JP2007035883A - アクチュエータ装置及びその製造方法並びに液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 - Google Patents

アクチュエータ装置及びその製造方法並びに液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 Download PDF

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欣山 李
Manabu Nishiwaki
学 西脇
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Abstract

【課題】 振動板を構成する酸化膜と下電極との密着性が向上すると共に、圧電素子を構成する層の結晶性を向上したアクチュエータ装置及びその製造方法並びに液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供する。
【解決手段】 基板上に設けられた振動板と、振動板を構成する酸化膜55上に設けられる下電極60、下電極60上に設けられる圧電体層70及び圧電体層70上に設けられた上電極80からなる圧電素子300とを具備し、且つ下電極60と酸化膜55との境界に、結晶化したチタン酸化膜からなり厚さが10nm以上40nm以下の結晶化した密着層65を有するようにする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、振動板上に、下電極、圧電材料からなる圧電体層及び上電極で構成される圧電素子を有するアクチュエータ装置及びその製造方法並びにこのアクチュエータ装置を用いた液体噴射ヘッド及び液体噴射装置に関する。
アクチュエータ装置として用いられる圧電素子としては、例えば、電気機械変換機能を呈する圧電材料からなる圧電体層を、例えば、下電極と上電極との2つの電極で挟んで構成されたものがある。そして、このような圧電素子の圧電体層としては、一般的に、例えば、結晶化した圧電性セラミックスが用いられている。また、このような圧電素子が振動板上に形成されたアクチュエータ装置、すなわち、撓み振動モードのアクチュエータ装置を用いた液体噴射ヘッドとしては、例えば、インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧してノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドがある。
また、インクジェット式記録ヘッド等に用いられる圧電素子としては、例えば、下電極が設けられた基板上に成膜技術により圧電体膜及び上電極を全面に亘って形成し、この圧電体層及び上電極をリソグラフィ法により圧力発生室に対応する形状に切り分けることによって形成されたものがある。このような圧電素子は、繰り返し駆動により振動板との剥がれが生じる虞があるため、例えば、圧電素子の下電極とその下層の二酸化シリコン膜との間、チタン膜、酸化チタン膜及びチタン膜を順に積層してなる中間層を設けるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
このような構成では、二酸化シリコン膜と下電極との密着性を向上することはできるが、下電極の表面状態や結晶性等に悪影響を及ぼしてしまうという問題があり、下電極の結晶性等の低下に伴い、この下電極上に形成される圧電体層の結晶性も悪くなってしまうという問題がある。
なお、このような問題は、インクジェット式記録ヘッド等の液体噴射ヘッドに搭載されるアクチュエータ装置だけでなく、勿論、その他のあらゆる装置に搭載されるアクチュエータ装置においても同様に存在する。
特許第3327149号公報(段落[0033]等)
本発明はこのような事情に鑑み、振動板を構成する酸化膜と下電極との密着性が向上すると共に、圧電素子を構成する層の結晶性を向上したアクチュエータ装置及びその製造方法並びに液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、基板上に設けられた振動板と、該振動板を構成する酸化膜上に設けられる下電極、該下電極上に設けられる圧電体層及び該圧電体層上に設けられた上電極からなる圧電素子とを具備し、且つ前記下電極と前記酸化膜との境界に、結晶化したチタン酸化膜からなり厚さが10nm以上40nm以下の密着層を有することを特徴とするアクチュエータ装置にある。
かかる第1の態様では、密着層となる酸化チタンの基板表面から見た結晶の粒径が比較的小さく且つ緻密に形成される。これにより、振動板と下電極との密着性が向上すると共に、圧電素子を構成する下電極及び圧電体層の結晶性も向上する。
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記密着層を構成する酸化チタンの基板表面から見た結晶の粒径が10nm以上20nm以下であることを特徴とするアクチュエータ装置にある。
かかる第2の態様では、密着層の厚さを上記所定厚さで形成した結果、基板表面から見た結晶の粒径が10nm以上20nm以下と比較的小さくなる。
