JP2009085314A - 流体封入式防振装置 - Google Patents

流体封入式防振装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2009085314A
JP2009085314A JP2007254814A JP2007254814A JP2009085314A JP 2009085314 A JP2009085314 A JP 2009085314A JP 2007254814 A JP2007254814 A JP 2007254814A JP 2007254814 A JP2007254814 A JP 2007254814A JP 2009085314 A JP2009085314 A JP 2009085314A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rubber film
elastic
partition member
fluid
pressure receiving
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2007254814A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4986292B2 (ja
Inventor
Tatsuya Suzuki
達也 鈴木
Hideki Oshima
英揮 大嶋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Riko Co Ltd filed Critical Sumitomo Riko Co Ltd
Priority to JP2007254814A priority Critical patent/JP4986292B2/ja
Publication of JP2009085314A publication Critical patent/JP2009085314A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4986292B2 publication Critical patent/JP4986292B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Combined Devices Of Dampers And Springs (AREA)

Abstract

【課題】可動ゴム膜の有効面積を充分に確保しつつ、部品点数や製造工程の増加を伴うこともなく、且つ優れた耐久性も確保しつつ、過大な振動荷重入力時における異音の発生を防止することの出来る、新規な構造の液圧吸収機構を備えた流体封入式防振装置を提供する。
【解決手段】可動ゴム膜82の外周縁部を全周に亘って両面上に突出させて環状の厚肉挟持部88を一体形成せしめ、第二の取付部材14に対して固定的に設けられた支持部材104によって厚肉挟持部88の軸方向両側面と外周面を何れも支持部材104に対して押圧当接させて厚肉挟持部88を全周に亘って弾性変形させて縮径方向に予圧縮せしめて支持することにより、厚肉挟持部88の内周側の薄肉部90において弾性変形が許容される状態で可動ゴム膜82を配設した。
【選択図】図1

