JP2010099769A - 表面被覆工具 - Google Patents

表面被覆工具 Download PDF

Info

Publication number
JP2010099769A
JP2010099769A JP2008272618A JP2008272618A JP2010099769A JP 2010099769 A JP2010099769 A JP 2010099769A JP 2008272618 A JP2008272618 A JP 2008272618A JP 2008272618 A JP2008272618 A JP 2008272618A JP 2010099769 A JP2010099769 A JP 2010099769A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
thin layer
average
thin
thickness
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2008272618A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5235607B2 (ja
Inventor
Masahiro Waki
真宏 脇
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Corp filed Critical Kyocera Corp
Priority to JP2008272618A priority Critical patent/JP5235607B2/ja
Publication of JP2010099769A publication Critical patent/JP2010099769A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5235607B2 publication Critical patent/JP5235607B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Cutting Tools, Boring Holders, And Turrets (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

【課題】 耐摩耗性および耐欠損性が向上する被覆層を備えた表面被覆工具を提供する。
【解決手段】 基体2の表面に、Ti1−a(C1−x)(MはNb、Mo、Ta、Hf、Al、SiおよびYの群から選ばれる少なくとも1種、0.35≦a≦0.55、0≦x≦1)からなる第1薄層7と、Ti1−b(C1−y)(0.40≦b≦0.60、ただしb>a、0≦y≦1)からなる第2薄層8とが交互に一定の周期で積層された下層9と、Ti1−c(C1−x)からなる第3薄層11と、Ti1−d(C1−y)(0.45≦d≦0.65、ただしd>c、0≦y≦1)からなる第4薄層12とが交互に一定の周期で積層された上層13とを被覆し、第1薄層7の平均層厚tと第2薄層8の平均層厚tとの比が1.2≦t/t≦2.5で、第3薄層11の平均層厚tと第4薄層12の平均層厚tとの比が2.5≦t/t≦18(ただし、(t/t)<(t/t))の表面被覆工具1である。
【選択図】 図1

