JP2010111354A - タイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】ベルト層の構造の適正化を図ることにより、耐偏摩耗性及び耐久性の向上したタイヤを提供する。
【解決手段】タイヤは、カーカス5のタイヤ径方向外側に、コード6をゴム被覆してなる二層以上のベルト層7を具える。かかるコード6は図1及び2に示すように3〜8本の金属線8を引き揃えて相互に平行な配置とした無撚り構造を有しており、タイヤ幅方向断面に占めるコード6の面積の総和は、タイヤ幅方向断面におけるベルト層7の面積の総和の0.3倍以上であり、0.7倍未満である。
【選択図】図3
【解決手段】タイヤは、カーカス5のタイヤ径方向外側に、コード6をゴム被覆してなる二層以上のベルト層7を具える。かかるコード6は図1及び2に示すように3〜8本の金属線8を引き揃えて相互に平行な配置とした無撚り構造を有しており、タイヤ幅方向断面に占めるコード6の面積の総和は、タイヤ幅方向断面におけるベルト層7の面積の総和の0.3倍以上であり、0.7倍未満である。
【選択図】図3
Description
この発明は、カーカスのタイヤ径方向外側に、コードをゴム被覆してなる二層以上のベルト層を具えるタイヤに関するものであり、かかるタイヤの耐偏摩耗性及び耐久性の向上を図る。
トレッド部の剛性を高め、タイヤを拘束するベルト層は、一般に、タイヤ周方向に対して傾斜配列させたスチールコードをゴム被覆してシート状とし、これをカーカス上に巻き付けることで形成される。一般に、ベルト層を構成するコードは、複数本のスチールコード線材を撚った構造のスチールコードが使用されるが、その傾斜角度、コード種、コードの配設間隔などにより、タイヤの耐偏摩耗性及び耐久性に大きな影響を与えることがわかっている。
例えば、特許文献1には、スチールコードを均一の間隔で配置したベルト層を具えるタイヤが開示されている。このようなタイヤは、スチールコードが均一の間隔で並べられていることから、トレッド部の剛性の均一化が図られており、トレッド部踏面における偏摩耗が抑制されている。しかしながら、走行時の安全性をより向上させる観点から、耐偏摩耗性、ベルト層同士の耐セパレーション性及びスチールコードの耐座屈性の向上が希求されている。
また、特許文献2には、ベルト層の傾斜角度をトレッド部のタイヤ幅方向内側領域と外側領域において異ならせて、耐偏摩耗性を向上させたタイヤが開示されている。しかし、かかるタイヤでは、ベルト層を構成しているコードに屈曲した部分があり、耐久性が低下していることから、コードが切断され易く、かかるコードが切断された場合に、トレッド部の剛性が不均一となり、トレッド部の偏摩耗及び破壊を招く虞がある。また、コードを複数回屈曲させてベルト層を構成していることから、その製造工程が増加しており、製造に時間が要し、生産コストが高くなる可能性がある。
それらの問題に対する対策として、特許文献3にあるように、ベルト層を構成するコードをタイヤ幅方向に複数本隣接させて束にして、そのコードの束間を所定の間隔で離間させたタイヤが開示されている。このようなタイヤは、コードの束間の距離が大きいことから、ベルト層のタイヤ幅方向外側の端部がゴムと剥離した場合にも、その剥離が進展しにくく、隣接するコード束におけるゴムとの剥離を抑制することができるので、耐久性を向上している。
しかし、昨今、走行時の安全性の更なる向上が希求されていることを背景に、耐偏摩耗性を向上させつつも、タイヤ強度及びベルト層の耐セパレーション性を向上させることでタイヤの耐久性を向上させることが求められている。
したがって、この発明の目的は、ベルト層の構造の適正化を図ることにより、耐偏摩耗性を向上させつつも、耐久性も併せて向上したタイヤを提供することにある。
前記目的を達成するため、この発明のタイヤは、カーカスのタイヤ径方向外側に、コードをゴム被覆してなる二層以上のベルト層を具え、かかるコードは3〜8本の金属線を引き揃えて相互に平行な配置とした無撚り構造を有しており、タイヤ幅方向断面に占めるコードの面積の総和は、タイヤ幅方向断面におけるベルト層の面積の総和の0.3倍以上であり、0.7倍未満であることを特徴としている。このようなタイヤでは、コードが好適な配置及び密度となっていることから、トレッド部の剛性を全体にわたって均一かつ充分に確保して、耐偏摩耗性及び耐久性を有効に向上させることが可能となる。また、コード間の距離が大きいことから、ベルト層のタイヤ幅方向端部のコードがゴムと剥離した場合にも、隣接するコードのゴムとの剥離を有効に防止することが可能となる。