Description

振動伝達系を構成する部材間に介装されて、それらを弾性連結乃至は弾性支持せしめる防振装置であって、特に、内部に封入された非圧縮性流体の流動作用に基づく防振効果を利用した流体封入式防振装置に関する。
従来から、受圧室と平衡室をオリフィス通路で連通せしめた流体封入式防振装置において、オリフィス通路のチューニング周波数よりも高周波数域の防振性能を向上させる目的で設けられる液圧吸収機構が知られている。また、かかる液圧吸収機構の一種として、ゴム弾性体からなる可動ゴム膜を用い、その各一方の面に受圧室と平衡室の圧力が及ぼされるようにすることで、受圧室と平衡室の圧力差に基づく可動ゴム膜の弾性変形に基づいて受圧室の微小な圧力変動を吸収するようにした構造が知られている。
そして、この可動ゴム膜による液圧吸収機構においては、一般に、可動ゴム膜の外周縁部を厚肉の環状挟持部とし、この環状挟持部を挟圧支持することによって、受圧室と平衡室の間での自由な流体流動を阻止せしめた状態で、可動ゴム膜が配設されている。
また、可動ゴム膜としては、その中央部分において厚さ方向両側に突出する弾性突出部を一体形成せしめて、かかる弾性突出部を、第二の取付部材に対して固定的に設けられた当接部材に対して対向位置させて、当接部材に対して弾性的に当接せしめた構造が好適に採用され得る。これは、可動ゴム膜の弾性変形量の制限を、当接部材への当接打音を低減乃至は防止せしめつつ、実現し得るという技術的な効果を達成するものである。
ところが、このような可動ゴム膜による液圧吸収機構について、本発明者が検討したところ、新たな問題が明らかとなった。即ち、かかる液圧吸収機構を備えた流体封入式防振装置に対して衝撃的な大振動荷重が入力された場合に、異音の発生が問題となるおそれのあることが認められたのである。
この異音の原因が何処にあるのかは、簡単に判るものではなかったが、本発明者が防振装置を切断分解して詳細に調査検討した結果、可動ゴム膜の環状挟持部が支持部材に対して傾動等して擦れることに伴って発生するスティックスリップ音が原因で発生するのであろうという知見を得るに至った。即ち、衝撃的な大振動荷重の入力によって受圧室に過大な圧力変動が惹起された場合に、可動ゴム膜に対して大きな変形が発生し、それが外周縁部の環状挟持部に対して径方向斜め内方への引張力として作用することによって環状挟持部が傾動することとなり、その結果、環状挟持部とそれを挟持する支持部材との間に滑りが発生することが、異音であるスティックスリップ音の原因であろうことを見出したのである。
特に可動ゴム膜において、上述の如き弾性突出部が設けられて、可動ゴム膜の中央の変形量が制限されている場合には、かかる異音の発生がより顕著になることも、新たに判った。なお、かかる事実は、可動ゴム膜の中央部分に弾性突出部が設けられて中央部分の変位量が制限される構造を採用した場合に、可動ゴム膜における薄肉部の有効自由長が小さく(中央の弾性突出部がない状態では、径方向の有効自由長が環状支持部の内径寸法に略等しくされるが中央の弾性突出部で可動ゴム膜の中央が実質的に拘束されてしまうことでその有効自由長が略半分に)なってしまう。そのために、「延び変形量/薄肉部の有効自由長」または「剪断変形量/薄肉部の有効自由長」で求められる引張歪または剪断歪が大きくなり、その結果、環状支持部に対して斜め方向に及ぼされて該環状支持部を傾動させる力が一層大きくなる傾向にあることに起因するのであろうことが、新たに判った。
なお、可動ゴム膜の環状挟持部における支持部材に対する傾動スリップを防止する方策として、(i)環状挟持部のボリュームを大きくして剛性を向上させること、(ii)特開平9−310732号公報(特許文献1)に開示されているように環状挟持部の内周面を支持部材で挟んで環状挟持部の傾動を阻止すること、(iii)特開2006−258184号公報(特許文献2)に開示されているように可動ゴム膜の外周面に環状嵌着金具を加硫接着し、該環状嵌着金具を支持部材に圧入固定すること、等が考えられる。
しかしながら、上記(i),(ii)は、何れも、可動ゴム膜の有効面積が小さくなって目的とする液圧吸収機能延いては防振性能が低下する問題がある。また、上記(iii)は、別体の環状嵌着金具が必要となって部品点数が増加するだけでなく、加硫接着工程や加硫後の環状嵌着金具の絞り加工工程等の特別な製造工程が必要となる問題がある。加えて、これら(i),(ii),(iii)の何れにおいても、可動ゴム膜の環状挟持部の固定強度が大きくなることに伴い、可動ゴム膜の薄肉部分と環状挟持部との境界部分に対する応力集中が大きくなって亀裂等が発生し易くなり、可動ゴム膜の耐久が低下してしまうおそれがある。
特開平9−310732号公報 特開2006−258184号公報
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、可動ゴム膜の外周縁部が挟圧保持されると共に、可動ゴム膜の中央部分の弾性変形量が制限された特定構造の液圧吸収機構を備えた流体封入式防振装置において、可動ゴム膜の有効面積を充分に確保しつつ、部品点数や製造工程の増加を伴うこともなく、且つ優れた耐久性も確保しつつ、過大な振動荷重入力時における異音の発生を防止することの出来る、新規な構造の液圧吸収機構を備えた流体封入式防振装置を提供することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意な組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載されたもの、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
すなわち、本発明は、第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結すると共に、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された受圧室と、可撓性膜で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された平衡室を形成して、それら受圧室と平衡室をオリフィス通路によって相互に連通すると共に、それら受圧室と平衡室の間に可動ゴム膜を配設して該可動ゴム膜の一方の面に該受圧室の圧力が及ぼされるようにすると共に該可動ゴム膜の他方の面に該平衡室の圧力が及ぼされるようにすることにより該受圧室の微小な圧力変動を吸収する液圧吸収機構を構成し、更に、該可動ゴム膜の中央部分において両側面上に突出する弾性突出部を一体形成すると共に、該弾性突出部に対してその突出方向で対向位置して該弾性突出部の当接によって該可動ゴム膜の弾性変形量を制限する当接部材を設けた流体封入式防振装置において、前記可動ゴム膜の外周縁部を全周に亘って両面上に突出させて環状の厚肉挟持部を一体形成せしめ、前記第二の取付部材に対して固定的に設けられた支持部材によって該厚肉挟持部の軸方向両側面と外周面を何れも該支持部材に対して押圧当接させて該厚肉挟持部を全周に亘って弾性変形させて縮径方向に予圧縮せしめて支持することにより、該厚肉挟持部の内周側の薄肉部において弾性変形が許容される状態で該可動ゴム膜を配設したことを特徴とする。
このような本発明に従う構造の流体封入式防振装置においては、厚肉挟持部に対して縮径方向の予圧縮を加えた状態で可動ゴム膜を組み付けることにより、可動ゴム膜において厚肉挟持部の内周側に位置する薄肉部にも、径方向で応力的な圧縮が及ぼされており、僅かな弛みが生ぜしめられている。
これにより、過度な荷重入力に際して、可動ゴム膜の薄肉部に大きな変形が惹起された場合でも、薄肉部自体に発生する応力の幾らかが初期圧縮で相殺される結果、薄肉部に発生する引張応力が低減される。その結果、薄肉部から厚肉挟持部に対して伝達される力(傾動力)を抑えることが出来る。
また、厚肉挟持部においても、薄肉部から伝達される斜めこじり方向への力が、初期圧縮力による相殺的効果で軽減されることに加えて、厚肉挟持部自体の剛性が、その径方向の予圧縮によって向上されており、更に、厚肉挟持部の予圧縮の反力(弾性力)によって厚肉挟持部が支持部材に押圧当接されており、厚肉挟持部に作用せしめられる支持部材による固定力が増大されている。
その結果、厚肉挟持部が、支持部材に対して固定的に支持されるのであり、厚肉挟持部の傾動に起因すると考えられるスティックスリップ等の異音の発生が防止される。特に、上述の如き異音を防止し得る構造を弾性ゴム膜における薄肉部の有効自由長を大きく確保しつつ実現することが出来て、目的とする液圧吸収機能延いては防振性能を得ることが出来る。
しかも、厚肉挟持部と薄肉部との境界部分には、厚肉挟持部に及ぼされた縮径方向の圧縮力が薄肉部に対しても縮径方向の圧縮力として及ぼされていることから、かかる境界部分に対して、薄肉部の弾性変形に伴う引張力が作用した場合でも、その引張力が予圧縮で相対的に軽減される。その結果、境界部分に発生する応力が軽減されることから、上述の如く、厚肉挟持部の実質的な支持強度乃至は剛性が向上されても、かかる境界部分における亀裂の発生が抑えられ、耐久性の向上が図られ得る。
加えて、厚肉挟持部には、嵌着金具等を加硫接着する必要がなく、可動ゴム膜がゴム単体構造とされることから、製造や組付けが容易となる。
また、本発明に係る流体封入式防振装置においては、前記厚肉挟持部の縮径方向の予圧縮が、該厚肉挟持部の外径寸法において1〜5%の範囲に設定されていることが望ましい。
このように厚肉挟持部に対して縮径方向で適当な予圧縮を及ぼすことにより、スティックスリップ等の異音の防止効果と、可動ゴム膜の耐久性向上効果を、何れも効果的に得ることが出来る。蓋し、厚肉挟持部の縮径量が小さ過ぎる場合には、厚肉挟持部の傾動を充分に防ぐことが出来ないおそれがあって、スティックスリップ音が問題となる場合がある一方、厚肉挟持部の縮径量が大き過ぎる場合には、予圧縮による変形によって厚肉挟持部の歪が大きくなって亀裂が生じる等の問題を生じる場合があるからである。
また、本発明に係る流体封入式防振装置においては、前記弾性突出部には、前記可動ゴム膜の両側面に貫通して延びるリリーフ用孔が形成されていると共に、該リリーフ用孔における前記受圧室側への開口端面に対して、該受圧室内の負圧の作用によって該開口端面から離隔変位可能とされた弁部材が重ね合わされて覆蓋されている一方、該リリーフ用孔の内部が前記平衡室に対して常時連通されていても良い。
このような態様では、可動ゴム膜に形成されたリリーフ用孔が、受圧室内の負圧レベルに応じて作動する弁部材によって、連通状態と遮断状態に切り換えられるようになっている。そして、キャビテーション気泡の発生が懸念される程度の過大な負圧が受圧室内に及ぼされた場合には、オリフィス通路に比して流動抵抗の小さいリリーフ用孔が連通状態とされて、リリーフ用孔を通じて受圧室と平衡室の間で流体流動が生ぜしめられるようになっている。これにより、受圧室内の負圧が速やかに解消されて、キャビテーションに起因すると考えられる異音や振動の発生を速やかに解消することが出来る。
一方、本発明に係る流体封入式防振装置においては、前記弾性突出部には、前記可動ゴム膜の両側面に貫通して延びるリリーフ用孔が形成されていると共に、該リリーフ用孔の内部が前記受圧室に対して常時連通されている一方、該リリーフ用孔における前記平衡室側への開口端面に対して前記当接部材が重ね合わされて覆蓋されていても良い。
