JP2010103215A - 回路基板とその製造方法、およびこれを用いたアンテナシートと非接触型icカード - Google Patents

回路基板とその製造方法、およびこれを用いたアンテナシートと非接触型icカード Download PDF

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Abstract

【課題】絶縁性フィルムの両面に形成された導電パターンを電気的に接続する方法であって、接続部に貫通孔を形成し、スルーホールメッキを施したり、半田、導電ペーストを充填する方法より生産性が高く、また加熱加圧法、超音波印加法より電気の導通が確実であり、しかも加工部が飛び出すことのない方法と、その方法を用いた回路基板を提供することである。
【解決手段】絶縁性フィルム基材の一方の面に上面導電パターンを有し、他方の面に下面導電パターンを有する回路基板であって、所定位置に上面導電パターンと該フィルム基材と下面導電パターンを貫通する貫通孔が形成されてなり、
該貫通孔の内部に、上面導電パターンまたは/および下面導電パターンが加圧されて広がった部分よりなる導電膜を有し、この導電膜によって上面導電パターンと下面導電パターンが電気的に接続されている事を特徴とする回路基板である。
【選択図】図6

Description

本発明は、回路基板において絶縁性フィルムの両面に設けられた導電性パターン間を、該絶縁性フィルムに形成した貫通孔を通じて電気的に導通させる方法に関し、特に、非接触型ICカードのアンテナシートに使用して好適な回路基板とこれを使用した非接触型ICカードに関するものである。
非接触型ICカードや接触・非接触共用型ICカードに使用されるアンテナシートは、通常、アンテナコイル部と、非接触型ICカード用のICモジュールを装着するための端子部と、アンテナコイルの両端を前記端子部へ接続するための導電パターン部と、さらに必要に応じてコンデンサー部を、絶縁性フィルム基材の表面に設置した構造のものが使用されている。
アンテナシートはアンテナコイル部の構造によって2種類のタイプに大別される。一つは、巻き線タイプであって、エナメル等を被覆した銅線をコイル状に巻いたアンテナコイル部を、アンテナシート用の絶縁性フィルム基材に取り付けた構造である。他は、エッチングコイルタイプであって、アンテナシート用の絶縁性フィルム基材の少なくとも片面に接着剤を用いて銅やアルミニウムの箔を貼り付け、次ぎにフォトエッチング法によって所定の形状のアンテナコイル部、ICチップを装着するための端子部、導電パターン部、コンデンサー部等を形成したタイプである。本発明はエッチングコイルタイプに関する。
非接触型ICカードに使用されるアンテナコイルの巻き数は、通常数回程度なので、エッチング法でコイルを作成することが可能である。また、エッチングコイルタイプのアンテナシートは、巻き線タイプと比較して、設備投資が少ないこと、コイルの形状の多様性に応じることが容易であること、共振回路で同調をとるためのコンデンサーをアンテナコイルと同時に形成することが可能であるという利点がある。
エッチングコイルタイプのアンテナシートについて、図1に基づいて以下に説明する。図1(a)は上記のエッチング法によって形成したアンテナシート1の一例の平面説明図であり、図1(b)は図1(a)のA−A’における断面説明図であり、図1(c−1)、(c−2)は導電パターンの接続ランドと呼ばれる場所の形状を示す図である。
図1(a)、(b)において、アンテナシート1は絶縁性フィルム基材10の上面にアンテナコイル11、導電パターン15a、15b、非接触型ICカード用のICモジュール2を装着するための端子部16a、16b、コンデンサー用の共通電極17等が形成されている。一方、絶縁性フィルム基材10の下面には、導電パターン13、コンデンサー用電極18a、18b、18cが形成されている。
アンテナコイル11の一端は、配線を下面に接続するための貫通孔導通部12、下面に形成された導電パターン13、貫通孔14を順次介して再び上面の導電パターン15aの一端に接続され、さらに、導電パターン15aを介してICモジュールを装着するための端子部16aに達している。また、アンテナコイルの他の一端は、導電パターン15bを介してICモジュールを装着するための他の端子部16bに接続されている。また、上面に形成されたコンデンサー部の共通電極17は貫通孔19a、19b、19cを通して下面に形成されたコンデンサー部18a、18b、18cと電気的に接続されコンデンサーを形成している。
このアンテナシートにおいては、貫通孔を通じて上面の導電パターンと下面の導電パターンの電気的接続を行っている箇所が、12、14、19a、19b、19cの5箇所ある。
アンテナコイルをエッチング法で形成する場合には、交差部でのショートを避けるため、アンテナシートの上面と下面を使い分ける。例えばアンテナコイルを上面側に形成した場合には、交差する配線部分、図1では配線部13、を下面側に形成し、上面と下面を貫通する孔(スルーホール)、を通じて上面と下面を電気的に接続させる方法が一般的に行われている。配線部13はジャンパーパターンと呼ばれることがある。
なお、貫通孔の部分の導電パターンは、図1(c―1)に示すように、中央部に導電パターンがなく、ドーナッツ状に膨らんだ形状になっている。その理由は、第一に導電パターンなしに貫通孔を開けると実質的な線幅が減少して、抵抗値が上がってしまうからであり、第二に上面の導電パターンと下面の導電パターンの位置ずれ対策である。この部分は、通常、接続ランドと呼ばれている。ただし、図1(c−2)に示すように、中央部の孔が開いていない接続ランドもある。その場合は、後工程で貫通孔を形成するか、あるいは、後に述べるように、反対側の対となる接続ランドにはドーナッツ状の導電パターンを形成し、この開口部を利用して、レーザ光によって絶縁性フィルム基材を焼き飛ばして反対側の導電パターンの内側表面に達する孔を形成する。接続ランドの形状は、エッチング時のフォトマスクの形状によって決める。