また、金属線の直径は0.15〜0.50mmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは0.20〜0.40mmの範囲内である。
更に、金属線の引張強さは2942N/mm2以上であることが好ましく、より好ましくは3038N/mm2以上である。
更にまた、金属線の炭素含有率は0.80〜1.02質量%の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは0.80〜0.90質量%の範囲内にある。
加えて、コードの延在方向に直交する断面において、コード間の距離は1.5mm未満であり、より好ましくは1.0mm未満である。ここで「コード間の距離」とは、コードの中心間距離ではなく、コード端間の離間距離いうものとする。
加えてまた、ベルト層のタイヤ径方向外側に、トレッド部の剛性を高める補強ベルト層を少なくとも一層具えることが好ましい。
また、補強ベルト層は有機繊維コードにより構成されることが好ましい。
この発明によれば、ベルト層の構造の適正化を図ることにより、耐偏摩耗性を向上させつつも、耐久性も併せて向上したタイヤを提供することが可能となる。
以下、図面を参照しつつ、この発明の実施の形態を説明する。図1及び図2は、この発明に従う代表的なタイヤのベルト層の概略断面図である。図3〜図5は、この発明に従う代表的なタイヤの左半部のタイヤ幅方向断面図である。
この発明のタイヤは、図3に示すように、ビードコア1を埋設した一対のビード部2(図には一方のみを示す)、ビード部2からタイヤ径方向外側に延びる一対のサイドウォール部3(図には一方のみを示す)、両サイドウォール部3間にまたがって延びるトレッド部の各部にわたってトロイド状に延びる本体部4、その本体部4から延びる少なくとも一枚のプライで構成されるカーカス5、及び、カーカス5のタイヤ径方向外側に、コード6をゴム被覆してなる二層以上のベルト層7を具え、かかるコード6は3〜8本の金属線8を引き揃えて相互に平行な配置とした無撚り構造を有しており、タイヤ幅方向断面に占めるコード6の面積の総和は、タイヤ幅方向断面におけるベルト層7の面積の総和の0.3倍以上であり、0.7倍未満であることを特徴としている。このようなタイヤでは、コード6を3〜8本の金属線8により構成し、タイヤ幅方向断面に占めるコード6の面積の総和が、タイヤ幅方向断面におけるベルト層7の面積の総和の0.3倍以上であり、0.7倍未満であることから、隣接するコード間の距離を充分に確保するようにコードを配置した場合にも、ベルト層7の剛性を充分に確保することができるので、タイヤ強度が有効に向上し、かつ、走行時の急旋回などによりベルト層7のタイヤ幅方向端部に負荷がかかってベルト層7のタイヤ幅方向端部にあるコード6がゴムと剥離しても、タイヤ幅方向に隣接するコード6まで剥離が進展するのに時間を要することとなるので、耐セパレーション性も有効に向上する。タイヤ強度及び耐セパレーション性が有効に向上することから、耐偏摩耗性も併せて向上することとなる。このとき、コード6を2本以下の金属線8により構成した場合には、所望するベルト層7の剛性を確保するためにコード6の打ち込み本数を過剰に増加しなくてはならなく、そのことにより、ベルト層7のタイヤ幅方向端部にあるコード6がゴムと剥離した際に、隣接するコード6まで剥離が進展するのに要する時間が短くなり、耐セパレーション性が低下することとなり、一方、コード6を9本以上の金属線8により構成した場合には、ベルト層6の曲げ剛性が高くなり過ぎるので、ベルト層6を所望の形状に変形することが困難となり、タイヤを製造する際の生産性が低下することとなる。また、タイヤ幅方向断面に占めるコード6の面積の総和がタイヤ幅方向断面におけるベルト層7の面積の総和の0.3倍未満の場合には、コード6が配設されている領域の割合が小さくなり過ぎることから、タイヤ強度を充分に確保することができず、そのことに起因して耐偏摩耗性も有効に向上することができなくなり、一方、タイヤ幅方向断面に占めるコード6の面積の総和がタイヤ幅方向断面におけるベルト層7の面積の総和の0.7倍以上の場合には、コード6は配設されている領域の割合が大きくなり過ぎることから、コード間の距離が小さくなり過ぎて、ベルト層7のタイヤ幅方向端部にあるコード6がゴムと剥離した際に、隣接するコード6まで剥離が進展するのに要する時間が短くなり、耐セパレーション性が低下することとなる。なお、図1にはコード6を構成する金属線を3本としたベルト層の概略断面図を示しており、図2にはコード6を構成する金属線を6本としたベルト層の概略断面図を示している。
