JP2010105214A - 表皮付発泡成形品及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】発泡樹脂の原液を発泡成形して成る発泡基体12に対して、表皮18と軟質の発泡材から成るスラブフォーム層20とフィルム22とを一体に積層した表皮層16を接合状態に一体に成形して成る表皮付発泡成形品10において、取付状態で外部に露出した状態となる意匠面の一部の角状のコーナ部K1,K2でフィルム22を部分的に除去して、その除去部を通じてスラブフォーム層20に発泡樹脂の原液を含浸させ固化させておく。
【選択図】 図1
Description
通常この表皮付発泡成形品は、発泡樹脂の原液を発泡成形して成る、発泡成形品の本体としての発泡基体に対して、表面材となる表皮の裏側に発泡基体よりも軟質の発泡材から成るスラブフォーム層及び更にその裏面側のフィルムとを一体に積層した表皮層を、そのフィルムを介して接合状態に一体に成形した形態をなしている。
通常このスラブフォーム層には、工場でスラブ成形した発泡材(一般にはウレタン発泡材)を所定厚みにスライスしたものが用いられる。
従ってそのまま原液を発泡及び固化させるとスラブフォーム層が硬くなってしまい、スラブフォーム層の有する本来の軟らかさ,良好な触感が減殺されてしまう。このため含浸分を考慮し予めフォーム厚みを上げておくといった対処方法もあるが、意匠性には悪影響が伴う。
このようにすれば、発泡樹脂の原液がスラブフォーム層に含浸され、スラブフォーム層を硬くしてしまうのを防ぐことができる。
発泡成形品が、取付状態で外部に露出した状態となる意匠面の一部に屈曲した断面形状の角状のコーナ部を有している場合、そのコーナ部が形状ダレを生じて、目指すところのシャープな形状のコーナ部が良好に成形できなくなってしまうのである。
その理由は次の通りである。
発泡基体はそうした状態の下で所定の形状に成形され、また型締状態の下で表皮層はコーナ部においても発泡成形型の内面に密着した状態を維持するが、その後発泡成形型を型開きして表皮付発泡成形品を取り出すと、表皮層がもとの形状に戻ろうとし、その結果コーナ部において発泡成形品が形状ダレを生じてしまう。
またその形状ダレによって表皮付発泡成形品の形状,寸法が不安定となり、そのことによって表皮付発泡成形品を相手側に取り付ける際に隣接する部材との合せを行ったとき、表皮付発泡成形品が隣接部材と干渉したり或いは隙間を生じたり、またその隙間がばらついたりし、表皮付発泡成形品と隣接部材との合せ部分の美観が損なわれてしまう。
しかしながらこの場合、表皮層を予備成形するための工程が別途に必要となり、表皮付発泡成形品の製造コストを押し上げてしまう。
これにより、かかる表皮付発泡成形品の取付状態での外観を良好とすることができる。
その対策として、従来にあっては表皮層の末端を長く延在させて巻込み処理(例えば後述の芯材に対する巻込み処理)を行ったり、或いはその末端を隣接部材や他の構成部材で押え込んだり、溶着したりする等の処理を行っていた。
即ちこの請求項2によれば、コーナ部の形状ダレの防止と併せて表皮の末端の処理も不要となすことが可能となる。
従来のように表皮層が末端に到るまでフィルムを有している場合、そのフィルムによって芯材と表皮層とが遮断されて非接着となり、表皮層がその末端で芯材から剥れ、めくれを生じてしまう。
この請求項4の製造方法によって、コーナ部において形状ダレを生じない表皮付発泡成形品を良好に製造することができる。
この請求項5の製造方法により、コーナ部において形状ダレを生じず、また末端において表皮がめくれ上りを生じない表皮付発泡成形品を良好に製造することができる。
図1において、10は自動車内装品としてのドアトリムアッパーを構成する表皮付発泡成形品(以下単に発泡成形品とする)で、全体として図中上方に膨出した扁平な形状をなしている。
この発泡成形品10は、その本体としての樹脂の発泡基体12と、その裏面側の芯材14と、発泡基体12の表面を被覆する表皮層16とを有しており、それらが積層状態に一体化されている。
芯材14は全体として板状をなしており、発泡基体12及び表皮層16から露出して延び出した取付部28を有しており、この取付部28において相手側に取付固定されるようになっている。
尚芯材14は硬質のものであることが必要で、ここではロックウェル硬度(Rスケール)が80〜100、或いは100〜120程度のものが用いられているが、この芯材14としてはロックウェル硬度で50以上のものを用いるのが望ましい。
