JP2010031990A - 流体封入式防振装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】仕切部材に組み付けられた可動部材が仕切部材に打ち当たることに起因する異音や振動の発生を抑えることが出来る、新規な構造の流体封入式防振装置を提供することを、目的とする。
【解決手段】可動部材72が受圧室62と平衡室64の対向方向に小変位可能な状態で組み付けられた仕切部材42が、支持ゴム層30を介して、第二の取付部材14に弾性支持せしめられるようにすると共に、可動部材72の受圧室62側から平衡室64側への変位端を規定する可動部材72と透孔54の内周縁部46との当接面を可動部材72の変位方向に対して傾斜したテーパ状当接面48,78とした。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば自動車用エンジンマウント等に用いられる防振装置に係り、特に、内部に封入された流体の流動作用を利用して防振効果を得るようにした流体封入式防振装置に関するものである。
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装される防振連結体乃至は防振支持体として、第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結した防振装置が各種分野に広く採用されている。その一種として、筒状の第二の取付部材における一方の開口側を本体ゴム弾性体で閉塞すると共に、他方の開口側を可撓性膜で閉塞し、本体ゴム弾性体と可撓性膜の対向面間を第二の取付部材に嵌着支持された仕切部材で仕切ることによって、本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成された受圧室と可撓性膜で壁部の一部が構成された平衡室とを仕切部材を挟んだ各一方の側に形成し、これら受圧室と平衡室に非圧縮性流体を封入すると共に、これら受圧室と平衡室を連通させるオリフィス通路を設けた流体封入式防振装置が知られている。
このような流体封入式防振装置においては、封入した非圧縮性流体の共振作用等の流動作用を利用した防振効果を得ることが出来るのであり、本体ゴム弾性体の防振作用だけでは得られない程の低動ばね効果や高減衰効果をチューニング周波数域で容易に得ることが出来ることから、例えば、特定の周波数域で高度な防振性能が要求される自動車用のエンジンマウント等への適用が検討されている。
ところで、自動車用のエンジンマウントにおいては、走行状態等に応じて防振すべき振動の周波数が異なる場合がある。しかしながら、オリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づいて発揮される防振効果は、予めオリフィス通路がチューニングされた比較的狭い周波数域に限られている。それ故、このような流体封入式防振装置においては、オリフィス通路のチューニング周波数よりも高周波数域の振動が入力されると、オリフィス通路が実質的に閉塞状態となってしまう。その結果、著しい高動ばね化が生ぜしめられて、防振性能が低下してしまうという問題がある。
このような問題に対処するために、特許文献1(特開昭60−113835号公報)等において、可動部材としての可動板を受圧室と平衡室の対向方向に小変位可能な状態で仕切部材に組み付けた流体封入式防振装置が提案されている。
かかる流体封入式防振装置においては、高周波数域の振動が入力された際に、受圧室と平衡室の圧力差に基づく可動板の変位によって、受圧室の微小圧力変動を平衡室に逃がして吸収するようになっている。一方、オリフィス通路がチューニングされた低周波数域の振動入力時には、かかる振動の振幅が大きいことから、可動板が仕切部材に当接することによって、可動板の変位に基づく受圧室から平衡室への圧力伝達が阻止されることとなる。それ故、受圧室の圧力吸収が回避されて、受圧室と平衡室の相対的な圧力変動が有効に生ぜしめられることとなり、これら受圧室と平衡室の間でのオリフィス通路を通じての流体流動量が十分に確保されて、オリフィス通路による防振効果が有効に発揮されるようになっている。
しかしながら、特許文献1に記載の如き液圧吸収機構を備えた流体封入式防振装置においては、大振幅振動が入力されて、受圧室に急激な圧力変動が生ぜしめられた際に、可動板が仕切部材に勢い良く打ち当たる。そのために、可動板の仕切部材への打ち当たりに際しての衝撃に起因する、仕切部材の振動が、仕切部材を固定的に支持する第二の取付部材へ伝わることによって、音や振動として認識されるという問題があった。
なお、このような問題に対処するために、可動板と仕切部材の当接部分をゴム弾性体で形成することも考えられるが、それだけでは十分な効果を得ることが難しい。
特開昭60−113835号公報
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、仕切部材に組み付けられた可動部材が仕切部材に打ち当たることに起因する異音や振動の発生を抑えることが出来る、新規な構造の流体封入式防振装置を提供することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。
本発明は、第一の取付部材を筒状の第二の取付部材における一方の開口部側に離隔配置して第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結すると共に、第二の取付部材における他方の開口部を可撓性膜で覆蓋する一方、本体ゴム弾性体と可撓性膜の対向面間に仕切部材を配設して第二の取付部材で嵌着支持せしめることにより、仕切部材を挟んだ一方の側には本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて振動が入力される受圧室を形成し且つ他方の側には可撓性膜で壁部の一部が構成されて容積変化が許容される平衡室を形成して、それら受圧室と平衡室に非圧縮性流体を封入すると共に、それら受圧室と平衡室を相互に連通するオリフィス通路を設けた流体封入式防振装置において、第二の取付部材において仕切部材を嵌着支持せしめる嵌着支持部に支持ゴム層が設けられており、仕切部材が支持ゴム層を介して第二の取付部材に弾性支持せしめられている一方、仕切部材に組み付けられる可動部材には、外周面に開口して周方向に延びる係合溝が形成されていると共に、仕切部材には、受圧室と平衡室の対向方向に貫通する透孔が形成されており、透孔の内周縁部を係合溝内に隙間を隔てて入り込ませることにより、可動部材を受圧室側と平衡室側に小変位可能に支持せしめる一方、係合溝の両側壁部が透孔の内周縁部に当接することにより、可動部材の変位が規制されると共に、透孔が閉塞されるようになっており、更に、可動部材の受圧室側から平衡室側への変位端を規定する可動部材と透孔の内周縁部との当接面を可動部材の変位方向に対して傾斜したテーパ状当接面としたことを、特徴とする。