Description

本発明は基体の表面に被覆層を成膜してなる表面被覆工具に関する。
現在、表面被覆工具は、WC基超硬合金、TiCN基サーメット等の硬質材料の表面に様々な被覆層を成膜して摺動性、耐摩耗性、耐欠損性を向上させる手法が使われており、中でも物理蒸着法にて成膜された被覆層は高硬度で耐摩耗性が高く、種々の用途に広く採用されている。
最近、かかる物理蒸着法において、チャンバ内に組成の異なる複数種類のターゲットを装着してそれぞれのターゲットから異なる組成の金属元素を蒸発させるとともに、試料を載置する試料台を回転させながら被覆層を成膜することによって、金属組成が極薄い層厚の周期で変化する多層構造の構成とした被覆層が提案されており、ターゲットの組成を調整すること等によって被覆層の硬度や潤滑性、放熱性、耐熱性等を高める試みがなされている(例えば特許文献1〜4参照)。
中でも特許文献3では、A+B+A+・・・という多層構造からなる被膜において、A+Bを一組とした各層の厚みをランダムに変動させたことが開示されている。また、特許文献4では、MX/LX/MX/LX積層の多層状をなして、個々の層の厚みには繰り返し周期がなくて全体に亘って非周期的な被膜を具備する切削工具が開示されている。
特開2004−74378号公報 特開2005−199420号公報 特開2007−196365号公報 特開2008−512261号公報
しかしながら、極薄い被覆層を特許文献1〜4のような方法で変化させた繰返し多層の被覆層では、被覆層全体としての耐摩耗性や耐欠損性が必ずしも十分とは言えず、特に耐欠損性を改善する必要があった。
本発明は前記課題を解決するためのものであり、その目的は、耐摩耗性および耐欠損性が向上する被覆層を備えた表面被覆工具を提供することにある。
本発明の表面被覆工具は、基体と、この基体の表面を被覆する被覆層とからなる切削工具であって、前記被覆層が、Ti1−a(C1−x)(ただし、MはNb、Mo、Ta、Hf、Al、SiおよびYの群から選ばれる少なくとも1種、0.35≦a≦0.55、0≦x≦1)からなる第1薄層と、Ti1−b(C1−y)(ただし、MはNb、Mo、Ta、Hf、Al、SiおよびYの群から選ばれる少なくとも1種、0.40≦b≦0.60、ただしb>a、0≦y≦1)からなる第2薄層とが交互に一定の周期で積層された下層と、
Ti1−c(C1−x)(ただし、MはNb、Mo、Ta、Hf、Al、SiおよびYの群から選ばれる少なくとも1種、0.40≦c≦0.60、0≦x≦1)からなる第3薄層と、Ti1−d(C1−y)(ただし、MはNb、Mo、Ta、Hf、Al、SiおよびYの群から選ばれる少なくとも1種、0.45≦d≦0.65、ただしd>c、0≦y≦1)からなる第4薄層とが交互に一定の周期で積層された上層と、を具備するとともに、前記第1薄層の平均層厚tと前記第2薄層の平均層厚tとの比が1.2≦t/t≦2.5であるとともに、前記第3薄層の平均層厚tと前記第4薄層の平均層厚tとの比が2.5≦t/t≦18(ただし、(t/t)<(t/t))の構成からなる。
ここで、前記構成において、前記下層の第1薄層と第2薄層との積層の周期Tと、上層の第3薄層と第4薄層との積層の周期Tとが0.8≦T/T≦1.2であることが望ましく、前記第1薄層の平均層厚tが10〜20nm、前記第2薄層の平均層厚tが12〜45nmであるとともに、前記第3薄層の平均層厚tが2〜15nm、前記第4薄層の平均層厚tが10〜40nmであることが望ましい。
本発明の表面被覆工具によれば、第1薄層と第2薄層とが交互に一定の周期で積層された下層と、第3薄層と第4薄層とが交互に一定の周期で積層された上層とを具備するとともに、前記第1薄層の平均層厚tと前記第2薄層の平均層厚tとの比が1.2≦t/t≦2.5であるとともに、前記第3薄層の平均層厚tと前記第4薄層の平均層厚tとの比が2.5≦t/t≦18(ただし、(t/t)<(t/t))であることによって、被覆層の剥離が防止できるとともに耐欠損性が高く、また被覆層の表面における耐酸化性が高くて耐摩耗性が高いものである。
ここで、前記構成において、前記下層の第1薄層と第2薄層との積層の周期Tと、上層の第3薄層と第4薄層との積層の周期Tとが0.8≦T/T≦1.2の構成とすることが、耐摩耗性と耐欠損性のバランスのよい被覆層となる点で望ましい。
また、前記構成において、前記第1薄層の平均層厚tが10〜20nm、前記第2薄層の平均層厚tが12〜45nmであるとともに、前記第3薄層の平均層厚tが2〜15nm、前記第4薄層の平均層厚tが10〜40nmであることが、被覆層の硬度を高くして耐摩耗性を向上できる点で望ましい。
本発明の表面被覆工具の一例について、好適な実施態様例である表面被覆切削工具の(a)概略斜視図、(b)概略断面図である図1、および被覆層の要部についての走査型電子顕微鏡写真である図2を用いて説明する。
