JP2010099986A - アクチュエータ装置の製造方法及び液体噴射ヘッドの製造方法 - Google Patents

アクチュエータ装置の製造方法及び液体噴射ヘッドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】圧電素子に水分の浸入を防止する保護膜を形成した場合、圧電素子の駆動部分の重量が保護膜によって大きくなることから、振動板に十分な変位量が得られない問題が生じてしまう。
【解決手段】基板の一方面側に振動板56を形成する工程と、振動板56上に下電極60を形成する工程と、下電極60上にバンク75を形成する工程と、バンク75によって形成される凹部に圧電体層70を形成する工程と、少なくとも圧電体層70の上面を覆うように上電極80を形成する工程と、を有する。
【選択図】図3

Description

本発明は、圧電素子を有するアクチュエータ装置の製造方法、及び液体を吐出する液体噴射ヘッドの製造方法に関する。
インクジェット式記録ヘッドとして、ノズル開口に連通する圧力発生室の列を備えた流路形成基板と、この流路形成基板に設けられた圧電素子側に接合されて且つ圧電素子を駆動させる駆動ICが実装される接合基板と、を有する構造が知られている。
圧電素子は、上電極、圧電体層、下電極から構成されている。ここで、圧電体層は数μmと薄く形成されており、圧電体層の側面への水分の付着、あるいは圧電体層への水分の浸入により、上電極と下電極との短絡等の問題が生じ絶縁破壊の原因になることがある。
このため、圧電素子に水分の浸入を防止する保護膜を形成することによって圧電素子の絶縁破壊を防止し、且つ振動板の変位量の低下を抑えるために上電極部分の保護膜に凹部を設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−281033号公報(5頁および6項、図3)
しかしながら、圧電素子に上記の特許文献1のような保護膜を形成した場合、保護膜に凹部を設けたとしても圧電素子の駆動部分の重量が保護膜によって大きくなることから、振動板に十分な変位量が得られない問題が生じてしまう。
なお、このような問題は、インク滴を噴射するインクジェット式記録ヘッドだけではなく、インク以外の液滴を噴射する他の液体噴射ヘッドにおいても、同様に存在する。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
基板の一方面側に振動板を形成する工程と、前記振動板上に下電極を形成する工程と、前記下電極上にバンクを形成する工程と、前記バンクによって形成される凹部に圧電体層を形成する工程と、少なくとも前記圧電体層の上面を覆うように上電極を形成する工程と、を有することを特徴とするアクチュエータ装置の製造方法。
この適用例によれば、形成した下電極上にバンクを形成し、圧電体層をこのバンクによって形成される凹部に形成する。そして、上電極を少なくとも圧電体層の上面を覆うように形成する。これにより、圧電体層は、周りをバンクに囲まれて上面が上電極に覆われているので、圧電体層への水分の付着及び浸入を確実に防止でき、短絡等の不良が低減したアクチュエータ装置が得られる。
また、アクチュエータ装置は、水分の浸入を防止するための保護膜等を用いない構造であることから、保護膜等によって振動板の変位を阻害されることなく、圧電素子の変位特性の低下を抑制することができる。
[適用例2]
上記アクチュエータ装置の製造方法であって、前記圧電体層を形成する工程において、液滴吐出法により前記凹部に圧電材料を塗布して圧電体前駆体膜を形成し、前記圧電体前駆体膜に乾燥と脱脂と焼成とを行うことにより前記圧電体層を形成することを特徴とするアクチュエータ装置の製造方法。
この適用例では、液滴吐出法によって圧電材料を凹部に容易に且つ正確に塗布することができ、圧電体前駆体膜を乾燥・脱脂・焼成して精度の高い圧電体層を形成することができる。
[適用例3]
上記アクチュエータ装置の製造方法であって、前記圧電体層を形成する前に前記凹部に撥水処理を施すことを特徴とするアクチュエータ装置の製造方法。
この適用例では、凹部に撥水処理を施すことにより、圧電体層への水分の付着及び浸入をさらに確実に防止できる。
[適用例4]
上記アクチュエータ装置の製造方法であって、前記バンクは二酸化シリコン(SiO2)からなることを特徴とするアクチュエータ装置の製造方法。
この適用例では、耐湿性を有するSiO2をバンクの材料とすることにより、圧電体層への水分の付着及び浸入をさらに確実に防止できる。
[適用例5]
上記に記載の製造方法により、液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室が設けられた流路形成基板の一方面に前記アクチュエータ装置を形成することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
