JP2010108923A - プロトン伝導性電解質、プロトン伝導性電解質膜、燃料電池及びプロトン伝導性電解質膜の製造方法 - Google Patents

プロトン伝導性電解質、プロトン伝導性電解質膜、燃料電池及びプロトン伝導性電解質膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 再現性にすぐれ、良好な成形性を有し、無加湿状態で高いプロトン伝導性を有するプロトン伝導性電解質、プロトン伝導性電解質膜、燃料電池及びプロトン伝導性電解質膜の製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明によるプロトン伝導性電解質は、金属リン酸塩とリン酸類で構成されており、金属リン酸塩がリン酸類と架橋されて構成される。金属リン酸塩は、下記式(1)で表される化合物からなる。
1−x ・・・(1)
(ここで、M,Nは金属元素、Xは0≦X<0.5であり、MがZr,Cs,Sn,Ti,Si,Ge,Pb,Ca,Mg及びAlの群から選ばれる1種であり、NがAl,In,B,Ga,Sc,Yb,Ce,La及びSbの群から選ばれる1種である。)
【選択図】図1

Description

本発明は、プロトン伝導性電解質、プロトン伝導性電解質膜、燃料電池及びプロトン伝導性電解質膜の製造方法に関し、特に、金属リン酸塩及びリン酸を用いた、プロトン伝導性電解質、プロトン伝導性電解質膜、燃料電池、及びプロトン伝導性電解質膜の製造方法に関する。
近年、環境意識の高まりとともに、COや汚染物質を排出しないクリーンエネルギーとして燃料電池が注目されている。その中でも、エネルギー効率が高く、温度領域が100℃前後と一般用に取り扱いやすい固体高分子電解質を用いたPEFC(固体高分子形燃料電池)の開発に注力がなされている。
プロトンを伝導する高分子電解質としては、一般的にNafion(登録商標)で知られているパーフルオロスルホン酸等が用いられているが、プロトン伝導機構がHの状態でプロトンを伝導するVehicle(運搬)機構であるため、加湿機構を備える必要があり、このためシステムが煩雑になるという問題点がある。
加湿の問題を改善した電解質としては、リン酸を含浸させたPBI(ポリベンズイミダゾール)膜が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、この膜は90%以上が液体リン酸で構成されているため、強酸であるリン酸がしみ出しやすいことや、液体シールを厳密に行わなければならないこと、さらにセルを作製する際にリン酸のしみ出しによりMEA(膜・電極接合体)の作製が困難であること、等の問題点がある。
一方、無加湿状態でプロトン伝導性を有するプロトン伝導性電解質として金属リン酸塩が知られている(例えば、特許文献2参照。)。また、金属リン酸塩の一部に別種の金属をドープしたものも開示されている(例えば、特許文献3,4参照。)。
特表2001−510931号公報 特開2005−294245号公報 特開2008−53224号公報 特開2008−53225号公報
しかしながら、上記金属リン酸塩の場合、合成過程で必要となる350℃以上の熱処理の際に、リン酸が消失するおそれがあるため、製造物の再現性が得られず、合成条件のコントロールが困難であるといった問題がある。また、金属リン酸塩が粉体であるため、成形性が困難であり、バインダーを添加しないとフィルム化しないといった問題点がある。
本発明の目的は、再現性にすぐれ、良好な成形性を有し、無加湿状態で高いプロトン伝導性を有するプロトン伝導性電解質、プロトン伝導性電解質膜、燃料電池及びプロトン伝導性電解質膜の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、金属リン酸塩とリン酸類で構成されており、前記金属リン酸塩と前記リン酸類が架橋されていることを特徴とするプロトン伝導性電解質である。
また、請求項2に記載の発明は、前記金属リン酸塩は、下記式(1)で表される化合物からなることを特徴とする請求項1に記載のプロトン伝導性電解質である。
1−x ・・・(1)
(ここで、M,Nは金属元素、Xは0≦X<0.5であり、MがZr,Cs,Sn,Ti,Si,Ge,Pb,Ca,Mg及びAlの群から選ばれる1種であり、NがAl,In,B,Ga,Sc,Yb,Ce,La及びSbの群から選ばれる1種である。)
また、請求項3に記載の発明は、前記MがSn又はCsであることを特徴とする請求項2に記載のプロトン伝導性電解質である。
また、請求項4に記載の発明は、前記NがIn又はAlであることを特徴とする請求項2又は3に記載のプロトン伝導性電解質である。
また、請求項5に記載の発明は、前記金属リン酸塩の前記M及び前記Nの原子数をそれぞれ[M]及び[N]、前記金属リン酸塩及びリン酸類のリンの原子数の合計を[P]として、[M],[N]及び[P]の関係が下記式(2)で表されることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のプロトン伝導性電解質である。
