JP2010102862A - 画像形成方法及び荷電粒子線装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】画像形成方法は、試料Sをラインスキャンによって撮像し、第1の画像データを得る第1の撮像工程と、第1の画像データの輪郭の明瞭さを数値化する第1の数値化工程と、第1の数値化工程で得られた第1の画像データの輪郭の明瞭さを表す数値M1から、明瞭さの閾値Msを設定する閾値設定工程と、試料Sをエリアスキャンによって撮像し、第2の画像データを得る第2の撮像工程と、第2の画像データの輪郭の明瞭さを数値化する第2の数値化工程と、第2の画像データの輪郭の明瞭さを表す数値M2が閾値Msを満たしているか判定する判定工程と、判定工程の結果に基づいて、画像を選択して記憶する記憶工程とを備えるものとした。
【選択図】図2
Description
このような荷電粒子線装置は、昨今の半導体デバイスの高集積化や細密化にともない、高分解能化や、高倍率化が要求されている。
しかし、走査型電子顕微鏡等の荷電粒子線装置では、試料に荷電粒子線を当てるために、時間の経過とともに試料がチャージアップし、荷電粒子線と試料との位置関係が変化して、試料像のドリフトが生じやすくなる。このようなドリフトは、高倍率で観察する状況においては特に試料像に対して大きな影響を与えることが知られている。
図8(a)に示すように、試料50は、下地部50b上に、凸状のパタン部50aが形成されている。このパタン部50aは、図8(b)に示すように、試料像としては、上下方向にまっすぐ延在する形状及び明瞭な輪郭線を得ることが望ましい。
また、エリアスキャンで撮像した場合、試料のチャージアップによりドリフトが発生すると、試料像の変形は生じないが輪郭線のぼけが生じやすい。そのため、図8(d)に示すように、パタン部50aは変形していないが、パタン部50aの輪郭像がぼやけてしまい、正確な測長が行えないという問題があった。
請求項1の発明は、荷電粒子線装置において試料像を得る画像形成方法であって、試料(S)をラインスキャンによって撮像し、第1の画像データを得る第1の撮像工程(S501)と、前記第1の撮像工程の後に、前記第1の画像データの輪郭の明瞭さを数値化する第1の数値化工程(S502)と、前記第1の数値化工程で得られた前記第1の画像データの輪郭の明瞭さを表す数値から、明瞭さの閾値(Ms)を設定する閾値設定工程(S503)と、前記試料をエリアスキャンによって撮像し、第2の画像データを得る第2の撮像工程(S504)と、前記第2の撮像工程の後に、前記第2の画像データの輪郭の明瞭さを数値化する第2の数値化工程(S505)と、前記第2の数値化工程の後に、前記第2の画像データの輪郭の明瞭さを表す数値(M2)を、前記閾値を基準として評価する評価工程(S509)と、前記評価工程の結果を表示する表示工程(S510)と、を備える画像形成方法である。
請求項3の発明は、請求項2に記載の画像形成方法において、前記判定工程(S106,S306)において前記第2の画像データの輪郭の明瞭さを表す数値(M2)が前記閾値(Ms)を満たすまで、前記第2の撮像工程(S104,S304)から前記判定工程(S106,S306)までを繰り返すこと、を特徴とする画像形成方法である。
請求項4の発明は、請求項2又は請求項3に記載の画像形成方法において、前記第2の撮像工程(S104)を行う上限回数は、予め設定されていること、を特徴とする画像形成方法である。
請求項5の発明は、請求項2に記載の画像形成方法において、前記判定工程(S206)において前記第2の画像データの輪郭の明瞭さを表す数値(M2)が前記閾値(Ms)を満たした場合にも、前記第2の撮像工程(S204)から前記判定工程(S206)までを設定された回数繰り返すこと、を特徴とする画像形成方法である。
請求項7の発明は、請求項2から請求項5までのいずれか1項に記載の画像形成方法において、前記第1の数値化工程及び前記第2の数値化工程では、前記第1の画像データ及び前記第2の画像データのラインプロファイルの画素値の最大値と最小値との差を用いて、輪郭の明瞭さを数値化すること、を特徴とする画像形成方法である。
請求項8の発明は、請求項2から請求項5までのいずれか1項に記載の画像形成方法において、前記第1の数値化工程及び前記第2の数値化工程では、前記第1の画像データ及び前記第2の画像データのラインプロファイルの画素値の最大値と最小値との差を用いて設定された設定値を満たすラインプロファイルの幅を用いて、輪郭の明瞭さを数値化すること、を特徴とする画像形成方法である。