この適用例によれば、短絡等の不良が低減して、且つ変位特性の低下を抑制した圧電素子により、信頼性及び液体の噴射特性を向上した液体噴射ヘッドを実現できる。
以下、実施形態について図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態における液体噴射装置としてのインクジェット式記録装置1000の一例を示す概略図である。同図に示すように、インクジェット式記録装置1000は、記録ヘッドユニット1A,1Bを備えている。この記録ヘッドユニット1A,1Bには、インク供給手段を構成するカートリッジ2A,2Bが着脱可能に設けられ、記録ヘッドユニット1A,1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。
記録ヘッドユニット1A,1Bは、例えば、それぞれがブラックインク組成物及びカラーインク組成物を噴射する。そして、駆動モータ6の駆動力が、図示しない複数の歯車及びタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A,1Bを搭載したキャリッジ3がキャリッジ軸5に沿って移動する。
一方、装置本体4には、キャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラ等により給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8上を搬送される。
また、記録ヘッドユニット1A,1Bは、液体噴射ヘッドとしてのインクジェット式記録ヘッド1を記録シートSに対向する位置に備えている。
図2は、インクジェット式記録ヘッド1を示す分解部分斜視図である。ここで、図2は、インクジェット式記録ヘッド1の長手方向(図中の白抜き矢印方向)に直交する面で切断した分解部分斜視図となっている。同図に示すように、インクジェット式記録ヘッド1の形状は略直方体となっている。図3(a)は、インクジェット式記録ヘッド1の部分平面図であり、(b)は、そのA−A’断面図である。
図2及び図3に示すように、インクジェット式記録ヘッド1は、流路形成基板10と、ノズルプレート20と、接合基板30と、コンプライアンス基板40と、図示しない駆動ICとを備えている。流路形成基板10とノズルプレート20と接合基板30とは、流路形成基板10をノズルプレート20と接合基板30とで挟むように積み重ねられ、接合基板30上に、コンプライアンス基板40が形成されている。
流路形成基板10は、面方位(110)のシリコン単結晶板からなる。流路形成基板10には、異方性エッチングによって、複数の圧力発生室12が、隔壁11によって仕切られてインクジェット式記録ヘッド1の長手方向に列をなすように形成されている。圧力発生室12の当該長手方向に直交する断面形状は台形状で、圧力発生室12は、インクジェット式記録ヘッド1の幅方向に長く形成されている。
また、流路形成基板10の圧力発生室12の幅方向の一方端にはインク供給路13が形成され、インク供給路13と各圧力発生室12とが、各圧力発生室12毎に設けられた連通部14を介して連通されている。連通部14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部14から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
一方、ノズルプレート20には、各圧力発生室12のインク供給路13とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されている。なお、ノズルプレート20は、厚さが例えば、0.01mm〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜4.5[×10-6/℃]であるガラスセラミックス、シリコン単結晶基板または不錆鋼等からなる。
流路形成基板10とノズルプレート20とは、圧力発生室12を異方性エッチングで形成する際のマスクとして用いられた絶縁保護膜52を介して、接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。
一方、流路形成基板10のノズルプレート20が固着された面と対向する面には、弾性膜50が形成されている。弾性膜50は、熱酸化により形成された酸化膜からなる。流路形成基板10の弾性膜50上には、酸化膜からなる絶縁体膜55が形成されている。
