JP2010110176A - 車両用電力変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両用発電装置におけるスイッチング素子を用いた交流−直流変換において、負荷変動などにより実際にスイッチング素子をオン/オフしなければならない位相の機械的な絶対回転位置がリアルタイムに変化するような場合でも、スイッチング素子による効率の良い整流動作が実現できるようにする。
【解決手段】ダイオード通電状態検出部122を備え、ダイオードが通電状態となるときの回転位置とダイオードが非通電状態となるときの回転位置を逐次記憶部132cに記憶し、記憶しているダイオードオンタイミング以後に、電力変換部220のスイッチング素子をオン制御し、記憶したダイオードオフタイミング以前に電力変換部220のスイッチング素子をオフ制御することで、負荷変動の影響を受けることなく、スイッチング素子をオン/オフする位相を簡単に得ることができ、信頼性が高く高効率な発電動作が可能となる。
【選択図】図3

Description

この発明は車両用電力変換装置に関し、特に、高効率な発電を信頼性高く且つ簡単な構成にて実現できる車載用回転電機における車両用電力変換装置に関する。
従来の車両用発電装置においては、一般的に、ダイオードによる全波整流方式が行われているが、より高効率化をめざして、スイッチング素子を使用することで整流素子による損失を低減した整流方式が行われるようになってきた。
この種の従来例として、自相のスイッチング素子のオフタイミングを他相の相電圧に基づいて判定し制御する車両用三相回転電機用インバータ回路装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特許第4023353号公報
特許文献1では、自相のスイッチング素子のオフタイミングを他相の相電圧により判定し制御するとしているが、他相の相電圧に基づいてオフタイミングを判定すると、最大電気角120度でしかスイッチング・オン状態を行うことができず、高負荷状態で電気角160度程度の発電を行うような際には、効率の低下と整流回路部分の発熱が大きくなることが懸念されるという問題点があった。
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、自相の相電圧より得られたタイミングを記憶し、記憶した過去のデータにて、スイッチング素子のゲート制御する信号を生成することで、負荷に応じたゲート制御の実現を可能した車両用電力変換装置を得ることを目的とする。
この発明は、車両用多相回転電機に接続され、スイッチング素子と前記スイッチング素子に並列接続されたダイオードとにより構成された電力変換部と、前記スイッチング素子のオン/オフ制御を行うゲート制御部とを備え、前記ゲート制御部は、前記回転電機が発電動作中で、かつ、前記スイッチング素子がオフ状態である場合に、前記回転電機の各相の相電圧に基づいて、前記ダイオードの整流動作によるダイオード通電状態を検出し、ダイオードが通電状態となるダイオードオンタイミングおよびダイオードが非通電状態となるダイオードオフタイミングを示すタイミング信号を出力するダイオード通電状態検出部と、前記ダイオード通電状態検出部からの前記タイミング信号に基づいて、ダイオードオンタイミングからダイオードオフタイミングまでの通電時間の時間計測値を記憶し、記憶した前記時間計測値に基づいて、ダイオード通電状態中に前記スイッチング素子をオンするゲート指令を生成するゲート指令生成部と、前記ゲート指令生成部から出力される前記ゲート指令と、前記回転電機の各相の相電圧と、前記ダイオード通電状態検出部から出力される前記ダイオードオンタイミングを示すタイミング信号とに基づいて、前記スイッチング素子のオン/オフ動作の正当性判定を行うゲート指令監視部とを有していることを特徴とする車両用電力変換装置である。
この発明は、車両用多相回転電機に接続され、スイッチング素子と前記スイッチング素子に並列接続されたダイオードとにより構成された電力変換部と、前記スイッチング素子のオン/オフ制御を行うゲート制御部とを備え、前記ゲート制御部は、前記回転電機が発電動作中で、かつ、前記スイッチング素子がオフ状態である場合に、前記回転電機の各相の相電圧に基づいて、前記ダイオードの整流動作によるダイオード通電状態を検出し、ダイオードが通電状態となるダイオードオンタイミングおよびダイオードが非通電状態となるダイオードオフタイミングを示すタイミング信号を出力するダイオード通電状態検出部と、前記ダイオード通電状態検出部からの前記タイミング信号に基づいて、ダイオードオンタイミングからダイオードオフタイミングまでの通電時間の時間計測値を記憶し、記憶した前記時間計測値に基づいて、ダイオード通電状態中に前記スイッチング素子をオンするゲート指令を生成するゲート指令生成部と、前記ゲート指令生成部から出力される前記ゲート指令と、前記回転電機の各相の相電圧と、前記ダイオード通電状態検出部から出力される前記ダイオードオンタイミングを示すタイミング信号とに基づいて、前記スイッチング素子のオン/オフ動作の正当性判定を行うゲート指令監視部とを有していることを特徴とする車両用電力変換装置であるので、自相の相電圧より得られたタイミングを記憶し、記憶した過去のデータにて、スイッチング素子のゲート制御する信号を生成することで、負荷に応じたゲート制御の実現を可能にすることができる。
実施の形態1.
