JP2010111801A - 二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムの製造方法 - Google Patents

二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低配向性かつ優れた平面性を併せ持つ二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムを提供する。
【解決手段】
ポリフェニレンスルフィドを溶融してシート状に押出し、該シートを長手方向に延伸した直後にロール上で下記式を満足する温度条件で加熱したのち、幅方向に延伸することを特徴とする二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムの製造方法。
Tg<Ts<Tcc(℃)
ここで、Tgは前記ポリフェニレンスルフィドのガラス転移温度(℃)、Tsは、縦延伸工程最下流のロール上におけるフィルム表面温度(℃)、Tccは前記ポリフェニレンスルフィドの結晶化温度(℃)である。
【選択図】なし

Description

本発明は、二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムの製造方法に関し、さらに詳しくは、低配向性と優れた平面性を併せ持つ二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムの製造方法に関する。
ポリフェニレンスルフィド(以下PPSと略すことがある)は、二軸配向フィルムとして優れた機械的性質、熱的性質、電気的性質などを有するため、コンデンサの誘電体、電気絶縁材料、電子部品、音響振動板、離型材などに使用されている。
また、ポリアリーレンスルフィドフィルムは、優れた耐熱性、電気絶縁性、耐加水分解性を活かし、電気絶縁材料への適用、スピーカー振動板への適用が進められている。例えば、(1)二軸配向したフィルムを電気絶縁材料として用いることが知られている(特許文献1参照)。また、(2)ポリアリーレンスルフィドフィルムとしてPPSフィルムからなる音響振動板用フィルムの提案がなされている(特許文献2)。
しかしながら、上記の従来のフィルムやシートは、下記の問題点を有している。すなわち、上記(1)項のフィルムは、引張破断伸度、靭性が十分ではないことがあり、例えば、モーターのスロットライナーやウェッジとして用いる場合、フィルムが裂けたりすることがあった。上記(2)項のフィルムにおいても破断伸度が小さく、成型加工においてフィルム破れを生じる問題があった。
上記のように、ポリフェニレンスルフィドフィルムは、引張破断伸度や靭性が低く、その適用が限定されているのが現状であり、その改良が強く望まれていた。その靭性を改良する方法として、ポリフェニレンスルフィド樹脂中に他の熱可塑性樹脂としてポリエーテルイミドからなるフィルム(特許文献3参照)が提案されているが、実質的にPPS単独による改良ではなかった。
ポリフェニレンスルフィドフィルムの引張破断伸度や靭性を改良する方法として、二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムの低配向化が有効であるが、通常工業的に行なわれている方法で二軸配向PPSフィルムを製造すると、PPSは、延伸温度の影響を強く受け、例えば、縦および横延伸温度を増加したり、縦および横延伸倍率を低下させたりするとフィルムの平面性が悪化したり、厚みムラ、配向ムラが十分でないなどの問題が発生する場合があった。
PPSフィルムの厚みムラ、配向ムラを抑制し、平面性に優れた均質な二軸配向PPSフィルムの製造方法として、縦延伸区間の雰囲気温度をPPSのガラス転移温度−20℃から120℃の範囲に加熱器により制御する製造方法が提案されている(特許文献3)。しかしながら、上記フィルムは、配向を低くするため横延伸温度を高くしたり、延伸倍率を低くしようとするとフィルム幅方向の厚みムラ、配向ムラ、平面性が十分でない場合があり、横延伸温度の制御範囲が狭いものであった。
特開昭55−35456号公報 特開平6−305019号公報 特開平4−146935号公報
本発明の目的は、従来のPPSフィルムの上記欠点を解消し、低配向性と優れた平面性を併せ持つ二軸配向PPSフィルムを提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有する。
すなわち、ポリフェニレンスルフィドを溶融してシート状に押出し、該シートを長手方向に延伸した直後にロール上で下記式(1)を満足する温度条件で加熱したのち、幅方向に延伸することを特徴とする二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムの製造方法。
Tg<Ts<Tcc(℃) ・・・(1)
