の未延伸のものであってもよいし、少なくとも一軸延伸したものであってもよい。
耐ブロッキング性改良層の形成方法としては、ポリエステル系基材フィルム上に、ポリエステル系グラフト共重合体、及び帯電防止剤を含有する塗布液を塗布する塗布法の他に、ポリエステル系グラフト共重合体、及び帯電防止剤を含有する樹脂層を積層する積層法があるが、本発明においては塗布法を用いて形成することが好ましい。これは、積層法では、耐ブロッキング性改良層の厚さに下限があり、基材となるフィルムの特性が変わるなどの弊害が生じる場合もあるからである。これに対し、塗布法では、ポリエステル系グラフト共重合体をフィルム表面に薄膜で存在させることができるため、基材となるフィルムの特性を変えることなく耐ブロッキング性を付与することができる。
塗布液の塗布量は、ポリエステル系グラフト共重合体固形分として0.002〜0.5g/m2であることが好ましく、0.004〜0.05g/m2であることがより好ましい。塗布量が0.002g/m2未満であると、耐熱ブロッキング効果が十分に確保できないことがある。また、塗布量が5g/m2を超えると、フィルムの透明性や光沢性が低下することがある。
本発明において用いるポリエステル系グラフト共重合体は自己架橋性を有し、常温では架橋しないが、乾燥時の熱で、熱ラジカルによる水素引き抜き反応等の分子間反応を行い、架橋剤なしで架橋する。これにより初めて、本発明の目的である耐ブロッキング性を発現できる。
本発明においては、上記乾燥を行った後、さらに少なくとも一軸延伸し、次いで熱固定することが好ましい。
本発明の熱収縮性ラベルは、上記熱収縮性ポリエステル系フィルムを用いて作製される。この際、必要に応じて印刷加工が施されてもよい。
ポリエステル系基材フィルムの少なくとも片面に、耐ブロッキング性改良層を設けて構成される、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルム(熱収縮性ラベル)は、以下の特性を有していることが好ましい。
本発明に係る熱収縮性ポリエステル系フィルムは、95±0.5℃の温水中に10秒間浸漬した際の主収縮方向の熱収縮率が30〜60%であることが好ましい。その熱収縮率は、35〜57%であるとより好ましく、40〜55%であるとさらに好ましい。熱収縮率が30%未満のフィルムは熱収縮率が不足するので、このフィルムを例えばラベルとして使用した場合には、当該ラベルが容器に密着固定されない。その収縮率が30%未満のフィルムに高熱量を付加して収縮させても、容器の熱的ダメージを与える恐れがあると共に、容器の熱変形によるラベル緩みが発生し易くなる。一方、熱収縮率が60%を超えるフィルムは、熱収縮による白化、急激な収縮による収縮ムラ、印刷した場合の印刷図柄の歪み、ラベル上部の不均一な仕上がりが生じ易くなる。
本発明に係る熱収縮性ポリエステル系フィルムの熱収縮後のヘーズは、通常、10%以下であり、9.7%以下であると好ましく、9.5%以下であると更に好ましい。
本発明に係る熱収縮性ポリエステル系フィルムの厚みは、20〜100μmが好ましく、30〜60μmがより好ましい。
本発明に係る熱収縮性ポリエステル系フィルムは、フィルム同士を溶剤で接着可能なものであることが好ましい。この「溶剤で接着可能」とは、後記実施例における「溶剤接着性」評価方法により決定される溶剤接着強度が3N/15mm以上であることを意味する。本発明に係るフィルムを容器用ラベルとして適用する場合には、フィルムを円筒状等の筒状にする必要があり、この筒状を形成するために溶剤が使用される。つまり、フィルムの2つの端部を主収縮方向が径方向となるように接着して熱可塑性筒状フィルム(熱可塑性ラベル)を作製するために、溶剤が使用される。なお、フィルム同士の接着は、一方のフィルム端部の裏面に溶剤を塗布し、当該塗布面を他方のフィルム端部の表面に圧接させることで実現可能であり、作製された熱可塑性ラベルは、通常、必要な長さに切断される。
(1)ポリエステルのNMR解析
試料(基材フィルム用のポリエステル)を、クロロホルムD(ユーリソップ社製)とトリフルオロ酢酸D1(ユーリソップ社製)を10:1(体積比)で混合した溶媒に溶解させて、試料溶液を調製し、NMR(「GEMINI−200」;Varian社製)を用いて、温度23℃、積算回数64回の測定条件で試料溶液の1H−NMRを測定した。NMR測定では、所定のプロトンのピーク強度を算出して、チップ組成およびフィルム組成をモル%として求めた。
