JP4202613B2 - 乗用車用ラジアルタイヤ - Google Patents

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    • D07B1/0613Reinforcing cords for rubber or plastic articles the reinforcing cords being characterised by the rope configuration

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コード径をコンパクト化しつつフィラメント内へのゴム浸透性を高めうるゴム補強用の金属コードをベルト層に用いた乗用車用ラジアルタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来、乗用車用ラジアルタイヤのベルトコードとしては、1×4構成、1×3構成、1×2構成、2+2構成のように、線径が大でかつ小本数の金属フィラメントからなる金属コードが多く使用されている。そのため、最近とくに重要となってきた乗り心地性について改良の必要がある。
【0003】
他方、このような金属コードは、表面にメッキ処理が施されているとはいえ、水分の影響により、コード内での錆の発生ないし広がりにより、コードとゴムの接着力の低下や、コードの強度の低下、さらにはコードの破断をきたす等の問題点があった。
【0004】
そこで、近年ではこのような問題点を改善するために、金属フィラメント間に隙間が発生する様に撚り合わせたいわゆるオープンコードや、コードを構成する金属フィラメントの1ないし複数本に3次元のスパイラル状の型付けをしてから撚り合わせることによって、金属フィラメント間に隙間を形成して、コード内部にゴムの浸透性を高めることが提案されている。
【0005】
しかしながら、前記のコードでは、充分なゴムの浸透性を確保するためには、おのずとコード径が大きくなるという不具合がある。
【0006】
本発明は、このような実状に鑑み案出なされたもので、特定形状をなす2次元の波状に型付けした型付けフィラメントのみで、又はこの型付けフィラメントと非型付けフィラメントとを束ねかつ比較的長いピッチで捻ることによりフィラメント束の複数本を構成するとともに、これらフィラメント束同士を所定の最終撚りピッチで撚り合わせることを基本として、コード径をコンパクト化しつつフィラメント間へのゴムの浸入性を確保しうる金属コードをベルト層に用いた乗用車用ラジアルタイヤを提供することを目的としている。
【0007】
また本発明では、撚り合わせる前に、フィラメントに施される型付けの波高さ、波ピッチなどをフィラメントの線径に対して特定範囲に限定することにより、最終的に撚り合わされたコードの強度低下とゴム浸入性とを両立させることも目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のうち請求項1記載の発明は、トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るカーカスと、トレッド部の内方かつカーカスの外側に配されるベルト層とを具えた乗用車用ラジアルタイヤであって、
前記ベルト層のベルトコードは、線径dが0.15mm以上かつ0.25mm未満である6〜12本の金属フィラメントを2〜4本のフィラメント束に区分し、かつフィラメント束を捻りピッチPfで捻りながら10〜40mmの撚りピッチPcで撚り合わせた金属コードから形成されるとともに、
前記フィラメント束は、波の山部と谷部とを繰り返す2次元の波状に型付けされた型付けフィラメントのみで、又はこの型付けフィラメントと非型付けフィラメントとからなり、かつ前記型付けフィラメントの前記線径d、型付けの波ピッチPw、波高さhは、下記の式(1)、(2)の関係を満足するとともに、
記フィラメント束は、複数の型付けフィラメントを含み、この型付けフィラメントは波ピッチPwを互いに違えたことを特徴としている。
5.0d≦Pw≦30.0d … (1)
0.2d≦h≦3.0d … (2)
【0009】
ここで、前記「金属フィラメントを2〜4本のフィラメント束に区分し」とは、金属フィラメントを複数のフィラメント束に区分するとき、1本のフィラメント束内に2〜4本の金属フィラメントが配されることを意味するのであって、フィラメント束自体の本数が2〜4本であることを意味するのではない。