ここで、Tgは前記ポリフェニレンスルフィドのガラス転移温度(℃)、Tsは、縦延伸工程最下流のロール上におけるフィルムの表面温度(℃)、Tccは前記ポリフェニレンスルフィドの結晶化温度(℃)である。
本発明によれば、以下に説明するとおり、低配向性と優れた平面性を併せ持つ二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムを得ることができる。
以下、本発明の二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムについて説明する。本発明で用いるポリフェニレンスルフィドとは、代表的には、ポリ−p−フェニレンスルフィドであり、p−フェニレンスルフィド単位が90モル%以上、好ましくは、95モル%以上含まれた高分子である。p−フェニレンスルフィド単位が90モル%未満では、ポリマーの結晶性や熱転移温度などが低く、PPSの特徴である耐熱性、寸法安定性、機械特性および誘電特性などが用いる用途によっては十分でないことがある。
上記PPSにおいて、繰り返し単位の10モル%未満、好ましくは5モル%未満であれば、共重合可能な他のスルフィド結合を含有する単位が含まれていても差し支えない。繰り返し単位の10モル%未満、好ましくは5モル%未満の繰り返し単位としては、例えば、3官能単位、エーテル単位、スルホン単位、ケトン単位、メタ結合単位、アルキル基などの置換基を有するアリール単位、ビフェニル単位、ターフェニレン単位、ビニレン単位およびカーボネート単位などが例として挙げられ、具体例として、次のような構造単位を挙げることができる。これらのうち一つまたは二つ以上共存させて構成することができる。この場合、該構成単位は、ランダム型またはブロック型のいずれの形式であってもよい。
Figure 2010111801
PPSの溶融粘度は、溶融混練が可能であれば特に限定されないが、温度315℃で剪断速度1,000(1/sec)のもとで、100〜2000Pa・sの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは200〜1,000Pa・sの範囲である。
本発明でいうPPSは種々の方法、例えば、特公昭45−3368号公報に記載される比較的分子量の小さな重合体を得る方法、あるいは、特公昭52−12240号公報や特開昭61−7332号公報に記載される比較的分子量の大きい重合体を得る方法などによって製造することができる。
次に、PPS樹脂の製造法を例示するが、本発明ではこの例示に限定されない。
PPSは、例えば、硫化ナトリウムとp−ジクロロベンゼンをN-メチル-2ーピロリドン(NMP)などのアミド系極性溶媒中で、高温高圧下で反応させる。必要に応じて、トリハロベンゼンなどの共重合成分を含ませることも可能である。重合度調整剤として苛性カリやカルボン酸アルカリ金属塩などを添加し230〜280℃で重合反応させる。重合後にポリマーを冷却し、ポリマーを水スラリーとしてフィルターで濾過後、粒状ポリマーを得る。これを酢酸塩などの水溶液中で30〜100℃、10〜60分攪拌処理し、イオン交換水にて30〜80℃で数回洗浄、乾燥してPPS粉末を得る。この粉末ポリマーを酸素分圧10トール以下、好ましくは5トール以下でNMPにて洗浄後、30〜80℃のイオン交換水で数回洗浄し、5トール以下の減圧下で乾燥する。かくして得られたポリマーは、実質的に線状のPPSポリマーであるので、安定した延伸製膜が可能になる。もちろん必要に応じて、他の高分子化合物や酸化珪素、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、架橋ポリエステル、架橋ポリスチレン、マイカ、タルクおよびカオリンなどの無機や有機化合物や熱分解防止剤、熱安定剤および酸化防止剤などを添加してもよい。
本発明のフィルムに用いるポリフェニレンスルフィドは本発明の目的を阻害しない範囲においてPPS以外の樹脂成分や有機または無機のフィラー、滑剤、着色剤、紫外線吸収剤、相溶化剤などの添加剤を含有することができる。これらの含有量には本発明の目的を阻害しない限り特に制限はないが、フィルム重量に対して20wt%以下が好ましく、10wt%以下とすることがより好ましい。
本発明のフィルム中に添加できるポリフェニレンスルフィド以外の樹脂成分として以下のポリマーを例示できる。すなわち、p−フェニレンスルフィド以外のポリマーは、例えば、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリエステル、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリエーテルエーテルケトンなどの各種ポリマーおよびこれらのポリマーの少なくとも1種を含むブレンド物を挙げることができる。本発明においては、該樹脂成分は熱可塑性樹脂であって、その融点もしくはガラス転移温度はポリフェニレンスルフィドの融点以下であることが好ましく、例えば、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリシクロオレフィン等の各種ポリマーを挙げることができる。