以下、この発明の一実施の形態について説明する。
図1は、この発明の実施の形態1に係る発電電動機を適用した車両システムの例示図である。
図1において、内燃機関101が発電電動機102に例えばベルト等の動力伝達手段104を介して接続され、内燃機関101が運転中に蓄電池103に対して発電電動機102により交流−直流変換された電気エネルギーを充電する。
図2は、図1における発電電動機102の内部構成についての例示図である。
発電電動機102は、一点鎖線で示される電力変換装置110と、二点鎖線で示されるモータジェネレータ部200とから構成されている。また、発電電動機102には、蓄電池103としてのバッテリーが、プラス電源入力のP端子およびアース入力のN端子を介して接続されている。
モータジェネレータ部200には、図2に示すように、車両用多相回転電機が設けられている。図2では、モータジェネレータ部200を、U相、V相、W相の3相の発電電動機電機子巻線201と、発電電動機界磁巻線202とを備えた、三相界磁巻線方式の発電電動機として例示している。なお、本発明においては、回転電機が、電力変換装置110により、発電動作だけでなく力行動作することとする。
電力変換装置110は、図2に示すように、複数のスイッチング素子を備えた電力変換部220と、電力変換部220のスイッチング素子のオン/オフ制御を行うゲート制御部210とから構成される。
電力変換部220は、界磁電流をPWM制御するための界磁スイッチング素子221と、フリーホイールダイオード222と、寄生ダイオードを内蔵した上アームスイッチング素子223a,b,cと、寄生ダイオードを内蔵した下アームスイッチング素子224a,b,cと、それらのスイッチング素子223a,b,c及び224a,b,cのそれぞれに並列接続されたダイオードとから構成されている。このように、電力変換部220では、スイッチング素子223,224、および、それに並列接続されたダイオードが、上アーム側と下アーム側とに区分されている。電力変換部220においては、上アームスイッチング素子223a,b,cにより、発電電動機電機子巻線201の各U,V,W相端子と蓄電池(バッテリー)103からのプラス電源入力のP端子とがそれぞれ接続され、また、下アームスイッチング素子224a,b,cにより発電電動機電機子巻線201の各U,V,W相端子と蓄電池(バッテリー)103からのアース入力のN端子とがそれぞれ接続されている。
なお、ここで、図2の例示図では、上述のように、モータジェネレータ部200を三相の発電電動機電機子巻線201と発電電動機界磁巻線202とを有した三相界磁巻線方式発電電動機としているが、この場合に限らず、任意の相数(例えば、六相)および任意の界磁方式(例えば、永久磁石等)において同様である。さらに、図2に示すような電力変換装置110とモータジェネレータ部200とが一体構造式になっている発電電動機102だけでなく、電力変換装置110とモータジェネレータ部200とが物理的に分割されて別体で構成されている別体構造式の発電電動装置を発電電動機102として用いても構わない。
図3は、ゲート制御部210の発電動作時に係る機能ブロックの例示図である。ゲート制御部210は、図3に示す構成により、電力変換部220に設けられた上アームスイッチング素子223a,b,c及び下アームスイッチング素子224a,b,cのオン/オフ指令制御を行う。
ゲート制御部210は、図3に示すように、ダイオード通電状態検出部122と、ゲート指令生成部132と、ゲート指令監視部133とから構成される。
ダイオード通電状態検出部122は、回転電機が発電動作中で、かつ、スイッチング素子がオフ状態である場合に、回転電機の各相の相電圧に基づいて、ダイオードの整流動作によるダイオード通電状態を検出し、ダイオードが通電状態となるダイオードオンタイミングおよびダイオードが非通電状態となるダイオードオフタイミングを示すタイミング信号を出力するものである。
ゲート指令生成部132は、ダイオード通電状態検出部122からのタイミング信号に基づいて、ダイオードオンタイミングからダイオードオフタイミングまでの通電時間の時間計測値を記憶し、記憶した時間計測値に基づいて、ダイオード通電状態中にスイッチング素子をオンするゲート指令を生成するものである。
ゲート指令監視部133は、ゲート指令生成部132から出力されるゲート指令と、回転電機の各相の相電圧と、ダイオード通電状態検出部122から出力されるダイオードオンタイミングを示すタイミング信号とに基づいて、スイッチング素子のオン/オフ動作の正当性判定を行うものである。
これらの各構成要素について、以下に詳細に説明する。
ダイオード通電状態検出部122は、三相の各端子電圧Vu,Vv,Vwが入力されて、それらに基づいて、各スイッチング素子223,224に並列に接続されたダイオードの導通状態を検出する手段である。
ダイオードがオン状態の場合(順方向電流が流れる場合)には、ダイオード順方向電圧VFがダイオードの両端に発生し、一方、ダイオードがオフ状態の場合(順方向電流が流れていない場合)には、ダイオードの両端はオープン状態になる。
よって、上アームスイッチング素子223a,b,cに並列に接続されたダイオード(以下、上アームダイオードとする。)のオンタイミングは、電力変換装置110のN端子電位Vn(以下、基準端子電圧Vnとする。)を基準に、P端子電圧をVp、三相の各端子電圧をVu,Vv,Vw、ダイオード順方向電圧VFとすれば、以下の判定式により判定可能である。
U相上アームダイオードオン状態検出判定式:Vp≦Vu≦Vp+VF
V相上アームダイオードオン状態検出判定式:Vp≦Vv≦Vp+VF
W相上アームダイオードオン状態検出判定式:Vp≦Vw≦Vp+VF
また、同様に、上アームスイッチング素子223a,b,cに並列に接続された上アームダイオードのオフタイミングは、以下の判定式により判定可能である。
U相上アームダイオードオフ状態検出判定式:Vu<Vp