2< [P]/([M]+[N]) ≦ 4 ・・・(2)
また、請求項6に記載の発明は、前記[M],[N]及び[P]の関係が下記式(3)で表されることを特徴とする請求項5に記載のプロトン伝導性電解質である。
2.4≦ [P]/([M]+[N]) ≦ 3.2 ・・・(3)
また、請求項7に記載の発明は、前記金属リン酸塩は、酸化スズとリン酸水素アンモニウムを用いて製造されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のプロトン伝導性電解質である。
また、請求項8に記載の発明は、前記金属リン酸塩は、共沈法を用いて製造されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のプロトン伝導性電解質である。
また、請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載のプロトン伝導性電解質で構成されたことを特徴とするプロトン伝導性電解質膜である。
また、請求項10に記載の発明は、バインダーをさらに含有することを特徴とする請求項9に記載のプロトン伝導性電解質膜である。
また、請求項11に記載の発明は、前記バインダーが、フッ素系又は炭化水素系ポリマーであることを特徴とする請求項10に記載のプロトン伝導性電解質膜である。
また、請求項12に記載の発明は、前記バインダーが、フッ素系又は炭化水素系イオノマーであることを特徴とする請求項10に記載のプロトン伝導性電解質膜である。
また、請求項13に記載の発明は、前記バインダーが、イオン性液体であることを特徴とする請求項10に記載のプロトン伝導性電解質膜である。
また、請求項14に記載の発明は、前記バインダーが、セルロース系ポリマーであることを特徴とする請求項10に記載のプロトン伝導性電解質膜である。
また、請求項15に記載の発明は、請求項9〜14のいずれか1項に記載のプロトン伝導性電解質膜と、一対の触媒電極と、一対のセパレータとを備え、前記プロトン伝導性電解質膜の両面に前記触媒電極及び前記セパレータがそれぞれ順次積層されたことを特徴とする燃料電池である。
また、請求項16に記載の発明は、金属リン酸塩とリン酸類を混合してペーストを作製する第1工程と、前記ペーストをキャスト基材上に塗布して成形する第2工程とを備え、前記第1工程及び/又は前記第2工程において熱処理を行なうことを特徴とするプロトン伝導性電解質膜の製造方法である。
また、請求項17に記載の発明は、前記金属リン酸塩が下記式(1)で表される化合物からなることを特徴とする請求項16に記載のプロトン伝導性電解質膜の製造方法である。
1−x ・・・(1)
(ここで、M,Nは金属元素、Xは0≦X<0.5であり、MがZr,Cs,Sn,Ti,Si,Ge,Pb,Ca,Mg及びAlの群から選ばれる1種であり、NがAl,In,B,Ga,Sc,Yb,Ce,La及びSbの群から選ばれる1種である。)
また、請求項18に記載の発明は、前記金属リン酸塩の前記M及び前記Nの原子数をそれぞれ[M]及び[N]、前記金属リン酸塩及び前記リン酸類のリンの原子数の合計を[P]として、[M],[N]及び[P]の関係が下記式(2)で表されることを特徴とする請求項17に記載のプロトン伝導性電解質膜の製造方法である。
2< [P]/([M]+[N]) ≦ 4 ・・・(2)
また、請求項19に記載の発明は、バインダーをさらに混合して前記ペーストを作製することを特徴とする請求項16〜18のいずれか1項に記載のプロトン伝導性電解質膜の製造方法である。
また、請求項20に記載の発明は、前記キャスト基材は、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリイミドフィルム及び金属箔のいずれか1種からなることを特徴とする請求項16〜19のいずれか1項に記載のプロトン伝導性電解質膜の製造方法である。
本発明によれば、再現性にすぐれ、良好な成形性を有し、無加湿状態で高いプロトン伝導性を有するプロトン伝導性電解質、プロトン伝導性電解質膜、燃料電池及びプロトン伝導性電解質膜の製造方法を提供することができる。
本発明の第3の実施の形態に係る燃料電池の模式的断面図。 本発明の実施例における金属リン酸塩のX線回折チャート図。
以下、本発明の第1乃至第3の実施の形態を説明する。以下に示す第1乃至第3の実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための材料や製造方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、材料や製造方法等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
[第1の実施の形態]
(プロトン伝導性電解質)
本発明の第1の実施の形態に係るプロトン伝導性電解質は、金属リン酸塩とリン酸類で構成されており、金属リン酸塩がリン酸類と架橋されて構成される。