図1によれば、本発明の表面被覆工具(以下、単に工具と略す。)1は、主面にすくい面3を、側面に逃げ面4を、すくい面3と逃げ面4との交差稜線に切刃5を有し、基体2の表面に被覆層6を成膜した構成となっている。
被覆層6は、図1(b)および図2に示すように、Ti1−a(C1−x)(ただし、MはNb、Mo、Ta、Hf、Al、SiおよびYの群から選ばれる少なくとも1種、0.35≦a≦0.55、0≦x≦1)からなる第1薄層7と、
Ti1−b(C1−y)(ただし、MはNb、Mo、Ta、Hf、Al、SiおよびYの群から選ばれる少なくとも1種、0.40≦b≦0.60、ただしb>a、0≦y≦1)からなる第2薄層8とが交互に一定の周期で積層された下層9と、
Ti1−c(C1−x)(ただし、MはNb、Mo、Ta、Hf、Al、SiおよびYの群から選ばれる少なくとも1種、0.40≦c≦0.60、0≦x≦1)からなる第3薄層11と、
Ti1−d(C1−y)(ただし、MはNb、Mo、Ta、Hf、Al、SiおよびYの群から選ばれる少なくとも1種、0.45≦d≦0.65、ただしd>c、0≦y≦1)からなる第4薄層12とが交互に一定の周期で積層された上層13と、
からなる。なお、第1薄層7(暗色部)、第2薄層8(明色部)、第3薄層11(暗色部)、第4薄層12(明色部)は、個々の平均層厚が1〜200nmである。
そして、第1薄層7一層の平均層厚tと第2薄層8一層の平均層厚tとの比が1.2≦t/t≦2.5であるとともに、第3薄層11一層の平均層厚tと第4薄層12一層の平均層厚tとの比が2.5≦t/t≦18(ただし、(t/t)<(t/t))の構成とすることによって、被覆層6が剥離することなく耐欠損性も高く、また被覆層6の表面における耐酸化性が高くて耐摩耗性が高いものである。
すなわち、t/tが1.2より小さいと、下層9の密着性が低下して被覆層6が剥離しやすくなる。逆に、t/tが2.5より大きいと、被覆層6に残存する歪みが大きくなってチッピングが発生するおそれがある。また、t/tが(t/t)より小さいかまたは2.5より小さいと、上層13の耐欠損性が低下して被覆層6がチッピングしやすくなってしまう。逆に、t/tが18より大きいと、被覆層6の耐酸化性が低下して摩耗が進行しやすくなる。
なお、被覆層6の全体平均層厚が0.8〜10μmにて構成されている。この層厚であれば、工具1の耐摩耗性が高く、かつ被覆層6の内部応力が高くなり過ぎず被覆層6の耐欠損性が低下することもない。被覆層6の望ましい全体平均層厚は1〜6μmである。また、第1薄層7と第2薄層8の個々の平均層厚が1nm以上であると積層構造の効果が顕著に表れ、かつ200nm以下であれば硬度向上効果が期待できる。
ここで、下層9の第1薄層7と第2薄層8との積層の周期Tと、上層13の第3薄層11と第4薄層との積層の周期Tとが0.8≦T/T≦1.2であることが、被覆層6の耐摩耗性と耐欠損性のバランスが良い点で望ましい。
また、第1薄層7の平均層厚tが10〜20nm、第2薄層8の平均層厚tが12〜45nmであるとともに、第3薄層11の平均層厚tが2〜15nm、第4薄層12の平均層厚tが10〜40nmであることが、被覆層6の硬度を高めて被覆層6の耐摩耗性を向上できる点で望ましい。
なお、各層の望ましい層厚は、第1薄層7の平均層厚tが13〜16nm、第2薄層8の平均層厚tが15〜30nm、かつ1.6≦t/t≦2.2であるとともに、第3薄層11の平均層厚tが5〜12nm、第4薄層12の平均層厚tが20〜35nm、かつ4≦t/t≦14である。
また、被覆層6は第1薄層7と第2薄層8との積層面に対して垂直な方向においては該垂直な方向に長く伸びる柱状結晶(図示せず。)が形成されているとともに、隣接して存在する2つの柱状結晶同士の界面において第1薄層7と第2薄層8の積層面が途切れることなく連続していることが望ましい。これによって、クラックの進展を抑制する効果が高く被覆層6の耐チッピング性を高めることができる。
ここで、本発明においては、基体2の表面と平行な方向の結晶幅に対して基体表面と垂直な方向の結晶長さが1.5倍以上長い結晶で特定される結晶を柱状結晶と定義する。そして、被覆層6が柱状結晶にて構成されることによって、工具1の靭性をさらに高めることができる。
また、柱状結晶の平均結晶幅(第1薄層7と第2薄層8との積層面方向についての粒径)が0.05μm以上であると被覆層6の耐酸化性が低下することなく、一方、柱状結晶の平均結晶幅が0.3μm以下であると被覆層6の硬度および耐欠損性が高いものとなる。被覆層6の平均結晶幅の望ましい範囲は、0.1〜0.2μmである。なお、本発明において、被覆層6の平均結晶幅を測定するには、被覆層6の断面写真において、被覆層6の中間の厚さにあたる部分に線A(図示せず。)を引いて測定する。具体的には、被覆層6中の柱状結晶の平均結晶幅は線Aの100nm以上の長さL(図示せず。)を特定し、この長さLの線Aを横切る粒界の数を数えて、長さL/粒界の数によって算出する。