一方、回路基板のなかで、両面プリント配線板と呼ばれる構造のものは、エッチング法で絶縁性のフィルム基材の上面と下面の両面に導電パターンを形成し、該導電パターンが上面と下面で重なるようにした所定の箇所で、上面の導電パターンと下面の導電パターンを電気的に接続している。一枚のプリント板で接続箇所が10以上になる場合も普通である。
基本的には、エッチングコイルタイプのアンテナシートは回路基板のうちの両面プリント配線板の一種、特にフレキシブルプリント回路基板の一種、であると言える。ただし、プリント配線板では導電パターンの材料に銅箔を使用するが、アンテナシートでは、導電パターンの材料に銅箔、アルミニウム箔のどちらも使用する。また、使用する絶縁性フィルム基板もアンテナシートとプリント配線板では、異なる場合が多い。本発明では、アンテナシートもプリント配線板もフレキシブルプリント回路基板も回路基板(配線基板)の一種であるとする。
貫通孔の上面と下面の導電パターンを電気的に接続する従来技術として、プリント配線板では、貫通孔の内面および開口部の両端部をメッキで被覆する方法(スルーホールメッキ加工)、あるいは貫通孔に導電性ペーストや低融点金属を充填する方法などが使用されている。一方、アンテナシートの場合には、導電性ペーストを充填する方法が多くの場合に採用されている。アンテナシートの場合、スルーホールメッキ加工は高コストの工程なのでほとんど使用されないが、技術的には使用することができる。
これらの方法の長所は、確実な電気的接続(導通)が得られることである。しかし、メッキ法、充填法のいずれも工程数が多く、メッキ薬剤や導電性塗料、クリーム半田等の材料が必要であり、また時間がかかり、製造コストが高くなるという問題がある。アンテナシートの場合には、信頼性も重要であるが、低コストであることが強く要求されている。
その他の方法として、フレキシブルプリント配線基板について、一種のプレス法によって、貫通孔を形成すると同時に導電性材料を貫通孔内部に押し込む方法が提案されている。この方法によれば、プレスヘッドが導電性材料を打ち抜き、打ち抜かれた導電性材料がプレスヘッドとして作用してプリント配線板の所定箇所を打ち抜き、しかも、該導電材料が該プリント配線板の上面導電パターンと下面導電パターンを電気的に接続する位置で静止するように調整する、という方法である。しかし、実際には、導電性材料として半田、銅箔が記載されており、プレスヘッドとしての強度が問題であり、プリント配線板に使用されている材料によっては、打ち抜きが困難という問題がある(特許文献1参照)。
貫通孔を形成しないで、上面の導電パターンと下面の導電パターンの導通を得る方法として、加熱加圧接合法と超音波印加接合法が知られている。加熱加圧接合法とは、絶縁性フィルム基材上の導電パターンの所定位置の接続部を加熱して、導電パターンに挟まれた絶縁性フィルム基材を流動可能状態とし、同時に接続部を上面と下面から加圧することによって、絶縁性フィルム基材を加圧部から押しだしながら上面と下面の導電パターンを密着させて電気的接続を得る方法である。
また、超音波印加接合法とは、所定位置の接続部に超音波を印加して、絶縁性フィルム基材を流動可能状態とし、同時に接続部を加圧することにより絶縁性フィルム基材を押し広げて押しだしながら排除し、上面と下面の導電パターン同士を密着させて、電気的接続を得る方法である。加熱加圧接合法と超音波印加接合法に共通するのは、貫通孔を形成する方法より加工が簡単で、別の材料も不要であることである。すなわち、工程数が少なく、コストのかからないという点である。しかし、貫通孔を形成する方法と比較すると、確実な電気的接続が得にくいという問題がある。この問題を解消する方法として、接合点を一箇所でなく複数箇所にする方法が提案されている。しかし、接合点を複数箇所にしても確実に導通が達成されるという保証はなく、全数検査が必要である(特許文献2参照)。
また貫通孔を形成しないで上面と下面の導電パターンの導通を得る別の方法として、導電性のピンを打ち込む方法がある。この方法は簡便で、しかもほぼ確実に上面下面の導電パターンの電気的接続が得られる。しかし、ピンが表面から突出するので、多くのプリント配線板やアンテナシートのように、厚さが制限されているものでは、使用することが困難である(特許文献3、4参照)。
さらに、貫通孔を形成しないで上面と下面の導電パターンの導通を得る方法として、導通を必要とする箇所を凹凸のある金属板上におき、金属突起を押し当て、プリント配線板の基材フィルムと接着剤層を部分的に破壊し、上面と下面の導電パターン同士を接触させる方法がある(特許文献5、6、7参照)。
しかし、特許文献5、6に開示されている方法では、機械的に絶縁性の樹脂フィルムを破壊し、上面と下面の金属箔を接触させているだけなので、特許文献6(段落0052)に示されているように、導通抵抗が初期には、例えば0.04Ωであっても、高温保存試験やヒートプレス試験を行うと、導通を示さなくなる場合があった。
さらに、特許文献7に記載されている方法は、一方の面の金属箔を絶縁性の樹脂フィルムを突き通して、反対面側の金属箔まで到達させて電気的接続を行っている。この方法によれば、一方の面の金属箔が他方の面の金属箔にかじりつく状態になり、電気的な接触は、特許文献5、6に開示されている方法と比較して、安定していると推測される。しかし、凸部が発生するので、非接触型ICカードのような厚さが薄い製品については、適用することが難しい。
特許文献を以下に示す。
特開2002−305361号公報 特開平10−200228号公報 特開2007−87960号公報 特開2003−108953号公報 特開2002−157564号公報 特開2002−7990号公報 特開平11−149535号公報 特開平11−328347号公報