絶縁体膜55上には、図3(b)に示すように、白金(Pt)等の金属やルテニウム酸ストロンチウム(SrRuO)等の金属酸化物からなる下電極60と、ペロブスカイト構造の圧電体層70と、例えば、二酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)または酸化ジルコニウム(ZrO2)等の酸化膜あるいは窒化膜からなるバンク75と、例えばAu、Ir等の金属からなる上電極80とが形成され、圧電素子300を構成している。
圧電体層70となる圧電材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の強誘電性圧電性材料の他に、例えば、強誘電性圧電性材料にニオブ、ニッケル、マグネシウム、ビスマスまたはイットリウム等の金属を添加したリラクサ強誘電体等が用いられる。その組成は、圧電素子300の特性、用途等を考慮して適宜選択すればよい。
バンク75は、四角形状の枠体であり、圧電体層70の外周側面に沿って形成されている。即ち、バンク75の枠体の内側に圧電体層70が形成されている。
下電極60は、圧力発生室12の長手方向では圧力発生室12に対向する領域内に形成され、複数の圧力発生室12に対応する領域に亘って連続的に設けられている。また、下電極60は、圧力発生室12の列の外側まで延設されている。
上電極80は、圧電体層70の上面とバンク75の枠体の上面を覆うように形成されている。また、上電極80の一端部近傍には、例えば金(Au)等からなる上電極用リード電極90が接続されている。そして、駆動ICと各圧電素子300から延設された上電極用リード電極90とは、例えばボンディングワイヤ等の導電性ワイヤからなる図示しない接続配線によってそれぞれ電気的に接続されている。また、同様に、駆動ICと下電極60とは、図示しない接続配線によって電気的に接続されている。
一般的には、圧電素子300のいずれか一方の電極を共通電極とし、他方の電極を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされたいずれか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。
なお、本実施形態では、下電極60を圧電素子300の共通電極とし、上電極80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。いずれの場合においても、各圧力発生室12毎に圧電体能動部が形成されていることになる。また、ここでは、圧電素子300と、当該圧電素子300の駆動により変位が生じる弾性膜50及び絶縁体膜55(弾性膜50と絶縁体膜55とで振動板56を構成する)とを合わせてアクチュエータ装置と称する。
一方、圧電素子300が形成された流路形成基板10上には、圧電素子300を駆動するための駆動ICが実装される接合基板30が接合されている。
接合基板30は、圧電素子300に対向する領域に、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を確保した状態で、その空間を密封可能な圧電素子保持部31を有する。圧電素子保持部31は、圧力発生室12の列に対応して設けられている。
なお、本実施形態では、圧電素子保持部31は、圧力発生室12の列に対応する領域に一体的に設けられているが、圧電素子300毎に独立して設けられていてもよい。
接合基板30の材料としては、例えば、ガラス、セラミックス材料、金属、樹脂等が挙げられるが、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料で形成されていることがより好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成する。
また、接合基板30には、流路形成基板10のインク供給路13に対応する領域にリザーバ部32が設けられている。このリザーバ部32は、本実施形態では、接合基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の列に沿って設けられており、流路形成基板10のインク供給路13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100を構成している。
また、接合基板30の圧電素子保持部31とリザーバ部32との間の領域には、接合基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられ、この貫通孔33内に下電極60の一部及び上電極用リード電極90の先端部が露出され、この下電極60及び上電極用リード電極90には、駆動ICから延設される図示しない接続配線の一端が接続される。
