以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
先ず、図1には、本発明に従う構造を有するギヤ組付用ブラケットが装備された車載用ディスプレイ装置の一例として、自動車用インストルメントパネルに取り付けられるディスプレイ装置が、その断面形態において概略的に示されている。この図1から明らかなように、かかるディスプレイ装置は、モニタ画面を備えた公知の構造を備えたディスプレイ本体(何れも図示せず)を内部に収容するディスプレイケース10と、このディスプレイケース10を自動車のインストルメントパネルに取り付けるための、矩形筐体形状を呈するハウジング12とを、有している。
ディスプレイケース10は、全体として、ハウジング12よりも小さな長手矩形形状を呈し、その長さ方向(図1中、左右方向)両側の側面には、回動軸14a,14bが、それぞれ同軸上において側方に延びるように、一体形成されている。そして、それら二つの回動軸14a,14bのうちの一方の回動軸14aが、ハウジング12の内面に一体形成された支持筒部16内に挿入されて、かかる支持筒部16にて、回動可能に支持されている。また、他方の回動軸14bは、ハウジング12内に設置されて、ディスプレイケース10を回動軸14a,14b回りに回動させる駆動ユニット18に接続されている。
駆動ユニット18は、図2及び図3に示されるように、電動モータ20と、この電動モータ20の駆動軸22とディスプレイケース10の回動軸14bとを連結するギヤ機構24と、かかるギヤ機構24が組み付けられるギヤ組付用ブラケット26とを有している。
より具体的には、ここでは、電動モータ20として、正逆回転可能なステッピングモータが用いられている。また、ギヤ機構24は、電動モータ20の駆動軸22に取り付けられる駆動ギヤ28と、この駆動ギヤ28に噛合する第一伝動ギヤ30と、第一伝動ギヤ30に更に噛合する第二伝動ギヤ32とにて構成されている。なお、それら駆動ギヤ28と第一及び第二伝動ギヤ30,32は、何れも樹脂材料を用いて形成されている。
それら3種類のギヤ28,30,32のうちの駆動ギヤ28は、ウォームからなっている。第一伝動ギヤ30は、ウォームからなる駆動ギヤ28に噛合する大径のウォームホイール部34と、このウォームホイール部34の軸方向一方側の端面に一体形成された小径の平歯車部36とを有している。また、平歯車部36のウォームホイール部34側とは反対側の端面と、ウォームホイール部34の平歯車部36側とは反対側の端面には、平歯車部36よりも更に小径の円筒部38a,38bが、各端面の中心部から、それら平歯車部36及びウォームホイール部34と同軸上において一体的に延び出している。更に、それら円筒部38a,38bの各内孔が、平歯車部36とウォームホイール部34のそれぞれの中心部に穿設された貫通孔と連通している。これにより、第一伝動ギヤ30に対して、各円筒部38a,38bの内孔と平歯車部36及びウォームホイール部34の各貫通孔とからなる断面円形の挿通孔40が、全長に亘って同一内径で軸方向に連続して延びるように形成されている。
第二伝動ギヤ32は、平歯車部42と、この平歯車部42の軸方向両側端面の中心部から、それぞれ平歯車部42と同軸上に延びる二つの円筒部44a,44bとを一体的に有している。この第二伝動ギヤ32にあっても、二つの円筒部44a,44bのそれぞれの内孔が、平歯車部42の中心部に設けられた貫通孔と連通せしめられており、以て、それら各内孔と貫通孔とにて、軸方向に連続して延びる挿通孔46が、形成されている。なお、この挿通孔46は、円筒部44aの内孔と平歯車部42の貫通孔とからなる部分が断面円形形状とされているものの、円筒部44bの内孔からなる部分が、断面矩形形状とされている。
また、かかる第二伝動ギヤ32の各円筒部44a,44bのそれぞれの先端部には、径方向外方に所定高さで突出し且つ周方向に連続して延びる、対向部としての外フランジ部48a,48bが、それぞれ同一の円環板形状をもって一体形成されている。それら二つの外フランジ部48a,48bは、平歯車部42を間に挟んで互いに対向位置せしめられており、それら各外フランジ部48a,48bの互いの対向側とは反対側の面には、突起50a,50bが、それぞれ、複数個ずつ一体形成されている。
