JP2006177530A - 流体封入式防振装置 - Google Patents

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勉 林
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Abstract

【課題】 受圧室と平衡室の相対的な圧力変動に基づくオリフィス通路を通じての流体流動量を十分に確保して、オリフィス通路による防振効果が有効に発揮されるようにすると共に、受圧室における急激且つ過大な負圧の発生を解消して、気相分離に起因する異音や振動などの不具合を回避することが出来る新規な構造の流体封入式防振装置を提供すること。
【解決手段】 仕切部材42に受圧室46へ突出する筒状嵌着部60を設けると共に、かかる筒状嵌着部60を径方向に貫通して、受圧室46と平衡室48とを相互に連通せしめる連通孔62を設ける一方、筒状嵌着部60に対して嵌着ゴム膜64をその弾性力によって筒状嵌着部60の外周面に流体密に密着するように外嵌装着して、連通孔62の受圧室46側開口部が嵌着ゴム膜64によって閉塞されるようにした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、内部に封入された非圧縮性流体の流動作用に基づいて防振効果を得るようにした流体封入式防振装置に係り、例えば、自動車用エンジンマウント等として好適に採用される流体封入式防振装置に関するものである。
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装される防振連結体乃至は防振支持体の一種として、第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結せしめたマウント本体に非圧縮性流体を封入した流体封入式防振装置が、知られている。かかる流体封入式防振装置は、一般に、本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて振動入力時に圧力変動が惹起される受圧室と、可撓性ゴム膜で壁部の一部が構成されて容積可変とされた平衡室を形成すると共に、それら受圧室と平衡室をオリフィス通路を連通せしめた構造とされている。そして、オリフィス通路を流動せしめられる流体の共振作用等の流動作用に基づいて防振効果を得ることが出来るようになっているのである。
ところで、このような流体封入式防振装置については、第一の取付部材と第二の取付部材の間に大きな振動荷重が入力されると、防振装置から異音や振動が発せられる場合がある。具体的には、上述の如き従来構造の流体封入式防振装置をエンジンマウントとして採用した自動車では、波状路やスピードブレーカ等を走行した際に、車室内で乗員が体感できる程の異音や衝撃を発する場合がある。
このような異音や振動の発生現象について本発明者が多くの実験を行って検討を加えたところ、過大な振動の入力によって受圧室内において瞬間的に著しい負圧が生じ、それに伴ってキャビテーションと解せられる気泡の発生が認められた。更に、かかる気泡は、発生から成長に至る過程で略球状の安定状態を保つが、崩壊に際して変形し、爆発的な微小噴流(マイクロジェット)を形成することとなり、これが水撃圧となって第一の取付部材や第二の取付部材に伝播し、自動車のボデー等に伝達されることによって、前述の如き問題となる異音や振動が生ぜしめられるに至る、というのが従来からこの種の流体封入式防振装置において問題となっている異音や振動の発生メカニズムであろうとの知見を得た。
このような問題に対処するために、例えば特公平7−107416号公報(特許文献1)には、受圧室と平衡室を仕切る仕切部材によって支持せしめた仕切ゴム膜に対して切れ込みを形成した構造が提案されている。このような仕切ゴム膜においては、受圧室と平衡室の圧力差が所定量よりも大きくなった場合に、かかる圧力差の作用による仕切ゴム膜の弾性変形によって、切り込み部分が開口せしめられて、受圧室と平衡室が連通せしめられる。これにより受圧室と平衡室との圧力差を解消することが可能とされている。
しかしながら、このような特許文献1において提案されている構造では、受圧室に負圧が生じた場合だけでなく、正圧が生じた場合においても仕切ゴム膜が開口して、受圧室と平衡室が連通状態とされるため、受圧室と平衡室との圧力差が解消されて、受圧室と平衡室との相対的な圧力変動を十分に確保することが困難となってしまう。その結果、オリフィス通路を通じての流体流動量が確保し難くなって、オリフィス通路による所期の防振効果が十分に発揮され難くなってしまうという問題があった。
特公平7−107416号公報
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、受圧室と平衡室の相対的な圧力変動に基づくオリフィス通路を通じての流体流動量を十分に確保して、オリフィス通路による防振効果が有効に発揮されるようにすると共に、受圧室における急激且つ過大な負圧の発生を解消して、気相分離に起因する異音や振動などの不具合を回避することが出来る新規な構造の流体封入式防振装置を提供することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意な組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載されたもの、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