【0010】
また請求項2の発明では、前記フィラメント束の捻りピッチPfは、前記撚りピッチPcの3〜20倍であることを特徴としている。
【0011】
また請求項3の発明では、前記フィラメント束は、2〜3本の金属フィラメントからなることを特徴としている。
【0012】
また請求項4の発明では、前記フィラメント束は、少なくとも1本の型付けフィラメントと、1本以下の非型付けフィラメントを含むことを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1において、乗用車用ラジアルタイヤ(以下タイヤ1という)は、トレッド部2と、その両端からタイヤ半径方向内方にのびる一対のサイドウォール部3と、各サイドウォール部3の内方端に位置するビード部4とを具え、このビード部4、4にはトロイド状のカーカス6が架け渡されるとともに、前記トレッド部2の内方かつカーカス6の外側には強靱なベルト層7が巻装されている。
【0014】
前記カーカス6は、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至る本体部6aの両側に、前記ビードコア5の廻りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返す折返し部6bを一体に設けてなり、この本体部6aと折返し部6bとの間には、前記ビードコア5からタイヤ半径方向外側に先細状にのびるビードエーペックスゴム8が配置される。
【0015】
また前記カーカス6は、カーカスコードをタイヤ周方向に対して70〜90°の角度でラジアル配列した1枚以上のカーカスプライから形成される。本例では、カーカス6が、ナイロン、ポリエステル、レーヨン等の有機繊維のカーカスコードを略90゜の角度で配列した2枚のカーカスプライ6A、6Bからなる場合を例示している。
【0016】
次に、前記ベルト層7は、ベルトコードをタイヤ周方向に対して15〜35°の角度で配列した複数枚、本例では2枚のベルトプライ7A、7Bから形成され、各ベルトコードがプライ間相互で交差するように配置している。なお高速性能の改善のため、ベルト層7のタイヤ半径方向外側に、有機繊維コードを実質的にタイヤ周方向に配列したバンド(図示しない)などを設けても良い。
【0017】
そして本発明では、図2に示すように、前記ベルトコードとして、線径dが0.15mm以上かつ0.25mm未満である6〜12本の金属フィラメントFからなる金属コード10を用いてなり、この金属コード10は、前記金属フィラメントFを2〜4本のフィラメント束Bに区分し、これらを10〜40mmの撚りピッチPcで撚り合わせることにより形成している。しかも各フィラメント束Bを、型付けフィラメントFAのみから構成するか、又はこの型付けフィラメントFAと残余の非型付けフィラメントFBとから構成している。なお図2には、各フィラメント束Bが型付けフィラメントFAのみから構成する場合を例示しており、図中、便宜上、型付けフィラメントFAの断面はドット模様、非型付けフィラメントFBの断面は斜線模様として互いに区別している。
【0018】
従来、乗用車用ラジアルタイヤのベルトコードとしては、例えば1×4構成、1×3構成、1×2構成、2+2構成のものが多く使用されてきた。
【0019】
一般に金属フィラメントの線径を大きくし、その本数を減らすことは、コード製造時のコストや生産性の面で有利であるが、乗用車用タイヤにおいて近年特に重要となってきた乗り心地性の面では改良の必要があった。
【0020】
そこで本願では、乗用車用タイヤのベルト層に多用されていた大径で少数本の金属コードの替わりに、線径dを0.15mm以上かつ0.25mm未満とした金属フィラメントFの6〜12本からなる金属コード10をベルト層7に使用するものである。
【0021】
なお前記金属フィラメントFの線径dが0.15mm未満の場合、6〜12本のフィラメント本数では、乗用車用ラジアルタイヤのベルト層7の補強コード材として必要な剛性を得ることが難しくなり、逆に線径dが0.25mm以上であると剛性が高すぎ乗り心地性が悪くなる。
【0022】
なお金属フィラメントFは、ゴム組成物との加硫接着を可能とするため、その表面に金属又は樹脂など各種のメッキが施されているものが好ましい。また本実施形態では、コードを構成する全ての金属フィラメントFが同じ線径dを有する場合を例示している。