外フランジ部48aに設けられた複数の突起50aは、それぞれ、半球形状を有している。そして、図3に示されるように、それら複数の突起50aが、外フランジ部48aの外フランジ部48bとの対向側とは反対側の面において、その全周に亘って、周方向に互いに等間隔を隔てて位置せしめられている。一方、外フランジ部48bに設けられた複数の突起50bは、それぞれ、円錐形状を有している。そして、図示されてはいないものの、それら複数の突起50bも、外フランジ部48bの外フランジ部48aとの対向側とは反対側の面において、その全周に亘って、周方向に互いに等間隔を隔てて位置せしめられている。また、この外フランジ部48bに設けられた各突起50bは、樹脂製で円錐形状を有しているところから、先端部分が、外部からの押圧力によって比較的に容易に変形する易変形部分とされている。
一方、ギヤ組付用ブラケット26は、図2から明らかなように、互いに所定距離を隔てて対向配置された第一の支持板52と第二の支持板54とが連結板56を介して一体的に連結されて、全体としてコ字形状とされた、従来と同様な基本構造を有している。なお、それら第一及び第二の支持板52,54と連結板56を含むギヤ組付用ブラケット26は、金属板を用いて形成されている。
そして、図2及び図3に示される如く、ギヤ組付用ブラケット26の連結板56は、長手矩形の平板形状を呈し、その中心部に、円形の貫通孔58が形成されている。第一の支持板52と第二の支持板54は、互いに同一の大きさと形状を有する平板からなり、それらには、円形の第一軸孔60と第二軸孔62とが、それぞれ形成されている。また、各支持板52,54に設けられた第一軸孔60,60同士と第二軸孔62,62同士は、それぞれ同一の径を有している。更に、第一及び第二の支持板52,54においては、その幅方向(図2の紙面に垂直な方向)の一端部の長さ方向(図2中の上下方向)の中央部に、取付片部64が、切起こしにより、それぞれ一つずつ一体形成されている。また、第二の支持板54の幅方向における取付辺部64の形成側の長さ方向一端部には、小径の貫通孔65が、穿設されている。
そして、ここでは、第一の支持板52と連結板56とが単一の部材からなる一体品として構成されているものの、第二の支持板54が、それら第一の支持板52と連結板56とを有する一体品とは独立した別個の部材として構成されている。
すなわち、第一の支持板52が、連結板56に対して、その長さ方向(図2中左右方向)一方側の辺縁部から、90°の角度をもって、厚さ方向一方側に延び出すように一体形成されている。また、かかる連結板56の長さ方向の他方側の辺縁部には、対向片66が、第一の支持板52と対向位置する状態で一体形成されている。この対向片66は、互いに同一の大きさと形状を有する第一及び第二の支持板52,54のそれぞれの幅の半分に満たない幅(図2において紙面に垂直な方向の寸法)と、各支持板52,54の長さの略半分程度の長さ(図2中の上下方向の寸法)とを有し、各支持板52,54の1/4に満たない大きさの平板からなっている。そして、かかる対向片66が、その長さ方向の一端部において、連結板56の長さ方向における第一の支持板52の形成側とは反対側の幅方向(図2の紙面に垂直な方向)一端部に対して、連結板56と90°のなす角を形成するように、一体化されている。
換言すれば、連結板56の厚さ方向一方の面の長さ方向両側の端部に、第一の支持板52と、それよりも小さな対向片66とが、互いに所定距離を隔てて対向位置して、連結板56から平行に延びるように、それぞれ一体形成されているのである。また、対向片66は、かかる連結板56への形成状態下において、連結板56の幅方向一端部側に偏寄して位置せしめられている。