すなわち、本発明の第1の態様は、防振連結される一方の部材に取り付けられる第一の取付部材と防振連結される他方の部材に取り付けられる第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結せしめ、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて振動入力時に圧力変動が生ぜしめられる受圧室と、壁部の一部が可撓性膜で構成されて容積変化が許容される平衡室を、該第二の取付部材で支持された仕切部材を挟んだ両側に形成して、それら受圧室と平衡室に非圧縮性流体を封入すると共に、該受圧室と該平衡室を相互に連通するオリフィス通路を設けた流体封入式防振装置であって、前記仕切部材において、筒状外周面をもって受圧室側に向かって突出する筒状嵌着部を形成すると共に、該筒状嵌着部において前記受圧室と前記平衡室を相互に連通せしめる連通孔を外周面に開口せしめて形成する一方、該筒状嵌着部の外周面に対して筒状の嵌着ゴム膜を密接状態で外嵌装着して、該嵌着ゴム膜の一方の面に該受圧室の圧力が作用せしめられると共に、他方の面に該平衡室の圧力が作用せしめられることにより、受圧室の圧力が平衡室の圧力に比して所定量よりも小さくなった場合において、該嵌着ゴム膜が弾性変形せしめられて該連通孔が実質的に開口状態とされるようにしたことを、特徴とする。
このような本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、受圧室に過大な負圧が生じた場合に、嵌着ゴム膜がかかる負圧の作用によって弾性変形せしめられて、連通孔が実質的に開口状態とされることにより、受圧室の負圧が解消されて、気相分離による異音や振動の発生を阻止することが出来る。しかも、受圧室に正圧が生じた場合には、嵌着ゴム膜が連通孔の開口部に押圧されて、連通孔が閉塞状態とされると共に、気相分離に繋がらない程度の小さな負圧が生じた場合には、嵌着ゴム膜の弾性力によって嵌着ゴム膜の変形が阻止されて、連通孔が嵌着ゴム膜によって閉塞状態に保たれる。それ故、受圧室と平衡室との相対的な圧力変動に基づくオリフィス通路を通じての流体流動量が十分に確保されて、オリフィス通路による所期の防振効果が有効に発揮される。
また、連通孔の開口部が開いて受圧室の負圧を解消する際の受圧室における負圧の閾値は、流体封入式防振装置の要求特性や、予想される入力振動の程度、封入される非圧縮性流体の種類などを考慮して設定されるが、かかる閾値の設定を、嵌着ゴム膜の材料や厚さ等を適当に調整して嵌着ゴム膜の弾性を変更することにより、流体封入式防振装置本体の構造や他の部材の形状などの変更をすることなく、容易に調節することが可能となる。
また、本発明の第2の態様は、前記第1の態様に係る流体封入式防振装置において、前記嵌着ゴム膜が有底筒体形状とされており、該嵌着ゴム膜の周壁部が前記筒状嵌着部の外周面に外嵌装着されていることを、特徴とする。
このような本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、逆向きの略有底筒体形状とされた嵌着ゴム膜の底壁を筒状嵌着部の突出先端に当接させることによって、嵌着ゴム膜を筒状嵌着部に対して軸方向で容易に位置決めすることが出来て、連通孔の開口部に嵌着ゴム膜の周壁部を確実に位置せしめることが可能となる。
また、本発明の第3の態様は、前記第1又は第2の態様に係る流体封入式防振装置において、前記筒状嵌着部が、一体形成された底部を突出先端部に有する有底筒体形状とされていることを、特徴とする。
このような本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、筒状嵌着部を有底円筒形状とすることにより、受圧室と平衡室との間における流体流動が嵌着ゴム膜に対して軸方向に作用せしめられるのを回避することが出来る。それ故、筒状嵌着部に外嵌装着される嵌着ゴム膜の軸方向への抜けを防ぐことが出来て、嵌着ゴム膜をより固定して保持することが可能となる。
また、本発明の第4の態様は、前記第3の態様に係る流体封入式防振装置において、前記筒状嵌着部の前記底部において、前記受圧室と前記平衡室を相互に連通せしめる透孔が形成されていると共に、該透孔が有底筒体形状とされた前記嵌着ゴム膜の底部によって流体密に閉塞せしめられていることを、特徴とする。
このような本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、振動入力時に、受圧室に惹起される圧力変動によって、嵌着ゴム膜の底部における透孔を流体密に覆蓋する部分が弾性変形を生ぜしめられる。これにより、受圧室内の圧力が平衡室へ逃されることとなって、防振性能の向上を図ることが出来る。
また、本発明の第5の態様は、前記第1乃至第4の何れかの態様に係る流体封入式防振装置において、前記筒状嵌着部の外周面の少なくとも一部において、前記嵌着ゴム膜が係合せしめられる係止部を形成したことを、特徴とする。
このような本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、弾性力によって筒状嵌着部に取り付けられた嵌着ゴム膜の軸方向への抜けを効果的に防ぐことが出来て、嵌着ゴム膜を筒状嵌着部に対してより強固に固定することが出来る。
また、本発明の第6の態様は、前記第1乃至第5の何れかの態様に係る流体封入式防振装置において、前記嵌着ゴム膜において、該嵌着ゴム膜の周壁部を貫通する圧抜孔を形成すると共に、該圧抜孔が該嵌着ゴム膜の前記筒状嵌着部に対する配設状態において前記連通孔と一直線上に位置しないようにされていることを、特徴とする。
このような本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、受圧室内に過大な負圧が生じた場合において、平衡室側から受圧室側への流体流動が、連通孔と圧抜孔を通じて生ぜしめられることとなる。それ故、嵌着ゴム膜の周壁に形成される圧抜孔の形成位置を適当に変更することにより、嵌着ゴム膜の作動閾値(連通させるのに必要とされる内外周面の作用圧力差の大きさ)等を容易に変更することが可能となる。
また、本発明の第7の態様は、前記第1乃至第6の何れかの態様に係る流体封入式防振装置において、前記仕切部材が、ゴム弾性体によって形成された仕切部材本体と硬質材によって構成された前記筒状嵌着部とを含んで構成されていることを、特徴とする。
このような本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、仕切部材を構成する仕切部材本体がゴム弾性体によって形成されていることにより、受圧室内の液圧が吸収されて、防振性能の向上が期待できる。
