JP2010099392A - 食器洗浄機 - Google Patents

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Abstract

【課題】洗浄機本体の前面側のみならず、上面側からでも食器類を出し入れできる利便性を保ちつつ、洗浄運転中に洗浄水が外部に噴出するなどの不具合発生を確実に防止することができる食器洗浄機を提供する。
【解決手段】洗浄機本体1の前面側と上面側とにそれぞれ前面開口部3と上面開口部4とを形成し、前面開口部3から食器類が収納される洗浄槽2の出し入れを、上面開口部4には上面扉70を設けて食器類の出し入れを可能にするとともに、制御手段58によって、洗浄運転時と待機時に応じて、それぞれ洗浄槽位置検出手段53および上面扉位置検出手段80の検出出力に基づいて、洗浄槽2をロックする洗浄槽ロック機構40と上面扉70をロックする上面扉ロック機構72とを互いに連係制御して不具合発生を防止する。
【選択図】図2

Description

本発明は、食器洗浄機に関し、詳しくは、食器洗浄機本体の前面に設けられた前面開口部を通じて洗浄槽を略水平方向に出し入れできるとともに、食器洗浄機本体の上面に設けられた上面開口部を通じて食器類の出し入れを行うことができる食器洗浄機に関する。
一般に、システムキッチンなどに組み込まれるビルトインタイプの食器洗浄機として、洗浄機本体の前面側に設けられた前面開口部を通じて洗浄槽を略水平方向にスライドさせて出し入れできるようにした、いわゆる前面引き出し式のものがある。しかし、この前面引き出し式のものは、食器類をシンクで軽く濯いだ後に、洗浄機本体の庫内に移す際、食器類からの水滴が床や調理台の上に落下して汚してしまうことが多い。
そこで、従来技術では、洗浄機本体の上面に上面開口部を形成するとともに、この上面開口部を開閉する上面扉を設け、この上面扉を開いて上面開口部を通じて食器類の出し入れを行うことができるようにした上面開閉式の食器洗浄機も提案されている(例えば、下記の特許文献1参照)。この上面開閉式のものは、洗浄機本体の上面を調理台の上面と略同じ位置になるように設定しておけば、食器類をシンクで軽く濯いだ後に、洗浄機本体の上面から庫内に食器類を直接に移して洗浄することができるため、食器類から落下する水滴によって床や調理台を汚してしまう恐れを軽減することができる。
ところが、この上面開閉式のものは、食器類の洗浄、乾燥後において、洗浄機本体の前面開口部を通じて食器類を取り出すことができず、洗浄、乾燥後の食器類を取り出す際にはあくまで上面扉を開く必要がある。そのため、調理中にシンクからの水滴が洗浄機本体の庫内に飛散、落下してせっかく洗浄、乾燥した食器類が再び濡れたり、汚れてしまうといった不具合を生じる。
そこで、従来技術では、洗浄機本体の前面側と上面側とにそれぞれ前面開口部と上面開口部とを形成するとともに、前面開口部には前面扉を、上面開口部には上面扉をそれぞれ設け、双方の扉から食器類の出し入れを行えるようにした構成のものも提案されている(例えば、下記の特許文献2参照)。
この特許文献2記載の構成を有する食器洗浄機をシステムキッチンに組み込んで設置する場合には、食器類をシンクで軽く濯いだ後、上面扉を開いて直接に洗浄機本体の庫内に食器類を移すことができるので、食器類から落下する水滴で床や調理台を汚してしまう恐れがなく、また、食器類の洗浄、乾燥後は、前面扉を開いて洗浄槽を前方に引き出して食器類を取り出すことができるので、シンクからの水滴が直接に洗浄機本体の庫内に飛散、落下して洗浄、乾燥後の食器類が再び濡れたり、汚れてしまうといった不具合発生を軽減できるという利点がある。
実公平6−39637号公報 実開平3−92459号公報
しかし、上記の特許文献2記載の構成を有する食器洗浄機は、前面開口部に設けた前面扉の開閉動作と、上面開口部に設けた上面扉の開閉動作とが何ら互いに連係されていないので、未だ次の不都合がある。
