JP2005175230A - 圧電素子の製造方法 - Google Patents

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美幸 村本
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Abstract

【課題】 圧電体層の剥がれを防止でき、良好な変位特性が得られる圧電素子の製造方法を提供する。
【解決手段】 基板の一方面側に設けられた下電極と、下電極上に設けられた圧電体層と、圧電体層上に設けられた上電極とからなる圧電素子の製造方法であって、基板上に前記下電極を形成する下電極形成工程と、基板表面の水分を除去する水分除去工程と基板上に圧電材料を塗布して圧電体前駆体膜を形成する塗布工程と圧電体前駆体膜を焼成する焼成工程とを少なくとも含んで圧電体層を形成する圧電体層形成工程と、圧電体層上に上電極を形成する工程とを有する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、圧電材料からなる圧電体層に電圧を印加することによって変位する圧電素子の製造方法に関する。
例えば、液体噴射ヘッド等に用いられる圧電素子は、電気機械変換機能を呈する圧電材料からなる圧電体層を2つの電極で挟んだ素子であり、圧電体層は、例えば、結晶化した圧電性セラミックスにより構成されている。また、このような圧電素子を用いた液体噴射ヘッドとしては、例えば、インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧してノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドがある。インクジェット式記録ヘッドには、圧電素子の軸方向に伸長、収縮する縦振動モードの圧電アクチュエータを使用したものと、たわみ振動モードの圧電アクチュエータを使用したものの2種類が実用化されている。たわみ振動モードのアクチュエータを使用したものとしては、例えば、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧電体膜を形成し、この圧電体層をリソグラフィ法により圧力発生室に対応する形状に切り分けることによって各圧力発生室毎に独立するように圧電素子を形成したものが知られている。
このような圧電素子を構成する圧電体層の製造方法としては、いわゆるゾル−ゲル法が知られている。例えば、下電極を形成した基板上に有機金属化合物のゾルを塗布して乾燥および脱脂させて圧電体の前駆体膜を形成する。そして、この塗布、乾燥および脱脂の工程を所定回数実行した後、前駆体膜を高温で熱処理して結晶化させ、結晶化した圧電体層の上にさらにゾルの塗布、乾燥、脱脂及び結晶化工程を繰り返し実行して、所定厚さの圧電体層を形成する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
このような製造方法によれば、例えば、1μm以上の厚さの圧電体層を比較的良好に形成でき、クラック等の発生は防止することはできる。しかしながら、圧電体層の密着性にはばらつきがあり、場合によっては製造過程で剥がれてしまうという問題がある。さらに、圧電体層の結晶配向度等の結晶状態を制御することは難しく、常に一定の変位特性を有する圧電素子を形成するのが難しいという問題もある。なお、このような問題は、液体噴射ヘッドに用いられる圧電素子だけでなく、他の装置に用いられる圧電素子においても同様に存在する。
特開平9−223830号公報(第4〜6頁参照)
本発明は、このような事情に鑑み、圧電体層の剥がれを防止でき、良好な変位特性が得られる圧電素子の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、基板の一方面側に設けられた下電極と、該下電極上に設けられた圧電体層と、該圧電体層上に設けられた上電極とからなる圧電素子の製造方法であって、前記基板上に前記下電極を形成する下電極形成工程と、前記基板表面の水分を除去する水分除去工程と前記基板上に圧電材料を塗布して圧電体前駆体膜を形成する塗布工程と該圧電体前駆体膜を焼成する焼成工程とを少なくとも含んで前記圧電体層を形成する圧電体層形成工程と、前記圧電体層上に前記上電極を形成する工程とを有することを特徴とする圧電素子の製造方法にある。
かかる第1の態様では、圧電体層を形成する際に、水分除去工程を実施し、基板表面の水分が除去されることで、圧電体層の密着性が向上すると共に、結晶状態が安定する。
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記水分除去工程では、前記基板表面をHMDS処理することを特徴とする圧電素子の製造方法にある。
かかる第2の態様では、基板表面に、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)の溶液を吹きつけて疎水化することで、基板表面に付着している水分を除去する。
