以下に、図1から図5を参照して、本発明の電子機器の第1の実施形態について説明する。
図1と図3に示すように、電子機器11は、情報処理装置と、情報処理装置が接続されるドッキング装置12と、を有している。情報処理装置の一例として、本実施形態では、ノートブック型のポータブルコンピュータ13を開示している。さらに、電子機器11は、ドッキング装置12の第1のプリント回路板14とポータブルコンピュータ13の第2のプリント回路板15とを接続するスタッキングコネクタ16を有している。詳細は後述するが、スタッキングコネクタ16は、ドッキング装置12に含まれる第1のコネクタ17と、ポータブルコンピュータ13に含まれる第2のコネクタ18と、を有している。
ドッキング装置12は、ポータブルコンピュータ13を例えば外部キーボード、プリンタ、外部モニターのような外部周辺機器に接続する際に使用するものである。ドッキング装置12は、例えば合成樹脂によって扁平な箱状に形成されたケース21と、ケース21の内部に収容される第1のプリント回路板14と、第1のプリント回路板14の1つの面に実装される第1のコネクタ17と、を有している。ケース21は、その上面に、ポータブルコンピュータ13が置かれる平坦な載置面21Aを有している。ドッキング装置12は、ポータブルコンピュータ13をロックして保持するための図示しない保持機構と、保持機構によるロックを解除する解除レバー22と、を有している。
ポータブルコンピュータ13は、本体ユニット25と、表示ユニット26と、本体ユニット25と表示ユニット26との間に設けられるヒンジ部27とを備えている。ヒンジ部27は、本体ユニット25に対して、表示ユニット26を回動可能に支持している。すなわち、表示ユニット26は、図1に示すように、本体ユニット25に対して閉じている第1の状態と、図示省略したが、本体ユニット25に対して開いている第2の状態との間で回動できるようになっている。
表示ユニット26は、液晶ディスプレイ28と、液晶ディスプレイ28の周囲を覆うカバー29と、を備えている。
図2と図3に示すように、本体ユニット25は、筐体30と、筐体30の上面に設けられたキーボードと、筐体30の内部に収容された第2のプリント回路板15と、第2のプリント回路板15の1つの面に実装される第2のコネクタ18と、第2のコネクタ18を外部に露出するように筐体30に設けられる開口部31と、開口部31に開閉自在に設けられるシャッター32と、外部接続用のUSBコネクタ43を備えている。筐体30は、例えば、合成樹脂によって形成されている。
図3に示すように、第2のプリント回路板15は、第1のプリント回路板14とは独立に設けられている。図2に示すように、第2のプリント回路板15は、基板本体35と、基板本体35に実装される回路部品であるCPU(central processing unit) 36、ノースブリッジ37、グラフィックチップ38、RAM(random access memory) 39と、を有している。図2において、矢印Fは、ポータブルコンピュータ13の前方向を示しており、矢印Rは、ポータブルコンピュータ13の後方向を示している。すなわち、本体ユニット25は、後方向Rに寄った位置に、第2のコネクタ18を有している。
本体ユニット25は、さらに、CPU36、ノースブリッジ37、グラフィックチップ38を冷却するためのファンユニット40などを有している。CPU36、ノースブリッジ37、グラフィックチップ38から放出される熱は、図示しないヒートパイプを介してファンユニット40の近傍まで伝達され、ファンユニット40からの送風によって、貫通孔41から筐体30の外部に排出される。基板本体35は、ねじ42を介して筐体30に固定されている。
スタッキングコネクタ16は、高速伝送用のインターフェース規格、例えば、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)等のインターフェース規格に対応している。 なお、スタッキングコネクタ16は、HDMIに対応するものに限定されるものではなく、例えば、DVI(Digital Visual Interface)、USB2.0、D−sub、およびIEEE1394といった他のインターフェース規格に対応するものであってもよい。
第1のコネクタ17と、第1のコネクタ17に差し込まれる第2のコネクタ18とは、端子がプリント回路板を貫通しない、いわゆるSMT(Surface Mount Technology)型のコネクタである。図4に示すように、第1のコネクタ17は、扁平な平板状をなした複数の第1の端子45と、複数の第1の端子45の周囲を取り囲むように支持する第1のモールド本体46と、第1のモールド本体46の周囲を取り囲むように覆う第1のシェル47と、を有している。第1のシェル47は、例えば、銅、リン青銅、ステンレスなどの金属材料によって形成されており、例えば、外部への電磁波の漏洩を防止する役割を果たす。
第1のモールド本体46は、例えば、合成樹脂によって形成されている。第1のモールド本体46は、第2のコネクタ18に向けて突出するプラグ状の凸部を有するプラグモールド48と、プラグモールド48に隣接して設けられる板状の高さ調整モールド49と、を有している。