また、接合基板30上には、図示しない外部配線が接続されて駆動信号が供給される配線パターンが設けられている。そして、配線パターン上に、各圧電素子300を駆動するための駆動ICがそれぞれ実装されている。
駆動信号は、例えば、駆動電源信号等の駆動ICを駆動させるための駆動系信号のほか、シリアル信号(SI)等の各種制御系信号を含み、配線パターンは、それぞれの信号が供給される複数の配線で構成される。
一方、接合基板30上には、封止膜41と固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部32の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみである。
次に、インクジェット式記録ヘッド1の製造方法について述べる。
インクジェット式記録ヘッド1は、ウェハ状態で複数のインクジェット式記録ヘッド1を形成した後に、各インクジェット式記録ヘッド1を切り離すことによって得られる。
図4、図8及び図9は、インクジェット式記録ヘッド1の各製造工程を示す断面図である。図5及び図6は、圧電体層70の各製造工程を示す断面図である。図7は、バンク75を示す斜視図である。なお、各工程における断面図は、図3(a)におけるA−A’断面図に相当する。
まず、図4(a)に示すように、シリコンウェハである流路形成基板用ウェハ110の表面に弾性膜50を構成する二酸化シリコン膜51を形成する。次いで、図4(b)に示すように、弾性膜50上に、酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜55を形成する。具体的には、まず、弾性膜50上に、例えば、DCスパッタ法によりジルコニウム層を形成し、このジルコニウム層を熱酸化することによって酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜55を形成する。次いで、図4(c)に示すように、例えば、白金(Pt)とイリジウム(Ir)とを絶縁体膜55上に積層することによって下電極膜61を形成後、この下電極膜61を下電極60の形状にパターニングする。
次に、図4(d)に示すように、下電極60上及び絶縁体膜55上にバンク75を形成し、このバンク75の内側の領域に圧電体層70を形成する。
バンク75を形成して圧電体層70を形成する手順について説明する。
まず、図5(a)に示すように、下電極60上及び絶縁体膜55上に、バンク75となる例えばSiO2からなるバンク膜76を形成する。このバンク膜76は、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法等により形成する。
次に、図5(b)に示すように、バンク膜76上にレジスト77を塗布する。このレジスト77は、例えばスピンコート法等により塗布する。次いで、図5(c)に示すように、露光及び現像により、レジスト77をバンク75の枠形状となるようにパターニングする。
次に、図6(a)に示すように、バンク膜76を四角形状の枠体を残すようにエッチングすることによってバンク75を形成する。次いで、図6(b)に示すように、バンク75上のレジスト77を剥離する。図7は、エッチングによって形成されたバンク75を示す斜視図である。同図では、2つの四角形状の枠体となるバンク75が示されており、それぞれのバンク75の内側には凹部78が形成されている。
次に、図6(c)に示すように、バンク75の内側の凹部78にゾルゲル法によって圧電体層70を形成する。
具体的には、圧電体層70を形成するために、まず、例えば液滴吐出法(インクジェット法)等により、有機金属アルコキシド溶液からなるゾルを凹部78内に塗布する。次いで、一定温度で一定時間乾燥させ、溶媒を蒸発させる。乾燥後、さらに大気雰囲気下において所定の温度で一定時間脱脂し、金属に配位している有機配位子を熱分解させ、金属酸化物とする。
この塗布、乾燥、脱脂の各工程を所定回数、例えば、2回繰り返して2層からなる圧電体前駆体膜を積層する。これらの乾燥と脱脂処理により、溶媒中の金属アルコキシドと酢酸塩とは配位子の熱分解を経て金属、酸素、金属のネットワークを形成する。なお、ここでの工程は、ゾルゲル法に限定されず、MOD(Metal Organic Deposition)法等を用いてもよい。また、インクジェット法に限定されず、印刷によるパターニングを用いてもよい。
次に、圧電体前駆体膜の形成後、焼成して圧電体前駆体膜を結晶化させる。この焼成により、圧電体前駆体膜は、アモルファス状態から結晶構造をとるようになり、電気機械変換作用を示す圧電体層70へと変化する。
圧電体層70を形成した後、図8(a)に示すように、例えばイリジウム(Ir)からなる上電極膜81を流路形成基板用ウェハ110の全面に形成する。次いで、図8(b)に示すように、上電極膜81を、バンク75及び圧電体層70の上面を覆う領域のみとなるようにパターニングして上電極80を形成する。
