JP2010099813A - ワイヤ放電加工装置及びその液面制御方法 - Google Patents

ワイヤ放電加工装置及びその液面制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】昇降加工槽(昇降壁)による段取時の作業性の良さを維持しつつ、水位変動を小さく抑え、また加工液の飛散を防止することができるワイヤ放電加工装置を提供する。
【解決手段】一部が垂直方向に移動可能な昇降壁とされ、昇降壁内壁に加工液を溢出させる排水口が形成された加工槽20と、昇降壁を移動させる昇降装置50と、加工液の液面の高さを検出する液面検出手段25と、加工槽20に対して加工液の供給排水を行う給排水手段(供給ポンプ45、排水制御手段28)と、液面検出手段25の検出信号に基づいて給排水手段を駆動して加工液の液面の高さを制御する第1の液面制御と、昇降壁が所望の高さとなるように昇降装置50を駆動して加工液の液面の高さを制御する第2の液面制御とを切り替えて行う制御装置100とを備えている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、被加工物を加工液中に浸漬させて加工するワイヤ放電加工装置に関し、特に加工液の液面制御に関するものである。
被加工物を加工液中に浸漬させて加工するワイヤ放電加工装置においては、加工槽に被加工物よりも高い位置まで水位を維持させて加工が行われる。一般に加工液の液面の水位変動が大きいと加工面品質は悪くなる。特に微細な加工が行われる仕上加工時においてはその影響が大きい。
加工液の液面高さ制御としては、一例として、Z軸方向に移動可能な昇降加工槽、または部分的に昇降可能な昇降壁を設け、この昇降加工槽内壁面に切欠を設け、この切欠から加工液を溢れ出させて加工液の水位を調整するオーバーフロー式水位制御方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
一方、ワイヤガイド部近傍にセンサを設けて、このセンサの検出信号に基づいて水位を制御するセンサ式水位制御方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特許第3367195号公報 特開平11−77436号公報
上記オーバーフロー式水位制御方法において、加工液の溢れ出る切欠は、一般に昇降加工槽の上端に近い場所に設けられることが多い。これは、段取時の作業性を考慮してこのようにされている。すなわち、切欠を昇降加工槽の上端に近傍に設けることで、加工液の液面を極端に低くすることなく、加工槽を十分低くすることができる。これにより、下部ワイヤガイドを加工液中に水没させたまま、被加工物を載置する定盤を加工槽上端よりも高い位置に位置させることができ、下部ワイヤガイドの温度が一定に保て且つ段取りが容易となる。
このようなオーバーフロー式水位制御方法においては、加工液の液面から昇降加工槽の上縁までの距離が小さい。そのため、ワイヤガイド部から噴射される加工液の飛散により加工液が作業者にかかってしまうと言う問題や、昇降加工槽をZ軸ワイヤガイド位置よりも高くするとZ軸が水没しワイヤ送給部品等を破損させると言う問題があった。
特に、ワイヤガイド部から被加工物に向けて大きな水圧で加工液を噴出して行う荒加工においては、加工液が飛散する問題が顕著であった。
一方、センサ式水位制御方法においては、水位はセンサ動作幅に依存するため、水位変動幅が大きくなり、特に微細な加工が行われる仕上加工時には加工面品質に与える影響は、大きい。