V相上アームダイオードオフ状態検出判定式:Vv<Vp
W相上アームダイオードオフ状態検出判定式:Vw<Vp
また、同様に、下アームスイッチング素子224a,b,cに並列に接続されたダイオード(以下、下アームダイオード)のオンタイミングは以下の判定式により判定可能である。
U相下アームダイオードオン状態検出判定式:−VF≦Vu≦0
V相下アームダイオードオン状態検出判定式:−VF≦Vv≦0
W相下アームダイオードオン状態検出判定式:−VF≦Vw≦0
また、同様に、下アームスイッチング素子224a,b,cに並列に接続された下アームダイオードのオフタイミングは以下の判定式により判定可能である。
U相下アームダイオードオフ状態検出判定式:0<Vu
V相下アームダイオードオフ状態検出判定式:0<Vv
W相下アームダイオードオフ状態検出判定式:0<Vw
特に、ダイオード通電状態検出部122では、図4の例示図に示すように、上アーム側については、Vp以上で、かつ、VpにVFを加算した電圧(Vp+VF)以下の範囲の第一の上アーム閾値V1(H)(例えばV1(H)=Vp)と、VpにVFを加算した電圧(Vp+VF)よりも大きい値の第二の上アーム閾値V2(H)(例えば、全ての動作範囲でのVFの最大値が0.6Vであれば、V2(H)=Vp+0.7V)と、Vpよりも小さい値の第三の上アーム閾値V3(H)とを設定し、相電圧が、第一の上アーム閾値V1(H)と第二の上アーム閾値V2(H)との間に一定時間Tdelay1以上保持されている場合に、Hon信号を有意“H”とし(上アームダイオードが通電状態と判定し)、一方、相電圧が、第3の上アーム閾値V3(H)以下となった場合に、Hon信号を無意“L”とする(上アームダイオードが非通電状態と判定される)。
また、下アーム側については、Vn以下で、かつ、VnからVFを減算した電圧(Vn−VF)以上の範囲の第一の下アーム閾値V1(L)と、VnからVFを減算した電圧(Vn−VF)よりも小さい第二の下アーム閾値V2(L)と、Vnよりも大きい第3の下アーム閾値V3(L)とを設定し、相電圧が、第一の下アーム閾値V1(L)と第二の下アーム閾値V2(L)との間に一定時間Tdelay1以上保持されている場合に、Lon信号を有意“H”とし(下アームダイオードが通電状態と判断し)、一方、相電圧が第3の下アーム閾値V3(L)以上となった場合に、Lon信号を無意“L”とする(下アームダイオードが非通電状態と判断される)。なお、ここで、Vp>V3(H)>V3(L)>Vnとする。
本実施の形態においては、このように、ダイオード通電状態の検出方法として、上アーム側及び下アーム側において、第一の閾値と第二の閾値との間に一定時間相電圧の値が保持された場合に、ダイオードがオン状態になっていると判定するようにしたので、確実にダイオードがオン状態となっていることが確認でき、例えばダイオードがオープン故障をしており、正確にダイオードオン状態を検出できないような場合にも、スイッチング素子のゲート指令をオンとしない車両用電力変換装置が実現できる。
さらに、ダイオード順方向電圧VFはダイオードに流れる順方向電流や温度によって変化するため、第一の閾値を、装置に使用しているダイオードのVFの最小電圧以下に設定し、第二の閾値を、装置に使用しているダイオードのVFの最大電圧以上に設定することで、正確にダイオードのオン状態を検出することが可能となる。
本実施の形態においては、このようにすることにより、温度などの影響でVFなどが変化しても、確実に、ダイオードが整流領域に入っているか否かを検出することが可能となる。
次に、図3に示したゲート指令生成部132について説明する。ゲート指令生成部132には、図3に示すように、計測部132aと、比較器132bと、記憶部132cと、オフタイミング判定部132dとが設けられている。
ゲート指令生成部132では、ダイオード通電状態検出部122から入力される、ダイオードオンタイミングを示すダイオード通電タイミング信号Xonで、計測部132aのカウンタ動作をリセット・スタートし、これにより、計測部132aは、ダイオードの通電時間を計測するカウンタ動作を開始する。当該カウンタ動作中にダイオード通電状態検出部122から入力される、ダイオードオフタイミングを示すダイオード通電タイミング信号Xonにてダイオードオフ状態となった時間を検知して、カウンタ動作を終了させ、ダイオードオンタイミングからダイオードオフタイミングまでの通電時間の計測値を得て、それを記憶部132cで記憶する。オフタイミング判定部132dでは、この記憶部132cに記憶された過去の通電時間の計測値に基づいて、ゲートをオフするタイミング信号IN2を生成し、比較器132dに入力する。比較器132dでは、前述した計測部132aからの出力IN1とオフタイミング判定部132dからの出力IN2とを比較する。
比較の結果、次式の条件式が成立する場合に、すなわち、IN2がIN1以上のときに、比較器132bは、ゲート出力Xonを有意状態とするゲート信号XGateを電力変換部220に対して出力し、電力変換部220のスイッチング素子223,224をオン状態とする。
IN1≦IN2
なお、ここで、ゲート指令生成部132において、記憶部132cに記憶する過去のタイミングデータ(自相通電時間)の個数は1つでもよいが、望ましくは、回転電機の極数以上にして、これらの過去のタイミングデータ(例えば8極のステータであれば、8個のデータを記憶する)のうちの最小値を基に、オフタイミング判定部132dで、ゲートをオフするためのタイミング信号IN2を生成するようにすれば、回転電機の構造に起因する各極毎の発電バラツキの影響による誤制御を防止することが可能となる。
車両の燃費改善方法として、アイドリング・ストップが有効であるが、回転電機を電力変換装置で発電動作だけでなく力行動作させることで、再始動のエンジン・クランキングする際の動力として利用可能となるが、力行動作が可能であるかどうかの診断機能、例えば、発電動作が可能であってもスイッチング動作に支障が生じるような異常を検出することが重要である。