本発明の第3の態様は、第1又は2の態様において、前記密着層と前記下電極とが相互拡散していないことを特徴とするアクチュエータ装置にある。
かかる第3の態様では、振動板と下電極との密着性がさらに向上する。また、密着層及び下電極の結晶性が向上し、それに伴って圧電体層の結晶性も向上する。
本発明の第4の態様は、第1〜3の何れかの態様において、前記酸化膜が酸化ジルコニウムからなることを特徴とするアクチュエータ装置にある。
かかる第4の態様では、酸化膜を所定の材料で形成することで、酸化膜と下電極との密着性がさらに向上する。
本発明の第5の態様は、第1〜4の何れかの態様において、前記圧電体層がチタン酸ジルコン酸鉛からなることを特徴とするアクチュエータ装置にある。
かかる第5の態様では、圧電体層からその下層側への鉛の拡散が抑えられ、変位特性に優れたアクチュエータ装置を実現することができる。
本発明の第6の態様は、第1〜5の何れかの態様のアクチュエータ装置と、一方面側に当該圧電素子が振動板を介して設けられると共に液滴を吐出するノズル開口に連通する圧力発生室が設けられた流路形成基板とを具備することを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第6の態様では、液滴の吐出特性に優れ、且つ耐久性及び信頼性に優れた液体噴射ヘッドを実現することができる。
本発明の第7の態様は、第6の態様の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる第7の態様では、液滴の吐出特性に優れ、且つ耐久性及び信頼性に優れた液体噴射装置を実現することができる。
本発明の第8の態様は、基板上に酸化膜を含む振動板を形成する工程と、該振動板を構成する前記酸化膜上に圧電素子を形成する工程とを具備し、前記圧電素子を形成する工程が、前記酸化膜上に結晶化したチタン酸化膜からなる密着層を厚さが10nm以上40nm以下となるように形成する工程と、このチタン酸化膜からなる密着層上に下電極を形成する工程と、該下電極上に圧電材料を塗布して圧電体前駆体膜を形成すると共に該圧電体前駆体膜を焼成して結晶化させることで圧電体層を形成する工程と、この圧電体層上に上電極を形成する工程とを含むことを特徴とするアクチュエータ装置の製造方法にある。
かかる第8の態様では、所定厚のチタン酸化膜からなる密着層上に圧電素子を形成することで、振動板と下電極との密着性が大幅に向上する。また、密着層及び下電極の結晶性が向上し、これに伴って圧電体層の結晶性も向上する。
本発明の第9の態様は、第8の態様において、前記密着層を形成する工程では、前記酸化膜上にチタン膜を形成後、このチタン膜を熱酸化することによって結晶化したチタン酸化膜からなる前記密着層を形成することを特徴とするアクチュエータ装置の製造方法にある。
かかる第9の態様では、密着層を構成する酸化チタンの結晶粒径を、比較的容易に、所望の大きさとすることができる。したがって、振動板と下電極との密着性がより確実に向上すると共に、密着層、下電極及び圧電体層の結晶性もより確実に向上する。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図及びそのA−A′断面図である。図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる、厚さ0.5〜2μmの弾性膜50が形成されている。流路形成基板10には、隔壁11によって区画された複数の圧力発生室12がその幅方向に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向外側の領域には連通部13が形成され、連通部13と各圧力発生室12とが、各圧力発生室12毎に設けられたインク供給路14を介して連通されている。なお、連通部13は、後述する保護基板のリザーバ部と連通して各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバの一部を構成する。インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が、後述するマスク膜52を介して接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。なお、ノズルプレート20は、厚さが例えば、0.01〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜4.5[×10-6/℃]であるガラスセラミックス、シリコン単結晶基板又はステンレス鋼などからなる。
一方、流路形成基板10の開口面とは反対側には、上述したように、二酸化シリコンからなり厚さが例えば、約1.0μmの弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO)等からなり厚さが例えば、約0.3〜0.4μmの絶縁体膜55が積層形成されている。また、絶縁体膜55上には、厚さが例えば、約0.1〜0.2μmの下電極膜60と、厚さが例えば、約0.5〜5μmの圧電体層70と、厚さが例えば、約0.05μmの上電極膜80とからなる圧電素子300が形成されている。すなわち、本発明では、振動板が絶縁体膜55等の酸化膜を有し、圧電素子300はこの酸化膜上に形成されている。なお、一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。本実施形態では、下電極膜60を圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせてアクチュエータ装置と称する。