さらに、被覆層6の組成において、金属元素Mとしては、特に硬度の高いTiおよびAlを含むことが望ましく、他にNb、Mo、Ta、W、CrおよびSiの少なくとも1種を併せて含むことが望ましい。
また、基体2としては、炭化タングステンや炭窒化チタンを主成分とする硬質相とコバルト、ニッケル等の鉄族金属を主成分とする結合相とからなる超硬合金やサーメットの硬質合金、窒化ケイ素や酸化アルミニウムを主成分とするセラミックス、多結晶ダイヤモンドや立方晶窒化ホウ素からなる硬質相とセラミックスや鉄族金属等の結合相とを超高圧下で焼成する超高圧焼結体等の硬質材料が好適に使用される。
(製造方法)
次に、本発明の表面被覆工具の製造方法について説明する。
まず、工具形状の基体2を従来公知の方法を用いて作製する。次に、基体2の表面に被覆層6を成膜する。被覆層6の成膜方法としてはイオンプレーティング法等の物理蒸着(PVD)法が好適に適応可能である。詳細な成膜方法の一例について、アークイオンプレーティング成膜装置(以下、AIP装置と略す。)20の模式図である図3、および成膜中の試料の回転状態を示す模式図である図4を参照して説明する。
図3のAIP装置20は、真空チャンバ21の中にNやAr等のガスをガス導入口22から導入し、カソード電極23とアノード電極24とを配置して、両者間に高電圧を印加してプラズマを発生させ、このプラズマによってターゲット25から所望の金属あるいはセラミックスを蒸発させるとともにイオン化させて高エネルギー状態とし、このイオン化した金属を試料(基体2)の表面に付着させて基体2の表面に被覆層6を被覆する構造となっている。また、図3によれば、基体2はタワー27にセットされて試料支持台26上に複数個ずつ載置され、この試料支持台26が複数(図3では2セット、図4では6セットが図示されている。)配置されたテーブル28に載置された構成となっている。さらに、図3によれば、基体2を加熱するためのヒータ29と、ガスを系外に排出するためのガス排出口30と、基体2にバイアス電圧を印加するためのバイアス電源31が配置されている。
なお、ターゲット25としては、例えば、金属チタン(Ti)、金属アルミニウム(Al)、金属M(ただし、MはTiを除く周期表第4、5、6族元素、希土類元素およびSiから選ばれる1種以上)をそれぞれ独立に含有する金属ターゲット、これらを複合化した合金ターゲット、これらの炭化物、窒化物、硼化物化合物粉末または焼結体からなる混合物ターゲットを用いることができる。
そして、ターゲット25を用いて、アーク放電やグロー放電などにより金属源を蒸発させイオン化すると同時に、窒素源の窒素(N)ガスや炭素源のメタン(CH)/アセチレン(C)ガスと反応させることにより、基体2の表面に被覆層6が堆積する。
また、成膜に際しては、図3における基体2の各位置においてターゲット25に対して最も近づく向きになる周期を試料の回転数としたとき、回転数が2〜6rpmの周期となるように基体2および試料支持台26の回転数を調整することが望ましい。
ここで、本発明においては、基体2がターゲット25に近づいて対向する向きに配置された場合には、ターゲット25からの金属成分が直線的に飛来する形態となり、しかも、チャンバ内に導入するガスの濃度分布によってガス圧が低いことから金属のほうが非金属よりも多く堆積する形態で成膜される。一方、基体2が上記位置に対してターゲット25から遠ざかりかつ対向しない向きとなった場合には、成膜される金属成分は回り込んで堆積する形態になるので金属成分の堆積量は減少する。しかも、試料台の中心から非金属成分のガスが導入されるので、基体2がターゲット25から遠ざかるにつれてガスの濃度は高くなり、非金属のほうが金属よりも多く堆積する形態で成膜される。
また、基体2が載置された試料支持台26は、図4に示すように、タワー27が自転しながら、それぞれの試料支持台26が自転し、さらに複数の試料支持台26が公転するようにテーブル28が回転しながら成膜される。本発明によれば、この回転のタイミングを不連続な動きとし、かつ基体2がターゲット25に近づいて対向する向きに配置される時間と、基体2がターゲット25から遠ざかって配置される時間とを調整することによって、第1薄層7と第2薄層8、および第3薄層11と第4薄層12の層厚を制御することが可能である。
