JP2010100692A - 熱圧着用シリコーンゴムシート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記(A)〜(E)成分からなるシリコーンゴム組成物をシート状に成形し硬化させてなる、23℃における切断時伸びが50〜120%、タイプAデュロメーターで測定した硬さが65〜75であると共に、熱伝導率が0.5〜1.0W/mKであることを特徴とする熱圧着用シリコーンゴムシート。
(A)平均重合度が3000以上であるオルガノポリシロキサン:100質量部、(B)金属、金属酸化物、金属窒化物及び金属炭化物から選択される少なくとも1種の熱伝導性粉末:50〜250質量部、(C)カーボンブラック粉末:5〜60質量部、(D)BET比表面積が50m2/g以上である微粉末補強性シリカ:0〜40質量部であって、成分(C)と成分(D)の合計量が10〜60質量部となる量、及び、(E)硬化剤。
【選択図】なし
Description
本発明の第2の目的は、積層板やフレキシブルプリント基板成形時に用いるクッションシートとして好適な、高精度な成形を実現することのできる熱圧着用シリコーンゴムシートを提供することにある。
(A)平均重合度が3000以上であるオルガノポリシロキサン:100質量部
(B)金属、金属酸化物、金属窒化物及び金属炭化物から選択される少なくとも1種の熱伝導性粉末:50〜250質量部
(C)カーボンブラック粉末:5〜60質量部
(D)0〜40質量部のBET比表面積が50m2/g以上である補強性シリカ微粉末を、成分(C)と成分(D)の合計量が10〜60質量部となる量、及び
(E)硬化剤
からなるシリコーンゴム組成物をシート状に成形した後硬化させてなるシリコーンゴムシートであって、23℃における切断時伸びが50〜120%、タイプAデュロメーターで測定した23℃における硬さが65〜75であると共に、熱伝導率が0.5〜1.0W/mKであることを特徴とする熱圧着用シリコーンゴムシートである。
RnSiO(4−n)/2・・・・(1)
但し、式(1)中におけるnは1.9〜2.4の正数、Rは置換または非置換の一価炭化水素基を表し、各分子が有するRの0.0001〜10モル%はビニル基であり、且つ、80モル%以上はメチル基である。
「平均粒径」:
カーボンブラックの平均粒径については、電子顕微鏡を用いて撮影した写真から一次粒子径を測定し、求めた粒子径を算術平均する、いわゆる電子顕微鏡法による平均粒径である。なお通常、カーボンブラックは一次粒子が凝集して二次粒子を形成しているが、ここで言う平均粒径はその二次粒子の平均粒径ではなく、一次粒子の平均粒径を言う。
オルガノポリシロキサン等における、骨格をなすシロキサン結合を構成するケイ素原子数の平均値を意味する。
[組成物]
液晶パネル等の表示パネルの高精細化に伴う、パネル側のリード電極と、画像を駆動させるための駆動用LSIが搭載されたフレキシブルプリント基板のアウターリード電極の狭ピッチ化に対応する、狭ピッチリード電極同士の異方性導電膜による高精度な熱圧着接続においては、圧着時に際するリード電極同士の位置ずれを抑制することが重要である。
(1)23℃の室温における切断時の伸びが50〜120%と比較的小さいことが必要であり、特に、60〜110%であることが好ましい。基本的には、リード電極の位置ずれの観点から、伸びは小さいほうが良い。しかしながら、伸びが、50%未満ではシートの柔軟性に欠けるため、被圧着部に凹凸や段差があった場合に、局部的な応力を分散することが出来ないため切れ易くなったり、シートに対して折り曲げ方向の力がかかった場合に、シートが破断したりするという問題が発生する。
一方、0.5W/mKよりも低いと、異方性導電膜に熱が伝わり難いため、ヒートツールの温度を上げなくてはならない。ヒートツールの温度を上げるためには、熱圧着装置への負担が重くなる。また、より高温のヒートツールが熱圧着用シリコーンシートに接触するため、シリコーンシートの熱劣化が促進されることになる。さらには、高温のヒートツールが熱に弱い液晶パネルのカラーフィルターなどに輻射熱を与えるために問題を引き起こすこともある。
(A)成分:
本発明で使用する(A)成分である、平均重合度3000以上のオルガノポリシロキサンは、例えば、次の平均組成式(1)で表される。
RnSiO(4−n)/2・・・・(1)
但し、(1)式中のnは1.95〜2.4の正数、Rは置換または非置換の一価の炭化水素基を表す。
(B)成分は、金属、金属酸化物、金属窒化物及び金属炭化物から選択される少なくとも1種の熱伝導性粉末であり、本発明のシリコーンゴムシートに熱伝導性を付与する充填剤である。これらの具体例は、金属としては、銀、銅、鉄、金属ケイ素、ニッケル、アルミニウムなど、金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、二酸化珪素、酸化鉄など、金属窒化物としては、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化珪素など、金属炭化物としては、炭化珪素、炭化ホウ素などが例示される。