本実施の形態において、リン酸類(以下、単に「リン酸」ともいう。)とは、オルトリン酸及びリン酸縮合体をいい、リン酸縮合体としては、ピロリン酸,トリリン酸,メタリン酸(ポリリン酸)等が挙げられる。
本実施の形態に係る金属リン酸塩としては、オルトリン酸塩,ピロリン酸塩等の化合物を挙げることができる。具体的には、リン酸スズ,リン酸ジルコニウム,リン酸セシウム等を挙げることができる。好ましくは、スズやセシウム等の金属の一部がインジウム,アルミニウム,アンチモン等のドーピング金属元素で置換されたピロリン酸塩であるのが良い。
本実施の形態において、金属リン酸塩は、下記式(1)で表される化合物で構成されるのが好ましい。
1−x ・・・(1)
(ここで、M,Nは金属元素、Xは0≦X<0.5であり、MはZr,Cs,Sn,Ti,Si,Ge,Pb,Ca,Mg及びAlの群から選ばれる1種であり、Nはドーピング金属元素であり、Al,In,B,Ga,Sc,Yb,Ce,La及びSbの群から選ばれる1種である。)
本実施の形態に係る金属リン酸塩は、1種以上の金属酸化物とリン酸を加熱して、熱処理することにより合成することができる。
金属酸化物としては、リン酸と結晶性塩を生成可能なものであれば、特に限定されない。例えば、以下の金属元素からなる酸化物を挙げることができる。すなわち、Zr,Cs,Sn,Ti,Si,Ge,Pb,Ca,Mg及びAl等の金属元素である。
上記金属を主金属として、主金属と異なる金属をドープしてもよい。ドープ金属を用いた場合、上記主金属のうちリン酸塩としての安定性の点から、Sn,Cs,Ti及びZrを用いるのが望ましい。
ドープ金属としては、例えば、Snを主金属として用いた場合、主金属と固溶可能なものであることから、In,Alが好適である。主金属とドープ金属の配合比率は固溶限界により異なるがSnを主金属、Inをドープ金属として用いる場合、例えば、Sn:In=7:3〜9.8:0.2の範囲が望ましい。
本実施の形態に係るプロトン伝導性電解質は、金属リン酸塩の金属元素及びドープされる金属元素の原子数をそれぞれ[M]及び[N]、金属リン酸塩のリンの原子数とリン酸のリンの原子数の合計を[P]とした場合、下記式(2)を満たすことが好ましい。
2<[P]/([M]+[N])≦4 ・・・(2)
より好ましくは、下記式(3)を満たすことが好ましい。
2.4≦[P]/([M]+[N])≦3.2 ・・・(3)
上記式(2)を満たすことにより、高いプロトン伝導性が得られるとともに、成形性が良好なものとなる。上記式[P]/([M]+[N])の値が、2以下であると、金属リン酸塩上のリン酸量が少なくなり、プロトン伝導性が向上しない。一方、4を超えると、リン酸量が多すぎて大気中の水分の吸湿が高く成形体が脆くなるので形状が維持できないおそれがある。
(プロトン伝導性電解質の製造方法)
本実施の形態に係るプロトン伝導性電解質の製造方法は、金属リン酸塩とリン酸類を混合する工程と、混合した金属リン酸塩とリン酸類を、一軸成形により打錠成形を行った後、又はセラミックス多孔質体の容器に充填若しくはハニカム体に充填した後、熱処理する工程とを備える。以下、詳細に説明をする。
(a)まず、金属リン酸塩を以下のようにして、作製する。
スズ等の主金属及びインジウム等のドーピング金属を含む、それぞれの金属酸化物、金属水酸化物、金属塩化物、或いは金属硝酸化物等と液体リン酸を所定のモル数で配合する。次いで、これに水を加えて、温度、約100〜300℃程度で、約1〜3時間程度スターラー等を用いて攪拌して分散させる。この分散液を坩堝に入れて、例えば、約300〜700℃程度の温度で焼成する。焼成する時間は、例えば、約1〜3時間程度である。上記高温状態ではリン酸が消失するおそれがあるため、液体リン酸のモル数は大目、例えば、モル当量の約1.1〜1.5倍程度加えるのが望ましい。
焼成時におけるリン酸消失の問題を回避するため、液体リン酸に代えて固体リン酸を用いても良い。固体リン酸を用いる場合は、例えば、リン酸1水素アンモニウム、リン酸2水素アンモニウム等を用いて、スズ等の主金属及びインジウム等のドーピング金属を含む、それぞれの金属酸化物とを所定のモル数で混合する。金属酸化物は、主金属を含む酸化物とドーピング金属を含む酸化物が、主金属とドーピング金属のモル比を、例えば、約9:1〜1:1にして混合されたものがよい。これらを坩堝に投入し、例えば、約300〜700℃程度の温度で、約1〜3時間程度で焼成する。次いで、焼成で得られた生成物をめのう鉢で粉砕して、所望の金属リン酸塩を得ることができる。
固体リン酸を用いることにより、モル当量のリン酸が、金属酸化物と反応し、余剰物は高温により揮発するため余剰のリン酸が付着せず再現性の良い金属リン酸塩を得ることができる。