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置にあっては、受圧室における過大な負圧の発生時には、その負圧を速やかに解消して気相の分離を防ぐことが出来て、かかる気相分離を原因とする異音や振動を有利に回避することが出来る一方、受圧室における正圧及び気相分離が発生しない程度の小さな負圧の発生時には、受圧室と平衡室との相対的な圧力変動によるオリフィス通路の流体流動量を十分に確保して、オリフィス通路による所期の防振性能を発揮することが出来る。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図1には、本発明の第一の実施形態としての自動車用エンジンマウントが示されている。かかるエンジンマウント10は、互いに離隔して位置せしめられた第一の取付部材としての第一の取付金具12と第二の取付部材としての第二の取付金具14が本体ゴム弾性体16によって連結されて構成されており、第一の取付金具12が図示しない自動車のパワーユニット側に取り付けられる一方、第二の取付金具14が図示しない自動車の車両ボデー側に対して取り付けられることにより、パワーユニットがボデーに対して防振支持されるようになっている。また、そのような装着状態下、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間には、パワーユニットの分担荷重と、防振すべき主たる振動が、何れも、エンジンマウント10の略軸方向(図1中、上下方向)に入力されるようになっている。なお、以下の説明において、上下方向とは、原則として図1における上下方向をいうものとする。
より詳細には、第一の取付金具12は、逆向きの略円錐台形状を有する金属材によって形成されている。かかる第一の取付金具12の上端部には、鍔部18が形成されており、全周に亘って径方向外方に突出せしめられている。また、第一の取付金具12の上端面には、その中央にボルト孔20が形成されており、図示しないパワーユニット側のボルトによって第一の取付金具12をパワーユニットに対してボルト固定することが可能となっている。
一方、第二の取付金具14は、略円環板形状のフランジ部22に対して、その内周縁部から軸方向下方に向かって突出する嵌着筒部24が一体形成された構造とされており、全体として大径の略円筒形状とされている。そして、第一の取付金具12と略同一中心軸上で第一の取付金具12の下方(図1中の下側)に離隔配置されている。
また、本体ゴム弾性体16は、全体として大径の円錐台形状を有しており、軸方向下方の大径側端面には、その中央部分に大きな肉抜き状の円形凹所26が形成されている。この円形凹所26は、下方に向かって次第に拡径して大径側端面に開口する有底の円形穴であって、この円形凹所26が形成されることにより、本体ゴム弾性体16が、全体として厚肉の逆カップ形状とされている。
そして、本体ゴム弾性体16の小径側端部上面に対して、第一の取付金具12が同軸的に配されて加硫接着されていると共に、本体ゴム弾性体16の大径側端部外周面に対して第二の取付金具14の内周面が重ね合わせられて加硫接着されている。これによって、本体ゴム弾性体16が、上述の如き第一の取付金具12および第二の取付金具14を備えた一体加硫成形品として形成されているのである。なお、第二の取付金具14における嵌着筒部24の内周面は、略全面が本体ゴム弾性体16と一体的に形成された被覆ゴム膜28によって覆われている。
上述の如く第一及び第二の取付金具12,14を備えた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品には、第二の取付金具14の軸方向下側の開口部から可撓性膜としてのダイヤフラム30が組み付けられている。
ダイヤフラム30は、中央部分に十分な弛みをもたせて変形容易とした略円板形状のゴム膜によって形成されており、外周縁部において、嵌着金具32に加硫接着されている。この嵌着金具32は、円環板形状の支持部34に対して、支持部34の外周縁部から上方に突出する円筒形状の固定筒部36と、支持部34の内周縁部から下方に突出する円筒形状の被着筒部38とが一体形成された構造とされており、被着筒部38の内周面に対して、ダイヤフラム30の外周縁部が加硫接着されている。また、嵌着金具32における固定筒部36が、第二の取付金具14の嵌着筒部24に外挿されて、八方絞り等の縮径加工が施されるようになっている。これにより、嵌着金具32の固定筒部36が第二の取付金具14の嵌着筒部24に外嵌固定されている。なお、本実施形態において、固定筒部36と嵌着筒部24の嵌着面間は、固定筒部36の内周面に被着形成されたシールゴム層40で流体密に封止されている。
このように嵌着金具32の固定筒部36が嵌着筒部24に外嵌固定されることによって、本体ゴム弾性体16に形成された円形凹所26における、第二の取付金具14の中央孔を通じて下方に開口せしめられた開口部分が、ダイヤフラム30によって流体密に覆蓋されている。そして、この円形凹所26を利用して形成されて、外部空間に密閉された、本体ゴム弾性体16とダイヤフラム30の対向面間の領域には、非圧縮性流体が封入されており、流体封入領域が画成されている。かかる流体封入領域に封入されている非圧縮性流体としては、例えば水やアルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油等が採用されるが、特に流体の流動作用に基づく防振効果を有効に得るためには、0.1Pa・s以下の低粘性流体を採用することが望ましい。また、非圧縮性流体の封入は、例えば第一及び第二の取付金具12,14を備えた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品に対するダイヤフラム30の組み付けを非圧縮性流体中で行うこと等によって実現される。
