JP2010106901A - 流体封入式防振装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】装置の大型化を防ぎつつ、受圧室の有効ピストン面積を大きく確保することが出来ると共に、受圧室の負圧時にキャビテーション異音を低減乃至は回避することが出来る、新規な構造の流体封入式防振装置を提供すること。
【解決手段】第二の取付部材14の内周面を本体ゴム弾性体16側に向かって次第に大径となる内周テーパ面92とすると共に、仕切部材64の外周面を内周テーパ面92に対応する外周テーパ面94として、それら内周テーパ面92と外周テーパ面94を重ね合わせると共に、それら内周テーパ面92と外周テーパ面94の間にテーパ状緩衝ゴム96を介在させる一方、仕切部材64の軸方向両側に第二の取付部材14で支持された一対の軸方向緩衝ゴム98,102を設けて、それら一対の軸方向緩衝ゴム98,102の間に仕切部材64を挟持せしめることにより仕切部材64を第二の取付部材14によって弾性的に支持せしめた。
【選択図】図1

Description

本発明は、振動伝達系を構成する部材間に介装されて、それら部材を相互に防振連結する防振装置に係り、特に内部に封入された流体の流動作用に基づく防振効果を利用する流体封入式防振装置に関するものである。
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装されて、それら部材を防振連結乃至は防振支持せしめる防振装置が知られている。この防振装置は、振動伝達系を構成する一方の部材に取り付けられる第一の取付金具と、振動伝達系を構成する他方の部材に取り付けられる第二の取付金具を、本体ゴム弾性体によって弾性連結した構造を有している。
また、防振装置の一種としては、筒状とされた第二の取付金具の一方の開口部が本体ゴム弾性体で閉塞されていると共に、他方の開口部が可撓性膜で閉塞されており、それら本体ゴム弾性体と可撓性膜の間に、非圧縮性流体を封入された流体室が形成されている構造を有する、流体封入式防振装置も知られている。このような流体封入式防振装置では、流体室内に、第二の取付金具によって支持された仕切部材が配設されており、仕切部材を挟んだ一方の側に、壁部の一部を本体ゴム弾性体で構成された受圧室が形成されていると共に、他方の側に、壁部の一部を可撓性膜で構成された平衡室が形成されている。そして、それら受圧室と平衡室を相互に連通するオリフィス通路が形成されており、振動入力時に、受圧室と平衡室の相対的な圧力変動によって、オリフィス通路を通じて流体流動が生ぜしめられて、流体の流動作用に基づく防振効果が発揮されるようになっている。このような流体封入式防振装置は、例えば、特許文献1等に開示されており、自動車のエンジンマウント等への適用が検討されている。
ところで、流体封入式防振装置は、その配設スペースが制限されている場合が少なくない。例えば、流体封入式防振装置を自動車用のエンジンマウントに適用する場合には、自動車の小型化や、広い車室空間の確保を実現するために、エンジンルームの容積が小さくなる傾向にあり、それに伴って、パワーユニットを支持する流体封入式防振装置のサイズが制限されるようになってきている。自動車用のエンジンマウントでは、軸直角方向のサイズを制限される場合が多く、円筒形状とされた第二の取付金具の上下開口部付近における外径寸法が、特に厳しく制限されている。
一方で、流体封入式防振装置では、流体流動によって発揮される防振効果を効率的に得るために、受圧室の有効ピストン面積を大きく確保して、軸方向の振動入力時に受圧室の圧力変動を有利に惹起せしめることが望ましい。ところが、上述の如く、第二の取付金具の径方向寸法が制限されていることから、ピストン径を大きくすることが困難であり、防振性能の向上を実現し難いという事情がある。
また、受圧室の有効ピストン面積を大きく確保すると、通常の入力振動に対する防振性能の向上を実現出来る反面、衝撃的な大荷重の入力時に、受圧室に発生する負圧が大きくなるというデメリットもある。そして、受圧室に過大な負圧が生じると、キャビテーション現象に起因する異音が発生し易くなって、かかるキャビテーション異音が伝達されることにより、車室空間における静粛性の確保が困難となるおそれがあった。
特開2005−140176号公報
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、装置の大型化を防ぎつつ、受圧室の有効ピストン面積を大きく確保することが出来ると共に、受圧室の負圧時にキャビテーション異音を低減乃至は回避することが出来る、新規な構造の流体封入式防振装置を提供することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意な組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載されたもの、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
すなわち、本発明は、第一の取付部材を筒状とされた第二の取付部材の一方の開口部側に離隔配置して、それら第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で弾性連結する一方、第二の取付部材の他方の開口部を可撓性膜で覆蓋すると共に、本体ゴム弾性体と可撓性膜の対向面間には第二の取付部材によって支持される仕切部材を配設して、仕切部材を挟んだ一方の側において壁部の一部が本体ゴム弾性体で構成されて非圧縮性流体が封入された受圧室を形成すると共に、仕切部材を挟んだ他方の側において壁部の一部が可撓性膜で構成されて非圧縮性流体が封入された平衡室を形成し、それら受圧室と平衡室を相互に連通するオリフィス通路を設けた流体封入式防振装置において、第二の取付部材の内周面を本体ゴム弾性体側に向かって次第に大径となる内周テーパ面とすると共に、仕切部材の外周面を内周テーパ面に対応する外周テーパ面として、それら内周テーパ面と外周テーパ面を重ね合わせると共に、それら内周テーパ面と外周テーパ面の間にテーパ状緩衝ゴムを介在させる一方、仕切部材の軸方向両側に第二の取付部材で支持された一対の軸方向緩衝ゴムを設けて、それら一対の軸方向緩衝ゴムの間に仕切部材を挟持せしめることにより仕切部材を第二の取付部材によって弾性的に支持せしめたことを特徴とする。
このような本発明に従う構造の流体封入式防振装置においては、第二の取付部材の内周面が内周テーパ面とされていることにより、第二の取付部材の可撓性膜側での大径化を防ぎつつ、本体ゴム弾性体を大径とすることが出来る。これにより、受圧室の有効ピストン面積が大きく確保されて、振動入力時に受圧室に及ぼされる圧力変動が効率的に確保される。それ故、オリフィス通路を通じての流体流動が効率的に惹起されて、流体の流動作用に基づく防振効果が効果的に発揮される。その結果、防振性能の向上が、軸直角方向での著しい大径化を要することなく実現される。