このようなリリーフ用孔を備えた構造を採用することにより、衝撃的な大荷重の入力によって、本体ゴム弾性体が大きく弾性変形せしめられ、それに伴って受圧室内にキャビテーション気泡の発生が問題となる程度の過大な負圧が作用せしめられた場合には、リリーフ用孔を設けられた弾性突出部の平衡室側端面が当接部材から離隔せしめられて、リリーフ用孔が連通状態とされる。これにより、受圧室と平衡室の間でリリーフ用孔を通じて流体が流動せしめられて、受圧室の負圧が速やかに解消される。これにより、キャビテーションに起因すると考えられる異音や振動を低減乃至は回避することが出来る。
また、本発明に係る流体封入式防振装置においては、前記第二の取付部材に対して固定的に支持されて前記受圧室と前記平衡室を仕切る仕切部材が設けられており、該仕切部材の中央部分に前記可動ゴム膜が配設されていると共に、該仕切部材によって前記当接部材および前記支持部材が構成されている一方、該仕切部材の外周部分に前記オリフィス通路が形成されていても良い。
このように受圧室と平衡室を仕切る仕切部材を利用して当接部材と支持部材を構成することにより、当接部材や支持部材を設けるために特別に部品点数を増やす必要がない。従って、少ない部品点数と簡単な構造で本発明に係る流体封入式防振装置を実現することが出来る。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図1には、本発明に係る流体封入式防振装置の第一の実施形態として、自動車用エンジンマウント10が示されている。このエンジンマウント10は、第一の取付部材としての第一の取付金具12と第二の取付部材としての第二の取付金具14を本体ゴム弾性体16で相互に連結した構造を有している。そして、第一の取付金具12が振動伝達系を構成する一方の部材である図示しないパワーユニットに取り付けられると共に、第二の取付金具14が振動伝達系を構成する他方の部材である図示しない車両ボデーに取り付けられることにより、パワーユニットがボデーに対して防振支持されるようになっている。
なお、図1では、自動車に装着する前のエンジンマウント10の単体での状態が示されているが、本実施形態では、装着状態において、パワーユニットの分担支持荷重がマウント軸方向(図1中、上下)に入力される。従って、マウント装着状態下では、本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づき第一の取付金具12と第二の取付金具14が軸方向で互いに接近する方向に変位する。また、かかる装着状態下、防振すべき主たる振動は、略マウント軸方向に入力されることとなる。以下の説明中、特に断りのない限り、上下方向は、マウント軸方向となる図1中の上下方向をいう。
より詳細には、第一の取付金具12が、小径の略円柱形状乃至は円錐台形状を呈していると共に、その中央部分には上端面に開口する螺子穴18が設けられている。第一の取付金具12は、螺子穴18を介して図示しないパワーユニット側の取付部材に螺着固定されるようになっている。
一方、第二の取付金具14が、大径の略円筒形状を有しており、その軸方向中間部分において軸直角方向内方に略円環板形状に広がる段差部20が形成されていると共に、段差部20の内周縁部から上方に向かう部位には、上方から下方に向かって径寸法が次第に小さくなるテーパ状部22が形成されている。第二の取付金具14は、図示しないブラケットを介して車両ボデー側の取付部材に固定されるようになっている。
このような第二の取付金具14のテーパ状部22を備えた開口部側に第一の取付金具12が離隔配置されて、両金具12,14の中心軸が略同一線上に位置せしめられている。第一の取付金具12と第二の取付金具14の間には、本体ゴム弾性体16が配されている。
本体ゴム弾性体16は、略円錐台形状を有しており、その大径側端面には、下方に開口するすり鉢形状乃至は半球形状の大径凹所24が設けられている。本体ゴム弾性体16の小径側端面には、第一の取付金具12の軸方向中間部分から下端部にかけての略全体が埋設された状態で加硫接着されている。本体ゴム弾性体16の大径側端部外周面には、第二の取付金具14のテーパ状部22の内周面が略全体に亘って加硫接着されている。また、本体ゴム弾性体16と一体形成された薄肉のシールゴム層26が、第二の取付金具14の段差部20から下端部にかけての内周面の略全体に亘って被着形成されている。即ち、本体ゴム弾性体16は、第一の取付金具12と第二の取付金具14を備えた一体加硫成形品として形成されており、それによって、第一の取付金具12と第二の取付金具14が、本体ゴム弾性体16で相互に弾性的に連結されていると共に、第二の取付金具14の軸方向一方(図1中、上)の開口部が本体ゴム弾性体16によって流体密に閉塞されている。
第二の取付金具14の軸方向他方(図1中、下)の開口部には、可撓性膜としてのダイヤフラム28が設けられている。ダイヤフラム28は、変形容易な薄肉のゴム膜からなり、軸方向に弛んだ略円板形状を有している。ダイヤフラム28の外周縁部には、大径の円筒形状の固定リング30が加硫接着されており、固定リング30が第二の取付金具14の下方の開口部に嵌め込まれて、第二の取付金具14に八方絞り等の縮径加工が施されていることにより、固定リング30が、径方向に圧縮変形されたシールゴム層26を介して第二の取付金具14に密着状に嵌着固定されている。
これにより、ダイヤフラム28が第二の取付金具14に固定されて、第二の取付金具14の軸方向他方(図1中、下)の開口部がダイヤフラム28で流体密に覆蓋されていると共に、第二の取付金具14の内側における本体ゴム弾性体16とダイヤフラム28の軸方向対向面間には、外部空間に対して密閉された流体封入領域32が形成されている。
また、流体封入領域32には、仕切部材34が第二の取付金具14に支持されて配設されている。仕切部材34は、図2〜4にも示されているように、全体として円形ブロック形状を有しており、仕切部材本体36や蓋板金具38および弁板金具40を含んで構成されている。
仕切部材本体36は、円形ブロック形状を有していると共に、金属材や合成樹脂材等の硬質材を用いて形成されている。仕切部材本体36の中央部分には、仕切部材本体36の軸方向中間部分から上方に開口する収容凹所42と下方に開口する下側凹所44が、それぞれ形成されている。これらの凹所42,44は、何れも円形凹状を有していると共に、下側凹所44の径寸法が収容凹所42の径寸法に比して大きくされている。また、仕切部材本体36の軸方向中間部分において、両凹所42,44の底壁部を構成する薄肉の円板形状の底部46の中央周りには、複数の小孔からなる透孔48が貫設されている。更に、仕切部材本体36の外周部分には、周方向に螺旋状に延びる周溝50が形成されており、周溝50の両端部が、仕切部材本体36の上端部に形成された切欠き状の連通窓52と、下端部に形成された切欠き状の図示しない連通窓に接続されている。また、仕切部材本体36の収容凹所42の周りの上端部分には、周方向に離隔して複数(本実施形態では3つ)の突部56が突設されている。
ここで、仕切部材本体36の収容凹所42の底部46の中心軸上には、軸方向に略一定の円形断面で延びる第一の接続孔58が形成されており、該第一の接続孔58の周りに前述の透孔48が形成されている。
一方、蓋板金具38は、図2,3にも示されているように、薄肉の円板形状を有しており、硬質の金属材を用いて形成されている。また、蓋板金具38の中心軸上には、略一定の円形断面で中央部分を貫通する第二の接続孔60が形成されている。更に、第二の接続孔60の周囲には、複数の小孔からなる透孔62が貫通形成されている。また、蓋板金具38の外周縁部には、切欠き状の連通窓64が形成されている。更に、蓋板金具38の外周部分には、周方向に離隔して複数(本実施形態では3つ)の挿通孔66が貫設されている。このような蓋板金具38は、例えば、鉄やアルミニウム合金等で形成された金属板にプレス加工を施すことにより有利に実現される。
また、弁板金具40は、図2,3にも示されているように、薄肉の円環板形状を有する保持板部68を備えている。この保持板部68は、蓋板金具38と略同じ外径を有しており、特に、ばね鋼等の比較的にばね定数が高くて、且つ硬質の金属材を用いて形成されている。また、保持板部68の外周縁部には、切欠き状の連通窓70が形成されている。更に、保持板部68には、周上の複数箇所(本実施形態では3箇所)において小径の円形孔である挿通孔72が貫通形成されている。
また、保持板部68の周上の一部には、径方向内側に向かって延びる弁部材としての板ばね弁74が一体形成されている。この板ばね弁74は、図2にも示されているように、径方向内側に向かって径方向で直線的に延びており、弁板金具40の中央まで至る長さで形成されている。また、板ばね弁74の先端部分には、厚さ方向で貫通する連結孔76が形成されている。なお、本実施形態において、板ばね弁74は、延出方向(弁板金具40の径方向)の中間部分が僅かに折り曲げられており、かかる折り曲げ部分よりも先端側が、突出先端側である径方向中央側に向かって下傾せしめられている。
さらに、板ばね弁74の先端部分における一方の面(図3における上面)には、係合ゴム78が形成されると共に、他方の面(図3における下面)には、当接ゴム80が形成されている。係合ゴム78は、略円錐台形状を有しており、大径側端部の外径が連結孔76よりも大きくなっている。一方、当接ゴム80は、連結孔76よりも大径とされた薄肉の略円板形状を有しており、連結孔76を通じて係合ゴム78と一体形成されている。なお、本実施形態では、当接ゴム80が係合ゴム78の大径側端部よりも充分に大径とされている。
また、仕切部材本体36の収容凹所42には、可動ゴム膜としての弾性ゴム膜82が収容されている。弾性ゴム膜82は、図4にも示されているように、ゴム弾性材からなり、全体として略円板形状を有している。
また、弾性ゴム膜82の径方向中央部分には、厚さ方向両側に向かって突出する弾性突出部としての中央突部84が形成されている。中央突部84は、略円筒形状を有して軸方向両側に突出しており、弾性ゴム膜82に一体形成されている。更に、本実施形態において、筒状とされた中央突部84の中央孔を利用して、軸方向に延びるリリーフ用孔としての貫通孔86が形成されている。この貫通孔86は、略一定の円形断面をもって中央突部84の径方向中央部を直線的に延びており、中央突部84の上端面と下端面にそれぞれ開口するように軸方向で貫通して形成されている。
また、弾性ゴム膜82の外周縁部には、厚肉挟持部としての環状突部88が一体形成されている。環状突部88は、円環形状を有しており、弾性ゴム膜82の外周縁部において全周に亘って厚さ方向両側に突出せしめられている。なお、環状突部88は、中央突部84の外周側を取り囲むように形成されており、本実施形態では、中央突部84と環状突部88が軸方向視で同心状に設けられている。
また、弾性ゴム膜82において、中央突部84と環状突部88の径方向間に位置する部分が、それら中央突部84および環状突部88の形成部分よりも薄肉の膜状とされた薄肉部90となっている。薄肉部90は、略一定の厚さで形成された略円環板形状を有しており、内周縁部に中央突部84が一体形成されていると共に、外周縁部に環状突部88が一体形成されている。
このような弾性ゴム膜82が仕切部材本体36の収容凹所42に嵌め込まれている。本実施形態では、弾性ゴム膜82が仕切部材本体36と略同心状に位置決め配置されるようにして収容凹所42に収容配置されている。それによって、仕切部材本体36の第一の接続孔58と弾性ゴム膜82の貫通孔86が略同一中心軸上に位置せしめられている。