また、かかる流体封入領域には、軸直角方向に広がるようにして、仕切部材としての仕切金具42が配設されている。仕切金具42は、全体として厚肉の略円板形状とされており、第二の取付金具14の嵌着筒部24に嵌め入れられている。そして、仕切金具42の外周部分の上面が、本体ゴム弾性体16の下面によって覆われていると共に、仕切金具42の外周面が、被覆ゴム膜28を介して第二の取付金具14の嵌着筒部24に対して流体密に重ね合わせられている。また、嵌着金具32の支持部34上面には、ダイヤフラム30と一体形成されたシールゴム44が被着せしめられており、仕切金具42の外周部底面がシールゴム44を介して嵌着金具32の支持部34に対して流体密に重ね合わせられている。なお、仕切金具42は、本実施形態では、ダイカスト等の鋳造によって成形されたアルミニウム合金等の金属材によって形成されているが、その他の金属、或いは合成樹脂等の適当な硬質材で形成しても良い。
このような仕切金具42が流体封入領域内部において軸方向に広がるように配設されていることによって、流体封入領域が上下に二分されている。これに伴い、仕切金具42を挟んで軸方向一方(図1中、上)の側には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されて、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間への振動入力時に、本体ゴム弾性体16の弾性変形に伴って圧力変動が生ぜしめられる第一の流体室としての受圧室46が形成されている。一方、仕切金具42を挟んだ軸方向他方の側には、壁部の一部がダイヤフラム30で構成されて、ダイヤフラム30の弾性変形に基づいて容積変化が容易に許容される第二の流体室としての平衡室48が形成されている。
さらに、仕切金具42には、その外周部分において上面に開口して所定長さだけ周方向に連続して延びる凹溝50が形成されており、この凹溝50が、本体ゴム弾性体16の下面で流体密に覆蓋されることによってトンネル状の通路形態とされている。また、凹溝50の一方の端部には、所定長さだけ仕切金具42の径方向内方に延び出したオリフィス連通溝52が形成されている。かかるオリフィス連通溝52は、本体ゴム弾性体16に形成された円形凹所26の開口部に開口せしめられており、トンネル状とされた凹溝50の一方の端部と円形凹所26がオリフィス連通溝52を介して連通せしめられている。
更にまた、仕切金具42の下面の中央には、平衡室48に開口された凹所54が形成されている。かかる凹所54は、大径の略円形凹所とされており、凹所54内の空間は、平衡室48に連通せしめられて平衡室48の一部とされている。
そして、上述の如く凹溝50の一方の端部がオリフィス連通溝52に接続されており、かかるオリフィス連通溝52の開口部が本体ゴム弾性体16に形成された円形凹所26に開口せしめられることによって、凹溝50が受圧室46に連通せしめられている。一方、凹溝50の他方の端部には、その径方向内側の側壁を貫通して径方向内方に延びるオリフィス連通孔56が形成されており、かかるオリフィス連通孔56を介して凹溝50が凹所54に接続されて、凹溝50が平衡室48に連通せしめられている。これにより、仕切金具42に形成された凹溝50を利用してオリフィス通路58が形成されており、このオリフィス通路58を通じて受圧室46と平衡室48が相互に連通されている。なお、このオリフィス通路58によって、常時、受圧室46と平衡室48とが接続されており、連通状態が維持されている。
したがって、振動入力時には、圧力変動が惹起される受圧室46と、ダイヤフラム30の変形に基づいて容積変化が許容される平衡室48の間に、相対的な圧力変動が惹起されることとなり、それら両室46,48間でオリフィス通路58を通じての流体流動が生ぜしめられる。その結果、受圧室46と平衡室48の間でオリフィス通路58を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づく防振効果が、防振すべき軸方向(図1中の上下方向)の振動に対して発揮されるようになっている。
特に本実施形態では、オリフィス通路58を流動せしめられる流体の共振周波数が、該流体の共振作用に基づいてシェイク等の10Hz程度の低周波大振幅振動に対して有効な防振効果が発揮されるようにチューニングされている。かかる共振周波数のチューニングは、受圧室46と平衡室48の各壁ばね剛性等を考慮しつつ、例えばオリフィス通路58の流路断面積や長さ等を設定変更することにより実現される。
一方、仕切金具42の径方向中央部には、筒状嵌着部としての筒状突起60が軸方向上方に向かって突出形成されている。かかる筒状突起60は、図1,図2に示されているように、小径の逆向き略有底円筒形状であって、仕切金具42の上面において一体的に形成されている。そして、筒状突起60は、受圧室46内に突出せしめられて、その外周面が受圧室46に面して位置せしめられていると共に、その内周側空間が平衡室48に連通せしめられて平衡室48の一部とされている。
また、筒状突起60の周壁には、図1,図2に示されているように連通孔62が形成されている。かかる連通孔62は、小径の円形孔で、筒状突起60の周壁を径方向に貫通して形成されて、その両端部の開口が、それぞれ受圧室46及び平衡室48に接続されている。更に、本実施形態においては、径方向一方向において一組の連通孔62,62が一直線上に形成されている。なお、連通孔62の直径は、好適には8mm以下、より好適には5mm以下、更に好適には3mm以下であることが望ましい。
さらに、筒状突起60には、嵌着ゴム膜としての筒状ゴム膜64が外嵌状態で取り付けられている。かかる筒状ゴム膜64は、略円筒形状で薄肉のゴム膜によって形成されており、その内径寸法が筒状突起60の外形寸法と略同じか僅かに小径とされて、筒状ゴム膜64の弾性力によって、図2に示されているように筒状突起60に外嵌固定されている。なお、本実施形態においては、筒状ゴム膜64は、弾性力によって筒状突起60の外周面に流体密に密着せしめられて、筒状突起60に対して固定されている。
そして、筒状ゴム膜64は、筒状突起60の周壁に形成された連通孔62,62の受圧室46側の開口部を流体密に覆蓋しており、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に外力が作用しない状態において、連通孔62の受圧室46側開口部が筒状ゴム膜64の周壁内面によって流体密に閉塞せしめられている。