【0023】
また図2〜4に示すように、フィラメント束Bは、撚り合わされる前の状態で、波の山部Uと谷部Dとを交互に繰り返す2次元の波状に型付けされた型付けフィラメントFAのみから、又はこの型付けフィラメントFAと残余の非型付けフィラメントFBとから構成される。なお本例では、型付けとして前記山部Uと谷部Dとの間に直線部13を介在したジグザグ状のものを例示しているが、曲線のみからなるサイン曲線状等であっても良い。
【0024】
又1本のフィラメント束B内に、2本以上の型付けフィラメントFAが配され、少なくとも波ピッチPwが異なる2種類以上の型付けフィラメントFAが使用される。なお図2には、2種類の型付けフィラメントFA1、FA2を有するフィラメント束Bを用いた金属コード10の場合を例示している。なお波高さhも種類毎に違えても良いが、コード強力の過度の低下を抑えるために、波高さhは同一とするのが好ましい。なお波ピッチPw、波高さhは、図3に示すように測定する。
【0025】
また本発明では、型付けフィラメントFAの型付けを2次元の波状に限定することによって、フィラメント間に隙間を形成するのが容易となり、例えば3次元のスパイラル状に型付けされたものに比して、型付けされた波の高さhなどが比較的小さくてもコード内部へのゴムの浸透性を十分に確保しうる。また多数本のフィラメントを有する場合であっても、コード径をコンパクトとしつつもゴム浸透性を高めうる。なお型付けの波状に前記直線部13が含まれている方が、コード内部へのゴムの浸透性を高め、所期の目的をより有効に達成しうる。
【0026】
さらに型付けフィラメントFAは、少なくとも前記波ピッチPwが異なる2種以上のフィラメントを含む方が、6〜12本という比較的多数本の金属フィラメントを撚り合わせる場合に有利である。これは、例えば型付けフィラメントFA1、FA2の各直線部13が互いに重なり難くなり、ゴムの浸透率が高まるためである。
【0027】
このように型付けフィラメントFAは、コード内部へのゴムの浸透性を確保する為に重要な役割を果たす。
【0028】
そこで本発明では、前記型付けフィラメントFAを少なくとも含む金属フィラメントFの2〜4本を一束として区分し、これを最終の撚りピッチPcの3〜20倍の捻りピッチPfで捻ることにより互いに独立した束体を構成している。そして、図5に示すように、これらのフィラメント束B同士を10〜40mmの最終の撚りピッチPcにて撚り合わせることにより前記金属コード10を形成しているのである。
【0029】
なお、1本のフィラメント束Bには、前述の如く非型付けフィラメントFBを混在させることが、コードの所期の伸びが少なく、タイヤ形状の安定化のために好ましいが、混在させずに、金属フィラメントFの全部を型付けフィラメントFAで構成してもかまわない。なお混在させる場合には、非型付けフィラメントFBの総本数は、型付けフィラメントFAの総本数より小、かつフィラメント束B内に1本以下配するのが好ましい。
【0030】
このように最終の撚り合わせに先立ち、型付けフィラメントFAのみ、又はこの型付けフィラメントFAと非型付けフィラメントFBとを混在させた束を、最終のピッチPcの3〜20倍という比較的長い捻りピッチPfで捻って束ねておくことにより、型付けフィラメントFA、FA同士の型付けの波が重なり合うのを効果的に防止できるため、フィラメント間に隙間15を多く形成でき、内部へのゴムの浸透率を高めうる金属コード10が得られる。特に捻りながら撚り合わせることにより、フィラメント束Bないしコード10をよりコンパクト化しながらもコード内部へのゴムの浸透率をより高めうる。
【0031】
なお1本のフィラメント束Bは、前述の如く2〜4本の金属フィラメントFから形成されており、5本以上束ねて前記フィラメント束Bを構成した場合には、型付けフィラメントFA同士の型付けの波が重なり易くなり、該重なり合う型付けフィラメントFAの直線部13にてゴムの浸透しない閉空間が形成される傾向があるなどゴムの浸透率が低下する。従って、1本のフィラメント束Bは、2〜3本の金属フィラメントFで形成するのが好ましい。
【0032】
さらに、前記フィラメント束Bを形成する際の前記捻りピッチPfが、最終の撚りピッチPcの3倍未満であると、フィラメント束Bに形成される隙間15が少なくなりゴムの浸透度を低下させ、逆に20倍を超えると、フィラメント束Bを形成しても型付けフィラメントFA、FA同士の型付けが重なり易くなる。