そして、第3薄層11と第4薄層12とが交互に一定の周期で積層された上層13の積層周期を、第1薄層7と第2薄層8とが交互に一定の周期で積層された下層9の積層周期よりも長い構成とするには、ターゲット25の表面形状を変化させる。すなわち、下層9を成膜する際に用いるターゲット25は、図5(a)に示すようにターゲット25(a)の表面が凹状のものを用いる。そして、上層13を成膜する際に用いるターゲット25(b)は、図5(b)に示すようにターゲット25の表面が平坦または凸状のものを用いる。なお、ターゲット25(a)の表面が平坦で、ターゲット25(b)の表面が凸状のものを用いてもよい。これによって、各層の成膜速度を変化させて、同じ成膜条件パラメータでありながら各層の層厚を制御することができる。
さらに、下層9を成膜する際と上層13を成膜する際のテーブル28、タワー27、試料支持台26の回転速度を調整して、T/Tを制御することができる。
なお、プラズマを発生するためにはアーク放電やグロー放電などを用い、導入ガスは窒素源の窒素(N)ガスや炭素源のメタン(CH)/アセチレン(C)ガスを用いることができる。さらに、成膜時のバイアス電圧は、被覆層の結晶構造を考慮して高硬度な被覆層6を作製できるとともに基体2との密着性を高めるために、成膜初期が50〜200Vに設定することが望ましい。
平均粒径0.8μmの炭化タングステン(WC)粉末を主成分として、平均粒径1.2μmの金属コバルト(Co)粉末を10質量%、平均粒径1.0μmの炭化バナジウム(VC)粉末を0.1質量%、平均粒径1.0μmの炭化クロム(Cr)粉末を0.3質量%の割合で添加し混合して、プレス成形によりエンドミル(型番:京セラ製6HFSM060−170−06)形状に成形した後、脱バインダ処理を施し、0.01Paの真空中、1450℃で1時間焼成して超硬合金を作製した。また、各試料のすくい面表面をブラスト加工、ブラシ加工等によって研磨加工した。さらに、作製した超硬合金にブラシ加工にて刃先処理(ホーニング)を施した。
このようにして作製した基体に対してアークイオンプレーティング法により表1に示す種々の組成にて被覆層を成膜した。なお、窒素ガス導入孔は図3のように試料台の中心部となるように設定した。また、第1薄層と第2薄層の厚みを調整するために試料がターゲットを向く時間を制御できるように試料台の回転のうちの自転する回転は不連続な回転とした。また、ターゲットの形状において凹部の深さまたは凸部の高さは括弧書きで記載した。
得られた試料に対して、被覆層の表面を含む断面について透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察し、被覆層を構成する結晶の平均結晶幅を求めた。また、TEMにて観察する際に、各被覆層の任意3箇所における組成をエネルギー分散分光分析(EDS)によって測定し、これらの平均値を各被覆層の組成として算出した。
次に、得られたエンドミル(型番:京セラ製6HFSM060−170−06)を用いて以下の切削条件にて切削試験を行った。結果は表3に示した。
切削方法:エンドミル加工
被削材 :SKD11
切削速度:69.7m/分
送り :0.04mm/rev
切り込み:深さ×横切り込み=5mm×0.15mm
切削状態:乾式
評価方法:90分切削後の横逃げ面摩耗と先端摩耗、チッピングの有無を顕微鏡にて
測定した。
表1〜3に示す結果より、下層のみで上層のない構成からなる試料No.10は早期に欠損した。また、下層のt/tが1.2より小さい試料No.11では被覆層の剥離によって摩耗の進行が早かった。逆に、下層のt/tが2.5より大きい試料No.13では、微小チッピングが発生した。
さらに、上層のt/tが2.5より小さい試料No.14では被覆層のチッピングによって摩耗の進行が早かった。逆に、上層のt/tが18を超える試料No.12では被覆層の酸化が早いためか摩耗の進行が早かった。
これに対して、本発明の範囲内である試料No.1〜9では、いずれも被覆層が耐欠損性および耐酸化性に優れて良好な切削性能を発揮した。
本発明の表面被覆工具の好適例である表面被覆切削工具の一例を示す(a)概略斜視図、(b)概略断面図である。 図1の表面被覆切削工具における被覆層の要部についての走査型電子顕微鏡写真である。 本発明の表面被覆工具を製造する際の被覆層の成膜工程において、アークイオンプレーティング成膜装置の模式図である。 本発明の表面被覆工具を製造する際の被覆層の成膜工程における成膜中の試料全体の回転状態を示す模式図である。 本発明の表面被覆工具を製造する際のターゲットの表面形状を示し、(a)下層形成用のターゲット、(b)上層形成用のターゲットを示す模式図である。
符号の説明
1 表面被覆工具
2 基体
3 すくい面
4 逃げ面
5 切刃
6 被覆層
7 第1薄層
8 第2薄層
9 下層
11 第3薄層
12 第4薄層
13 上層
20 AIP装置
21 真空チャンバ
22 ガス導入口
23 カソード電極
24 アノード電極
25 ターゲット
25a 下層形成用ターゲット
25b 上層形成用ターゲット
26 試料支持台
27 タワー
28 テーブル
29 ヒータ
30 ガス排出口
31 バイアス電源