次に、図3に示したゲート指令監視部133について説明する。
ゲート指令生成部132から出力されたゲート信号XGateは、電力変換部220に入力されて上下アームスイッチング素子223,224を制御すると共に、ゲート指令監視部133にも入力される。ゲート指令監視部133においては、ゲート信号XGateと、ダイオード通電状態検出部122から入力される、ダイオード通電タイミング信号Xonと、各相の相電圧Vu,Vv,Vw等に基づいて、スイッチング素子223,224の動作やタイミング監視を実施する。
図5は、本実施の形態1における、ゲート指令に対してスイッチング素子が正常に機能しているかの診断を行うための回路の一例である。また、図6は、本実施の形態1における、ゲート指令に対してスイッチング素子が正常に機能しているかの診断動作を示したタイミングチャートである。
図5に示す回路は、相電圧と、後述する第四の閾値V4(H),V4(L)とをそれぞれ比較するための1対のコンパレータと、当該コンパレータからの出力とHGate,LGateとの論理積(1),(2)をそれぞれ求めるための1対のAND回路と、それらのAND回路からの出力(1),(2)の論理和を求めるOR回路とから構成されている。なお、コンパレータの一方は、相電圧とV4(H)とを比較して、相電圧>V4(H)が成立したら、有意“H”を出力し、コンパレータの他方は、相電圧とV4(L)とを比較して、相電圧<V4(L)が成立したら、有意“H”を出力する。
ゲート指令監視部133では、特に、図5及び図6の例示図のように、それぞれの相のゲート信号が有意状態のときに、それぞれの相のスイッチング素子が正常にオン動作していることを、ゲート指令が有意となることで、診断する。
すなわち、電力変換部220の上アームダイオードがオン状態中に上アームスイッチング素子223a,b,cのゲート指令をオンとしている際に、相電圧が、下記の第四の上アーム閾値V4(H)以下になることを検出することで、正常にスイッチング素子がオン動作したと診断することができる。
第四の上アーム閾値V4(H)は、Vpにスイッチング素子のオン抵抗と発電時の最大電流の大きさを掛け合わせて得られる電圧降下VDS1を加算した値(Vp+VDS1)よりも大きく、VpとVFとを加算した値(Vp+VF)よりも小さい範囲に設定する。但し、V3(H)<Vp<V4(H)<Vp+VFとする。
また、下アーム側であれば、下アームダイオードがオン状態中に下アームスイッチング素子のゲート指令をオンとしている際に、相電圧が、下記の第四の下アーム閾値V4(L)以上になることを検出することで、正常にスイッチング素子がオン動作したと診断することができる。
第四の下アーム閾値V4(L)は、Vnからスイッチング素子のオン抵抗と発電時の最大電流の大きさを掛け合わせた電圧降下VDS1を減算した値(Vn−VDS1)よりも小さく、VnからVFを減算した値(Vn−VF)よりも大きい範囲に設定する。但し、Vn−VF<V4(L)<Vn<V3(L)<V3(H)とする。
逆に、ゲート指令が有意になっても相電圧が前述のように変化しない場合は、スイッチング素子がオン動作できないと考えられ、発電動作は寄生ダイオードなどで継続して可能であっても、力行動作はできないため、これを異常として検知して、異常状態を外部に知らせることで、車両側で異常状態を認識でき、アイドリング・ストップ動作を禁止することが可能となる。
ただし、ゲート指令が有意となってもスイッチング素子が実際にオン状態となるには時間的な遅延があるために、過渡状態的に異常状態を検出して、誤検出防止のために、異常状態の検出回路には、図5に示すようなスイッチング遅延を加味した遅延要素Tdelay2が必要となる。
このように、本実施の形態においては、ダイオードがオン状態となっている相のスイッチング素子のゲート信号をオンとした際に、スイッチング素子での電圧降下がダイオードの順方向電流から第四の閾値よりも小さいスイッチング素子のオン抵抗による電圧降下となることを検出することで、スイッチング素子が正常にスイッチングしていることを検出可能となる。
本発明による過去の自相のタイミング情報を使った方式では、エンジン回転の急変に対する制御マージンを考慮して実際にダイオード通電しているよりも早くにゲート指令XGateを無意と制御しているが、その場合に限らず、電力変換部220の上アームダイオードがオン状態中に、上アームスイッチング素子223のゲート指令をオン状態からオフ状態に切替た後、第四の上アーム閾値V4(H)以上となってから、第三の上アーム閾値V3(H)以下となるまでの時間Count(H)を計測し、同様に、下アームダイオードがオン状態中に、下アームスイッチング素子224のゲート指令をオン状態からオフ状態に切替た後、第四の下アーム閾値V4(L)以下となってから、第三の下アーム閾値V3(L)以上となるまでの時間Count(L)を計測し、各スイッチング素子がダイオード非通電状態になるまでにオフしていることを検出するようにしてもよい。
図7に、このように動作して、ゲートオフ指令タイミングの正当性の診断を行うための回路の一例を示し、図8に、当該回路によるゲートオフ指令タイミングの正当性の診断の動作を示したタイミングチャートを示す。
図7及び図8の例示図のように、それぞれの相のゲート信号が無為になり、相電圧が第4の閾値V4を越えてから、ダイオードによる整流がオフとなり、ダイオード通電タイミング信号Xonが無為状態になるまでの時間Countを計測することで、スイッチング素子のゲートを、オフ指令HGateによりオフするタイミングを監視ができ、信頼性の高いゲート指令制御を行うことが可能となる。
このように、図7および図8の例では、スイッチング素子をアクティブダイオードとして動作させている状態からゲート信号をオフ状態とすることで通常のダイオード整流に切り替えた状態から、誘起電圧が低くなりダイオードによる整流動作がオフするまでの時間を計測することで、ゲートのオフ指令タイミングの正当性の評価が可能となる。