そして、このような各圧電素子300の上電極膜80には、例えば、金(Au)等からなるリード電極90がそれぞれ接続され、このリード電極90を介して各圧電素子300に選択的に電圧が印加されるようになっている。
ここで、このような圧電素子300と振動板を構成する酸化膜である絶縁体膜55との境界には、10nm以上40nm以下の厚さの結晶化したチタン酸化膜からなる密着層65が設けられている。すなわち、圧電素子300は、この密着層65を介して絶縁体膜55上に設けられている。本発明に係る密着層65は、単層、すなわち、チタン酸化膜のみで構成されたものであり、例えば、チタン膜とチタン酸化膜との二層構造など、チタン酸化膜以外の材料かなる膜を有するものは含まない。また、この密着層65を構成する酸化チタンの結晶は厚さ方向に連続する柱状の結晶であり、当該密着層65表面における結晶粒径は、密着層65が10nm以上40nm以下の厚さで形成されている結果、10nm以上20nm以下と比較的小さくなっている。すなわち、上記所定厚さで形成された密着層65は、各結晶の粒径が比較的小さく緻密な膜となっており、その表面状態はほぼ平坦となっている。なお、上記結晶粒径は、平均粒径を規定するものではなく、結晶の最小粒径と最大粒径とを規定するものである。
このような構成とすることにより、密着層65上に形成される下電極膜60と振動板である絶縁体膜55との密着性が大幅に向上し、圧電素子300を繰り返し駆動した場合でも、密着層65あるいは下電極膜60の剥がれ等の不良が発生するのを防止することができる。また、密着層65の結晶性の向上に伴って密着層65上に形成される下電極膜60の結晶性も向上し、さらに、この下電極膜60上に形成される圧電体層70の結晶性も向上する。したがって、本発明の構成によれば、密着層65あるいは下電極膜60の剥がれ等の不良の発生を防止することができると共に、圧電素子300の変位特性を向上することができる。また、圧電体層70から下層側への鉛(Pb)の拡散を抑えることもできる。
また、圧電素子300が形成された流路形成基板10上には、圧電素子300に対向する領域に、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有する圧電素子保持部31を有する保護基板30が、接着剤等によって接合されている。なお、圧電素子保持部31は、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有していればよく、当該空間は密封されていても、密封されていなくてもよい。また、保護基板30には、連通部13に対向する領域にリザーバ部32が設けられており、このリザーバ部32は、上述したように、流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100を構成している。また、保護基板30の圧電素子保持部31とリザーバ部32との間の領域には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられ、この貫通孔33内に下電極膜60の一部及びリード電極90の先端部が露出されている。そして、これら下電極膜60及びリード電極90には、図示しないが、駆動ICから延設される接続配線の一端が接続される。
保護基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部32の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部インク供給手段からインクを取り込み、リザーバ100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、弾性膜50、下電極膜60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
ここで、インクジェット式記録ヘッドの製造方法について、図3〜図6を参照して説明する。なお、図3〜図6は、圧力発生室12の長手方向の断面図である。まず、図3(a)に示すように、シリコンウェハである流路形成基板用ウェハ110を約1100℃の拡散炉で熱酸化し、その表面に弾性膜50を構成する二酸化シリコン膜51を形成する。なお、本実施形態では、流路形成基板用ウェハ110として、膜厚が約625μmと比較的厚く剛性の高いシリコンウェハを用いている。
次いで、図3(b)に示すように、弾性膜50(二酸化シリコン膜51)上に、酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜55を形成する。具体的には、弾性膜50(二酸化シリコン膜51)上に、例えば、スパッタ法等によりジルコニウム(Zr)層を形成後、このジルコニウム層を、例えば、500〜1200℃の拡散炉で熱酸化することにより酸化ジルコニウム(ZrO)からなる絶縁体膜55を形成する。