そこでセンサ動作幅を小さくすると、水位変動が少なくなるが、水位調整機構(シリンダー等)の動作が増え、故障の原因となる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、昇降加工槽(昇降壁)による段取時の作業性の良さを維持しつつ、水位変動を小さく抑え、また加工液の飛散を防止することができるワイヤ放電加工装置及びその液面制御方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる第1のワイヤ放電加工装置は、加工槽に貯留した加工液に被加工物を浸漬させて被加工物とワイヤ電極との間に放電を発生させ加工を行うワイヤ放電加工装置において、被加工物が配置され加工液を貯留し、少なくとも一部が垂直方向に移動可能な昇降壁とされ、昇降壁内壁に加工液を溢出させる排水口が形成された加工槽と、昇降壁を移動させる昇降手段と、加工液の液面の高さを検出する液面検出手段と、加工槽に対して加工液の供給排水を行う給排水手段と、液面検出手段の検出信号に基づいて給排水手段を駆動して加工液の液面の高さを制御する第1の液面制御と、昇降壁が所望の高さとなるように昇降手段を駆動して加工液の液面の高さを制御する第2の液面制御とを切り替えて行う制御装置と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明にかかる第2のワイヤ放電加工装置は、ワイヤ電極が張設される上部ワイヤガイド及び下部ワイヤガイドを備え、加工槽に貯留した加工液に被加工物を浸漬させて被加工物とワイヤ電極との間に放電を発生させ、上部ワイヤガイド及び下部ワイヤガイドから第1の水圧で加工液を被加工物に噴出する第1の加工と、第1の水圧より小さい第2の水圧で加工液を被加工物に噴出する第2の加工とを行うワイヤ放電加工装置において、被加工物が配置され加工液を貯留し、少なくとも一部が垂直方向に移動可能な昇降壁とされ、昇降壁内壁に加工液を溢出させる排水口が形成された加工槽と、昇降壁を移動させる昇降手段と、加工液の液面の高さを検出する液面検出手段と、加工槽に対して加工液の供給排水を行う給排水手段と、昇降手段及び給排水手段を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、第1の加工を行う際に、昇降壁を加工液の飛散を防止する所望の高さとするとともに、液面検出手段の検出信号に基づいて給排水手段を駆動して加工液の液面の高さを制御する第1の液面制御を行い、第2の加工を行う際に、昇降壁が所望の高さとなるように昇降手段を駆動して加工液の液面の高さを制御する第2の液面制御を行うことを特徴とする。
さらに、本発明にかかるワイヤ放電加工装置の液面制御方法は、ワイヤ電極が張設されるとともに被加工物に向けて加工液を噴出する上部ワイヤガイド及び下部ワイヤガイドを備えたワイヤ放電加工装置の液面制御方法において、ワイヤ放電加工装置に、被加工物が配置され加工液を貯留し、少なくとも一部が垂直方向に移動可能な昇降壁とされ、昇降壁内壁に加工液を溢出させる排水口が形成された加工槽と、昇降壁を移動させる昇降手段と、加工液の液面の高さを検出する液面検出手段と、加工槽に対して加工液の供給排水を行う給排水手段と、を備えておき、上部ワイヤガイド及び下部ワイヤガイドから第1の水圧で加工液を被加工物に噴出して加工を行う際に、昇降壁を加工液の飛散を防止する所望の高さとするとともに、液面検出手段の検出信号に基づいて給排水手段を駆動して加工液の液面の高さを制御する第1の液面制御を行い、上部ワイヤガイド及び下部ワイヤガイドから第1の水圧より小さい第2の水圧で加工液を被加工物に噴出して加工を行う際に、昇降壁が所望の高さとなるように昇降手段を駆動して加工液の液面の高さを制御する第2の液面制御を行うことを特徴とする。
本発明にかかる第1のワイヤ放電加工装置によれば、制御装置は、液面検出手段の検出信号に基づいて給排水手段を駆動して加工液の液面の高さを制御する第1の液面制御と、昇降壁が所望の高さとなるように昇降手段を駆動して加工液の液面の高さを制御する第2の液面制御とを切り替えて行うので、加工液の飛散があるときには、第1の液面制御を行うことで、昇降壁を加工液の飛散を防止する所望の高さとすることができ、これにより、昇降壁内壁に設ける排水口を上端に近傍とすることができるので、段取時に加工液の液面を極端に低くすることなく、加工槽を十分低くすることができ、昇降加工槽による段取時の作業性の良さを維持しつつ、水位変動を小さく抑えることができ、また加工液の飛散を防止することができる。