また、共沈法で作製することも可能である。例えば、塩化スズ5水和物(SnCl4・5H2O)及び塩化インジウム4水和物(InCl3・4H2O)を、約9:1のモル比となるよう所定濃度の水溶液を調整した後、スターラーで攪拌し、アンモニア水溶液をpH7になるまで滴下することにより水酸化スズ(Sn(OH)4)及び水酸化インジウム(In(OH)3)を得る。その後、沈殿物を吸引・濾過し乾燥させ、上記水酸化塩とリン酸を混合し、約200℃、約2時間熱処理を行うことにより、金属リン酸塩を得ることができる。最後に脱イオン水で洗浄を行う。共沈法によれば、所望の複数の金属イオンを含む溶液から複数種類の難溶性塩を同時に沈殿させることで、インジウムをリン酸スズに均一にドープした粉体を調整することができる。
(b)次に、上記金属リン酸塩とリン酸とからプロトン伝導性電解質を作製する。
金属リン酸塩とリン酸を所定の配合量で混合し、よく混錬した後、混合した金属リン酸塩とリン酸類を、一軸成形により打錠した後又はセラミックス多孔質体の容器に充填した後若しくはハニカム体に充填した後、熱処理を行うことにより、プロトン伝導性電解質が得られる。
打錠により成形する場合、打錠成形体を作製するための打錠治具の材質としては、電解質に圧力を加えて、所望の厚み・大きさに打錠することができる治具であれば、特に限定されないが、耐酸性・耐圧性に優れたものであるのが好ましい。このようなものとしては、例えば、ステンレススチール(SUS)、超硬ダイズ等が用いられる。このうち、特に耐圧性が高い点より超硬ダイズが望ましい。また打錠治具としては、市販されている打錠成形用治具を用いて良い。
セラミックス多孔質体の容器に充填して成形する場合、電解質を充填する多孔質体としては、電解質を充填することがきるものであれば、特に限定されないが、耐酸性・耐圧性に優れたものであるのが好ましい。このようなものとしては、例えば、セラミックス多孔質体、ハニカム体等が用いられる。
セラミックス多孔質体若しくはハニカム体に電解質を充填する手法としては、電解質を充填することができる手法であれば、特に限定されないが、より緻密に充填することのできる手法であるのが好ましい。このような方法としては、例えば、直径5cm、高さ1cm、ハニカムの内径が5mmの円筒形のハニカム体に金属リン酸塩とリン酸の混合体を100%完全に充填を行い、さらに余剰の金属リン酸塩とリン酸の混合体を、ハニカム体と共にナイロンパウチに入れた状態でヒートシールを行って密閉し、静水圧プレス(SIP)を約2t/cmの圧力で行う。その後、金属リン酸塩とリン酸の混合体が充填されたハニカム体を取り出し、ハニカム体の外部に付着した電解質を取り除く。次いで、これらを熱処理することにより、粉体がより緻密に充填されたプロトン伝導性電解質を得ることができる。
熱処理においては、熱処理温度は、例えば、約50〜300℃程度、好ましくは約100〜250℃であるのがよい。熱処理温度が、約50℃程度より低いとリン酸中に含まれる水が除去できず、約300℃程度を超えるとリン酸が揮発するため好ましくない。また、熱処理時間は、例えば、約10分〜5時間程度、好ましくは約10分〜3時間程度である。
金属リン酸塩とリン酸類の配合量は質量比で5:0.2〜5:2、好ましくは5:0.3〜5:1.2、より好ましくは5:0.8〜5:1、最も好ましくは5:0.9になるように調整する。
上記熱処理により、リン酸に含まれる水を揮発させるとともに、金属リン酸塩上のオルトリン酸が縮合してピロリン酸或いはメタリン酸等が生成される。そして、このピロリン酸等と金属リン酸塩が架橋されることにより金属リン酸塩周辺にリン酸とのネットワークが形成され、電荷を有するリン酸が高密度に集積することにより良好なプロトン伝導性が発現するとともに、電解質の強度が増大するものと考えられる。
上記熱処理により得られたプロトン伝導性電解質は、打錠成形体やセラミックス多孔質体、ハニカム体などの容器に充填されたまま、両側に電極をつけることで燃料電池の電解質として使用することが可能である。
また、得られたプロトン伝導性電解質を粉砕し、電解質膜を構成する材料として用いても良い。
本実施の形態によれば、再現性にすぐれ、良好な成形性を有し、無加湿状態で高いプロトン伝導性を有するプロトン伝導性電解質を提供することができる。
[第2の実施の形態]
(プロトン伝導性電解質膜)
本発明の第2の実施の形態に係るプロトン伝導性電解質膜は、第1の実施の形態に記載のプロトン伝導性電解質で構成される。
本実施の形態に係るプロトン伝導性電解質膜は、その厚みは限定的でないが、通常約20〜1000μm程度、強度の点から、好ましくは、約30〜300μm程度であるのがよい。
プロトン伝導性電解質膜を構成する金属リン酸塩は、バインダーを含有してもよい。金属リン酸塩にバインダーを添加してペースト化したものをキャスト成形することにより、機械強度にすぐれた電解質膜を得ることができる。
キャスト基材としては、電解質ペーストを塗工する支持体であれば、特に限定されないが、耐酸性・耐熱性に優れたものであるのが好ましい。このようなものとしては、例えば、ポリエステル、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルム、金属箔等が用いられる。このうち、後述する電解質膜の製造工程における寸法安定性、剥離性の点よりPTFE、ポリイミド、金属箔が望ましい。また、電解質膜への剥離性を向上させるため、離型層・剥離層などを設けても良い。