また、仕切部材が、一対の軸方向緩衝ゴムによって、軸方向で挟み込まれて弾性支持されており、受圧室と平衡室の相対的な圧力変動に基づいて、仕切部材が第二の取付部材に対して軸方向に相対変位可能とされている。それ故、受圧室に過大な負圧が及ぼされた場合には、負圧による吸引力の作用で仕切部材が受圧室側に変位せしめられて、受圧室の容積が減少することにより、受圧室の負圧が可及的速やかに低減乃至は解消されるようになっている。
しかも、仕切部材の外周面が、内周テーパ面に対応する外周テーパ面とされており、外周テーパ面が内周テーパ面に重ね合わされている。これにより、受圧室に正圧が及ぼされた場合には、外周テーパ面が内周テーパ面に対して押し付けられることにより、仕切部材の第二の取付部材に対する可撓性膜側への相対変位が、制限されるようになっている。それ故、受圧室に正圧が及ぼされる場合には、受圧室に圧力変動が有効に及ぼされて、オリフィス通路を通じての流体流動が効率的に惹起されるようになっている。従って、キャビテーションによる異音の発生を低減乃至は回避することが出来るだけでなく、目的とする防振効果も効率的に得ることが出来るのである。
さらに、外周テーパ面と内周テーパ面の間には、テーパ状緩衝ゴムが介在せしめられている。これにより、受圧室の正圧作用下において、仕切部材と第二の取付部材の当接によって打音が発生するのを防ぐことが出来る。
また、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置では、本体ゴム弾性体が円錐台形状を有しており、本体ゴム弾性体の小径側端部に第一の取付部材が加硫接着されている一方、本体ゴム弾性体の大径側端部外周面には円環形状の環状組付金具が加硫接着されており、環状組付金具が第二の取付部材の一方の開口部から軸方向内方に入り込んで第二の取付部材に対して組み付けられていると共に、環状組付金具において第二の取付部材の軸方向内方に入り込んだ先端部分には、軸方向緩衝ゴムの一方が本体ゴム弾性体と一体形成されていても良い。
このように、本体ゴム弾性体を第二の取付部材とは別体で形成することにより、内径寸法が大きい第二の取付部材の本体ゴム弾性体側開口部から、仕切部材を挿し入れることが出来る。それ故、内周テーパ面を有する第二の取付部材に対して、外周テーパ面を有する仕切部材を容易に組み付けることが出来る。また、軸方向緩衝ゴムの一方を本体ゴム弾性体と一体形成することで、軸方向緩衝ゴムの形成が容易となると共に、ゴム弾性体の加硫成形用金型を減らすことが出来る。更に、環状組付金具を備えた本体ゴム弾性体を、第二の取付部材に対して組み付けることによって、軸方向緩衝ゴムによる仕切部材の軸方向での弾性支持を、安定して実現することが出来る。更にまた、環状組付金具の先端部分に軸方向緩衝ゴムを形成することにより、環状組付金具によって軸方向緩衝ゴムの変形が制限されて、仕切部材の軸方向への過剰な変位を規制して、耐久性の向上等を実現出来る。
また、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置では、一対の軸方向緩衝ゴムの他方が可撓性膜と一体形成されており、軸方向緩衝ゴムが仕切部材の小径側端面における外周縁部に当接せしめられていても良い。このように軸方向緩衝ゴムを可撓性膜と一体形成することにより、部品点数の減少や加硫成形用の金型点数の減少等を実現することが出来る。
また、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置では、一対の軸方向緩衝ゴムの少なくとも一方がテーパ状緩衝ゴムと一体形成されていても良い。
これによれば、テーパ状緩衝ゴムと軸方向緩衝ゴムを一体形成することにより、部品点数や加硫成形用の金型を減らすことが出来て、製造が容易となる。なお、仕切部材の組付けを容易に実現するために、可撓性膜側の軸方向緩衝ゴムが、テーパ状緩衝ゴムと一体形成されていることが望ましい。
また、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置では、テーパ状緩衝ゴムが可撓性膜と一体形成されていても良い。これによれば、テーパ状緩衝ゴムと可撓性膜が一体形成されていることにより、部品点数の減少や、加硫成形用金型数の減少を図ることが出来る。
また、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置では、第二の取付部材の内周テーパ面にテーパ状緩衝ゴムが固着されていても良い。これによれば、テーパ状緩衝ゴムを第二の取付部材と一体的に取り扱うことが出来て、製造時に部品の取り回しが容易となる。
また、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置では、第二の取付部材における内周テーパ面と仕切部材における外周テーパ面の何れか一方が、テーパ状緩衝ゴムに対して隙間をもって配置されていても良い。
このように、内周テーパ面と外周テーパ面の何れかを、テーパ状緩衝ゴムから離隔させることにより、受圧室に負圧が発生した場合において、仕切部材の第二の取付部材に対する相対変位が、テーパ状緩衝ゴムによる大きな摩擦抵抗の影響を受けることなく、スムーズに実現される。それ故、キャビテーションの低減効果が、迅速且つ有効に発揮される。一方、受圧室に正圧が及ぼされると、仕切部材が第二の取付部材に対して僅かに相対変位することで、第二の取付部材と仕切部材の間の隙間が消失して、仕切部材と第二の取付部材がテーパ状緩衝ゴムを介して当接せしめられる。これにより、仕切部材の可撓性膜側への変位が制限されて、受圧室の圧力変動と、それに基づくオリフィス通路を通じての流体流動が、有効に生ぜしめられる。
また、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置では、仕切部材の小径側端部には、外径寸法を一定とされたストレート部が軸方向下方に向かって延びるように一体形成されていても良い。
これによれば、受圧室の圧力変動によって、仕切部材が第二の取付部材に対して軸方向に相対変位せしめられた場合にも、ストレート部では、第二の取付部材の内周面と仕切部材の外周面との軸直角方向での相対的な位置が一定に保持される。それ故、仕切部材が変位せしめられた場合にも、ストレート部において第二の取付部材と仕切部材の間の流体密性が保持されて、第二の取付部材と仕切部材の間を通じて受圧室と平衡室が短絡するのを、防ぐことが出来る。これにより、通常の振動入力時に、オリフィス通路を通じての流体流動量が、受圧室と平衡室の短絡によって減少するのを防いで、目的とする防振効果を有効に得ることが出来る。