そして、第一の支持板52に対向して、連結板56に設けられた対向片66にあっては、連結板56からの延出方向(図2の上下方向)の基端部に、小径の貫通孔68が設けられている。また、図3から明らかなように、かかる対向片66の延出方向に直角な方向の一方側(連結板56の幅方向において対向片66が偏寄して位置する側とは反対側)の辺縁部には、かかる辺縁部を、互いに径の異なる円弧状にそれぞれ切り欠いてなる第一切欠部70と第二切欠部72とが形成されている。第一切欠部70は、前記第一伝動ギヤ30のウォームホイール部34の外径よりも所定寸法大きな径の円弧形状を有しており、また、第二切欠部72は、第二伝動ギヤ32の平歯車部42の外径よりも所定寸法大きな径の円弧形状を有している。そして、第一切欠部70が、対向片66の延出方向の基端側に位置せしめられている一方、第二切欠部72が、対向片66の延出方向の先端側に位置せしめられている。
また、連結板56の幅方向において対向片66が偏寄して位置する側とは反対側の辺縁部には、カバー板74が、一体形成されている。このカバー板74は、「く」の字に屈曲せしめられた形状を呈する金属板からなり、第一の支持板52と対向片66との対向面間を、連結板56の幅方向一方側から覆うように位置せしめられている。これによって、後述する如く、ギヤ組付用ブラケット26に駆動ギヤ28と第一及び第二の電動ギヤ30,32とが組み付けられた状態下で、それら各ギヤ28,30,32を覆って、各ギヤ28,30,32への埃等の付着を防止するようになっている。
そして、ここでは、連結板56に一体形成された対向片66の第一の支持板52との対向側とは反対側の面に対して、第二の支持板54が、それに設けられた小径の貫通孔65を、対向片66に設けられた貫通孔68に連通させるように、重ね合わされた状態で、それら互いに連通した各貫通孔65,68内に、タッピンねじ76がねじ込まれることによって、対向片66と第二の支持板54とが固定されている。
かくして、第一の支持板52と第二の支持板54とが、互いに所定距離を隔てて対向し、且つ平行に延びるように配置された状態で、連結板56を介して一体的に連結されて、ギヤ組付用ブラケット26が、コ字状の全体形状をもって形成されるようになっている。また、このようにして形成されたギヤ組付用ブラケット26においては、第一及び第二の支持板52,54にそれぞれ設けられた第一軸孔60同士と第二軸孔62同士が、各々同軸的に位置せしめられている。また、かかるギヤ組付用ブラケット26は、第一及び第二の支持板52,54に設けられた取付片部64,64において、それらを貫通して位置せしめられたボルトにより、前記ディスプレイ装置のハウジング12の底部に固定されるようになっている(図1参照)。
そして、本実施形態では、図2に示されるように、電動モータ20の駆動軸22が、ギヤ組付用ブラケット26の連結板56の貫通孔58を通じて、第一の支持板52と第二の支持板54のそれぞれの対向面78a,78bの間に延出せしめられた状態で、電動モータ20が、連結板32に固定されている。これにより、電動モータ20の駆動軸22に取り付けられた駆動ギヤ28が、第一及び第二の支持板52,54の対向面78a,78b間に位置せしめられている。
また、第一伝動ギヤ30が、第一及び第二の支持板52,54間において、ウォームホイール部34をウォームからなる駆動ギヤ28に噛合せしめた状態で、配置されている。更に、かかる配置状態下で、第一伝動ギヤ30の一方の円筒部38aの先端部が、第二の支持板54の第一軸孔60内に挿通される一方、他方の円筒部38bの先端面が、第一の支持板52の対向面78aにおける第一軸孔60の開口周辺部に当接せしめられている。また、かかる第一伝動ギヤ30の挿通孔40における円筒部38bの先端側開口部が、第一の支持板52の第一軸孔60に連通せしめられている。
そして、第一回転軸80が、第一の支持板52の第一軸孔60を通じて、それに連通する第一伝動ギヤ30の挿通孔40内に挿通されている。この第一回転軸80は、第一伝動ギヤ30の軸方向長さよりも長い丸棒材からなり、図3に示されるように、長さ方向の一端部に、円環板状の外フランジ部82が一体的に周設されている一方、長さ方向の他端部に、周溝84が形成されている。
