JP2010108767A - 燃料電池、これを用いた燃料電池システム、燃料電池システムの起動絵方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数の固体電解質型セルユニット11を互いに所定の間隙をもって積層した燃料電池スタック10をケース20に収容している燃料電池において、一方のガスをケース20内に導入するための第一のガス導入部30,30と、ケース20内に導入された一方のガスを排出するためのガス排出部40と、第一のガス導入部30,30からケース20内に導入した一方のガスを、燃料電池スタック10の外周部10aに沿って周回させ、かつ、その燃料電池スタック10の間隙を通じてガス排出部40に向けて誘導するためのガス誘導部材60,60と、温度調整用ガスをケース20内に導入するための第二のガス導入部50とをケース20に配設している。
【選択図】図1
Description
特許文献1に開示された燃料電池は、セルユニットを積層してなる燃料電池スタックを、ケースに収容したものであり、そのケースには、燃料電池スタックの放射熱で反応ガスを予熱する予熱空洞が設けられている。
燃料電池スタック10は、複数の固体電解質型セルユニット11…を互いに所定の間隙をもって積層してなるものであり、各燃料電池スタック10内外に、二種類のガスを互いに分離して流通させることによる発電を行えるようにしたものである。
「一方のガス」は、後述する一方のガス、及び起動用ガスとしての空気である。
ガス排出口40は、ケース20内に導入された一方のガスを排出するためのものである。
この第二のガス導入口50には、後記する流量調整器112に一端を連結した送給パイプ113の他端が連結されている。
また、改質器130とケース20との間にも送給パイプ131が配設されており、アノードに燃料ガスが送給されるようになっている。
流量調整器112は所謂方向制御弁であり、起動燃焼器110から送出された一方のガス(リーンガス)を改質器130又は第二のガス導入口50若しくはそれら双方に送給切り替えするとともに、その流量を増減調整できるものである。
また、コンプレッサ100から送給パイプ103を通じて第一のガス導入口30,30に送給されるものが一方のガス(室温の空気)である。
一方、出力側には、コンプレッサ100、起動燃焼器110、燃料ポンプ120、改質器130及び流量調整器112が接続されている。
(1)出力検知センサ151により、燃料電池A1の発電を検知したか否かを判定する機能。これを「出力判定手段140a」という。
「発電を検知」とは、メモリMに記憶した基準となる規定の電圧値又は電流値を超えたか否かによる。
具体的には、定格の温度よりも低い温度において燃料電池が発電可能となる状態である。
定格の温度以下でも起動中に燃料電池を発電させることにより、自己発熱により燃料電池を加熱することができる。
「混合ガスの温度が規定の温度となるように」とは、燃料電池A1が通常発電できる温度になるようにと同義である。
具体的には、一方のガスに対する温度調整用ガスの混合割合を増加させるように、流量調整器112を介して調整する。
(4)発電出力の増加分を算出する機能。これを「増加出力算出手段140d」という。
すなわち、燃料電池の自己発熱が開始された際には、その発熱量に応じてガスによる加熱(ガスにより供給する熱量)を減少していくことができる。その際に、一方のガスからの比較的低温なガス供給量(供給熱量)に対して、第二のガス導入口からの比較的高温な温度調整用ガスからの供給量(供給熱量)を減少していくことにより、燃料電池の加熱を行いながら、燃料電池スタックの外周部での一方のガスによる燃料電池の冷却量が増加していく。
このように、起動中に燃料電池スタックの外周での冷却を開始することで、起動完了後に直ちに燃料電池の発電を開始することができる。また、外周を冷却しながら起動することで、起動中の燃料電池の温度分布を緩和することができる。
まず、燃料電池システムB1の起動方法は、出力検知センサにより検知した発電出力値が、規定値を超えたか否かを判定し、発電出力値が規定値を超えていないと判定したときには、混合ガスが発電出力値が既定値を超える所定の温度となるように、一方のガスと温度調整用ガスとの混合割合を調整することを特徴としており、具体的には次のとおりである。
ステップ1(図中「S1」と略記する。以下同様):燃料電池システムB1を起動すると、ステップ2に進む。
ステップ2:燃料ポンプ120とコンプレッサ100とを起動して、ステップ3に進む。
ステップ4:改質器130に、起動燃焼器110で燃焼させて高温にした燃料と空気との混合ガスを送給して、ステップ5に進む。これにより、改質器130からアノードに対して他方のガス(燃料ガス)が送給されることになる。