本発明で使用する(C)成分であるカーボンブラックは、シリコーンゴムシートの機械的強度、特に加熱時の機械的強度を向上させて耐熱性を向上させると共に、熱伝導性及び導電化することによる帯電防止性を付与するものである。
本発明で使用する(D)成分である、BET比表面積が50m2/g以上である補強性シリカ微粉末は、シリコーンゴムの補強成分として使用される。この微粉末シリカは、親水性のものであっても疎水性のものであっても良いが、補強性効果の面から、BET比表面積が50〜800m2/gであることが好ましく、特に100〜500m2/gの微粉末シリカが好ましい。比表面積が50m2/g未満では、補強効果を十分得ることができない。
本発明で使用する(E)成分である硬化剤は、通常シリコーンゴムの硬化に使用されている公知のものの中から適宜選択して使用することが出来る。このような硬化剤としては、例えば、
a)ラジカル反応に使用されるジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイドなどの有機過酸化物;
b)(A)成分のオルガノポリシロキサンがアルケニル基を有する場合には、付加反応硬化剤として、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、白金、パラジウム等の白金族金属系触媒との組合わせ;
等が例示される。本発明においては、反応を制御し易いこと、反応残渣が残らないことなどの理由から、b)の付加反応硬化剤の方が好ましいが、必要に応じて両者を併用しても良い。これらの硬化剤の添加量は、通常のシリコーンゴムの場合と同様にすればよいが、一般的には次の通りである。
本発明のシリコーンゴム組成物には、必要に応じて更に、酸化セリウム、ベンガラ、酸化チタン等の耐熱付与剤、クレイ、炭酸カルシウム、けいそう土、二酸化チタン等の充填剤、低分子シロキサンエステル、シラノール等の分散剤、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等の接着付与剤、難燃性を付与させる白金族金属系化合物、ゴムコンパウンドのグリーン強度を上げるテトラフルオロポリエチレン粒子などを添加してもよい。
本発明に用いるシリコーンゴム組成物は、使用する各成分を、二本ロールミル、ニーダー、バンバリーミキサー等の混合機を用いて混練りすればよいが、一般的には、硬化剤だけを使用する直前に添加すれば良いように、他の成分を予め混練しておくことが好ましい。
以下、本発明を実施例によって更に詳述するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
オルガノポリシロキサン:
(a−1)ジメチルシロキサン単位99.85モル%及びメチルビニルシロキサン単位0.15モル%からなる、平均重合度が8,000の、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたメチルビニルポリシロキサン
(a−2)ジメチルシロキサン単位99.5モル%及びメチルビニルシロキサン単位0.5モル%からなる、平均重合度が8,000の、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたメチルビニルポリシロキサン
(b−1)平均粒径が5μmの金属ケイ素粉砕粉末(表面に強制酸化処理をしたもの)
(b−2)平均粒径が4μmの結晶性二酸化ケイ素粉砕粉末
(b−3)平均粒径が4μmの酸化アルミニウム粉砕粉末
(c−1)平均粒径が35nm、水以外の揮発分が0.10質量%、BET比表面積が69m2/gのアセチレンブラック
補強性シリカ微粉末:
(d−1)BET比表面積が300m2/gの補強性シリカ微粉末(商品名:Aerosil300、日本エアロジル株式会社製)
(f−1)ジメチルジメトキシシラン
(g−1)BET比表面積が140m2/gの酸化セリウム粉末
(h−1)エチニルシクロヘキサノール
(A)成分として(a−2)を100質量部、(D)成分として(d−1)を30質量部、(e−1)を0.1質量部、(h−1)を0.04質量部、及び(e−2)を1.0質量部使用したこと以外は実施例1と同様にして、厚さ0.25mmのシリコーンゴムシートを作製した。
(A)成分として、(a−2)の代わりに(a−1)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、厚さ0.25mmのシリコーンゴムシートを作製した。
(A)成分として、(a−1)50質量部及び(a−2)50質量部からなるベース100質量部を使用し、(D)成分の表面処理剤として、(f−1)3質量部、及びイオン交換水1質量部を使用し、ニーダーを用いて170℃で2時間加熱しながら配合・混練りして均一化した。得られたシリコーンゴム組成物153質量部に対して、(B)成分として(b−1)を320質量部加え、加圧ニーダーを用いて15分間配合・混練りして均一化した。得られたシリコーンゴム組成物100質量部に対して、(e−3)0.8質量部を二本ロールミルを用いて均一に混練りし、硬化性シリコーンゴム組成物(III)を調製し、一次加硫温度を170℃にしたこと以外は、実施例1と同様に成形、硬化させて、厚さ0.25mmのシリコーンゴムシートを作製した。
