JP2009226744A - 液体噴射ヘッド、液体噴射装置および液体噴射ヘッドの製造方法 - Google Patents

液体噴射ヘッド、液体噴射装置および液体噴射ヘッドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】振動板が振動を続けることによるクラック等による振動板の破損が抑えられた、信頼性の向上した液体噴射ヘッド、液体噴射装置および液体噴射ヘッドの製造方法を提供すること。
【解決手段】シリコンウェハである流路形成基板用ウェハ110とは独立して酸化シリコンを含む振動板53を形成するので、シリコンウェハの欠陥111に起因する酸化シリコンを含む振動板53中の欠陥を低減できる。したがって、欠陥から生じるクラック等による振動板53の破損を抑えることができ、信頼性の向上したインクジェット式記録ヘッド、インクジェット式記録装置およびインクジェット式記録ヘッドの製造方法を得ることができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、液体噴射ヘッド、液体噴射装置および液体噴射ヘッドの製造方法に関し、特に、インク滴を噴射するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板の表面に圧電素子を形成して、圧電素子の変位によりインク滴を噴射させるインクジェット式記録ヘッドに関する。
インクジェット式記録ヘッドとして、ノズル開口に連通する圧力発生室の列を備えた流路形成基板と、この流路形成基板に設けられた圧電素子側に接合され、かつ圧電素子を駆動させる駆動ICが実装される接合基板とを有する構造が知られている。
振動板には、シリコン基板である流路形成基板を熱酸化して得られる二酸化シリコン膜が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−178292号公報(7項、図4)
熱酸化は、シリコン基板の表面付近で起こるので、シリコン基板の熱酸化表面付近に欠陥が存在すると、熱酸化で得られる二酸化シリコン膜中にもシリコン基板の欠陥に起因する欠陥が生じる。欠陥を有する二酸化シリコン膜を含む振動板が振動すると、この欠陥からクラック等が生じ、振動板が破損し、液体噴射ヘッドの信頼性が低下する。
なお、このような問題は、インク滴を噴射するインクジェット式記録ヘッドだけではなく、インク以外の液滴を噴射する他の液体噴射ヘッドにおいても、同様に存在する。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
ノズル開口にそれぞれ連通する圧力発生室の列を備えた流路形成基板と、前記圧力発生室に対応して、振動板を介して設けられ、圧電体層を挟む電極を有する圧電素子と、前記流路形成基板の前記圧電素子側に接合される接合基板とを備え、前記振動板は、シリコン化合物の反応によって得られる酸化シリコンを含むことを特徴とする液体噴射ヘッド。
この適用例によれば、流路形成基板とは独立して酸化シリコンを含む振動板を形成するので、流路形成基板の欠陥に起因する酸化シリコンを含む振動板中の欠陥が低減する。したがって、欠陥から生じるクラック等による振動板の破損が抑えられ、信頼性の向上した液体噴射ヘッドが得られる。
[適用例2]
上記液体噴射ヘッドであって、前記シリコン化合物がTEOSであることを特徴とする液体噴射ヘッド。
この適用例では、シリコンの熱酸化によって得られた酸化シリコンを含む振動板と比較して、柔軟性のある振動板が得られ、振動板の変位が向上した液体噴射ヘッドが得られる。
[適用例3]
上記液体噴射ヘッドであって、前記酸化シリコンは二酸化シリコンであることを特徴とする液体噴射ヘッド。
この適用例では、振動板が絶縁性に優れた二酸化シリコン膜を含むので、各圧電素子の電極間の絶縁性が向上した液体噴射ヘッドが得られる。
[適用例4]
上記に記載の液体噴射ヘッドを備えたことを特徴とする液体噴射装置。
この適用例によれば、前述の効果を達成できる液体噴射装置が得られる。
[適用例5]
ノズル開口にそれぞれ連通する圧力発生室の列を備えた流路形成基板と、前記圧力発生室に対して、振動板を介して設けられた圧電体層を挟む電極を有する圧電素子を備えた液体噴射ヘッドの製造方法であって、前記流路形成基板上にシリコン化合物を反応させて酸化シリコンを含む膜を形成する工程を含むことを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
この適用例によれば、前述の効果を達成できる液体噴射ヘッドの製造方法が得られる。また、酸化シリコンを含む膜を得るためのシリコン化合物の反応温度は、二酸化シリコン膜を得るためのシリコンの熱酸化温度より低温なので、工程、装置が簡略化され、製造コストの低減した液体噴射ヘッドの製造方法が得られる。
[適用例6]
上記液体噴射ヘッドの製造方法であって、酸化シリコンを含む膜を形成する工程には、前記流路形成基板にシリコン化合物を含んだ層を形成する工程と、前記シリコン化合物を反応させる工程とを含むことを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
この適用例では、前述の液体噴射ヘッドの製造方法が得られる。
[適用例7]
上記液体噴射ヘッドの製造方法であって、前記シリコン化合物がTEOSであることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