そして、図2に示される如く、かかる第一回転軸80が、長さ方向の両側端部を、第一及び第二の支持板52,54の各第一軸孔60から外方に突出させた状態で、第一伝動ギヤ30の挿通孔40内に挿通されている。また、そのような挿通下で、第一回転軸80の長さ方向一端部に設けられた外フランジ部82が、第一の支持板52の対向面78aとは反対側の面に接触位置せしめられている一方、その長さ方向他端部に設けられた周溝84内に、Eリング86が嵌め込まれている。また、このEリング86は、一方の端面において、第一伝動ギヤ30の円筒部38aの先端面に接触せしめられている。
これによって、第一伝動ギヤ30が、ギヤ組付用ブラケット26に対して、駆動ギヤ28に噛合した状態で、第一回転軸80回りに回転可能に、且つ第一及び第二の支持板52、54の対向面78a,78b間において軸方向に移動不能に組み付けられている。
一方、第二伝動ギヤ32は、第一及び第二の支持板52,54間において、平歯車部42を、第一伝動ギヤ30の平歯車部36に噛合させた状態で、配置されている。また、かかる配置状態下で、第二伝動ギヤ30の二つの円筒部44a,44bの各先端部が、第一及び第二の支持板52,54のそれぞれの第二軸孔62,62内に挿通されている。更に、それら二つの円筒部44a,44bの先端部にそれぞれ設けられた外フランジ部48a,48bが、第一及び第二の支持板52,54の各対向面78a,78bにそれぞれ対向位置せしめられると共に、それら各外フランジ部48a,48bに設けられた複数の突起50a,50が、その先端面において、各支持板52,54の対向面78a,78bに接触せしめられている。特に、第一の支持板52の対向面78aと接触する各突起50bは、後述する如く、第二の支持板54を対向片66に固定するタッピンねじ76の締結力により、易変形部分とされた先端部位が潰された状態となっている。
そして、第二回転軸88が、第二伝動ギヤ32の挿通孔46内に挿通されている。この第二回転軸88は、第二伝動ギヤ32の軸方向長さよりも長い丸棒材からなり、図3に示されるように、長さ方向の中間部に四角柱状の係合部90が設けられると共に、長さ方向一端部に、その外周面の一部を平らに面取りした面取り部92が形成され、更に、長さ方向の他端部には、周溝94が形成されている。
そして、図2に示される如く、かかる第二回転軸88が、長さ方向の両側端部を、第一及び第二の支持板52,54の各第二軸孔62から外方に突出させた状態で、第二伝動ギヤ32の挿通孔46内に挿通されている。また、そのような挿通下で、第二回転軸88の長さ方向中間部の四角柱状の係合部90が、第二伝動ギヤ32の円筒部44bの内孔からなる、断面矩形形状を呈する挿通孔46部分の内周面に対して、周方向において係合せしめられている。更に、第二回転軸88の面取り部92を有する長さ方向一端部が、前記ディスプレイケース10の回動軸14bの端部に設けられた連結穴96内に挿入されると共に、面取り部92が、それに対応した平面形状を有する連結穴96の内周面部分に係合して、かかる回動軸14bに対して相対回転不能に連結されている。また、第二回転軸88の長さ方向他端部に設けられた周溝94内に、Eリング98が、一方の端面において第二伝動ギヤ32の円筒部48aの先端面に接触した状態で、嵌め込まれている。
これによって、第二伝動ギヤ30が、ギヤ組付用ブラケット26に対して、第一伝動ギヤ30に噛合した状態で、第二回転軸88回りにディスプレイ10の回動軸14bと相対回転不能に、且つ第一及び第二の支持板52、54の対向面78a,78b間において軸方向に移動不能に組み付けられている。
かくして、本実施形態では、電動モータ20の回転駆動力が、ギヤ組付用ブラケット26に組み付けられた、駆動ギヤ28と第一及び第二伝動ギヤ30,32とからなるギヤ機構24を介して、ディスプレイケース10の回動軸14bに伝えられるようになっており、以て、電動モータ20の正逆方向への回転駆動に伴って、ディスプレイケース10が、回動軸14a,14b回りに自動的に回動せしめられるようになっているのである。
ところで、このようなディスプレイケース10の自動回動を実現せしめるために、ギヤ組付用ブラケット26に電動モータ20やギヤ機構24を組み付ける際には、例えば、以下のようにして、その作業が進められる。