また、本発明にかかる第2のワイヤ放電加工装置によれば、制御装置は、上部ワイヤガイド及び下部ワイヤガイドから第1の水圧で加工液を被加工物に噴出して加工を行う際に、昇降壁を加工液の飛散を防止する所望の高さとするとともに、液面検出手段の検出信号に基づいて給排水手段を駆動して加工液の液面の高さを制御する第1の液面制御を行い、上部ワイヤガイド及び下部ワイヤガイドから第1の水圧より小さい第2の水圧で加工液を被加工物に噴出して加工を行う際に、昇降壁が所望の高さとなるように昇降手段を駆動して加工液の液面の高さを制御する第2の液面制御を行うので、上下部ワイヤガイドから大きな水圧で加工液を被加工物に噴出して加工を行う際に、加工液の飛散を防止することができるとともに、上下部ワイヤガイドから大きな水圧で加工液を被加工物に噴出して加工を行う際に、液面の変動幅を小さくして加工面品質を向上することができるワイヤ放電加工装置とすることができる。
さらに、本発明にかかるワイヤ放電加工装置の液面制御方法によれば、上部ワイヤガイド及び下部ワイヤガイドから第1の水圧で加工液を被加工物に噴出して加工を行う際に、昇降壁を加工液の飛散を防止する所望の高さとするとともに、液面検出手段の検出信号に基づいて給排水手段を駆動して加工液の液面の高さを制御する第1の液面制御を行い、上部ワイヤガイド及び下部ワイヤガイドから第1の水圧より小さい第2の水圧で加工液を被加工物に噴出して加工を行う際に、昇降壁が所望の高さとなるように昇降手段を駆動して加工液の液面の高さを制御する第2の液面制御を行うので、上下部ワイヤガイドから大きな水圧で加工液を被加工物に噴出して加工を行う際に、加工液の飛散を防止することができるとともに、上下部ワイヤガイドから大きな水圧で加工液を被加工物に噴出して加工を行う際に、液面の変動幅を小さくして加工面品質を向上することができる。
以下に、本発明にかかるワイヤ放電加工装置及びその液面制御方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態
図1及び図2は、本発明にかかるワイヤ放電加工装置の概略の断面図である。図1は、荒加工時に行われるセンサ式水位制御方法の様子を示し、図2は、仕上加工時に行われるオーバーフロー水位制御方法の液面制御の様子を示している。図3は、加工槽の形態を示す為の斜視図である。なお、図3においては、被加工物、定盤及び加工液を省略している。また、装置の外周を覆う外装26は、昇降装置50及びドッグ27a、27b及び27cの配置が良くわかるようにその一部を破断して示している。
ワイヤ放電加工装置の機械本体1には、ワイヤ供給ボビン2が保持されている。ワイヤ電極3は、ワイヤ供給ボビン2から巻き出される。上部ワイヤガイド5及び下部ワイヤガイド6は、それぞれ内部に給電手段、ワイヤガイド手段を含んでおり、上記ワイヤ電極3を被加工物7の上下で保持している。Z軸の主軸10は、その先端に上部ワイヤガイド5を固定している。Z軸の案内ガイド11は、主軸10をこの案内ガイド11に沿って上下に摺動自在に支持している。モータ12は、送りネジ13に直結されており、またそのナット部は主軸10に連結され、モータ12の回転により主軸10を上下方向に駆動する。
位置検出手段15は、主軸10のZ軸位置を測定し、モータ12の回転を制御する。加工槽20は、図示しないXYクロステーブル上に設置されており、内部にテーブル21を有し、テーブル21上に設けられた定盤22に被加工物7を載置し、この被加工物7を加工液23に浸漬している。マグネットスイッチを使用したフロートスイッチである液面検出手段25は、主軸10の上部ワイヤガイド5の上方に設けられている。排水制御手段28は、底面に排出口29aを有する外箱30と、外箱30内部で下方に排出口32を有する仕切り板33と、排出口32をシリンダー37により開閉自在に構成した排出扉38により構成されると共に、加工槽20と連通管39により連結されている。制御装置100は、液面検出手段25からの信号を受けエアー制御装置35に信号を送信する。