使用するバインダーは、例えば、pHが約1〜3程度における耐酸性、温度が約100〜200℃程度における耐熱性を有するものが好ましい。また、プロトン伝導性を有していても良い。
このようなバインダーとして、フッ素系又は炭化水素系ポリマー、フッ素系又は炭化水 素系イオノマーであることが好ましい。
フッ素系ポリマーとしては、テトラフルオロエチレン(PTFE),ポリフッ化ビニリデン,四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP),四フッ化エチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等のフッ素樹脂等を用いることができる。
炭化水素系ポリマーとしては炭化水素系化合物を主骨格とする高分子であって、ポリイ ミド,ポリアミドイミド,ポリスチレンスルファイド,ポリベンズイミダゾール系,ポリピリジン,ポリピリミジン,ポリイミダゾ−ル,ポリベンゾチアゾール,ポリベンゾオキザゾール,ポリオキサジアゾ−ル,ポリキリノン,ポリキノキサリン,ポリチアジアゾ−ル,ポリテトラザビレン,ポリオキサゾ−ル,ポリチアゾール,ポリビニールピリジン及びポリビニールイミダゾール等が挙げられる。
フッ素系イオノマーとしては、デュポン社のNafion(登録商標)、旭硝子社のフレミオン(登録商標)、旭化成社のアシプレックス(登録商標)のようなパーフルオロスルホン酸系、アクイヴィオン(登録商標)のようなスルホニルフロリドビニルエーテル(SFVE)−テトラフルオロエチレン共重合体 が挙げられる。
炭化水素系イオノマーとしては、ポリアリーレンエーテルスルホン酸,ポリスチレンスルホン酸,シンジオタクチックポリスチレンスルホン酸,ポリフェニレンエーテルスルホン酸,変性ポリフェニレンエーテルスルホン酸,ポリエーテルスルホンスルホン酸,ポリエーテルエーテルケトンスルホン酸,及びポリフェニレンサルファイドスルホン酸等を挙げることができる。
また、バインダーは、イオン性液体であってもよい。イオン性液体としては、プロトン伝導性を妨げない限り、特に限定されないが、例えば、フルオロハイドイロジェネート型イオン液体,ジエチルメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸系イオン液体等を挙げることができる。
また、バインダーは、セルロース系ポリマーであってもよい。セルロース系ポリマーとしては、メチルセルロース,カルボキシメチルセルロース,酢酸セルロース等を挙げることができる。
上述したバインダーは、1種類のみを用いてもよいし、複数の種類を使用してもよい。
これらのバインダーの中でも、耐久性・結着性の点よりPTFE,ポリフッ化ビニリデン,パーフルオロスルホン酸,酢酸セルロース,スルホニルフロリドビニルエーテル(SFVE)−テトラフルオロエチレン共重合体が好適に用いられる。
本実施の形態に係るプロトン伝導性電解質膜は、第1の実施の形態に記載の金属リン酸塩を用いて、これを粉体状にしてリン酸を加えてペースト状にし、このペーストをキャスト基材に塗工し、熱処理した後、キャスト基材より剥離してキャスト膜として製造することができる。
上記ペーストは、上記バインダーの溶液もしくはディスパージョンに溶剤を加えて作製してもよい。溶媒は、バインダーを凝集させないものが用いられる。具体的には水,エタノール,メタノール,1−ブタノール,t−ブタノール,プロパノール,N−メチルピロリドン,ジメチルアセトアミド等を挙げることができる。
次いで、これらを分散機で混合・分散して電解質ペーストを得る。分散機としては、超音波分散機,ホモゲナイザー,遊星ボールミル等を用いることができる。
また、金属リン酸塩とリン酸を混合し熱処理を行い、この熱処理を行った金属リン酸塩とリン酸の混合物に上記バインダーを添加して上記ペーストを作製してもよい。
熱処理温度は、溶剤を除去し、複合リン酸塩の形成を促進するため、例えば、約50〜300℃程度、好ましくは約100〜250℃であるのがよい。熱処理温度が、約50℃程度より低いとリン酸中に含まれる水が除去できず、約300℃程度を超えるとリン酸が揮発するため好ましくない。また、熱処理時間は、例えば、約10分〜5時間程度、好ましくは約10分〜3時間程度である。
金属リン酸塩とリン酸類の配合量は質量比で5:0.2〜5:2、好ましくは5:0.3〜5:1.2、より好ましくは5:0.8〜5:1、最も好ましくは5:0.9になるように調整する。
上記熱処理を行った金属リン酸とリン酸の混合物を用いてペーストを作製する場合、ペースト作成後、熱処理を行わず乾燥のみでもよい。乾燥方法としては、電解質膜中に含まれる溶媒成分を除去することができるものであれば、特に限定されない。このような方法としては、例えば、赤外線,真空,風乾,高周波電磁波等による乾燥が挙げられる。
本実施の形態によれば、再現性にすぐれ、良好な成形性を有し、無加湿状態で高いプロトン伝導性を有するプロトン伝導性電解質膜を提供することができる。