また、スイッチング素子の故障モードとして、オープンモードの故障も想定される。オープン故障時は、各相の誘起電圧は、ダイオードによる上アーム側はVp、下アーム側はVnにてクリップされなくなるため、各相電圧が、上アーム側は第二の上アーム閾値V2(H)よりも大きく、下アーム側は第二の下アーム閾値V2(L)よりも小さくなることを検出することで、スイッチング素子がオープン故障をしていることを検出することができる。オープン故障時は力行時に正常なスイッチング動作ができなく、エンジン再始動が不可能な状態が考えられるため、車両側でアイドリング・ストップしないようにする。
また、回転数が低かったり、界磁電流が小さく発電電流が小さいような場合は、スイッチング素子をオフするタイミング変化が大きく、本来ダイオードがオンしているような領域でのみスイッチング素子のゲート指令をオンすべきところを誤制御する可能性が高くなり、仮にゲート指令を誤制御してしまうとトルクが大きくなったり、音が大きくなり、車両としてのドライバビリティに影響を及ぼす。
また、このように発電量が小さいような場合は、スイッチング素子のゲート指令をオンすることなく、ダイオードによる整流動作であっても電力変換器として大きな損失とはならないため、ゲート指令をロックしても構わない。
このように、本実施の形態1においては、力行動作中、発電動作中を問わず、相電圧が第二の閾値V2を越えることを検出することで、スイッチング素子がオープン故障をしていることを検出することが可能となる。
ただ、同期整流は、発電量が大きな状態でないと動作が不安定となり、トルク変動や異音などを発生することがある。
また、発電量が小さいような場合は、発電時の熱損失も小さく同期整流を必ずしも行う必要がない。
ゲート指令監視部133では、発電時のダイオードオン状態の場合にゲート指令をロックするかどうかの判定として、回転子の電気角周期とダイオードがオンしている状態の通電時間比に基づいて、ダイオードがオン状態のときにスイッチング素子のゲート指令としてオン指令を出力するか否かの判断をする。すなわち、ダイオード通電タイミング信号Xonのオン時間と、ダイオード通電タイミング信号Xonの繰り返し時間との比で、ゲート指令をロックするかどうかを判断する。
例えば、同一回転数の場合に、ダイオード通電タイミング信号Xonが、発電量が多い場合と小さい場合でどうなるかを考えると、発電量が多い(つまり界磁電流が大きい)場合には、ダイオード整流によって電圧クランプされることが無ければ、誘起電圧が高くなり、一方、発電量が少ない(つまり界磁電流が小さい)場合には、ダイオード整流によって電圧クランプされることが無ければ、誘起電圧が小さい。
車両用の発電動作をする際は、実際は誘起電圧波形はダイオードによりクランプされるが、クランプされる電圧は誘起電圧に係り無く同じであるため、Xon信号の長さは必然的に誘起電圧の高い界磁電流の大きい場合、つまり発電電流が大きい場合の時間が長くなる。
ただし、この例は、同一回転での発電時であり、車両用発電装置としては、エンジン回転は走行状態により変化するため、電気角の1周期相当の時間とXon信号の時間との比(以後、「ダイオード通電比」と呼ぶ)で判断する必要があり、電気角の一周期相当の時間の取得方法の一例として、Xon信号の繰り返し時間(Xon信号の立上りエッジから次のXon信号の立上りエッジ間の時間=Timexon)を利用することが考えられる。
同期整流を許可するかどうかのスレショルドレベル(条件)は、モータ特性、車両とのマッチングにより一概に云えないが、例えばXon/Timexon≧0.4で同期整流を許可し、Xon/Timexon<0.35となることで、同期整流を非許可状態にする。
また、界磁巻線式回転電機による発電動作においては、界磁電流は回転電機の発電によって得た電流によって賄っているため、回転数が低く発電量に対して界磁電流での消費が大きい比率となるような場合と、回転数が高く発電量に対して界磁電流での消費が小さい比率となるような場合とで、許可するスレショルドを変化させる(つまり、回転数によって同期整流を許可するスレショルドを変化させたり、界磁電流の大きさにより同期整流を許可するスレショルドを変化させる)等の方法も考えられる。
このように、本実施の形態においては、回転子の電気角周期とダイオードがオンしている状態の通電時間比に基づいて、ダイオードがオン状態のときにスイッチング素子のゲート指令としてオン指令を出力するか否かの判断をするようにしたので、発電量が多くなると、ダイオードがオン状態の時間と回転子の電気各周期との時間比が大きくなること、同期整流をするかしないかの判断が可能となる。
さらに、図9の例示図のようにして、正常なダイオード通電タイミングを検出するようにしてもよい。
図9に示す、正常に発電動作をしているような場合の各相間のダイオード通電状態検出信号とは、「UHon立上り検出→VHon立上り検出→WHon立上り検出→UHon立上り検出→・・・(以下、繰り返し)」、「UHon立下り検出→VHon立下り検出→WHon立下り検出→UHon立下り検出→・・・(以下、繰り返し)」、「ULon立上り検出→VLon立上り検出→WLon立上り検出→ULon立上り検出→・・・(以下、繰り返し)」、「ULon立下り検出→VLon立下り検出→WLon立下り検出→ULon立下り検出→・・・(以下、繰り返し)」というような関係となる。
また、コイルに天地絡が発生すると、十分な誘起電力が発生しないため、これを検出して、コイルの異常状態を検出することが可能である。従って、ゲート指令監視部133は、自相のダイオードがオフ状態からオン状態により、次に、自相のダイオードが再度オフ状態からオン状態になるまでの間に、他相のダイオードがオフ状態からオン状態になることが、各相で必ず1回発生することを判定すれば、コイルの状態が正常か異常かを判定することができる。