本発明の第3の態様は、第1の態様において、前記水分除去工程が、前記基板を少なくとも100℃以上に加熱する加熱工程を少なくとも含むことを特徴とする圧電素子の製造方法にある。
かかる第3の態様では、基板を加熱して水分を蒸発させることで、基板表面の水分を除去する。
本発明の第4の態様は、第3の態様において、前記水分除去工程が、前記加熱工程後に実施され前記基板表面をHMDS処理する疎水処理工程をさらに含むことを特徴とする圧電素子の製造方法にある。
かかる第4の態様では、加熱工程と疎水処理工程とを実施することで、基板表面の水分が確実に除去される。
本発明の第5の態様は、第1〜4の何れかの態様において、前記下電極形成工程では、前記下電極を前記基板の全面に形成後、所定形状にパターニングすることを特徴とする圧電素子の製造方法にある。
かかる第5の態様では、パターニングされた下電極上に圧電体層を形成した場合でも、圧電体層の密着性が向上し、圧電体層の剥がれの発生は防止される。
本発明の第6の態様は、第1〜5の何れかの態様において、前記塗布工程では、圧電材料をゾル−ゲル法により塗布して前記圧電体前駆体膜を形成することを特徴とする圧電素子の製造方法にある。
かかる第6の態様では、ゾル−ゲル法により圧電体前駆体膜を良好に形成でき、この圧電体前駆体膜を焼成することで、結晶状態が良好な圧電体層が得られる。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
まず、本発明に係る圧電素子を具備する装置の一例として、液体噴射ヘッドの構造、本実施形態では、インクジェット式記録ヘッドの構造について説明する。なお、図1は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図及び断面図である。図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる、厚さ1〜2μmの弾性膜50が形成されている。流路形成基板10には、複数の圧力発生室12がその幅方向に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向外側の領域には連通部13が形成され、連通部13と各圧力発生室12とが、各圧力発生室12毎に設けられたインク供給路14を介して連通されている。なお、連通部13は、後述する保護基板のリザーバ部と連通して各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバの一部を構成する。インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着されている。なお、ノズルプレート20は、厚さが例えば、0.01〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜4.5[×10-6/℃]であるガラスセラミックス、シリコン単結晶基板又は不錆鋼などからなる。
一方、このような流路形成基板10の開口面とは反対側には、上述したように、厚さが例えば約1.0μmの二酸化シリコン(SiO)からなる弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、厚さが例えば、約0.4μmの酸化ジルコニウム(ZrO)からなる絶縁体膜55が形成されている。また、この絶縁体膜55上には、厚さが例えば、約0.2μmの下電極膜60と、厚さが例えば、約1.0μmの圧電体層70と、厚さが例えば、約0.05μmの上電極膜80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本実施形態では、下電極膜60は圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。何れの場合においても、各圧力発生室毎に圧電体能動部が形成されていることになる。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせて圧電アクチュエータと称する。なお、このような各圧電素子300の上電極膜80には、例えば、金(Au)等からなるリード電極90がそれぞれ接続され、このリード電極90を介して各圧電素子300に選択的に電圧が印加されるようになっている。
また、流路形成基板10上の圧電素子300側の面には、圧電素子300に対向する領域にその運動を阻害しない程度の空間を確保可能な圧電素子保持部31を有する保護基板30が接合されている。圧電素子300は、この圧電素子保持部31内に形成されているため、外部環境の影響を殆ど受けない状態で保護されている。さらに、保護基板30には、流路形成基板10の連通部13に対応する領域にリザーバ部32が設けられている。このリザーバ部32は、本実施形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の並設方向に沿って設けられており、上述したように流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100を構成している。