本発明の二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムの厚さは、厚みムラ、配向ムラ、平面性の観点から1μm以上、500μm以下が好ましく、より好ましくは、10μm以上、300μm以下であり、さらに好ましくは10〜150μmの範囲である。
本発明の二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムは、低配向性の観点から、フィルムの長手方向および幅方向の平均破断応力が200MPa以下であり、また、フィルムの長手方向および幅方向の平均破断伸度が120%以上であることが好ましい態様である。
次いで、本発明の二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムの製造方法を例を挙げて説明するが、本発明は、下記の記載によって限定されないことは無論である。
180℃で3時間以上真空乾燥したポリフェニレンスルフィドのペレットを押出機の溶融部を300〜350℃の温度、好ましくは320〜340℃に加熱された押出機に投入する。その後、押出機を経た溶融ポリマーをフィルター内に通過させ、その溶融ポリマーをTダイの口金を用いてシート状に吐出する。このフィルター部分や口金の設定温度は、押出機の溶融部の温度より3〜20℃高い温度にすることが好ましく、より好ましくは5〜15℃高い温度にする。このシート状物を表面温度20〜70℃の冷却ドラム上に密着させて冷却固化し、実質的に無配向状態の未延伸フィルムを得る。
次に、該シートを長手方向に2倍〜5倍、好ましくは3〜4倍に1段もしくは2段以上の多段で延伸する(MD延伸)。延伸温度は、Tg(ポリフェニレンスルフィドのガラス転移温度)〜(Tg+40)℃、好ましくは(Tg+5)〜(Tg+30)℃の範囲である。
本発明においては、縦延伸工程最下流のロール上のフィルムの表面温度(Ts)がTg〜Tcc(ポリフェニレンスルフィドの結晶化温度)の温度となるよう加熱されたロール群で縦延伸は行われる。ここで、縦延伸工程の最下流のロールとは、延伸ロールとの周速差をつけることにより延伸を行うロールであり、高速回転しているロールをさす。多段延伸においては、周速差による延伸の最終ロールをさすものである。ここで、縦延伸工程最下流のロール上のフィルムの表面温度は該最下流のロールにフィルムが接している部分の長手方向中央部において測定される温度である。該フィルムの表面温度は、特に限定されないが、放射温度計により測定することができ、測定部分に対し、直上から測温することが好ましい。このTsは、好ましくTg以上〜(Tcc−5)℃であり、さらに好ましくは、(Tg+5℃)〜(Tcc−10℃)である。上記温度範囲で加熱処理を行うことにより、高い横延伸温度で横延伸を行ってもフィルム幅方向の厚みムラ、配向ムラは抑制され平面性に優れた二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムを得ることが可能となる。
縦延伸工程の最下流のロールに接する時間は、0.1秒〜10秒が好ましく、さらに好ましくは、0.1秒〜5秒である。また、該ロールの種類に特に限定はないが、ハードクロムメッキロール、セラミックロール、シリコンゴムロール、“テフロン(登録商標)”ゴムロールなどを用いることができ、ロール粘着の観点からセラミックロール、シリコンゴムロール、“テフロン(登録商標)”ゴムロールが好ましく用いられる。
MD延伸の後、フィルムはポリフェニレンスルフィドのガラス転移温度以下、好ましくは20〜50℃に設定された冷却ロールにて冷却され、次いで、テンターなどで幅方向(TD方向)延伸を行う。本発明の製造方法によれば、横予熱温度、延伸温度の制御範囲が広くとることが可能であり、例えば、横延伸温度をTg〜(Tg+30)℃の範囲としてもフィルム幅方向の厚みムラ、配向ムラ、平面性に優れたフィルムを得ることができる。
次に、この延伸フィルムを緊張下で熱固定する。本発明においては、2段以上の異なる温度の工程で行う方法がフィルム幅方向の厚みムラ、配向ムラ、平面性の観点から好ましく、横延伸温度制御範囲が広くなるため好ましい態様である。1段目の熱固定の最高温度は160〜220℃、好ましくは180〜220℃であり、処理時間は1〜15秒、好ましくは1〜10秒である。続いて行う後段の熱固定の最高温度は240〜280℃、好ましくは、260〜280℃である。さらにこのフィルムを240〜280℃、より好ましく260〜280℃で幅方向に弛緩処理する。弛緩率は、0.1〜8%であることが好ましく、より好ましくは2〜5%の範囲である。240℃以上の後段の熱固定工程および弛緩処理工程の合計時間は1〜15秒が好ましく、さらに好ましくは2〜10秒である。さらに、フィルムを室温まで、必要ならば、長手および幅方向に弛緩処理を施しながら、フィルムを冷やして巻き取り、フィルムエッジ部をスリットしたのち目的とする二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムを得る。