また、弾性ゴム膜82を収容配置した仕切部材本体36の上端面に蓋板金具38の外周部分が重ね合わせられると共に、蓋板金具38の上端面に弁板金具40が重ね合わせられることによって、仕切部材34が構成されている。かかる組付け下、仕切部材本体36の複数の突部56が蓋板金具38および弁板金具40に設けられた複数の挿通孔66,72に挿通されていることで、仕切部材本体36と蓋板金具38と弁板金具40の周方向の位置決めが確定して、仕切部材本体36の連通窓52に蓋板金具38の連通窓64と弁板金具40の連通窓70が重ね合わせられている。
また、仕切部材本体36に対する蓋板金具38と弁板金具40の組付け下において、仕切部材本体36と蓋板金具38が軸直角方向で位置決めされており、仕切部材本体36の収容凹所42に収容配置された弾性ゴム膜82と蓋板金具38が軸直角方向で位置決めされていると共に、弾性ゴム膜82の貫通孔86と蓋板金具38の第二の接続孔60が略同一中心軸上に位置せしめられている。
このような構造とされた仕切部材34は、前述のダイヤフラム28の第二の取付金具14への組付けに先立って、第二の取付金具14の下方の開口部から軸方向に嵌め込まれて、仕切部材34の蓋板金具38の外周部分が第二の取付金具14の段差部20にシールゴム層26を介して重ね合わせられている。また、仕切部材34の仕切部材本体36の下端部分には、第二の取付金具14に嵌め込まれたダイヤフラム28の固定リング30が重ね合わせられている。そして、第二の取付金具14に八方絞り等の縮径加工が施されることによって、第二の取付金具14の縮径変形に基づき、仕切部材本体36の外周面や蓋板金具38の外周面が軸直角方向に圧縮変形したシールゴム層26を介して第二の取付金具14の内周面に重ね合わせられていると共に、該シールゴム層26の軸直角方向の圧縮変形に伴う軸方向の引張変形によって、仕切部材34の外周部分が第二の取付金具14の段差部20とダイヤフラム28の固定リング30の間に挟圧固定されている。また、段差部20に被着されたシールゴム層26が軸方向に圧縮変形しつつ、蓋板金具38の外周部分と段差部20の重ね合わせ面間に介装されていることによって、それらが流体密に重ね合わせられている。
これにより、仕切部材本体36や蓋板金具38や弁板金具40からなる仕切部材34に弾性ゴム膜82が組み付けられたものが、第二の取付金具14に固定的に支持されて、第二の取付金具14の内側の流体封入領域32を流体密に二分している。そして、流体封入領域32の仕切部材34を挟んだ一方の側には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されて、本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づき圧力変動が生ぜしめられる受圧室92が形成されていると共に、他方の側には、壁部の一部がダイヤフラム28で構成された平衡室94が形成されている。
これら受圧室92や平衡室94には、非圧縮性流体が封入されている。封入流体としては、例えば水やアルキレングリコール, ポリアルキレングリコール, シリコーン油等が採用されるが、特に流体の共振作用等の流動作用に基づく防振効果を有効に得るためには、0.1Pa・s以下の低粘性流体を採用することが望ましい。受圧室92や平衡室94への非圧縮性流体の封入は、例えば、第一及び第二の取付金具12,14を備えた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品に対する仕切部材34やダイヤフラム28の組付けを非圧縮性流体中で行うことによって、好適に実現される。
また、仕切部材本体36の周溝50が第二の取付金具14で流体密に覆蓋されて、周溝50の周方向一方の端部が、周方向で位置合わせされた仕切部材本体36の連通窓52および蓋板金具38の連通窓64を通じて受圧室92に接続されていると共に、周溝50の周方向他方の端部が、仕切部材本体36の図示しない連通窓を通じて平衡室94に接続されている。これにより、仕切部材本体36の外周側を周方向に所定の長さで螺旋状に延びるオリフィス通路96が形成されており、かかるオリフィス通路96を通じて受圧室92と平衡室94が相互に連通せしめられて、それら両室92,94間で、オリフィス通路96を通じての流体流動が許容されるようになっている。
本実施形態では、オリフィス通路96を通じて流動せしめられる流体の共振周波数が、該流体の共振作用に基づいてエンジンシェイク等に相当する10Hz前後の低周波数域の振動に対して有効な防振効果(高減衰効果)が発揮されるようにチューニングされている。オリフィス通路96のチューニングは、例えば、受圧室92や平衡室94の各壁ばね剛性、即ちそれら各室92,94を単位容積だけ変化させるのに必要な圧力変化量に対応する本体ゴム弾性体16やダイヤフラム28等の各弾性変形量に基づく特性値を考慮しつつ、オリフィス通路96の通路長さと通路断面積を調節することによって行うことが可能であり、一般に、オリフィス通路96を通じて伝達される圧力変動の位相が変化して略共振状態となる周波数を、当該オリフィス通路96のチューニング周波数として把握することが出来る。
また、蓋板金具38が仕切部材本体36の上端部に密着状に重ね合わせられて、仕切部材本体36の収容凹所42が蓋板金具38で覆蓋されることによって、仕切部材34の中央部分において蓋板金具38や仕切部材本体36の収容凹所42で画設された空間には、収容領域98が形成されている。なお、収容領域98の形成は、仕切部材34が第二の取付金具14に固定される前に、蓋板金具38が仕切部材本体36の上端部に密着状に重ね合わせられて固定されることによって形成されても良く、或いは仕切部材34が第二の取付金具14に取り付けられる際に、第二の取付金具14の段差部20とダイヤフラム28の固定リング30の軸方向間に及ぼされる挟圧作用を利用して、蓋板金具38が仕切部材本体36の上端部に密着状に重ね合わせられることで形成されても良い。
この収容領域98には、弾性ゴム膜82が収容配置されている。弾性ゴム膜82は、収容領域98において軸直角方向に広がっており、仕切部材本体36に対して略同心状に配設されている。
また、弾性ゴム膜82における中央突部84の軸方向寸法:Tが、収容凹所42の底部46とそれに対向する蓋板金具38との対向面間距離、換言すれば収容領域98の軸方向での内法寸法:tよりも大きくなっている。これにより、弾性ゴム膜82の収容領域98に対する組付け状態下では、中央突部84が、底部46と蓋板金具38に対してそれぞれ押圧当接せしめられており、それら底部46と蓋板金具38の軸方向対向面間で軸方向に圧縮変形せしめられている。このように、中央突部84の軸方向両端面が仕切部材34を構成する仕切部材本体36の底部46と蓋板金具38に当接せしめられていることにより、弾性ゴム膜82の軸方向での弾性変形量が制限されており、本実施形態における当接部材が仕切部材34によって構成されている。
さらに、弾性ゴム膜82における環状突部88の軸方向寸法が中央突部84の軸方向寸法と略同じであるTとされており、収容凹所42の底部46とそれに対向する蓋板金具38との対向面間距離:tよりも大きくなっている。これにより、弾性ゴム膜82の収容領域98に対する組付け状態下では、環状突部88が、底部46と蓋板金具38に対してそれぞれ押圧当接せしめられており、それら底部46と蓋板金具38の軸方向対向面間で軸方向に圧縮変形せしめられて挟持されている。換言すれば、環状突部88の軸方向両端面が仕切部材34を構成する仕切部材本体36の底部46と蓋板金具38に当接せしめられている。
なお、中央突部84と環状突部88の軸方向寸法は、必ずしも同じではなくても良く、例えば環状突部88を中央突部84よりも軸方向外側まで突出せしめて圧縮量を大きく得ることにより、環状突部88の固定的な保持をより効果的に実現することも出来る。
このように、中央突部84と環状突部88の軸方向両端面が仕切部材本体36の底部46と蓋板金具38に対して軸方向で押圧当接せしめられることにより、弾性ゴム膜82の径方向中央部分と外周縁部が、仕切部材本体36と蓋板金具38によって支持されている。
また、本実施形態では、仕切部材34における収容領域98の受圧室92側の壁部が、蓋板金具38を含んで構成されており、蓋板金具38の透孔62を通じて弾性ゴム膜82の径方向中間部分の一方(図1中、上)の面に受圧室92の圧力が及ぼされるようになっていると共に、仕切部材34の収容領域98の平衡室94側の壁部が、仕切部材本体36の底部46を含んで構成されており、該底部46の透孔48を通じて弾性ゴム膜82の径方向中間部分の他方(図1中、下)の面に平衡室94の圧力が及ぼされるようになっている。
これにより、弾性ゴム膜82の中央部分と外周部分が拘束された状態下、受圧室92と平衡室94の相対的な圧力差が弾性ゴム膜82に及ぼされて、弾性ゴム膜82の径方向中間部分が弾性変形すると、受圧室92の圧力変動が吸収されるようになっている。即ち、本実施形態に係る液圧吸収機構が、弾性ゴム膜82や仕切部材本体36の透孔48、蓋板金具38の透孔62を含んで構成されている。特に本実施形態では、アイドリング振動や低速こもり音等に相当する20〜40Hz程度の中周波数域の振動入力に際して、弾性ゴム膜82の弾性変形による受圧室92の圧力変動吸収効果に基づく防振効果(低動ばね特性に基づく振動絶縁効果)が有効に発揮されるように、弾性ゴム膜82の固有振動数がチューニングされている。
ここにおいて、弾性ゴム膜82の外径寸法:Lは、仕切部材本体36に形成された収容凹所42の径寸法:lに比して大きくなっている。これにより、弾性ゴム膜82が収容凹所42に嵌め込まれると、弾性ゴム膜82の外周面、換言すれば環状突部88の外周面が収容凹所42の内周面に対して押圧当接されて、径方向での圧縮力が弾性ゴム膜82に対して予め作用せしめられる。そして、弾性ゴム膜82の収容領域98への配設下において、弾性ゴム膜82の環状突部88が所定量(径方向でL−lに相当する量)だけ縮径せしめられていると共に、薄肉部90に対して縮径方向の予圧縮力が及ぼされている。以上より明らかなように、本実施形態における支持部材が仕切部材34によって構成されている。
なお、本実施形態では、弾性ゴム膜82に作用せしめられた予圧縮力によって、薄肉部90には図示されない程度の微小な弾性変形が生ぜしめられており、薄肉部90に作用する引張応力が緩和されていると共に、軸方向で僅かに弛められている。これにより、薄肉部90は、軸方向での弾性変形を比較的容易に許容し得るようになっている。弾性ゴム膜82が径方向で予圧縮されることによって、薄肉部90が弛みを生じることなく径方向で圧縮されていても良い。
特に本実施形態では、予圧縮後における弾性ゴム膜82の外径:lが、予圧縮前における弾性ゴム膜82の外径:Lの95%よりも大きく、且つ99%よりも小さくなっている。これにより、後述するスティックスリップを防いで異音の解消を効果的に図ることが出来ると共に、過大な圧縮変形による歪で弾性ゴム膜82、特に環状突部88に亀裂が生じるのを防いで耐久性を充分に確保することが出来る。
また、マウント中心軸上に位置合わせされた弾性ゴム膜82の貫通孔86と仕切部材本体36および蓋板金具38の接続孔58,60が協働して、受圧室92と平衡室94を相互に連通せしめる短絡流路100が形成されており、前述の如き弁板金具40の仕切部材本体36への組付けにより、板ばね弁74の弾性変形に基づく下方に向かう弾性力が蓋板金具38に及ぼされて、板ばね弁74の先端部分が当接ゴム80を介して蓋板金具38に重ね合わせられた状態下では、短絡流路100の受圧室92側への開口である接続孔60が当接ゴム80を介して板ばね弁74の先端部分で流体密に覆蓋されて、短絡流路100が閉塞状態とされている。