請求項10の発明は、荷電粒子線(C1)を試料(S)上に照射する電子銃部(11)と、前記試料上の前記荷電粒子線が照射された領域から放出される二次信号(C2)を検出する検出部(18)と、検出された前記二次信号に基づいて画像を形成する画像形成部(24)と、を備える荷電粒子線装置であって、前記画像形成部は、試料をラインスキャンによって撮像した第1の画像データの輪郭の明瞭さを数値化して閾値(Ms)を設定し、前記試料をエリアスキャンによって撮像した第2の画像データの輪郭の明瞭さを数値化して、前記閾値を満たすか否かを判定し、前記判定の結果に基づいて第2の画像データを選択し、記憶部(27)に記憶させること、を特徴とする荷電粒子線装置(1)である。
(1)本発明による画像形成方法は、試料をラインスキャンによって撮像し、第1の画像データを得る第1の撮像工程と、第1の画像データの輪郭の明瞭さを数値化する第1の数値化工程と、第1の画像データの輪郭の明瞭さを表す数値から、明瞭さの閾値を設定する閾値設定工程と、試料をエリアスキャンによって撮像し、第2の画像データを得る第2の撮像工程と、第2の画像データの輪郭の明瞭さを数値化する第2の数値化工程と、第2の画像データの輪郭の明瞭さを表す数値を、閾値を基準として評価する評価工程と、評価工程の結果を表示する表示工程とを備えるので、表示される評価結果をもとに第2の画像データを選択でき、像の変形が無く、輪郭が一定レベルの明瞭さを有する画像を、撮像時期に依らず安定して得ることができる。
(4)第2の撮像工程を行う上限回数は、予め設定されているので、撮像にかかる時間を制限することができる。
(5)判定工程において第2の画像データの輪郭の明瞭さを表す数値が閾値を満たした場合にも、第2の撮像工程から判定工程までを設定された回数繰り返すので、より明瞭な画像を得ることができる。
(7)第1の数値化工程及び第2の数値化工程では、第1の画像データ及び第2の画像データのラインプロファイルの画素値の最大値と最小値との差を用いて、輪郭の明瞭さを数値化するので、画像の明瞭さをより簡単に数値化することができる。
(8)第1の数値化工程及び第2の数値化工程では、第1の画像データ及び第2の画像データのラインプロファイルの画素値の最大値と最小値との差を用いて設定された設定値を満たすラインプロファイルの幅(つまり輪郭に関わる明部の幅)を用いて、輪郭の明瞭さを数値化するので、画像の明瞭さを簡単に数値化することができる。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の走査型電子顕微鏡1を説明する図である。なお、図1は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張している。
第1実施形態の走査型電子顕微鏡1は、電子銃部11、鏡筒部12、ステージ部16、排気部17、検出部18、電子線制御部21、信号処理部22、CPU(中央処理装置)23、画像形成部24、表示部25、入出力部26、メモリ27等を備えた荷電粒子線装置である。
鏡筒部12は、電子線C1の進行方向において、電子銃部11側から、収束レンズ13、走査コイル14、対物レンズ15を備えている。収束レンズ13及び対物レンズ15には、試料S上に電子線C1を収束する機能を有している。走査コイル14は、電子線C1を試料S上の所定の領域に走査させるために、電子線C1を偏向させる機能を有する。
陰極11a、陽極11b、収束レンズ13、走査コイル14、対物レンズ15は、電子線制御部21に接続されている。この電子線制御部21は、CPU23からの指示により、陰極11a、走査コイル14等を制御する回路である。
ステージ部16は、試料Sを配置するステージである。
排気部17は、ステージ部16及び試料Sが配置された空間を真空状態とする機能を有する。
信号処理部22は、検出部18で検出された二次電子を、所定の信号に変換、増幅等を行う。
画像形成部24は、信号処理部22で処理された二次電子の情報に対して、スムージング処理等の各種処理を行い、画像として形成する。