本発明の課題は、絶縁性フィルムの両面に形成された導電パターンを電気的に接続する方法であって、接続部に貫通孔を形成し、スルーホールメッキを施す方法や、半田、導電ペーストを充填する方法、より生産性が高く、使用する材料を増やすことなく、また加熱加圧法、超音波印加法より電気の導通が確実であり、しかも導電性ピンを打ち込む方法のように加工部が飛び出すことのない方法を提供することである。また、その方法を用いた回路基板として、プリント配線板、フレキシブルプリント回路基板、非接触型ICカード用のアンテナシート、さらには非接触型ICカードを提供することである。
請求項1に係わる発明は、絶縁性フィルム基材の一方の面に上面導電パターンを有し、他方の面に下面導電パターンを有する回路基板であって、所定位置に上面導電パターンと該フィルム基材と下面導電パターンを貫通する貫通孔が形成されてなり、
該貫通孔の内部に、上面導電パターンまたは/および下面導電パターンが加圧されて広がった部分よりなる導電膜を有し、この導電膜によって上面導電パターンと下面導電パターンが電気的に接続されている事を特徴とする回路基板である。
請求項2に係わる発明は、絶縁性フィルム基材の一方の面に上面導電パターンを有し、他方の面に下面導電パターンを有する回路基板であって、所定位置に上面導電パターンと該フィルム基材とを貫通し下面導電パターンの内側の表面に達する孔が形成されてなり、
該孔の内部に、下面導電パターンが加圧されて広がった部分よりなる導電膜を有し、この導電膜によって、上面導電パターンと下面導電パターンが電気的に接続されていることを特徴とする回路基板である。
請求項3に係わる発明は、上面導電パターンまたは、下面導電パターンの一部が、少なくとも非接触型ICカード用のアンテナコイル、および非接触型ICカード用のICモジュールの装着用の端子部を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の回路基板である。
請求項4に係わる発明は、請求項3に記載の回路基板に、非接触型ICカード用のICモジュールが装着され、前記絶縁性フィルム基材の上面および下面に熱可塑性樹脂からなる基材を設けてなり、前記貫通孔の空隙が熱可塑性樹脂で充填されていることを特徴とする非接触型ICカードである。
請求項5に係わる発明は、一方の面に上面導電パターン有し、他方の面に下面導電パターンを有する絶縁性フィルム基材の所定部に、上面導電パターンと絶縁性フィルムと下面導電パターンを貫通する貫通孔を形成する工程、貫通孔の直径より大きな直径のプレスヘッドを使用して貫通孔とその周囲をプレスして貫通孔の周囲の上面導電パターンおよび下面導電パターンの少なくとも一方を貫通孔方向へ押し広げる工程、押し広げた部分を貫通孔の内部へ押し込み上面導電パターンと下面導電パターンを密着させて、電気的に接続させる工程を含むことを特徴とする回路基板の製造方法である。
請求項6に係わる発明は、一方の面に上面導電パターンを有し、他方の面に下面導電パターンを有する絶縁性フィルム基材の所定位置に、上面導電パターンと該フィルム基材とを貫通し下面導電パターンの内側の表面に達する孔を形成する工程、該孔の内部に下面導電パターンを押し込み上面導電パターンと密着させて電気的に接続させる工程を含むことを特徴とする回路基板の製造方法である。
請求項7に係わる発明は、上面導電パターンまたは、下面導電パターンの一部として、非接触型ICカード用のアンテナコイル、および非接触型ICカード用のICモジュールの装着用の端子部を形成する工程を含んでいることを特徴とする請求項5または6に記載の回路基板の製造方法である。
請求項8に係わる発明は、請求項7工程の後に、該回路基板に少なくとも非接触型ICカード用のICモジュールを装着する工程、装着後該回路基板を一対の熱可塑性樹脂からなる基材で挟んで熱ラミネートする工程を有し、熱ラミネートにより貫通孔の空隙を熱可塑性樹脂で充填することを特徴とする非接触型ICカードの製造方法である。
請求項9に係わる発明は、請求項5または6に記載の工程の後に、該回路基板を一対の熱可塑性樹脂からなる基材で挟んで熱ラミネートする工程を有し、熱ラミネートにより貫通孔の空隙を熱可塑性樹脂で充填することを特徴とする回路基板の製造方法である。
請求項1、5の発明の効果は、貫通孔の内部に、上面導電パターンまたは/および下面導電パターンが加圧されて広がった部分よりなる導電膜を有し、この導電膜によって上面導電パターンと下面導電パターンが電気的に接続されているので、導電性ペースト、導電性のピンなどの他の材料を使用することなく、しかも、貫通孔を形成しない方法、例えば加熱加圧法などより、生産性が高く、低コストで、電気的接続が確実な、プリント配線板、フレキシブルプリント回路基板、アンテナシートなどの回路基板を提供することができる点である。
請求項2、6の発明の効果は、一方導電パターンの表面から他方の導電パターンの内側の表面まで孔を形成するので、他方の導電パターンの金属箔が孔を覆う状態で残る。この状態の金属箔が加圧されて展伸し、孔の中に広がり、一方の導電パターンと接触して電気的接続を達成しているので、導電性ペースト、導電性のピンなどの他の材料を使用することなく、しかも、貫通孔を形成しない方法、例えば加熱加圧法などより生産性が高く、低コストで、電気的接続が確実な、プリント配線板、フレキシブルプリント回路基板、アンテナシートなどの回路基板を提供することができる点である。
請求項3、7の発明の効果は、請求項1、2、5、6記載の方法による回路基板を非接触型ICカード用のアンテナシートとして使用したので、通常のエッチングコイルタイプのアンテナシートと比較して、貫通孔部の導通に他の材料を使用することなく、しかも生産性が高く、電気的接続が確実なアンテナシートを提供することができる点である。
請求項4、8の発明の効果は、請求項3、7記載のアンテナシートを使用した非接触型ICカードであって、通常の非接触型ICカードと同じ製造工程、すなわちアンテナシートの上面、下面の両側から、コアーシートとなる熱可塑性の樹脂をラミネートやインジェクションの方法で積層して、非接触型ICカードを得る際に、貫通孔や孔に熱可塑性樹脂が充填され固定されるので、電気的接続がさらに強固になる点である。