図3に示すように、加工槽20は、図示しないXYクロステーブル上面に固定された固定加工槽20Aと、固定加工槽20Aの上側に垂直方向に移動可能に設けられたコ字状の昇降加工槽20Bと、固定加工槽20Aに取り付けられ加工槽20の背面側に配置された背面側槽壁20Cと、底板20D(図1,図2)にて構成されている。固定加工槽20Aと昇降加工槽20Bとの間隙はシールされていて、加工槽20に貯留される加工液が漏洩するのを防止している。
この昇降加工槽20Bは、内部が中空とされた偏平箱状部材が互いに連通するように上方より見てコ字状に連結されて構成され、内部に加工液23を逃がすための水路が形成され、背面側槽壁20Cに対面して配設され、背面側槽壁20Cに対して、適宜シールを介して上下移動可能に一体化されている。昇降加工槽20Bの外側は、外装26により覆われている。
昇降加工槽20Bの内面上部には、複数の切欠(排出口)20Baが水平方向に所定の間隔を空けて穿設されており、加工槽20内の加工液23は、この切欠20Baから排出される(図2の矢印A)。昇降加工槽20Bは、その垂直方向(Z軸方向)の移動により加工液の液面のレベルを所定の高さに調整して維持することができ、実質的に液面制御を行うことができる。複数の切欠20Baが昇降加工槽20Bの内面上部に設けられている理由は、上記のように、段取時に加工液の液面を極端に低くすることなく、加工槽を十分低くすることができるようにするためである。なお、昇降加工槽20Bの内面上部に形成される加工液の排出口は、切欠20Baに限らず任意の形状とされてよく、例えば水平方向に延びるスリット形状の孔でもよい。
コ字状の昇降加工槽20Bの端部には、垂直方向にラック51が設けられている。また、ラック51に噛み合うようにピニオン52が配設されている。さらにこのピニオン52には、軸継手53を介して、モータ54が連結されている。ラック51、ピニオン52、軸継手53及びモータ54は、昇降加工槽20Bを昇降させる昇降装置(昇降手段)50を構成している。モータ54には、回転数を検出するエンコーダ55が装備されている。なお、昇降装置50は、コ字状の昇降加工槽20Bの両端部に設けられているが、図では片側のみ示している。
昇降加工槽20Bの側面に、最低位置検出用ドッグ27a、段取モード時ドッグ27b、及び最高位置検出用ドッグ27cが設けられており、これらのドッグ27a、27b、及び27cと対向する外装26の内面に、ドッグ27a、27b、及び27cと接触して検出信号を出力するリミットスイッチ(昇降加工槽位置検出手段)27dが設けられている。リミットスイッチ27cの検出信号は、制御装置100に出力される。
昇降装置50は、制御装置100からの駆動信号に基づいて動作する。外装26の前面には昇降スイッチ57が設けられており、昇降スイッチ57を操作することにより、昇降加工槽20Bを上下動させることが出来る。
加工液供給装置40は、汚液槽40a、清液槽40bにより構成されている。フィルターポンプ41は、汚液槽40a上方に設置され、フィルター43に連結されている。供給ポンプ45は、清液槽40b上方に設置されており、上下ノズル47、48に連結され、ワイヤ電極3及び被加工物7に加工液を噴出供給する。荒加工の場合には、加工液は、第1の水圧にて噴出される。仕上げ加工の場合には、第1の水圧より小さい第2の水圧にて加工液が噴出される。供給ポンプ45と排水制御手段28とは、加工槽20に加工液を供給及び排出する給排水手段を構成している。
上記排水制御手段28から排出された加工液は、排出口29aを通って、加工液供給装置40に排出される。また、上記昇降加工槽20Bに溢出た加工液は、排出口29bを通り、伸縮自在な連通部材24を介して加工液供給装置40に排出される。