次いで、図3(c)に示すように、この酸化膜である絶縁体膜55上に、チタン酸化膜からなる密着層65を形成する。具体的には、例えば、DC又はRFスパッタ法等により、絶縁体膜55上にチタン(Ti)からなる膜を5nm以上20nm以下の膜厚で形成する。ここで、このようなチタン膜は、温度:常温(20〜25℃)〜200(℃)、圧力:0.2〜1.0(Pa)、パワー密度:3〜10(kW/m)の成膜条件で形成するのが好ましい。例えば、本実施形態では、温度:常温(25℃)、圧力:0.4(Pa)、パワー密度:9(kW/m)の成膜条件でチタン膜を形成している。
その後、チタン膜が形成された流路形成基板用ウェハ110を拡散炉等で加熱して、このチタン膜を、例えば、酸素雰囲気等の酸化性雰囲気で熱酸化することにより、結晶化したチタン酸化膜からなる密着層65を形成する。なお、このように形成された密着層65の厚さは、チタン膜の膜厚よりも厚くなるが、チタン膜の膜厚を上述したように、5nm以上20nm以下となるように形成しておくことで熱酸化後には10nm以上40nm以下の厚さとなる。
また、チタン膜の熱酸化温度は、600〜800℃の範囲とするのが好ましい。また、熱酸化時間は10〜60(min)であることが好ましい。さらに、酸化性ガス、本実施形態では酸素、の供給量は、10〜20(sccm)であることが好ましい。また、チタン膜(拡散炉)を所定の加熱温度まで上昇させる際の昇温レートは、比較的速くするのが好ましく、具体的には、2(℃/s)以上であることが好ましい。なお、ここでいう昇温レートとは、温度が直線的に上昇する領域での昇温レートである。
そして、このようにチタン膜を熱酸化することによってチタン酸化膜からなる密着層65を形成することにより、密着層65が良好に結晶化し、さらに、結晶性も大幅に向上する。また、密着層65を構成する結晶の粒径は比較的小さくなるため、密着層65は、欠陥の少ない緻密な膜となり、表面は実質的に平坦となる。なお、密着層65は、例えば、スパッタ法によって形成するようにしてもよいが、本実施形態のように、チタン膜を熱酸化することによって密着層65を形成することで、密着層65の結晶性をより確実に向上させることができる。
次いで、図3(d)に示すように、白金(Pt)、イリジウム(Ir)等からなる下電極膜60を密着層65の全面に形成後、所定形状にパターニングする。例えば、本実施形態では、イリジウムからなる膜と、白金からなる膜とをスパッタ法により積層し、積層された複数の膜を所定形状にパターニングすることにより下電極膜60とした。なお、下電極膜60をパターニングする際、密着層65も同時にパターニングされる。そして、このように形成された下電極膜60も、結晶性に優れた密着層65上に形成された結果、密着層65と同様に結晶性が大幅に向上する。
次に、図3(e)に示すように、下電極膜60及び絶縁体膜55上に、チタン(Ti)を、例えば、スパッタ法等によって塗布することにより所定厚さの種チタン層66を形成する。次に、この種チタン層66上に、圧電材料、本実施形態では、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる圧電体層70を形成する。なお、本実施形態では、金属有機物を触媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いて圧電体層70を形成した。また、圧電体層70の製造方法は、ゾル−ゲル法に限定されず、例えば、MOD(Metal-Organic Decomposition)法等を用いてもよい。
圧電体層70の形成手順の一例としては、まず、図4(a)に示すように、種チタン層66上にPZT前駆体膜である圧電体前駆体膜71を成膜する。すなわち、流路形成基板用ウェハ110上に金属有機化合物を含むゾル(溶液)を塗布する。次いで、圧電体前駆体膜71を、所定温度に加熱して一定時間乾燥させ、ゾルの溶媒を蒸発させることで圧電体前駆体膜71を乾燥させる。さらに、大気雰囲気下において一定の温度で一定時間、圧電体前駆体膜71を脱脂する。なお、ここで言う脱脂とは、ゾル膜の有機成分を、例えば、NO、CO、HO等として離脱させることである。
そして、このような塗布・乾燥・脱脂の工程を、所定回数、例えば、2回繰り返すことで、図4(b)に示すように、圧電体前駆体膜71を所定厚に形成し、この圧電体前駆体膜71を拡散炉で加熱処理することによって結晶化させて圧電体膜72を形成する。すなわち、圧電体前駆体膜71を焼成することで種チタン層66を核として結晶が柱状に成長して圧電体膜72が形成される。なお、焼成温度は、650〜850℃であることが好ましく、例えば、約700℃で30分間、圧電体前駆体膜71を焼成して圧電体膜72を形成する。なお、このように形成した圧電体膜72の結晶は(100)面に優先配向する。
さらに、上述した塗布・乾燥・脱脂・焼成の工程を、複数回繰り返すことにより、図4(c)に示すように、例えば、5層の圧電体膜72からなる所定厚さの圧電体層70を形成する。