ステップ5:一方のガスと温度調整用ガスの各温度データ及びそれらの各流量を取得して、ステップ6に進む。取得した各データは、上記したメモリMに記憶される。
ステップ7:カソードには一方のガスと温度調整用ガスとが送給され、また、アノードには他方のガス(リッチガス)が送給されて、ステップ8に進む。
ステップ9:燃料電池A1の自己発電を継続して、ステップ10に進む。
ステップ10:発電量(発熱)を取得して、ステップ11に進む。
ステップ11:発電出力が増加したか否かを判定し、ここで発電出力値が増加したと判定されればステップ12に進み、そうでなければステップ10に戻る。
ステップ13:算出した発電出力の増加分に対応して、一方のガスに対する起動用ガスの混合割合を低減させて、ステップ14に進む。
ステップ15:起動モードを完了して、定常運転モードに移行する。
ガス導入口30を介してケース20内に流入した一方のガスは、ガス誘導部材60,60の外面側に沿い、換言すると誘導路β1,β2を通じて、ガス誘導部材60,60の各開放端60b,60bに向けて流動する。
ガス誘導部材60,60の各開放端60b,60bに到達した一方のガスは、当該開放端60b,60bにおいて温度調整用ガスと混合された後、燃料電池スタック10に向けて回り込んだ後、その燃料電池スタック10の各間隙を通じてガス排出口40に向けて流動し、そのガス排出口40を介してケース20外に排出される。
<高負荷運転時>
ガス誘導部材60,60によって一方のガスを燃料電池スタック10の外周部10aに沿って周回させることによって、燃料電池スタック10のガス排出部側を冷却するとともに、燃料電池スタック10の外周部10aに沿って周回する間に暖められた一方のガスは、ガス誘導部材60,60の各開放端60b,60bに到達し、当該開放端60b,60bにおいて温度調整用ガスと混合(昇温)された後、燃料電池スタック10の間隙を通じてガス排出管40に向けて流動する。これにより、燃料電池スタック10をなす固体電解質型セルユニット11の平面内における温度分布の均一化を図ることができ、その燃料電池スタック10の内部を所望の温度差に抑えられる。
ガス誘導部材60,60によって、一方のガスを燃料電池スタック10の外周部10aに沿って周回させることによって、その燃料電池スタック10のガス排出部側を冷却するとともに、燃料電池スタック10の外周縁部Baに沿って周回する間に暖められた一方のガスは、燃料電池スタック10の間隙sを通じてガス排出管40に向けて流動する。
これにより、燃料電池スタック10をなす固体電解質型セルユニット11の平面内における温度分布の均一化を図ることができ、その燃料電池スタック10の内部を所望の温度差に抑えられる。
(a)ケース内に設けられたガス誘導部材を介した燃料電池スタックと、これの外周部に沿って流れるガス(第一のガス導入部から供給)との熱交換を行うことができる。
(b)ガス誘導部材の終端部から燃料電池スタックに送給されたガスと、燃料電池スタックとの熱交換を行うことができる。
(c)温度調整用ガスの温度と流量を制御しているので、第一のガス導入部から供給するガスに加えて、第二のガス導入部から供給する温度調整用ガスで制御できるため、(a),(b)に記載の熱交換を互いに独立して調整することができる。
すなわち、(a)の効果が大きいほど燃料電池の温度分布を緩和できることから、(a),(b)に記載の熱交換を互いに独立して調整可能とすることにより、燃料電池の温度分布を緩和することができる。
本実施形態において示すガス分流部70,70は、ガス誘導部材60,60の終端部60b,60bであって、第二のガス導入口50の両側に配設した分流管71,71と、これら分流管71,71に配設された流量調整器(制御弁)72,72とを有して構成されている。
流量調整器(制御弁)72,72は、制御部140の出力側に接続されており、適宜に開閉駆動されるようになっている。
流量調整器(制御弁)73は、上記した燃料電池スタック10から排出された排出ガス(カソードオフガス)の一部をガス導入口50に返戻するためのものであり、これには上記ガス導入口50に連結されている送給パイプ113との間に返戻用流路としての返戻用パイプ75が連結されている。
すなわち、制御部140に、流量調整器73を介して排出ガスを第二の返戻送給する機能(排出ガス返戻送給手段)を設けている。
一方、出力側には、コンプレッサ100、燃料ポンプ120、改質器130及び流量調整器112、流量調整器72,73が接続されている。
(6)ガス誘導部材の終端部における混合ガスの温度を、設定した温度以上にするための温度調整用ガスの流量を算出する機能。これを「流量算出手段140f」という。
「規定の流量」は、例えば誘導路β1,β2の許容流量やコンプレッサ100の能力等を勘案して設定している。