また、金属線8の直径は0.15〜0.50mmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは0.20〜0.40mmの範囲内にある。なぜなら、金属線8の直径が0.15mm未満の場合には、トレッド部の剛性を充分に確保するために金属線8の打ち込み本数を増加させなければならなく、打ち込み本数を増やすことに起因して隣接する金属線8間の距離が小さくなり過ぎるので、ベルト層のタイヤ幅方向端にあるコード6とゴムとの剥離が生じた際にタイヤ幅方向に隣接するコード8にその剥離が進展し易くなり、耐セパレーション性が低下する可能性があり、一方、金属線8の直径が0.5mmを超える場合には、金属線8の曲げ剛性が高くなり過ぎることから、金属線8を所望の形状に変形させることが困難となり、タイヤを製造する際の生産性が悪化する可能性があるからである。
更に、金属線8の引張強さは2942N/mm2以上であることが好ましく、より好ましくは3038N/mm2以上である。なぜなら、金属線8の引張強さが2942N/mm2未満の場合には、トレッド部の剛性を充分に確保することができずに、タイヤ負荷転動時にトレッド部が破壊される可能性があるからである。
更にまた、金属線8の炭素含有率は0.80〜1.02質量%の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは0.80〜0.90質量%の範囲内にある。なぜなら、金属線8の炭素含有率が0.80質量%未満の場合には、金属線8の引張強さを充分に確保することができない可能性があり、一方、1.02質量%を超える場合には、金属線8の延性が低下し過ぎて、金属線8を所望の形状に変形することが困難となり、タイヤを製造する際の生産性が低下する可能性があるからである。
加えて、コード6の延在方向に直交する断面において、隣接するコード6間の距離は1.5mm未満であり、より好ましくは1.0mm未満である。なぜなら、タイヤ幅方向に隣接するコード6間の距離が1.5mmを超える場合には、充分な剛性を確保するために必要なコード6の本数を充分に配設することができずに、トレッド部における剛性が偏ることから、トレッド部の耐偏摩耗性及び耐久性を有効に向上することができない可能性があるからである。
加えてまた、図4〜8に示すように、ベルト層7のタイヤ径方向外側に、トレッド部の剛性を高める補強ベルト層9を少なくとも一層具えることが好ましい。なぜなら、補強ベルト層9を具えることにより、必要に応じてトレッド部の剛性を更に高めることができるからである。
また、補強ベルト層9は有機繊維コードにより構成されることが好ましい。なぜなら、金属コードを使用した場合には、タイヤの重量が増加し過ぎて、タイヤ負荷転同時の転がり抵抗が大きくなり、偏摩耗する可能性があるからである。なお、有機繊維コードは、芳香族ポリアミド、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、レーヨン及び脂肪族ポリアミドなどを材料として構成することができる。
上述したところはこの発明の実施形態の一部を示したに過ぎず、この発明の趣旨を逸脱しない限り、これらの構成を交互に組み合わせたり、種々の変更を加えたりすることができる。例えば、図5に示すように、一層の補強ベルト層9及びその補強ベルト層9のタイヤ径方向及びタイヤ幅方向の外側にナイロンコードにより構成されたレイヤ層10を具えるタイヤとすることも可能である。また、図6に示すように、レイヤ層10のみをベルト層7上に配設したタイヤとすることも可能である。更には、図7に示すように、二層の補強ベルト層9を具えるタイヤとすることも可能である。更にまた、図8に示すように、図7の構成に加え、補強ベルト層9のタイヤ径方向及びタイヤ幅方向の外側にレイア層10を具えるタイヤとすることも可能である。これら図5〜図8示すタイヤの構成は、タイヤが使用される条件や寸法などに応じて、適宜実施するものである。
次に、従来のベルト層を具える空気入りタイヤ(従来例タイヤ1及び2)及びこの発明に従うベルト層を具える空気入りタイヤ(実施例タイヤ1〜7)を、タイヤサイズ195/65R15の乗用車用ラジアルタイヤとして、夫々試作し、性能評価を行ったので、以下に説明する。
従来例タイヤ1及び2は、ベルト層の層数、ナイロンコードにより構成された補強層の有無及びその層数、コードを構成する金属線の本数、コードの打ち込み本数、金属線の直径、金属線の引張強さ、金属線の炭素含有率、ベルト層におけるコードの占める割合、並びにコード間の距離に関して、表1に示す諸元を有する。