このような本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、可動部材が受圧室と平衡室の対向方向に小変位可能な状態で組み付けられた仕切部材が、支持ゴム層を介して、第二の取付部材に弾性支持せしめられていることから、可動部材の仕切部材への打ち当たりに伴う打音や振動が第二の取付部材に伝達することを抑えることが出来る。
そこにおいて、本発明に係る流体封入式防振装置においては、可動部材の受圧室側から平衡室側への変位端を規定する可動部材と透孔の内周縁部との当接面が可動部材の変位方向に対して傾斜したテーパ状当接面とされていることから、可動部材における仕切部材への当接面積を確保することが可能となる。その結果、可動部材の仕切部材への打ち当たりを柔らかくすることが出来る。
また、可動部材の仕切部材への打ち当たりの反力を、打ち当たり方向と交叉する方向へ逃がすことが出来るから、可動部材の仕切部材への打ち当たりに伴う打音を軽減することが可能となる。
さらに、テーパ状当接面に対する可動部材の当接の際には、傾斜した当接面への当接反力によって、仕切部材に対する可動部材のセンタリング作用が発揮される。これにより、可動部材の変位状態や着座状態が安定することとなる。その結果、可動部材の変位に基づく受圧室の圧力吸収や、可動部材の仕切部材に当接した着座状態での受圧室から平衡室への圧力の逃げ防止が一層効果的に達成される。
また、本発明においては、仕切部材に対して、周方向に延びるオリフィス通路が形成されていると共に、かかるオリフィス通路をテーパ状当接面に開口させる連通流路を形成するようにしても良い。
この場合、可動部材の変位により、連通流路からオリフィス通路を通じての流体流動が生ぜしめられ得ることとなる。従って、連通流路からオリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の共振周波数を適当にチューニングすることにより、連通流路からオリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の共振作用を利用した防振効果を得ることが出来る。例えば、オリフィス通路のチューニング周波数域の振動よりも小振幅であるが、高減衰効果が要求される振動に対する防振効果が必要な場合には、その周波数にチューニングすることにより、連通流路からオリフィス通路を通じての流体流動が生ぜしめられ得る。その結果、オリフィス通路のチューニング周波数域の振動よりも小振幅であるが、高減衰効果が要求される振動に対して、連通流路からオリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づく防振効果を発揮することが出来る。
また、連通流路がテーパ状当接面に開口せしめられていることから、可動部材と仕切部材の当接面間の容積が、振動入力時の可動部材の変位に基づいて、変化せしめられる際に、可動部材がピストンの如く作用することになる。その結果、連通流路からオリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の流動量を確保することが出来る。
さらに、本発明においては、可動部材と仕切部材との当接面が当接ゴム弾性体で形成されていることが望ましい。これにより、可動部材が仕切部材に打ち当たることに起因する打音や振動を一層抑えることが出来る。
更にまた、本発明において、仕切部材には、テーパ状当接面の外周側において、可動部材の変位方向に直交する方向に広がる平坦な当接平面が形成されていることが望ましい。これにより、仕切部材の当接平面に可動部材を当接させて、可動部材の変位規制をすることが出来る。その結果、可動部材の最大変位量を確実に規定することが可能となる。
また、本発明においては、可動部材を仕切部材に対して同一中心軸線上で変位方向の中心に位置せしめた状態で、係合溝と透孔の内周縁部との間に形成される隙間が、可動部材の変位方向に一定の隙間寸法で延びるストレート部と、かかるストレート部の受圧室側の端から受圧室側へ行くに従って一定の隙間寸法で広がる傾斜部を有していることが望ましい。これにより、可動部材や仕切部材の部材厚さや強度を確保しつつ、傾斜部の傾斜角度を自由に設定することが出来る。
さらに、本発明においては、第二の取付部材における一方の開口部が本体ゴム弾性体で閉塞されていると共に、本体ゴム弾性体と一体形成された被覆ゴム層が第二の取付部材の内周面を覆っている一方、可撓性膜としてのゴムダイヤフラムの外周縁部に固定リング金具が加硫接着されていると共に、固定リング金具における第二の取付部材への嵌着固定部分に被覆ゴム層が介在されることでシールゴム層が構成されて第二の取付部材の他方の開口部が流体密に閉塞されており、更に、仕切部材における第二の取付部材への嵌着固定部分に被覆ゴム層が介在されることで支持ゴム層が構成されており、支持ゴム層の内周面において仕切部材の嵌着部位と固定リング金具の嵌着部位とが軸方向に離隔していることが望ましい。これにより、仕切部材が、可撓性膜としてのゴムダイヤフラムの外周縁部に加硫接着されている固定リング金具に当接して拘束されることなく、単体で支持ゴム層によって弾性支持されることとなる。その結果、仕切部材の弾性支持を効果的に実現することが出来る。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