【0033】
なお、前記図2は、8本の金属フィラメントFからなる金属コード10の断面図の一例を示し、詳しくは、3本の金属フィラメントFからなるフィラメント束B3(以下に3本構成フィラメント束B3という)の2本と、2本の金属フィラメントFからなるフィラメント束B2(以下に2本構成フィラメント束B2という)の1本とを最終の撚りピッチPcで撚り合わせた構造のものを示す。なお3本構成フィラメント束B3として、本例では、型付けフィラメントFA1の2本と、異なる種類の型付けフィラメントFA2の1本とを束ねて構成しており、又2本構成フィラメント束B2として、本例では、型付けフィラメントFA1、FA2の各1本を束ねて構成している。
【0034】
又図6(A)〜(C)は、8本の金属フィラメントFからなる金属コード10の他の例の構造を示し、図6(A)、(B)には夫々2本構成フィラメント束B2の4本を用いた構造のものを、又図6(C)には3本構成フィラメント束B3の2本と、2本構成フィラメント束B2の1本とを用いた構造のものを示す。なお図6(A)、(C)には、2本構成フィラメント束B2として、型付けフィラメントFA1の1本と非型付けフィラメントFBの1本とを束ねて構成したもの、図6(B)には、2本構成フィラメント束B2として、型付けフィラメントFA1、FA2の各1本を束ねて構成したものを例示している。又図6(C)での3本構成フィラメント束B3として、型付けフィラメントFA1、FA2の各1本と非型付けフィラメントFBの1本とを束ねて構成したものを例示している。
【0035】
又図7(A)、(B)は、10本の金属フィラメントFからなる金属コード10の構造を例示しており、図7(A)には、3本構成フィラメント束B3の2本と、2本構成フィラメント束B2の2本とを用いた構造のものを示し、又図7(B)には、2本構成フィラメント束B2の5本を用いた構造のものを示す。
【0036】
又図8は、12本の金属フィラメントFからなる金属コード10の構造を例示しており、3本構成フィラメント束B3の4本を用いた構造のものを示す。
【0037】
なお2本構成フィラメント束B2、3本構成フィラメント束B3、および図示していないが4本構成フィラメント束B4においては、束B内に少なくとも型付けフィラメントFAを含んでいれば、図示の例示以外にも型付けフィラメントFA1とFA2と非型付けフィラメントFBとの本数比を変えることは勿論差し支えない。
【0038】
なお金属コード10を構成する場合、少なくとも3本の型付けフィラメントFAを有する3本構成フィラメント束B3を少なくとも2本以上用いて形成することが特に好ましく、これによって、特に型付けフィラメントFAの型付けの波が重なり合うのを効果的に防止し、フィラメント間により多くの隙間15を形成しうる点で好ましい。
【0039】
このように前記フィラメント束Bを形成すること及び波状の型付けの形状を限定することにより、コード径をよりコンパクト化しつつ効率よくゴムの浸透率を大きくできる。また本発明の金属コード10は、ゴム浸透率を大きく確保する為に短い撚りピッチにする必要は無く、10mm〜40mmというフィラメントFの線径dに比して比較的長い撚りピッチPcを採用することができ、ひいてはコードの生産性をも向上しうる。
【0040】
また本実施形態の金属コード10は、フィラメント束Bを構成する為の捻り方向と、最終の撚り方向とを同一方向としているが、逆方向に撚り合わせても本願の目的を達成しうる。
【0041】
また本発明者らの種々の実験の結果、限定された線径dを有しかつ特定本数の型付けフィラメントFAを含むコードを製造する場合には前記型付けフィラメントFAの前記線径d、型付けの波ピッチPw、波高さhは下記の式▲1▼、▲2▼の関係を満足することが重要であることを見出した。
5.0d≦Pw≦30.0d … ▲1▼
0.2d≦h≦3.0d … ▲2▼
【0042】
これは、もし前記波ピッチPwが、前記線径dの5.0倍未満になると、波ピッチPwが小さくなりすぎ、その型付け加工により型付けフィラメントFAが受けるダメージが大きくフィラメントの強度低下の原因となるからであり、逆に30倍を超えると、波ピッチPwが小さくなりすぎ、ゴムの浸透性が低下してしまうからである。従って、好ましくは10.0〜25.0倍の範囲である。