例えばガス誘導部材60の終端部60b,60bにおけるガス温度を検知し、その検知結果に基づいて第二のガス導入口50から高温の温度調整用ガスを供給するが、その際に終端部60b,60bでのガス温度を設定温度以上にするために必要な温度調整用ガスの供給量が設定値以上となる場合に、一方のガスを部分的に分流する。
これにより、温度調整用ガスを大量に供給することなく効率的に(大量のガスを流すためのブロワ損失が少ない、加熱ガスを生成するためのエネルギを大量に必要としない)温度分布を緩和した運転が可能となる。
(9)ガス分流部70,70を介して、一方のガスを分流する機能。これを「分流手段140i」。
このような分流手段140iを設けたことにより、ガス導入口30,30から送給した一方のガスを第二のガス導入部に至る上流側で分流できるようになり、第二のガス導入部から送給される温度調整用ガスと、燃料電池スタックとの熱交換ガスの効果を高めることができる。これにより、上記した(a),(b)を互いに独立してより精度良く制御することができる。
また、分流したガスは燃焼器や改質器へ送給して再利用することもできるし、空気である場合には空調用の空気としても利用することができる。
(11)当該一方のガスの温度が設定温度以下であると判定したときには、温度調整用ガスの送給を開始する機能。これを「ガス送給手段140k」という。
(12)ガス温度検知センサにより検出したガス誘導部材の終端部での混合ガスの温度が設定温度以上となるように、起動燃焼器を介して、温度調整用ガスの温度を昇温調整する機能。これを「温度調整手段140l」という。
なお、本実施形態における起動動作については、上述した燃料電池システムB1と同等であるので、その説明を省略する。
ステップ2:ガス誘導部材60,60の終端部60b,60bにおける温度を取得して、ステップ3に進む。
ステップ4:第一のガス導入口30から一方のガスとして室温空気のみを送給して、ステップ10に進む。
ステップ6:設定した流量以内か否かを判定し、ここで設定した流量以内であれば、ステップ7に進み、そうでなければステップ8に進む。
ステップ8:設定流量以内とするための一方のガスの分流量を決定して、ステップ9に進む。
また、各送給パイプ82毎に、これを流通する温度調整用ガスの流量を互いに独立して増減するための流量調整器83…が配設されている。
(13)送給パイプ82…にそれぞれ配設した流量調整器83…を介して、各送給パイプ82…を流通する温度調整用ガスの流量を、それら各送給パイプ82…毎に増減させる機能。これを「送給ガス量増減手段140m」という。
このような送給ガス量増減手段140mを設けることにより、燃料電池A1の面内方向の温度分布だけではなく、積層方向の温度分布も緩和することができる。
このような位置に第二のガス導入部50を配置しても、図1(A),(B)で示す位置に配置した第二のガス導入部50と同様の効果を得ることができる。
このような位置にガス分流部70,70を配置しても、図5において示す位置に配置したガス分流部70,70と同様の効果を得ることができる。
・温度調整用ガスは起動中を通じて、一定のガス組成のものを供給してもよいし、燃料電池スタックの温度に応じて組成を変更してもよい。
例えば、燃料電池の劣化が起こらない低温域に限ってはアノード、カソードにどのような組成のガスを供給してもよく、それ以上の温度域ではアノード、カソードを劣化させない程度にアノード側は不活性ガス〜燃料(リッチガス=還元性)ガスを供給し、カソード側は不活性ガス〜酸化剤(リーン)ガスを供給してもよい。
10a 外周部
11 固体電解質型セルユニット
20 ケース
30 第一のガス導入部
40 ガス排出部
50 第二のガス導入部
60 ガス誘導部材
70 ガス分流部
82 送給路
83 流量調整器
150 混合ガス温度検出センサ
140a 出力判定手段
140b 混合調整手段
140c 出力増加判定手段
140d 増加出力算出手段
140e 混合割合低減手段
110 起動燃焼器
140j ガス温度判定手段
140k ガス送給手段
140l 温度調整手段
140i 分流手段
151 出力検知センサ
A1,A2 燃料電池
C1 第一の送給部
C2 第二の送給部
Claims (11)
- 二種類のガスを互いに分離して流通させることによる発電を行う複数の固体電解質型セルユニットを、互いに所定の間隙をもって積層した燃料電池スタックをケースに収容している燃料電池において、
一方のガスをケース内に導入するための第一のガス導入部と、
当該ケース内に導入された一方のガスを排出するためのガス排出部と、
上記第一のガス導入部からケース内に導入した一方のガスを、燃料電池スタックの外周部に沿って周回させ、かつ、その燃料電池スタックの上記間隙を通じてガス排出部に向けて誘導するためのガス誘導部材と、