図1には、本発明に係る流体封入式防振装置の第一の実施形態としての自動車用のエンジンマウント10が示されている。かかるエンジンマウント10は、第一の取付部材としての第一の取付金具12と第二の取付部材としての第二の取付金具14が本体ゴム弾性体16で連結された構造とされている。そして、第一の取付金具12が図示しないパワーユニットに取り付けられると共に、第二の取付金具14がブラケット18を介して図示しない車両ボデーに取り付けられることにより、パワーユニットが車両ボデーに対して防振支持せしめられている。なお、以下の説明において、上下方向とは、原則として、図1中の上下方向をいうものとする。
より詳細には、第一の取付金具12は、鉄やアルミニウム合金等の金属材で形成されており、全体として逆円錐台形状を呈している。また、第一の取付金具12の大径側端部には、軸方向上方に向かって突出するナット部20が一体形成されている。
一方、第二の取付金具14は、第一の取付金具12と同様に、鉄やアルミニウム合金等の金属材で形成されており、全体として大径の円筒形状を呈している。特に本実施形態では、第二の取付金具14は、段付円筒形状とされており、軸方向中間部分に形成された段差部22を挟んで軸方向上側が大径部24とされている一方、軸方向下側が嵌着支持部としての小径部26とされている。
このような構造とされた第二の取付金具14は、その軸方向上方の開口部側(大径の開口部側)に離隔して、第一の取付金具12が略同一中心軸線上に配されている。そして、これら第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に本体ゴム弾性体16が配設されており、この本体ゴム弾性体16によって第一の取付金具12と第二の取付金具14が弾性的に連結されている。
本体ゴム弾性体16は、全体として円錐台形状とされており、その大径側端面には、下方に向かって開口する逆すり鉢状の大径凹所28が形成されている。そして、本体ゴム弾性体16の小径側端部には、第一の取付金具12が挿し込まれるようにして埋設されて加硫接着されている。また、本体ゴム弾性体16の大径側端部外周面には、第二の取付金具14の軸方向上側の開口部(大径部24側の開口部)が重ね合わされて加硫接着されている。このことから明らかなように、本実施形態では、本体ゴム弾性体16が第一の取付金具12と第二の取付金具14を備えた一体加硫成形品とされている。
また、このように第二の取付金具14の開口部が本体ゴム弾性体16の外周面に加硫接着されることにより、第二の取付金具14の軸方向上側の開口部(大径部24側の開口部)が本体ゴム弾性体16によって流体密に閉塞されている。
更にまた、第二の取付金具14の内周面には、被覆ゴム層30が被着形成されている。この被覆ゴム層30は、本体ゴム弾性体16と一体形成されており、大径凹所28の開口周縁部から下方に向かって延びる円筒形状を呈している。特に本実施形態では、小径部26の内周面の全体が被覆ゴム層30によって覆われている。
また、本実施形態では、被覆ゴム層30には、内周面に開口して略一定の矩形断面で周方向に連続して延びる位置決め凹溝32,34が、第二の取付金具14の軸方向に所定距離を隔てて二つ形成されている。
そこにおいて、本実施形態では、各位置決め凹溝32,34の側壁面の高さ寸法は、第二の取付金具14の軸方向上側に位置する側壁面のほうが、下側に位置する側壁面よりも高くされている。これにより、本体ゴム弾性体16と被覆ゴム層30を一体形成する際に用いる金型の分解(離型)を有利に実現することが出来る。
また、第二の取付金具14には、その軸方向下方の開口部を覆うように可撓性膜(ゴムダイヤフラム)としてのダイヤフラム36が組み付けられている。ダイヤフラム36は、薄肉のゴム膜によって形成されており、全体としてドーム形状を呈している。また、ダイヤフラム36の外周縁部には、円筒乃至はリング形状を呈する固定リング金具としての固定金具38が加硫接着されている。
このような構造とされたダイヤフラム36は、固定金具38が第二の取付金具14の小径部26に嵌め込まれた状態で、第二の取付金具14に八方絞り等の縮径加工が施されることにより、第二の取付金具14の小径部26(軸方向下端部)に固定される。
このようにダイヤフラム36が第二の取付金具14に組み付けられることにより、第二の取付金具14における軸方向上側の開口部(大径部24側の開口部)が本体ゴム弾性体16で流体密に閉塞されると共に、第二の取付金具14における軸方向下側の開口部(小径部26側の開口部)がダイヤフラム36で流体密に閉塞される。これにより、第二の取付金具14の内周側において、本体ゴム弾性体16とダイヤフラム36の対向面間には、外部から密閉された流体室40が形成されている。この流体室40には、水やアルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油等の非圧縮性流体が封入されている。なお、流体室40への非圧縮性流体の封入は、第一の取付金具12と第二の取付金具14を備えた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品に対するダイヤフラム36や後述する仕切部材42の組付作業を非圧縮性流体中で行うこと等によって有利に為され得る。
また、流体室40には、仕切部材42が収容配置されている。仕切部材42は、硬質の合成樹脂材料やアルミニウム合金等の硬質材で形成されており、全体として円環ブロック形状を呈している。また、仕切部材42には、外周面に開口する周溝44が周方向に適当な長さで延びるように形成されている。
さらに、仕切部材42には、軸方向中間部分において、径方向内方に向かって突出する内方突部46が設けられている。そこにおいて、本実施形態では、内方突部46は、略一定の断面形状で全周に亘って連続して延びるように形成されている。
そして、内方突部46の軸方向上端の内周縁部には、軸方向上方へ行くに従って次第に拡径するテーパ状当接面としてのテーパ状面48が形成されている。また、本実施形態では、内方突部46の軸方向下端の内周縁部において、軸方向下方へ行くに従って次第に拡径するテーパ状面50が形成されている。
さらに、本実施形態では、内方突部46の軸方向中間部分、即ち、軸方向両端に形成されたテーパ状面48,50の間において、略一定の内径寸法で軸方向にストレートに延びる筒状内周面52が形成されている。即ち、仕切部材42には、内方突部46よりも径方向内方において、厚さ方向(軸方向)に貫通する透孔54が形成されているのであり、内方突部46によって透孔54の内周縁部が構成されている。
