JP2008138855A - 液封防振装置 - Google Patents
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Abstract
【構成】第1取付金具1と第2取付金具2をインシュレータ3で結合し、内側に形成される主液室5と副液室7を仕切部材6で仕切り、オリフィス通路8で連通する。仕切部材6はインシュレータ3の一部の延長部12と、ダイヤフラム10の外周厚肉部40との間で浮動支持し、所定周波数で剛体共振を発生すようチューニングする。外周厚肉部40に外側リング44を設け、外筒金具11の端部を折り曲げた固定部46で一体化する。仕切部材6を浮動支持するだけであるため、浮動支持部の構造が大型かつ複雑化しない。
【選択図】図1
Description
キャビテーション現象による気泡が崩壊するときその振動が仕切部材から第2取付金具へ伝達されると、第2取付金具から車体側へ伝達され、異音として知覚されることになる。そこで、このような異音を阻止するため、車体取付用ブラケットと第2取付金具との間に弾性体を介装させ、液封構造全体を車体へ浮動支持することにより、主液室内から車体への振動伝達を遮断したものがある(一例として特許文献1参照)。また仕切部材を浮動支持する構造も公知である(一例として特許文献2及び3参照)。
また、上記特許文献2はダイヤフラムの外周部で仕切部材を浮動支持する構成ではなく、しかもダイヤフラムの外周部に一体化されたリングをカシメ固定する取付金具を薄い弾性体の層を介して第2取付金具に相当する外筒部へ一体化しているため、キャビテーション現象等によって発生する振動の周波数域のうち異音として感じられる周波数域(以下異音周波数域という)のうち、実用上の考慮対象とすべき範囲として例えば約800〜4000Hz程度を効果的に遮断できるような剛体共振を仕切部材に生じさせることはできず、このようなことを企図したものでもないので、仕切部材の剛体共振を確実に発生させる構造が求められる。
さらに、ダイヤフラムの外周部にインサートされているリングの一端を仕切部材へ直接接触させているため、他端を取付金具の折り曲げにより固定して組み立てるとき、リングの他端が仕切部材を強く押すため、仕切部材を浮動支持する弾性体が大きく圧縮変形されてバネ値が変化するおそれがある。このため、組立時のダイヤフラム固定作業が難しいものになるので、組立作業を容易化することが求められている。
また、特許文献3の例ではダイヤフラム外周部によって形成されるシール部を組立時に弾性変形させるため、良好なシール性能を維持しつつダイヤフラムを固定する組立作業が極めて難しくなる。このため組立時に高いシール性を維持しつつ容易に作業できるようにする必要がある。本願はこのような要請を実現するものである。
このインシュレータを壁部の一部として作動液体が封入された主液室と、
この主液室と仕切部材により区画され、壁部の少なくとも一部がダイヤフラムで形成される副液室と、
これらの主液室と副液室を連通するよう前記仕切部材に形成されたオリフィス通路とを備え、前記第2取付金具の一部が前記インシュレータの周囲に一体化した外筒金具をなす液封防振装置において、
前記仕切部材を、前記インシュレータと前記ダイヤフラムの外周厚肉部との間で浮動支持し、かつ前記第2取付金具と前記仕切部材との間に弾性体を介在させることにより、前記仕切部材から前記第2取付金具への振動伝達を遮断するとともに、
前記ダイヤフラムの外周厚肉部は、一体化された剛性のダイヤフラム支持金具と、前記仕切部材を浮動支持する弾性支持部とを備え、
前記ダイヤフラム支持金具は、前記第2取付金具で金属同士の直接接触により固定され、かつ前記仕切部材と離されて配置され、
前記弾性支持部は、前記ダイヤフラム支持金具の内側にて前記仕切部材を浮動支持することを特徴とする。
前記外周厚肉部は、前記仕切部材を支持する本体部とこの本体部から連続して前記連結金具の側方まで延びる弾性筒状部とを一体に備え、
前記弾性筒状部を前記連結金具の外側へ嵌合して弾性筒状部内面と連結金具外面との間にシール部を形成するとともに、
前記弾性筒状部の外側を覆うように前記ダイヤフラム支持金具の一部を延長させて前記延長部とし、この延長部先端を外側へ折り曲げて、前記連結金具のインシュレータ側方へ突出する部分と重ねて金属同士の直接接触により連結固定したことを特徴とする。