一方、受圧室92にキャビテーション気泡が生ぜしめられる程に過大な負圧が発生する状態では、板ばね弁74に負圧作用が及ぼされて、板ばね弁74が、蓋板金具38を押さえつけていた自身の弾性力に抗して、蓋板金具38に当接していた状態から離隔する方向(即ち、図1では上方)に弾性変形するように、板ばね弁74の弾性力が設定されている。かかる弾性力のチューニングは、例えば、板ばね弁74の形状や大きさ、材料、蓋板金具38に対する傾斜角度等を設定変更することにより実現される。
また、本実施形態において、短絡流路100の平衡室94側の開口部である接続孔58は開口状態に保たれており、短絡流路100が平衡室94に対して常時連通せしめられている。
上述の如き構造とされた自動車用エンジンマウント10が自動車に装着されて、走行時に問題となるエンジンシェイク等の低周波数域の振動が入力されると、受圧室92に比較的に大きな圧力変動が生ぜしめられる。この圧力は大きいため、微振幅にチューニングされた弾性ゴム膜82では、受圧室92の圧力を実質的に吸収し得ない。しかも、板ばね弁74で短絡流路100の開口部分が閉塞された状態が保持されている。従って、受圧室92と平衡室94の間に生ぜしめられる相対的な圧力変動の差によりオリフィス通路96を通じての流体の流動量が効果的に確保されて、該流体の共振作用等の流動作用に基づいて、エンジンシェイク等の低周波数域の振動に対して有効な防振効果(高減衰効果)が発揮されるのである。
また、停車時に問題となるアイドリング振動や走行時に問題となる低速こもり音等の中周波数域の振動の入力では、受圧室92に対して小さな振幅の圧力変動が惹起されることとなる。その際、当該振動の周波数域がオリフィス通路96のチューニング周波数よりも高いことから、オリフィス通路96が反共振的な作用によって流体流通抵抗が著しく大きくなって、実質的に閉塞状態となる。そこで、当該中周波数域にチューニングされた弾性ゴム膜82の弾性変形に基づいて、受圧室92の圧力変動が吸収されることにより、オリフィス通路96の実質的な閉塞化に起因する著しい高動ばね化が回避されることとなる。それ故、中周波数域の振動に対する良好な防振効果(低動ばね特性に基づく振動絶縁効果)が発揮されるのである。
特に本実施形態では、弾性ゴム膜82が径方向で圧縮されて収容領域98に収容配置されており、弾性ゴム膜82が軸方向で弛みを有している。これにより、弾性ゴム膜82の薄肉部90が必要以上に拘束されることなく弾性変形を許容されており、中周波数域の振動入力時に液圧吸収作用を効果的に得ることが出来る。
さらに、自動車が段差乗り越えや凹凸の大きな路面等を走行して、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に衝撃的な荷重が入力されて、本体ゴム弾性体16が急激に乃至は過大に弾性変形すると、受圧室92に過大な負圧が惹起される。この負圧が板ばね弁74に及ぼされた際に、蓋板金具38の仕切部材本体36への組み付け下、板ばね弁74の上方に向かう弾性変形により下方の蓋板金具38を押さえつける弾性力に抗して、板ばね弁74が押さえつけを解除して蓋板金具38から離れるように弾性変形する程度に弾性力が設定されているため、当該衝撃荷重の入力時には、板ばね弁74および当接ゴム80が蓋板金具38における第一の接続孔58の開口周縁部から離れて開作動することにより、短絡流路100の閉塞状態が解除されて、受圧室92と平衡室94が短絡流路100を通じて相互に連通せしめられることとなる。その結果、受圧室92の過負圧状態が解消されて、問題となる異音の発生要因のキャビテーション気泡が有利に抑えられるのである。
ここにおいて、エンジンマウント10では、弾性ゴム膜82が径方向で予圧縮されて収容領域98に配設されており、弾性ゴム膜82の径方向中間部分を構成する薄肉部90が軸方向に僅かな弛みをもっている。これにより、キャビテーション気泡が発生する程度の大きな負圧が受圧室92に及ぼされて、弾性ゴム膜82がかかる負圧の作用によって受圧室92側に引き込まれて大きく弾性変形せしめられた場合にも、薄肉部90に発生する応力の幾らかが初期圧縮で相殺される。その結果、薄肉部90に発生する引張応力が低減されて、薄肉部90から環状突部88に対して伝達される傾動力を抑えることが出来る。
しかも、環状突部88自体の剛性が弾性ゴム膜82に及ぼされる径方向の予圧縮によって向上されていると共に、環状突部88が径方向で予圧縮されることによって生じる反力(弾性力)が、収容凹所42の周壁部に対する当接力として作用せしめられることから、環状突部88の仕切部材34に対する固定力(径方向での位置決め力)が増大されている。
これらの結果として、弾性ゴム膜82の環状突部88が、仕切部材34に対して初期の取付位置で固定的に支持されるのであって、環状突部88の仕切部材34に対する傾動に起因すると考えられるスティックスリップ等の異音の発生が防止される。
しかも、弾性ゴム膜82の環状突部88に及ぼされた縮径方向の予圧縮が、弾性ゴム膜82の薄肉部90にも縮径方向の圧縮力として作用せしめられていることから、薄肉部90が弾性変形せしめられて環状突部88と薄肉部90の境界部分に引張応力が及ぼされた場合にも、かかる引張力が予圧縮力によって相殺されて軽減される。このように、環状突部88と薄肉部90の境界部分に発生する応力が軽減されることから、上述の如く環状突部88の実質的な支持強度乃至は剛性が向上された場合にも、該境界部分における亀裂の発生が抑えられて、弾性ゴム膜82の耐久性の向上が図られ得る。
さらに、環状突部88は、例えば環状の嵌着金具等を加硫接着する必要がなく、弾性ゴム膜82がゴム単体構造とされることから、製造や組付けを容易に実現することが出来る。
また、本実施形態に係る自動車用エンジンマウント10では、板ばね弁74が、仕切部材本体36の収容領域98を構成する蓋板金具38を利用して形成されていることから、板ばね弁74をそれら仕切部材本体36や蓋板金具38と別途形成することに伴う部品点数の増加が抑えられて、製造効率の向上や低コスト化が有利に図られ得る。
また、短絡流路100を連通と遮断で切り換える弾性弁体が、ゴム弾性体に比して硬質の板ばね弁74で形成されていることにより、弾性弁体の耐久性が向上されて、弁体の開閉作動が安定する。
さらに、弾性ゴム膜82の中央部分に形成された中央突部84が蓋板金具38と仕切部材本体36の底部46の軸方向間で圧縮変形されると共に、弾性ゴム膜82の外周部分に形成された環状突部88が蓋板金具38と仕切部材本体36の底部46の軸方向間で圧縮変形されていることによって、中央部分および外周部分の変形が拘束されている。これにより、弾性ゴム膜82を収容領域98内に安定して収容せしめつつ、有効面積の大きな径方向中間部分の弾性変形によって受圧室92の圧力変動が効率的に吸収されるようになっていることから、前述の問題となるアイドリング振動や低速こもり音等の中周波数域の振動に対する防振効果が安定して得られるのである。
また、本構造では、弾性ゴム膜82の環状突部88が仕切部材本体36の収容凹所42の底部46と蓋板金具38の間に圧縮変形されていることで、弾性ゴム膜82の外周縁部がそれらの間に挟圧保持されて、仕切部材本体36の周壁部に流体密に重ね合わせられていることにより、弾性ゴム膜82が可動膜構造を呈している。その結果、弾性ゴム膜82の外周縁部と仕切部材本体36の周壁部の間の隙間を通じての圧力漏れが一層有利に抑えられて、オリフィス通路96を通じての流体流動量が十分に確保されることにより、該流体の共振作用等の流動作用に基づく防振効果の更なる向上が図られ得る。
特に本構造では、短絡流路100が弾性ゴム膜82の貫通孔86を利用して形成されていることから、短絡流路100の形成が容易になると共に、短絡流路100の仕切部材本体36における配設スペースが有利に確保され得る。しかも、短絡流路100を開閉する弾性弁体が蓋板金具38の板ばね弁74で構成されていることによって、仕切部材本体36の弾性弁体の配設スペースが省略される。これにより、仕切部材本体36におけるオリフィス通路96や短絡流路100の各設計自由度が大きくされる。
それ故、本構造に係る自動車用エンジンマウント10においては、製造工程の短縮化や低コスト化、コンパクト化が有利に図られつつ、オリフィス通路96や短絡流路100等のチューニング自由度が向上されて、目的の防振効果が安定して得られるのである。
また、本実施形態では、弾性ゴム膜82が円板形状とされていると共に、その中心軸上に貫通孔86が設けられていることから、弾性ゴム膜82における貫通孔86の周方向の位置決めが不要となり、仕切部材本体36への組み付けが容易になる。
次に、図5には、本発明に係る流体封入式防振装置の第二の実施形態として、自動車用エンジンマウント102が示されている。なお、以下の説明において、前記実施形態と実質的に同一の部材乃至部位については、図中に同一の符号を付すことにより、説明を省略する。
すなわち、図5に示されたエンジンマウント102は、仕切部材103を備えている。仕切部材103は、仕切部材本体104と蓋板金具105を更に有している。なお、本実施形態に係る仕切部材103は、前記第一の実施形態に示された仕切部材34が備えている弁板金具40を有していない構造となっている。
仕切部材本体104は、前記第一の実施形態において説明された収容凹所42と下側凹所44を備えている。また、それら凹所42,44の底壁部を構成する底部46には、複数の透孔48が貫通形成されている。また、仕切部材本体104は、外周縁部にオリフィス通路96を構成する周溝50を有しており、周溝50の一方の端部に連通窓52が形成されていると共に、他方の端部に図示しない連通窓が形成されている。更に、仕切部材本体104の上端面には周上の複数箇所に突部56が設けられている。
蓋板金具105には、前記第一の実施形態において説明された複数の透孔62が貫通形成されていると共に、外周縁部には切欠き状の連通窓64が形成されている。更に、周上の複数箇所において小径の円形孔である挿通孔66が形成されている。なお、上述の説明からも明らかなように、本実施形態に係る仕切部材本体104においては、前記第一の実施形態に示された仕切部材本体36が有する第一の接続孔58が形成されていないと共に、本実施形態に係る蓋板金具105においては、前記第一の実施形態に示された蓋板金具38が有する第二の接続孔60が形成されていない。
また、仕切部材本体104の収容凹所42を利用して形成された収容領域98には、弾性ゴム膜106が収容配置されている。弾性ゴム膜106は、略円板形状を呈しており、中央部分には僅かに厚肉とされた厚肉部108が一体形成されていると共に、厚肉部108の中央部分には軸方向両側に突出する中央突部110が一体形成されている。中央突部110は、略半球形状を有しており、軸方向両側に向かって次第に先細となっている。なお、本実施形態における弾性突出部が厚肉部108と中央突部110の協働により形成されている。更に、弾性ゴム膜106の外周縁部には、環状突部88が一体形成されている。