更にまた、本実施形態では、内方突部46の軸方向上端面は、テーパ状面48よりも径方向外方の部分が、仕切部材42の軸方向(厚さ方向)に直交する方向に広がる平坦な当接平面としての円環状平坦面56とされている。更に、本実施形態では、内方突部46の軸方向下端面は、テーパ状面50よりも径方向外方の部分が、仕切部材42の軸方向に直交する方向に広がる平坦な円環状平坦面58とされている。
また、仕切部材42には、径方向に延びるように形成された貫通孔60が、周溝44の底面と透孔54の内周面に開口している。特に本実施形態では、筒状内周面52よりも受圧室62(後述する)の側に形成されたテーパ状面48に貫通孔60が開口している。
このような構造とされた仕切部材42は、第二の取付金具14の内周側において、本体ゴム弾性体16とダイヤフラム36の対向面間に配設される。
すなわち、ダイヤフラム36が第二の取付金具14へ組み付けられる前に、第二の取付金具14の軸方向下側開口部(小径側の開口部)から仕切部材42が挿し入れられて、第二の取付金具14の内周側に配置される。その際、仕切部材42は、被覆ゴム層30に形成された二つの位置決め凹溝32,34のうち第二の取付金具14の軸方向上端側(仕切部材42の挿入方向で奥側)に位置する位置決め凹溝32に嵌め入れられている。
なお、本実施形態では、位置決め凹溝32の側壁面のうち第二の取付金具14の軸方向下側に位置する側壁面のほうが軸方向上側に位置する側壁面より低くされていることから、仕切部材42の位置決め凹溝32への嵌め入れ作業を速やかに行うことが出来るようになっている。
また、上述の如く仕切部材42が位置決め凹溝32に嵌め入れられた状態で、第二の取付金具14の軸方向下方からダイヤフラム36が挿し入れられる。その際、ダイヤフラム36の固定金具38は、被覆ゴム層30に形成された二つの位置決め凹溝32,34のうち第二の取付金具14の軸方向下側(挿入方向で手前側)に位置する位置決め凹溝34に嵌め入れられている。
そして、仕切部材42とダイヤフラム36が内挿された状態で、第二の取付金具14に対して八方絞り等の縮径加工を施すことにより、第二の取付金具14に対して仕切部材42とダイヤフラム36が嵌着固定されるようになっている。
すなわち、本実施形態では、仕切部材42の第二の取付金具14への嵌着固定部分には、被覆ゴム層30における一方の位置決め凹溝32の底壁を構成する部分が介在せしめられており、かかる被覆ゴム層30における一方の位置決め凹溝32の底壁を構成する部分によって支持ゴム層が構成されている。
また、本実施形態では、ダイヤフラム36に固着された固定金具38の第二の取付金具14への嵌着固定部分には、被覆ゴム層30における他方の位置決め凹溝34の底壁を構成する部分が介在せしめられており、かかる被覆ゴム層30における他方の位置決め凹溝34の底壁を構成する部分によってシールゴム層が構成されている。そして、ダイヤフラム36の固定金具38と第二の取付金具14の間にシールゴム層が介在せしめられていることにより、第二の取付金具14の軸方向下側の開口部(小径側の開口部)が流体密に閉塞されている。
さらに、本実施形態では、被覆ゴム層30に形成された二つの位置決め凹溝32,34は、第二の取付金具14の軸方向に所定距離を隔てて形成されていることから、これら二つの位置決め凹溝32,34の一方に嵌め入れられた仕切部材42と、他方に嵌め入れられたダイヤフラム36の固定金具38は、軸方向に所定距離を隔てて位置せしめられている。即ち、本実施形態では、仕切部材42は、単体で被覆ゴム層30に弾性支持されているのである。
このような仕切部材42の組付状態においては、流体室40が仕切部材42を挟んで上下に二分されている。これにより、仕切部材42を挟んで軸方向一方の側には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されて、振動入力時に内圧変動が生ぜしめられる受圧室62が形成されている。一方、仕切部材42を挟んで軸方向他方の側には、壁部の一部がダイヤフラム36で構成されて、容積変化が容易に許容される平衡室64が形成されている。
また、仕切部材42に形成された周溝44の外周側開口が被覆ゴム層30を介して第二の取付金具14によって覆蓋されており、周溝44を利用して周方向に所定の長さで延びるトンネル状の流路が形成されている。そして、かかるトンネル状の流路の一方の端部が連通孔(図示せず)を通じて受圧室62に接続されていると共に、他方の端部が連通孔66を通じて平衡室64に接続されている。これにより、周溝44を利用して、周方向に所定の長さで延びて、受圧室62と平衡室64を相互に連通するオリフィス通路68が形成されている。なお、本実施形態では、オリフィス通路68を通じて流動せしめられる流体の共振周波数(チューニング周波数)が、自動車のエンジンシェイクに相当する10Hz前後の低周波数域にチューニングされている。
さらに、仕切部材42に形成された貫通孔60を利用して、オリフィス通路68をテーパ状面48に開口させる連通流路70が形成されている。なお、本実施形態では、連通流路70からオリフィス通路68を通じて流動せしめられる流体の共振周波数(チューニング周波数)が、アイドリング時のボデーシェイクに相当する15〜20Hzの中周波数域にチューニングされている。
更にまた、仕切部材42には、厚肉の円形ブロック形状を呈する可動部材としての可動板72が組み付けられている。そこにおいて、本実施形態では、可動板72は、その全体がゴム弾性体によって形成されている。なお、可動板72の形成材料としてのゴム弾性体は、従来から公知のゴム材料が、何れも、採用可能である。