そして、このように形成された圧電体層70の結晶性も、上述したように密着層65及び下電極膜60の結晶性が向上したことに伴って向上し、圧電体層70の圧電特性は大幅に向上する。具体的には、圧電体前駆体膜71を焼成して圧電体層70を形成した後でも、密着層65は、下電極膜60あるいは圧電体層70と相互拡散することなく完全な膜として存在し、その結晶性も良好に維持されている。このため、密着層65上に形成されている下電極膜60及び圧電体層70の結晶性も大幅に向上する。また、結晶性に優れた下電極膜60上に圧電体層70が形成されるため、圧電体層70の鉛(Pb)の下電極膜60への拡散が抑えられ、下電極膜60の電気的特性の低下も防止される。
図7は、上述の方法で形成した実施例のサンプル(アクチュエータ装置)の断面TEM像である。また図8は密着層165がチタン膜からなる以外は、実施例と同様に、絶縁体膜155上に下電極膜160、密着層165及び圧電体層170を積層形成した比較例のサンプルの断面TEM像である。さらに図9は、上記実施例のサンプルにおけるチタンの含有量をTEMのEDXによってマッピング分析した結果を示す図であり、図10は、上記比較例のサンプルにおけるチタンの含有量をTEMのEDXによってマッピング分析した結果を示す図である。図7に示すように、実施例のサンプルの密着層65は、下電極膜60あるいは圧電体層70と相互拡散することなく完全な膜として存在していることを確認することができる。また、実施例のサンプルの密着層65が、下電極膜60あるいは圧電体層70と相互拡散していないことは、図9に示す結果からも明らかである。すなわち、図9に示すように、実施例のサンプルでは、チタン酸化膜からなる密着層65に相当する部分、及び圧電体層70に相当する部分には、チタンが多く検出されているのに対し、下電極膜60に相当する部分には実質的にチタンは検出されていない。なお、この図では、チタンの含有量が多い領域ほど、より濃い色で示される。
一方、比較例のサンプルでは、図8に示すように、チタン膜からなる密着層165と、下電極膜160あるいは圧電体層170が相互拡散してしまい、密着層165をはっきりと確認することができない。このことは、図10の結果からも明らかである。すなわち、図10に示すように、比較例のサンプルでは、実施例のサンプルの場合とは異なり、下電極膜160に相当する部分に、チタンが検出されており且つ密着層165に相当する部分には、チタンを含む領域が点在するものの、連続した層としては確認できなかった。
このように、絶縁体膜55と下電極膜60との間に島状にならずに連続したチタン酸化膜からなる密着層65を設けた本発明の構成では、圧電体層70を焼成により形成した後であっても、密着層65が下電極膜60あるいは圧電体層70等と相互拡散することなく完全な膜として存在し、その結果、この密着層65上に形成されている下電極膜60及び圧電体層70の結晶性も向上する。
なお、実施例のサンプルの圧電体層70の厚みは約1.0μmであるが、この厚みに限定されず、上述したように約0.5〜5μmの範囲であればよい。同様に、実施例のサンプルの絶縁体膜55の厚みは約0.4μmであり、下電極膜60の厚みは約0.2μmであるが、上述した範囲の厚みであればよい。勿論、何れの厚みとしても同様の結果が得られる。
また、圧電体層70の材料としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の強誘電性圧電性材料に、ニオブ、ニッケル、マグネシウム、ビスマス又はイットリウム等の金属を添加したリラクサ強誘電体等を用いてもよい。その組成は、圧電素子の特性、用途等を考慮して適宜選択すればよいが、例えば、PbTiO(PT)、PbZrO(PZ)、Pb(ZrTi1−x)O(PZT)、Pb(Mg1/3Nb2/3)O−PbTiO(PMN−PT)、Pb(Zn1/3Nb2/3)O−PbTiO(PZN−PT)、Pb(Ni1/3Nb2/3)O−PbTiO(PNN−PT)、Pb(In1/2Nb1/2)O−PbTiO(PIN−PT)、Pb(Sc1/3Ta2/3)O−PbTiO(PST−PT)、Pb(Sc1/3Nb2/3)O−PbTiO(PSN−PT)、BiScO−PbTiO(BS−PT)、BiYbO−PbTiO(BY−PT)等が挙げられる。
このように圧電体層70を形成した後は、図5(a)に示すように、例えば、イリジウムからなる上電極膜80を流路形成基板用ウェハ110の全面に形成する。次いで、図5(b)に示すように、圧電体層70及び上電極膜80を、各圧力発生室12に対向する領域にパターニングして圧電素子300を形成する。次に、図5(c)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の全面に亘って、例えば、金(Au)等からなる金属層91を形成し、その後、例えば、レジスト等からなるマスクパターン(図示なし)を介して金属層91を圧電素子300毎にパターニングすることによってリード電極90を形成する。