また、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置では、オリフィス通路が仕切部材の内部を延びるトンネル構造とされていても良い。
このようなトンネル構造のオリフィス通路を採用することにより、仕切部材の第二の取付部材に対する相対変位によって、オリフィス通路の流体密性が損なわれるのを防ぐことが出来る。それ故、予め設定されたチューニング周波数の振動入力に対して、所期の防振効果を安定して得ることが出来る。更に、第二の取付部材の内周面に対して、仕切部材の外周面を、広い面積で当接させることが出来て、応力集中によってテーパ状緩衝ゴムが損傷したり、引っ掛かりによって仕切部材の変位が規制されるのを、防止することが出来る。
また、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置では、第二の取付部材における本体ゴム弾性体側の開口端部に第一のかしめ部を設けると共に、可撓性膜側の開口端部に第二のかしめ部を設けて、第一のかしめ部を第二のかしめ部よりも第二の取付部材の軸直角方向で外方に突出させても良い。
このように、第一のかしめ部と第二のかしめ部を、軸方向の投影においてずれた位置に設けることで、それら第一,第二のかしめ部におけるかしめ固定の作業が容易となる。しかも、本体ゴム弾性体側の第一のかしめ部が、可撓性膜側の第二のかしめ部よりも、外周側に位置せしめられていることにより、本体ゴム弾性体側に向かって次第に大径となる内周テーパ面を有する第二の取付部材において、第一,第二のかしめ部の軸直角方向にずれた配置を容易に実現することが出来る。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図1には、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置の第一の実施形態として、自動車用エンジンマウント10が示されている。エンジンマウント10は、第一の取付部材としての第一の取付金具12と、第二の取付部材としての第二の取付金具14を、本体ゴム弾性体16で相互に連結した構造を有している。そして、第一の取付金具12が、図示しないパワーユニットに取り付けられると共に、第二の取付金具14が、図示しない車両ボデーに取り付けられることにより、それらパワーユニットと車両ボデーの間に介装されて、パワーユニットを車両ボデーに防振連結するようになっている。なお、以下の説明において、上下方向とは、主たる振動の入力方向であり、パワーユニットの分担荷重の作用方向でもある、図1中の上下方向を言う。また、図1には、エンジンマウント10の車両に対する装着前の単体状態が示されており、車両への装着によって、第一の取付金具12と第二の取付金具14が軸方向で接近するように相対変位せしめられるようになっている。
より詳細には、第一の取付金具12は、全体として小径の略円形ブロック形状を有する高剛性の部材であって、略半球形状の固着部18を有している。この固着部18は、上方に向かって次第に大径となっており、その上端部には、外周側に突出する環状のフランジ部20が一体形成されている。更に、フランジ部20の径方向中央部分から上方に向かって突出する態様で取付部22が一体形成されている。取付部22は、略円柱形状を有しており、その径方向中央には、中心軸上を延びるねじ穴24が形成されている。このねじ穴24は、内周面にねじ山が螺刻されており、ねじ穴24に螺着される図示しない固定ボルトによって、第一の取付金具12がパワーユニットに取り付けられるようになっている。
一方、第一の取付金具12の軸方向下方には、環状組付部材としての中間固着金具26が配設されている。中間固着金具26は、全体として大径の略円環形状とされた高剛性の部材であって、固着筒部28を有している。この固着筒部28は、軸方向下方に向かって次第に小径となるテーパ筒形状を有している。更に、固着筒部28の上端部には、外周側に突出して軸直角方向に広がるフランジ状の環状当接部30が一体形成されている。更にまた、固着筒部28の下端部には、内周側に向かって突出する支持部32が一体形成されている。
そして、第一の取付金具12が、中間固着金具26に対して同一中心軸上で軸方向上方に離隔配置されて、それら第一の取付金具12と中間固着金具26が、本体ゴム弾性体16によって、相互に弾性連結されている。本体ゴム弾性体16は、厚肉大径の略円錐台形状を有するゴム弾性体で形成されており、その小径側端部に、第一の取付金具12が、固着部18を埋設した状態で加硫接着されていると共に、その大径側端部外周面には、中間固着金具26の固着筒部28が、重ね合わされて加硫接着されている。なお、本実施形態では、本体ゴム弾性体16が、第一の取付金具12と中間固着金具26を備えた一体加硫成形品34として形成されている。また、本実施形態では、第一の取付金具12のフランジ部20が、本体ゴム弾性体16の小径側端面に重ね合わされて固着されており、後述する受圧室76の有効ピストン面積が、フランジ部20によって大きく確保されるようになっている。
さらに、本体ゴム弾性体16には、大径凹所36が形成されている。大径凹所36は、逆向きの略すり鉢状乃至は半球形状を有する凹所であって、本体ゴム弾性体16の大径側端面に開口するように形成されている。なお、大径凹所36は、中間固着金具26の内周側に離隔して形成されており、支持部32を含む中間固着金具26の内周面全体が、本体ゴム弾性体16によって覆われている。
更にまた、本実施形態では、ストッパゴム38が、本体ゴム弾性体16と一体形成されている。ストッパゴム38は、第一の取付金具12におけるフランジ部20の外周面と上端面の外周部分に加硫接着されて、外周側および軸方向上方に向かって突出せしめられている。
また、中間固着金具26は、第二の取付金具14に対して組み付けられている。第二の取付金具14は、大径の略円筒形状を有する筒状部40を備えており、その上端部に外周側に向かって広がるフランジ状の固定部42が一体形成されていると共に、その下端部には、外周側に広がる段差部43が設けられており、段差部43の外周縁部から下方に向かって突出する筒状のかしめ片44が一体形成されている。なお、固定部42の外径寸法は、段差部43の外径寸法よりも大きくなっており、固定部42がかしめ片44よりも外周側に突出している。
このような第二の取付金具14に対して、中間固着金具26が嵌め入れられて、その固着筒部28および支持部32が、第二の取付金具14の上側開口部から内周領域に突入せしめられている。また、中間固着金具26の環状当接部30が、第二の取付金具14の固定部42に対して、軸方向上側から重ね合わされており、第二の取付金具14と中間固着金具26が、軸方向で位置決めされている。なお、中間固着金具26における固着筒部28の外周面には、シールゴム層46が略全面に亘って被着形成されている。そして、第二の取付金具14の筒状部40と、中間固着金具26の固着筒部28が、シールゴム層46を介して流体密に重ね合わされて嵌着されている。