また、可動板72には、外周面に開口して略一定の断面形状で周方向に延びる係合溝74が全周に亘って形成されている。そこにおいて、係合溝74の両側壁76,76の対向面間距離は、深さ方向の中間部分において、開口側へ行くに従って次第に大きくされている。即ち、係合溝74における一方の側壁76の内面には、深さ方向中間部分において、溝幅方向外方に傾斜したテーパ状当接面としてのテーパ状面78が形成されている。因みに、本実施形態では、可動板72の中心軸線に対するテーパ状面78の傾斜角度は、仕切部材42の中心軸線に対するテーパ状面48の傾斜角度と略同じとされている。また、本実施形態では、係合溝74における他方の側壁76の内面においても、溝幅方向外方に傾斜したテーパ状面80が深さ方向中間部分に形成されている。因みに、本実施形態では、可動板72の中心軸線に対するテーパ状面80の傾斜角度は、仕切部材42の中心軸線に対するテーパ状面50の傾斜角度と略同じとされている。
さらに、係合溝74における両側壁76,76の対向面間距離は、開口端部分において略一定の大きさとされている。即ち、本実施形態では、係合溝74における両側壁76,76の内面には、それぞれ、開口端部分において、溝幅方向に直交する方向に広がる環状平面82,82が形成されている。
更にまた、係合溝74の底面は、深さ方向に対して直交する方向、即ち、溝幅方向に広がるように形成されており、全体として筒状外周面形状とされている。
このような可動板72は、内方突部46を係合溝74内に隙間84を隔てて入り込ませることにより、仕切部材42に組み付けられている。そして、この状態で、可動板72は、仕切部材42の厚さ方向、即ち、受圧室62と平衡室64の対向方向に小変位可能とされている。
そこにおいて、本実施形態では、可動板72を、仕切部材42と同一中心軸線上に位置せしめると共に、仕切部材42に対する変位中心に位置せしめた状態で、図1に示されているように、内方突部46と係合溝74の間に形成された隙間84は、内方突部46の筒状内周面52と係合溝74の底面との間に形成されて、略一定の隙間寸法で仕切部材42の軸方向にストレートに延びるストレート部86を備えている。なお、本実施形態では、ストレート部86の隙間寸法は、内方突部46の筒状内周面52と係合溝74の底面との軸直角方向での対向面間距離である。また、ストレート部86の両端には、それぞれ、内方突部46のテーパ状面48,50と係合溝74のテーパ状面78,80との間に形成された傾斜部88が存在する。そこにおいて、内方突部46に形成されたテーパ状面48と係合溝74に形成されたテーパ状面78の間に形成された傾斜部88は、これらのテーパ状面48,78が互いに平行とされていることから、仕切部材42の軸方向外方へ行くに従って略一定の隙間寸法で広がっている。なお、本実施形態では、内方突部46のテーパ状面48と係合溝74のテーパ状面78の間に形成された傾斜部88の隙間寸法は、両テーパ状面48,78に垂直な方向での両テーパ状面48,78の対向面間距離である。また、内方突部46に形成されたテーパ状面50と係合溝74に形成されたテーパ状面80の間に形成された傾斜部88は、これらのテーパ状面50,80が互いに平行とされていることから、仕切部材42の軸方向外方へ行くに従って略一定の隙間寸法で広がっている。なお、本実施形態では、内方突部46のテーパ状面50と係合溝74のテーパ状面80の間に形成された傾斜部88の隙間寸法は、両テーパ状面50,80に垂直な方向での両テーパ状面50,80の対向面間距離である。
このような構造とされたエンジンマウント10は、第一の取付金具12が、ナット部20のねじ穴90に螺着されるボルト(図示せず)によって、パワーユニット側に取り付けられるようになっている。一方、第二の取付金具14が、軸方向上方から被せられて固定的に組み付けられるブラケット18に設けられた脚部92においてボルト固定されることにより、車両ボデー側に取り付けられるようになっている。これにより、エンジンマウント10が、防振すべき一方の部材である自動車のパワーユニットと防振すべき他方の部材である自動車のボデーの間に介装されて、パワーユニットを車両ボデーに対して防振支持せしめるようになっている。
なお、このようなエンジンマウント10の自動車への装着状態下では、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に、パワーユニットの分担支持荷重が及ぼされることにより、本体ゴム弾性体16が所定量だけ弾性変形せしめられて、第一の取付金具12と第二の取付金具14が軸方向に所定量だけ接近変位せしめられた状態となる。
そして、上述の如き構造とされたエンジンマウント10が自動車に装着されて、走行時に問題となるエンジンシェイク等の低周波大振幅振動が入力されると、受圧室62に大きな振幅の圧力変動が生ぜしめられる。その際、可動板72は、係合溝74の側壁76に形成されたテーパ状面78,80が仕切部材42の内方突部46に形成されたテーパ状面48,50に当接することにより、可動板72の厚さ方向での変位が規制されるようになっている。また、仕切部材42に形成された透孔54が、変位規制された可動板72によって、閉塞されるようになっている。
すなわち、このような状態では、振動が入力される受圧室62と容積可変の平衡室64が、低周波数域にチューニングされたオリフィス通路68を通じて接続された構成となる。それ故、振動入力時に受圧室62と平衡室64の間に生ぜしめられる相対的な圧力変動により、オリフィス通路68を通じての流体流動量が効果的に確保され得て、オリフィス通路68を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、エンジンシェイク等の低周波大振幅振動に対して、有効な防振効果(高減衰効果)が発揮されるようになっている。
なお、このような状態では、連通流路70が可動板72によって閉鎖されていることから、連通流路70を通じて流体が流動せしめられることはない。
一方、自動車の停車時において問題となるアイドリング振動等の中周波小振幅振動の入力時には、受圧室62に惹起される圧力変動量が小さいことから、可動板72に許容された範囲の変位によって、受圧室62の圧力変動が平衡室64に逃がされることとなる。これにより、反共振的な作用によるオリフィス通路68の実質的な閉塞化に起因する高動ばね化が軽減乃至は回避されて、中周波小振幅振動に対する良好な防振効果(低動ばね特性に基づく振動絶縁効果)が発揮されるようになっている。