芯材14は、ここではその厚みが2.3mmである。芯材14としては厚みが1.5mm以上であることが望ましい。
これら表皮18,スラブフォーム層20及びフィルム22は、ラミネート加工によって互いに貼り合され一体化されている。
尚ここでは表皮16の厚みは約0.7mm,スラブフォーム層20の厚みは約3mm,フィルム22の厚みは約30μmである。
尚このようなスラブフォーム層20は広く市販されている。
詳しくは、ここではスラブフォーム層20に表皮16とフィルム22とをラミネート加工により3層構造に貼り合せた表皮層16そのものを、市販品を用いて構成している。
発泡成形品10は、図中左側の端部近傍に略90°の急角度で屈曲した断面形状の角状のコーナ部K1を、また図中右側の端部近傍に90°の角度よりも鋭角に屈曲した断面形状の角状のコーナ部K2を、外観上表れる意匠面に有している。
ここでコーナ部K1,K2は、それぞれ発泡基体12から見て外向きの凸形状をなしている。
この実施形態ではまた、表皮層16の図中左側の末端M1と、右側の末端M2とが、芯材14の平坦部30,32に対して図中左右方向に所定長に亘り重合されている。
更に図中右側においても、コーナ部K2から末端M2までフィルム22が部分的に除去されている。
図2(I)は、成形前の表皮層16を表しており、図に示しているように成形前において表皮層16は、全体として所定厚みの薄肉の平坦な板状(ないしシート状)をなしている。
その除去の方法としては様々な方法を用いることができる。
例えばフィルム22を部分的に切断することによって除去しておくこともできるし、又はフレーム処理によりフィルム22を部分的に火炎にさらし、これを溶融させることによって除去するといったことも可能である。或いはその他の手段にてフィルム22を部分的に除去しておくことができる。
尚、末端M1においてはスラブフォーム層20が雌型36と雄型38とにより挟まれて、圧縮によりその厚みが部分的に薄くなっている。
このとき、図3に示しているようにその発泡の圧力で表皮層16がコーナ部K1(k3においても同様)において雌型36の内面に押し付けられ、雌型36の内面に一時的に表皮伸び等により追従した部位が密着した状態となる。
その際、表皮層16のコーナ部K1(k3においても同様)には引張りの力が働くとともに、スラブフォーム層20が発泡圧力で雌型36の側に弾性的に圧縮せしめられる。
またこのとき、コーナ部K1から末端M1まで、スラブフォーム層20に含浸された発泡樹脂の原液が反応により固化し、コーナ部K1から末端M1までスラブフォーム層20が固化層となる。
また併せて、末端M1の部分で原液が固化することによって、表皮層16と芯材14の平坦部30とが接着され固着される。
詳しくはフィルム22を除いた表皮18とスラブフォーム層20とが、末端M1において芯材14に固着される。
これにより発泡成形品10の取付状態での外観を良好とすることができる。
また形状ダレによって発泡成形品10のコーナ部K1,K2の寸法,形状が不安定化する問題を解決でき、従って発泡成形品10を相手側に取り付ける際に隣接部材24,26と合せを行ったとき、発泡成形品10が隣接部材24,26と干渉を生じたり、或いは隣接部材24,26との間に設定以上の隙間を生ぜしめ、或いはその隙間がばらついてしまうといった問題を解決でき、発泡成形品10と隣接部材24,26との合せ部分の美観を良好となすことができる。
同図に示しているようにこの比較例の発泡成形品10Aでは、コーナ部K1Aから末端M1Aまでの部分において、スラブフォーム層20Aに発泡樹脂の原液が含浸されず、従ってその原液の固化も行われないため、同部分において発泡成形品10Aに形状保持機能が付与されず、そのため図6(B)に示しているように、発泡成形品10Aはコーナ部K1Aの部分(K2Aの部分も同様)が脱型後に形状ダレを生じてしまう。
更にコーナ部K1Aとk3Aとの間の縦の壁42Aの付根側の図中下側部分が、本来の設計形状よりも外向きに張り出した形状となる。
特に図6(A)中右側の端末M2Aについては、その剥れの対策のためにこれを長く延ばして巻込み処理をするといったことが必要となる場合がある。
従って例えば表皮層16の図中右側の末端M2を長く延在させた上で巻込み処理を行うといったことを省略することが可能となる。