また、第二の取付金具14と中間固着金具26は、ストッパ金具48によって、かしめ固定されている。ストッパ金具48は、大径の円筒形状を有しており、その下端部によって、第二の取付金具14の固定部42と中間固着金具26の環状当接部30が、かしめ固定されている。これにより、本実施形態における第一のかしめ部としての固定部42が、第二の取付金具14の上側端部に設けられている。更に、ストッパ金具48の上端部には、内フランジ状のストッパ部50が一体形成されており、第一の取付金具12におけるフランジ部20の外周部分に対して、軸方向で所定距離を隔てて対向配置されている。そして、フランジ部20とストッパ部50が、ストッパゴム38を介して、軸方向に当接することにより、第一の取付金具12と第二の取付金具14の軸方向離隔方向への相対変位が制限されている。これにより、本実施形態のリバウンドストッパ機構が構成されている。
また、第二の取付金具14の下側開口部には、可撓性膜としてのダイヤフラム52が配設されている。ダイヤフラム52は、略円板形状乃至はドーム形状を有する薄肉のゴム膜であって、軸方向に充分な弛みを持って形成されている。また、ダイヤフラム52の外周部分には、環状の固定金具54が、全周に亘って加硫接着されており、ダイヤフラム52が固定金具54を備えた一体加硫成形品として形成されている。そして、ダイヤフラム52は、第二の取付金具14の下側開口部近傍に挿し入れられて、固定金具54がかしめ片44でかしめ固定されることにより、第二の取付金具14に取り付けられている。
なお、第二の取付金具14の下端開口部には、ブラケット56が取り付けられている。ブラケット56は、略皿形状を有しており、ブラケット56の径方向中央部分に形成された貫通孔には、下方に突出する取付ボルト60が挿通固定されている。そして、取付ボルト60が図示しない車両ボデー側に螺着されることにより、第二の取付金具14がブラケット56を介して車両ボデーに取り付けられるようになっている。
さらに、本実施形態では、ブラケット56の外周縁部が、ダイヤフラム52の固定金具54に対して下方から重ね合わされて、第二の取付金具14のかしめ片44によってかしめ固定されている。これにより、第二の取付金具14の下端部には、本実施形態における第二のかしめ部としてのかしめ片44が形成されている。本実施形態では、第一のかしめ部が、第二のかしめ部よりも径方向外側に位置せしめられており、プレスによる第一のかしめ部のかしめ作業が容易に行えるようになっている。
このような第二の取付金具14に対するダイヤフラム52の装着状態において、第二の取付金具14は、軸方向上側の開口部が、本体ゴム弾性体16によって閉塞されていると共に、軸方向下側の開口部が、ダイヤフラム52によって閉塞されている。そして、第二の取付金具14の内周側において、本体ゴム弾性体16とダイヤフラム52の軸方向間には、流体室62が形成されている。流体室62は、外部空間から密閉された領域であって、内部に非圧縮性流体が封入されている。なお、封入される非圧縮性流体としては、特に限定されるものではないが、水等の低粘性流体が望ましい。
また、流体室62には、仕切部材としての仕切金具64が、収容配置されている。仕切金具64は、厚肉の略円板形状を有しており、本実施形態では、仕切金具本体66と、オリフィス形成金具68を含んで構成されている。
仕切金具本体66は、厚肉の略円板形状を有しており、径方向中央部分には、下方に向かって開口する円形の中央凹所70が形成されている。また、仕切金具本体66の外周部分には、上方に向かって開口して周方向に延びる嵌着凹溝72が、全周に亘って形成されている。嵌着凹溝72は、その内周面が、開口側(軸方向上側)に向かって次第に外周側に傾斜するテーパ面とされている。一方、嵌着凹溝72の内周面は、軸方向上部が、上方に向かって次第に内周側に傾斜するテーパ面とされていると共に、軸方向下部が、軸方向に広がる筒状面とされている。
オリフィス形成金具68は、略円環形状を有しており、嵌着凹溝72の上部に対応する断面形状を有している。即ち、オリフィス形成金具68は、その内周面が、上方に向かって次第に内周側に傾斜していると共に、その外周面が、上方に向かって次第に外周側に傾斜しており、上方に向かって次第に径方向の幅寸法が大きくなっている。また、オリフィス形成金具68の軸方向中間部分には、外周面に開口して周方向に一周弱の所定長さで延びる周溝74が形成されている。
そして、オリフィス形成金具68は、仕切金具本体66の嵌着凹溝72に嵌め入れられている。そこにおいて、オリフィス形成金具68の内外周面と、嵌着凹溝72の内外周面が、何れもテーパ面とされていることにより、オリフィス形成金具68が嵌着凹溝72に対して軸方向で位置決めされるようになっている。このように、オリフィス形成金具68が、仕切金具本体66に取り付けられることにより、仕切金具64が構成されている。
また、仕切金具64において、オリフィス形成金具68の下面と、仕切金具本体66における嵌着凹溝72の底面の間には、周方向に所定長さで延びるトンネル状の流路が形成されている。更に、オリフィス形成金具68における周溝74の外周側開口部が、仕切金具本体66によって閉塞されて、トンネル状の流路が形成されている。これらトンネル状流路は、オリフィス形成金具68の底壁部を軸方向に貫通する図示しない接続孔を通じて、周方向一方の端部において相互に連通されている。
このような構造の仕切金具64は、流体室62内に収容配置されており、流体室62が、仕切金具64を挟んで軸方向両側に二分されている。そして、仕切金具64を挟んだ軸方向上側には、壁部の一部を本体ゴム弾性体16で構成されて、振動入力時に内圧変動を及ぼされる受圧室76が形成されている。一方、仕切金具64を挟んだ軸方向下側には、壁部の一部をダイヤフラム52で構成されて、容積変化を容易に許容される平衡室78が形成されている。
また、嵌着凹溝72および周溝74によって構成されたトンネル状の流路は、その一方の端部が、上側連通孔80を通じて受圧室76に連通されていると共に、その他方の端部が、下側連通孔82を通じて平衡室78に連通されている。これにより、受圧室76と平衡室78を相互に連通する第一のオリフィス通路84が、仕切金具64の内部を周方向に延びて形成されている。なお、第一のオリフィス通路84と、後述する第二のオリフィス通路91は、そのチューニング周波数が、流体室62の壁ばね剛性を考慮しつつ、通路断面積(A)の通路長(L)に対する比(A/L)を、適当に調節することによって、設定される。本実施形態では、第一のオリフィス通路84のチューニング周波数が、エンジンシェイクに相当する低周波数に設定されている。