次に、図5(d)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の圧電素子300側に、シリコンウェハであり複数の保護基板30となる保護基板用ウェハ130を接合する。なお、この保護基板用ウェハ130は、例えば、400μm程度の厚さを有するため、保護基板用ウェハ130を接合することによって流路形成基板用ウェハ110の剛性は著しく向上することになる。
次いで、図6(a)に示すように、流路形成基板用ウェハ110をある程度の厚さとなるまで研磨した後、さらにフッ硝酸によってウェットエッチングすることにより流路形成基板用ウェハ110を所定の厚みにする。例えば、本実施形態では、約70μm厚になるように流路形成基板用ウェハ110をエッチング加工した。次いで、図6(b)に示すように、流路形成基板用ウェハ110上に、例えば、窒化シリコン(SiN)からなるマスク膜52を新たに形成し、所定形状にパターニングする。そして、このマスク膜52を介して流路形成基板用ウェハ110を異方性エッチングすることにより、図6(c)に示すように、流路形成基板用ウェハ110に圧力発生室12、連通部13及びインク供給路14等を形成する。
なお、その後は、流路形成基板用ウェハ110及び保護基板用ウェハ130の外周縁部の不要部分を、例えば、ダイシング等により切断することによって除去する。そして、流路形成基板用ウェハ110の保護基板用ウェハ130とは反対側の面にノズル開口21が穿設されたノズルプレート20を接合すると共に、保護基板用ウェハ130にコンプライアンス基板40を接合し、流路形成基板用ウェハ110等を図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10等に分割することによって、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドとする。
以上説明したように、本発明では、絶縁体膜55と圧電素子300を構成する下電極膜60との間に、チタン酸化膜からなり厚さが10nm以上40nm以下の結晶化した密着層65を設けるようにした。具体的には、絶縁体膜55上に、チタン酸化膜からなる所定膜厚の密着層65を形成し、このチタン酸化膜からなる密着層65上に、下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80からなる圧電素子300を形成するようにした。これにより、振動板と下電極膜60の密着性が向上し、下電極膜60の剥がれを防止できると共に、密着層65の結晶性が向上して、これに伴って下電極膜60の結晶性も大幅に向上する。下電極膜60の結晶性が向上することは、以下に説明する試験例の結果から明らかである。
(試験例1)
振動板を構成する酸化膜からなる絶縁体膜上に、チタン酸化膜からなる所定膜厚の密着層を介して、Ir膜、Pt膜及びIr膜の積層膜である下電極膜を含む圧電素子を設けた実施例1のサンプル(アクチュエータ装置)と、密着層がチタン膜からなる以外は実施例1のサンプルと同様の構成である比較例1のサンプル(アクチュエータ装置)とを作製して、下電極膜の膜質について調べた。具体的には、各サンプルの圧電体層及び上電極膜を除去して下電極膜の表面を露出させ、下電極膜の構成元素であるIr及びPtのX線回折強度(XRD強度)を調べた。その結果を図11に示す。また図12は、実施例1のサンプルにおける下電極膜表面を撮影したSEM像であり、図13は、比較例1のサンプルにおける下電極膜表面を撮影したSEM像である。
図11に示すように、実施例1のサンプルと比較例1のサンプルとで、IrのXRD強度にはほとんど差は見られなかったものの、PtのXRD強度は、実施例1のサンプルが比較例1のサンプルの3倍程度と極めて強く検出されていた。また、図12に示すように、実施例1のサンプルでは、下電極膜の結晶は粒径が極めて小さく緻密な膜となっていたのに対し、比較例1のサンプルでは、図13に示すように、下電極膜の結晶は、それぞれをはっきりと確認できる程度に大きくかなり粗い膜になっていることが分かる。そして、このような結果から明らかなように、チタン酸化膜からなる密着層を設けることで、チタン膜からなる密着層の場合と比較して、下電極膜の結晶性が大幅に向上する。
(試験例2)
チタン酸化膜からなる密着層の厚さを10nm以上60nm以下の範囲で変化させた以外は、実施例1のサンプルと同様にして複数のサンプルを作製し、各サンプルにおいて下電極膜に含まれるIr及びPtのXRD強度を測定した。その結果を図14に示す。図14のグラフから分かるように、密着層の厚さが、比較的薄い場合にはPtのXRD強度が強く検出され、特に40nm以下とするとPtのXRD強度は4000(cps)と極めて強く検出されたが、密着層の膜厚を厚くするに従って、PtのXRD強度は低下している。また、密着層の厚さを10nmよりも薄くすると、密着層を連続する膜として形成することは難しい。
この試験例2の結果から分かるように、チタン酸化膜からなる密着層の厚さを10nm以上40nm以下とすれば、結晶性が良好な下電極膜が得られる。そして、これら試験例1及び試験例2の結果から明らかなように、絶縁体膜と下電極膜との間にチタン酸化膜からなり膜さが10nm以上40nm以下の密着層を設けた本発明の構成では、結晶性が極めて良好な下電極膜が得られる。