第1の端子45は、ドッキング装置12の第1のプリント回路板14と半田50で接続される第1の部分54と、第2のコネクタ18と直接接触する第2の部分55と、を有している。第2の部分55は、第1の部分54に対してスライド移動可能であり、第1の端子45は、第2のコネクタ18が差し込まれる差込方向Dにおいて伸縮可能になっている。
第1の部分54は、第1のコネクタ17の底部に設けられている。第1の部分54は、その先端部、つまり第2の部分55に対向している位置の端部に、第2の部分55との間の接続部となる第1の接続部54Aを有している。第1の接続部54Aは、例えば、ポンチ等を利用して第1の部分54に塑性加工で形成した凸部であり、第2の部分55に向けて第1の部分54から例えば半球形に突出している。
第2の部分55は、第2のコネクタ18が差し込まれる差込方向Dにおいて、第1の部分54と一部重複する第1の重複部56を有している。第2の部分55は、第1の部分54に対向している位置にある端部に第2の接続部55Aを有している。また、第2の部分55は、第2のコネクタ18の第2の端子57に対向している位置の端部に第4の接続部55Bを有している。第2の接続部55Aおよび第4の接続部55Bは、例えばポンチ等を利用して第2の部分55に塑性加工で形成した凸部である。第2の接続部55Aは、第1の部分54に向けて第2の部分55から例えば半球形に突出している。第4の接続部55Bは、第2の端子57に向けて第2の部分55から例えば半球形に突出する。
第1の接続部54Aは、第1の重複部56の差込方向Dにおける一方の端部に対応する位置に設けられている。また、第2の接続部55Aは、第1の重複部56の差込方向Dにおける一方の端部とは反対側の他方の端部に対応する位置に設けられている。第1のコネクタ17の第1の部分54と第2の部分55とは、第1の接続部54Aと、第2の接続部55Aと、の少なくとも2箇所で電気的に接続されている。
第2のコネクタ18は、扁平な平板状をなした複数の第2の端子57と、複数の第2の端子57の周囲を取り囲むように支持する第2のモールド本体61と、第2のモールド本体61の周囲を取り囲むように覆う第2のシェル62と、を有している。第2のシェル62は、例えば、銅、リン青銅、ステンレスなどの金属材料によって形成されている。第2のモールド本体61は、例えば、合成樹脂によって形成されている。
第2の端子57は、ポータブルコンピュータ13の第2のプリント回路板15と半田50で接続されている。また、第2のコネクタ18が第1のコネクタ17に差し込まれた状態において、第2の端子57は、第1の端子45の第2の部分55に接続される。第2の端子57は、差込方向Dにおいて第2の部分55と一部重複する第2の重複部63を有している。第2の端子57は、その先端部、つまり第2の部分55に対向する位置にある端部に第3の接続部57Aを有している。第3の接続部57Aは、例えば、ポンチ等を利用して第2の端子57に塑性加工で形成した凸部であり、第2の部分55に向けて第2の端子57から例えば半球形に突出する。
第3の接続部57Aは、第2の重複部63の差込方向における一方の端部に対応する位置に設けられている。第4の接続部55Bは、第2の重複部63の差込方向Dにおける一方の端部とは反対側の他方の端部に対応する位置に設けられている。第2のコネクタ18の第2の端子57と第1のコネクタ17の第2の部分55とは、第3の接続部57Aと、第4の接続部55Bと、の少なくとも2箇所で電気的に接続されている。
続いて、図4と図5を参照して、本実施形態のスタッキングコネクタ16の作用について説明する。図4に示すように、本実施形態において第1のプリント回路板14と第2のプリント回路板15との間の距離は、H1である。この状態においては、第1の端子45の第2の部分55が第1の部分54に重なる第1の重複部56の寸法T1は、十分な大きさで確保されている。また、高さ調整モールド49は薄手になっており、その厚み寸法はV1になっている。
この電子機器11において、設計変更等があった場合に、例えば、図5に示すように、第1のプリント回路板14と第2のプリント回路板15との間の距離がH1よりも大きいH2になったとする。このとき、本実施形態のスタッキングコネクタ16は、第1の端子45が伸びることによって、このような設計変更に柔軟に対応する。すなわちこの状態では、第1の端子45の第2の部分55が第1の部分54と重なる第1の重複部56の寸法T2は、T1よりも小さくなる。
一方、第1のコネクタ17のプラグモールド48および第1のシェル47、第2のコネクタ18の第2の端子57、第2のモールド本体61、および第2のシェル62は、第1のプリント回路板14と第2のプリント回路板15との間の距離に変更があった場合にも、引き続き使用することができる。高さ調整モールド49に関しては、厚み寸法がV1よりも大きいV2になったものに交換される。よって、高さ調整モールド49を交換するだけで、第1のプリント回路板14と第2のプリント回路板15との間の距離に変更があった場合にも対応することができる。