次に、上電極用リード電極90を形成する。具体的には、図8(c)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の全面に亘って、例えば金(Au)等からなる金属層91を形成する。その後、例えばレジスト等からなる図示しないマスクパターンを介して金属層91を圧電素子300毎にパターニングすることで、上電極用リード電極90が形成される。
次に、図8(d)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の圧電素子300側に、シリコンウェハであり複数の接合基板となる接合基板用ウェハ130を接合する。ここで、接合基板用ウェハ130には、圧電素子保持部31、リザーバ部32等が予め形成されている。
次いで、図9(a)に示すように、流路形成基板用ウェハ110をある程度の厚さとなるまで研磨した後、更に弗化硝酸によってウェットエッチングすることにより流路形成基板用ウェハ110を所定の厚みにする。次いで、図9(b)に示すように、流路形成基板用ウェハ110上に、例えば窒化シリコン(SiN)からなる絶縁保護膜52を新たに形成し、所定形状にパターニングする。そして、この絶縁保護膜52を介して流路形成基板用ウェハ110を異方性エッチングすることにより、図9(c)に示すように、流路形成基板用ウェハ110に圧力発生室12、インク供給路13及び連通部14等を形成する。
なお、その後は、流路形成基板用ウェハ110及び接合基板用ウェハ130の外周縁部の不要部分を、例えば、ダイシング等により切断することによって除去する。そして、流路形成基板用ウェハ110の接合基板用ウェハ130とは反対側の面にノズル開口21が穿設されたノズルプレート20を接合すると共に、接合基板用ウェハ130にコンプライアンス基板40を接合し、流路形成基板用ウェハ110等を図2に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10等に分割することによって、本実施形態のインクジェット式記録ヘッド1が製造される。
上述した実施形態によれば、下電極60上及び絶縁体膜55上にバンク75を形成し、このバンク75の凹部78内に圧電体層70を形成する。そして、凹部78内に形成された圧電体層70の上面を上電極80によって覆うようにする。これにより、圧電体層70の全体が覆われることになり、圧電体層70への水分(湿気)の浸入を確実に防止することができる。
また、圧電素子300は、圧電体層70の全周側面にバンク75を設ける簡易な構造であることから、振動板56の変位への影響を抑制することができ、圧電素子の変位特性の低下を抑制することができる。
また、凹部78内に有機金属アルコキシド溶液からなるゾルを塗布して、乾燥・脱脂・焼成することによって圧電体層70を形成している。このため、従来のように、下電極60上及び絶縁体膜55上の全面に圧電体層70を形成してからエッチングによってパターニングする必要がなくなる。これにより、絶縁体膜55の表面のオーバーエッチングにより、圧電素子の変位特性にばらつきが生じるのを避けることができる。
さらに、インクジェット法を用いることにより、凹部78内にゾルを容易に且つ正確に塗布することができ、精度の高い圧電体層70を形成することができる。
また、バンク75の材料として耐湿性を有するSiO2を用いることにより、バンク75の厚さを薄くしても圧電体層70への水分(湿気)の浸入を防止することができる。これにより、バンク75の厚さを薄くして、振動板56の変位への影響をさらに抑制することができ、圧電素子の変位特性の低下をさらに抑制することができる。
以上、実施形態を説明したが、上述した実施形態に限定されるものではない。
例えば、上述した実施形態に係るインクジェット式記録ヘッド1では、圧電素子300を構成する下電極60は、複数の圧力発生室12に対応する領域に亘って連続的に設けられている。しかし、これに限定されず、例えば、図10に示す圧電素子300aのように、下電極60aが、複数の圧力発生室12に対応する領域に櫛歯状に設けられていてもよい。
この場合、上記した図4(c)の製造工程において、下電極膜61を櫛歯形状にパターニングすることになる。また、図6(a),(b)の製造工程におけるバンク膜76のエッチング及びレジスト77の剥離により、図11の斜視図に示すようなバンク75が形成されることになる。
また、上述した実施形態では、バンク75を形成し、その内側となる凹部78に圧電体層70を形成したが、圧電体層70を形成する前に凹部78に対して、例えば、フッ素樹脂コーティングや撥水処理剤等によって撥水処理を施してもよい。この撥水処理を施すことで、圧電体層70への水分(湿気)の浸入をさらに防止することができる。