なお、このように結晶性に優れた下電極膜を得るためには、密着層自体の結晶性が良好である必要がある。ここで、密着層の膜厚は、密着層の結晶粒径と実質的に比例関係にあり、例えば、図15に示すように、チタン酸化膜である密着層を20nm±5nmの厚さで形成した場合、密着層の結晶粒径は10nm程度と非常に小さくなり、密着層は非常に緻密な膜となる。これに対し、例えば、図16に示すように、チタン酸化膜からなる密着層を200nmの厚さで形成した場合、結晶粒径は50nm以上100nm以下程度とかなり大きくなる。このように、密着層の膜厚に応じて密着層の結晶粒径は大きく変化する。このため、優れた結晶性の密着層を得るには密着層の厚さを規定する必要があり、密着層の膜厚を10nm以上40nm以下とすれば、密着層の基板表面から見た結晶粒径は10nm以上20nm以下となり、結晶性に優れた密着層となる。なお、図15には、チタン酸化膜である密着層の膜厚が20nmのものを示しているが、密着層の膜厚が10nm以上40nm以下のものであれば、図16に示す密着層の結晶粒径よりも小さくなっていることを確認しているが、その写真については掲載を省略する。
(試験例3)
密着層がチタン酸化膜とチタン膜との2層からなる以外は、上記実施例1のサンプルと同様にして比較例2のサンプルを作製し、この比較例2のサンプルと、上記実施例1及び比較例1のサンプルとをSIMSによって分析した。具体的には、SIMSによって分析することで、各サンプルのチタン含有量の分布を調べた。その結果を図17に示す。なお、図17において、照射時間が0〜500(sec)までの範囲が下電極膜に相当し、およそ500〜700(sec)の範囲が密着層に相当する。
図17に示す結果から明らかなように、実施例1のサンプルでは、比較例1及び2のサンプルと比較して、下電極膜に含まれるチタンの含有量が極めて少ないことが分かる。すなわち、比較例1及び2のサンプルでは、密着層あるいは圧電体層に含まれるチタンが下電極膜に拡散してしまっているが、実施例のサンプルでは、密着層あるいは圧電体層に含まれるチタンは下電極膜にほとんど拡散していない。このことから、本発明によれば、チタンが拡散することなく良好な電気的特性を有する下電極膜が得られることが分かる。
(試験例4)
チタン酸化膜からなる密着層を設けた実施例のサンプルと、チタン膜からなる密着層を設けた比較例のサンプルとを作製し、各サンプルをSIMSによる分析して、鉛(Pb)の含有量の分布を調べた。すなわち、圧電体層から他層への鉛(Pb)の拡散量を調べた。具体的には、まず、圧電体層(圧電体前駆体膜)の焼成温度を約650℃とした以外は、実施例1のサンプルと同様である実施例2のサンプルと、焼成温度を約750℃とした以外は、実施例1のサンプルと同様である実施例3のサンプルとを作製した。同様に、焼成温度を約650℃とした実施例2のサンプルと、焼成温度約750℃とした実施例3のサンプルとを作製した。そして、実施例1〜3及び比較例1〜3のサンプルをSIMSによって分析して、下電極膜、密着層及び絶縁体膜の鉛(Pb)の含有量を調べた。その結果を図18及び図19に示す。
図18及び図19に示すように、実施例1〜3のサンプルにおける下電極膜の鉛(Pb)の含有量は、比較例1〜3のサンプルと比較して極めて少ないことが分かる。さらに、絶縁体膜の鉛(Pb)の含有量は、実施例1〜3のサンプル及び比較例2のサンプルでは同程度であったが、比較例1及び比較例3のサンプルでは、絶縁体膜の鉛(pb)の含有量が増加していることが分かる。
すなわち、チタン膜からなる密着層を有する比較例1〜3のサンプルでは、圧電体層から下電極膜に拡散する鉛(Pb)の量が極めて多く、且つ絶縁体膜に拡散する鉛(Pb)の量も、圧電体層の温度によってはかなり多くなることが分かる。一方、チタン酸化膜からなる密着層を有する実施例1〜3のサンプルでは、下電極膜に拡散する鉛(Pb)の量は比較例1〜3のサンプルと比較して大幅に少なく、且つ絶縁体膜の鉛の拡散量も、圧電体層の焼成温度にかかわらず極めて少ない。
以上の結果から分かるように、本発明の構成では、圧電体層からその下層側への鉛(Pb)の拡散量が抑えられ、結晶性に優れた下電極膜、密着層等が得られる。さらに、チタン酸化膜からなる本発明に係る密着層は、実質的に下層(絶縁体膜)への鉛(Pb)の拡散を抑える役割も果たすため、絶縁体膜の膜質も向上することができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態では、酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜上にチタン酸化膜からなる密着層を介して圧電素子を形成するようにしたが、これに限定されるものではない。密着層の下層は酸化膜であればよく、例えば、二酸化シリコンからなる弾性膜上に、上述した密着層を介して圧電素子を形成するようにしてもよい。