以下に、荒加工(第1の加工)と仕上加工(第2の加工)の動作について説明する。荒加工と仕上加工とは、加工プログラム中の指令によって判断され、この指令により自動的に切り替えられる。これに伴い、第1の液面制御と第2の液面制御とが自動的に切り替わる。
図1に沿い、荒加工(第1の加工)時の動作について説明する。荒加工を行う際には、上記液面検出手段25と上記給排水手段(供給ポンプ45、排水制御手段28)によりセンサ式水位制御方法にて加工液23の液面の制御が行われる(第1の液面制御)。荒加工を行う場合、先ず排水制御手段28の排出扉38を閉じ、加工液23が排出されないようにした上で、供給ポンプ45を動作させ加工液を加工槽20に供給する。加工液が溜まってきて、液面検出手段25がオンしたとき、エアー制御装置35によりシリンダー37を駆動し、排出扉38をある一定時間開状態とし加工液を排出する。液面が下がると、液面検出手段25がオフし、このオフ信号を制御装置100を介してエアー制御装置35に送る。このオフ信号を受け取ったエアー制御装置35は、シリンダー37を駆動し、再び排出扉38を閉状態にし、加工液の排出を停止させ、加工液が溜まるような状態とする。これを繰り返し液面を一定レベルに制御する。昇降加工槽20Bは、加工箇所から飛散する加工液が外部に飛び出すことがない十分高い位置まで移動している。
被加工物7を加工する場合、先ずモータ12を駆動し、Z軸の主軸10の先端に固定された上ノズル47を被加工物7の近傍まで移動させる。次に通り、加工槽20に加工液を溜めた後、加工液を上下ノズル47、48より大きな圧力(第1の水圧)で噴出すると共に、ワイヤ電極3をワイヤ走行手段により供給する。また、図示しない電源より放電電力をワイヤ電極3に供給しつつ、被加工物7をワイヤ電極3に対し、任意の相対移動をさせることにより、所望の形状加工を実現する。
荒加工を行う際には、上下ノズル47、48から大きな水圧(第1の水圧)の加工液が噴出し、加工箇所から加工液が飛散するが、昇降加工槽20Bが十分高い位置まで移動しているので、加工液は、昇降加工槽20Bを超えて外部に飛び出すことがない。また、液面検出手段25の検出動作に基づいて、加工液の液面高さが制御されるので、液面の水位変動幅が大きく加工面品質に影響を与えるが、荒加工であるため大きく問題になることはない。
図2に沿い、仕上加工(第2の加工)時の動作について説明する。仕上加工を行う際には、上記昇降加工槽20Bによりオーバーフロー水位制御方法にて加工液23の液面の制御が行われる(第2の液面制御)。仕上加工を行う場合、先ず昇降加工槽20Bが、被加工物が加工液中に浸漬する適切な高さに移動する。そして、排水制御手段28の排出扉38を閉じ、加工液23が排出されないようにした上で、供給ポンプ45を動作させ加工液を加工槽20に供給する。加工液が溜まってきて切欠20Baの高さで溢れ出し、これにより液面高さが一定に保たれる。
被加工物7を加工する場合、荒加工の場合と同様に、先ずモータ12を駆動し、Z軸の主軸10の先端に固定された上ノズル47を被加工物7の近傍まで移動させ、加工槽20に加工液を溜めた後、加工液を上下ノズル47、48より小さな圧力(第2の水圧)で噴出すると共に、ワイヤ電極3をワイヤ走行手段により供給する。また、図示しない電源より放電電力をワイヤ電極3に供給しつつ、被加工物7をワイヤ電極3に対し、任意の相対移動をさせることにより、所望の形状加工を実現する。
昇降加工槽20Bの上端は、液面に対して低い位置にあるが、仕上加工を行う際には、上下ノズル47、48から小さな水圧(第2の水圧)の加工液が噴出するので、加工箇所から加工液が飛散することがない。また、昇降加工槽20Bによりオーバーフロー水位制御方法にて加工液23の液面の制御が行われるので、水位変動幅が小さいので加工面品質が向上する。