この適用例では、前述の効果を達成できる液体噴射ヘッドの製造方法が得られる。
[適用例8]
上記液体噴射ヘッドの製造方法であって、前記酸化シリコンは二酸化シリコンであることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
この適用例では、前述の効果を達成できる液体噴射ヘッドの製造方法が得られる。
以下、実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1は、液体噴射装置としての実施形態におけるインクジェット式記録装置1000の一例を示す概略図である。
図1に示すように、インクジェット式記録装置1000は、記録ヘッドユニット1Aおよび1Bを備えている。
記録ヘッドユニット1Aおよび1Bには、インク供給手段を構成するカートリッジ2Aおよび2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1Aおよび1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。
記録ヘッドユニット1Aおよび1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物およびカラーインク組成物を噴射する。そして、駆動モータ6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1Aおよび1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4には、キャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラ等により給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8上を搬送される。
記録ヘッドユニット1Aおよび1Bは、液体噴射ヘッドとしてのインクジェット式記録ヘッド1を記録シートSに対向する位置に備えている。
図2に、インクジェット式記録ヘッド1を示す分解部分斜視図を示した。インクジェット式記録ヘッド1の形状は略直方体であり、図2は、インクジェット式記録ヘッド1の長手方向(図中の白抜き矢印方向)に直交する面で切断した分解部分斜視図である。
図3(a)には、インクジェット式記録ヘッド1の部分平面図を、(b)には、そのA−A断面図を示した。
図2および図3において、インクジェット式記録ヘッド1は、流路形成基板10とノズルプレート20と接合基板30とコンプライアンス基板40と駆動IC200とを備えている。
流路形成基板10とノズルプレート20と接合基板30とは、流路形成基板10をノズルプレート20と接合基板30とで挟むように積み重ねられ、接合基板30上には、コンプライアンス基板40が形成されている。また、コンプライアンス基板40上には、駆動IC200が載せられている。
流路形成基板10は、面方位(110)のシリコン単結晶板からなる。流路形成基板10には、複数の圧力発生室12が列をなすように形成されている。圧力発生室12のインクジェット式記録ヘッド1の長手方向に直交する断面形状は台形状で、圧力発生室12は、インクジェット式記録ヘッド1の幅方向に長く形成されている。
また、流路形成基板10の圧力発生室12の幅方向の一方端にはインク供給路13が形成され、インク供給路13と各圧力発生室12とが、各圧力発生室12毎に設けられた連通部14を介して連通されている。連通部14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部14から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
ノズルプレート20には、各圧力発生室12のインク供給路13とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されている。
なお、ノズルプレート20は、厚さが例えば、0.01〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜4.5[×10-6/℃]であるガラスセラミックス、シリコン単結晶基板または不錆鋼等からなる。
流路形成基板10とノズルプレート20とは、接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。
流路形成基板10のノズルプレート20が固着された面と対向する面には、弾性膜50が形成されている。弾性膜50は、シリコン化合物であるTEOS(Tetraethyl orthosilicate Tetraethoxysilane)を反応させた酸化シリコンを含む膜からなる。
流路形成基板10の弾性膜50上には、酸化膜からなる絶縁体膜51が形成されている。さらに、この絶縁体膜51上には、下電極60と、ペロブスカイト構造の圧電体層70と、上電極80とが形成され、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極60、圧電体層70および上電極80を含む部分をいう。