請求項9の発明の効果は、貫通孔や孔の空隙を熱可塑性樹脂で充填したことで、貫通孔部や孔部での電気的接続が固定され、安定した性能を有する回路基板を提供することができる点である。また、フレキシブルプリント回路基板のカバーレイに相当する層を形成することによっても、貫通孔や孔の空隙は熱可塑性樹脂で充填され、貫通孔部や孔部での電気的接続が固定され、安定した性能を有する回路基板を提供することができる点である。
本発明に適した導電パターンは、展性のある材料よりなるものである。ここで、ある物質が展性をもつとは、その物質に圧力、打撃を与えることによって箔に広げることができることを指す。硬度の小さな固体でこの性質が著しい。銅、アルミニウム、金、銀、スズは展性に富む。本発明は、その他の展性に富む導電パターン材で形成されたプリント配線板、フレキシブルプリント回路基板、アンテナシートなどの回路基板、さらにはその他の回路基板についても使用することができる。
接続ランド部で上面導電パターンと下面導電パターンの電気的接続を行うための、本発明請求項1、5に係わる第一の方法を、図2に示した断面説明図に基づいて以下に説明する。
図2(a)は、絶縁性フィルム基材10の上面にエッチングによって形成した上面の導電パターン21、下面にエッチングによって形成した下面の導電パターン22よりなる回路基板20の所定部に貫通孔3をあけ、円柱状の下部プレスヘッド23上にセットし、円柱状の第一上部プレスヘッド24を用いて、貫通孔をセンターとしてプレスする直前の状態を示している。ここで上面と下面の導電パターンは同種、同厚の金属箔であり、またプレスヘッド24と25は同一直径である。その直径は、貫通孔の直径より大きい。
この第一の方法では、プレス条件として、絶縁性フィルム基材10が変形しない圧力範囲としている。通常の回路基板、アンテナシートの絶縁性フィルム基材には、室温またはそれ以下では、銅やアルミニウムが展性を示す圧力であっても、変形しない圧力範囲がある。
図2(b)はプレスした状態を示している。プレスすると、上側の金属箔21は展性を有するので、押し広げられて、貫通孔部分に加圧されて広がった部分21aが形成される。また下側の金属箔22も、同様に押し広げられて、貫通孔部分へ加圧されて広がった部分22aが形成される。
図2(c)は、図2(b)の後、第一上部プレスヘッド24を上げた状態を示している。金属箔は図2(c)に示すように、貫通孔部分へドーナッツ状に押し広げられた形状になる。
図2(d)は、直径が貫通孔より所定の径だけ小さな円柱状の第2上部プレスヘッド25を用いて、図2(c)に引き続き、同様に貫通孔のセンターを中心にして、プレスした状態を示している。上面の金属箔で貫通孔の周辺に展伸された部分21aが貫通孔の中に押し込まれて、貫通孔の内壁に沿って曲がった、加圧されて広がった部分21bが形成され、貫通孔の周辺に展伸された下側の金属箔と接触し、固着し、電気的接続が得られる。
第一上部プレスヘッド24のプレス圧力やプレスヘッドの直径が小さいと、押し広げられる金属箔の量が少なく、第二上部プレスヘッド25で押し込んでも、下面の金属箔に達しない。また、プレス時の圧力が大きすぎると、導電パターンが薄くなりすぎ、抵抗値が増えすぎたり、プレスヘッド25で押し込んだ際に下面の導電パターンと必要以上に接触してしまったりする。
貫通孔の直径は通常のプリント配線板では、貫通孔(スルーホール)内にメッキするので0.1〜5mmである。また、アンテナシートの場合には、かなり自由に設計することができるが、通常0.5〜3mmである。本発明の方法は、貫通孔の径が0.2〜5mmである場合に対応可能である。
上部第2プレスヘッド25は、展伸された金属箔を折り曲げ、下面の金属箔に圧着するに十分なだけの強度があればよい。望ましくは、センターがずれても、上面の金属箔が切断されないように、横方向に弾性がある構造であり、さらに貫通孔上方に張り出した金属箔のセンターを中心とする空白部に当たって、自動的にセンター合わせができる構造のものが好ましい。例えば、細い矢のように針状で、先端近くが膨らみ、さらに先端が尖ったものが好ましい。
第2上部プレスヘッド25の直径は、貫通孔の内壁に導電パターン(金属箔)が広がって行く際の厚さを規定するので、貼り付けた金属箔の厚さの半分程度が好ましい。すなわち、貫通孔の直径より、貼り付けた金属箔の厚さ程度、小さいことが好ましい。
プレスの条件は、使用する金属箔の種類、展伸性、厚さ、所望する展伸程度等によって異なるので、テストによって、適切な条件を見いだす。
上記の方法は、プレス工程が2工程であり、プレス型は単純であるが、生産性が低い。しかし、第2の方法として、以下に示す複合型プレスヘッドを使用することによって、連続した2段階プレス工程で電気的接続を行うことができる。図3(a)は、複合型プレスヘッド30の平面説明図である。このプレスヘッドは外側の円筒状の部分31と内側の円柱状の部分32とより構成され、図示しないが、それぞれ独立にプレスすることができるようになっている。
このプレスヘッドを使用する場合、最初円筒状のプレスヘッド31を使用して、図3(c)に示すように、貫通孔のセンターを中心としてプレスして上面の金属箔を貫通孔方向へ押し広げる。次ぎに、円柱状のプレスヘッド32を使用して、展伸された上面金属箔を貫通孔の中に押し込み、上面導電パターンと下面導電パターンの間の電気的接続を達成する。
さらに、本発明者は第3のプレス方法として、プレスヘッドの構造を図4に示した構造にすることによって、一段階(一回)のプレスで上面導電パターンと下面導電パターンとの電気的接触を得ることができることを見いだした。図4は、そのプレスヘッドを使用して、導通を達成する工程を示す断面説明図である。図4(a)において、プレスヘッド40は、直径の大きな部分41、小さな部分42が一体である。直径はいずれについても、2段階プレスの場合の直径と同じでよい。