【0043】
又前記波高さhが、前記線径dの0.2倍未満になると、ゴム浸透性を確保するのが困難となり、逆に3.0倍を超えると、その型付け加工により型付けフィラメントFAが受けるダメージが大きくフィラメントの強度低下の原因となるからである。従って、好ましくは0.5〜2.0倍の範囲である。
【0044】
他方、本発明者らは、前記線径d、型付けの波ピッチPw、および波高さhからなるd×h/Pwの値をパラメータとし、この値を種々変化させてコードの強度低下率(%)とゴム浸透度(%)とを調べたところ、d×h/Pwの値を0.014〜0.028の範囲に限定することにより、顕著な効果が発揮されることを見出した。
【0045】
図9には、コードの強度低下率(%)、ゴム浸透率(%)と、前記パラメータd×h/Pwの関係を示している。この図から明らかなように、d×h/Pwが大きくなるとコードの強度低下率が大きく性能が悪化する反面、ゴムの浸透率が向上することが判る。従って、コードの強度低下率を許容範囲内に抑え、同時にゴムの浸透度を高めるためには、前記d×h/Pw値を、0.014〜0.028、さらには0.020〜0.025とするのが好ましい。なお、ここでいう強度低下率(%)、ゴム浸透度(%)は実施例(後述)での定義に従っている。
【0046】
また前記金属フィラメントFは、例えば炭素含有量が0.65〜0.88wt%の硬鋼線材を用いるのが好ましい。金属フィラメントFの炭素含有量が0.65%を下回ると、フィラメントの強度が低下する傾向があり、逆に0.88wt%を超えるとフィラメントの硬度が高すぎて型付けの際に強度低下が大きくなる傾向がある。
【0047】
また前記金属コード10は、等間隔で並列されかつトッピングゴムで被覆されることにより前記ベルトプライ7A、7Bを形成するが、コードの長手方向と直角な方向のプライの単位長さ当たりに含まれる金属コードの本数、所謂コード打ち込み本数は、要求されるタイヤの仕様に応じて種々設定される。
【0048】
なお、このコード打ち込み本数が少なすぎると、加硫成形時などにコード間隔が不均一になるなどコード配列に乱れが生じやすく、逆にコードの間隔が小さくなりすぎるとタイヤ走行時に隣り合うコードとの間に挟まれたゴムの歪が大きくなり、ゴム層内の亀裂等の発生によるタイヤの耐久性能の低下を起こしやすくなる。
【0049】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【0050】
【実施例】
本発明の効果を確認すべく、種々の金属コードを表1、2の仕様で試作するとともに、試供コードの特性及び試供コードをベルトコードに用いたときのタイヤ性能について比較評価を行った。なおタイヤの仕様は表3に示し、表以外の仕様は全て同一である。
なお表中の用語の定義は次の通りである。
【0051】
<強度低下率>
同一組成(炭素含有量等の組成が同一)の材料かつ同じ本数の金属フィラメントを使い、同じ撚りピッチで撚ったコンパクト構造のコード(以下、「比較対象コード」という)に対する強度の低下率であり、タイヤに使用する前の状態で測定したものである。数値が小さいほど強度の低下が少なく良好である。
【0052】
<荷重時伸度>
コード1本に50Nの荷重を加えた時のコードの伸び率。
【0053】
<曲げ剛性>
テーバ社(米国)製の「V−5剛性試験機」を用いてコードの曲げ剛性を測定した。
【0054】
<ゴムの浸透率>
試供金属コードを用いたカーカスを具えるタイヤを製造し、そのタイヤから金属コードをトッピングゴムが付着した状態で取出す。このゴム付コードの表面からできる限りゴムを除去した後、断面からナイフを入れて7〜12本のフィラメントの内、隣り合う2本のフィラメントを除去し、除去された2本のフィラメントと残りのフィラメント束との間に形成されている空隙にゴムが完全に充填されている部分の長さを約10cmにわたり測定し、ゴムが充填されている部分の長さの全長さに対する比率をもってゴムの浸透率とする。上記測定を10本のコードについて行い、平均値をもってコードの測定値とする。
【0055】
<走行後の錆発生>
タイヤを約20万km走行させた後、タイヤを解体して金属コードの錆の発生状況を観察して比較対象コードを100とする指数で表示している。数値が小さいほど錆の発生が少なく良好である。
【0056】
<走行後の強度保持率>
