JP2010105247A - 積層コア、および液体搬送ポンプ - Google Patents

積層コア、および液体搬送ポンプ Download PDF

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Abstract

【課題】耐食性と環境適合性に優れた積層コアを提供する。
【解決手段】表面に塗膜を有する塗装鋼板を積層してなる、積層コアであって、前記鋼板は、C:0.02質量%以下、Si:0.2〜2.0質量%、Mn:0.5質量%以下、P:0.05質量%以下、S:0.005質量%以下、Ni:0.5質量%以下、Cr:10〜13質量%、Mo:2.0質量%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるフェライト系軟磁性ステンレス鋼板である、積層コア。
【選択図】図4

Description

本発明は積層コアおよびこれを用いてなる液体搬送ポンプに関する。
モータの中心部となる積層コアには、従来、電磁鋼板が用いられている。具体的には、積層コアは、電磁鋼板として珪素鋼板に絶縁被膜が形成された鋼板を用い、これらが積層されてなる。この絶縁被膜はクロムを主体とした無機皮膜であり、耐食性に優れる(例えば特許文献1の段落0005等)。
このような積層コアは、自動車の燃料等を搬送するための液体搬送ポンプのモータ部材として用いられている。このポンプは、タンクの中、すなわち液体に浸漬して使用され、モータの部品も液体に浸漬される(例えば特許文献2)。通常、液体はガソリン等であり、かつ、従来の積層コアは耐食性に優れるので、ガソリン等に浸漬して用いても、腐食等の問題は生じなかった。
一方、モータ等に好適な軟磁性ステンレス鋼板として、C:0.02質量%以下、Si:0.2〜2.0質量%、Mn:0.5質量%以下、P:0.05質量%以下、S:0.005質量%以下、Ni:0.5質量%以下、Cr:10〜13質量%、Mo:2.0質量%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる軟磁性ステンレス鋼板が提案されている(特許文献3)。
特許第3718638号公報 特開2008−215121号公報 特許第3962707号公報
最近、自動車の燃料として、エタノールを主成分とするバイオ燃料が注目されている。エタノールは、ガソリンに比べて極性が高く、かつ水と相溶することから水を含む場合がある。そのため、バイオ燃料等を搬送するポンプのモータに用いられる積層コアには、高い耐食性が求められる。そこで、発明者らは予備的に、従来の積層コアをエタノール搬送ポンプのモータに適用することを試みた。その結果、積層コアが腐食することが確認された。
コアの耐食性を改善する手段として容易に考えられるのは積層コアの積層端面部のポストメッキである。しかし、製造コストの増大は避けられず、メッキの剥離も懸念される。また、積層コア端面部のメッキは磁気回路の磁気抵抗となるためモータの性能を低下させる。
そこで、クロムを主体とした無機皮膜を形成することも考えられるが、無機皮膜を形成するには、6価クロムを使用する必要があり環境への悪影響が懸念される。
すなわち、耐食性と環境適合性に優れた積層コアが求められていたが、未だこれらの性能を満足するものは存在しなかった。かかる事情に鑑み、本発明は、耐食性と環境適合性に優れた積層コアを提供することを目的とする。
発明者は鋭意検討した結果、特定のステンレス鋼板表面に塗膜を形成した塗装ステンレス鋼板を積層してなる積層コアにより上記課題が解決できることを見出した。すなわち上記課題は以下の本発明により解決される。
[1]表面に塗膜を有する塗装鋼板を積層してなる、積層コアであって、
前記鋼板は、C:0.02質量%以下、Si:0.2〜2.0質量%、Mn:0.5質量%以下、P:0.05質量%以下、S:0.005質量%以下、Ni:0.5質量%以下、Cr:10〜13質量%、Mo:2.0質量%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるフェライト系軟磁性ステンレス鋼板である、積層コア。