また、実施例タイヤ1〜7は、ベルト層の層数、ナイロンコードにより構成された補強層の有無及びその層数、コードを構成する金属線の本数、コードの打ち込み本数、金属線の直径、金属線の引張強さ、金属線の炭素含有率、ベルト層におけるコードの占める割合、並びにコード間の距離に関して、表1に示す諸元を有する。
これら各供試タイヤをサイズ6JJのリムに取付けてタイヤ車輪とし、空気圧:220kPa(相対圧)、負荷荷重:4.15kN(フロントタイヤ)、2.76kN(リアタイヤ)を適用した状態で、車両に装着し、各種評価に供した。
タイヤの耐久性、特にはベルト層の耐セパレーション性は、かかる車両を一般道において6万km走行した後に、タイヤを切断して調べることでベルト層のタイヤ幅方向端部にあるコードのゴムとの剥離がタイヤ幅方向内側に向かってどの程度進展しているかを測定し、従来例タイヤ1において生じた進展長さの総和を100として指数化して評価し、その他のタイヤについて相対評価した。なお、数値が大きいほどコードとゴムとの剥離が進展しにくいことを表し、その結果は表2に示す。
また、タイヤの耐久性、特にはタイヤの強度は、タイヤ車輪を内圧180kPa、室温とした条件下でJIS D 4230で規定する破壊エネルギー試験により、トレッド部にプランジャを押し付けてタイヤが破壊される直前のプランジャの押込み力と移動距離を調べ、実施例タイヤ2における試験結果を100として指数化して評価し、その他のタイヤについて相対評価した。なお、数値が大きい程タイヤ強度に優れることを表し、その結果は表2に示す。
更に、耐偏摩耗性は、かかる車両を一般道において6万km走行した後に、溝深さをトレッド部全体にわたり測定し、実施例タイヤ2における偏摩耗の程度を100として指数化して評価し、その他のタイヤについて相対評価した。なお、数値が大きい程耐偏摩耗性に優れることを表し、その結果は表2に示す。
表2の結果から明らかなように、従来例タイヤ1及び2に比べ、実施例タイヤ1〜7は、少なくとも実施例タイヤ1及び2の諸性能を維持しつつも、耐セパレーション性、タイヤ強度及び耐偏摩耗性のいずれか又は全ての性能について向上していた。また、実施例タイヤ1、3〜7は、耐セパレーション性、タイヤ強度及び耐偏摩耗性のいずれもがバランス良く向上していた。特に、実施例タイヤ7においてその効果が顕著であった。
以上のことから明らかなように、ベルト層の構造の適正化を図ることにより、耐偏摩耗性を向上しつつも、耐久性の向上した空気入りタイヤを提供することが可能となった。
1 ビードコア
2 ビード部
3 サイドウォール部
4 本体部
5 カーカス
6 コード
7 ベルト層
8 金属線
9 補助ベルト層
10 レイヤ層
2 ビード部
3 サイドウォール部
4 本体部
5 カーカス
6 コード
7 ベルト層
8 金属線
9 補助ベルト層
10 レイヤ層
Claims (7)
- カーカスのタイヤ径方向外側に、コードをゴム被覆してなる二層以上のベルト層を具えるタイヤにおいて、
該コードは3〜8本の金属線を引き揃えて相互に平行な配置とした無撚り構造を有しており、
タイヤ幅方向断面に占める該コードの面積の総和は、タイヤ幅方向断面における該ベルト層の面積の総和の0.3倍以上であり、0.7倍未満であることを特徴とするタイヤ。 - 前記金属線の直径は0.15〜0.50mmの範囲内にある、請求項1に記載のタイヤ。
- 前記金属線の引張強さは2942N/mm2以上である、請求項1又は2に記載のタイヤ。
- 前記金属線の炭素含有率は0.80〜1.02質量%の範囲内にある、請求項1〜3のいずれか一項に記載のタイヤ。
- コードの延在方向に直交する断面において、コード間の距離は1.5mm未満である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のタイヤ。
- 前記ベルト層のタイヤ径方向外側に、トレッド部の剛性を高める補強ベルト層を少なくとも一層具える、請求項1〜5のいずれか一項に記載のタイヤ。
- 前記補強ベルト層は有機繊維コードにより構成される、請求項6に記載のタイヤ。
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JP2008287898A JP2010111354A (ja) | 2008-11-10 | 2008-11-10 | タイヤ |
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