Claims (3)

  1. 基体と、該基体の表面を被覆する被覆層とからなる切削工具であって、前記被覆層が、
    Ti1−a(C1−x)(ただし、MはNb、Mo、Ta、Hf、Al、SiおよびYの群から選ばれる少なくとも1種、0.35≦a≦0.55、0≦x≦1)からなる第1薄層と、
    Ti1−b(C1−y)(ただし、MはNb、Mo、Ta、Hf、Al、SiおよびYの群から選ばれる少なくとも1種、0.40≦b≦0.60、ただしb>a、0≦y≦1)からなる第2薄層とが交互に一定の周期で積層された下層と、
    Ti1−c(C1−x)(ただし、MはNb、Mo、Ta、Hf、Al、SiおよびYの群から選ばれる少なくとも1種、0.40≦c≦0.60、0≦x≦1)からなる第3薄層と、
    Ti1−d(C1−y)(ただし、MはNb、Mo、Ta、Hf、Al、SiおよびYの群から選ばれる少なくとも1種、0.45≦d≦0.65、ただしd>c、0≦y≦1)からなる第4薄層とが交互に一定の周期で積層された上層と、
    を具備するとともに、前記第1薄層の平均層厚tと前記第2薄層の平均層厚tとの比が1.2≦t/t≦2.5であるとともに、前記第3薄層の平均層厚tと前記第4薄層の平均層厚tとの比が2.5≦t/t≦18(ただし、(t/t)<(t/t))であることを特徴とする表面被覆工具。
  2. 前記下層の第1薄層と第2薄層との積層の周期Tと、上層の第3薄層と第4薄層との積層の周期Tとが0.8≦T/T≦1.2であることを特徴とする請求項1記載の表面被覆工具。
  3. 前記第1薄層の平均層厚tが10〜20nm、前記第2薄層の平均層厚tが12〜45nmであるとともに、前記第3薄層の平均層厚tが2〜15nm、前記第4薄層の平均層厚tが10〜40nmであることを特徴とする請求項2記載の表面被覆工具。
JP2008272618A 2008-10-23 2008-10-23 表面被覆工具 Active JP5235607B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008272618A JP5235607B2 (ja) 2008-10-23 2008-10-23 表面被覆工具