[2]前記塗膜の厚みは、0.1〜5μmである、[1]記載の積層コア。
[3]前記塗膜は、エポキシ樹脂とポリエステル樹脂を含む、[1]または[2]に記載の積層コア。
[4]前記塗膜は、エポキシ変性ポリエステル樹脂を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の積層コア。
[5]内部に液体流路が形成され、液体吸入口および吐出口を有するケース、
前記流路に配置され、前記液体を圧送するポンプ部、ならびに
前記ケース内に配置され、前記ポンプ部を駆動させるモータ部を有する液体搬送ポンプであって、
前記モータ部は、[1]〜[4]のいずれかに記載の積層コアを含む、液体搬送ポンプ。
[6]前記液体は、エタノールおよび/または水を含む、[5]記載の液体搬送ポンプ。
本発明により、耐食性と環境適合性に優れた積層コアが提供できる。
1.積層コア
積層コアとは、鋼板を積層してなるモータの磁気回路のコア部分をいう。本発明の積層コアは、特定のフェライト系軟磁性ステンレス鋼板の表面に塗膜が形成された、特定の塗装ステンレス鋼板を積層してなる。
(1)フェライト系軟磁性ステンレス鋼板
フェライト系軟磁性ステンレス鋼板は、電磁軟鉄や電磁鋼板と同様に軟磁気的性質を有することが知られているが、本発明の軟磁性ステンレス鋼板はフェライト系ステンレス鋼の中でも優れた軟磁気的性質を得るため、C:0.02質量%以下、Si:0.2〜2.0質量%、Mn:0.5質量%以下、P:0.05質量%以下、S:0.005質量%以下、Ni:0.5質量%以下、Cr:10〜13質量%、Mo:2.0質量%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分に限定した。本発明において記号「〜」はその両端の数値を含む。
以下に、本発明のフェライト系軟磁性ステンレス鋼板(以下単に「本発明のステンレス鋼板」ともいう)に含まれる各成分について説明する。
本発明のステンレス鋼板中のCの含有量は、0.02質量%以下である。Cは炭化物を形成して耐食性および磁気的性質を低下させる元素であるため、その上限は0.02質量%である必要がある。
本発明のステンレス鋼板中のSiの含有量は、0.2〜2.0質量%である。Siはフェライト組織を安定化させるとともに素材の電気抵抗率を向上させ、磁気的性質を改善する。その効果を得るためにSiは0.2質量%以上含まれる必要がある。しかしながら、Siが過剰に含まれていると素材を硬質化して加工性を低下させる。よって、Si含有量の上限は2.0質量%である。
本発明のステンレス鋼板中のMnの含有量は0.5質量%以下である。Mnはフェライト組織の安定化を阻害するとともに、硫化物を形成し易く磁気的性質を低下させるので、その上限は0.5質量%である必要がある。
本発明のステンレス鋼板中のPの含有量は、0.05質量%以下である。Pはリン化物を形成して磁気的性質を低下させるので、その上限は0.05質量%である必要がある。
本発明のステンレス鋼板中のSの含有量は、0.005質量%以下である。Sは硫化物を形成して磁気的性質を低下させるため、その上限は0.005質量%である必要がある。
本発明のステンレス鋼板中のNiの含有量は、0.5質量%以下である。Niはフェライト組織の安定化を阻害し磁気的性質を低下するためその上限は0.5質量%である必要がある。
本発明のステンレス鋼板中のCrの含有量は、10〜13質量%である。Crは耐食性を向上するための必須元素であるとともに、フェライト組織を安定化する効果を有する。その効果を得るため、Crは10質量%以上含まれていることが必要である。しかしながら、Crが過剰に含まれていると磁束密度の低下を招くため、Cr含有量の上限は13質量%である必要がある。図1にCr量の異なる素材の磁束密度に及ぼす周波数の影響を示す。Cr量が増えると直流磁場において磁束密度が低下し、使用磁場の周波数が増大してもその差異は逆転しないことが明らかである。