各物性などの測定方法ならびに効果の評価方法は次の通りである。
(1)ガラス転移温度(Tg)、結晶化温度(Tcc)、融点(Tm)
JIS K7121−1987に準じて測定した。示差走査熱量計セイコーインスツルメンツ社製DSC(RDC220)、データ解析装置として同社製ディスクステーション(SSC/5200)を用いて、本発明の二軸配向フィルム5mgをアルミニウム製パンに封入し、室温から昇温速度20℃/分で350℃まで昇温し、5分間溶融保持したのち、装置外に取り出すことで急冷固化した後、再び室温から昇温速度20℃/分で350℃まで昇温した。このとき観測される、ガラス転移温度(Tg)、は下記式により算出した。
ガラス転移温度=(補外ガラス転移開始温度+補外ガラス転移終了温度)/2
さらに、発熱ピークのピーク温度を結晶化温度(Tcc)とした。また、融解の吸熱ピークのピーク温度を融解温度(Tm)とした。
(2)熱収縮率および熱収縮率ムラ
1500mm幅以上の二軸配向フィルムを等幅で3分割して500mm幅以上のロールを得、中央部、両端部の3本の各ロールについて幅方向の熱収縮率を下記式に従って測定した。試料は、各ロールの中央部をサンプリングし、各ロールn=10(幅10mm×試長100mm)にて、各ロール毎に平均を求めた。また、熱収縮ムラは下記式に従って算出し、下記基準で評価した。
熱収縮率
試料サイズ:幅10mm×試長100mm
加熱温度、時間 :260℃、10分
試料状態 :無荷重
試料数 :10
熱収縮率(%)={(加熱処理前の寸法)−(加熱処理後の寸法)}/(加熱処理前の寸法)×100
熱収縮率ムラ(%)=[(熱収縮率の平均値が最大のロールの該平均熱収縮率−熱収縮率の平均値が最小のロールの該平均熱収縮率)/各ロールの平均熱収縮率の平均値]×100
○:熱収縮率ムラが5%未満
△:熱収縮率ムラが5%を超えて10%未満
×:熱収縮率ムラが10%を超える
(3)厚みムラ
1500mm幅以上の二軸配向フィルムを等幅で3分割して500mm幅以上のロールを得、中央部、両端部の3本の各ロールについて幅方向の厚みムラを電子マイクロ式の厚み計(アンリツ製、K306C)を用いて測定した。厚みムラは、各ロール中央部から幅方向に10mm間隔で左右それぞれ150mmに渡って測定し、各ロール毎に平均厚みを求めた。厚みムラは下記式によりを算出し、下記基準で評価した。
厚みムラ(%)=[(平均厚みが最大のロールの平均厚み−平均厚みが最小のロールの平均厚み)/各ロールの平均厚みの平均値]×100
○:厚みムラが5%未満
△:厚みムラが5%を超えて10%未満
×:厚みムラが10%を超える
(4)平均破断強度、平均破断伸度
ASTM−D882に規定された方法に従って、インストロンタイプの引張試験機を用いて測定した。測定は下記の条件で行い、フィルムの長手方向および幅方向について各試料数10にて、平均値を求め、下記式にてフィルム長手方向および幅方向の平均破断強度、平均破断伸度を算出した。
平均破断強度(MPa)=[(長手方向の平均破断強度)+(幅方向の平均破断強度)]/2
平均破断伸度(%)=[(長手方向の平均破断伸度)+(幅方向の平均破断伸度)]/2
測定装置:オリエンテック(株)製フィルム強伸度自動測定装置“テンシロンAMF/RTA−100”
試料サイズ:幅10mm×長さ150mm
試長間:100mm
引張り速度:300mm/分
測定環境:23℃
(5)溶融粘度
フローテスターCFT−500(島津製作所製)を用いて、予熱時間を5分に設定して、310℃で測定した。
剪断速度1000/sでの溶融粘度は、剪断速度500〜1000/sおよび1000〜2000/sでの溶融粘度をそれぞれn=2で測定し、両対数プロット上で直線近似して得られる相関線の剪断速度1000/sでの値とした。
(5)平面性
間隔が1mの2本の平行ロール間に幅500mmの二軸延伸フィルムを一端を固定してかけ、他の一端に荷重0.2Kg/mm2 になるよう全幅均一に張力をかけ、ロール間フィルムの凹凸部分(弛み部分)の面積を測定し下記基準で判定した。
○:凹凸部分の面積が5%未満である
△:凹凸部分の面積が5%以上、10%未満である
×:凹凸部分の面積が10%以上であるか、製膜破れを頻発する
(参考例1)PPS樹脂の重合