第1の実施形態によれば、電子機器11は、第1のプリント回路板14と、第1のプリント回路板14とは独立している第2のプリント回路板15と、第1のプリント回路板14と第2のプリント回路板15とを接続するスタッキングコネクタ16と、を具備し、スタッキングコネクタ16は、第1のコネクタ17と、第1のコネクタ17に差し込まれる第2のコネクタ18と、を具備し、第1のコネクタ17は、第2のコネクタ18が差し込まれる差込方向Dにおいて伸縮可能な第1の端子45と、第1の端子45の周囲を取り囲むモールド本体と、を有し、第1の端子45は、第1の部分54と、第1の部分54に対してスライド移動可能で、差込方向Dにおいて第1の部分54と一部重複する第1の重複部56を有して設けられるともに、第2のコネクタ18と直接接触する第2の部分55と、を含み、第1の部分54と第2の部分55とは、第1の重複部56の差込方向Dにおける一方の端部に設けられる第1の接続部54Aと、第1の重複部56の差込方向Dにおける一方の端部とは反対側の他方の端部に設けられる第2の接続部55Aと、の少なくとも2箇所で電気的に接続される。
この構成によれば、第1の端子45が第1の部分54と第2の部分55とを有して伸縮可能に設けられているため、第1のプリント回路板14と第2のプリント回路板15との間の距離に変更に柔軟に対応することができる。これによって、第1のプリント回路板14と第2のプリント回路板15との間の距離に変更があった場合でも、第1の端子45およびモールド本体を再設計する必要がなくなる。これによって、モールド本体用の金型の新規作成にかかる膨大な費用の発生を防止するとともに、設計変更にかかる工期の短縮を図ることができる。また、第1の重複部56の両端部において第1の部分54と第2の部分55とが電気的に接続されるため、第1の端子45において突出する部分を極力なくすことができる。これによって、高速伝送時にスタブとなる部分が形成されることを防いで、ノイズの発生を防止するとともに信号の伝送効率を向上できる。
また、第1の部分54は、第2の部分55に対向している位置にある端部に第1の接続部54Aを有し、第2の部分55は、第1の部分54に対向している位置にある端部に第2の接続部55Aを有する。この構成によれば、第1の部分54と第2の部分55との間の電気的な接続を第1の重複部56の両端部で確保し、且つ、第1の端子45全体として伸縮可能な構成を簡単に実現することができる。
さらに、第1の接続部54Aは、第2の部分55に向けて第1の部分54から突出した凸部であり、第2の接続部55Aは、第1の部分54に向けて第2の部分55から突出した凸部である。この構成によれば、第1の接続部54Aおよび第2の接続部55Aを簡単な構造で形成することができる。
この場合、第2のコネクタ18は、第1の端子45の第2の部分55に接続される第2の端子57を有し、第2の端子57は、差込方向Dにおいて第2の部分55と一部重複する第2の重複部63を有し、第2の端子57と第2の部分55とは、第2の重複部63の差込方向Dにおける一方の端部に設けられる第3の接続部57Aと、第2の重複部63の差込方向Dにおける一方の端部とは反対側の他方の端部に設けられる第4の接続部55Bと、の少なくとも2箇所で電気的に接続される。
この構成によれば、第3の接続部57Aおよび第4の接続部55Bを介して第2の重複部63の両端部で第1の端子45の第2の部分55と第2の端子57とが電気的に接続されるため、第2の部分55と第2の端子57との接続箇所においても「スタブ」が形成されることを防止できる。これによって、高速伝送時にさらにノイズの発生を低減して、効率よく信号の伝送を行うことができる。
また、第2の端子57は、第2の部分55に対向する位置にある端部に第3の接続部57Aを有し、第2の部分55は、第2の端子57に対向する位置にある端部に第4の接続部55Bを有する。この構成によれば、本実施形態の第1のコネクタ17および第2のコネクタ18など、抜き差しされる2つのコネクタ間の接続箇所において、第2の重複部63の両端部で電気的に接続する構成を簡単に実現できる。これによって、第1のコネクタ17と第2のコネクタ18との間の接続箇所において、「スタブ」が形成されることを防止して、信号の高速伝送を円滑に行うことができる。
なお、本実施形態では、スタッキングコネクタ16は、ドッキング装置12の第1のプリント回路板14とポータブルコンピュータ13の第2のプリント回路板15との接続に用いられているが、これに限定されるものではない。スタッキングコネクタ16は、ポータブルコンピュータ13の筐体30内に収容される2つのプリント回路板同士の接続に用いても良い。
本発明の電子機器は、ポータブルコンピュータに限らず、例えば携帯電話のようなその他の電子機器に対しても実施可能である。その他、電子機器は、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
11…電子機器、12…ドッキング装置、13…ポータブルコンピュータ、14…第1のプリント回路板、15…第2のプリント回路板、16…スタッキングコネクタ、17…第1のコネクタ、18…第2のコネクタ、45…第1の端子、46…第1のモールド本体、54…第1の部分、54A…第1の接続部、55…第2の部分、55A…第2の接続部、55B…第4の接続部、56…第1の重複部、57…第2の端子、57A…第3の接続部、61…第2のモールド本体、63…第2の重複部、D…差込方向