タイヤを約20万km走行させた後、タイヤを解体して金属コードを取り出し、走行前のコードの強度を100とする指数で表示している。数値が大きいほど良好である。
【0057】
<乗り心地性>
乗用車の全輪にタイヤを装着し、アスファルト路面のテストコースを50〜100km/hの速度で走行し、ドライバーの官能評価により5点法で評価した。数値が大きいほど、乗り心地性に優れている。
テストの結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
Figure 0004202613
【0059】
【表2】
Figure 0004202613
【0060】
【表3】
Figure 0004202613
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、ベルトコードにおいて、フィラメント径を小さくかつコード径をコンパクト化しつつもコード内部へのゴム浸透度を高めることができ、コード内部での錆の発生を大幅に減じ、耐久性を向上しうる。またコードの強度、強度低下率、荷重時伸度(50N時)、コードの曲げ剛性についてもコンパクトコードと遜色のない良好な特性を発揮でき、しかもタイヤの乗り心地性の向上を達成することが可能となる。
【0062】
又フィラメント束に、波ピッチPwを違えた複数の型付けフィラメントを含ませることにより、さらにフィラメント間に多くの隙間を形成でき、ゴムの浸透性を高め、コード耐久性をより一層向上しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のタイヤの断面図である。
【図2】ベルトコードとして好適な金属コードの一例の断面図である。
【図3】型付けフィラメントの一例を示す平面図である。
【図4】フィラメント束を例示する斜視図である。
【図5】金属コードの形成過程を説明する側面図である。
【図6】(A)〜(C)は、金属コードの構造の他の例を示す線図である。
【図7】(A)、(B)は、金属コードの構造のさらに他の例を示す線図である。
【図8】金属コードの構造のさらに他の例を示す線図である。
【図9】コードの強度低下率、ゴム浸透度と、d×h/Pwの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードコア
6 カーカス
7 ベルト層
10 金属コード
B フィラメント束
F 金属フィラメント
FA 型付けフィラメント
FB 非型付けフィラメント
U 山部
D 谷部

Claims (4)

  1. トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るカーカスと、トレッド部の内方かつカーカスの外側に配されるベルト層とを具えた乗用車用ラジアルタイヤであって、
    前記ベルト層のベルトコードは、線径dが0.15mm以上かつ0.25mm未満である6〜12本の金属フィラメントを2〜4本のフィラメント束に区分し、かつフィラメント束を捻りピッチPfで捻りながら10〜40mmの撚りピッチPcで撚り合わせた金属コードから形成されるとともに、
    前記フィラメント束は、波の山部と谷部とを繰り返す2次元の波状に型付けされた型付けフィラメントのみで、又はこの型付けフィラメントと非型付けフィラメントとからなり、かつ前記型付けフィラメントの前記線径d、型付けの波ピッチPw、波高さhは、下記の式(1)、(2)の関係を満足するとともに、
    記フィラメント束は、複数の型付けフィラメントを含み、この型付けフィラメントは波ピッチPwを互いに違えたことを特徴とする乗用車用ラジアルタイヤ。
    5.0d≦Pw≦30.0d … (1)
    0.2d≦h≦3.0d … (2)
  2. 前記フィラメント束の捻りピッチPfは、前記撚りピッチPcの3〜20倍であることを特徴とする請求項1記載の乗用車用ラジアルタイヤ。
  3. 前記フィラメント束は、2〜3本の金属フィラメントからなることを特徴とする請求項1又は2記載の乗用車用ラジアルタイヤ。
  4. 前記フィラメント束は、少なくとも1本の型付けフィラメントと、1本以下の非型付けフィラメントを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の乗用車用ラジアルタイヤ。
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