また、画像形成部24は、検出された二次電子の情報から形成された画像データに基づいて、ラインプロファイル等を形成する機能等を有している。このラインプロファイルは、例えば、電子線C1を走査して得られた試料の画像データに含まれる輝度情報等に基づいて生成される曲線(つまりライン上の輝度情報の集合)である(図3(c)参照)。
入出力部26は、CPU23に対して、指示を入力したり、得られた画像データを出力したりする機能を有する。
メモリ27は、画像データ等を記憶する部分である。
電子銃部11から放出された電子線C1は、収束レンズ13及び対物レンズ15により試料Sに微小スポットとして照射され、電子線制御部21に接続された走査コイル14により、試料S上を所定の2次元方向(撮像領域の上下方向及び左右方向)に走査する。
電子線C1の照射によって試料Sから放出された二次電子C2は、検出部18によって検出され、その信号が信号処理部22によって増幅、A/D変換等の処理が施され、CPU23の画像形成部24によって画像として形成され、表示部25に表示される。
メモリ27は、CPU23の指示に基づいて所定の画像データを記憶し、保存する。
本実施形態の走査型電子顕微鏡1では、一例として、画像サイズ1024×1024ピクセルの画像を撮像可能であるとする。
(a)第1ステップ(S101)は、CPU23が、ラインスキャンによって試料を撮像し、第1の画像データを得る第1の撮像工程である。予めラインスキャンの積算(ライン積算)の回数が設定されており、本実施形態では積算回数が32回となっている。
撮像された試料Sの画像データ(第1の画像データ)は、信号処理部22によってA/D変換され、所定の処理が施された後に、CPU23の画像形成部24へと送られる。
図3は、ラインプロファイル及びその一次微分を説明する図である。図3(a)は、試料Sの断面図であり、図3(b)は、撮像された試料Sの画像データの試料像を示す図である。図3(c)は、図3(b)に示す直線A−Aに沿って電子線C1を照射した場合に得られるラインプロファイルであり、図3(d)は、図3(c)に示したラインプロファイルの一次微分である。
図3に示すように、試料Sの凸部は、凹部に比べて輝度が若干高く、凸部の輪郭部分は、さらに輝度が高く、白い線として観察される(図3(a),(b)参照)。
第2ステップ(S102)では、画像形成部24が、第1の画像データから、試料像の輪郭部分を含む任意の領域を設定(例えば画像の対象領域をボックスで囲んで指定)し、試料像の輪郭部分(エッジ部分)のラインプロファイルを作成し、そのラインプロファイルを一次微分する。そして、ラインプロファイルの一次微分の絶対値の最大値を、第1の画像データの輪郭の明瞭さを表す数値M1とする。
図4に示すように、ラインプロファイルは、試料像の輪郭が明瞭である場合には、試料像がぼけている場合に比べ、最大値が大きい。
ラインプロファイルの一次微分は、図4(a),(b)に示す輝度値のラインプロファイルの一次微分の波形のMa部と、Mb部を比較して判るように、試料像の輪郭部分の明暗差が大きい部分ほど絶対値の最大値が大きくなり、輪郭が明瞭であるほど明瞭さを表す数値が大きくなる。従って、ラインプロファイルの一次微分は、試料像の輪郭が明瞭である場合には、像がぼけている場合に比べて、絶対値の最大値、すなわち明瞭さを表す数値が大きくなる。
この第2のステップ(S102)で得られた第1の画像データの輪郭の明瞭さを表す数値M1は、ラインスキャンによって撮像された試料像の輪郭の明瞭さ、すなわち、理想的な輪郭の明瞭さを表す数値である。
例えば、第2ステップ(S102)で得られた第1の画像データの輪郭の明瞭さに対して80%を満たせば採用するという設定とすれば、数値M1を0.8倍した数値が閾値Msとなる。閾値Msを、理想の輪郭の明瞭さを表す数値M1に対して何倍とするかは、予め適宜設定できるものとする。
第4ステップ(S104)で得られた第2の画像データは、画像形成部24へ送られる。
ここでは、第4ステップ(S104)で得られた第2の画像データの輪郭部分から、第2ステップ(S102)で行ったように、ラインプロファイルを生成し、その一次微分の絶対値の最大値を求めて、これを第2の画像データの輪郭の明瞭さを表す数値M2とする。
本実施形態では、閾値Msは、第1の画像データの明瞭さを表す数値M1の80%であると設定しているので、第2の画像データの明瞭さを表す数値M2が、M2≧Ms(Ms=M1×0.8)を満たすか否かを判定する。