また、上述した実施形態では、圧電素子300が接合基板30の圧電素子保持部31内に形成されているが、これに限定されず、圧電素子300は露出されていてもよい。この場合でも、圧電体層70は、下電極60、絶縁体膜55、バンク75及び上電極80によって囲まれているので、水分(湿気)に起因する圧電体層70の破壊は、確実に防止される。
また、圧力発生室12の列が2列設けられ、実施形態のインクジェット式記録ヘッド1の上電極用リード電極90を内側にして対称になるように圧電素子300等が二組設けられている構造であってもよい。
また、上述した実施形態では、接合基板として圧電素子保持部31を有する接合基板30を例示したが、接合基板は、駆動ICが実装される基板であれば特に限定されるものではない。
また、上述した実施形態においては、本発明の液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを説明したが、液体噴射ヘッドの基本的構成は上述したものに限定されるものではない。本発明は、広く液体噴射ヘッドの全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射するものにも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種の記録へッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
本実施形態における液体噴射装置としてのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図。 インクジェット式記録ヘッドを示す分解部分斜視図。 (a)は、インクジェット式記録ヘッドの部分平面図、(b)は、その断面図。 インクジェット式記録ヘッドの各製造工程を示す断面図。 圧電体層の各製造工程を示す断面図。 圧電体層の各製造工程を示す断面図。 バンクを示す斜視図。 インクジェット式記録ヘッドの各製造工程を示す断面図。 インクジェット式記録ヘッドの各製造工程を示す断面図。 他の実施形態における圧電素子の斜視図。 他の実施形態におけるバンクを示す斜視図。
符号の説明
1…インクジェット式記録ヘッド、1A,1B…記録ヘッドユニット、2A,2B…カートリッジ、10…流路形成基板、11…隔壁、12…圧力発生室、13…インク供給路、14…連通部、20…ノズルプレート、21…ノズル開口、30…接合基板、31…圧電素子保持部、32…リザーバ部、33…貫通孔、40…コンプライアンス基板、41…封止膜、42…固定板、43…開口部、50…弾性膜、51…二酸化シリコン膜、52…絶縁保護膜、55…絶縁体膜、56…振動板、60,60a…下電極、61…下電極膜、70…圧電体層、75…バンク、76…バンク膜、77…レジスト、78…凹部、80…上電極、81…上電極膜、90…上電極用リード電極、91…金属層、100…リザーバ、110…流路形成基板用ウェハ、130…接合基板用ウェハ、300,300a…圧電素子、1000…インクジェット式記録装置。

Claims (5)

  1. 基板の一方面側に振動板を形成する工程と、
    前記振動板上に下電極を形成する工程と、
    前記下電極上にバンクを形成する工程と、
    前記バンクによって形成される凹部に圧電体層を形成する工程と、
    少なくとも前記圧電体層の上面を覆うように上電極を形成する工程と、を有することを特徴とするアクチュエータ装置の製造方法。
  2. 前記圧電体層を形成する工程において、液滴吐出法により前記凹部に圧電材料を塗布して圧電体前駆体膜を形成し、前記圧電体前駆体膜に乾燥と脱脂と焼成とを行うことにより前記圧電体層を形成することを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ装置の製造方法。
  3. 前記圧電体層を形成する前に前記凹部に撥水処理を施すことを特徴とする請求項1又は2に記載のアクチュエータ装置の製造方法。
  4. 前記バンクは二酸化シリコン(SiO2)からなることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法により、液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室が設けられた流路形成基板の一方面に前記アクチュエータ装置を形成することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
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