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008272618A JP5235607B2 (ja) 2008-10-23 2008-10-23 表面被覆工具

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010099769A true JP2010099769A (ja) 2010-05-06
JP5235607B2 JP5235607B2 (ja) 2013-07-10

Family

ID=42290873

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008272618A Active JP5235607B2 (ja) 2008-10-23 2008-10-23 表面被覆工具

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5235607B2 (ja)

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014025057A1 (ja) * 2012-08-10 2014-02-13 株式会社タンガロイ 被覆工具
WO2015147241A1 (ja) * 2014-03-27 2015-10-01 株式会社タンガロイ 被覆工具
WO2015156383A1 (ja) * 2014-04-10 2015-10-15 株式会社タンガロイ 被覆工具
CN107740052A (zh) * 2017-10-16 2018-02-27 东南大学 一种TiSiTaN涂层刀具及其制备方法
US10471516B2 (en) * 2017-01-07 2019-11-12 Tungaloy Corporation Coated cutting tool
JP2020142314A (ja) * 2019-03-05 2020-09-10 三菱マテリアル株式会社 硬質被覆層がすぐれた耐摩耗性および耐剥離性を発揮する表面被覆切削工具
US10994341B2 (en) * 2018-06-15 2021-05-04 Sumitomo Electric Hardmetal Corp. Surface-coated cutting tool and method for manufacturing same
DE112012001830B4 (de) 2011-04-22 2021-07-22 Kyocera Corporation Schneidwerkzeug
US11104986B2 (en) * 2017-05-19 2021-08-31 Walter Ag Metal cutting tool with multi-layer coating
WO2023191049A1 (ja) * 2022-03-31 2023-10-05 京セラ株式会社 被覆工具および切削工具
WO2023246967A1 (de) * 2022-06-22 2023-12-28 Rainer Cremer Beschichtetes werkzeug, verfahren zu dessen herstellung sowie verwendung des werkzeugs
WO2024190269A1 (ja) * 2023-03-14 2024-09-19 京セラ株式会社 被覆工具及び切削工具

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004074378A (ja) * 2002-08-22 2004-03-11 Mitsubishi Materials Corp 高速切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐摩耗性を発揮する表面被覆超硬合金製切削工具
JP2007196365A (ja) * 2005-12-08 2007-08-09 Sandvik Intellectual Property Ab 鋼のフライス加工用インサート
JP2008162009A (ja) * 2006-12-27 2008-07-17 Sandvik Intellectual Property Ab 切削工具

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004074378A (ja) * 2002-08-22 2004-03-11 Mitsubishi Materials Corp 高速切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐摩耗性を発揮する表面被覆超硬合金製切削工具
JP2007196365A (ja) * 2005-12-08 2007-08-09 Sandvik Intellectual Property Ab 鋼のフライス加工用インサート
JP2008162009A (ja) * 2006-12-27 2008-07-17 Sandvik Intellectual Property Ab 切削工具