第2の画像データの明瞭さを表す数値M2が、閾値Ms以上であれば、第7ステップ(S107)に進み、閾値Ms未満であれば、第8ステップ(S108)へ進む。
画像形成部24は、第2の画像データをメモリ27に記憶した後に、試料の画像形成に関する工程を終了する。必要であれば、メモリ27に記憶された第2の画像データの試料像から測長等を行ってもよい。
例えば、上述の第4ステップ(S104)でのエリアスキャンによる撮像が1回目であったならば、今回の第2の画像データを最も明瞭であると判定する。
また、上述の第4ステップ(S104)でのエリアスキャンによる撮像が2回目以上であれば、そのときメモリ27に保存されている以前の第2の画像データの明瞭さを表す数値M2aと、今回第4ステップ(S104)で撮像された第2の画像データの明瞭さを表す数値M2bとを比較し、より明瞭な方(本実施形態では、明瞭さを表す数値が大きい方)を、最も輪郭が明瞭であると判定する。
今回撮像された第2の画像データが、今までに撮像した試料の第2の画像データの中で最も明瞭であると判定された場合は、第9ステップ(S109)へ進み、最も明瞭でないと判定された場合には、第10ステップ(S110)に進む。
ここで、メモリ27に記憶された第2の画像データは、次回以降の第8ステップ(S108)での判定に使用される。
また、第9ステップ(S109)が2回目以降である場合には、それ以前に、最も明瞭であるとして記憶されていた以前の第2の画像データは破棄され、新たに最も明瞭であると判定された第2の画像データがメモリ27に記憶される。
第4ステップ(S104)でのエリアスキャンによる撮像が、上限回数に達した場合は、画像形成を終了する。また、第4ステップ(S104)でのエリアスキャンによる撮像が、上限回数に達していない場合は、第4ステップ(S104)に戻り、再びエリアスキャンによる撮像を行い、得られた画像データの輪郭の明瞭さが閾値を満たしているか否かを判定する等、第4ステップ(S104)から第10ステップ(S110)を繰り返す。
なお、閾値Msを満たす第2の画像データが得られていないが、第10ステップ(S110)で予め設定された上限回数に達していると判定された場合は、所定の回数撮像された第2の画像データの中で最も明瞭な第2の画像データが、メモリ27に記憶された状態となる。
(1)ラインスキャンによって得られた第1の画像データから試料像の輪郭の明瞭さの閾値Msを設定し、エリアスキャンによって得られた第2の画像データの試料像の輪郭の明瞭さを表す数値M2が閾値Msを満たしているか否か判定し、閾値Msを満たした第2の画像データを記憶するので、メモリ27に記憶される試料Sの画像データの明瞭さが安定したものとなり、撮像時期やドリフト量等に左右されず、所望するレベルの明瞭さを有する画像データを得ることができる。
しかも、画像形成部24によって、輪郭の明瞭さを表す数値が閾値を満たすか否かを判定して記憶される第2の画像データが選択されるので、オペレータが不在であっても、一定レベルの明瞭さを有する画像データを自動的に得ることができる。ゆえに、走査型電子顕微鏡1の無人の自動運転等が可能となり、作業効率を向上させることができる。
これにより、得られた試料像を用いて試料の寸法等を測長する場合には、測長精度が向上する。
図5は、第2実施形態の走査型顕微鏡の画像形成方法を説明する図である。
第2実施形態の走査型電子顕微鏡は、画像形成方法が一部異なる点以外は、第1実施形態に示した走査型電子顕微鏡1と略同様の形態である。従って、第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
第2実施形態の走査型電子顕微鏡の画像形成方法は、第1ステップ(S201)から第11ステップ(S211)を有している。
第2実施形態の画像形成方法は、第1ステップ(S201)から第6ステップ(S206)及び第9ステップ(S209)から第11ステップ(S211)は、第1実施形態に示した第1ステップ(S101)から第6ステップ(S106)及び第8ステップ(S108)から第10ステップ(S210)までと同様の処理を行う。
ここで、第7ステップ(S207)が1回目であるならば、その第2の画像データを最も明瞭であると選択し、第8ステップ(S208)に進み、メモリ27がその第2の画像データを記憶する。
第7ステップ(S207)が2回目以降であるならば、以前の第7ステップ(S207)で最も明瞭と判定され、メモリ27に記憶された以前の第2の画像データと明瞭さを比較する。