なお、本実施の形態においては、上記のように、液面検出手段25と給排水手段によるセンサ式水位制御方法と、昇降加工槽20Bによるオーバーフロー水位制御方法とを、荒加工と仕上加工の切り替えに伴い使い分けているが、荒加工、仕上加工によらず、上下ノズル47、48より噴出される加工液の水圧に応じて使い分けられてよい。
また、本実施の形態の昇降加工槽20Bは、加工槽20の3面を構成するコ字状を成すが、加工槽20の1面を構成する昇降壁であってもよい。さらに、本実施の形態の加工槽20は、上記のようにXYクロステーブル上に設けられているが、主軸がX軸Y軸に沿って移動し、加工槽はベッドに固定されているようなタイプのものでも、本実施の形態を適用することができる。主軸がX軸Y軸のいずれか一方の軸に沿って移動し、加工槽がいずれか他方の軸に沿って移動するようなタイプのものでも、本実施の形態を適用することができる。
以上のように、本発明にかかるワイヤ放電加工装置は、被加工物を加工液中に浸漬させて加工する浸漬式のワイヤ放電加工装置に適用されて有用なものであり、特に被加工物の段取時の加工液液面高さ制御を適切に行い加工面精度の向上を図るワイヤ放電加工装置に適用されて最適なものである。
本発明にかかるワイヤ放電加工装置の概略の断面図であり、荒加工時に行われるセンサ式水位制御方法の様子を示す図である。 本発明にかかるワイヤ放電加工装置の概略の断面図であり、仕上加工時に行われるオーバーフロー水位制御方法の液面制御の様子を示す図である。 加工槽の形態を示す為の斜視図である。
符号の説明
1 機械本体
2 ワイヤ供給ボビン
3 ワイヤ電極
5 上部ワイヤガイド
6 下部ワイヤガイド
7 被加工物
10 主軸
11 案内ガイド
12 モータ
13 送りネジ
15 位置検出手段
20 加工槽
20B 昇降加工槽
20Ba 切欠(排出口)
21 テーブル
23 加工液
24 連通部材
25 液面検出手段
26 外装
27a 最低位置検出用ドッグ
27b 段取モード時ドッグ
27c 最高位置検出用ドッグ
27d リミットスイッチ(昇降加工槽位置検出手段)
28 排水制御手段(給排水手段)
29a 排出口
30 外箱
32 排出口
33 仕切り板
35 エアー制御装置
37 シリンダー
38 排出扉
39 連通管
40 加工液供給装置
40a 汚液槽
40b 清液槽
41 フィルターポンプ
43 フィルター
45 供給ポンプ(給排水手段)
47 上ノズル
48 下ノズル
50 昇降装置(昇降手段)
51 ラック
52 ピニオン
53 軸継手
54 モータ
55 エンコーダ
57 昇降スイッチ
100 制御装置

Claims (9)

  1. 加工槽に貯留した加工液に被加工物を浸漬させて前記被加工物とワイヤ電極との間に放電を発生させ加工を行うワイヤ放電加工装置において、
    前記被加工物が配置され前記加工液を貯留し、少なくとも一部が垂直方向に移動可能な昇降壁とされ、前記昇降壁内壁に前記加工液を溢出させる排水口が形成された前記加工槽と、
    前記昇降壁を移動させる昇降手段と、
    前記加工液の液面の高さを検出する液面検出手段と、
    前記加工槽に対して前記加工液の供給排水を行う給排水手段と、
    前記液面検出手段の検出信号に基づいて前記給排水手段を駆動して前記加工液の液面の高さを制御する第1の液面制御と、前記昇降壁が所望の高さとなるように前記昇降手段を駆動して前記加工液の液面の高さを制御する第2の液面制御とを切り替えて行う制御装置と
    を備えたことを特徴とするワイヤ放電加工装置。
  2. 前記第1の液面制御と前記第2の液面制御とは、加工プログラム中の指令によって判断され、該指令により自動的に切り替えられる
    ことを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工装置。