Cited By (22)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE112012001830B4 (de) 2011-04-22 2021-07-22 Kyocera Corporation Schneidwerkzeug
KR101684412B1 (ko) 2012-08-10 2016-12-08 가부시키가이샤 탕가로이 피복 공구
KR20150038031A (ko) * 2012-08-10 2015-04-08 가부시키가이샤 탕가로이 피복 공구
US10501842B2 (en) 2012-08-10 2019-12-10 Tungaloy Corporation Coated tool
JP5817932B2 (ja) * 2012-08-10 2015-11-18 株式会社タンガロイ 被覆工具
JPWO2014025057A1 (ja) * 2012-08-10 2016-07-25 株式会社タンガロイ 被覆工具
WO2014025057A1 (ja) * 2012-08-10 2014-02-13 株式会社タンガロイ 被覆工具
US10265775B2 (en) 2014-03-27 2019-04-23 Tungaloy Corporation Coated tool
WO2015147241A1 (ja) * 2014-03-27 2015-10-01 株式会社タンガロイ 被覆工具
CN106132603A (zh) * 2014-03-27 2016-11-16 株式会社图格莱 包覆工具
JPWO2015156383A1 (ja) * 2014-04-10 2017-04-13 株式会社タンガロイ 被覆工具
WO2015156383A1 (ja) * 2014-04-10 2015-10-15 株式会社タンガロイ 被覆工具
US10640864B2 (en) 2014-04-10 2020-05-05 Tungaloy Corporation Coated tool
US10471516B2 (en) * 2017-01-07 2019-11-12 Tungaloy Corporation Coated cutting tool
US11104986B2 (en) * 2017-05-19 2021-08-31 Walter Ag Metal cutting tool with multi-layer coating
CN107740052A (zh) * 2017-10-16 2018-02-27 东南大学 一种TiSiTaN涂层刀具及其制备方法
US10994341B2 (en) * 2018-06-15 2021-05-04 Sumitomo Electric Hardmetal Corp. Surface-coated cutting tool and method for manufacturing same
JP2020142314A (ja) * 2019-03-05 2020-09-10 三菱マテリアル株式会社 硬質被覆層がすぐれた耐摩耗性および耐剥離性を発揮する表面被覆切削工具
JP7274121B2 (ja) 2019-03-05 2023-05-16 三菱マテリアル株式会社 硬質被覆層がすぐれた耐摩耗性および耐剥離性を発揮する表面被覆切削工具
WO2023191049A1 (ja) * 2022-03-31 2023-10-05 京セラ株式会社 被覆工具および切削工具
WO2023246967A1 (de) * 2022-06-22 2023-12-28 Rainer Cremer Beschichtetes werkzeug, verfahren zu dessen herstellung sowie verwendung des werkzeugs
WO2024190269A1 (ja) * 2023-03-14 2024-09-19 京セラ株式会社 被覆工具及び切削工具

Also Published As

Publication number Publication date
JP5235607B2 (ja) 2013-07-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5235607B2 (ja) 表面被覆工具
US8784977B2 (en) Coated cubic boron nitride sintered body tool
JP5052666B2 (ja) 表面被覆工具
JP4960149B2 (ja) 表面被覆切削工具
JP6634647B2 (ja) 耐チッピング性、耐摩耗性にすぐれた表面被覆切削工具
JP5321975B2 (ja) 表面被覆切削工具
JP4388582B2 (ja) 硬質皮膜層及びその形成方法
JP2017177239A (ja) 表面被覆切削工具、およびその製造方法
JP5883161B2 (ja) 切削工具
JP2012096304A (ja) 耐剥離性に優れる表面被覆立方晶窒化ほう素基超高圧焼結材料製切削工具
JP2008240079A (ja) 被覆部材
JP5395454B2 (ja) 表面被覆切削工具
JP2004100004A (ja) 被覆超硬合金およびその製造方法
JPWO2019239654A1 (ja) 表面被覆切削工具、及びその製造方法
JP2005138209A (ja) 耐摩耗性部材
JP6978942B2 (ja) 被覆工具
JP5094348B2 (ja) 表面被覆工具
JP2008168364A (ja) 表面被覆切削工具
JP5267365B2 (ja) 表面被覆切削工具
JP4808972B2 (ja) 表面被覆切削工具
JP2012139795A (ja) 軟質難削材の高速切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐剥離性とすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具
JP2008132564A (ja) 表面被覆切削工具
JP2013052478A (ja) 硬質被膜被覆工具
JP6062623B2 (ja) 切削工具
JP5121486B2 (ja) 切削工具

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110615

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121211

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130117

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130226

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130326

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5235607

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160405

Year of fee payment: 3