本発明のステンレス鋼板中のMoの含有量は、2.0質量%以下である。Moは耐食性の向上のため必要に応じて添加される元素であり、過剰な添加は磁束密度の低下やコストの上昇を招く。よって、その上限は2.0質量%である必要がある。
本発明のステンレス鋼板は、上記以外の部分(「残部」ともいう)がFeおよび不可避的不純物からなる。不可避的不純物は、Al、Ti、Nを含んでいてもよい。
Alの含有量は、本発明のステンレス鋼板中0.01〜2.0質量%以下が好ましい。AlはSiと同様にフェライト組織を安定化させるとともに素材の電気抵抗率を向上させ、磁気的性質を改善させる。その効果を得るためAlの含有量は0.01質量%以上が好ましい。しかしながら、Alが過剰に含まれると、素材を硬質化して加工性を低下させるためその上限は2.0質量%が好ましい。
Tiの含有量は、本発明のステンレス鋼板中0.1〜0.3質量%が好ましい。TiはCr炭化物の生成を抑制し耐食性を改善するとともにフェライト組織の安定化にも有効な元素である。その効果を得るためTi含有量は、0.1質量%以上が好ましい。一方、過剰にTiが含まれていると、Ti系介在物による表面傷の増大等が起こり、鋼材の品質を低下させるので、その上限は0.3質量%が好ましい。
Nの含有量は、本発明のステンレス鋼板中0.02質量%以下が好ましい。Nは窒化物を形成して磁気的性質を低下させる元素であるため、その上限は0.02質量%が好ましい。
本発明のステンレス鋼板の厚みは特に限定されない。しかしながら、モータ鉄損の内、渦電流損が板厚の2乗に比例して増大するという観点からは、板厚は薄いほどモータ性能が向上する。一方で、板厚があまり薄いと取り得いやすさと生産性が低下する。よってこれらのバランスを考慮すると、本発明のステンレス鋼板の厚みは0.1〜1.0mmであることが好ましい。また、ステンレス鋼板は塗膜形成後に打ち抜き加工されることから、脱脂、リン酸塩処理、クロメート処理、クロムフリー処理等の塗装前処理を施して塗膜密着性を高めることが好ましい。具体的に塗装前処理は、アルカリ脱脂、酸洗等でステンレス鋼板の表面を清浄化した後、必要に応じてリン酸塩処理で表面の濡れ性を高め、クロメート処理、クロムフリー処理して行われる。6価クロムの溶出による環境汚染を防ぐために、塗装前処理には、クロムフリー処理が実施されることが特に好ましい。
クロメート処理では、Cr換算付着量:5〜60mg/mのクロメート皮膜が形成されることが好ましい。Cr換算付着量が5mg/m未満または60mg/mを超えると、十分な塗膜密着性が得られないことがある。クロメート処理にはシリカを配合したリン酸−クロム酸系の処理液を使用することもできる。
クロムフリー処理の例には、タンニン酸処理、リン酸塩処理、シランカップリング処理、シリカ処理等公知の処理が含まれる。特にHTiF、HZrF、HHfF、HSiF、HGeF、HSnF、HBF等のフルオロアシッドのいずれか(複数でも可)を含むクロムフリー化成処理をフッ素付着量で0.5〜500mg/mになるように化成処理することが好ましい。
化成処理はロールコータ、カーテンフローコータ、浸漬法等でステンレス鋼板に処理液を塗布し、ローラ等で絞った後、水洗することなく80〜200℃で乾燥して行ってよい。
(2)塗膜
本発明の塗膜は、通常塗装鋼板に用いられる塗膜であれば限定されない。このような塗膜としては、有機樹脂塗膜が好ましい。中でも有機樹脂塗膜としては、エポキシ樹脂とポリエステル樹脂を含む塗膜、またはエポキシ変性ポリエステル樹脂を含む塗膜が好ましい。
エポキシ樹脂とポリエステル樹脂を含む塗膜とは、公知のエポキシ樹脂と公知のポリエステル樹脂の混合物を主成分とする塗膜である。また、エポキシ変性ポリエステル樹脂を含む塗膜とは、カルボン酸化合物のエポキシエステルとポリオールから合成される変性樹脂を主成分とする塗膜である。カルボン酸化合物のエポキシエステルは、通常、ポリカルボン酸化合物の一部のカルボキシル基とエポキシ化合物を反応させて得られる。