温度調整用ガスをケース内に導入するための第二のガス導入部とをケースに配設したことを特徴とする燃料電池。 - 第一のガス導入部と第二のガス導入部とを、燃料電池スタックを挟む両側対向位置に配したことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
- 第一のガス導入部から第二のガス導入部に向けて流動する一方のガスの一部を、流動経路外に分流するためのガス分流部を配設していることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池と、一方のガスを第一のガス導入部に送給する第一の送給部と、一方のガスよりも高温な温度調整用ガスを第二のガス導入部に送給する第二の送給部と、一方のガスと温度調整用ガスを混合した後の混合ガスの温度を検出するためのガス温度検出センサと、燃料電池の発電出力を検知するための出力検知センサとを備えた燃料電池システムであって、
出力検知センサにより検知した発電出力が、規定値を超えたか否かを判定する出力判定手段と、
その出力判定手段により、発電出力値が規定値を超えていないと判定したときには、混合ガスの温度が規定の温度となるように、一方のガスと温度調整用ガスの混合割合を調整する混合調整手段とを設けたことを特徴とする燃料電池システム。 - 出力判定手段により、当該発電出力が規定値を超えたと判定したときには、発電出力が増加したか否かを判定する出力増加判定手段と、
発電出力の増加分を算出する増加出力算出手段と、
増加出力算出手段により算出した出力の増加に対応して、一方のガスに対する温度調整用ガスの混合割合を低減させる混合割合低減手段とを設けたことを特徴とする請求項4に記載の燃料電池システム。 - 第二のガス導入部に、これに送給する温度調整用ガスを、固体電解質型セルユニットの積層方向に互いに分離して送給するための複数の送給路を連結していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
- 各送給路毎に、これを流通する温度調整用ガスの流量を互いに独立して増減する流量調整器が配設されており、
それらの流量調整器を介して、各送給路を流通する温度調整用ガスの流量を、それら各流通路毎に増減させるガス流量増減手段を設けたことを特徴とする請求項6に記載の燃料電池システム。 - ガス温度検知センサにより検知した一方のガスの温度が、設定温度以下であるか否かを判定するガス温度判定手段と、
当該一方のガスの温度が設定温度以下であると判定したときには、温度調整用ガスの送給を開始するガス送給手段と、
ガス温度検知センサにより検出したガス誘導部材の終端部での混合ガスの温度が設定温度以上となるように、起動燃焼器を介して、温度調整用ガスの温度を昇温調整する温度調整手段とを設けたことを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載の燃料電池システム。 - ガス誘導部材の終端部における温度を、設定した温度以上にするための温度調整用ガスの流量を算出する流量算出手段と、
一方のガスと温度調整用ガスの合算流量が規定の流量以内か否かを判定する流量判定手段と、
規定流量以内とするための一方のガスの分流量を算出する分流量算出手段と、
ガス分流部を介して、一方のガスを分流する分流手段とを設けたことを特徴とする請求項3〜8のいずれか1項に記載の燃料電池システム。 - ガス排出部から排出された排出ガスを、第ニのガス導入口に返戻するための返戻用流路と、この返戻用流路に配設された流量調整器とが設けられており、
流量調整器を介して、排出ガスを第二のガス導入口に返戻送給する排出ガス返戻送給手段を設けたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の燃料電池システム。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池と、一方のガスを第一のガス導入部に送給する第一の送給部と、その一方のガスよりも高温な温度調整用ガスを第二のガス導入部に送給する第二の送給部と、一方のガスと温度調整用ガスとを混合した後の混合ガスの温度を検出するための混合ガス温度検出センサと、燃料電池の発電を検知するための出力検知センサとを備えた燃料電池システムの起動方法であって、
出力検知センサにより検知した発電出力値が、規定値を超えたか否かを判定し、
発電出力値が規定値を超えていないと判定したときには、混合ガスが発電出力値が既定値を超える所定の温度となるように、一方のガスと温度調整用ガスとの混合割合を調整することを特徴とする燃料電池システムの起動方法。
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