また、アイドリング時におけるボデーシェイク等の中周波数域の比較的大きな振幅の振動が入力された時には、受圧室62に惹起される圧力変動によって、可動板72が許容された範囲内で変位する。その際、可動板72がピストンの役割を果たすことにより、受圧室62と平衡室64の間において、連通流路70からオリフィス通路68を通じての流体流動が生ぜしめられる。これにより、連通流路70からオリフィス通路68を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、アイドリング時におけるボデーシェイク等の中周波数域の比較的大きな振幅の振動に対して、有効な防振効果(高減衰効果)が発揮されるようになっている。
また、自動車の走行時において問題となる走行こもり音等の高周波小振幅振動の入力時には、オリフィス通路68が反共振的な作用によって実質的に閉塞せしめられると共に、可動板72が殆ど動かなくなり、オリフィス通路68や可動板72による防振効果が発揮されないようになっているが、仕切部材42が軸方向で微小変位せしめられることによる液圧吸収効果が発揮されるようになっている。
すなわち、仕切部材42は、被覆ゴム層30を介して第二の取付金具14に嵌着固定されており、被覆ゴム層30の弾性変形に基づいて軸方向で微小変位可能とされている。それ故、高周波小振幅振動の入力時には、受圧室62内の圧力変動に基づいて仕切部材42が軸方向で微小変位せしめられて、受圧室62の圧力変動が平衡室64へ逃がされる。これにより、液圧吸収に基づく防振効果が有効に発揮されるようになっている。
なお、仕切部材42と被覆ゴム層30を含んで構成される液圧吸収機構のチューニングは、被覆ゴム層30の固さや仕切部材42の質量等を適宜設定することによって出来るようになっている。
上述の如き構造とされたエンジンマウント10においては、可動板72が変位可能に組み付けられた仕切部材42が被覆ゴム層30を介して第二の取付金具14に嵌着固定されていることから、可動板72が仕切部材42に打ち当たることに起因して生ぜしめられる打音や振動が第二の取付金具14に伝達されることを抑えることが出来る。
そこにおいて、本実施形態では、仕切部材42が単体で被覆ゴム層30に弾性支持されていることから、被覆ゴム層30による仕切部材42の弾性支持が効果的に実現されることとなる。その結果、可動板72が仕切部材42に打ち当たることに起因して生ぜしめられる打音や振動が第二の取付金具14に伝達されることを効果的に抑えることが出来る。
また、上述の如き構造とされたエンジンマウント10においては、仕切部材42の内方突部46における軸方向上側の内周縁部にテーパ状面48が形成されていると共に、仕切部材42に組み付けられた可動板72において、仕切部材42のテーパ状面48と重ね合わせられるテーパ状面78が形成されていることから、可動板72と仕切部材42の当接面積を大きくすることが出来る。これにより、可動板72の仕切部材42への柔らかな打ち当たりを実現することが可能となる。その結果、可動板72の仕切部材42への打ち当たりに起因する打音や振動を抑えることが出来る。なお、本実施形態では、テーパ状面48とテーパ状面78が互いに平行とされて、テーパ状面48とテーパ状面78の間に形成された傾斜部88の隙間寸法が略一定とされていることから、両テーパ状面48,78の略全体が略同時に当接するようになっている。これにより、可動板72と仕切部材42の当接面積を一層大きくすることが出来る。その結果、可動板72の仕切部材42への打ち当たりを一層柔らかくすることが出来る。
そこにおいて、本実施形態では、可動板72の全体がゴム弾性体によって形成されていることから、可動板72と仕切部材42の打ち当たりに起因する打音や振動を効果的に抑えることが出来る。このことから明らかなように、本実施形態では、可動板72自身によって当接ゴム弾性体が構成されている。
また、本実施形態では、ゴム弾性体で形成された可動板72が仕切部材42に組み付けられていることから、可動板72の仕切部材42への組付作業を効率良く行うことが出来る。
特に本実施形態において、可動板72の外周面に開口するように形成された係合溝74は、底側よりも開口側のほうが溝幅寸法が大きくされていることから、可動板72の仕切部材42への組付作業を一層効率良く行うことが出来る。
また、上述の如き構造とされたエンジンマウント10においては、可動板72が仕切部材42に当接する際に最も応力が集中し易い係合溝74の側壁の基端部分のほうが開口端部分よりも肉厚とされていることから、可動板72の仕切部材42への打ち当たりに際して、可動板72(特に係合溝74の側壁76)の変形を効果的に阻止することが出来る。その結果、可動板72の変位規制を十分にすることが出来る。
特に本実施形態では、可動板72と仕切部材42の打ち当たりに際して、仕切部材42の内方突部46においてテーパ状面48,50よりも径方向外方に形成された円環状平坦面56,58と、可動板72の係合溝74の側壁76においてテーパ状面78,80よりも開口端側に形成された環状平面82,82が当接するようになっていることから、可動板72が仕切部材42に勢い良く打ち当たった際に、仕切部材42の透孔54から可動板72が抜け出してしまう不具合を効果的に回避することが出来る。その結果、可動板72の最大変位量を確実に規定することが可能となる。
さらに、上述の如き構造とされたエンジンマウント10においては、可動板72のテーパ状面78,80と仕切部材42のテーパ状面48,50が打ち当たるようになっていることから、可動板72の仕切部材42に対する打ち当たり反力を可動板72の変位方向に対して交叉する方向に逃がしてやることが出来る。その結果、可動板72の仕切部材42への打ち当たりに起因する打音の発生を軽減することが出来る。
更にまた、上述の如き構造とされたエンジンマウント10においては、可動板72と仕切部材42の当接状態において、可動板72に形成されたテーパ状面78,80と仕切部材42に形成されたテーパ状面48,50が重ね合わせられるようになっていることから、可動板72と仕切部材42のそれぞれに形成されたテーパ状面78,80,48,50による位置決め作用によって、可動板72と仕切部材42の当接時における透孔54の閉塞状態を有利に実現することが出来る。これにより、受圧室62の圧力吸収を回避して、受圧室62と平衡室64の相対的な圧力変動を有効に生ぜしめることが可能となる。その結果、オリフィス通路68を流動せしめられる流体の流動量を確保して、オリフィス通路68を流動せしめられる流体の共振作用に基づく防振効果を効果的に得ることが出来る。