また、仕切金具64において、中央凹所70の開口部には、中央凹所70の開口部を閉塞する可動ゴム膜86が、軸直角方向に広がるように配設されている。この可動ゴム膜86は、その外周部分が、仕切金具本体66と、仕切金具本体66の下端面に重ね合わされて固定された支持金具88との間に挟持されており、径方向中央部分の変形が許容された態様で仕切金具本体66に取り付けられている。そして、仕切金具本体66における中央凹所70の開口部が可動ゴム膜86で覆われていることにより、壁部の一部が可動ゴム膜86で構成された中間室90が形成されている。
さらに、仕切金具64には、第一のオリフィス通路84の通路長方向中間部分と、中間室90を相互に連通する流体流路が、径方向に延びて形成されている。これにより、受圧室76と中間室90を相互に連通する第二のオリフィス通路91が、第一のオリフィス通路84の受圧室76側端部を利用して、仕切金具64の内部を延びるように形成されている。なお、本実施形態では、第二のオリフィス通路91のチューニング周波数が、アイドリング振動や走行こもり音等の中乃至高周波数に設定されている。また、本実施形態では、第一,第二のオリフィス通路84,91が、何れも、仕切金具64の内部を延びるトンネル構造とされている。
このような構造とされたエンジンマウント10の車両への装着下、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に、エンジンシェイクに相当する低周波大振幅振動が入力されると、第一のオリフィス通路84を通じて流動せしめられる流体の共振作用等に基づいて、目的とする防振効果(高減衰効果)が発揮される。
なお、第一のオリフィス通路84がチューニングされた低周波大振幅振動の入力時には、可動ゴム膜86の弾性変形が追従し切れず、可動ゴム膜86が実質的な拘束状態となる。これにより、第二のオリフィス通路91を通じた流体流動が制限されて、第一のオリフィス通路84を通じた流体流動が、効率的に生ぜしめられるようになっている。
一方、アイドリング振動に相当する中乃至高周波小振幅振動が入力されると、第二のオリフィス通路91を通じての流体流動が生ぜしめられて、流体の流動作用に基づく防振効果(低動ばね効果)が発揮される。本実施形態では、中間室90と平衡室78が可動ゴム膜86によって仕切られており、小振幅振動の入力時には、第二のオリフィス通路91を通じて中間室90に伝達された液圧が、可動ゴム膜86の弾性変形によって、平衡室78に伝達されるようになっている。これにより、第二のオリフィス通路91がチューニングされた周波数の振動入力時には、第二のオリフィス通路91を通じて、受圧室76と平衡室78の間で実質的に流体流動が生ぜしめられるようになっている。
ここにおいて、本実施形態では、第二の取付金具14の筒状部40が、軸方向上方に向かって次第に大径となるテーパ筒形状を有しており、第二の取付金具14における筒状部40の内周面が、略全体に亘って内周テーパ面92とされている。本実施形態では、第二の取付金具14における筒状部40が、全体に亘ってテーパ筒形状とされており、その内周面が、全体に亘って一定の傾斜を有する内周テーパ面92とされている。
さらに、仕切金具64の外周面は、第二の取付金具14の内周テーパ面92に対応するテーパ形状とされた外周テーパ面94とされており、仕切金具64が軸方向上方に向かって次第に大径となっている。そして、仕切金具64の第二の取付金具14への装着下、外周テーパ面94が内周テーパ面92に対して所定距離を隔てて重ね合わされている。なお、本実施形態では、仕切金具64の外周面全体が、テーパ形状の外周テーパ面94とされている。
また、第二の取付金具14の内周テーパ面92には、テーパ状緩衝ゴムとしての緩衝ゴム層96が固着されている。緩衝ゴム層96は、第二の取付金具14における筒状部40の下端部に被着形成されており、全体として軸方向上方に向かって拡径するテーパ筒形状を有している。そして、緩衝ゴム層96の内周側に仕切金具64が配設されて、第二の取付金具14の内周テーパ面92と、仕切金具64の外周テーパ面94との間に、緩衝ゴム層96が配設されている。本実施形態では、仕切金具64の外周テーパ面94が、緩衝ゴム層96の内周面に対して所定距離を隔てて対向配置されている。なお、緩衝ゴム層96の内周面は、外周テーパ面94に対応するテーパ面とされており、緩衝ゴム層96と仕切金具64の対向面間距離が、全体に亘って略一定とされている。
さらに、緩衝ゴム層96の下端部には、下側支持ゴム98が一体形成されている。下側支持ゴム98は、緩衝ゴム層96の下端部から内周側に向かって突出する環状のゴム弾性体であって、第二の取付金具14に固着されて支持されていると共に、固定金具54が固着されたダイヤフラム52の外周部分に重ね合わされている。また、下側支持ゴム98の内周部分には、軸方向上方に向かって突出する下側シール突部100が一体形成されている。下側シール突部100は、全周に亘って連続的に設けられており、軸方向上方に向かって凸となる一定の略半円形断面を有している。そして、下側シール突部100は、仕切金具64の下面外周縁部に押し付けられており、仕切金具64が下側シール突部100および下側支持ゴム98を介して、第二の取付金具14によって弾性支持されている。なお、本実施形態では、軸方向下側の軸方向緩衝ゴムが、下側支持ゴム98と下側シール突部100で形成されている。
一方、中間固着金具26における支持部32の下方には、上側支持ゴム102が、本体ゴム弾性体16と一体形成されている。上側支持ゴム102は、中間固着金具26の支持部32から下方に向かって突出するゴム弾性体であって、仕切金具64および緩衝ゴム層96の上方に位置せしめられて、第二の取付金具14に支持されている。また、本実施形態では、上側支持ゴム102の内周縁部に、下方に向かって突出する上側シール突部104が一体形成されている。上側シール突部104は、全周に亘って連続的に設けられており、軸方向下方に向かって凸となる一定の略半円形状を有している。そして、上側シール突部104は、仕切金具64の上面外周縁部に押し付けられており、仕切金具64が上側シール突部104および上側支持ゴム102を介して、第二の取付金具14によって弾性支持されている。なお、本実施形態では、軸方向上側の軸方向緩衝ゴムが、上側支持ゴム102と上側シール突部104で形成されている。
このように、仕切金具64は、下側支持ゴム98及び下側シール突部100と、上側支持ゴム102及び上側シール突部104とを介して、第二の取付金具14によって弾性的に支持されており、第二の取付金具14に対して軸方向に微小変位を許容されている。更に、仕切金具64の第二の取付金具14に対する軸方向下方への変位は、仕切金具64の外周面が、緩衝ゴム層96の内周面に押し付けられることによって、制限されるようになっている。