[第3の実施の形態]
(燃料電池)
本発明の第3の実施の形態に係る燃料電池10は、図1に示すように、プロトン伝導性電解質膜1と、一対の触媒電極2,3と、一対のセパレータ4,5とを備える。プロトン伝導性電解質膜1の両面に触媒電極2,3及びセパレータ4,5がそれぞれ順次積層されて構成される。
触媒電極2,3は、多孔質体などガス拡散性の導電材料で形成されており、燃料ガス、あるいは酸化剤ガスが流通できるようになっている。アノード側触媒電極2は、燃料極であり、カソード側触媒電極3は、酸化剤極である。燃料極には水素の酸化反応を促進する触媒金属が付着されており、酸化剤極には酸素の還元反応を促進する触媒金属が付着している。なお、触媒電極2,3は、ガス拡散層と触媒層の2層から構成されていてもよい。
セパレータ4は、燃料をアノード側触媒電極2に供給するためのものであり、燃料を流通するための燃料流路6を有する。一方、セパレータ5は、酸化剤ガスをカソード側触媒電極3に供給するためのものであり、酸化剤ガスを流通するための酸化剤ガス流路7を有する。
セパレータ4,5の材質としては、燃料電池10内の環境においても安定な導電性を有するものであればよい。一般的には、カーボン板に流路を形成したものが用いられる。また、セパレータ4,5は、ステンレススチール等の金属により構成し、その金属の表面にクロム,白金族金属又はその酸化物,導電性ポリマーなどの導電性材料からなる被膜を形成したものであってもよい。
なお、セパレータ4,5は、燃料電池10を複数個積層して構成した燃料電池に用いる場合、集電体としての機能を有することができる。
(動作原理)
燃料流路6に水素ガスあるいはメタノールなどの水素供給可能な燃料が、アノード側触媒電極2に供給され、この燃料からプロトン(H)と電子(e)が生成される。生成されたプロトンはプロトン伝導性電解質膜1によってカソード側触媒電極3へと搬送される。一方、酸化剤ガス流路7には空気あるいは酸素ガス等の酸化剤ガスがカソード側触媒電極3に供給され、プロトン伝導性電解質膜1によって搬送されてきたプロトンと外部回路8からくる電子及び酸化剤ガスとが反応して水が生成される。このようにして燃料電池として機能する。
本実施の形態に係る燃料電池10は、公知の技術を用いて、プロトン伝導性電解質膜1の両面に触媒電極2,3及びセパレータ4,5を順次積層することにより、図1に示す燃料電池10を製造することができる。
本実施の形態によれば、再現性にすぐれ、良好な成形性を有し、無加湿状態で高いプロトン伝導性を有するプロトン伝導性電解質膜1を用いるので、安定性に優れ、高性能な燃料電池10を提供することができる。
以下において、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更実施可能である。
[実施例1]
まず、金属リン酸塩を以下のようにして作製した。酸化スズ(SnO:Nano Tec社製)13.56g(0.09モル)及び酸化インジウム(In:ナカライテスク社製)1.40g(0.0050モル)にリン酸水素2アンモニウム(ナカライテスク社製)27.99g(0.212モル)を加え、これらを薬さじで混合した。
得られた混合物を坩堝に投入し、約650℃で、約2時間程度焼成し、焼結後得られた生成物をめのうばちで粉砕し金属リン酸塩(サンプルA)を得た。
次に、金属リン酸塩(サンプルA)5gに85%リン酸水溶液0.9gを加えて、よく混練しフィルム状に圧延成形した後、約160℃、約30分程度で熱処理を行い、厚さ1mmのプロトン伝導性電解質膜1を得た。
[実施例2]
実施例1と同様の金属リン酸塩(サンプルA)5gに、85%リン酸水溶液0.9g、60%PTFEディスパージョン(ポリフロンD1-E:ダイキン工業社製)0.83g、及び水20gを加えて、分散機で分散し電解質ペーストを作製した。この電解質ペーストを厚み50μmのポリイミドフィルム(DuPont社製)上にブレードコーターで塗工し、約160℃、約30分程度、熱処理を行い厚み100μmのプロトン伝導性電解質膜1を得た。
[実施例3]
実施例1と同様の金属リン酸塩(サンプルA)5gに、85%リン酸水溶液0.9g、20%Nafion溶液(DE2020CS:DuPont社製)1.0g、及び水20gを加えて、分散機で分散し電解質ペーストを作製した。この電解質ペーストを厚み50μmのポリイミドフィルム(DuPont社製)上にブレードコーターで塗工し、約160℃、約30分程度、熱処理を行い厚み100μmのプロトン伝導性電解質膜1を得た。
[実施例4]
実施例1と同様の金属リン酸塩(サンプルA)5gに、85%リン酸水溶液0.9gを加え、これらを薬さじで混合した。得られた混合物を坩堝に投入し、約160℃で約30分程度焼成し、焼結後得られた生成物をめのう鉢で粉砕し金属リン酸塩と液体リン酸の焼成物を得た。