図4(a)は、プレスする直前の状態である。図4(b)はプレス途中の状態を示している。プレスヘッド41に加圧されて貫通孔方向へ広がった導電膜を形成する上面導電パターン21は、プレスヘッド42によって、下面方向へ曲がりながら広がり、最終的には、図4(c)に示したように、下面に広がっている導電膜を形成する下面導電パターン22に接触し、固着する。なお、上面導電パターン21と下面導電パターン22の金属箔の展伸は、ストッパー43の高さで止まる。ストッパーの高さはプレス後の下面導電パターンの厚さ程度が好ましい。
プレスヘッド41によって貫通孔方向へ展伸した金属箔が貫通孔内へスムースに入りこむようにするため、プレスヘッド42の付け根、すなわちプレスヘッド41との交差部は、図示しないが、直角でなく若干角を落とした形状にすることが好ましい。また、プレスヘッド40には直径の小さな部分42の下部中央にストッパー用突起43を設けておくことが好ましい。
図2、3、4に示した方法は、いずれも上プレスヘッドと下プレスヘッドの形状が同じでなければならない。下のプレスヘッドが小さな円柱状であるので、作業性がよくない。実生産では、例えばプレス加工する品(ワーク)全体が載る大きさの網目状の架台にワークを固定し、さらにその架台をX−Y方向(平面)の所定位置に移動可能なものとすることによって、生産することができる。好ましくは、下面にはプレスヘッドを設置せず、単なるX−Y方向に移動可能な定盤にすることが可能であれば、加工品を容易に移動することができる。これを実現するために以下の方法をテストした。
図5(a)は、ワーク20を定盤52に載せてプレスヘッド51でプレスする直前の状態を示す断面説明図であり、図5(b)はプレスした状態の断面説明図である。図5(b)に示すように、フィルム基材10が断面方向で変形し、実際には切断された程度に機械強度が減少した。さらに、上面の導電パターン21は断面がほとんど切断された状態になった。結論として、この方法はプレスによって導電パターンの厚さが少ししか減少しない場合やフィルム基材がある程度の塑性変形に耐えられる場合には使用することができるが、一般的には好ましくない方法であると判断した。
しかし本発明者は、第4のプレス方法として、上面のプレスヘッドの下辺の周辺部の形状を直角にせず、角を取った形状にすることによって、ワークを平坦なプレス定盤に載せても、ワークの導電パターンやフィルム基材が切断されず、しかも上面の導電パターンと下面の導電パターンの間の電気的接続を行うことができることを見いだした。プレス後の断面を観察すると、フィルム基材の厚さが貫通孔の中心方向へ向かって薄くなっていた。
さらに、プレスヘッドを加熱したり、プレスヘッドに超音波振動を与えたり、あるいはワークを加熱したりして、フィルム基材を柔軟にすることを併用すると、ワークを平坦なプレス定盤に載せても、より広い条件でワークの導電パターンやフィルム基材が切断されず、しかも上面の導電パターンと下面の導電パターンの間の電気的接続を行うことができることを見いだした。ここでより広い条件とは、対象となるフィルム基材の種類が多くなり、金属箔をより薄くまで展伸することができたり、金属箔の厚さと比較してフィルム基材の厚さが増加しても電気的接続が可能になり、適正なプレス圧力の範囲が広くなることを指す。
図6(a)(b)は、本発明のひとつである周辺部が円弧状であり、中心部は平坦な形状のプレスヘッド61を使用して、プレスした状態を示している。また、図6(c)は本発明の他の一つである断面形状が円弧状、すなわち中央部分でも平坦でなく円弧であるプレスヘッド62を、使用した場合を示している。いずれの場合も、プレス定盤52は、加熱可能のタイプのものを使用し、ワークの温度をフィルム基材の軟化点より高くすることができるものを使用した。
どちらの形状のプレスヘッドを使用した場合でも、上面の導電パターンである金属箔は貫通孔の方向へ押し広げられると同時に貫通孔の内壁に沿って押し込まれ、貫通孔の方へ押し広げられた下面の導電パターンである金属箔に重なって、電気的に接続された。
図6(a)、(c)に示した形状のプレスヘッドを使用し、さらにプレス時にワークを加熱しておくと、プレスされた貫通孔付近の絶縁性フィルム基材も潰れて、貫通孔側に押し出され、また貫通孔に近づくにつれて薄くなった。しかし、金属箔のほうがより多く押し出されるので、結果として、絶縁性フィルム基材より先まで押し出された金属同士が接触して、電気的接続が得られた。
図6に示したプレスヘッドの先端の形状は、基本的に貫通孔のサイズに関係し、プレスヘッドの傾斜している部分が、貫通孔の壁が始まる部分と一致する時に効果がある。実際にどの程度の直径においてどの程度の傾斜を持つプレスヘッドが一番好ましいのかは、貫通孔の直径、金属箔の種類と厚さと展性、絶縁性フィルム基材の種類と厚さとガラス転位点、軟化点などの値によって異なるので、実験によって定める。
また、ワークの加熱温度は、少なくとも絶縁性フィルム基材のガラス転位点より高いことが必要であり、さらにはテストによるとガラス転位点より30℃以上高いことが好ましい。しかし、温度が高すぎるとプレスされた部分にしわが発生しやすくなる。また、絶縁性フィルム基材のほうが金属よりプレス圧によって広がり易くなるので、電気的接続を行うことができなくなる。適切な加熱条件は、プレスヘッドの形状だけでなく、絶縁性フィルム基材の材質、厚さ、延伸度、ガラス転位点、軟化点等の熱特性、また金属箔の種類、厚さ、展性によって異なるので、実験によって定める。
加熱方法としては、プレス前に、予め回路基板を加熱しておく方法がある。また、プレスヘッドを加熱する方法としては、プレスヘッドを加熱ジャケット、加熱用円筒の内部に収納する方法。プレス定盤を加熱する方法、これらを適宜併用してもよい。プレス時にヒータ加熱ではなく超音波を印加して加熱してもよい。またヒータ加熱と超音波加熱を併用してもよい。
ワークを加熱するには、加熱できるプレス定盤を使用し、その上にワークを置いて加熱することが好ましい。しかし、ワークの種類によっては、ある温度以上に加熱すると、しわが発生することがある。その場合、プレス定盤は加熱せず、プレスヘッドの方を加熱する必要がある。太さが直径数mm以下のプレスヘッドを加熱する方法は、加熱された収納部へ各プレス毎に出し入れする方法、プレスヘッドの周囲に加熱コイルを巻き付ける方法、誘導加熱を利用してプレスヘッドを誘導コイルが巻かれている中へ出し入れする方法、直接加熱ではないが、プレスヘッドに超音波を載せて振動させる方法等があり、適宜使用する。