このような本実施形態に従う構造とされた自動車用エンジンマウント10では、第二の取付金具14および仕切金具64が、軸方向上方に向かって次第に大径となっている。これにより、外径寸法を制限される第二の取付金具14の下端部を大径化することなく、本体ゴム弾性体16を大径とすることが出来る。それ故、受圧室76の有効ピストン面積を大きく確保することが出来て、振動入力時に、受圧室76の内圧変動を効率的に惹起せしめることが出来る。その結果、第一,第二のオリフィス通路84,91を通じての流体流動が有利に惹起されて、目的とする防振効果が効果的に発揮される。
また、仕切金具64の上下両端が、上側シール突部104と下側シール突部100によって軸方向に弾性支持されている。そして、受圧室76に過大な負圧が及ぼされると、仕切金具64が、受圧室76と平衡室78の相対的な圧力差に基づいて、軸方向上方に吸引変位せしめられるようになっている。これにより、受圧室76の負圧が低減されて、キャビテーションによる気泡の発生を防ぐことが出来る。その結果、キャビテーションに起因する異音を防止して、自動車の車室内における静粛性を確保することが可能となる。
特に本実施形態では、第二の取付金具14の内周テーパ面92に固着された緩衝ゴム層96の内周面と、仕切金具64の外周面との間に、隙間が形成されている。これにより、仕切金具64の外周面と緩衝ゴム層96の内周面との間で摩擦力が作用するのを回避して、仕切金具64の軸方向上方への変位が、容易に許容されるようになっている。それ故、仕切金具64の変位によって発揮される負圧低減効果を、可及的速やかに且つ安定して得ることが出来て、キャビテーションによる異音の発生を効果的に防ぐことが出来る。
さらに、仕切金具64が、下側支持ゴム98と上側支持ゴム102を介して、第二の取付金具14に対して弾性的に取り付けられていると共に、第二の取付金具14と、第二の取付金具14に直接的に取り付けられる硬質の部材(中間固着金具26,固定金具54)が、何れも、受圧室76に露出することなく、ゴム弾性体で覆われている。それ故、受圧室76において、キャビテーション気泡の崩壊による水撃圧が生じた場合にも、この水撃圧に起因する異音が、第二の取付金具14を介して、車両ボデーに伝達されるのを防ぐことが出来る。
一方、受圧室76に対して正圧が及ぼされると、仕切金具64の外周テーパ面94が、第二の取付金具14の内周テーパ面92に対して、緩衝ゴム層96を介して押し付けられて、仕切金具64の軸方向下方への相対変位が制限されるようになっている。これにより、受圧室76の正圧が、仕切金具64の変位によって吸収されるのを防いで、受圧室76と平衡室78の相対的な圧力変動が効率的に惹起されるようになっている。それ故、第一,第二のオリフィス通路84,91を通じての流体流動が有効に発揮されて、目的とする防振効果を得ることが出来る。
また、仕切金具64の軸方向両端面に対して、上側シール突部104と下側シール突部100が、押し付けられており、仕切金具64と緩衝ゴム層96の径方向間の隙間が、受圧室76および平衡室78から流体密に隔てられている。これにより、受圧室76と平衡室78が、仕切金具64と緩衝ゴム層96の間を通じて短絡せしめられるのを防止出来る。更に、軸方向両側においてシールしていることにより、仕切金具64が軸方向に変位せしめられた場合にも、受圧室76と平衡室78の短絡が有効に防止される。それ故、正圧の作用時において、受圧室76の液圧を逃がすことなく確保して、目的とする防振効果を安定して得ることが出来る。
また、本実施形態では、本体ゴム弾性体16が、第二の取付金具14とは別体の一体加硫成形品34として形成されており、一体加硫成形品34における中間固着金具26が、第二の取付金具14に対して嵌め入れられて、かしめ固定されることにより、本体ゴム弾性体16が第二の取付金具14に取り付けられるようになっている。それ故、一体加硫成形品34の第二の取付金具14への組付け前に、仕切金具64を第二の取付金具14の大径側開口部から挿し込むことで、仕切金具64の第二の取付金具14への嵌付けを容易に行うことが出来る。
特に本実施形態では、上側支持ゴム102が、本体ゴム弾性体16と一体形成されていることから、一体加硫成形品34を第二の取付金具14に対して組み付けることによって、仕切金具64が上下の支持ゴム98,102間で弾性的に挟持されるようになっている。このように、第二の取付金具14に対する仕切金具64の弾性的な支持を、特別な作業工程を要することなく実現することが出来る。
しかも、本実施形態では、中間固着金具26の環状当接部30が、第二の取付金具14の固定部42に対して重ね合わされるようになっており、中間固着金具26に固着された上側支持ゴム102が軸方向で確実に位置決めされるようになっている。それ故、上下の支持ゴム98,102(上下のシール突部100,104)を、仕切金具64に対して安定した押付力で当接せしめることが出来る。その結果、仕切金具64の軸方向への変位量を、受圧室76と平衡室78の相対的な圧力差に応じて、精度良く設定することが出来る。
また、本実施形態では、下側支持ゴム98および下側シール突部100が、緩衝ゴム層96と一体形成されている。これにより、部品点数を減らすことが出来ると共に、加硫成形用の金型を減らすことが出来る。更に、本実施形態では、一体形成された下側支持ゴム98と下側シール突部100,緩衝ゴム層96が、第二の取付金具14の内周面に加硫接着されている。これにより、それらを第二の取付金具14と一体的に取り扱うことが可能となって、組付け作業が簡単となると共に、部品数の減少を実現できる。
また、本実施形態では、第一,第二のオリフィス通路84,91が、何れも、仕切金具64の内部を延びるトンネル状の流路によって形成されている。それ故、仕切金具64が第二の取付金具14に対して軸方向に相対変位した場合にも、第一,第二のオリフィス通路84,91が所期の構造に保持されて、目的とする防振性能を安定して確保することが出来る。
次に、図2には、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置の第二の実施形態として、自動車用エンジンマウント106が示されている。なお、以下の説明において、前記第一の実施形態と実質的に同一の部材及び部位については、図中に同一の符号を付すことにより、説明を省略する。
すなわち、エンジンマウント106では、第二の取付金具14の下端開口部に、ダイヤフラム108が加硫接着されている。ダイヤフラム108は、略円板形状乃至は略ドーム形状を有する薄肉のゴム膜で形成されて、その外周部分には、厚肉の下側支持ゴム110が一体形成されている。この下側支持ゴム110は、軸直角方向に広がる略円環板形状を呈しており、その外周縁部が、ブラケット56の外周縁部に重ね合わされている。また、下側支持ゴム110の径方向中間部分には、軸方向上方に向かって突出する下側シール突部100が一体形成されている。更に、下側支持ゴム110の外周縁部には、上方に向かって延び出すように緩衝ゴム層96が一体形成されている。そして、下側支持ゴム110と緩衝ゴム層96の各外周面が、第二の取付金具14の内周面に固着されており、下側支持ゴム110と緩衝ゴム層96と下側シール突部100が、第二の取付金具14を備えた一体加硫成形品として形成されている。要するに、本実施形態では、ダイヤフラム108と、下側支持ゴム110及び下側シール突部100と、緩衝ゴム層96が、一体形成されている。