例えば本発明は上例以外の他の様々な形状の或いはドアトリムアッパー以外の他の様々な種類,用途の発泡成形品に適用することが可能であるなど、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態,態様で構成,実施可能である。
更に、上例ではコーナ部K1,K2から末端M1,M2まで連続して表皮層16のフィルム22を除去し、同部分においてスラブフォーム層20に原液を含浸させ固化しているが、コーナ部K1,K2と末端M1,M2とでそれぞれ独立してフィルム22を部分的に除去し、それぞれにおいてスラブフォーム層20に原液を含浸及び固化させて各部分に形状保持の機能をもたせ、更に末端M1,M2において表皮層16と芯材14とを接着するようになすことも可能である。
12 発泡基体
14 芯材
16 表皮層
18 表皮
20 スラブフォーム層
22 フィルム
K1,K2 コーナ部
M1,M2 末端
Claims (6)
- 発泡樹脂の原液を発泡成形して成る、発泡成形品の本体としての発泡基体に対して、表面材としての表皮の裏側に該発泡基体よりも軟質の発泡材から成るスラブフォーム層及び該スラブフォーム層の更に裏面側であって該発泡基体との間に介在し、前記発泡樹脂の原液の該スラブフォーム層への浸透を防止するフィルムとが一体に積層された表皮層を接合状態に一体に成形して成り、取付状態で外部に露出した状態となる意匠面の一部に屈曲した断面形状の角状のコーナ部を有している表皮付発泡成形品であって
前記フィルムは、前記コーナ部に位置する部分が除去されていて、その除去部を通じて前記スラブフォーム層に前記発泡樹脂の原液が含浸され固化していることを特徴とする表皮付発泡成形品。 - 請求項1において、前記コーナ部が前記表皮層の末端に近接して位置していて、前記フィルムが該コーナ部から該末端まで除去されており、その除去部分を通じて前記発泡樹脂の原液が該コーナ部から該末端まで前記スラブフォーム層に含浸され固化していることを特徴とする表皮付発泡成形品。
- 請求項2において、前記発泡基体には剛性を有する取付用の芯材が裏面側に積層状態に一体化されており、該芯材は前記末端まで延在していて、該芯材が前記発泡基体を介さないで直接前記スラブフォーム層の末端と重合されており、該末端で前記発泡樹脂の原液の固化によってそれら芯材とスラブフォーム層とが接着されていることを特徴とする表皮付発泡成形品。
- 請求項1の表皮付発泡成形品の製造方法であって
平坦な板状をなす前記表皮層を発泡成形型の内面に沿わせて配置し型締めした状態の下で、該表皮層の内側に形成される空間に前記発泡樹脂の原液を注入し、該原液を前記フィルムを除去した部分を通じて前記コーナ部の前記スラブフォーム層に含浸させ、前記空間内で該原液を発泡及び固化させて前記発泡基体を成形し前記表皮層と一体化するとともに、該コーナ部において前記スラブフォーム層に含浸した原液を固化させることを特徴とする表皮付発泡成形品の製造方法。 - 請求項2の表皮付発泡成形品の製造方法であって
平坦な板状をなす前記表皮層を発泡成形型の内面に沿って配置し型締めした状態の下で、該表皮層の内側に形成される空間に前記発泡樹脂の原液を注入し、該原液を前記フィルムを除去した部分を通じて前記コーナ部から前記末端まで前記スラブフォーム層に含浸させ、前記空間内で該原液を発泡及び固化させて前記発泡基体を成形し前記表皮層と一体化するとともに、該コーナ部から前記末端まで前記スラブフォーム層に含浸した原液を固化させることを特徴とする表皮付発泡成形品の製造方法。 - 請求項3の表皮付発泡成形品の製造方法であって
平坦な板状をなす前記表皮層を発泡成形型の内面に沿わせて配置するとともに、該表皮層の前記フィルムを除去した前記末端の前記スラブフォーム層を直接前記芯材に重合する状態に該芯材をインサートとして該発泡成形型の内部に配置し、該発泡成形型を型締めした状態の下でそれら表皮層と芯材との間に形成される空間に前記発泡樹脂の原液を注入し、該原液を前記フィルムを除去した部分を通じて前記コーナ部から前記末端まで前記スラブフォーム層に含浸させ、前記空間内で該原液を発泡及び固化させて前記発泡基体を成形し前記表皮層及び芯材と一体化するとともに、前記コーナ部から前記末端まで該スラブフォーム層に含浸した原液を固化させ、該スラブフォーム層の末端と前記芯材とを接着することを特徴とする表皮付発泡成形品の製造方法。
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