すなわち、図3に示されるように、第二の支持板54を連結板56の対向片66に固定する前に、電動モータ20の駆動軸22を、連結板56の貫通孔58に挿通して、連結板56の幅方向の両端に一体形成された第一の支持板52と対向片66との間に位置させる。そして、電動モータ20を連結板56に固定する一方、第一の支持板52と対向片66との間に位置せしめられた駆動軸22に、駆動ギヤ28を取り付ける。
次いで、第一の支持板52の第一軸孔60と第二軸孔62とに対して、第一回転軸80と第二回転軸88とを、第一の支持板52の対向片66との対向側とは反対側から挿通する。そして、第一回転軸80の外フランジ部82を、第一の支持板52の対向面78aとは反対側の面に接触位置させる。また、第二回転軸88の面取り部92の形成側の端部を、第二軸孔62から突出位置させる(図2参照)。
その後、第一伝動ギヤ30と第二伝動ギヤ32の各挿通孔40,46内に、第一回転軸80と第二回転軸88とを、それぞれ挿通させる。つまり、第一の回転軸80と第二の回転軸88とに、第一伝動ギヤ30と第二伝動ギヤ32とを、それぞれ外挿する。このとき、第一伝動ギヤ30のウォームホイール部34を駆動ギヤ28に噛合せしめると共に、第一伝動ギヤ30と第二伝動ギヤ32のそれぞれの平歯車部36,42を互いに噛合させる。また、本工程では、第一の支持板52と第二の支持板54とが未だ連結されていないため、第一及び第二回転軸80,88への第一及び第二伝動ギヤ30,32の外挿操作が、各伝動ギヤ30,32の挿通孔40,46の開口部を目視しながら容易に実施され得る。
そして、かかる状態下で、第一伝動ギヤ30のウォームホイール部34に一体形成された円筒部38bの先端面を、第一の支持板52の対向面78aに接触させる。つまり、かかる円筒部38bと第一回転軸80の外フランジ部82との間で、第一の支持板52の第一軸孔60の周辺部分を挟持する状態で、第一伝動ギヤ30を位置せしめる(図2参照)。
また、第二伝動ギヤ32の一方の円筒部38bの先端部分を、第一の支持板52の第二軸孔62内に挿通させる。そして、それと共に、かかる円筒部38bの先端部に設けられる外フランジ部48bに一体形成された複数の突起50bを、第一の支持板52の対向面78aにおける第二軸孔62の開口周辺部分に接触位置させる。
なお、ここでは、第一の支持板52に対向して、連結板56に一体形成された対向片66に、第一伝動ギヤ30と第二伝動ギヤ32のそれぞれの外径よりも所定寸法大きな径の円弧形状を呈する第一切欠部70と第二切欠部72が設けられている。そのため、本工程において、第一及び第二伝動ギヤ30,32を第一及び第二回転軸80,88にそれぞれ外挿させる際に、それら各伝動ギヤ30,32を、第一の支持板52の第一及び第二軸孔60,62に挿通された各回転軸80,88の軸心上において移動させても、各伝動ギヤ30,32が対向片66に接触するようなことがない。これによって、各伝動ギヤ30,32の各回転軸80,88への外挿作業が、極めてスムーズに且つ容易に実施され得る。
次いで、第二の支持板54を、対向片66の第一の支持板52との対向側とは反対側の面に重ね合わせて、第一の支持板52と対向位置させる。そして、この第一の支持板54と対向片66との重合せ状態下で、それら第一の支持板54と対向片66の各貫通孔65,68を互いに連通せしめると共に、第一伝動ギヤ52の平歯車部36に一体形成された円筒部38aの先端部分と第一伝動ギヤ30の挿通孔40に挿通された第一回転軸80の端部とを、第二の支持板54の第一軸孔60内に挿通させる。また、第二伝動ギヤ32の二つの円筒部44a,44bのうち、第一の支持板52の第二軸孔62内に先端部分が挿通された円筒部44bとは別の円筒部44aの先端部分と、第二伝動ギヤ32の挿通孔46内に挿通された第二回転軸88の端部とを、第二の支持板54の第二軸孔62内に挿通させる。更に、そのような挿通状態下で、かかる円筒部44aの先端部に設けられる外フランジ部48aに一体形成された複数の突起50aを、第二の支持板54の第一の支持板52との対向面78aにおける第二軸孔62の開口周辺部分に接触位置させる。