ここにおいて、上述の如き構造とされた本実施形態のエンジンマウント10では、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に振動が入力されて、受圧室46に過大な負圧が生じた場合、受圧室46の負圧が筒状ゴム膜64に作用せしめられることにより、筒状ゴム膜64が弾性変形せしめられ、径方向外方に拡径せしめられる。これにより、筒状突起60の周壁に貫通形成された連通孔62の受圧室46側の開口部を流体密に覆蓋する筒状ゴム膜64が、連通孔62の受圧室46側開口部から離隔せしめられることによって、受圧室46と平衡室48が連通孔62を介して連通せしめられる。それ故、受圧室46と平衡室48の間での流体流動がオリフィス通路58を通じてのみならず、連通孔62を通じても生じることとなり、受圧室46の過大な負圧が速やかに解消されることとなる。
一方、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に振動が入力されて、受圧室46に正圧が生じた場合には、筒状ゴム膜64の周壁に対して径方向内側向きの圧力が作用することとなる。かかる圧力の作用方向では、筒状ゴム膜64は、連通孔62の受圧室46側開口部から離隔せしめられることがなく、縮径変形せしめられることにより、一層強固に筒状突起60の外周面に押圧されて密着せしめられる。それ故、受圧室46と平衡室48との間で、連通孔62を介して圧力が逃がされることはなく、両室46,48間での流体流動がオリフィス通路58を通じてのみ生じることとなって、オリフィス通路58を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づく防振効果が有効に発揮されることとなる。
また一方、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に振動が入力されて、受圧室46に気相分離を生じない程度に小さい負圧が生じた場合には、かかる負圧によって筒状ゴム膜64に対して径方向外方への引張力が作用することとなる。しかしながら、受圧室に生じる負圧が設定閾値よりも小さい場合には、筒状ゴム膜64は、負圧の作用による変形がその弾性力によって阻止されて、筒状突起60の外周面に密着せしめられた状態に保たれる。これにより、連通孔62の受圧室46側の開口部は、筒状ゴム膜64によって流体密に覆蓋された状態で維持されて、受圧室46と平衡室48との間において惹起される相対的な圧力変動が十分に確保される。それ故、オリフィス通路58を通じての両室46,48間の流体流動量を十分に確保することが出来て、オリフィス通路58による所期の防振効果を有効に発揮することが出来る。
さらに、連通孔62の受圧室46側開口部を連通/閉塞状態に切り換える筒状ゴム膜64の材料や厚さ、形状等を、エンジンマウント10に対する要求特性や、エンジンマウント10に対して入力されると予想される振動の程度、封入する非圧縮性流体の種類等を考慮して、適当に調節することにより、筒状ゴム膜64の弾性(ばね定数)を調節して、連通孔62の開口部が連通状態と閉塞状態に切り換わる内外周面への作用圧力差の設定閾値を自由に変更することが可能とされている。これにより、エンジンマウント10の構造や他部材の形状等の変更をすることなく容易に連通孔62が連通状態とされる条件を設定することが可能となる。
また、連通孔62が十分に小径とされていることにより、筒状ゴム膜64の連通孔62を覆う部分が弾性変形せしめられることに起因する受圧室46内に生じる圧力の吸収を軽減することが出来る。それ故、受圧室46と平衡室48との相対的な圧力変動を十分に確保することが出来て、オリフィス通路58での流体の共振作用による所期の防振性能を有効に得ることが出来る。
次に、図3には、本発明の第二の実施形態としてのエンジンマウント66が示されている。かかるエンジンマウント66においては、全体として略厚肉円板形状とされた仕切部材としての仕切金具68が、仕切金具本体70と仕切金具本体70に対して固定される筒状嵌着部としての筒状嵌着金具72とを含んで構成されている。なお、以下の説明において、第一の実施形態におけるエンジンマウント10と実質的に同一の部材及び部位については、図中に同一の符号を付すことにより、詳細な説明を省略する。
より詳細には、仕切金具本体70は、略圧肉円板形状の金属材で構成されており、その外周部分には、凹溝50が形成されていると共に、かかる凹溝50の開口部が本体ゴム弾性体16の下端面によって覆蓋されてトンネル状とされている。更に、凹溝50の一方の端部が前記第一の実施形態と同様に受圧室46に連通せしめられていると共に、他方の端部には、その底壁の一部にオリフィス連通孔74が貫通形成されており、かかるオリフィス連通孔74にを通じて凹溝50の他方の端部が平衡室48に連通せしめられている。また、径方向中央部分の下面には、平衡室48に開口する凹所が形成されており、平衡室48の一部とされている。更に、仕切金具本体70の径方向中央部には、仕切金具本体70を軸方向に貫通して嵌着金具取付孔76が形成されている。そして、嵌着金具取付孔76には、逆向きの略有底円筒形状を有する筒状嵌着金具72が螺装されている。かかる筒状嵌着金具72の軸方向下部の外周面には、嵌着金具取付孔76に螺合するねじ山が形成されており、嵌着金具取付孔76に螺着されて仕切金具本体70に対して固定されている。これにより、筒状嵌着金具72の軸方向上部は、受圧室46内に突出せしめられていると共に、その内部空間が平衡室48の一部とされている。更に、筒状嵌着金具72には、径方向一方向に貫通形成されて受圧室46と平衡室48とを互いに連通せしめる連通孔62が形成されていると共に、前記第一の実施形態同様、かかる連通孔62の受圧室46側開口部が略薄肉円筒形状の筒状ゴム膜64によって流体密に覆蓋されている。
このような本実施形態に従う構造とされたエンジンマウント66においては、仕切金具本体70と筒状嵌着金具72が別体として形成されている。これにより、特殊な形状の仕切部材を製造することなく、略円板形状の仕切金具本体70と略有底円筒形状の筒状嵌着金具72によって仕切部材としての仕切金具68を構成することが出来るため、本発明に従う流体封入式防振装置を製造容易に実現することが可能となる。また、仕切金具本体70と筒状嵌着金具72の材料を互いに異ならせることが可能となるため、要求性能等により適合した流体封入式防振装置を実現できる。