熱収縮性ポリエステル系フィルムを10cm×10cmの正方形に裁断して試料とし、所定温度±0.5℃(所定温度については表2参照)の温水中に無荷重状態で10秒間処理して熱収縮させた後、直ちに25℃±0.5℃の水中に10秒浸漬してから、試料の縦および横方向の長さを測定し、下記式に従い熱収縮率を求めた。
熱収縮率(%)=(収縮前の長さ−収縮後の長さ)÷収縮前の長さ×100
温度30℃、相対湿度85%の雰囲気に4週間保存した熱収縮性ポリエステル系フィルムを使用して、溶剤接着法またはヒートシール法にて、フィルムの主収縮方向が径方向となるように直径11cm、長さ16cmのチーブ状とし、このチューブ状フィルム内に温度40℃の直径が6.6cmである円筒状ガラス瓶を配置させ、そのフィルムに向けて150℃(風速10m/秒)の熱風を13秒当てた。熱風による収縮後のフィルム(チューブ状フィルムサンプル数10)を切り出し、これを熱収縮後のフィルム試料とした。熱収縮後のフィルムのヘーズをJIS K7136に準拠して測定し、平均値を求めた。また、熱収縮前のフィルムについてもヘーズの平均値を求めた。
熱収縮性ポリエステル系フィルムの片面に、フィルムの縦方向に沿って、1,3−ジオキソランを綿棒で塗布量5±0.3g/m2、塗布幅5±1mmで塗布し、この塗布部と塗布されていない縦方向のフィルム表面とを貼り合わせてチューブ状フィルムを作製した。25℃の温度条件で24時間放置した後のチューブ状フィルムから、前記貼り合わせ部を含めた縦方向長さ15mmのチューブ状フィルムを切り取り、これを万能引張り試験機(株式会社ボールドウィン社製「STM−50」)にセットし、90°剥離試験で引張速度200mm/分で貼り合わせ部を剥離させた。この剥離における最大強度を溶剤剥離強度とした。
熱収縮性ポリエステル系フィルムに、印刷機を使用してあらかじめ東洋インキ製造(株)の草・青金・白色のインキを3色印刷した。次いで、このフィルムを用い、溶剤接着法、もしくは、ヒートシール法にて横方向(径方向)が主収縮方向となるように熱収縮性ラベルを作製した。このラベルを温度が60℃のガラス瓶に被せ、175℃(風速12m/秒)の熱風を10秒当てて熱収縮させた。熱収縮後のラベル全体の収縮性および仕上がりを目視確認し、以下の5段階の基準で評価した。なお、以下の評価基準では、「○」が合格レベルで、「△」「×」、および「××」が不良である。また、以下の評価基準における「欠点」には、飛び上がり、シワ、収縮不足、ラベル端部折れ込み、および収縮白化が該当する。
○:仕上がり性良
△:欠点少し有り(2ヶ所以内)
×:欠点有り(3〜5ヶ所)
××:欠点多い(6ヶ所以上)
ポリエステル系グラフト共重合体の溶液または分散液をガラス板に塗布し、次いで170℃で乾燥してグラフト重合体固形分を得た。この固形分10mgをサンプルパンに取り、示差走査熱量計(島津製作所製、雰囲気制御装置:FC−60A、ワークステーション:TA−60WS)を使用して、窒素雰囲気下で昇温速度10℃/分で測定し得られたデータよりガラス転移温度(Tg)を求めた。
ヒートシーラーにて、シールバーの表面温度が95±0.5℃の範囲内で、圧力40N/cm2、時間300秒にてフィルム面同士をヒートシール後、15mm巾のサンプルを切り出し、引張試験機にて剥離強度を測定し、以下の判定基準で評価した。
○:剥離強度0.1N/15mm未満
×:剥離強度0.1N/15mm以上
アドバンテスト社製表面固有抵抗測定器(本体:R8340、試料箱:R12704)を用いて、印加電圧100V、23℃・65%RHの雰囲気下で測定し、測定器の読取値を表面固有抵抗とした。