このような構造とされた弾性ゴム膜106は、縮径方向で圧縮変形されると共に、中央突部110と環状突部88が仕切部材本体104の底部46と蓋板金具105の径方向中央部分の対向面間で軸方向に圧縮されて、収容領域98内に配設されている。なお、弾性ゴム膜106の径方向での予圧縮量は、前記第一の実施形態と同様に、予圧縮前における弾性ゴム膜106の外径寸法である環状突部88の外径寸法に対して1%乃至5%とされている。
このような本実施形態に従う構造とされたエンジンマウント102においても、前記第一の実施形態と同様に、弾性ゴム膜106の変形に伴って生じるスティックスリップ等の異音を効果的に低減することが出来ると共に、弾性ゴム膜106の耐久性向上を実現し得る。また、ゴム弾性体による単体構造の弾性ゴム膜106によって目的とする耐久性や固定力を実現することが出来る。
また、中央突部110が突出先端側に行くに従って次第に小径となる略半球形状を有していることから、弾性ゴム膜106の変形によって中央突部110が仕切部材103に対して離隔状態から打ち当てられた場合にも、中央突部110の仕切部材103に対する当接が緩衝的に実現されて、打音の発生を抑えることが出来る。
次に、図6には、本発明に係る流体封入式防振装置の第三の実施形態として、自動車用エンジンマウント112が示されている。このエンジンマウント112は、仕切部材114を有している。
仕切部材114は、仕切部材本体104と蓋板金具38を含んで構成されている。なお、本実施形態に係る仕切部材114は、前記第一の実施形態に示された仕切部材34が有する弁板金具40を備えていない構造となっている。また、本実施形態において仕切部材本体104と蓋板金具38が採用されていることからも明らかなように、仕切部材本体104の底部46には、前記第一の実施形態において示された第一の接続孔58が形成されていないと共に、蓋板金具38の中央部分には、蓋板金具38を厚さ方向で貫通する円形の接続孔60が形成されている。
また、仕切部材本体104の収容凹所42を利用して形成された収容領域98には、弾性ゴム膜118が収容配置されている。弾性ゴム膜118は、略円板形状を呈しており、中央部分には軸方向両側に向かって突出する筒状の中央突部120が一体形成されている。また、中央突部120の中央孔によって本実施形態におけるリリーフ用孔としての貫通孔122が形成されている。この貫通孔122は、略一定の円形断面で軸方向に延びており、弾性ゴム膜118の径方向中央部分において中央突部120の軸方向両端面に開口するように貫通形成されている。
このような構造とされた弾性ゴム膜118は、縮径方向で圧縮変形されると共に、中央突部120と環状突部88が仕切部材本体104の底部46と蓋板金具38の対向面間で軸方向に圧縮されて、収容領域98内に配設されている。なお、弾性ゴム膜118の径方向での予圧縮量は、前記第一の実施形態と同様に、初期状態(仕切部材114への組付け前の状態)における弾性ゴム膜118の外径寸法である環状突部88の外径寸法の1%乃至5%とされている。
また、弾性ゴム膜118の収容領域98への組付け下において、蓋板金具38の中央部に形成された接続孔60が弾性ゴム膜118の中央突部120に貫通形成された貫通孔122に対して軸直角方向で位置合わせされており、それら接続孔60と貫通孔122が軸方向に延びる同一直線上に位置せしめられて直列状に接続されている。これにより、貫通孔122の内部が接続孔60を通じて受圧室92に連通されている。なお、本実施形態では、弾性ゴム膜118における中央突部120の上端面が、蓋板金具38に対して予め当接せしめられているが、例えば中央突部120と蓋板金具38の間に隙間が設けられていても良い。
さらに、弾性ゴム膜118の収容領域98への組付け下において、弾性ゴム膜118における中央突部120の下端面が仕切部材本体104の底部46に圧接せしめられており、中央突部120を貫通する貫通孔122の平衡室94側開口部が底部46で覆われて閉塞せしめられている。なお、本実施形態では、中央突部120の軸方向両端面が仕切部材114に当接せしめられており、弾性ゴム膜118の収容領域98への配設下において中央突部120が軸方向に圧縮されている。
換言すれば、貫通孔122の受圧室92側の開口部が接続孔60を通じて常時受圧室92に連通されている一方、貫通孔122の平衡室94側の開口部は、中央突部120の下端面が底部46に当接せしめられた状態(初期状態を含む)において底部46で覆われて覆蓋されていると共に、弾性ゴム膜118の弾性変形による中央突部120の底部46からの離隔変位によって、透孔48を通じて平衡室94に連通されるようになっている。
ここにおいて、衝撃的な振動荷重の入力により、本体ゴム弾性体16が大きく弾性変形して、受圧室92内にキャビテーション気泡が発生する程の負圧が及ぼされると、弾性ゴム膜118は、その薄肉部90が受圧室92の負圧の作用によって弾性変形せしめられる。
ここで、本実施形態では、初期状態において貫通孔122の軸方向下側の開口部が閉塞せしめられているが、弾性ゴム膜118が充分に大きな力で受圧室92側に引っ張られると、薄肉部90が弾性変形せしめられると共に、中央突部120が軸方向で圧縮変形せしめられるようになっている。これにより、中央突部120の平衡室94側の端面が仕切部材本体104の底部46から軸方向上方に離隔変位せしめられて、貫通孔122の下側開口部が収容領域98内に連通せしめられる。そして、底部46に形成された透孔48と、弾性ゴム膜118に形成された貫通孔122と、蓋板金具38に形成された接続孔60を通じて、受圧室92と平衡室94が相互に連通されるようになっている。
以上の説明からも明らかなように、透孔48と貫通孔122と接続孔60の協働によって、受圧室92内に過大な負圧が発生した場合に受圧室92と平衡室94を相互に連通せしめる短絡流路124が構成されるようになっている。また、本実施形態においては、中央突部120の平衡室94側端面が、弾性ゴム膜118の弾性変形によって、仕切部材本体104の底部46に対して当接状態と離隔状態に切り換えられることを利用して、短絡流路124を連通状態と遮断状態に切り換える弁機構が構成されている。
なお、中央突部120における受圧室92側に突出する部分の形状や大きさを変更することにより、受圧室92での負圧発生時における中央突部120の受圧室92側に突出する部分の弾性変形特性を調節しても良い。
また、中央突部120の受圧室92側に突出する部分において、先端部分に切欠きを設けることにより、該受圧室92側に突出する部分のばね特性を調節することも出来る。かくの如き切欠きを設けた場合には、この切欠きを通じて貫通孔122が収容領域98に常時連通される。従って、貫通孔122が、切欠きと収容領域98を通じて透孔62から受圧室92へ常時連通されることとなる。それ故、蓋板金具38に形成された第二の接続孔60は設けられていなくても良い。
このような本実施形態に従う構造とされたエンジンマウント112においても、前記第一,第二の実施形態と同様に、スティックスリップ等の異音を低減すると共に、弾性ゴム膜118の耐久性を向上することが出来得る。また、嵌着金具等を設けていないゴム単体構造の弾性ゴム膜118を利用して目的とする耐久性や固定力を実現することが出来得る。
また、本実施形態に係るエンジンマウント112においては、キャビテーションが問題となる程度の衝撃的な振動荷重が入力されて、受圧室92内に過大な負圧が発生した場合には、短絡流路124を通じて両室92,94間で流体が流動せしめられて、受圧室92内の負圧が速やかに低減乃至は解消されるようになっている。従って、かかる負圧に起因する異音や振動の発生が抑えられる。
しかも、本実施形態では、短絡流路124を連通状態と遮断状態で切り換える弁機構が、受圧室92と平衡室94の相対的な圧力差に基づく弾性ゴム膜118の弾性変形を利用して構成されている。これにより、本実施形態におけるエンジンマウント112は、弁機構を構成するための特別な部材や構造を設ける必要がなく、部品点数の少ない簡単な構造によって少ない工程数で実現され得る。
以上、本発明の幾つかの実施形態について説明してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
例えば、前記第一乃至第三の実施形態においては、当接部材と支持部材が仕切部材によって構成されているが、当接部材等は、仕切部材とは別体として設けられていても良い。具体的には、例えば、仕切部材の上方に離隔して第二の取付金具14で支持される当接部材を設けて、該当接部材に対して弾性突出部が当接せしめられることにより、可動ゴム膜の変形が制限されるようになっていても良い。
また、前記第一乃至第三の実施形態では、可動ゴム膜の薄肉部が略一定の厚さ寸法を有しているが、例えば、外周側である厚肉挟持部側、或いは中央側である弾性突出部側に行くに従って次第に厚肉となっていたり、中央側である弾性突出部側と外周側である厚肉挟持部側の両側に行くに従って次第に厚肉となっていたりしても良い。
また、前記第一乃至第三の実施形態においては、当接部材と支持部材が何れも仕切部材によって構成されているが、当接部材と支持部材は、必ずしも同じ部材で構成されていなくても良く、別部材とされていても良い。なお、別部材とされている場合にも、それら当接部材と支持部材は、何れも第二の取付部材に対して固定的に設けられる。
また、前記第一乃至第三の実施形態には、エンジンシェイク等に相当する周波数域にチューニングされたオリフィス通路を有するシングルオリフィス構造の流体封入式防振装置が示されているが、本発明は、例えば、エンジンシェイク等に相当する低周波数域にチューニングされた第一のオリフィス通路と、アイドリング振動等に相当する中周波数域にチューニングされた第二のオリフィス通路を有するダブルオリフィス構造の流体封入式防振装置に対しても適用可能である。なお、本発明が3本以上のオリフィス通路を有する構造の流体封入式防振装置に対しても適用可能であることは、言うまでもない。
さらに、本発明は、例えば、空気圧や電磁力によって防振特性を切り換えることが出来る切換え型の流体封入式防振装置や、平衡室に対して能動的な加振力を作用せしめることにより防振性能を発揮する能動型の流体封入式防振装置等にも適用可能である。
また、前記第一乃至第三の実施形態では、本発明に係る流体封入式防振装置の実施例として、自動車用のエンジンマウントが示されているが、本発明は、サブフレームマウントやボデーマウント等、エンジンマウント以外の流体封入式防振装置に対しても適用可能である。また、本発明に係る流体封入式防振装置は、必ずしも自動車用に限定されるものではなく、列車用等その他の車両用や車両以外の振動体に用いられる流体封入式防振装置としても好適に採用され得る。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
本発明の第一の実施形態としての自動車用エンジンマウントを示す図2のI−I断面図。 同エンジンマウントを構成する仕切部材の平面図。 図2のIII−III断面図。 同エンジンマウントを構成する可動ゴム膜の断面図。 本発明の第二の実施形態としての自動車用エンジンマウントを示す断面図。 本発明の第三の実施形態としての自動車用エンジンマウントを示す断面図。
符号の説明
10:エンジンマウント,12:第一の取付金具,14:第二の取付金具,16:本体ゴム弾性体,34:仕切部材,36:仕切部材本体,38:蓋板金具,82:弾性ゴム膜,84:中央突部,86:貫通孔,88:環状突部,90:薄肉部,92:受圧室,94:平衡室,96:オリフィス通路,98:収容領域,100:短絡流路,122:貫通孔,124:短絡流路