これらの樹脂は、エポキシ基を含むので、塗膜としたときにステンレス鋼板との密着性に優れ、エタノールまたは水中に浸漬しても、液が塗膜中に浸透しにくいため、浸漬後の塗膜密着性、表面抵抗値の低下も少ない。
もちろん、本発明の塗膜は、エポキシ樹脂とポリエステル樹脂とエポキシ変性ポリエステル樹脂を含んでいてもよい。
本発明の塗膜は、防錆顔料等の添加剤を含まないクリア塗膜であることが好ましいが、塗膜固形分に対して30質量%以下であれば防錆顔料を添加してもよい。塗膜中に30質量%以上の防錆顔料を添加すると、樹脂マトリックスと顔料の界面から、液体が浸透し易くなり、塗膜とステンレス鋼板の密着性または表面抵抗値が低下するので、好ましくない。
本発明の塗膜の厚みは、乾燥膜厚にして0.1〜5μmが好ましい。乾燥膜厚が0.1μm以下であると、塗膜にピンホール等の欠陥が発生しやすいだけでなく、層間抵抗値が0.5Ω・cm/枚以下となり、十分な絶縁性を確保できなくなることがある。また、塗膜が5μm以上であると、積層コア中の鋼板の占積率の低下によりモータ特性が低下し、モータの小型化が困難となることがある。特に、前記のエポキシ樹脂とポリエステル樹脂を含む塗膜、またはエポキシ変性ポリエステル樹脂を含む塗膜は、ステンレス鋼板との密着性が良好であるので、厚みが0.1〜5μmであっても積層コアとしたときに十分な耐食性と絶縁性を発現する。層間抵抗値5Ω・cm/枚以上の十分な絶縁性を確保するためには、塗膜厚さ1〜3μmが特に好ましい。
塗膜は、本発明のステンレス鋼板の片面または両面に設けられればよいが、積層体の積層界面からの液体浸入による耐食性低下を防止するために両面に設けられることが好ましい。また、塗膜は、打ち抜き等により積層コア用に加工されたステンレス鋼板の端面に設けてもよいが、本発明のステンレス鋼板は耐食性に優れるので、端面に塗膜を設ける必要が無いという利点がある。
塗膜中の有機樹脂の分子量は、数平均分子量にして、3000〜20000が好ましく、5000〜13000がより好ましい。数平均分子量はGPCで求められることが好ましい。
(3)塗装ステンレス鋼板の製造方法
本発明の塗装ステンレス鋼板は公知の方法で製造できる。具体的には、本発明のステンレス鋼板を準備し、その片面または両面に塗料を塗布し、乾燥して得られる。
(4)積層コアの製造方法
本発明の積層コアは、発明の効果を損なわない程度で任意に製造できる。例えば、以下のとおりに製造してよい。
1)両面に塗膜を有する塗装ステンレス鋼板を準備して、所望の形に打ち抜き加工する工程、
2)前記加工された塗装ステンレス鋼板を積層する工程。
1)の工程の塗装ステンレス鋼板は、前述したとおりに製造すればよい。また、このステンレス鋼板を打ち抜き加工する工程は、金型装置(順送りプレス加工装置)により長帯状の鋼板シートから所望の形状の鋼板を打ち抜くと同時に、打ち出し突起(「切起し突起」ともいう)によるかしめ突起加工をおこなう。
2)打ち抜かれたステンレス鋼板を積層する工程は、特開平6−165447および特開平8−228461に開示されているように、芯合わせおよび回転位置合わせにより積層し、打ち抜き加工と同時に形成したかしめ突起部の凸部と凹部を嵌合状態でプレスを掛けてかしめ固定すればよい。
積層コアの形状は、公知の形状としてよい。
2.液体搬送ポンプ
本発明の液体搬送ポンプは、内部に液体流路が形成され、液体吸入口および吐出口を有するケース、前記流路に配置され、前記液体を圧送するポンプ部、ならびに前記ケース内に配置され、前記ポンプ部を駆動させるモータ部からなり、前記モータ部は、本発明の積層コアを含むことを特徴とする。