そして、このような第二の取付金具14を備えた一体加硫成形品に対して、本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品34が組み付けられることにより、本体ゴム弾性体16とダイヤフラム108の軸方向間に流体室62が形成されている。
また、流体室62には、仕切部材としての仕切金具112が配設されている。仕切金具112は、全体として厚肉の略円板形状を有しており、径方向中央部分には、上面に開口する円形凹所114と、下面に開口する中央凹所70が形成されている。更に、仕切金具112の外周縁部には、外周面に開口して周方向に二周弱の長さで延びる、螺旋状の周溝116が形成されている。
そして、仕切金具112は、第二の取付金具14の上側開口部から挿し入れられて、流体室62内に収容配置されている。本実施形態では、仕切金具112の外周面が、緩衝ゴム層96の内周面に押し付けられており、仕切金具112が第二の取付金具14に対して流体密に嵌着されている。これにより、仕切金具112に形成された周溝116の外周側の開口部が、第二の取付金具14によって流体密に覆蓋されて、本実施形態における第一のオリフィス通路84が、周溝116を利用して形成されている。また、仕切金具112は、上下のシール突部100,104の軸方向間に挟み込まれて弾性的に支持されていると共に、それら上下のシール突部100,104によって外周部分が軸方向両側でシールされている。
ここにおいて、本実施形態では、仕切金具112の下端部が、略円筒形状のストレート部120とされており、軸方向に略一定の外径寸法で直線的に延びている。そして、仕切金具112の上部外周面が、軸方向上方に向かって拡径するテーパ形状の外周テーパ面122とされていると共に、仕切金具112におけるストレート部120の外周面が、軸方向に広がる筒状とされている。なお、本実施形態では、二段構造の螺旋状とされた周溝116において、上段部分における上下壁部の外周面が、外周テーパ面122とされていると共に、下段部分における下壁部の外周面が、ストレート部120の外周面である筒状面とされている。
また、第二の取付金具14の内周面は、仕切金具112の外周面に対応する形状とされており、第二の取付金具14の上部内周面が、軸方向上方に向かって次第に拡径する内周テーパ面124とされていると共に、下部内周面が、軸方向に広がる筒状とされている。更に、本実施形態では、第二の取付金具14の外周面が、内周面に対応する形状とされており、第二の取付金具14が、その上部においてテーパ筒形状を有していると共に、下部においてストレートな円筒形状を有している。なお、本実施形態では、緩衝ゴム層96が第二の取付金具14の内周面形状に対応する屈曲した筒形状を有しており、その上部が軸方向上方に向かって次第に拡径するテーパ形状とされていると共に、下部が軸方向に直線的に延びる筒状となっている。
そして、仕切金具112の外周テーパ面122が、緩衝ゴム層96のテーパ部分を介して、第二の取付金具14の内周テーパ面124に重ね合わされることにより、仕切金具112の第二の取付金具14への装着に際して、仕切金具112が、軸直角方向中央に案内されると共に、軸方向で位置決めされるようになっている。また、仕切金具112におけるストレート部120の外周面は、第二の取付金具14の下部内周面に対して、緩衝ゴム層96を介して密着せしめられている。
このような本実施形態に従う構造とされた自動車用エンジンマウント106では、仕切金具112の下端部にストレート部120が設けられていると共に、第二の取付金具14の下部内周面が、ストレート部120の外周面に対応する筒状面とされている。これにより、通常の振動入力によって受圧室76に負圧が及ぼされて、仕切金具112が軸方向上方に変位せしめられた場合に、ストレート部120において第二の取付金具14と仕切金具112の間のシール性が安定して確保される。それ故、第二の取付金具14と仕切金具112の間を通じて、受圧室76と平衡室78が短絡するのを防いで、第一,第二のオリフィス通路84,91による防振効果を有効に発揮させることが出来る。
また、本実施形態では、下側支持ゴム110および下側シール突部100が、ダイヤフラム108の外周部分に一体形成されていると共に、緩衝ゴム層96が、ダイヤフラム108と一体形成されている。これにより、ゴム弾性体で形成された部品の数が少なくなって、製造が容易となる。特に本実施形態では、それら下側支持ゴム110および下側シール突部100と緩衝ゴム層96を備えたダイヤフラム108が、第二の取付金具14を備えた一体加硫成形品として形成されていることから、部品点数の更なる削減を実現することが出来ると共に、組立て作業における部品の取り扱いを容易とすることが出来る。
以上、本発明の幾つかの実施形態について説明してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
具体的には、例えば、前記第一,第二の実施形態では、緩衝ゴム層96と下側支持ゴム98(110)が、一体形成されているが、それら緩衝ゴム層96と下側支持ゴム98(110)は、別体とされていても良い。また、上側支持ゴム102は、必ずしも本体ゴム弾性体16と一体形成されていなくても良い。更に、緩衝ゴム層96は、必ずしも第二の取付金具14の内周面に加硫接着されていなくても良く、例えば、仕切金具64(112)の外周面に加硫接着されていても良い。
また、軸方向緩衝ゴムは、周方向に一定の断面形状を有している必要はなく、例えば、仕切部材に当接せしめられる軸方向緩衝ゴムの軸方向端面が、周方向に波打ち形状乃至は鋸歯形状とされており、仕切部材に対して周上で部分的に当接せしめられていても良い。これによれば、軸方向緩衝ゴムが軸方向に圧縮変形を生じ易くなって、受圧室の圧力変動に対して仕切部材の軸方向変位をより高感度に生ぜしめることが出来る。
また、前記第一,第二の実施形態では、本体ゴム弾性体16が第二の取付金具14とは別体とされていたが、本体ゴム弾性体は、第一,第二の取付部材を備えた一体加硫成形品として形成されていても良い。この場合には、例えば、本体ゴム弾性体の加硫成形後に、第二の取付部材の小径側開口部から仕切部材を挿し入れて、その後、第二の取付部材に縮径加工を施す等して、仕切部材を第二の取付部材に固定することが出来る。