次に、上記金属リン酸塩と液体リン酸の焼成物5gに、バインダー(酢酸セルロース)4g、溶媒(NMP)3gを混合し分散機で約24時間分散し電解質膜ペーストを作製した。この電解質ペーストを厚み50μmのポリイミドフィルム(Dupont社製)上にブレードコーターで塗工し、約200℃、約30分程度、熱処理を行い厚み100μmのプロトン伝導性電解質膜1を得た。
[実施例5]
実施例1と同様の金属リン酸塩(サンプルA)5gに、85%リン酸水溶液0.9gを加え、これらを薬さじで混合した。得られた混合物を坩堝に投入し、約160℃で約30分程度焼成し、焼結後得られた生成物をめのう鉢で粉砕し金属リン酸塩と液体リン酸の焼成物を得た。
次に、上記金属リン酸塩と液体リン酸の焼成物5gに、バインダー(酢酸セルロース)4g、溶媒(NMP)3gを混合し分散機で約24時間分散し電解質膜ペーストを作製した。この電解質ペーストを厚み50μmのポリイミドフィルム(Dupont社製)上にブレードコーターで塗工し、真空乾燥を行い厚み100μmのプロトン伝導性電解質膜を得た。
[比較例1]
酸化スズ(SnO:Nano Tec社製)16.96g(0.11モル)、酸化インジウム(In:ナカライテスク社製)1.74g(0.0063モル)、85%リン酸水溶液(ナカライテスク社製)40.45g(0.35モル)に蒸留水20gを加え、約200℃で、約2時間スターラーで攪拌した。
得られた攪拌液を坩堝に投入し、約650℃で、約2時間程度焼成し、焼結後得られた生成物をめのうばちで粉砕し金属リン酸塩(サンプルB)を得た。
次に、この金属リン酸塩(サンプルB)を圧延成形して、厚さ1mmのプロトン伝導性電解質膜1を得た。
[比較例2]
実施例1と同様の金属リン酸塩(サンプルA)5gに、85%リン酸水溶液0.9gを加えて混合した後、これを圧延成形して厚さ1mmのプロトン伝導性電解質膜1を得た。
[比較例3]
実施例1と同様の金属リン酸塩(サンプルA)5gに、蒸留水20gを加えて混合した後、これを圧延成形して厚さ1mmのプロトン伝導性電解質膜1を得た。
[比較例4]
実施例1と同様の金属リン酸塩(サンプルA)5gに、60%PTFEディスパージョン(ポリフロンD1-E:ダイキン工業社製)0.83g、及び水20gを加えて、分散機で分散し電解質ペーストを作製した。この電解質ペーストを厚み50μmのポリイミドフィルム(DuPont社製)上にブレードコーターで塗工し、約160℃、約30分程度、熱処理を行い厚み100μmのプロトン伝導性電解質膜1を得た。
(結晶分析)
実施例1〜5、比較例1〜4で得られた金属リン酸塩(サンプルA,B)の結晶構造について、それぞれX線回折分析装置(XRD:X-ray diffraction Analysis)を用いて、表1に示す測定条件にてX線回折分析を行った。図2に、サンプルA及びB、並びにインジウムムドープ金属リン酸塩の標準物質のX線回折チャート図を示した。なお、標準物質は、市販された試料(Sn0.9In0.1)である。この分析によりサンプルA及びBがSn0.9In0.1であることが確認できた。
Figure 2010108923
(元素分析)
実施例1〜5、比較例1〜4で得られたプロトン伝導性電解質膜1について、それぞれ蛍光X線分析装置(XRF:X‐ray Fluorescence Analysis)(RIX−3100:理学電機工業社製)を用いて、元素分析を行った。
XRFの測定条件として、上記プロトン伝導性電解質膜1の測定径を30mmφ、測定雰囲気を13Paの真空状態、測定元素は、B(ボロン)から原子番号順にU(ウラン)までの元素を対象とした。
上記条件にて検出された元素のうちSn、In及びPの検出結果から、[P]/([M]+[N])の値を得た。結果を表2に示した。
(プロトン伝導度測定)
実施例1〜5、比較例1〜4で得られたプロトン伝導性電解質膜1について、プロトン伝導度を以下の方法により測定した。上記プロトン伝導性電解質膜1を直径2.2cmのディスク状に切り抜き、取り出しを設けた同形状の金電極を上下に当接しガラス板で固定した。電気化学測定装置(12528WB型:Solartron社)で交流インピーダンス負荷を行い、温度が120℃及び200℃の場合で、かつ無加湿環境下でのプロトン伝導度を測定した。結果を表2に示した。
Figure 2010108923
表2に示すように、本発明の範囲内にある実施例1〜5では、120℃及び200℃の無加湿状態において良好なプロトン伝導度を示した。
これに対して、比較例1及び2では、金属リン酸塩及びリン酸を熱処理しなかったため、リン酸の金属リン酸塩表面への付着が十分でなく、上記実施例に比べて、低いプロトン伝導度を示した。また、比較例3及び4では、金属リン酸塩の表面にリン酸がないため、プロトン伝導度は極端に低下した。
以上のことから、本発明によるプロトン伝導性電解質は、再現性にすぐれ、良好な成形性を有し、無加湿状態で高いプロトン伝導性を有することがわかった。
本発明は、プロトン伝導性電解質に関連した技術分野に好適に適用され得る。
1・・・プロトン伝導性電解質膜
2・・・触媒電極(アノード側)
3・・・触媒電極(カソード側)
4・・・セパレータ(アノード側)