Claims (5)

  1. 第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結すると共に、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された受圧室と、可撓性膜で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された平衡室を形成して、それら受圧室と平衡室をオリフィス通路によって相互に連通すると共に、それら受圧室と平衡室の間に可動ゴム膜を配設して該可動ゴム膜の一方の面に該受圧室の圧力が及ぼされるようにすると共に該可動ゴム膜の他方の面に該平衡室の圧力が及ぼされるようにすることにより該受圧室の微小な圧力変動を吸収する液圧吸収機構を構成し、更に、該可動ゴム膜の中央部分において両側面上に突出する弾性突出部を一体形成すると共に、該弾性突出部に対してその突出方向で対向位置して該弾性突出部の当接によって該可動ゴム膜の弾性変形量を制限する当接部材を設けた流体封入式防振装置において、
    前記可動ゴム膜の外周縁部を全周に亘って両面上に突出させて環状の厚肉挟持部を一体形成せしめ、前記第二の取付部材に対して固定的に設けられた支持部材によって該厚肉挟持部の軸方向両側面と外周面を何れも該支持部材に対して押圧当接させて該厚肉挟持部を全周に亘って弾性変形させて縮径方向に予圧縮せしめて支持することにより、該厚肉挟持部の内周側の薄肉部において弾性変形が許容される状態で該可動ゴム膜を配設したことを特徴とする流体封入式防振装置。
  2. 前記厚肉挟持部の縮径方向の予圧縮が、該厚肉挟持部の外径寸法において1〜5%の範囲に設定されている請求項1に記載の流体封入式防振装置。
  3. 前記弾性突出部には、前記可動ゴム膜の両側面に貫通して延びるリリーフ用孔が形成されていると共に、該リリーフ用孔における前記受圧室側への開口端面に対して、該受圧室内の負圧の作用によって該開口端面から離隔変位可能とされた弁部材が重ね合わされて覆蓋されている一方、該リリーフ用孔の内部が前記平衡室に対して常時連通されている請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
  4. 前記弾性突出部には、前記可動ゴム膜の両側面に貫通して延びるリリーフ用孔が形成されていると共に、該リリーフ用孔の内部が前記受圧室に対して常時連通されている一方、該リリーフ用孔における前記平衡室側への開口端面に対して前記当接部材が重ね合わされて覆蓋されている請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
  5. 前記第二の取付部材に対して固定的に支持されて前記受圧室と前記平衡室を仕切る仕切部材が設けられており、該仕切部材の中央部分に前記可動ゴム膜が配設されていると共に、該仕切部材によって前記当接部材および前記支持部材が構成されている一方、該仕切部材の外周部分に前記オリフィス通路が形成されている請求項1乃至4の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
JP2007254814A 2007-09-28 2007-09-28 流体封入式防振装置 Active JP4986292B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007254814A JP4986292B2 (ja) 2007-09-28 2007-09-28 流体封入式防振装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007254814A JP4986292B2 (ja) 2007-09-28 2007-09-28 流体封入式防振装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009085314A true JP2009085314A (ja) 2009-04-23
JP4986292B2 JP4986292B2 (ja) 2012-07-25