また、本実施形態では、可動板72と仕切部材42の間に形成された隙間84が、仕切部材42の軸方向にストレートに延びるストレート部86を含んで構成されていることから、可動板72や仕切部材42の軸方向寸法(厚さ方向寸法)を確保することが出来る。その結果、可動板72や仕切部材42の強度を確保することが可能となる。また、ストレート部86で可動板72や仕切部材42の厚さ寸法を確保出来るので、テーパ状面78,80,48,50の傾斜角度を自由に設定することが出来る。
更にまた、本実施形態では、単一の部材で構成された仕切部材42に対して単一の部材で構成された可動板72が組み付けられた構造の液圧吸収機構が採用されていることから、液圧吸収機構に必要な部品点数を少なくすることが出来る。
次に、本発明に係る流体封入式防振装置の第二の実施形態としての自動車用のエンジンマウント94について、図2に基づいて、説明する。なお、以下の説明において、第一の実施形態と同様な構造とされた部材及び部位については、図中に、第一の実施形態と同一の符号を付すことにより、それらの詳細な説明を省略する。
本実施形態のエンジンマウント94は、第一の実施形態のエンジンマウント(10)に比して、仕切部材96と可動板98が異なっている。
より詳細には、本実施形態の仕切部材96は、互いに同じ形状とされた一対の仕切板100,100によって構成されている。各仕切板100は、鉄鋼やアルミニウム合金等の金属材によって形成されており、全体として薄肉の円環板形状を呈している。そこにおいて、本実施形態では、各仕切板100の径方向中間部分において、厚さ方向一方の側へ行くに従って次第に拡径するテーパ部102が形成されている。これにより、各仕切板100には、テーパ部102の内周側と外周側のそれぞれにおいて円環板状部104,106が形成されている。なお、各仕切板100は、平板状の金属材にプレス成形を施すことによって、製造することが出来る。
そして、このような形状とされた仕切板100,100は、一方の仕切板100を裏返して他方の仕切板100に重ね合わせた状態で、相互に固定されるようになっている。具体的には、テーパ部102の内周側の円環板状部104同士が重ね合わせられてスポット溶接等で相互に固定される。これにより、径方向外方に開口して周方向に延びる凹溝108を備えた仕切部材96が形成されている。即ち、本実施形態では、仕切部材96の製造が極めて容易になる。
なお、図面上では明示されていないが、凹溝108の周方向長さを規定するためのゴムブロックが凹溝108内に嵌め入れられて固定されている。
このような構造とされた仕切部材96は、被覆ゴム層30に形成された位置決め凹溝32に嵌め入れられた状態で、第二の取付金具14に嵌着固定されている。即ち、仕切部材96は、被覆ゴム層30によって弾性支持された状態で、第二の取付金具14に嵌着固定されているのである。
また、仕切部材96を構成する一対の仕切板100,100のうち受圧室62側の仕切板100には、凹溝108の周方向一端付近において、受圧室62に開口する連通孔(図示せず)が形成されている。一方、平衡室64側の仕切板100には、凹溝108の周方向他端付近において、平衡室64に開口する連通孔110が形成されている。これにより、凹溝108を利用して、周方向に所定の長さで延びて、受圧室62と平衡室64を相互に連通するオリフィス通路112が形成されている。
さらに、受圧室62側の仕切板100におけるテーパ部102には、貫通孔114が形成されており、かかる貫通孔114を利用して、連通流路116が形成されている。
一方、本実施形態の可動部材としての可動板98は、その全体がゴム弾性体によって形成されており、全体として厚肉の円形ブロック形状を呈している。また、可動板98には、外周面に開口して周方向に略一定の断面形状で全周に亘って連続して延びる係合溝118が形成されている。因みに、本実施形態では、係合溝118の断面形状は、矩形断面とされている。
そこにおいて、本実施形態では、係合溝118の一方の側壁120は、他方の側壁122に比して、厚さ寸法と高さ寸法が大きくされている。特に本実施形態では、仕切部材96を構成する受圧室62側の仕切板100におけるテーパ部102の表面(以下、テーパ状当接面124とする)と対応するテーパ状の当接面126が、係合溝118における一方の側壁120の内面に形成されている。
また、本実施形態では、一方の側壁120における突出端部分の内面が円環状の平坦面128とされている。
このような形状とされた可動板98は、仕切部材96を構成する各仕切板100におけるテーパ部102よりも内周側に位置する円環板状部104が係合溝118内に隙間を隔てて入り込むようにして、仕切部材96に組み付けられている。この状態で、可動板98は、仕切部材96に対して、軸方向に小変位可能とされている。
また、上述の如く仕切部材96に対して小変位可能に組み付けられた可動板98が受圧室62側の仕切板100に当接した状態で、可動板98に形成されたテーパ状の当接面126が、仕切部材96に形成されたテーパ状当接面124に当接するようになっていると共に、可動板98に形成された円環状の平坦面128が、受圧室62側の仕切板100におけるテーパ部102よりも外周側の円環板状部106の表面(以下、当接平面130とする)に当接するようになっている。
上述の如き構造とされたエンジンマウント94においても、仕切部材96が被覆ゴム層30によって弾性支持されていると共に、可動板98の仕切部材96への打ち当たりに際して、可動板98に形成されたテーパ状の当接面126と仕切部材96に形成されたテーパ状当接面124が重ね合わさるようになっていることから、第一の実施形態と同様な効果を得ることが出来る。
以上、本発明の幾つかの実施形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
例えば、金属材や硬質の合成樹脂材等の硬質材で形成された可動部材の本体部分において少なくとも仕切部材のテーパ状当接面との打ち当たり面にゴム弾性体を被着した構造の可動部材を採用するようにしても良い。また、金属材や硬質の合成樹脂材で形成された仕切部材の本体部分において少なくともテーパ状当接面にゴム弾性体を被着した構造の仕切部材を採用するようにしても良い。これにより、可動部材と仕切部材の当接面を当接ゴム弾性体で形成することが出来る。