一般的には、圧電素子300のいずれか一方の電極を共通電極とし、他方の電極および圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされたいずれか一方の電極および圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。
なお、本実施形態では、下電極60は圧電素子300の共通電極とし、上電極80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。いずれの場合においても、各圧力発生室12毎に圧電体能動部が形成されていることになる。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる弾性膜50および絶縁体膜51(2膜合わせて振動板53という)とを合わせて圧電アクチュエータと称する。ここで、絶縁体膜51は、振動板53の一部として必ずしも形成されている必要はない。
図2および図3において、このような各圧電素子300を構成する上電極80には、上電極用リード電極90が接続されている。
圧電素子300が形成された流路形成基板10上には、圧電素子300を駆動するための駆動IC200が実装される接合基板30が接着剤35によって接合されている。
接合基板30は、圧電素子300に対向する領域に、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を確保した状態で、その空間を密封可能な圧電素子保持部32を有する。圧電素子保持部32は、圧力発生室12の列に対応して設けられている。
なお、本実施形態では、圧電素子保持部32は、圧力発生室12の列に対応する領域に一体的に設けられているが、圧電素子300毎に独立して設けられていてもよい。
接合基板30の材料としては、例えば、ガラス、セラミックス材料、金属、樹脂等が挙げられるが、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料で形成されていることがより好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成する。
また、接合基板30には、流路形成基板10のインク供給路13に対応する領域にリザーバ部31が設けられている。このリザーバ部31は、接合基板30を厚さ方向に圧力発生室12の列に沿って設けられており、流路形成基板10のインク供給路13と貫通孔52によって連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100を構成している。
また、接合基板30上には、図示しない外部配線が接続されて駆動信号が供給される配線パターンが設けられている。そして、配線パターン上に、各圧電素子300を駆動するための半導体集積回路(IC)である駆動IC200がそれぞれ実装されている。
駆動信号は、例えば、駆動電源信号等の駆動ICを駆動させるための駆動系信号のほか、シリアル信号(SI)等の各種制御系信号を含み、配線パターンは、それぞれの信号が供給される複数の配線で構成される。
下電極60は、圧力発生室12の長手方向では圧力発生室12に対向する領域内に形成され、複数の圧力発生室12に対応する領域に連続的に設けられている。また、下電極60は、圧力発生室12の列の外側まで延設されている。
上電極80の一端部近傍には上電極用リード電極90が接続されている。そして、駆動IC200と各圧電素子300から延設された上電極用リード電極90とは、例えば、ボンディングワイヤ等の導電性ワイヤからなる接続配線220によってそれぞれ電気的に接続されている。また、同様に、駆動IC200と下電極60とは、図示しない接続配線によって電気的に接続されている。
さらに、接合基板30上には、封止膜41および固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部31の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみである。
以下に、インクジェット式記録ヘッド1の製造方法について述べる。
インクジェット式記録ヘッド1の製造方法は、シリコン化合物であるTEOSを反応させて酸化シリコンを含む膜を形成する工程を含む。さらに、この工程は、TEOSを含んだ層を形成する工程と、TEOSを反応させる工程とを含む。
図4〜図6に、各工程におけるインクジェット式記録ヘッド1の長手方向の部分断面図を示した。インクジェット式記録ヘッド1は、ウェハ状態で複数のインクジェット式記録ヘッド1を形成した後に各インクジェット式記録ヘッド1を切り離すことによって得られる。図は、インクジェット式記録ヘッド1の形成過程における断面図の一部を示したものである。
図4(a)にTEOSを含んだ層を形成する工程を、(b)にTEOSを含んだ層を乾燥させる工程を、(c)にTEOSを反応させる工程を示した。
図4(d)〜図5(g)は圧電素子300の形成工程を、図5(h)は接合基板の接着工程を、図6(i)〜図6(k)は流路形成基板のエッチング工程を表している。図7(l)は貫通孔形成工程を示す部分断面図である。
まず、図4(a)に示すように、シリコンウェハである流路形成基板用ウェハ110にTEOSを含んだ塗布液510を塗布する。塗布には、スピンコート法、ディップ法を用いることができる。塗布は、流路形成基板用ウェハ110の片面に行ってもよいし、両面に行ってもよい。図では、流路形成基板用ウェハ110の表面付近に欠陥111が存在している場合を示している。