以上、本発明の幾つかの実施形態について説明してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
例えば、前記第一,第二の実施形態における仕切金具42,68は、それぞれダイカスト等の鋳造によって形成されていたが、仕切金具の製造方法は、前記実施形態のものに限定されない。具体的には、例えば、図4に示された本発明の第三の実施形態としてのエンジンマウント78のように、仕切金具80が、プレス加工された略円板形状の金属板によって形成することも出来る。
より詳細には、仕切金具80は、略薄肉円板形状を有する金属板をプレス加工することによって形成されており、その外周部分が周方向の所定長さに亘って中央部分に比して軸方向下方に位置せしめられた段差部82とされていると共に、中央部分が軸方向上方に突出せしめられた逆向き略有底円筒形状の筒状突起60とされている。そして、かかる仕切金具80が第二の取付金具14の嵌着筒部24に嵌め入れられている。そして、仕切金具80の外周部分に形成された段差部82の上方が、本体ゴム弾性体16の下面によって覆われていると共に、仕切金具80の外周面が、被覆ゴム膜28を介して第二の取付金具14の嵌着筒部24に対して流体密に重ね合わせられている。
そして、本体ゴム弾性体16の下面及び被覆ゴム膜28によって上方及び径方向外方を覆蓋されてトンネル状とされた段差部82は、一方の端部が径方向内方に延び出して形成されており、受圧室46に連通せしめられていると共に、他方の端部がその底壁にオリフィス連通孔84を形成されて平衡室48に連通せしめられている。これにより、段差部82を利用してオリフィス通路86が形成されており、受圧室46と平衡室48とがオリフィス通路86を通じて常時連通状態とされている。
このような本実施形態に従う構造とされたエンジンマウント78においては、プレス加工によっても仕切金具80を形成することが出来て、本発明に従う構造の流体封入式防振装置を容易に実現することが出来る。
また、前記第一,第二の実施形態においては、仕切部材として金属製の仕切金具42,68を採用した例を示したが、仕切部材としては、硬質の樹脂材やゴム弾性体など、要求性能などに応じて各種の材料を適宜に採用することが出来る。具体的には、例えば、図5には、本発明の第四の実施形態としてのエンジンマウントを構成する仕切部材88の要部が示されている。かかるエンジンマウントにおいては、仕切部材88がゴム弾性体によって形成された仕切ゴム板90を含んで構成されている。
より詳細には、エンジンマウントを構成する、全体として略厚肉円板形状とされた仕切部材88が、ゴム弾性体によって形成された仕切部材本体としての仕切ゴム板90と、金属によって形成された筒状嵌着部としての筒状嵌着金具92とを含んで構成されている。仕切ゴム板90は、略厚肉円板形状で、径方向中央において軸方向に貫通形成された嵌着金具取付孔94を有している。そして、かかる嵌着金具取付孔94に対して逆向きの略有底円筒形状とされた筒状嵌着金具92が貫設されており、仕切ゴム板90が、筒状嵌着金具92の外周面において、軸方向中央より下部に加硫接着されることにより、筒状嵌着金具92が仕切ゴム板90に対して固定されている。また、筒状嵌着金具92の下端部において、径方向に広がる固着部95が形成されることにより、筒状嵌着金具92に対する仕切ゴム板90の被着面積を大きく取って、より強固に固着せしめられている。
このような本実施形態に従う構造とされたエンジンマウントにおいては、筒状嵌着金具92の周壁に形成された連通孔62を通じての流体流動による過大な負圧の解消と共に、自動車の走行こもり音等の高周波小振幅の振動入力時に受圧室において惹起される圧力変動が、仕切ゴム板90の弾性変形によって吸収されて平衡室に逃されることにより、受圧室の圧力変動が吸収されて、オリフィス通路が実質的に閉塞状態となる程の高周波数域での著しい高動ばね化の低減効果が、有効に発揮される。なお、仕切ゴム板90は、それ自体が、第一の実施形態における仕切金具42と略同じ形状とされてオリフィス通路を形成していても良いし、オリフィス通路を形成する環状のオリフィス金具が、仕切ゴム板90の外周縁部に加硫接着されていても良い。
また、前記第一,第三の実施形態において、逆向きの略有底円筒形状とされた筒状突起60に対して略円筒形状の筒状ゴム膜64が外嵌装着されている例を示すと共に、前記第二の実施形態において、逆向きの略有底円筒形状とされた筒状嵌着金具72に対して略円筒形状の筒状ゴム膜64が外嵌装着されている例を示したが、筒状嵌着部としての筒状突起又は筒状嵌着金具や、嵌着ゴム膜としての筒状ゴム膜の形状等は、前記実施形態のものに何等限定されない。以下に、これら筒状嵌着部と嵌着ゴム膜の他の実施形態について説明する。
先ず、図6には、本発明の第五の実施形態としてのエンジンマウントの要部が示されている。即ち、本実施形態においては、逆向きの略有底円筒形状を有する筒状突起60に対して逆向きの略有底円筒形状を有する筒状ゴム膜96が取り付けられている。なお、本実施形態において、筒状ゴム膜96の底壁内面は、筒状突起60の突出先端である底壁外面に対して重ね合わせられている。
このような本実施形態に従う構造とされたエンジンマウントにおいては、逆向きの略有底筒体形状とされた筒状ゴム膜96の底壁を筒状突起60の突出先端に当接させることによって、筒状ゴム膜96を筒状突起60に対して軸方向で容易に位置決めすることが出来て、連通孔62の開口部に筒状ゴム膜96の周壁部を確実に位置せしめて、連通孔62の受圧室46側の開口を流体密に閉塞せしめることが可能となる。
次に、図7には、本発明の第六の実施形態としてのエンジンマウントの要部が示されている。即ち、本実施形態においては、逆向きの略有底円筒形状とされた筒状突起98の底壁において、連通孔62に比して大径の円形孔である透孔100が、底壁を軸方向に貫通して形成されていると共に、逆向きの略有底円筒形状を有する筒状ゴム膜102の底壁によってかかる透孔100の受圧室46側の開口が流体密に覆蓋されている。