  3. ワイヤ電極が張設される上部ワイヤガイド及び下部ワイヤガイドを備え、加工槽に貯留した加工液に被加工物を浸漬させて前記被加工物と前記ワイヤ電極との間に放電を発生させ、前記上部ワイヤガイド及び前記下部ワイヤガイドから第1の水圧で前記加工液を前記被加工物に噴出する第1の加工と、前記第1の水圧より小さい第2の水圧で前記加工液を被加工物に噴出する第2の加工とを行うワイヤ放電加工装置において、
    前記被加工物が配置され前記加工液を貯留し、少なくとも一部が垂直方向に移動可能な昇降壁とされ、前記昇降壁内壁に前記加工液を溢出させる排水口が形成された前記加工槽と、
    前記昇降壁を移動させる昇降手段と、
    前記加工液の液面の高さを検出する液面検出手段と、
    前記加工槽に対して前記加工液の供給排水を行う給排水手段と、
    前記昇降手段及び前記給排水手段を制御する制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、前記第1の加工を行う際に、前記昇降壁を加工液の飛散を防止する所望の高さとするとともに、前記液面検出手段の検出信号に基づいて前記給排水手段を駆動して前記加工液の液面の高さを制御する第1の液面制御を行い、前記第2の加工を行う際に、前記昇降壁が所望の高さとなるように前記昇降手段を駆動して前記加工液の液面の高さを制御する第2の液面制御を行う
    ことを特徴とするワイヤ放電加工装置。
  4. 前記第1の加工と前記第2の加工とは、加工プログラム中の指令によって判断され、該指令により自動的に切り替えられ、これに伴い、前記第1の液面制御と前記第2の液面制御とが自動的に切り替わる
    ことを特徴とする請求項3に記載のワイヤ放電加工装置。
  5. 前記排水口は、前記昇降壁の上部に設けられている
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のワイヤ放電加工装置。
  6. 前記液面検出手段は、フロートスイッチである
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のワイヤ放電加工装置。
  7. 前記昇降壁は、水平断面がコ字状を成し、前記加工槽の4側面のうち3側面を構成する ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のワイヤ放電加工装置。
  8. ワイヤ電極が張設されるとともに被加工物に向けて加工液を噴出する上部ワイヤガイド及び下部ワイヤガイドを備えたワイヤ放電加工装置の液面制御方法において、
    前記ワイヤ放電加工装置に、
    前記被加工物が配置され前記加工液を貯留し、少なくとも一部が垂直方向に移動可能な昇降壁とされ、前記昇降壁内壁に前記加工液を溢出させる排水口が形成された前記加工槽と、
    前記昇降壁を移動させる昇降手段と、
    前記加工液の液面の高さを検出する液面検出手段と、
    前記加工槽に対して前記加工液の供給排水を行う給排水手段と、を備えておき、
    前記上部ワイヤガイド及び前記下部ワイヤガイドから第1の水圧で前記加工液を被加工物に噴出して加工を行う際に、前記昇降壁を加工液の飛散を防止する所望の高さとするとともに、前記液面検出手段の検出信号に基づいて前記給排水手段を駆動して前記加工液の液面の高さを制御する第1の液面制御を行い、
    前記上部ワイヤガイド及び前記下部ワイヤガイドから第1の水圧より小さい第2の水圧で前記加工液を被加工物に噴出して加工を行う際に、前記昇降壁が所望の高さとなるように前記昇降手段を駆動して前記加工液の液面の高さを制御する第2の液面制御を行う
    ことを特徴とするワイヤ放電加工装置の液面制御方法。
  9. 前記第1の水圧で前記加工液を被加工物に噴出して行う加工と、前記第1の水圧より小さい第2の水圧で前記加工液を被加工物に噴出して行う加工との切り替えを、加工プログラム中の指令によって行う
    ことを特徴とする請求項8に記載のワイヤ放電加工装置の液面制御方法。
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