撹拌機、温度計、及び部分環流式冷却器を備えたステンレススチール製オートクレーブに、ジカルボン酸成分であるジメチルテレフタレート(DMT)と、グリコール成分であるエチレングリコール(EG)とをモル比EG/DMT=2.2となるように仕込んだ。そのEGの仕込みの際には、無機滑剤をエチレングリコールに分散させた。また、エステル交換触媒である酢酸亜鉛を0.05モル%(ジカルボン酸成分に対して)と、重縮合触媒である三酸化アンチモン0.025モル%(ジカルボン酸成分に対して)とを上記オートクレーブ内に添加し、生成するメタノールを反応系外へ留去させながら、エステル交換反応を進行させた。その後、280℃、26.7Paの条件で重縮合反応を進行させ、減圧下で重縮合反応を終了させ、窒素加圧下で得られたポリマーをストランド状にして水中に吐出させ、当該吐出物をストランドカッターで切断することにより、エチレンテレフタレートユニットを有し且つ無機滑剤を0.7質量%含有するポリエステルAのチップを得た。得られたチップのNMR解析を行い、その組成を調べた。その結果を表1に示す。
ジカルボン酸成分としてDMTを使用し、グリコール成分としてEG、EGとネオペンチルグリコール(NPG)、1,4−ブタンジオール(BD)を使用し、合成例Aと同様の方法(但し、無機滑剤を使用せず)により、ポリエステルB〜Cのチップを得た。得られたチップのNMR解析を行い、その組成を調べた。その結果を表1に示す。
別個に予備乾燥したポリエステルA〜Cのチップを、Aが15wt%、Bが75wt%、Cが10wt%の割合で混合して押出し機に供給後に275℃で溶融押出しし、表面温度25℃のチルロール上で急冷させて厚さ180μmの未延伸のポリエステル系基材フィルムを得た。得られたフィルムのNMR解析を行い、その組成を調べた。その結果を表2に示す。
<疎水性共重合ポリエステルの調製>
撹拌機、温度計、および部分還流式冷却器を具備したステンレススチール製オートクレーブに、ジカルボン酸成分としてジメチルテレフタレート(DMT)345部、グリコール成分として1,4ブタンジオール(BD)211部、エチレングリコール(EG)270部、および重合触媒としてテトラ−n−ブチルチタネート0.5部を仕込み、160℃から220℃まで、4時間かけてエステル交換反応を行った。次いで、ジカルボン酸成分としてフマル酸14部およびアジピン酸160部を加え、200℃から220℃まで1時間かけて昇温し、エステル化反応を行った。次いで255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧した後、0.22mmHgの減圧下で1時間30分反応させ、疎水性共重合ポリエステルを得た。得られた疎水性共重合ポリエステルは、重量平均分子量20000、淡黄色透明であった。
撹拌機、温度計、還流装置と定量滴下装置を備えた反応器に、上記疎水性共重合ポリエステル75部、メチルエチルケトン56部およびイソプロピルアルコール19部を入れ、65℃で加熱、撹拌し、疎水性共重合ポリエステルを溶解した。疎水性共重合ポリエステルが完溶した後、ラジカル重合性モノマーとして無水マレイン酸(MA)15部をポリエステル溶液に添加した。次いで、ラジカル重合性モノマーとしてスチレン(ST)10部、およびグラフト重合開始剤としてアゾビスジメチルバレロニトリル1.5部を12部のメチルエチルケトンに溶解した溶液を0.1ml/minでポリエステル溶液中に滴下し、さらに2時間撹拌を続けた。反応溶液から分析用のサンプリングを行った後、メタノール5部を添加した。次いで、水300部とトリエチルアミン15部を反応溶液に加え、1時間撹拌した。その後、反応器内温を100℃に上げ、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、過剰のトリエチルアミンを蒸留により留去し、水分散ポリエステル系グラフト共重合体を得た。該ポリエステル系グラフト共重合体は淡黄色透明で、ガラス転移温度−10℃であった。
上記水分散ポリエステル系グラフト共重合体に水を加えて希釈し、ドデシルスルホネートを加え、イソプロパノールを加えて固形分濃度が3質量%の塗布液(ポリエステル系グラフト共重合体:2.6質量%、帯電防止剤:0.4質量%、水:62質量%、イソプロパノール:35質量%)を得た。
上記未延伸のポリエステル系基材フィルムの片面に、塗布液1を、ポリエステル系グラフト共重合体固形分として乾燥後に0.03g/m2となるようエアナイフ方式で塗布し、連続的にテンターに導きフィルム温度が70℃になるまで予備加熱した後、温度72℃で横方向に4.0倍延伸した。次いで95℃にて14秒間熱処理を行い、続けて50℃で10秒間の処理を行い、厚さ45μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。このとき、予備加熱工程での熱伝達係数は0.0009、延伸工程での熱伝達係数は0.0056であった。得られたフィルムロールのフィルムの物性値を表2に示す。