また、保護基板30の圧電素子保持部31とリザーバ部32との間の領域には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられ、この貫通孔33内に下電極膜60の一部及びリード電極90の先端部が露出され、これら下電極膜60及びリード電極90には、図示しないが、駆動ICから延設される接続配線の一端が接続される。
なお、保護基板30の材料としては、例えば、ガラス、セラミックス材料、金属、樹脂等が挙げられるが、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料で形成されていることがより好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
また、保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部32の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部インク供給手段からインクを取り込み、リザーバ100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、図示しない駆動ICからの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、弾性膜50、絶縁体膜55、下電極膜60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
以下、このような本実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドの製造方法、特に、圧電素子の製造方法について図3〜図6を参照して説明する。なお、図3〜図6は、圧力発生室12の長手方向の断面図である。まず、図3(a)に示すように、シリコンウェハである流路形成基板用ウェハ110を約1100℃の拡散炉で熱酸化し、その表面に弾性膜50を構成する二酸化シリコン膜51を形成する。なお、本実施形態では、流路形成基板10として、膜厚が約625μmと比較的厚く剛性の高いシリコンウェハを用いている。
次いで、図3(b)に示すように、弾性膜50(二酸化シリコン膜51)上に、酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜55を形成する。具体的には、まず、弾性膜50上に、例えば、DCスパッタ法によりジルコニウム層を形成し、このジルコニウム層を熱酸化することにより酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜55を形成する。次いで、図3(c)に示すように、例えば、白金とイリジウムとを絶縁体膜55上に積層することにより下電極膜60を形成後、この下電極膜60を所定形状にパターニングする。
次に、図3(d)に示すように、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる圧電体層70を形成する。ここで、本実施形態では、金属有機物を触媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いて圧電体層70を形成している。また、圧電体層70の製造方法は、ゾル−ゲル法に限定されず、例えば、MOD(Metal-Organic Decomposition)法等を用いてもよい。
圧電体層70の具体的な形成手順としては、まず、流路形成基板用ウェハ110の表面、本実施形態では、下電極膜60及び絶縁体膜55表面の水分を除去する水分除去工程を実施する。この水分除去工程では、例えば、流路形成基板用ウェハを少なくとも100℃以上、好ましくは140℃程度の温度で加熱することにより(加熱工程)、流路形成基板用ウェハ110の表面の水分を蒸発させる。あるいは、流路形成基板用ウェハ110をHMDS(ヘキサメチルジシラザン)処理し(疎水処理工程)、流路形成基板用ウェハ110の表面を疎水化することで、表面に付着している水分を除去する。なお、「HMDS処理」とは、基板上にヘキサメチルジシラザン(HMDS)の溶液を吹き付けて表面を疎水化処理することを言う。そして、この疎水処理工程では、具体的には、約24〜80℃、好ましくは60℃程度の処理温度で、約10秒〜20分間、ヘキサメチルジシラザンの溶液を流路形成基板用ウェハ110に吹き付けてその表面を疎水化させる。例えば、本実施形態に係る水分除去工程では、流路形成基板用ウェハ110を約140℃で30分加熱した後、一旦冷却し、さらに、流路形成基板用ウェハ110を約60℃で15分間HMDS処理することによって表面を疎水化させるようにした。