このような本実施形態に従う構造とされたエンジンマウントにおいては、連通孔62とは異なる位置において透孔100が形成されていると共に、かかる透孔100の受圧室側の開口が筒状ゴム膜102の底壁によって流体密に覆われている。これにより、筒状ゴム膜102の底壁において透孔100を覆蓋する部分の微小な弾性変形によって、受圧室46に惹起される圧力変動が平衡室48へ逃されて軽減される。それ故、特にオリフィス通路58のチューニング周波数より高い周波数域の振動が入力された場合における、著しい高動ばね化が回避されて、良好な防振性能を発揮することが可能となる。
次に、図8には、本発明の第七の実施形態としてのエンジンマウントの要部が示されている。即ち、本実施形態においては、逆向きの略有底円筒形状を有する筒状突起98の底壁を軸方向に貫通する透孔100が形成されている一方、逆向きの略有底円筒形状とされた筒状ゴム膜104の底壁の中央部分が、下方に向かって突出せしめられた突出部106とされて、透孔100に挿通せしめられていると共に、その突出先端部が全周に亘って径方向に突出した大径部108とされており、透孔100が突出部106によって充填されていると共に、筒状突起98が筒状ゴム膜104と大径部108との間で挟み込まれている。
このような本実施形態に従う構造とされたエンジンマウントにおいては、前記第四の実施形態と同様に、透孔100の形成部分において、受圧室46内に惹起される圧力変動を平衡室48へ逃がすことにより、防振性能の向上を図ることが出来る。しかも、筒状突起98が筒状ゴム膜104の底壁と大径部108との間で挟み込まれていることにより、筒状ゴム膜104を筒状突起98に対してより強固に固定することが出来る。
次に、図9には、本発明の第八の実施形態としてのエンジンマウントの要部が示されている。即ち、本実施形態においては、略円筒形状の筒状ゴム膜110の下端部において、全周に亘って径方向内方に突出して延びる係合凸条112が一体形成されていると共に、筒状突起114の外周面において、周方向に全周に亘って延びて形成される溝状の係止部としての係合凹溝116が形成されている。これらの係合凸条112及び係合凹溝116は、筒状ゴム膜110の筒状突起114への取付状態において互いに係合せしめられるようになっている。なお、好適には、係合凹溝116は、筒状突起114における連通孔62の受圧室側の開口上に位置しないように形成されることが望ましく、特に本実施形態においては、連通孔62の受圧室側開口部よりも軸方向下方において形成されている。
このような本実施形態に従う構造とされたエンジンマウントにおいては、筒状ゴム膜110の内周面に一体形成された係合凸条112と筒状突起114の外周面に形成された係合凹溝116とが互いに係合せしめられることにより、受圧室46に生じる負圧による筒状ゴム膜110の軸方向への抜けが効果的に防止されて、信頼性の向上を図ることが出来る。
次に、図10には、本発明の第九の実施形態としてのエンジンマウントの要部が示されている。即ち、本実施形態においては、逆向き略有底円筒形状を有する筒状ゴム膜118の周壁に圧抜孔120が形成されている。なお、圧抜孔120は、筒状ゴム膜118を逆向き略有底円筒形状を有する筒状突起60に対して取り付けた状態において、連通孔62の受圧室46側の開口部を覆蓋する部分以外に位置するように、即ち連通孔62の受圧室46側の開口部を外れた位置に、適宜に形成されている。
このような本実施形態に従う構造とされたエンジンマウントにおいては、受圧室46に著しい負圧が生じた場合には、連通孔62及び圧抜孔120を通じて両室間での流体流動(平衡室から受圧室に向かう流体流動)が生じることとなる。それ故、圧抜孔120の連通孔62からの距離等を変更することによって、連通孔62の受圧室46側開口の開条件を容易且つ自由に設定乃至は変更することが可能となる。
次に、図11には、本発明の第十の実施形態としてのエンジンマウントの要部が示されている。即ち、本実施形態においては、仕切金具122が、仕切金具本体124と、仕切金具本体124とは別体で形成されて、逆向きの略有底円筒形状とされた筒状嵌着金具126とを含んで構成されている。仕切金具本体124は、薄肉の金属板をプレス加工することにより形成されており、径方向略中央において軸方向に貫通形成された嵌着金具取付孔128を有している。また、筒状嵌着金具126は、深絞りやしごき加工等で形成されており、その周壁において径方向一方向で対向する位置にそれぞれ貫通して形成された連通孔62を有すると共に、その下部には、取付部130が形成されている。かかる取付部130は、筒状嵌着金具126の外周面において、全周に亘って径方向外方に向かって突出して一体形成された突条部132と、筒状嵌着金具126の軸方向下端部から下方に向かって一体的に突出形成された略薄肉円筒形状のかしめ部134によって構成されている。そして、突条部132より軸方向下方が嵌着金具取付孔128に挿入された状態において、突条部132の下面が仕切金具本体124の上面に当接せしめられると共に、かしめ部134がかしめ加工されて略全周に亘って径方向外方に屈曲せしめられ、突条部128とかしめ部134との間で仕切金具本体124がかしめ固定されている。これにより、突条部132とかしめ部134との間に仕切金具本体124が挟圧されて、筒状嵌着金具126が仕切金具本体124に固定されている。
このような本実施形態に従う構造とされたエンジンマウントにおいては、それぞれ別体形成された筒状嵌着金具126と仕切金具本体124とをかしめ固定することにより容易に取り付けて仕切金具122を構成することが出来る。それ故、薄肉の板材によって形成された仕切金具本体124を有するエンジンマウントに対しても、容易に本発明を適用することが可能となる。
また、前記第一乃至第十の実施形態においては、筒状嵌着部として金属製の筒状突起60,98,114又は筒状嵌着金具72,92,126を採用した例を示したが、筒状嵌着部は、硬質の部材であれば良く、金属製の他、硬質の樹脂材なども適宜に採用され得る。