また、前記第二の実施形態では、ストレート部120を有する仕切金具112において、外周面に開口する周溝116を利用した第一のオリフィス通路84を設けた構造が示されている。しかし、例えば、ストレート部を持たない仕切部材において、外周面に開口する周溝を利用したオリフィス通路を設けた構造も、好適に採用される。これによれば、受圧室に過大な負圧が及ぼされて、仕切部材が受圧室側に変位せしめられた場合に、仕切部材と第二の取付部材の間に隙間を形成して、該隙間を通じてオリフィス通路の中間部分を平衡室に短絡させることが出来る。これにより、受圧室と平衡室が、オリフィス通路よりも流動抵抗が小さい短絡状態で相互に連通されて、受圧室の負圧が、平衡室との短絡によって、可及的速やかに解消される。その結果、キャビテーション異音を、より効果的に防ぐことが出来る。
なお、このような構造を採用する場合には、軸方向緩衝ゴム(下側シール突部100)の仕切部材への押付量を適当に調節することが有効である。即ち、通常の振動入力時には、軸方向緩衝ゴムが仕切部材に押し付けられた状態に保持される一方、キャビテーションが発生する程度の大きな振動荷重が入力された場合には、軸方向緩衝ゴムと仕切部材の当接状態が解除されて、それら軸方向緩衝ゴムと仕切部材の間を通じて、オリフィス通路の外周側開口部が平衡室に短絡されるように、軸方向緩衝ゴムの仕切部材への当接力が調節されている。
また、前記第一,第二の実施形態では、本発明に係る流体封入式防振装置を、自動車用のエンジンマウントに適用した例が示されているが、本発明は、例えば、自動車以外の列車や自転車等に用いられる流体封入式防振装置にも適用可能である。更に、本発明は、エンジンマウントにのみ適用されるものではなく、例えば、ボデーマウントや、サスペンションメンバマウント等にも好適に適用され得る。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
本発明の第一の実施形態としての自動車用エンジンマウントを示す縦断面図。 本発明の第二の実施形態としての自動車用エンジンマウントを示す縦断面図。
符号の説明
10,106:エンジンマウント、12:第一の取付金具、14:第二の取付金具、16:本体ゴム弾性体、26:中間固着金具、52,108:ダイヤフラム、64,112:仕切金具、76:受圧室、78:平衡室、84:第一のオリフィス通路、91:第二のオリフィス通路、92,124:内周テーパ面、94,124:外周テーパ面、96:緩衝ゴム層、98,110:下側支持ゴム、100:下側シール突部、102:上側支持ゴム、104:上側シール突部、120:ストレート部

Claims (10)

  1. 第一の取付部材を筒状とされた第二の取付部材の一方の開口部側に離隔配置して、それら第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で弾性連結する一方、該第二の取付部材の他方の開口部を可撓性膜で覆蓋すると共に、該本体ゴム弾性体と該可撓性膜の対向面間には該第二の取付部材によって支持される仕切部材を配設して、該仕切部材を挟んだ一方の側において壁部の一部が該本体ゴム弾性体で構成されて非圧縮性流体が封入された受圧室を形成すると共に、該仕切部材を挟んだ他方の側において壁部の一部が該可撓性膜で構成されて非圧縮性流体が封入された平衡室を形成し、それら受圧室と平衡室を相互に連通するオリフィス通路を設けた流体封入式防振装置において、
    前記第二の取付部材の内周面を前記本体ゴム弾性体側に向かって次第に大径となる内周テーパ面とすると共に、前記仕切部材の外周面を該内周テーパ面に対応する外周テーパ面として、それら内周テーパ面と外周テーパ面を重ね合わせると共に、それら内周テーパ面と外周テーパ面の間にテーパ状緩衝ゴムを介在させる一方、該仕切部材の軸方向両側に該第二の取付部材で支持された一対の軸方向緩衝ゴムを設けて、それら一対の軸方向緩衝ゴムの間に該仕切部材を挟持せしめることにより該仕切部材を該第二の取付部材によって弾性的に支持せしめたことを特徴とする流体封入式防振装置。
  2. 前記本体ゴム弾性体が円錐台形状を有しており、該本体ゴム弾性体の小径側端部に前記第一の取付部材が加硫接着されている一方、該本体ゴム弾性体の大径側端部外周面には円環形状の環状組付金具が加硫接着されており、該環状組付金具が前記第二の取付部材の一方の開口部から軸方向内方に入り込んで該第二の取付部材に対して組み付けられていると共に、該環状組付金具において該第二の取付部材の軸方向内方に入り込んだ先端部分には、前記軸方向緩衝ゴムの一方が該本体ゴム弾性体と一体形成されている請求項1に記載の流体封入式防振装置。
  3. 前記一対の軸方向緩衝ゴムの他方が前記可撓性膜と一体形成されており、該軸方向緩衝ゴムが前記仕切部材の小径側端面における外周縁部に当接せしめられている請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
  4. 前記一対の軸方向緩衝ゴムの何れか一方が前記テーパ状緩衝ゴムと一体形成されている請求項1乃至3の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
  5. 前記テーパ状緩衝ゴムが前記可撓性膜と一体形成されている請求項1乃至4の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
  6. 前記第二の取付部材の前記内周テーパ面に前記テーパ状緩衝ゴムが固着されている請求項1乃至5の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
  7. 前記第二の取付部材における前記内周テーパ面と前記仕切部材における前記外周テーパ面の何れか一方が、前記テーパ状緩衝ゴムに対して隙間をもって配置されている請求項1乃至6の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
  8. 前記仕切部材の小径側端部には、外径寸法を一定とされたストレート部が軸方向下方に向かって延びるように一体形成されている請求項1乃至7の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
  9. 前記オリフィス通路が前記仕切部材の内部を延びるトンネル構造とされている請求項1乃至8の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
  10. 前記第二の取付部材における前記本体ゴム弾性体側の開口端部に第一のかしめ部を設けると共に、前記可撓性膜側の開口端部に第二のかしめ部を設けて、該第一のかしめ部を該第二のかしめ部よりも該第二の取付部材の軸直角方向で外方に突出させた請求項1乃至9の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
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