しかも、ダイヤフラムの外周厚肉部に、仕切部材を浮動支持する弾性支持部を設け、かつ剛性のダイヤフラム支持金具を一体化したので、ダイヤフラム支持金具を第2取付金具で金属同士の直接接触により固定することにより、ダイヤフラム支持金具を介して第2取付金具によりダイヤフラムの外周厚肉部を強固に支持でき、弾性支持部により仕切部材を確実に支持できる。
そのうえ、装置を小型化し従来同様の構成部品で済むためコストダウンも可能になる。また第2取付金具を車体側へ強固に取付けて横移動等を生じさせず、安定支持できる。
また、シール部が設けられているダイヤフラムの外周厚肉部を第2取付金具に対してリジットに固定するので、固定時の入力によりシール部に必要以上な弾性変形を防いでシールの信頼性も高めることができ、仕切部材による振動伝達を遮断しつつも良好なシール性を維持できる。
さらに弾性支持部はシール部とダイヤフラム支持金具で分離されるから、シール部を強固に固定しても、弾性支持部のバネ値に影響が生じないようになる。
副液室7はダイヤフラム10と仕切部材6の間に形成され、ダイヤフラム10を壁部の一部としている。
図2に示すように、外筒金具11の内側には、インシュレータ3の延長部12が一体化され、延長部12は仕切部材6の外周面を囲む程度に下方へ延出して外筒金具11の内面を一体に覆っている。延長部12と仕切部材6の外周部との間に若干の間隙13を形成している。延長部12の上部で主液室5に臨む部分は厚肉の段差14をなし、ここで仕切部材6の外周端部の上面側を位置決めしている。
上プレート15は円板状であり、中央が一段低くなった中央段部17をなし、ここに主液室5と連通する中央上開口18が形成されている。
下ホルダ16には外周部にオリフィス通路8を形成するための上方へ開放された円弧状溝22が形成され、その内側壁をなす環状隔壁23を挟んで中央側には上方へ開放された中央凹部24が形成されている。
同様に中央薄肉部31と段差部26間に入り込んでいる作動液は、中央薄肉部31の弾性変形により中央下開口28を介して副液室7へ出入りする。
このバネ値は、ゴムバネを形成する素材やボリュームで異なり、肉厚によっても調整できる。
また、延長部12の肉厚は外筒金具11の肉厚の3〜4倍程度、好ましくは3倍程度、段差14からその上方の外筒金具11を内側へ絞ることにより狭くなっている幅狭部12bまでの弾性体層である弾性支持部12aにおける厚みdが外筒金具11の肉厚の2〜4倍程度になっている。
すなわち、剛体共振の周波数より高い振動は剛体により伝達を遮断されることになるので、この周波数域を振動遮断域ということにする。但し、本願における遮断とは厳密な意味ではなく低減を含む範囲のあるものとし、振動遮断域とは入力振動よりも伝達振動を小さくする領域を意味し、伝達遮断のみならず伝達低減を生じる周波数域を意味するものとする。
具体的には、キャビテーション現象に伴う振動の周波数域そのものが広範囲で特定しにくいものであるが、仮にこれを800〜4000Hzとすれば、剛体共振のピーク周波数を600Hz程度に設定することにより、振動遮断域をキャビテーション現象に伴う振動周波数域と重ねることができる。
しかも、振動遮断域では仕切部材6の振動が抑制され、そのうえ仕切部材6を浮動支持する支持バネのバネ値は、中央薄肉部31のバネ値より遙かに大きいため、必要以上に内圧が低下することを防いで減衰低下を阻止できるようになっている。
このように各構成部材を順次積み重ねて外筒金具11の固定部46を形成するだけで全体を一体化して簡単に組み立てることができる。
この例では本実施例に係るエンジンマウント及び同様構造でありながら本願の振動遮断構造を備えない従来例をそれぞれ13Hzで加振したときの伝達振動につき周波数分析したものであり、広範囲の周波数域における成分振動の伝達状況を示し、伝達力が小さい程その周波数の振動が伝達されにくいことを示す。
この図において、本願の振動遮断構造を備えない従来例と、振動遮断構造を備えた本実施例では、約800Hz〜4000Hz程度の周波数域における振動成分に対して伝達力に著しい相違が見られ、実施例ではこの周波数域で伝達力が低減されているから、この周波数域における振動成分を伝達遮断していることが判る。
この振動伝達遮断は、従来例との相違点である遮断構造、すなわち延長部12及びダイヤフラム10の外周厚肉部40とによる伝達遮断と仕切部材6の剛体共振によることが明らかである。
その結果、キャビテーション現象に伴う衝撃は外筒金具11及び車体側取付部材2を介して車体側へ伝達されず、乗員側で異音として感知することはないので、キャビテーション現象が発生してもそれに伴う車体側における不快な異音の発生を抑制できる。