Family

ID=40658991

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007254814A Active JP4986292B2 (ja) 2007-09-28 2007-09-28 流体封入式防振装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4986292B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010101466A (ja) * 2008-10-27 2010-05-06 Toyo Tire & Rubber Co Ltd 液封入式防振装置
JP2010106976A (ja) * 2008-10-30 2010-05-13 Toyo Tire & Rubber Co Ltd 液封入式防振装置
JP2013011314A (ja) * 2011-06-30 2013-01-17 Tokai Rubber Ind Ltd 流体封入式能動型防振装置

Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0454344U (ja) * 1990-09-17 1992-05-11
JPH06307491A (ja) * 1993-04-26 1994-11-01 Tokai Rubber Ind Ltd 流体封入式防振マウント
JPH09310732A (ja) * 1996-05-23 1997-12-02 Tokai Rubber Ind Ltd 流体封入式マウント装置
JP2003004088A (ja) * 2001-06-23 2003-01-08 Yamashita Rubber Co Ltd 液封防振装置
JP2004036713A (ja) * 2002-07-02 2004-02-05 Yamashita Rubber Co Ltd 能動型液封防振装置
JP2005273684A (ja) * 2004-03-22 2005-10-06 Tokai Rubber Ind Ltd 流体封入式防振装置
JP2006112607A (ja) * 2004-10-18 2006-04-27 Tokai Rubber Ind Ltd 流体封入式防振装置
JP2006258184A (ja) * 2005-03-16 2006-09-28 Tokai Rubber Ind Ltd 流体封入式防振装置
JP2007107712A (ja) * 2005-09-14 2007-04-26 Tokai Rubber Ind Ltd 流体封入式防振装置
JP2007162876A (ja) * 2005-12-15 2007-06-28 Tokai Rubber Ind Ltd 流体封入式防振装置およびその製造方法

Patent Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0454344U (ja) * 1990-09-17 1992-05-11
JPH06307491A (ja) * 1993-04-26 1994-11-01 Tokai Rubber Ind Ltd 流体封入式防振マウント
JPH09310732A (ja) * 1996-05-23 1997-12-02 Tokai Rubber Ind Ltd 流体封入式マウント装置
JP2003004088A (ja) * 2001-06-23 2003-01-08 Yamashita Rubber Co Ltd 液封防振装置
JP2004036713A (ja) * 2002-07-02 2004-02-05 Yamashita Rubber Co Ltd 能動型液封防振装置
JP2005273684A (ja) * 2004-03-22 2005-10-06 Tokai Rubber Ind Ltd 流体封入式防振装置
JP2006112607A (ja) * 2004-10-18 2006-04-27 Tokai Rubber Ind Ltd 流体封入式防振装置
JP2006258184A (ja) * 2005-03-16 2006-09-28 Tokai Rubber Ind Ltd 流体封入式防振装置
JP2007107712A (ja) * 2005-09-14 2007-04-26 Tokai Rubber Ind Ltd 流体封入式防振装置
JP2007162876A (ja) * 2005-12-15 2007-06-28 Tokai Rubber Ind Ltd 流体封入式防振装置およびその製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010101466A (ja) * 2008-10-27 2010-05-06 Toyo Tire & Rubber Co Ltd 液封入式防振装置
JP2010106976A (ja) * 2008-10-30 2010-05-13 Toyo Tire & Rubber Co Ltd 液封入式防振装置
JP2013011314A (ja) * 2011-06-30 2013-01-17 Tokai Rubber Ind Ltd 流体封入式能動型防振装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP4986292B2 (ja) 2012-07-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5719724B2 (ja) 流体封入式防振装置
JP4820792B2 (ja) 流体封入式防振装置
JP4842086B2 (ja) 流体封入式防振装置
JP4411659B2 (ja) 流体封入式防振装置
JP2007100875A (ja) 流体封入式防振装置
JP5060846B2 (ja) 流体封入式防振装置
JP2009243510A (ja) 自動車用の流体封入式エンジンマウント
JP2007139024A (ja) 流体封入式防振装置
JP4986292B2 (ja) 流体封入式防振装置
JP2012202512A (ja) 多方向防振型の流体封入式防振装置
JP2013160265A (ja) 流体封入式防振装置
JP2008185152A (ja) 流体封入式防振装置とそれを用いたエンジンマウント
JP2008163970A (ja) 流体封入式防振装置
JP2007270866A (ja) 流体封入式防振装置
JP4959390B2 (ja) 流体封入式防振装置
JP2009085252A (ja) 流体封入式防振装置
JP5108658B2 (ja) 流体封入式防振装置
JP4871902B2 (ja) 流体封入式防振装置
JP2008121811A (ja) 流体封入式防振装置
JP4989620B2 (ja) 液封入式防振装置
JP2008133937A (ja) 流体封入式防振装置
JP5108659B2 (ja) 流体封入式防振装置
JP2009174708A (ja) 流体封入式防振連結ロッド
JP2007255442A (ja) 流体封入式防振装置
JP2008196508A (ja) 流体封入式防振装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100728

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110727

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110822

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111012

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120418

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120423

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4986292

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150511

Year of fee payment: 3

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350