硬さ、引張り強さおよび切断時伸びを、JIS K6249の規定に準拠して測定した。但し、硬さについては、タイプAデュロメーターを用いて作製したシートを、厚さが6mm以上となるように重ねて測定した。引張り強さおよび切断時伸びは、ダンベル状2号形の試験片を使用して測定した。
また、熱伝導率はASTM E 1530の規定に準拠して測定した。
圧着機のバックアップツール上にシリコーンゴムシートのみをセットし、400℃に加熱したヒートツールを用い、4MPaの押し圧力で直接10秒間押圧する動作を、インターバルを10秒として連続100回行った。
〔(シートの初期厚さ)−(シートの100回圧着後の厚さ)〕/シートの初期厚さ
を百分率で記載した数字を、100回圧着後の厚さ減少率とした。
図1に示すように、50本の銅電極1aが32μmピッチ(線幅16μm、間隔16μm)で設けられたFPC(フレキシブルプリント配線板)と、同じく50本のITO電極1bが32μmピッチ(線幅16μm、間隔16μm)で設けられたガラス板2bを、それぞれの銅電極1aおよびITO電極1bを設けた側の面が互いに向かい合うようにし、その間に厚さが22μm、幅1.2mmのACF(異方性導電膜)3を挟んだ状態で、圧着機のバックアップツール4の上に設置した。次に、実施例1〜3、または比較例1〜3で作製した熱圧着用シリコーンゴムシート5を、上記のFPC 2aの上面に当たるように載置した。次いで、上記シリコーンゴムシート5の上から、350℃に加熱した加圧ツール6により、4MPaの押し圧力で10秒間押圧した。このようしてFPC 2aとガラス板2b間でACF3を圧着した後、銅電極1aとITO電極1b間における電気的導通を評価した。結果を表1に示した。
1b. ITO電極
2a. フレキシブルプリント配線版
2b. ガラス板
3. 異方性導電膜
4. バックアップツール(支持台)
5. 熱圧着用シリコーンゴムシート
6. 加熱・加圧ツール
Claims (8)
- (A)平均重合度が3000以上であるオルガノポリシロキサン:100質量部
(B)金属、金属酸化物、金属窒化物及び金属炭化物から選択される少なくとも1種の熱伝導性粉末:50〜250質量部
(C)カーボンブラック粉末:5〜60質量部
(D)0〜40質量部のBET比表面積が50m2/g以上である補強性シリカ微粉末を、成分(C)と成分(D)の合計量が10〜60質量部となる量、及び、
(E)硬化剤
から成るシリコーンゴム組成物をシート状に成形し硬化させてなるシリコーンゴムシートであって、23℃における切断時伸びが50〜120%、タイプAデュロメーターで測定した23℃における硬さが65〜75であると共に、熱伝導率が0.5〜1.0W/mKであることを特徴とする、熱圧着用シリコーンゴムシート。 - (A)成分である平均重合度が3000以上であるオルガノポリシロキサンが、下記平均組成式(1)で表される、一分子中に少なくとも平均2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンからなる一種以上のオルガノポリシロキサン分子で構成されており、
(A)成分のオルガノポリシロキサン分子に含有される全Rの0.10〜0.30モル%がビニル基であり、この(A)成分のオルガノポリシロキサン分子の全ビニル基量P(モル%)に、(D)成分の補強性シリカ粉末の質量部を100で除した数値Qを加えた合計(P+Q)の値が0.20〜0.50となるように、前記(A)成分と(D)成分の使用量を調整すると共に、(E)成分の硬化剤が、一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合する水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと白金系触媒からなる、請求項1に記載された熱圧着用シリコーンゴムシート;
RnSiO(4−n)/2・・・・(1)
但し、式(1)中における、nは1.9〜2.4の正数、Rは置換または非置換の一価炭化水素基を表し、各分子におけるRの0.0001〜10モル%はビニル基であり、且つ、80モル%以上はメチル基である。 - (B)成分である熱伝導性粉末が、金属ケイ素粉末である、請求項1又は請求項2に記載された熱圧着用シリコーンゴムシート。
- 金属ケイ素粉末が、平均粒径1〜20μmの粉砕粉末である、請求項3に記載された熱圧着用シリコーンゴムシート。
- 金属ケイ素粉末が、平均粒径1〜20μmの球状粉末である、請求項3に記載された熱圧着用シリコーンゴムシート。
- 金属ケイ素粉末の表面に強制酸化膜が形成されている、請求項3〜5の何れかに記載された、熱圧着用シリコーンゴムシート。
- (B)成分である熱伝導性粉末が、平均粒径1〜20μmの結晶性二酸化ケイ素粉末である、請求項1又は2に記載された熱圧着用シリコーンゴムシート。
- 厚さが0.05〜1mmの範囲である請求項1〜7の何れかに記載された、熱圧着用シリコーンゴムシート。
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