塗布液はTEOS単体でもよいし、TEOSを有機溶媒で希釈したものであってもよい。また、加水分解のための水分や、触媒としての塩酸等の酸を加えることができる。さらに、二酸化シリコンの粉末、コロイダルシリカ等を加えてもよい。
なお、実施形態では、流路形成基板用ウェハ110として、厚さが約625μmと比較的厚く剛性の高いシリコンウェハを用いている。
次に、図4(b)に示すように、塗布液510に含まれる溶媒等を蒸発、乾燥させ、プリベーク膜500を得る。温度は、溶媒の蒸発温度以上で行い、乾燥時間は塗布量に応じて決めることができる。
次に、図4(c)に示すように、プリベーク膜500の焼成を行い、弾性膜50を得る。焼成温度は、120〜800℃で行うことができる。高温であればあるほど、二酸化シリコンに近い酸化シリコンを含んだ弾性膜50が得られる。ここで、弾性膜50は、欠陥111を取り込むことなく形成される。
なお、乾燥させる工程と焼成する工程とは、同時に行うことも可能である。
次に、図4(d)に示すように、弾性膜50上に、酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜51を形成する。具体的には、弾性膜50上に、例えば、スパッタ法等によりジルコニウム層を形成後、このジルコニウム層を、例えば、500〜1200℃の拡散炉で熱酸化することにより酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜51を形成する。前述のように、実施形態では、弾性膜50と絶縁体膜51とを合わせて振動板53としている。
次に、図4(e)に示すように、白金等の金属やルテニウム酸ストロンチウム等の金属酸化物を絶縁体膜51上に積層することにより、下電極60を形成する。
具体的には、まず、イリジウム等を含む層を形成し、次いで白金等を含む層を形成し、さらにイリジウム等を含む層を形成する。下電極60を構成する各層は、それぞれイリジウムまたは白金を絶縁体膜51の表面にスパッタ法等で付着させて形成する。その後、この下電極60を所定形状にパターニングする。
次に、図5(f)に示すように、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等からなる圧電体層70と、例えば、Au、Ir等の金属からなる上電極80とを流路形成基板用ウェハ110の全面に形成する。その後、圧電体層70および上電極80をパターニングする。
なお、圧電素子300を構成する圧電体層70の材料としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の強誘電性圧電性材料や、これにニオブ、ニッケル、マグネシウム、ビスマス又はイットリウム等の金属を添加したリラクサ強誘電体等が用いられる。その組成は、圧電素子300の特性、用途等を考慮して適宜選択すればよいが、例えば、PbTiO3(PT)、PbZrO3(PZ)、Pb(ZrxTi1-x)O3(PZT)、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3−PbTiO3(PMN−PT)、Pb(Zn1/3Nb2/3)O3−PbTiO3(PZN−PT)、Pb(Ni1/3Nb2/3)O3−PbTiO3(PNN−PT)、Pb(In1/2Nb1/2)O3−PbTiO3(PIN−PT)、Pb(Sc1/2Ta1/2)O3−PbTiO3(PST−PT)、Pb(Sc1/2Nb1/2)O3−PbTiO3(PSN−PT)、BiScO3−PbTiO3(BS−PT)、BiYbO3−PbTiO3(BY−PT)等が挙げられる。
また、圧電体層70の形成方法は、特に限定されないが、例えば、実施形態では、金属有機物を触媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いて圧電体層70を形成した。
次に、図5(g)に示すように、上電極用リード電極90を流路形成基板用ウェハ110の全面に形成する。その後、圧電素子300ごとに、上電極用リード電極90が1つになるようにパターニングする。
ここで、上電極用リード電極90を構成する主材料としては、比較的導電性の高い材料であれば特に限定されず、例えば、金、アルミニウム、銅が挙げられ、実施形態では金を用いている。
次に、図5(h)に示すように、リザーバ形成基板用ウェハ130を、流路形成基板用ウェハ110上に接着剤35によって接着する。ここで、このリザーバ形成基板用ウェハ130には、リザーバ部31、圧電素子保持部32等が予め形成されている。なお、リザーバ形成基板用ウェハ130は、例えば、400μm程度の厚さを有するシリコンウェハであり、リザーバ形成基板用ウェハ130を接合することで流路形成基板用ウェハ110の剛性は著しく向上することになる。
次に、図6(i)に示すように、流路形成基板用ウェハ110をある程度の厚さとなるまで研磨した後、さらに弗化硝酸によってウェットエッチングすることにより流路形成基板用ウェハ110を所定の厚みにする。例えば、実施形態では、研磨およびウェットエッチングによって、流路形成基板用ウェハ110を、約70μmの厚さとなるように加工する。
次に、図6(j)に示すように、流路形成基板用ウェハ110上に、例えば、窒化シリコン(SiN)からなるマスク膜54を新たに形成し、所定形状にパターニングする。