また、今回の第2の画像データが、前回の第2の画像データより明瞭でないと判定された場合には、今回の第2の画像データは破棄され、第11ステップ(S211)へ進む。
そして、第11ステップ(S211)では、第4ステップ(S204)で行ったエリアスキャンによる撮像が上限回数に達しているか否かを判定する。
上述のように、本実施形態では、閾値Msを満たす第2の画像データが得られた場合にも、予め設定されたエリアスキャンによる撮像の上限回数に達するまで、エリアスキャンによる撮像及び閾値の判定等、第4ステップ(S104)から第10ステップ(S210)までを繰り返す。
従って、本実施形態によれば、より明瞭な試料像を得ることができる。
図6は、第3実施形態の走査型顕微鏡の画像形成方法を説明する図である。
第3実施形態の走査型電子顕微鏡は、画像形成方法が一部異なる点以外は、第1実施形態に示した走査型電子顕微鏡1と略同様の形態である。従って、第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
第3実施形態の走査型電子顕微鏡の画像形成方法は、第1ステップ(S301)から第7ステップ(S307)を有している。
第3実施形態の画像形成方法の第1ステップ(S301)から第5ステップ(S305)までは、第1実施形態の第1ステップ(S101)から第5ステップ(S105)までに相当する。
従って、閾値Msを満たすような輪郭の明瞭さを有する第2の画像データを確実に得ることができる。
なお、第3実施形態においては閾値Msを満たす輪郭の明瞭さを有する第2の画像データが得られない場合は画像形成を永久に続け、不都合であるという問題がある。この問題に関しては、例えば、タイマーで画像形成に関わる時間を計り、所定の時間が経過した時点で画像形成を終了し、次のサンプルの画像形成に進むように設定することにより解決することができる。
以上説明した各実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)各実施形態において、第1のステップではラインスキャンによる撮像を行い、第1の画像データを得た後に、第2ステップで第1の画像データの輪郭の明瞭さを数値化する例を示したが、この第1ステップと第2ステップとの間に、ドリフトによって第1の画像データの試料像が変形しているか否かを判定する工程を有していてもよい。
図7は、画像形成方法の変形形態を示す図である。
図7に示す変形形態の画像形成方法は、第1ステップ(S401)から第12ステップ(S412)までを有している。なお、一例として、第1実施形態に示した画像形成方法の変形形態を示すが、第2実施形態及び第3実施形態においても適宜適用可能である。
変形形態の第2ステップ(S402)では、画像形成部24が、第1ステップ(S401)で得られた第1の画像データの試料像に、ドリフトによる変形が生じていないか判断する。
試料像にドリフトによる変形(本来垂直方向に走る直線と観察されるべき試料が、斜めに傾く等のパタンの曲がり)が生じていない場合(すなわち、ドリフト量が所定値以下である場合)には、第12ステップ(S412)へ進み、メモリ27が第1の画像データを記憶して終了する。また、試料像に変形が生じている場合(すなわち、ドリフト量が所定値より大きい場合)には、第3ステップ(S403)に進み、画像形成部24は、第1の画像データの輪郭の明瞭さを数値化する。
なお、この第1の画像データの試料像がドリフトにより変形しているか否かの判定は、例えば、特開2002−222633号公報の記載にあるような、像の変形具合からドリフト量を測定する方法を使用し、ドリフト量の許容量を予め設定することにより、判断可能である。
よって、試料の画像形成にかかる時間を短縮することができ、かつ、より明瞭な試料像を得ることができる。
図9は、画像形成方法の変形形態を示す図である。
図9に示す変形形態の画像形成方法は、第1ステップ(S501)から第10ステップ(S510)までを有しており、第1実施形態の第6ステップ(S106)が省かれ、第1実施形態にはない第9ステップ(S509)及び第10ステップ(S510)を有している点以外は、第1実施形態と略同様のステップを有している。