5・・・セパレータ(カソード側)
6・・・燃料流路
7・・・酸化剤ガス流路
8・・・外部回路
10・・燃料電池

Claims (20)

  1. 金属リン酸塩とリン酸類で構成されており、前記金属リン酸塩と前記リン酸類が架橋されていることを特徴とするプロトン伝導性電解質。
  2. 前記金属リン酸塩は、下記式(1)で表される化合物からなることを特徴とする請求項1に記載のプロトン伝導性電解質。
    1−x ・・・(1)
    (ここで、M,Nは金属元素、Xは0≦X<0.5であり、MがZr,Cs,Sn,Ti,Si,Ge,Pb,Ca,Mg及びAlの群から選ばれる1種であり、NがAl,In,B,Ga,Sc,Yb,Ce,La及びSbの群から選ばれる1種である。)
  3. 前記MがSn又はCsであることを特徴とする請求項2に記載のプロトン伝導性電解質。
  4. 前記NがIn又はAlであることを特徴とする請求項2又は3に記載のプロトン伝導性電解質。
  5. 前記金属リン酸塩の前記M及び前記Nの原子数をそれぞれ[M]及び[N]、前記金属リン酸塩及びリン酸類のリンの原子数の合計を[P]として、[M],[N]及び[P]の関係が下記式(2)で表されることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のプロトン伝導性電解質。
    2< [P]/([M]+[N]) ≦ 4 ・・・(2)
  6. 前記[M],[N]及び[P]の関係が下記式(3)で表されることを特徴とする請求項5に記載のプロトン伝導性電解質。
    2.4≦ [P]/([M]+[N]) ≦ 3.2 ・・・(3)
  7. 前記金属リン酸塩は、酸化スズとリン酸水素アンモニウムを用いて製造されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のプロトン伝導性電解質。
  8. 前記金属リン酸塩は、共沈法を用いて製造されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のプロトン伝導性電解質。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のプロトン伝導性電解質で構成されたことを特徴とするプロトン伝導性電解質膜。
  10. バインダーをさらに含有することを特徴とする請求項9に記載のプロトン伝導性電解質膜。
  11. 前記バインダーが、フッ素系又は炭化水素系ポリマーであることを特徴とする請求項10に記載のプロトン伝導性電解質膜。
  12. 前記バインダーが、フッ素系又は炭化水素系イオノマーであることを特徴とする請求項10に記載のプロトン伝導性電解質膜。
  13. 前記バインダーが、イオン性液体であることを特徴とする請求項10に記載のプロトン伝導性電解質膜。
  14. 前記バインダーが、セルロース系ポリマーであることを特徴とする請求項10に記載のプロトン伝導性電解質膜。
  15. 請求項9〜14のいずれか1項に記載のプロトン伝導性電解質膜と、
    一対の触媒電極と、
    一対のセパレータと
    を備え、前記プロトン伝導性電解質膜の両面に前記触媒電極及び前記セパレータがそれぞれ順次積層されたことを特徴とする燃料電池。
  16. 金属リン酸塩とリン酸類を混合してペーストを作製する第1工程と、
    前記ペーストをキャスト基材上に塗布して成形する第2工程と
    を備え、前記第1工程及び/又は前記第2工程において熱処理を行なうことを特徴とするプロトン伝導性電解質膜の製造方法。
  17. 前記金属リン酸塩が下記式(1)で表される化合物からなることを特徴とする請求項16に記載のプロトン伝導性電解質膜の製造方法。
    1−x ・・・(1)
    (ここで、M,Nは金属元素、Xは0≦X<0.5であり、MがZr,Cs,Sn,Ti,Si,Ge,Pb,Ca,Mg及びAlの群から選ばれる1種であり、NがAl,In,B,Ga,Sc,Yb,Ce,La及びSbの群から選ばれる1種である。)
  18. 前記金属リン酸塩の前記M及び前記Nの原子数をそれぞれ[M]及び[N]、前記金属リン酸塩及び前記リン酸類のリンの原子数の合計を[P]として、[M],[N]及び[P]の関係が下記式(2)で表されることを特徴とする請求項17に記載のプロトン伝導性電解質膜の製造方法。
    2< [P]/([M]+[N]) ≦ 4 ・・・(2)
  19. バインダーをさらに混合して前記ペーストを作製することを特徴とする請求項16〜18のいずれか1項に記載のプロトン伝導性電解質膜の製造方法。
  20. 前記キャスト基材は、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリイミドフィルム及び金属箔のいずれか1種からなることを特徴とする請求項16〜19のいずれか1項に記載のプロトン伝導性電解質膜の製造方法。
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