また、外側リング44と固定部46の金属同士を直接接触させた結合により、外周厚肉部40の固定をより確実・強固にでき、液封防振装置を車体へ安定支持させることができる。
このようにすると、前実施例の内側リング43を省略でき、その分だけ部品点数を削減でき、より構造を簡単にできる。
縦壁部60は前第2実施例におけるL型リング50の縦壁部51を延長させたものに相当し、本願のダイヤフラム支持金具をなす。縦壁部61の下部は外周厚肉部40の外周に一体化され、さらにその先端を内側へ折り曲げて内フランジ62とし、この内フランジ62で外周厚肉部40の底部を一体化して支持する。
連結金具64は前実施例の外筒金具に相当する部材であるが、筒部64aは前各実施例のものよりもかなり短くなっており、その下端は段差14より上方に位置し、仕切部材6の浮動支持に十分な弾性支持部12aを形成している。この例では連結金具64と剛性リング60が第2取付金具2を構成することになり、剛性リング60はダイヤフラム10の支持部材と第2取付金具2とを兼ねることになる。
リリーフバルブ33は上プレート15及び下ホルダ16の各外周部で、円弧状溝22の内側に形成されたリーク穴34及び35を通して、主液室5内が負圧になると副液室7から主液室5へ作動液をリークし、負圧を解消させてキャビテーション現象の発生そのものを阻止するようにもなっている。
また、防止する異音はキャビテーションに起因するもののみならず、弾性膜30の打音等、設定範囲内の周波数域のものであれば主液室5内で発生する種々な音や振動を対象にできる。
Claims (6)
- 取付相手の一方へ取付けられる第1取付金具と、他方へ取付けられる筒状の第2取付金具と、これら第1及び第2取付金具間を防振連結するインシュレータと、
このインシュレータを壁部の一部として作動液体が封入された主液室と、
この主液室と仕切部材により区画され、壁部の少なくとも一部がダイヤフラムで形成される副液室と、
これらの主液室と副液室を連通するよう前記仕切部材に形成されたオリフィス通路とを備え、前記第2取付金具の一部が前記インシュレータの周囲に一体化した外筒金具をなす液封防振装置において、
前記仕切部材を、前記インシュレータと前記ダイヤフラムの外周厚肉部との間で浮動支持し、かつ前記第2取付金具と前記仕切部材との間に弾性体を介在させることにより、前記仕切部材から前記第2取付金具への振動伝達を遮断するとともに、
前記ダイヤフラムの外周厚肉部は、一体化された剛性のダイヤフラム支持金具と、前記仕切部材を浮動支持する弾性支持部とを備え、
前記ダイヤフラム支持金具は、前記第2取付金具で金属同士の直接接触により固定され、かつ前記仕切部材と離されて配置され、
前記弾性支持部は、前記ダイヤフラム支持金具の内側にて前記仕切部材を浮動支持することを特徴とする液封防振装置。 - 前記ダイヤフラム支持金具は剛性リングからなり、前記ダイヤフラムの外周厚肉部を内側の前記弾性支持部と外側のシール部とに分離することを特徴とする請求項1に記載した液封防振装置。
- 前記外周厚肉部には内外に間隔をもって配置された2重リングが一体化され、内側のリングは前記弾性支持部に位置して仕切部材を支持し、外側のリングは前記ダイヤフラム支持金具をなすことを特徴とする請求項2に記載した液封防振装置。
- 前記ダイヤフラム支持金具は断面略L字状の部材であり、前記外周厚肉部の外周部と底部側とへ一体化されることを特徴とする請求項1に記載した液封防振装置。
- 前記第2取付金具は前記インシュレータの外周部と一体化した連結金具と、前記ダイヤフラム支持金具の一部から延出した延長部とを備え、
前記外周厚肉部は、前記仕切部材を支持する本体部とこの本体部から連続して前記連結金具の側方まで延びる弾性筒状部とを一体に備え、
前記弾性筒状部を前記連結金具の外側へ嵌合して弾性筒状部内面と連結金具外面との間にシール部を形成するとともに、
前記弾性筒状部の外側を覆うように前記ダイヤフラム支持金具の一部を延長させて前記延長部とし、この延長部先端を外側へ折り曲げて、前記連結金具のインシュレータ側方へ突出する部分と重ねて金属同士の直接接触により連結固定したことを特徴とする請求項4に記載した液封防振装置。 - 前記仕切部材の外周部とその周囲に位置する弾性体との間に間隙を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載した液封防振装置。
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