撹拌機付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8,267.37g(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2,957.21g(70.97モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)11,434.50g(115.50モル)、酢酸ナトリウム2,583.00g(31.50モル)、及びイオン交換水10,500gを仕込み、常圧で窒素を通じながら245℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水14,780.1gおよびNMP280gを留出した後、反応容器を160℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.06モルであった。また、硫化水素の飛散量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.02モルであった。
次に、p−ジクロロベンゼン10,235.46g(69.63モル)、NMP9,009.00g(91.00モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら、0.6℃/分の速度で238℃まで昇温した。238℃で95分反応を行った後、0.8℃/分の速度で270℃まで昇温した。270℃で100分反応を行った後、1,260g(70モル)の水を15分かけて圧入しながら250℃まで1.3℃/分の速度で冷却した。その後200℃まで1.0℃/分の速度で冷却してから、室温近傍まで急冷した。
内容物を取り出し、26,300gのNMPで希釈後、溶剤と固形物をふるい(80mesh)で濾別し、得られた粒子を31,900gのNMPで洗浄、濾別した。これを、56,000gのイオン交換水で数回洗浄、濾別した後、0.05重量%酢酸カルシウム水溶液70,000gで洗浄、濾別した。70,000gのイオン交換水で洗浄、濾別した後、得られた含水PPS粒子を80℃で熱風乾燥し、120℃で減圧乾燥した。得られたPPS樹脂は、溶融粘度が200Pa・s(310℃、剪断速度1,000/s)であり、ガラス転移温度が90℃、結晶化温度が120℃、融点が280℃であった。
(実施例1)
参考例1で作製したPPS樹脂100重量部、平均粒径1.2μmの炭酸カルシウム粉末0.3重量部を配合し、180℃で3時間減圧乾燥した後、溶融部が320℃に加熱されたフルフライトの単軸押出機に供給した。押出機で溶融したポリマーを温度330℃に設定したフィルターで濾過した後、温度310℃に設定したTダイの口金から溶融押出して表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、未延伸フィルムを作製した。
この未延伸フィルムを、表面温度95℃の予熱ロール1,予熱ロール2、予熱ロール3に巻き付けて加熱し、ここで、予熱ロール3から出たフィルムの放冷を防止するため、予熱ロール3と延伸ロール4の間のフィルム上面を赤外線ヒータ10で保温した。引き続いて、表面温度100℃の延伸ロール4とロール表面温度100℃のロール5の間でフィルムの縦方向に3.2倍の倍率で延伸したのち、ロール表面温度が30℃の冷却ロール6で冷却する。このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、予熱温度100℃、延伸温度105℃、延伸倍率3.5倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて温度200℃で4秒間熱処理(1段目熱処理)を行い、続いて265℃4秒間熱処理(2段目熱処理)を行った。引き続き、260℃の弛緩処理ゾーンで4秒間横方向に5%弛緩処理を行った後、室温まで冷却した後、フィルムエッジを除去し、厚さ25μmの二軸配向PPSフィルムを作製した。
得られた二軸配向PPSフィルムの評価結果は、表1に示したとおりであり、この二軸配向PPSフィルムは、低配向性、平面性に優れたものであった。
(実施例2)
実施例1でテンター予熱温度を105℃、延伸温度を110℃とする以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムを作製した。
得られた二軸配向PPSフィルムの評価結果は、表1に示したとおりであり、この二軸配向PPSフィルムは、低配向性、平面性に優れたものであった。
(実施例3)
実施例1でテンター予熱温度を95℃、延伸温度を100℃とする以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムを作製した。
得られた二軸配向PPSフィルムの評価結果は、表1に示したとおりであり、この二軸配向PPSフィルムは、低配向性、平面性に優れたものであった。
(実施例4)
実施例1で、1段目熱処理温度を265℃とする以外は、実施例1と同様にして二軸配向PP
Sフィルムを作製した。