本発明の液体搬送ポンプは、公知の構造に準じた構造としてよい。図2は本発明の液体搬送ポンプの概要を示す。図中、10はモータ部であり、導線が巻かれた積層コア12と、磁石14と、軸16を備える。20はケースであり、液体吸入口22、吐出口24および流路26を備える。30はポンプ部、32はインペラである。図3は概要を示す図であるため、ポンプ部30の詳細な構造や、上記以外に液体搬送ポンプとして必要な部材は省略してある。
本発明の液体搬送ポンプは、液体吸入口22が液体に浸漬されて使用される。液体は、モータ部10で駆動されたポンプ部30により、液体吸入口22から吸い上げられて、ポンプ部30内の流路(図示せず)およびケース20内に形成された流路26を通り、吐出口24から排出される。
この際に、積層コアは、液体にさらされるが、本発明の積層コアは、前述のとおり、耐食性に優れるので、液体が、エタノール等のアルコールや水を含んでいても、腐食しにくい。搬送される液体は、酸、アルカリ、または塩等の腐食性の物質を含んでいてもよい。
積層コア以外の部材は、公知の材料を用いて構成してよい。
[実施例1]
表1に示すフェライト系軟磁性ステンレス鋼板を、定法により、溶製、熱間圧延、冷間圧延および仕上げ焼鈍と酸洗を経て製造した。この鋼板の板厚は0.35mmであった。
続いてこの鋼板の両面に、アルカリ脱脂、水洗、Ni置換析出型表面調整、水洗、乾燥の工程を経て化成処理を行った。化成処理は、フルオロチタン酸、コロイダルシリカ、水酸化ジルコニウム、および水溶性樹脂からなるクロムフリー処理液を鋼板表面に塗布し、100℃で乾燥して行った。この際、チタンとジルコニウム付着量が10mg/m、フッ素付着量が40mg/mになるように塗布量は調整された。
化成処理されたステンレス鋼板の両面にエポキシ添加ポリエステル塗料(関西ペイント株式会社製 KP863F)またはエポキシ塗料(関西ペイント株式会社製 KP8417)を塗布して、230℃で60秒間焼き付けて塗膜を形成した。乾燥塗膜厚みは、約2.0μmであった。
得られた塗装ステンレス鋼板を図3のような寸法に打抜き加工して、外径40mmの円盤状試験片を得た。この試験片25枚を図4に示すように、2枚のポリエーテルエーテルケトン(PEEK)製樹脂板(5mm厚)2に挟み、4本のPEEK製6mm径ボルトナット3を用いて、それぞれ1N・mの加重で締め付けて圧着した。
得られた積層コアは、次のようにして評価された。
1)耐食性
i)以下の試験液を準備した。
エタノール:蟻酸:酢酸:NaCl:水=100:0.1:0.1:0.01:5(体積比)
ii)試験液を70℃に保持し、この試験液に積層コアを浸漬した。
iii)1000h後、試験片を取出し、発銹状態を観察した。
観察面は積層コアの打抜き端面とし、発銹面積で耐食性を評価した。具体的には、試験液に対する発銹面積率の平均値により、以下の基準で評価した。
発銹面積率10%未満を○、発銹面積率10%以上50%未満を△、発銹面積率50%以上を×として評価した。
2)塗膜密着性
試験液に1,000時間浸漬した積層コアを分解して、積層体の上から5枚目の試験片を取り出した。次に、この試験片の塗膜に、JIS G 3320に準拠して碁盤目を作成し、粘着テープを貼付して引き剥がし、碁盤目の残存状態を観察した。剥離のないものを○、剥離面積が10%以内であったものを△、剥離面積が10〜20%であったものを△〜×、剥離面積が20%を超えたものを×として評価した。
耐食性試験前の塗装ステンレス鋼板についても、同様にして塗膜密着性を評価した。
3)層間抵抗
耐食性試験前の塗装ステンレス鋼板(打ち抜き加工前)の層間抵抗値をJIS C 2550に準じて測定した。5Ω・cm/枚以上の層間抵抗値を有していれば、実用上、問題ないが、1Ω・cm/枚以下については使用が難しくなる場合もある。
4)絶縁抵抗
試験液に1,000時間浸漬した積層コアを分解して、積層体の上から6枚目の試験片を取り出して、試験前後の表面抵抗値を三菱化学製 高抵抗率計 ハイレスタup(型番: MCP−HT450)にリングタイププローブ(MCP−HTP15 外側電極外径 φ10mm)取り付けて測定した。同様にして、耐食性試験前の塗装ステンレス鋼板についても絶縁抵抗を測定した。