これにより、流路形成基板用ウェハ110の表面(下電極膜60及び絶縁体膜55の表面)に付着した水分はほぼ完全に除去される。なお、本実施形態では、加熱工程及び疎水処理工程の両工程を実施することにより流路形成基板用ウェハ110表面の水分を除去するようにしたが、勿論、何れか一方の工程のみを実施することによっても流路形成基板用ウェハ110表面の水分は十分に除去することができる。
そして、このような水分除去工程を実施した後、図4(a)に示すように、流路形成基板用ウェハ110上、本実施形態では、下電極膜60及び絶縁体膜55上にPZT前駆体膜である圧電体前駆体膜71を成膜する。すなわち、流路形成基板用ウェハ110上に金属有機化合物を含むゾル(溶液)を塗布する。次いで、圧電体前駆体膜71を、所定温度に加熱して一定時間乾燥させ、ゾルの溶媒を蒸発させることで圧電体前駆体膜71を乾燥させる。さらに、大気雰囲気下において一定の温度で一定時間、圧電体前駆体膜71を脱脂する。なお、ここで言う脱脂とは、ゾル膜の有機成分、例えば、NO、CO、HO等を離脱させることである。
そして、このような塗布・乾燥・脱脂の工程を、所定回数、例えば、本実施形態では、2回繰り返すことで、図4(b)に示すように、圧電体前駆体膜71を所定厚に形成し、この圧電体前駆体膜71を加熱処理することによって結晶化させて圧電体膜72を形成する。例えば、本実施形態では、約700℃で30分間加熱を行って圧電体前駆体膜71を焼成して圧電体膜72を形成した。なお、加熱装置としては、拡散炉を使用することができるほか、RTA(Rapid Thermal Annealing)装置でもよい。
そして、上述した塗布・乾燥・脱脂・焼成の工程を、複数回繰り返すことにより、図4(c)に示すように、複数層、本実施形態では、5層の圧電体膜72からなる所定厚さの圧電体層70を形成する。例えば、ゾルの塗布1回あたりの膜厚が0.1μm程度の場合には、圧電体層70全体の膜厚は約1μmとなる。
このように、圧電体層70を形成する際、流路形成基板用ウェハ110の表面に付着している水分を除去する水分除去工程を実施することにより、圧電体層70の流路形成基板用ウェハ110との密着性、例えば、本実施形態では、下電極膜60及び絶縁体膜55との密着性が向上し、圧電体層70の剥がれを防止することができる。また、本実施形態のように下電極膜60がパターニングされている場合、圧電体層70の剥がれが発生し易いため、水分除去工程の実施が、特に効果的に作用する。また、本実施形態では、圧電体層70は5層の圧電体膜72からなるため、水分除去工程を実施することで、各圧電体膜72間の密着性も向上する。
さらに、圧電体層70が良好な結晶状態で形成されるという効果もある。例えば、本実施形態のように、圧電体層70がチタン酸ジルコン酸鉛からなる場合、結晶の(100)面配向強度が向上し、配向度も向上する。また、流路形成基板用ウェハの面内方向における、これら配向強度及び配向度のばらつきも小さくなる。したがって、水分除去工程を実施することで、圧電体層70の耐久性及び信頼性を向上させることができると共に、圧電体層70の電気的特性も向上させることができる。なお「配向度」とは、X線回折広角法によって圧電体層を測定した際に生じる回折強度の比率を意味する。例えば、圧電体層をX線回折広角法により測定すると(100)面、(110)面及び(111)面に相当する回折強度のピークが発生し、「配向度」とは、これらの各面に相当するピーク強度の和に対する各ピーク強度の比率を意味する。
また、本実施形態では、水分除去工程を、下電極膜60を形成後にのみ実施するようにしたが、これに限定されず、例えば、圧電体層70を構成する各圧電体膜72を形成する前に、その都度実施するようにしてもよい。これにより、圧電体層70を構成する各圧電体膜72間の密着性がさらに向上する。
そして、このように圧電体層70を形成した後は、図5(a)に示すように、例えば、イリジウムからなる上電極膜80を流路形成基板用ウェハ110の全面に形成する。次いで、図5(b)に示すように、圧電体層70及び上電極膜80を、各圧力発生室12に対向する領域にパターニングして圧電素子300を形成する。次に、リード電極90を形成する。具体的には、図5(c)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の全面に亘って、例えば、金(Au)等からなる金属層91を形成する。その後、例えば、レジスト等からなるマスクパターン(図示なし)を介して金属層91を各圧電素子300毎にパターニングすることでリード電極90が形成される。
次に、図5(d)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の圧電素子300側に、シリコンウェハであり複数の保護基板30となる保護基板用ウェハ130を接合する。なお、この保護基板用ウェハ130は、例えば、400μm程度の厚さを有するため、保護基板用ウェハ130を接合することによって流路形成基板用ウェハ110の剛性は著しく向上することになる。