得られた二軸配向PPSフィルムの評価結果は、表1に示したとおりであり、この二軸配向PPSフィルムは、低配向性、平面性に優れたものであった。
(実施例5)
実施例4で、延伸倍率を縦方向に3.0倍とする以外は、実施例4と同様にして二軸配向PPSフィルムを作製した。
得られた二軸配向PPSフィルムの評価結果は、表1に示したとおりであり、この二軸配向PPSフィルムは、低配向性、平面性に優れたものであった。
(実施例6)
実施例1で、ロール5の表面温度を115℃とする以外は実施例3と同様にして二軸配向PPSフィルムを作製した。
得られた二軸配向PPSフィルムの評価結果は、表1に示したとおりであり、この二軸配向PPSフィルムは、低配向性、平面性に優れたものであった。
(比較例1)
実施例1で、ロール5の表面温度を25℃とする以外は実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムを作製した。
得られた二軸配向PPSフィルムの評価結果は、表1に示したとおりであり、この二軸配向PPSフィルムは、低配向性には優れるが、平面性が十分ではなかった。
(比較例2)
比較例1でテンター予熱温度を95℃、延伸温度を100℃とする以外は、比較例1と同様にして二軸配向PPSフィルムを作製した。
得られた二軸配向PPSフィルムの評価結果は、表1に示したとおりであり、この二軸配向PPSフィルムは、低配向性には優れるが、平面性が十分ではなかった。
(比較例3)
実施例1で、表面温度100℃の延伸ロール4と表面温度60℃のロール5の間に、雰囲気温度100℃の加熱器11を設置する以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムを作製した。
得られた二軸配向PPSフィルムの評価結果は、表1に示したとおりであり、この二軸配向PPSフィルムは、低配向性には優れるが、平面性が十分ではなかった。
(比較例4)
実施例1で、125℃に加熱されたロール5で加熱する以外は実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムを作製した。
得られた二軸配向PPSフィルムの評価結果は、表1に示したとおりであり、この二軸配向PPSフィルムは、低配向性には優れるが、平面性が十分ではなかった。
(比較例5)
比較例1で延伸倍率を縦方向に3.0倍とする以外は、比較例1と同様にして二軸配向PPSフィルムを作製した。
得られた二軸配向PPSフィルムの評価結果は、表1に示したとおりであり、この二軸配向PPSフィルムは、低配向性には優れるが、平面性が十分ではなかった。
Figure 2010111801
本発明の二軸配向フェニレンスルフィドフィルムは、 低配向性と優れた平面性を併せ持ち、モーター、トランス、絶縁ケーブルなどの電気絶縁材料、成形材料、回路基板材料、回路・光学部材などの工程・離型材料、リチウムイオン電池材料、燃料電池材料、スピーカー振動板、コンデンサの誘電体などの各種工業材料用途において、好適に使用することができる。
実施例1で使用した本発明の二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムを製造する一軸延伸装置の概略図である。 比較例4で使用した二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムを製造する一軸延伸装置の概略図である。
符号の説明
1:予熱ロール
2:予熱ロール
3:予熱ロール
4:延伸ロール
5:縦延伸工程の最下流ロール
6:冷却ロール
7:ガイドロール
8:ガイドロール
9:ニップロール
10:赤外線ヒータ
11:加熱器

Claims (2)

  1. ポリフェニレンスルフィドを溶融してシート状に押出し、該シートを長手方向に延伸した直後にロール上で下記式(1)を満足する温度条件で加熱したのち、幅方向に延伸することを特徴とする二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムの製造方法。
    Tg<Ts<Tcc(℃) ・・・(1)
    ここで、Tgは前記ポリフェニレンスルフィドのガラス転移温度(℃)、Tsは、縦延伸工程最下流のロール上におけるフィルムの表面温度(℃)、Tccは前記ポリフェニレンスルフィドの結晶化温度(℃)である。
  2. 二軸延伸後の熱固定を2段以上の異なる温度の工程で行う製造方法であって、その1段目の熱固定工程の温度が160℃以上、220℃以下、2段目以降に行う熱固定工程の最高温度が240℃以上、280℃以下である請求項1に記載の二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムの製造方法。
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