そのため、ゲート指令監視部133は、各相のダイオード通電タイミングが、正常時に前述した動作関係になることを監視し、例えば、図10のように、低抵抗である相(図10の場合はW相)が地絡故障している場合には、相電圧が、図11に示すように、U相およびV相は正常で、W相のみ一定値となるため、各相間のダイオードの通電状態検出信号が、図11に示すようになり、各相間のオン/オフタイミングが正常とならないことで異常状態を検出することができる。異常を検出した場合には、発電中の異常該当相のスイッチング動作の禁止と、力行動作の禁止をする。
尚、一例として地絡故障の動作について記述したが、その他の故障(低抵抗による天絡、スイッチング素子の短絡故障など)に関しても、同様に監視することができる。
ただし、上述の方法は、監視のためにタイマーや数値演算を使わないため、簡素なロジック回路で実現可能であるが、見かけ上の巻線数が変化する電機子コイル内でのショート故障や、断線等による発電不良状態の検出はできない場合がある。
また、抵抗成分を持って、天絡、地絡している場合や、コイルに断線などがあると、各相のダイオードオン時間にバラツキが生じるため、これを検出して、コイルの異常状態を検知することが可能である。従って、ゲート指令監視部133は、各相のダイオード通電比のバラツキを監視することで、エラーを検出する。
例えば、正常時は、図9に示したように、各相のダイオード通電比に大きな差はないが、例えば、W相のコイルが巻線間で短絡して、起電力が小さいような場合には、図11のように、U、V相と比較して、WH相およびWL相のダイオードオン時間が短くなるため、各相間のダイオード通電比にバラツキが生じたことで、装置異常を監視することが可能となる。
以上のように、本実施の形態は、ダイオードのみで整流動作を行っている際(スイッチング素子がオンしていない状態)のダイオード通電状態を検出する手段を具備し、ダイオードが通電状態となるってからダイオードが非通電状態となるまでの時間を逐次記憶し、ダイオードが通電状態になったことでスイッチング素子をオン制御し、その後記憶しているダイオード通電時間よりスイッチング素子のターンオフ時間などを引いた時間を引いたタイミングで、スイッチング素子をオフ制御する。
従って、本実施の形態によれば、ダイオードが通電状態となるときのダイオードオンタイミングとダイオードが非通電状態となるときのダイオードオフタイミングまでの過去の自相の時間間隔(通電幅)により、上下アームスイッチング素子のオン・オフ指令を生成するようにしたので、ダイオードがオンしているほぼ全ての領域において、負荷変動に影響を受けない上下アームスイッチング素子のオン・オフ指令を容易に得ることができるため、高効率でかつ信頼性の高い発電動作が可能となる車両用電力変換装置が実現できる。
また、各相毎にスイッチング素子のオン/オフ制御可能であるため、仮に1相が故障していたとしても、健全な相はスイッチング素子をオン/オフ制御を継続して行うことで、損失の少ない発電を行うことが可能となる。
実施の形態2.
上記の実施の形態1で説明した、本発明における、各閾値(スレショルドレベル)は、ダイオード順方向電圧VF(一般的に0.5V〜0.8V)を含め、0.1V程度の精度が必要となるが、通常のバッテリーシステムであれば、電源端子の電圧はバッテリー電圧となるため、大きな変動はないので、バッテリー電圧を元に抵抗分圧などで閾値設定をしても、さほど大きな誤差は発生しない。しかしながら、例えば、電源がバッテリーでなく、コンデンサのようなもので、電圧変化が大きいような場合は、閾値誤差が少なくなるように、図12に示したような閾値回路が必要となる。
図12の回路は、基準電圧Ref1,Ref2に電源プラス電圧Vpをそれぞれ加算するための1対の加算器と、当該加算器から出力されるRef1’,Ref2’と相電圧とを比較するための1対のコンパレータ1,2とから構成されている。
しかしながら、図12の回路は、複数の閾値があると各コンパレータの閾値を生成する電圧加算回路が、複数必要となり、回路規模が大きくなる。
また、アイドリング・ストップの際に、回生エネルギーを効率よく蓄える目的で、電気二重層コンデンサに代表されるキャパシタ電源等を使用したときに、直接各相電圧を用いて通電状態を検出する方法では、プラス電源端子電圧の変化が大きく、実現回路を考える上で閾値設定が難しくなる。
そこで、図13に示すように回路を構成して、ダイオード通電状態検出部122とゲート指令監視部133の上アーム側の閾値判定に使用する各相電圧として、電力変換部220の各相電圧と電源プラス電圧Vpとの電位差を差動演算増幅したものを使用するようにしてもよい。
図13に示すような回路を用いて、このように、上アーム側の各相電圧とVpとの電位差を差動演算増幅することで、Vpが変化するような場合でも、閾値の設定を容易にすることが可能となる。
また、図13の例に限らず、上アームダイオードオン状態検出用の各相電圧として必要な部分は電源電圧付近の電圧であるため、図14に示すように、この付近の差電圧のみ増幅するような差動増幅アンプの構成をとることで、閾値設定には加算器が必要でなくなり、回路を簡素化することができる。
図14の構成においては、相電圧がプラス入力され、電源プラス電圧Vpgaマイナス入力される、差動増幅アンプと、差動増幅アンプからの出力を基準電圧Ref1,Ref2とそれぞれ比較するための1対のコンパレータComp1,Comp2とが設けられている。
さらに、図15に示すように回路を構成して、ダイオード通電状態検出部122とゲート指令監視部133の下アーム側の閾値判定に使用する各相電圧として、電力変換部220のVnと各相電圧との電位差を差動演算増幅したものを使用するようにしてもよい。
図15においては、下アームダイオードオン状態検出用の回路を、図13と同様の差動アンプで構成しているが、出力が図13とは反転するように回路を構成することで、上アームの閾値と共用することが可能となり、回路の簡素化が可能となる。