そして、図6(k)に示すように、このマスク膜54を介して流路形成基板用ウェハ110を異方性エッチング(ウェットエッチング)して、流路形成基板用ウェハ110に圧力発生室12、連通部14およびインク供給路13等を形成する。
具体的には、流路形成基板用ウェハ110を、例えば、水酸化カリウム(KOH)水溶液等のエッチング液によって弾性膜50が露出するまでエッチングすることより、圧力発生室12、連通部14およびインク供給路13を同時に形成する。ここで、弾性膜50付近に存在していた欠陥111もエッチングによって取り除かれる。
なお、このような圧力発生室12等を形成する際、リザーバ形成基板用ウェハ130の流路形成基板用ウェハ110側とは反対側の表面を、耐アルカリ性を有する材料、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PPTA(ポリパラフェニレンテレフタルアミド)等からなる封止フィルムでさらに封止するようにしてもよい。これにより、リザーバ形成基板用ウェハ130の表面に設けられた配線の断線等の不良をより確実に防止することができる。
次に、図7(l)に示すように、弾性膜50と絶縁体膜51とからなる振動板53をインク供給路13側からウェットエッチングすることによって除去して貫通孔52を形成する。リザーバ部31とインク供給路13とは、貫通孔52によって連通されてリザーバ100を構成する。
次に、流路形成基板用ウェハ110表面のマスク膜54を除去する。
このようにリザーバ100を形成した後は、駆動IC200を実装すると共に、駆動IC200と上電極用リード電極90とを接続配線220によって接続する(図3参照)。
その後、流路形成基板用ウェハ110およびリザーバ形成基板用ウェハ130の外周縁部の不要部分を、例えば、ダイシング等により切断することによって除去する。そして、流路形成基板用ウェハ110のリザーバ形成基板用ウェハ130とは反対側の面にノズル開口21が穿設されたノズルプレート20を接合すると共に、リザーバ形成基板用ウェハ130に、可撓性を有する弾性膜としての封止膜41と、SUS等の金属材料からなる押さえ基板としての固定板42とが積層されたコンプライアンス基板40を接合する。
これら流路形成基板用ウェハ110等を、図2に示すような1つのチップサイズの流路形成基板10等に分割することによって、上述した構造のインクジェット式記録ヘッド1が製造される。
このような本実施形態によれば、以下の効果がある。
(1)シリコンウェハである流路形成基板用ウェハ110とは独立して酸化シリコンを含む振動板53を形成するので、シリコンウェハの欠陥に起因する酸化シリコンを含む振動板53中の欠陥を低減できる。したがって、欠陥から生じるクラック等による振動板53の破損を抑えることができ、信頼性の向上したインクジェット式記録ヘッド1、インクジェット式記録装置1000およびインクジェット式記録ヘッド1の製造方法を得ることができる。
(2)シリコンの熱酸化によって得られた酸化シリコンを含む振動板と比較して、柔軟性のある振動板53を得ることができ、振動板53の変位が向上したインクジェット式記録ヘッド1、インクジェット式記録装置1000およびインクジェット式記録ヘッド1の製造方法を得ることができる。
(3)振動板53が絶縁性に優れた二酸化シリコン膜を含むので、各圧電素子300の下電極60間の絶縁性が向上したインクジェット式記録ヘッド1、インクジェット式記録装置1000およびインクジェット式記録ヘッド1の製造方法を得ることができる。
(4)酸化シリコンを含む膜を得るためのシリコン化合物の反応温度は、二酸化シリコン膜を得るためのシリコンの熱酸化温度より低温なので、工程、装置が簡略化され、製造コストの低減したインクジェット式記録ヘッド1の製造方法を得ることができる。
実施形態で述べたシリコン化合物を反応させて酸化シリコンを含む膜を形成する工程以外にも種々の方法、物質を用いることができる。シリコン化合物としては、TEOSのほか、他のアルコキシシランを用いてもよいし、他のシリコン化合物であってもよい。
例えば、TEOSの他にシラノール[Si(OH)4]をアルコールに溶かした溶剤を流路形成基板用ウェハ110上に塗布し、400〜450℃の熱処理によって溶媒成分を揮発、焼成させ、シラノール自体を脱水重合反応させ、弾性膜50を得ることもできる。
また、流路形成基板用ウェハ110にTEOSを反応させて酸化シリコン膜を形成する工程として、TEOSとO2を用いたプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いることができる。
TEOSは常温・常圧で液体であるために、その輸送には通常窒素ガスによるバブリングが用いられ、基板温度は250〜400℃で行う。
さらに、TTEOSとO3を用いた常圧CVDを用いることができる。TEOSとO3を用いた常圧CVD法では、O2を用いてオゾナイザによりO3を発生させる。基板温度は350〜400℃、O2中のO3濃度は数%である。
その他、バイアスECR(Electron Cyclotron Resonance)-CVD法を用いてもよい。バイアスECR-CVD法では、マイクロ波(通常は2.45GHz)を用いて電子の共鳴的なエネルギー吸収により高密度プラズマを発生させる。
基板に印加されたRFバイアス(数十kHz〜10数MHz)によるスパッタ効果を利用する。一般にはSiH4/O2を原料ガスに用いる。基板温度は200℃以下で可能である。