請求項1、5の発明は、貫通孔を形成するタイミングによって、両面プリント配線板の製法の場合と同じく、2方法に分けることができる。第一の方法は、両面プリント配線板用の絶縁性フィルム基材10にフォトエッチング法によって、所定の導電パターンを形成し、次ぎに所定の位置に貫通孔を形成し、次ぎに上面パターンと下面導電パターンの電気的接続を行う方法である。第二の方法は、金属箔を両面に貼り付けた両面プリント配線板用の絶縁性フィルム基材10の全面(通常幅500〜600mm)に対して、先ず所定位置に貫通孔を形成し、次ぎにフォトエッチング法によって、所定の導電パターンを上面、下面に形成し、次ぎに上面導電パターンと下面導電パターンの電気的接続を行う方法である。本発明はどちらの方法に対しても使用することができる。
貫通孔の形成には、通常のプリント配線板の貫通孔形成に使用されている方法を用いることができる。すなわち、第一にドリル加工(ザグリ加工、ミリング加工)(直径0.1mm以上)、第2に金型としてダイ型とパンチ型を使用する通常のプレスによる抜き加工(直径0.3mm以上)、第3に簡易金型(トムソン刃型、ヴィクトリア型)を使用する方法(直径1mm以上)、第4にレーザを使用する方法(直径0.05〜2mm)である。
アンテナシートの製造においては、プレスヘッドとして図6(c)に示した先端の断面形状が円弧状のものを用いる場合、貫通孔の直径は0.5〜2mmが好ましく、また先端の外周部が円弧状であり、内側の中心部分は平坦であるものを使用する場合には、貫通孔の直径は1〜2mmが好ましい。
図6に示した先端の断面形状が円弧状のプレスヘッド、または周辺部が円弧状であり、中心部は平坦な形状のプレスヘッドの場合に、プレスヘッドに疣状の突起を設けると、上面と下面の金属箔の接触がより完全になる。疣状突起を設ける位置は、プレスした際に貫通孔の周辺の絶縁性フィルム基材がある場所とない場所の境界が好ましい。突起のサイズは、高さが20〜50μmが好ましい。また、設ける個数は数個程度が好ましい。
次ぎに請求項2、6に係わる発明について、以下に説明する。請求項2、6の発明では、貫通孔は形成せず、接続ランドの一方の導電パターンの表面から、他方の導電パターンの内側の表面まで達する孔を形成する。その方法の一つは、通常のプリント配線板のビアホールを形成する際に使用されるレーザ光を使用する方法である。
以下、図7の断面説明図に基づいて、電気的接続を完了するまでの工程について説明する。図7(a)に示すように、先ずエッチングによって、上面、下面の導電パターンを形成する。その際、一方の面、例えば上面の導体パターンの接続ランド部71には、図1(c−1)に示すように、開口部を有するものを形成し、下面の接続ランド部72には、図1(c−2)に示すように、開口部がない導電パターンを形成する。
次ぎに、図7(b)に示すように、開口部がある側の接続ランド71側からレーザ光73を照射する。レーザ光として炭酸ガスレーザを使用すると、絶縁性フィルム基材は焼失するが、金属箔がある場所はレーザ光を反射するので、そのまま残る。結果として、接続ランドの開口部のサイズの孔が、開口部のない側の接続ランド72の金属の内側の表面まで形成される。
なお、Nd−YAGレーザの第3高調波を利用しても、レーザ光の強度を調整することによって、同様の孔あけ加工を行うことができる。
この方法の利点は、レーザ光の照射サイズを開口部の径より若干大きくすることで、照射位置を厳密に制御する必要がない点、また孔の位置がフォトエッチングで形成した接続ランド71の開口部の位置に完全に一致する点である。
図7(c)は、(b)で加工したものを、上下反対にしてプレス定盤52にセットし、上部よりプレスヘッド74が降りている状態を示している。また図7(d)はプレスヘッド74が降りて、上部金属箔72が変形し、下部の導電パターンと接触して、電気的接続を完了した状態を示している。
なお、対向する導電パターンの内側まで孔をあける別の方法として、金属箔の深さ方向の位置を検出しながらミリング加工を行う方法がある(特許文献8参照)。この場合、両面の接続ランドが開口部なしのものでもかまわない。また、Nd−YAGレーザ光の照射強度を調整しながら孔開けを行ってもミリング加工と同様の孔開け加工が可能である。ただし、どちらの方法も、孔開け位置を所定の位置にするための位置決め装置が必要である。
請求項2、6の発明の利点は、プレス工程、プレスヘッドの形状、共に単純である点である。また、押し込む側の金属箔は除去されていないので、電気的に接触する部分の金属箔の厚さが十分に得られる点である。
請求項2、6の方法において、プレス工程図7(c)の前に、図2(b)と同様に、孔より大きな直径のプレスヘッドでプレスして、下面の導電パターンが孔のほうへ展伸するようにしてもよい。そうすることによって、電気的接続がより強固になる。また、その際にワークを加熱してもよい。
通常のフレキシブルプリント回路基板においては、絶縁性フィルム基材は、ポリイミド樹脂(厚さ12〜125μm)、ポリエステル樹脂(厚さ12〜190μm)、ガラスエポキシ樹脂(厚さ50〜200μm)が使用されている。また、銅箔の厚さは通常7〜70μmである。
一方、アンテナシート1の絶縁性フィルム基材としては、熱可塑性樹脂のポリエチレンナフタレート(PEN。厚さ20〜100μm)、ポリエチレンテレフタレート(PET。厚さ20〜100μm)。PET−G(テレフタル酸とグリコールと1,4シクロヘキサンジメタノールの共重合体。厚さ20〜100μm)等の比較的耐熱温度が高い絶縁性フィルムが使用される。また、銅箔、アルミニウム箔の厚さは20〜50μmである。
本発明の方法は、絶縁性フィルム基材として、上記のものだけでなく、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートが使用された場合にも用いることができる。