試験液に浸漬後の鋼板の表面抵抗値が、試験液に浸漬する前の鋼板の表面抵抗値の1/10以上であったものを○、1/10未満1/1000以上であったものを△、1/1000未満であったものを×と評価した。
5)塗料中の有機樹脂の数平均分子量
塗料中の有機樹脂の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。カラムは東洋ソーダ(株)製GPCカラム(SHODEX KF−803)を使用し、溶媒としてテトラヒドロフランを用いた。
[実施例2、5〜17]
塗膜、膜厚を表2に示すとおりとした以外は、実施例1と同様にして、積層コアを作製し評価した。
[実施例3、4]
実施例1で用いた化成処理前のステンレス鋼板を準備し、クロム系化成処理液により化成処理を行った。化成処理された鋼板のCr換算付着量は20mg/mであった。
表2に示す塗膜を形成した以外は、実施例1と同様にして、積層コアを作製し評価した。
[比較例1]
実施例1で用いた化成処理前のステンレス鋼板を準備し、実施例1と同様にして、積層コアを作製し評価した。ただし、この鋼板には、化成処理および塗装は施されなかった。
Figure 2010105247
表1 実施例で用いた鋼板の化学成分(質量%)
Figure 2010105247
実施例と比較例から、本発明の積層コアは、耐食性に優れることが明らかである。これは70℃の試験液中で塗膜が分解せずに、密着性と抵抗値を保持しているためである。鋼板の腐食はアノード反応とカソード反応が1:1で起こることにより進行するが、本発明例のようにステンレス鋼板を塗装するとカソード反応面積が大幅に減少するので、アノード反応が抑制されて端面耐食性が向上したと考える。また、塗膜による絶縁効果により、モータ積層コアの渦電流損が低減し、磁気的性質の低下を防止できる。
本発明の本発明の積層コアは、耐食性、特にアルコールや水を含む溶液への耐食性に優れるので、液体搬送用ポンプとして有用である。
Cr量の異なる素材の磁束密度に及ぼす周波数の影響を示す図 本発明の液体搬送ポンプの概要を示す断面図 打ち抜き加工後の塗装ステンレス鋼板の一例を示す上面図 本発明の積層コアの一例を示す斜視図
符号の説明
1 打ち抜き加工された塗装ステンレス鋼板
2 PEEK製樹脂板
3 PEEK製ボルトナット
10 モータ部
12 導線が巻かれた積層コア
14 磁石
16 軸
20 ケース
22 液体吸入口
24 吐出口
26 流路
30 ポンプ部
32 インペラ

Claims (6)

  1. 表面に塗膜を有する塗装鋼板を積層してなる、積層コアであって、
    前記鋼板は、C:0.02質量%以下、Si:0.2〜2.0質量%、Mn:0.5質量%以下、P:0.05質量%以下、S:0.005質量%以下、Ni:0.5質量%以下、Cr:10〜13質量%、Mo:2.0質量%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるフェライト系軟磁性ステンレス鋼板である、積層コア。
  2. 前記塗膜の厚みは、0.1〜5μmである、請求項1記載の積層コア。
  3. 前記塗膜は、エポキシ樹脂を含む、請求項1記載の積層コア。
  4. 前記塗膜は、エポキシ変性ポリエステル樹脂を含む、請求項1記載の積層コア。
  5. 内部に液体流路が形成され、液体吸入口および吐出口を有するケース、
    前記流路に配置され、前記液体を圧送するポンプ部、ならびに
    前記ケース内に配置され、前記ポンプ部を駆動させるモータ部を有する液体搬送ポンプであって、
    前記モータ部は、請求項1記載の積層コアを含む、液体搬送ポンプ。
  6. 前記液体は、エタノールおよび/または水を含む、請求項5記載の液体搬送ポンプ。
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