その後、第二の支持板54と対向片66の互いに連通せしめられた貫通孔65,68にタッピンねじ76をねじ込んで、それら第二の支持板54と対向片66とを固定する。そして、それにより、第二の支持板54と第一の支持板52とを、互いに所定距離を隔てて対向し且つ平行に延びるように位置させた状態で、連結板56を介して連結する。かくして、第一及び第二回転軸80,88を、互いに連結された第一及び第二の支持板52,54を貫通し、且つそれら両支持板52,54間に跨って延びるように位置せしめると共に、第一及び第二伝動ギヤ30,32を、第一及び第二の支持板52,54間に、第一及び第二回転軸80,88にそれぞれ外挿された状態で位置せしめる。
なお、ここでは、第二伝動ギヤ32の二つの外フランジ部48a,48bにそれぞれ一体形成された各突起50a,50bの先端同士の間の距離が、互いに対向して平行に位置するように連結された第一及び第二の支持板52,54の互いの対向面78a,78b間距離よりも僅かに大きくされている。しかも、第一の支持板52の対向面78aと接触する複数の突起50bは、先端部位が易変形部分とされている。
それ故、第一の支持板52と第二の支持板54とが連結された際に、タッピンねじの締付力に基づいて、第二伝動ギヤ32が、第一の支持板52と第二の支持板54との間で挟圧され、それによって、第二伝動ギヤ32の各突起50bの易変形部分とされた先端部位が、第一の支持板52の対向面78aから作用せしめられる押圧力にて潰されるように変形せしめられる。以て、例えば、第二伝動ギヤ32や第一の支持板52の成形時の寸法誤差等により、外フランジ部48bと第一の支持板52との対向面間距離が、外フランジ部48bの周方向にバラツキが存在しても、それが、複数の突起50bの潰れ変形によって有利に吸収され得る。その結果、第二伝動ギヤ32が、両外フランジ部48a,48bにおいて、第一の支持板52と第二の支持板54とに対して、スキやガタ等なく、より一層確実に接触位置せしめられ得るようになっている。このことから明らかなように、ここでは、挟圧手段が、タッピンねじにて構成されている。
そして、その後、第一及び第二伝動ギヤ30,32の各円筒部38a,44aの端部と共に、第二の支持板54の第一軸孔60と第二軸孔62からそれぞれ突出し、且つそれら各円筒部38a,44aの内孔(挿通孔40,46)からも突出する第一回転軸80と第二回転軸88のそれぞれの端部に設けられた周溝84,94内に、Eリング86,98を、第一及び第二の伝達ギヤ30,32の各円筒部38a,44aの端面に接触させた状態で、それぞれ嵌め込む。また、第一の支持板52の第二軸孔62から突出する第二回転軸88の面取り部92形成側の端部を、ディスプレイケース10の回動軸14bの連結穴96に挿入すると共に、面取り部92を連結穴96の平坦な内周面部分に係合させる。これにより、第一及び第二の伝達ギヤ30,32に、第一及び第二回転軸80,88をそれぞれ取り付けると共に、それら各回転軸80,88をギヤ付用ブラケット26に固定する。また、第二回転軸88をディスプレイケース10の回動軸14bに対して相対回転不能に連結して、第二回転軸88が、ディスプレイケース10の回動軸14bの一部として機能するように為す。このことから明らかなように、本実施形態では、ディスプレイケース10の回動軸14bの一部が、第二回転軸88にて構成されている。
かくして、ギヤ組付用ブラケット26に対して、電動モータ20を固定すると共に、電動モータ20の駆動ギヤ28と、それに直接に又は間接的に噛合する第一及び第二伝動ギヤ30,32とからなるやギヤ機構24を組み付ける。そして、その後、ギヤ組付用ブラケット26を、二つの取付片部64,64において、ハウジング12の底部にねじ止め乃至はボルト固定するのである。
このように、本実施形態のギヤ組付用ブラケット26においては、第一の支持板52と第二の支持板54とが互いに別個の部材からなっている。そのため、ギヤ組付用ブラケット26に駆動ギヤ28と第一及び第二伝動ギヤ30,32とを含むギヤ機構24を組み付ける前に、第一の支持板52と第二の支持板54とが、例えば、それらの外側から同時に何かに挟まれたり、或いは両支持板間52,54に何かが挟まる等して、互いの対向面78a,78b側やそれとは反対側に傾き、それによって、第一及び第二の支持板52,54の対向面間78a,78b距離が設計寸法から変化するようなことが、有利に皆無ならしめられ得る。