また、SiH4/O2を用いた熱CVD法で、基板温度350〜450℃で行う方法を用いることができる。
以上述べた工程の変更以外にも、種々の変更を行うことが可能である。
例えば、上述の実施形態では、接合基板として圧電素子保持部32を有する接合基板30を例示したが、接合基板は、駆動ICが実装される基板であれば特に限定されるものではない。
また、上述した実施形態では、圧電素子300が接合基板30の圧電素子保持部32内に形成されているが、これに限定されず、勿論、圧電素子300は露出されていてもよい。
また、上述した実施形態においては、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを説明したが、液体噴射ヘッドの基本的構成は上述したものに限定されるものではない。広く液体噴射ヘッドの全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射するものにも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種の記録へッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
液体噴射装置としてのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図。 インクジェット式記録ヘッドを示す分解部分斜視図。 (a)は、インクジェット式記録ヘッドの部分平面図、(b)は、その断面図。 (a)〜(c)はTEOSを反応させて酸化シリコン膜を形成する工程、(d)および(e)は圧電素子の形成工程を示す部分断面図。 (f)および(g)は圧電素子の形成工程、(h)は接合基板の接着工程を示す部分断面図。 (i)〜(k)は流路形成基板のエッチング工程を示す断面図。 (l)は、貫通孔形成工程を示す部分断面図。
符号の説明
1…液体噴射ヘッドとしてのインクジェット式記録ヘッド、10…流路形成基板、12…圧力発生室、21…ノズル開口、30…接合基板、50…弾性膜、51…絶縁体膜、53…振動板、60…電極としての下電極、70…圧電体層、80…電極としての上電極、300…圧電素子、1000…液体噴射装置としてのインクジェット式記録装置。

Claims (8)

  1. ノズル開口にそれぞれ連通する圧力発生室の列を備えた流路形成基板と、
    前記圧力発生室に対応して、振動板を介して設けられ、圧電体層を挟む電極を有する圧電素子と、
    前記流路形成基板の前記圧電素子側に接合される接合基板とを備え、
    前記振動板は、シリコン化合物の反応によって得られる酸化シリコンを含む
    ことを特徴とする液体噴射ヘッド。
  2. 請求項1に記載の液体噴射ヘッドにおいて、
    前記シリコン化合物がTEOSである
    ことを特徴とする液体噴射ヘッド。
  3. 請求項1および請求項2に記載の液体噴射ヘッドにおいて、
    前記酸化シリコンは二酸化シリコンである
    ことを特徴とする液体噴射ヘッド。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッドを備えた
    ことを特徴とする液体噴射装置。
  5. ノズル開口にそれぞれ連通する圧力発生室の列を備えた流路形成基板と、前記圧力発生室に対応して、振動板を介して設けられ、圧電体層を挟む電極を有する圧電素子を備えた液体噴射ヘッドの製造方法であって、
    前記流路形成基板上にシリコン化合物を反応させて酸化シリコンを含む膜を形成する工程を含む
    ことを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  6. 請求項5に記載の液体噴射ヘッドの製造方法において、
    酸化シリコン膜を形成する工程には、
    前記流路形成基板にシリコン化合物を含んだ層を形成する工程と、
    前記シリコン化合物を反応させる工程とを含む
    ことを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  7. 請求項5および請求項6に記載の液体噴射ヘッドの製造方法において、
    前記シリコン化合物がTEOSである
    ことを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  8. 請求項5〜請求項7のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッドの製造方法において、
    前記酸化シリコンは二酸化シリコンである
    ことを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103072378A (zh) * 2011-10-25 2013-05-01 珠海纳思达电子科技有限公司 一种液体喷头及其制造方法
CN103252997A (zh) * 2012-02-16 2013-08-21 珠海纳思达电子科技有限公司 一种液体喷头及其制造方法
CN103963467A (zh) * 2014-04-25 2014-08-06 珠海纳思达企业管理有限公司 振动板、液体喷射装置及打印设备

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