実施例1において、塗布液1の塗布量をポリエステル系グラフト共重合体固形分として乾燥後に0.004g/m2とした以外は実施例1と同様にして、熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。得られたフィルムロールのフィルムの物性値を表2に示す。
塗布液1を塗布しない以外は実施例1と同様にして、厚さ45μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。得られたフィルムロールのフィルムの物性値を表2に示す。
Claims (10)
- 少なくとも1種のラジカル重合性モノマーを疎水性共重合ポリエステルにグラフトさせたポリエステル系グラフト共重合体を含有する耐ブロッキング性改良層をポリエステル系基材フィルムの少なくとも片面に設け、且つアニオン系帯電防止剤が前記耐ブロッキング性改良層中に存在することを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- ポリエステル系基材フィルムの少なくとも片面に、ポリエステル系グラフト共重合体、及び帯電防止剤を含む塗布液を塗布して乾燥した後、さらに少なくとも一軸延伸し、次いで熱固定して、アニオン系帯電防止剤を含む耐ブロッキング性改良層を形成した請求項1に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- ラジカル重合性モノマーが、少なくともマレイン酸無水物とスチレンとを含む請求項1または2に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- アニオン系帯電防止剤が、アルキル基を有し且つ炭素数が10〜20である請求項1から3のいずれか1項に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- 95±0.5℃の温水中に10秒間浸漬した際の主収縮方向の熱収縮率が30〜60%であり、
59.5〜90.5℃かつ[一定温度±0.5℃]に該当するいずれかの温度の温水中に10秒間浸漬した際において主収縮方向に直交する方向の長さが伸長する請求項1から4のいずれか1項に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。 - 80±0.5℃の温水中に10秒間浸漬した際の主収縮方向の熱収縮率が、40%未満である請求項1から5のいずれか1項に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- 60±0.5℃、65±0.5℃、70±0.5℃、75±0.5℃、80±0.5℃、85±0.5℃、90±0.5℃、および95±0.5℃の温水中に10秒間浸漬した際の何れかの温水中への浸漬で主収縮方向の熱収縮が始まり、
[(主収縮方向の熱収縮率が0%を超えた温度+10℃)の主収縮方向の熱収縮率]から[(主収縮方向の収縮率が0%を超えた温度−5℃)の主収縮方向の熱収縮率]を減じた値が20%未満である請求項1から6のいずれか1項に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。 - 熱収縮後のヘーズが10%以下である請求項1から7のいずれか1項に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- 非塩素系有機溶剤で接着可能である請求項1から8のいずれか1項に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- 請求項1から9のいずれか1項に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムより作製された熱収縮性ラベル。
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