更に、前記第一乃至第十の実施形態においては、筒状嵌着部として、逆向きの略有底円筒形状を有する筒状突起60,98,114又は筒状嵌着金具72,92,126が例示されているが、筒状嵌着部の形状は前記実施形態のものに何等限定されない。具体的には、例えば、円筒形状や有底角柱形状,角柱形状などを有する筒状嵌着部も採用され得る。また、筒状嵌着部の形状に合わせて筒状ゴム膜の形状も適宜に選択されて採用される。
また、前記第一乃至第十の実施形態においては、筒状嵌着部に形成されている連通孔として、筒状突起60,98,114又は筒状嵌着金具72,92,126の周壁を径方向一方向において貫通して二つ形成されている一組の連通孔62,62を例示したが、連通孔の数は少なくとも一つ形成されていれば良く、二つ以上の複数が形成されていても良い。また、径方向一方向に形成されている必要はなく、例えば、互いに略直交する径方向に延びる二つの連通孔を設けることなども可能である。
また、前記第一乃至第十の実施形態においては、筒状ゴム膜64,96,102,104,110,120が、筒状突起60,98,114又は筒状嵌着金具72,92,126に対して圧入されて外嵌装着されることにより、筒状ゴム膜64,96,102,104,110,120がその弾性力によって筒状突起60,98,114又は筒状嵌着金具72,92,126に固定された例を示したが、このような筒状ゴム膜64,96,102,104,110,120の、筒状突起60,98,114又は筒状嵌着金具72,92,126に対する取付方法は前記実施形態に記載の内容によって何等限定されるものではない。例えば、筒状ゴム膜の一部を筒状突起や筒状嵌着金具に対して接着等で固着しても良く、具体的には、例えば、筒状突起又は筒状嵌着金具の上端面に合成高分子物質等を主成分とする接着剤を塗布した後、筒状ゴム膜を筒状突起又は筒状嵌着金具に対して圧入し、更に筒状ゴム膜と筒状突起又は筒状嵌着金具との重ね合わせ面間において接着剤による固着力を十分に得るために加熱することによって、筒状ゴム膜を筒状突起又は筒状嵌着金具に対して固定的に取り付けること等も可能である。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
本発明の第一の実施形態としてのエンジンマウントを示す縦断面図である。 図1に示されたエンジンマウントの要部を示す横断面図である。 本発明の第二の実施形態としてのエンジンマウントを示す縦断面図である。 本発明の第三の実施形態としてのエンジンマウントを示す縦断面図である。 本発明の第四の実施形態としてのエンジンマウントの要部を示す縦断面図である。 本発明の第五の実施形態としてのエンジンマウントの要部を示す縦断面図である。 本発明の第六の実施形態としてのエンジンマウントの要部を示す縦断面図である。 本発明の第七の実施形態としてのエンジンマウントの要部を示す要部縦断面図である。 本発明の第八の実施形態としてのエンジンマウントの要部を示す縦断面図である。 本発明の第九の実施形態としてのエンジンマウントの要部を示す縦断面図である。 本発明の第十の実施形態としてのエンジンマウントの要部を示す縦断面図である。
符号の説明
10 エンジンマウント
12 第一の取付金具
14 第二の取付金具
16 本体ゴム弾性体
30 ダイヤフラム
42 仕切金具
46 受圧室
48 平衡室
58 オリフィス通路
60 筒状突起
62 連通孔
64 筒状ゴム膜

Claims (7)

  1. 防振連結される一方の部材に取り付けられる第一の取付部材と防振連結される他方の部材に取り付けられる第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結せしめ、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて振動入力時に圧力変動が生ぜしめられる受圧室と、壁部の一部が可撓性膜で構成されて容積変化が許容される平衡室を、該第二の取付部材で支持された仕切部材を挟んだ両側に形成して、それら受圧室と平衡室に非圧縮性流体を封入すると共に、該受圧室と該平衡室を相互に連通するオリフィス通路を設けた流体封入式防振装置であって、
    前記仕切部材において、筒状外周面をもって受圧室側に向かって突出する筒状嵌着部を形成すると共に、該筒状嵌着部において前記受圧室と前記平衡室を相互に連通せしめる連通孔を外周面に開口せしめて形成する一方、該筒状嵌着部の外周面に対して筒状の嵌着ゴム膜を密接状態で外嵌装着して、該嵌着ゴム膜の一方の面に該受圧室の圧力が作用せしめられると共に、他方の面に該平衡室の圧力が作用せしめられることにより、受圧室の圧力が平衡室の圧力に比して所定量よりも小さくなった場合において、該嵌着ゴム膜が弾性変形せしめられて該連通孔が実質的に開口状態とされるようにしたことを特徴とする流体封入式防振装置。
  2. 前記嵌着ゴム膜が有底筒体形状とされており、該嵌着ゴム膜の周壁部が前記筒状嵌着部の外周面に外嵌装着されている請求項1に記載の流体封入式防振装置。
  3. 前記筒状嵌着部が、一体形成された底部を突出先端部に有する有底筒体形状とされた請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
  4. 前記筒状嵌着部の前記底部において、前記受圧室と前記平衡室を相互に連通せしめる透孔が形成されていると共に、該透孔が有底筒体形状とされた前記嵌着ゴム膜の底部によって流体密に閉塞せしめられている請求項3に記載の流体封入式防振装置。
  5. 前記筒状嵌着部の外周面の少なくとも一部において、前記嵌着ゴム膜が係合せしめられる係止部を形成した請求項1乃至4の何れかに記載の流体封入式防振装置。
  6. 前記嵌着ゴム膜において、該嵌着ゴム膜の周壁部を貫通する圧抜孔を形成して、該圧抜孔が該嵌着ゴム膜の前記筒状嵌着部に対する配設状態において前記連通孔と一直線上に位置しないようにされている請求項1乃至5の何れかに記載の流体封入式防振装置。
  7. 前記仕切部材が、ゴム弾性体を含んで形成された仕切部材本体と、該仕切部材本体に対して固着される硬質材を含んで形成された前記筒状嵌着部とを含んで構成されている請求項1乃至6の何れかに記載の流体封入式防振装置。
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