図9に示す画像形成方法において、第1ステップ(S501)から第5ステップ(S505)までは、第1実施形態の第1ステップ(S501)から第5ステップ(S105)までの各ステップに対応し、第6ステップ(S506)、第7ステップ(S507)、第8ステップ(S508)は、それぞれ第1実施の形態の第8ステップ(S108)、第9ステップ(S109)、第10ステップ(S110)にそれぞれ対応している。
これにより、第4ステップ(S504)から第8ステップ(S508)までを所定の上限回数に達するまで繰り返し実行した結果、メモリ27には、所定回数撮像された第2の画像データのうち、数値M2が最も大きいもの、すなわち、最も輪郭の明瞭な第2の画像データが記憶される。
この評価方法としては、閾値Msに対する数値M2の比(M2/Ms)を用いて評価したり(この場合、M2/Msが1に近いほど明瞭である)、数値M2の閾値Msに対する大小の判定により評価したりする。
例えば、撮像回数が上限回数に達しているか判断する工程(S508)の後に、ラインスキャンによる試料Sの第1の画像データの撮像の工程(S501)、画像データの輪郭の明瞭さを数値化する工程(S502)、輪郭の明瞭さの閾値を求める工程(S503)を実行した後、輪郭の明瞭さと閾値を比較する工程(S509)を実行する工程順としても問題なく実施可能である。
ラインプロファイルの画素値のレンジとは、画像データのラインプロファイルの画素値の最大値と最小値との差であり、これを明瞭さを表す数値として用いることが可能である。例えば、画像データの試料の輪郭部分において、ラインプロファイルの画素値の最大値が230であり、最小値が50であるとき、レンジは180となり、この数値を、画像データの明瞭さを表す数値として用いる。この場合、数値が大きい方が、明瞭であることを意味する。
なお、試料像の輪郭の明瞭さを数値化する方法は、上述したこれらの方法以外の方法も適宜用いることが可能である。
さらに、上述のプロファイル処理の前に、一般的に行われるノイズ除去を目的としたスムージング処理やフィルタリング処理を行ってもよい。このようなスムージング処理やフィルタリング処理は、通常行われている技術であるので、本明細書においてはその詳細についての記載を省略する。
なお、本実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した各実施形態によって限定されることはない。
11 電子銃部
12 鏡筒部
13 収束レンズ
14 走査コイル
15 対物レンズ
16 ステージ部
17 排気部
18 検出部
21 制御部
22 信号処理部
23 CPU
24 画像形成部
25 表示部
26 入出力部
27 メモリ
Claims (12)
- 荷電粒子線装置において試料像を得る画像形成方法であって、
試料をラインスキャンによって撮像し、第1の画像データを得る第1の撮像工程と、
前記第1の撮像工程の後に、前記第1の画像データの輪郭の明瞭さを数値化する第1の数値化工程と、
前記第1の数値化工程で得られた前記第1の画像データの輪郭の明瞭さを表す数値から、明瞭さの閾値を設定する閾値設定工程と、
前記試料をエリアスキャンによって撮像し、第2の画像データを得る第2の撮像工程と、
前記第2の撮像工程の後に、前記第2の画像データの輪郭の明瞭さを数値化する第2の数値化工程と、
前記第2の数値化工程の後に、前記第2の画像データの輪郭の明瞭さを表す数値を、前記閾値を基準として評価する評価工程と、
前記評価工程の結果を表示する表示工程と、
を備える画像形成方法。 - 荷電粒子線装置において試料像を得る画像形成方法であって、
試料をラインスキャンによって撮像し、第1の画像データを得る第1の撮像工程と、
前記第1の撮像工程の後に、前記第1の画像データの輪郭の明瞭さを数値化する第1の数値化工程と、
前記第1の数値化工程で得られた前記第1の画像データの輪郭の明瞭さを表す数値から、明瞭さの閾値を設定する閾値設定工程と、
前記試料をエリアスキャンによって撮像し、第2の画像データを得る第2の撮像工程と、
前記第2の撮像工程の後に、前記第2の画像データの輪郭の明瞭さを数値化する第2の数値化工程と、
前記第2の数値化工程の後に、前記第2の画像データの輪郭の明瞭さを表す数値が前記閾値を満たしているか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程の結果に基づいて、第2の画像データを選択して記憶する記憶工程と、