また、連結板56に、第二の支持板54が一体形成されてはいないものの、その代わりに、対向片66が、第一の支持板54と対向位置するように、連結板56に一体形成されている。それ故、この対向片66に対して、第二の支持板54を重ね合わせて固定することにより、第二の支持板54が、第一支持板52に対して、所定距離を隔てて、対向位置する状態で、連結板56を介して連結され得る。更に、対向片66が、第二の支持板54の1/4に満たない程の小さな大きさとされているため、そのような対向片66と第一の支持板52との間に何か挟まったり、或いはそれら同時に何かに挟まれたりして、それら対向片66と第一支持板52との対向面間距離が、予め定められた大きさから変化するようなことが可及的に解消乃至は抑制され得る。それによって、第二の支持板54が、かかる対向片66に固定されたときの第一の支持板52と第二の支持板54との対向面78a,78b間の距離が、確実に設計寸法とされ得る。
それらの結果として、連結板56を介して連結された第一の支持板52と第二の支持板54の対向面78a,78b間距離が設計寸法よりも小さくなって、それら両支持板52,54間に、第一伝動ギヤ30と第二伝動ギヤ32とを位置させる作業が困難となることが、有利に防止され得る。また、両支持板52,54間距離が設計寸法よりも大きくなって、第一及び第二の支持板52,54の各対向面78a,78bと第一及び第二伝動ギヤ30,32との間に無用なガタやスキが生ずることが、効果的に回避され得る。
そして、本実施形態では、そのような第一及び第二の支持板52,54の相互の連結前に、第一及び第二伝動ギヤ30,32の各挿通孔40,44の開口部を目視しながらの容易な作業により、それら各挿通孔40,44内に、第一及び第二回転軸80,88を挿通した後、第一の支持板52と第二の支持板54とを連結板56を介して連結することによって、各伝動ギヤ30,32と各回転軸80,88とを、ギヤ組付用ブラケット26に対して簡単に組み付けることが出来る。しかも、連結板56に対して、第二の支持板54が固定されるべき位置に一体形成された対向片66によって、各回転軸80,88を各伝動ギヤ30,32の挿通孔40,44内に挿通する作業が阻害されることがない。
従って、かくの如き本実施形態のギヤ組付用ブラケット26を用いれば、ギヤ機構26のうちでも、特に、第一伝動ギヤ30と第二伝動ギヤ32とを、第一の支持板52と第二の支持板54との間に配置すると共に、それら各伝動ギヤ30,32の挿通孔40,46内に、第一回転軸80と、ディスプレイケース10の回動軸14bの一部となる第二回転軸88とを挿通させる作業が、より容易とされて、各伝動ギヤ30,32の組付性の向上が、有効に図られ得る。また、第一及び第二の支持板50,54と第一及び第二伝動ギヤ30,32との間の無用なスキやガタの存在に起因して、ディスプレイケース10の回動時に、各伝動ギヤ30,32と両支持板52,54間で異音が生ずるようなことが効果的に防止され得ることとなるのである。
そして、本実施形態では、第一の支持板52と第二の支持板54とが連結された際に、タッピンねじの締付力に基づいて、第二伝動ギヤ32の各突起50bの易変形部分とされた先端部位が潰されることで、第二伝動ギヤ32が、両外フランジ部48a,48bにおいて、第一の支持板52と第二の支持板54とに対して、スキやガタ等なく、より一層確実に接触位置せしめられ得るようになっている。これによって、ディスプレイケース10の回動時における各伝動ギヤ30,32と両支持板52,54間での異音の発生が、更に一層効果的に防止され得るのである。