本発明に係る実施の形態1における車両システムの一例を示した構成図である。 本発明に係る実施の形態1における車両システムの発電電動機の内部構成の一例を示した構成図である 本発明に係る実施の形態1における発電電動機に設けられたゲート制御部における機能ブロックの一例を示したブロック図である。 本発明に係る実施の形態1におけるゲート制御部に設けられたダイオード通電状態検出部の動作を示したタイミングチャートである。 本発明に係る実施の形態1におけるゲート制御部に設けられたゲート指令監視部を構成する、ゲート指令に対してスイッチング素子が正常に機能しているかの診断を行う回路の一例を示した回路図である。 本発明に係る実施の形態1におけるゲート制御部に設けられたゲート指令監視部による、ゲート指令に対してスイッチング素子が正常に機能しているかの診断動作を示したタイミングチャートである。 本発明に係る実施の形態1におけるゲート制御部に設けられたゲート指令監視部を構成する、ゲートオフ指令タイミングの正当性の診断を行う回路の一例を示した回路図である。 本発明に係る実施の形態1におけるゲート制御部に設けられたゲート指令監視部による、ゲートオフ指令タイミングの正当性の診断動作を示したタイミングチャートである。 本発明に係る実施の形態1におけるゲート制御部に設けられたゲート指令監視部による、正常なダイオード通電タイミングの検出動作を示したタイミングチャートである。 本発明に係る実施の形態1におけるゲート制御部に設けられたゲート指令監視部による、1相地絡時のダイオード通電タイミングの検出動作を示したタイミングチャートである。 本発明に係る実施の形態1におけるゲート制御部に設けられたゲート指令監視部による、1相コイル間短絡時のダイオード通電タイミングの検出動作を示したタイミングチャートである。 本発明に係る実施の形態2における閾値電位生成回路の一例を示した回路図である。 本発明に係る実施の形態2における上アーム差動回路の一例を示した回路図である。 本発明に係る実施の形態2における差動回路を用いたコンパレート回路の一例を示した回路図である。 本発明に係る実施の形態2における下アーム差動回路の一例を示した回路図である。
符号の説明
101 内燃機関、102 発電電動機、103 蓄電池、110 電力変換装置、200 モータジェネレータ部、201 発電電動機電機子巻線、202 発電電動機界磁巻線、210 ゲート制御部、211 回転子位置検出部、212 ダイオード通電状態検出部、213 タイミング処理部、214 ゲート指令生成部、215 ゲート指令監視部、220 電力変換部、221 界磁スイッチング素子、222 フリーホイールダイオード、223a U相上アームスイッチング素子(UH)、223b V相上アームスイッチング素子(VH)、223c W相上アームスイッチング素子(WH)、224a U相下アームスイッチング素子(UL)、224b V相下アームスイッチング素子(VL)、224c W相下アームスイッチング素子(WL)。

Claims (13)

  1. 車両用多相回転電機に接続され、スイッチング素子と前記スイッチング素子に並列接続されたダイオードとにより構成された電力変換部と、
    前記スイッチング素子のオン/オフ制御を行うゲート制御部と
    を備え、
    前記ゲート制御部は、
    前記回転電機が発電動作中で、かつ、前記スイッチング素子がオフ状態である場合に、前記回転電機の各相の相電圧に基づいて、前記ダイオードの整流動作によるダイオード通電状態を検出し、ダイオードが通電状態となるダイオードオンタイミングおよびダイオードが非通電状態となるダイオードオフタイミングを示すタイミング信号を出力するダイオード通電状態検出部と、
    前記ダイオード通電状態検出部からの前記タイミング信号に基づいて、ダイオードオンタイミングからダイオードオフタイミングまでの通電時間の時間計測値を記憶し、記憶した前記時間計測値に基づいて、ダイオード通電状態中に前記スイッチング素子をオンするゲート指令を生成するゲート指令生成部と、
    前記ゲート指令生成部から出力される前記ゲート指令と、前記回転電機の各相の相電圧と、前記ダイオード通電状態検出部から出力される前記ダイオードオンタイミングを示すタイミング信号とに基づいて、前記スイッチング素子のオン/オフ動作の正当性判定を行うゲート指令監視部と
    を有していることを特徴とする車両用電力変換装置。
  2. 前記スイッチング素子は、上アーム側の上アームスイッチング素子と下アーム側の下アームスイッチング素子とに区分されているものであって、
    前記ダイオードのうち、前記上アームスイッチング素子に並列接続されたダイオードを上アームダイオードとし、前記下アームスイッチング素子に並列接続されたダイオードを下アームダイオードとしたとき、
    前記ダイオード通電状態検出部は、
    上アーム側において、前記電力変換部の電源プラス電圧Vp以上で、かつ、前記電源プラス電圧Vpにダイオード順方向電圧VFを加算した値以下の範囲で第一の上アーム閾値V1(H)を設定し、前記電源プラス電圧Vpに前記ダイオード順方向電圧VFを加算した値よりも大きな値になるように第二の上アーム閾値V2(H)を設定し、前記電源プラス電圧Vpよりも小さい値になるように第三の上アーム閾値V3(H)を設定して、相電圧が、前記第一の上アーム閾値V1(H)と前記第二の上アーム閾値V2(H)との間に一定時間以上保持された場合に、上アームダイオード通電状態と判定し、相電圧が、前記第三の上アーム閾値V3(H)以下となった場合に、上アームダイオード非通電状態と判定し、