また、可動部材の成形キャビティ内に仕切部材をセットしておき、仕切部材を可動部材の成形面の一部として利用して可動部材を成形するようにしても良い。この場合、可動部材が熱収縮すると、仕切部材の表面において可動部材の成形面として利用された部分と可動部材の表面との間に隙間が形成される。その結果、可動部材が小変位可能な状態で仕切部材に組み付けられる。
さらに、可動部材を仕切部材の中心軸線方向で分割可能な二つの可動部材構成体で構成し、これら二つの可動部材構成体を仕切部材に対して中心軸線方向の両側から挟み込むように組み付けて、この状態で、二つの可動部材構成体を溶着や接着等で相互に固定して一体化することにより、可動部材を仕切部材に対して小変位可能に組み付けるようにしても良い。
更にまた、前記第一の実施形態において、可動板72の中心軸線に対するテーパ状面78の傾斜角度を、仕切部材42の中心軸線に対するテーパ状面48の傾斜角度と異ならせるようにしても良い。この場合、可動板72が仕切部材42に打ち当たった際に、可動板72と仕切部材42の当接面積を徐々に大きくすることが出来る。これにより、可動板72と仕切部材42の柔らかな打ち当たりが実現されて、打音を軽減することが可能となる。
加えて、前記第一及び第二の実施形態では、本発明を自動車用のエンジンマウントについて適用した具体例が示されていたが、本発明は、自動車用のボデーマウントやデフマウント,サスペンションメンバマウント等のほか、自動車以外の各種振動体の防振装置に対しても、勿論、適用可能である。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
本発明の第一の実施形態のエンジンマウントを示す縦断面図。 本発明の第二の実施形態のエンジンマウントを示す縦断面図。
符号の説明
10:エンジンマウント,12:第一の取付金具,14:第二の取付金具,16:本体ゴム弾性体,26:小径部,30:被覆ゴム層,36:ダイヤフラム,42:仕切部材,48:テーパ状面,54:透孔,62:受圧室,64:平衡室,68:オリフィス通路,72:可動板,74:係合溝,78:テーパ状面,84:隙間

Claims (6)

  1. 第一の取付部材を筒状の第二の取付部材における一方の開口部側に離隔配置して該第一の取付部材と該第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結すると共に、該第二の取付部材における他方の開口部を可撓性膜で覆蓋する一方、該本体ゴム弾性体と該可撓性膜の対向面間に仕切部材を配設して該第二の取付部材で嵌着支持せしめることにより、該仕切部材を挟んだ一方の側には該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて振動が入力される受圧室を形成し且つ他方の側には該可撓性膜で壁部の一部が構成されて容積変化が許容される平衡室を形成して、それら受圧室と平衡室に非圧縮性流体を封入すると共に、それら受圧室と平衡室を相互に連通するオリフィス通路を設けた流体封入式防振装置において、
    前記第二の取付部材において前記仕切部材を嵌着支持せしめる嵌着支持部に支持ゴム層が設けられており、該仕切部材が該支持ゴム層を介して該第二の取付部材に弾性支持せしめられている一方、
    該仕切部材に組み付けられる可動部材には、外周面に開口して周方向に延びる係合溝が形成されていると共に、該仕切部材には、前記受圧室と前記平衡室の対向方向に貫通する透孔が形成されており、該透孔の内周縁部を該係合溝内に隙間を隔てて入り込ませることにより、該可動部材を該受圧室側と該平衡室側に小変位可能に支持せしめる一方、該係合溝の両側壁部が該透孔の内周縁部に当接することにより、該可動部材の変位が規制されると共に、該透孔が閉塞されるようになっており、更に、該可動部材の該受圧室側から該平衡室側への変位端を規定する該可動部材と該透孔の内周縁部との当接面を該可動部材の変位方向に対して傾斜したテーパ状当接面としたことを特徴とする流体封入式防振装置。
  2. 前記仕切部材には、周方向に延びる前記オリフィス通路が形成されていると共に、該オリフィス通路を前記テーパ状当接面に開口させる連通流路が形成されている請求項1に記載の流体封入式防振装置。
  3. 前記可動部材と前記仕切部材との当接面が当接ゴム弾性体で形成されている請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
  4. 前記仕切部材には、前記テーパ状当接面の外周側において、前記可動部材の変位方向に直交する方向に広がる平坦な当接平面が形成されている請求項1乃至3の何れか1項に記載の流体封入式防振装置。
  5. 前記可動部材を前記仕切部材に対して同一中心軸線上で変位方向の中心に位置せしめた状態で、前記係合溝と前記透孔の内周縁部との間に形成される隙間が、該可動部材の変位方向に一定の隙間寸法で延びるストレート部と、該ストレート部の前記受圧室側の端から該受圧室側へ行くに従って一定の隙間寸法で広がる傾斜部を有している請求項1乃至4の何れか1項に記載の流体封入式防振装置。
  6. 前記第二の取付部材における一方の開口部が前記本体ゴム弾性体で閉塞されていると共に、該本体ゴム弾性体と一体形成された被覆ゴム層が該第二の取付部材の内周面を覆っている一方、前記可撓性膜としてのゴムダイヤフラムの外周縁部に固定リング金具が加硫接着されていると共に、該固定リング金具における該第二の取付部材への嵌着固定部分に該被覆ゴム層が介在されることでシールゴム層が構成されて該第二の取付部材の他方の開口部が流体密に閉塞されており、更に、前記仕切部材における該第二の取付部材への嵌着固定部分に該被覆ゴム層が介在されることで前記支持ゴム層が構成されており、該支持ゴム層の内周面において該仕切部材の嵌着部位と該固定リング金具の嵌着部位とが軸方向に離隔している請求項1乃至5の何れか1項に記載の流体封入式防振装置。
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