次いで、図6(a)に示すように、流路形成基板用ウェハ110をある程度の厚さとなるまで研磨した後、さらにフッ化硝酸等によってウェットエッチングすることにより流路形成基板用ウェハ110を所定の厚みにする。例えば、本実施形態では、約70μm厚になるように流路形成基板用ウェハ110をエッチング加工した。次いで、図6(b)に示すように、流路形成基板用ウェハ110上に、例えば、窒化シリコン(SiN)からなるマスク膜52を新たに形成し、所定形状にパターニングする。そして、このマスク膜52を介して流路形成基板用ウェハ110を異方性エッチングすることにより、図6(c)に示すように、流路形成基板用ウェハ110に圧力発生室12、連通部13及びインク供給路14等を形成する。
なお、その後は、流路形成基板用ウェハ110及び保護基板用ウェハ130の外周縁部の不要部分を、例えば、ダイシング等により切断することによって除去する。そして、流路形成基板用ウェハ110の保護基板用ウェハ130とは反対側の面にノズル開口21が穿設されたノズルプレート20を接合すると共に、保護基板用ウェハ130にコンプライアンス基板40を接合し、流路形成基板用ウェハ110等を図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10等に分割することによって、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドとする。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。また、上述した実施形態では、インクジェット式記録ヘッドを例示して本発明を説明したが、勿論、インク以外の液体を噴射するものにも適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
さらに、本発明の圧電素子の製造方法は、液体噴射ヘッドに利用されるものに限定されるものではなく、他のあらゆる装置に搭載される圧電素子の製造方法にも適用できることは言うまでもない。
実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの平面図及び断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。
符号の説明
10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 保護基板、 31 圧電素子保持部、 32 リザーバ部、 40 コンプライアンス基板、 50 弾性膜、 55 絶縁体膜、 60 下電極膜、 70 圧電体層、 80 上電極膜、100 リザーバ、 110 流路形成基板用ウェハ、 300 圧電素子

Claims (6)

  1. 基板の一方面側に設けられた下電極と、該下電極上に設けられた圧電体層と、該圧電体層上に設けられた上電極とからなる圧電素子の製造方法であって、
    前記基板上に前記下電極を形成する下電極形成工程と、前記基板表面の水分を除去する水分除去工程と前記基板上に圧電材料を塗布して圧電体前駆体膜を形成する塗布工程と該圧電体前駆体膜を焼成する焼成工程とを少なくとも含んで前記圧電体層を形成する圧電体層形成工程と、前記圧電体層上に前記上電極を形成する工程とを有することを特徴とする圧電素子の製造方法。
  2. 請求項1において、前記水分除去工程では、前記基板表面をHMDS処理することを特徴とする圧電素子の製造方法。
  3. 請求項1において、前記水分除去工程が、前記基板を少なくとも100℃以上に加熱する加熱工程を少なくとも含むことを特徴とする圧電素子の製造方法。
  4. 請求項3において、前記水分除去工程が、前記加熱工程後に実施され前記基板表面をHMDS処理する疎水処理工程をさらに含むことを特徴とする圧電素子の製造方法。
  5. 請求項1〜4の何れかにおいて、前記下電極形成工程では、前記下電極を前記基板の全面に形成後、所定形状にパターニングすることを特徴とする圧電素子の製造方法。
  6. 請求項1〜5の何れかにおいて、前記塗布工程では、圧電材料をゾル−ゲル法により塗布して前記圧電体前駆体膜を形成することを特徴とする圧電素子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007152912A (ja) * 2005-12-08 2007-06-21 Seiko Epson Corp 圧電素子の製造方法及び圧電素子並びに液体噴射ヘッド
JP2010099986A (ja) * 2008-10-27 2010-05-06 Seiko Epson Corp アクチュエータ装置の製造方法及び液体噴射ヘッドの製造方法

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