を備える画像形成方法。 - 請求項2に記載の画像形成方法において、
前記判定工程において前記第2の画像データの輪郭の明瞭さを表す数値が前記閾値を満たすまで、前記第2の撮像工程から前記判定工程までを繰り返すこと、
を特徴とする画像形成方法。 - 請求項2又は請求項3に記載の画像形成方法において、
前記第2の撮像工程を行う上限回数は、予め設定されていること、
を特徴とする画像形成方法。 - 請求項2に記載の画像形成方法において、
前記判定工程において前記第2の画像データの輪郭の明瞭さを表す数値が前記閾値を満たした場合にも、前記第2の撮像工程から前記判定工程までを設定された回数繰り返すこと、
を特徴とする画像形成方法。 - 請求項2から請求項5までのいずれか1項に記載の画像形成方法において、
前記第1の数値化工程及び前記第2の数値化工程では、前記第1の画像データ及び前記第2の画像データのラインプロファイルの一次微分の絶対値の最大値を用いて、輪郭の明瞭さを数値化すること、
を特徴とする画像形成方法。 - 請求項2から請求項5までのいずれか1項に記載の画像形成方法において、
前記第1の数値化工程及び前記第2の数値化工程では、前記第1の画像データ及び前記第2の画像データのラインプロファイルの画素値の最大値と最小値との差を用いて、輪郭の明瞭さを数値化すること、
を特徴とする画像形成方法。 - 請求項2から請求項5までのいずれか1項に記載の画像形成方法において、
前記第1の数値化工程及び前記第2の数値化工程では、前記第1の画像データ及び前記第2の画像データのラインプロファイルの画素値の最大値と最小値との差を用いて設定された設定値を満たすラインプロファイルの幅を用いて、輪郭の明瞭さを数値化すること、
を特徴とする画像形成方法。 - 荷電粒子線を試料上に照射する電子銃部と、
前記試料上の前記荷電粒子線が照射された領域から放出される二次信号を検出する検出部と、
検出された前記二次信号に基づいて画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部からの出力を表示する表示部と、
を備える荷電粒子線装置であって、
前記画像形成部は、
試料をラインスキャンによって撮像した第1の画像データの輪郭の明瞭さを数値化して閾値を設定し、
前記試料をエリアスキャンによって撮像した第2の画像データの輪郭の明瞭さを数値化して、前記閾値を基準として評価し、
前記表示部は、前記第2の画像データの輪郭の明瞭さの数値を、前記閾値を基準として評価した評価結果を表示すること、
を特徴とする荷電粒子線装置。 - 荷電粒子線を試料上に照射する電子銃部と、
前記試料上の前記荷電粒子線が照射された領域から放出される二次信号を検出する検出部と、
検出された前記二次信号に基づいて画像を形成する画像形成部と、
を備える荷電粒子線装置であって、
前記画像形成部は、
試料をラインスキャンによって撮像した第1の画像データの輪郭の明瞭さを数値化して閾値を設定し、
前記試料をエリアスキャンによって撮像した第2の画像データの輪郭の明瞭さを数値化して、前記閾値を満たすか否かを判定し、
前記判定の結果に基づいて第2の画像データを選択し、記憶部に記憶させること、
を特徴とする荷電粒子線装置。 - 荷電粒子線装置において試料像を得る画像形成方法であって、
試料をエリアスキャンによって撮像し、画像データを得る撮像工程と、
前記撮像工程の後に、前記画像データの輪郭の明瞭さを数値化する数値化工程と、
前記数値化工程の後に、前記画像データの輪郭の明瞭さを表す数値とすでに記憶されている画像データの輪郭の明瞭さを表す数値とを比較し、前記画像データの輪郭の明瞭さを表す数値がより明瞭であるか否かを判定する判定工程と、
前記撮像工程から前記判定工程までを設定された回数繰り返す工程と、
を備える画像形成方法。 - 荷電粒子線装置において試料像を得る画像形成方法であって、
試料をラインスキャンによって撮像し、画像データを得る撮像工程と、
前記撮像工程の後に、前記画像データのドリフト量を数値化する数値化工程と、
前記ドリフト量が所定値以下であるか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程の結果に基づいて、前記画像データを選択して記憶する記憶工程と、
を備える画像形成方法。
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