また、本実施形態においては、ディスプレイケース10の回動軸14bに連結された第二回転軸88回りに回転せしめられる第二伝動ギヤ32が、その軸方向両端部の各外フランジ部48a,48にそれぞれ一体形成された各突起50a,50bの十分に面積の小さな先端面において、第一及び第二の支持板52,54の各対向面78a,78bに接触せしめられている。それ故、ディスプレイケース10の回動時に、第二伝動ギヤ32と第一及び第二の支持板52,54の各対向面78a,78bとの間で生ずる摺動抵抗が可及的に小さく為され得る。それによって、ディスプレイケース10の回動が、電動モータ20に対して過剰な負荷を掛けることなく、よりスムーズに行われ得る。
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
例えば、ギヤ組付用ブラケットに組み付けられるべき伝動ギヤの個数や形状(ギヤの種類)は、例示のものに何等限定されるものではない。
また、第二の支持板54の対向片66の固定構造も、タッピンねじを用いた締結構造に、特に限定されるものではなく、例えば、公知のクランプ部材を用いて、第二の支持板54の対向片66とをクランプしたり、或いはそれら第二の支持板54の対向片66とを、公知の接着剤等にて接着したりしても、何等差し支えない。
さらに、前記では、ディスプレイケース10の回動軸14bと、第二伝動ギヤ32の第二回転軸88とが、互いに独立した別個の軸部材にて構成されていたが、ディスプレイケースの回動軸と伝動ギヤの回転軸が同一の部材であっても良い。
対向片の形状や大きさも、例示のものに、決して限定されるものではない。但し、対向片は、回動軸が第一及び第二の支持板間に跨って延びるように配置されたときの回動軸の軸心上を、それら両支持板の連結前に、伝動ギヤが移動しても、かかる伝動ギヤと接触しないような形状とされていなければならない。それ故、例示の如く、対向片66に切欠部70,72を設ける場合には、かかる切欠部70,72が、上記の条件を満たすならば、切欠部70,72の個数や形状が、何れも適宜に変更され得るのである。
また、前記実施形態では、ディスプレイケース10の回動軸14bの一部を構成する第二回転軸88回りに回転せしめられる第二伝動ギヤ32が、第一の支持板52と第二の支持板54間において、軸方向に移動不能に配置されていたが、それら両支持板52,54間において軸方向に移動可能とされていて良い。この場合にあっても、本発明に従う構造を採用することで、かかる第二伝動ギヤ32のギヤ組付用ブラケット26への組付性の向上効果が有利に奏され得る。
さらに、前記実施形態では、第二伝動ギヤ32に設けられた対向部たる二つの外フランジ部48a,48bのうちの一方の外フランジ部48bに一体形成された突起50bの先端部位のみが易変形部分とされていたが、他方の外フランジ部48aに一体形成された突起50aの先端部位も、易変形部分としても、何等差し支えない。また、第一伝動ギヤ30に対しても、対向部や突起を設けても良い。
なお、本発明において、伝動ギヤに設けられる対向部や、かかる対向部に一体形成される突起は、何れも、必須のものではないが、それらを設ける場合には、対向部の形状や突起の形状及び個数等は、例示のものに、何等限定されるものではない。例えば、突起の形状としては、例示された半球形状や円錐形状の他、薄肉平板からなるリブ形状や、円柱や角柱等の柱形状等の形状が、採用され得る。
加えて、前記実施形態では、本発明を、自動車用ディスプレイ装置の回動軸に取り付けられる伝動ギヤを組み付けるギヤ組付用ブラケットと、かかる伝動ギヤのギヤ組付用ブラケットへの組付構造とに適用したものの具体例を示したが、本発明は、その他、自動車用ディスプレイ装置以外の車載用ディスプレイ装置の回動軸に取り付けられる伝動ギヤを組み付けるギヤ組付用ブラケットと、かかる伝動ギヤのギヤ組付用ブラケットへの組付構造の何れに対しても、それぞれ有利に適用されるものであることは、勿論である。
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、各種の形態において実施され得るものである。従って、当業者の知識に基づいて採用される本発明についての種々なる変更、修正、改良に係る各種の実施の形態が、何れも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、本発明の範疇に属するものであることが、理解されるべきである。