また、これら各実施形態のインクジェット式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図20は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。図20に示すように、インクジェット式記録ヘッドを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。
そして、駆動モータ6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8上を搬送されるようになっている。
なお、上述した実施形態1では、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げて説明したが、本発明は広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。さらに、本発明は、このような液体噴射ヘッドに圧力発生手段として搭載されるアクチュエータ装置だけでなく、あらゆる装置に搭載されるアクチュエータ装置に適用することができる。例えば、アクチュエータ装置は、上述したヘッドの他に、センサー等にも適用することができる。
本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの平面図及び断面図。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図。 実施例に係るサンプルの断面TEM像。 比較例に係るサンプルの断面TEM像。 実施例に係るサンプルのチタン量のEDXマッピング分析結果を示す図。 比較例に係るサンプルのチタン量のEDXマッピング分析結果を示す図。 実施例1及び比較例1の下電極膜のPt,IrのXRD強度を示すグラフ。 実施例1のサンプルの下電極膜表面のSEM像。 比較例1のサンプルの下電極膜表面のSEM像。 密着層の厚さと下電極膜のPt,IrのXRD強度との関係を示すグラフ。 実施例1に係るサンプルの密着層表面のSEM像。 比較例1に係るサンプルの密着層表面のSEM像。 SIMSによる実施例1及び比較例1,2のサンプルの分析結果のグラフ。 SIMSによる実施例1〜3のサンプルの分析結果のグラフ。 SIMSによる比較例1〜3のサンプルの分析結果のグラフ。 本発明の一実施形態に係る記録装置の概略図。
符号の説明
10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 13 連通部、 14 インク供給路、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 保護基板、 31 圧電素子保持部、 32 リザーバ部、 40 コンプライアンス基板、 60 下電極膜、 65,65´ 密着層、 66 種チタン層、 70 圧電体層、 80 上電極膜、 90 リード電極、 100 リザーバ、 300 圧電素子


Claims (9)

  1. 基板上に設けられた振動板と、該振動板を構成する酸化膜上に設けられる下電極、該下電極上に設けられる圧電体層及び該圧電体層上に設けられた上電極からなる圧電素子とを具備し、且つ前記下電極と前記酸化膜との境界に、結晶化したチタン酸化膜からなり厚さが10nm以上40nm以下の密着層を有することを特徴とするアクチュエータ装置。
  2. 請求項1において、前記密着層を構成する酸化チタンの基板表面から見た結晶の粒径が10nm以上20nm以下であることを特徴とするアクチュエータ装置。
  3. 請求項1又は2において、前記密着層と前記下電極とが相互拡散していないことを特徴とするアクチュエータ装置。
  4. 請求項1〜3の何れかにおいて、前記酸化膜が酸化ジルコニウムからなることを特徴とするアクチュエータ装置。
  5. 請求項1〜4の何れかにおいて、前記圧電体層がチタン酸ジルコン酸鉛からなることを特徴とするアクチュエータ装置。
  6. 請求項1〜5の何れかのアクチュエータ装置と、一方面側に当該圧電素子が振動板を介して設けられると共に液滴を吐出するノズル開口に連通する圧力発生室が設けられた流路形成基板とを具備することを特徴とする液体噴射ヘッド。
  7. 請求項6の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。
  8. 基板上に酸化膜を含む振動板を形成する工程と、該振動板を構成する前記酸化膜上に圧電素子を形成する工程とを具備し、前記圧電素子を形成する工程が、前記酸化膜上に結晶化したチタン酸化膜からなる密着層を厚さが10nm以上40nm以下となるように形成する工程と、このチタン酸化膜からなる密着層上に下電極を形成する工程と、該下電極上に圧電材料を塗布して圧電体前駆体膜を形成すると共に該圧電体前駆体膜を焼成して結晶化させることで圧電体層を形成する工程と、この圧電体層上に上電極を形成する工程とを含むことを特徴とするアクチュエータ装置の製造方法。
  9. 請求項8において、前記密着層を形成する工程では、前記酸化膜上にチタン膜を形成後、このチタン膜を熱酸化することによって結晶化したチタン酸化膜からなる前記密着層を形成することを特徴とするアクチュエータ装置の製造方法。
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