また、金属箔の厚さは上面と下面で異なっていてもよい。プレスする側の金属箔の厚さを厚くすることが好ましい。例えば、プレスする側を上面とすると上面を30μm、下面を15μmとしてもよい。
また、絶縁性フィルムの両面の金属層は、異種の金属であっても構わない。例えば、一面が銅、他面がアルミニウムであってもよい。この場合、プレスヘッドに超音波を印加しておくことが、電気的接続を得るために、好ましい。
さらに、銅同士であっても、一方が軟質銅であって、他面が硬質銅であってもよい。圧延銅箔は軟質であり、電解銅箔はやや硬質である。アルミニウムのついても同様に、一方が硬質、他方が軟質であってもよい。圧延したままのアルミニウム箔はやや硬質であり、圧延後加熱処理したアルミニウム箔は軟質である。いずれにせよ、熱プレスは、軟質の側から行うことが好都合である。
金属箔と絶縁性フィルム基材の間の接着剤としてはアルミの場合、エポキシ樹脂を含有するポリウレタン系接着剤を含むものが好ましい。また、銅箔の場合には、接着剤は、ポリエステルポリウレタン系接着剤を含むものが好ましい。
接着剤の厚さは、乾燥後の厚さで1〜15μmが好ましい。1μm以下ではアルミや銅箔の接着力が不足し、15μmをこえる場合には、プレス等による貫通孔形成を阻害するとともに、製造コストの上昇を招く。また、粘着性が少なく、貫通孔形成のためのプレス加工、抜き加工、ドリル加工の妨げにならないものが好ましい。
実生産では、アンテナシート1は一枚ずつでなく、幅広のアンテナシート基材(例えば600mm幅)に多面付けした状態で、エッチング加工、上面と下面の導電パターンの電気的接続、ICチップ実装を行い、さらに以上の工程で作成したアンテナシートを上面、下面2枚のカード基材で挟み込み、熱圧プレスによる一体化、規定サイズの抜き加工、といった工程で、非接触型ICカードを製造している。従って、貫通孔の空隙部にカード基材が充填され、一体化するので、電気的接触が固定され、結果として、信頼性の高い非接触ICカードを得ることができる。
また、本発明を使用したプリント配線板では、最後に表面にソルダーマスク層が形成される際に、このマスク層が貫通孔や孔に充填されるようにすれば、電気的接触が固定され、安定化される。同様にフレキシブルプリント回路基板の場合には、カバーレイを熱ラミネートする際に、カバーレイ材が貫通孔や孔に充填されるように条件を設定することによって、電気的接触が固定され、安定化される。
本発明の方法、すなわち、上面と下面の通電接触を得るために、所定部に貫通孔を開けて、次ぎにその貫通孔にセンターを合わせてプレスすることによって上面と下面の金属箔同士を展伸し、圧着する、という方法は、従来知られていなかった方法である。電気的接触が従来の加圧接合法と比較して遙かに確実である。従って、単に、非接触型ICカードや無線タグ等に使用されるアンテナシートに適用することができるだけでなく、例えばフレシキブルプリント板、プリント配線板等の、絶縁性のフィルムの両面に展性に富む金属層が形成され、電気的導通をとる必要がある場合に使用することができる。
以下に、アンテナシートと非接触型ICカード4を製造した実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
アンテナシートとして、図8(a)の構成のものを作成した。
アンテナシートの絶縁性フィルム基材10として、幅500mm、厚さ50μmのポリエチレンナフタレート(PEN)基材フィルムの上面に厚さ30μmの銅箔を、下面に厚さ30μmの銅箔を、接着剤としてポリエステルポリウレタン系2液硬化接着剤を用いて接着したものを使用した。フォトエッチング法で、絶縁性フィルム基材の上面にアンテナコイル部11と非接触型ICカード用のICモジュール2を装着するための端子部16a、16bと、そこまでの導電パターン15a、15b、下面にジャンパーパターン13を形成した。ジャンパーパターンの貫通孔12、14の接続ランド部71、72は、中央部に孔のない図1(c−2)の形状のものとした。
次ぎに、ジャンパーパターンの接続ランド部2箇所に直径2mmの貫通孔をプレス加工で形成した。さらに、この貫通孔のセンターに合わせて、図6(c)に示した底面が円弧状であり、直径5mmのプレスヘッドを使用してプレスして、上面導電パターンと下面のジャンパーパターンを電気的に接続した。なお、プレスの条件は、150℃に設定したヒータ付きプレス定盤上にワークを置き、圧力1MPa、時間約1秒でプレスし、アンテナシート1を作成した。
上記の手順で作成したアンテナシートの導通抵抗は、10mΩ以下であった。折り曲げテストを行っても、ヒートサイクルテストを行っても、抵抗値は変化しなかった。貫通孔の直径は、本実施例では1〜2mmの範囲が好適であった。しかし、その他の用途においては、テストによって好適な径を見いだすことが必要である。
図9に貫通孔12、14の接続ランド部71、72部分の平面形状とA−A’での断面形状を示す。図9(a)はプレス前であり、図9(b)はプレス後の状態である。貫通孔のサイズは、初期に対して、プレス後は直径が半分以下になり、また断面形状はプレス型の形状に一致した形状になっていた。
<実施例2>
金属箔として、上面導電パターンには厚さ30μmのアルミニウム、下面には厚さ30μmのアルミニウムを使用した以外は、実施例1と同様とした。作成したアンテナシートの導通抵抗は10mΩ以下であった。また、折り曲げテストを行っても、ヒートサイクルテストを行っても、抵抗値は変化しなかった。
<実施例3>
非接触型ICカード4を以下のようにして作成した。
実施例1で形成したアンテナシートの所定場所に非接触型ICカード用のICモジュール2を異方性導電ゴムを使用して装着した(図8(b)参照)。上面側コアーシート、および下面側コアーシートとしてPET−Gフィルムを使用し、あいだに上記のアンテナシートを挟み込み、熱ラミネートを行って、非接触型ICカードを完成した。
この非接触型ICカードは、折り曲げテスト、ヒートサイクルテストを行っても、電気的導通が不良になったものはなかった。