    下アーム側において、前記電力変換部の基準電圧Vn以下で、かつ、前記基準電圧Vnから前記ダイオード順方向電圧VFを減算した値以上の範囲で第一の下アーム閾値V1(L)を設定し、前記基準電圧Vnから前記ダイオード順方向電圧VFを減算した値よりも小さな値となるように第二の下アーム閾値V2(L)を設定し、前記基準電圧Vnよりも大きい値になるように第三の下アーム閾値V3(L)を設定して、相電圧が、前記第一の下アーム閾値V1(L)と前記第二の下アーム閾値V2(L)との間に一定時間以上保持された場合に、下アームダイオード通電状態と判定し、相電圧が、前記第三の下アーム閾値V3(L)以上となった場合に、下アームダイオード非通電状態と判定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両用電力変換装置。
  3. 前記ゲート指令生成部において記憶される前記時間計測値の個数は、前記回転電機の極数よりも多いものであって、
    前記ゲート指令生成部は、これらの記憶されている前記時間計測値のうちの最小値に基づいて、前記ダイオードが通電状態から非通電状態となるタイミングよりも前に、前記スイッチング素子をオフするゲート制御信号を生成する
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両用電力変換装置。
  4. 前記ゲート指令監視部は、
    前記電力変換部の上アームダイオードがオン状態中に、前記上アームスイッチング素子のゲート指令をオンとしている際に、前記相電圧が、前記電源プラス電圧Vpと前記スイッチング素子のオン抵抗と発電時の最大電流の大きさとを掛け合わせて得られる電圧降下VDS1とを加算した値よりも大きく、かつ、前記ダイオード順方向電圧VFよりも小さい範囲に設定された第四の上アーム閾値V4(H)以下になることを検出した場合に、前記ゲート指令生成部の前記上アームスイッチング素子をオンするゲート指令に対して、実際に上アームスイッチング素子が動作していることを判定し、
    前記電力変換部の下アームダイオードがオン状態中に、前記下アームスイッチング素子のゲート指令をオンとしている際に、前記相電圧が、前記基準電圧Vnから前記スイッチング素子のオン抵抗と発電時の最大電流の大きさとを掛け合わせて得られる前記電圧降下VDS1を減算した値よりも小さく、かつ、前記基準電圧Vnから前記ダイオード順方向電圧VFを減算した値よりも大きい範囲に設定された第四の下アーム閾値V4(L)以上になることを検出した場合に、前記ゲート指令部の前記下アームスイッチング信号をオンするゲート指令に対して、実際に下アームスイッチング素子が動作していると判定する
    ことを特徴とする請求項2に記載の車両用電力変換装置。
  5. 前記ゲート指令監視部は、
    前記電力変換部の上アームダイオードがオン状態中に、前記上アームスイッチング素子のゲート指令をオン状態からオフ状態に切り替えた後、前記第四の上アーム閾値V4(H)以上となってから前記第三の上アーム閾値V3(H)以下となるまでの時間Count(H)を計測し、
    前記電力変換部の下アームダイオードがオン状態中に、前記下アームスイッチング素子のゲート指令をオン状態からオフ状態に切り替えた後、前記第四の下アーム閾値V4(L)以下となってから前記第三の下アーム閾値V3(L)以上となるまでの時間Count(L)を計測して、
    計測された前記時間Count(H)およびCount(L)に基づいて、各スイッチング素子がダイオード非通電状態になるまでにオフしていることを検出する
    ことを特徴とする請求項4に記載の車両用電力変換装置。
  6. 前記ゲート指令監視部は、力行動作中および発電動作中に、前記電力変換部の前記スイッチング素子のゲート指令がオン状態となっている相の相電圧が、前記第二の上アーム閾値V2(H)以上もしくは前記第二の下アーム閾値V2(L)以下の電圧となることを検出した場合に、前記スイッチング素子の故障を検出することを特徴とする請求項2に記載の車両用電力変換装置。
  7. 前記ゲート指令監視部は、前記回転電機の回転子の電気角周期と前記ダイオードがオンしている状態の通電時間との比により、前記ダイオードがオン状態のときに前記スイッチング素子のゲート指令としてオン指令を出力するか否かの判断をすることを特徴とする請求項1に記載の車両用電力変換装置。
  8. 前記ゲート指令監視部は、自相のダイオードがオフ状態からオン状態になり、次に、前記自相のダイオードが再度オフ状態からオン状態になる間に、他相のダイオードがオフ状態からオン状態になることが各相で必ず1回発生することを判定することを特徴とする請求項1に記載の車両用電力変換装置。
  9. 前記ゲート指令監視部は、前記回転電機の各相の回転子の電気角周期と前記ダイオードがオンしている状態の通電時間のアンバランスにより、ステータ部分の故障を検出することを特徴とする請求項1に記載の車両用電力変換装置。
  10. 前記ダイオード通電状態検出部は、上アーム側の閾値判定に使用する各相電圧として、前記電力変換部の各相電圧と前記電源プラス電圧Vpとの電位差を差動演算増幅したものを使用することを特徴とする請求項2に記載の車両用電力変換装置。
  11. 前記ゲート指令監視部は、上アーム側の閾値判定に使用する各相電圧として、前記電力変換部の各相電圧と電源プラス電圧Vpとの電位差を差動演算増幅したものを使用することを特徴とする請求項3に記載の車両用電力変換装置。
  12. 前記ダイオード通電状態検出部は、下アーム側の閾値判定に使用する各相電圧として、前記電力変換部の前記基準電圧Vnと各相電圧との電位差を差動演算増幅したものを使用することを特徴とする請求項2に記載の車両用電力変換装置。
  13. 前記ゲート指令監視部は、下アーム側の閾値判定に使用する各相電圧として、前記電力変換部の前記基準電圧Vnと各相電圧との電位差を差動演算増幅したものを使用することを特徴とする請求項3に記載の車両用電力変換装置。
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