(a)エッチング法によって形成したアンテナシートの一例の平面説明図、(b)同断面説明図、(c−1)、(c−2)は導電パターンの接続ランドと呼ばれる場所の形状を示す図である。 本発明請求項1、5に係わる上面導電パターンと下面導電パターンの電気的接続法の第一のプレス方法の断面説明図である。 本発明請求項1、5に係わる上面導電パターンと下面導電パターンの電気的接続法の第二のプレス方法の断面説明図である。 本発明請求項1、5に係わる上面導電パターンと下面導電パターンの電気的接続法の第3のプレス方法の断面説明図である。 単純なプレス法を使用した場合の不成功を説明するための図である。 本発明請求項1、5に係わる上面導電パターンと下面導電パターンの電気的接続法の第4のプレス方法の断面説明図である。 本発明請求項2、6に係わる上面導電パターンと下面導電パターンの電気的接続方法の断面説明図である。 実施例1、3におけるアンテナシート、非接触型ICカードの製造方法の説明図である。 実施例請求項1、5に記載の方法の内、断面が円弧状のプレスヘッドでプレスした接続ランド部における、接続部の状態を説明するための図である。(a)プレス前 (b)プレス後
符号の説明
1・・・アンテナシート
2・・・非接触型ICカード用のICモジュール
3・・・貫通孔
4・・・非接触型ICカード
10・・絶縁性フィルム基材
11・・アンテナコイル
12・・貫通孔
13・・導電パターン(ジャンパーパターン)
14・・貫通孔
15a、15b・・導電パターン
16a、16b・・ICモジュール装着用の端子部
17a、17b、17c・・コンデンサー用共通電極
18a、18b、18c・・コンデンサー用電極
19a、19b、19c・・貫通孔
20・・回路基板
21・・上面導電パターン(金属箔)
21a、21b、22a・・加圧されて広がった部分
22・・下面導電パターン(金属箔)
23・・下部プレスヘッド
24・・第一上部プレスヘッド
25・・第二上部プレスヘッド
30・・複合型プレスヘッド
31・・外側プレスヘッド
32・・内側プレスヘッド
40、41、42・・プレスヘッド
43・・ストッパー
51・・プレスヘッド
52・・プレス用定盤
61・・先端の周辺が円弧状で、中央部が平面状のプレスヘッド
62・・先端が円弧状のプレスヘッド
71・・中央に開口部がある接続ランド部
72・・接続ランド部
73・・レーザ光
74・・プレスヘッド

Claims (9)

  1. 絶縁性フィルム基材の一方の面に上面導電パターンを有し、他方の面に下面導電パターンを有する回路基板であって、所定位置に上面導電パターンと該フィルム基材と下面導電パターンを貫通する貫通孔が形成されてなり、
    該貫通孔の内部に、上面導電パターンまたは/および下面導電パターンが加圧されて広がった部分よりなる導電膜を有し、この導電膜によって上面導電パターンと下面導電パターンが電気的に接続されている事を特徴とする回路基板。
  2. 絶縁性フィルム基材の一方の面に上面導電パターンを有し、他方の面に下面導電パターンを有する回路基板であって、所定位置に上面導電パターンと該フィルム基材とを貫通し下面導電パターンの内側の表面に達する孔が形成されてなり、
    該孔の内部に、下面導電パターンが加圧されて広がった部分よりなる導電膜を有し、この導電膜によって、上面導電パターンと下面導電パターンが電気的に接続されていることを特徴とする回路基板。
  3. 上面導電パターンまたは、下面導電パターンが、少なくとも非接触型ICカード用のアンテナコイル、および非接触型ICカード用のICモジュールの装着用の端子部を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の回路基板。
  4. 請求項3に記載の回路基板に、非接触型ICカード用のICモジュールが装着され、前記絶縁性フィルム基材の上面および下面に熱可塑性樹脂からなる基材を設けてなり、前記貫通孔の空隙が熱可塑性樹脂で充填されていることを特徴とする非接触型ICカード。
  5. 一方の面に上面導電パターン有し、他方の面に下面導電パターンを有する絶縁性フィルム基材の所定部に、上面導電パターンと絶縁性フィルムと下面導電パターンを貫通する貫通孔を形成する工程、貫通孔の直径より大きな直径のプレスヘッドを使用して貫通孔とその周囲をプレスして貫通孔の周囲の上面導電パターンおよび下面導電パターンの少なくとも一方を貫通孔方向へ押し広げる工程、押し広げた部分を貫通孔の内部へ押し込み上面導電パターンと下面導電パターンを密着させて電気的に接続させる工程、を含むことを特徴とする回路基板の製造方法。
  6. 一方の面に上面導電パターンを有し、他方の面に下面導電パターンを有する絶縁性フィルム基材の所定位置に、上面導電パターンと該フィルム基材とを貫通し下面導電パターンの内側の表面に達する孔を形成する工程、該孔の内部に下面導電パターンを押し込み上面導電パターンと密着させて電気的に接続させる工程、を含むことを特徴とする回路基板の製造方法。
  7. 上面導電パターンまたは、下面導電パターンの一部として、少なくとも非接触型ICカード用のアンテナコイル、および非接触型ICカード用のICモジュールの装着用の端子部を形成する工程を含むことを特徴とする請求項5または6に記載の回路基板の製造方法。
  8. 請求項7工程の後に、該回路基板に少なくとも非接触型ICカード用のICモジュールを装着する工程、装着後該回路基板を一対の熱可塑性樹脂からなる基材で挟んで熱ラミネートする工程を有し、熱ラミネートにより貫通孔の空隙を熱可塑性樹脂で充填することを特徴とする非接触型ICカードの製造方法。
  9. 請求項5または6に記載の工程の後に、該回路基板を一対の熱可塑性樹脂からなる基材で挟んで熱ラミネートする工程を有し、熱ラミネートにより貫通孔の空隙を熱可塑性樹脂で充填することを特徴とする回路基板の製造方法。
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