すなわち、引き出し方式の洗浄槽を有する従来の食器洗浄機は、通常、洗浄運転中には前面扉が不注意に開かれて洗浄槽が引き出されないようにロックする機構が設けられているものの、上面開口部に上面扉を設けた場合に、洗浄運転中に洗浄槽がロックされていても、上面扉はロックされているとは限らないので、上面扉が不注意に開かれると、洗浄槽内の洗浄水が上面開口部から外部に噴出、飛散するなどの不具合を生じる。
また、洗浄運転中に使用者が洗浄槽を不注意に引き出そうとした場合に洗浄槽が引き出されてしまうと、洗浄水が前面開口部から外部に噴出、飛散するなどの不具合を生じる恐れがある。
さらに、食器類の洗浄、乾燥が終了して洗浄槽を洗浄機本体から前方に引き出した状態で、不注意に上面扉を開いてしまうと、シンクからの水滴が上面開口部から洗浄機本体内に流入してケーシング底部に水が溜まったり、内部を汚染したり、また上面扉が本体ケーシングと干渉して部品を破損するなどの不具合を生じる。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、洗浄運転中に洗浄槽内の洗浄水が外部に噴出、飛散するなどの不具合発生を確実に防止することができ、また、洗浄槽を前面開口部から引き出した状態で不注意で上面扉が開いてしまって、洗浄機本体内に流入してケーシング底部に水が溜まったり、上面扉が本体ケーシングと干渉して部品を破損したりするなどの不具合発生を確実に防止することができる食器洗浄機を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明にかかる食器洗浄機は、
洗浄すべき食器類が収容されるように少なくとも上部が開口した洗浄槽と、
前記洗浄槽を収納して洗浄運転を実行する洗浄機本体と、
前記洗浄機本体の前面側に設けられて前記洗浄槽が出し入れされる前面開口部と、
前記洗浄機本体の上面側に設けられて食器類が出し入れされる上面開口部と、
前記前面開口部を開閉する前面扉と、
前記上面開口部を開閉する上面扉と、
前記洗浄槽が前記洗浄機本体から引き出されないようにロックする洗浄槽ロック機構と、
前記上面扉が開放されないようにロックする上面扉ロック機構と、
前記洗浄槽の収納位置を検出する洗浄槽位置検出手段と、
前記上面扉の開閉位置を検出する上面扉位置検出手段と、
前記洗浄運転時と洗浄運転が行われていない待機時に応じて、それぞれ前記洗浄槽位置検出手段および前記上面扉位置検出手段の検出出力に基づいて、前記洗浄槽ロック機構と前記上面扉ロック機構とを互いに連係して制御する制御手段と、
を備えることを特徴としている。
また、請求項2記載の発明にかかる食器洗浄機は、請求項1記載の発明の構成において、前記制御手段は、前記洗浄運転時において、前記洗浄槽ロック機構を制御して前記洗浄槽をロック状態にし、かつ、前記上面扉ロック機構を制御して前記上面扉をロック状態にするものであることを特徴としている。
また、請求項3記載の発明にかかる食器洗浄機は、請求項1記載の発明の構成において、前記制御手段は、前記待機時において、上面扉位置検出手段の検出出力に基づいて上面扉が開かれていると判断した場合には、前記洗浄槽ロック機構を制御して前記洗浄槽をロック状態にする一方、前記洗浄槽位置検出手段の検出出力に基づいて前記洗浄槽が引き出されていると判断した場合には、前記上面扉ロック機構を制御して前記上面扉をロック状態にするものであることを特徴としている。
また、請求項4記載の発明にかかる食器洗浄機は、請求項1記載の発明の構成において、前記制御手段は、洗浄運転指令が入力された場合には、洗浄運転の開始前に予め前記洗浄槽位置検出手段および上面扉位置検出手段の検出出力に基づいて前記洗浄槽が前記洗浄機本体内の所定位置に収納され、かつ、前記上面扉が閉じられているか否かを判断し、前記洗浄槽が洗浄機本体内に収納されていない状態と、前記上面扉が閉じられていない状態の少なくとも一方の状態であるときには警報を発するものであることを特徴としている。
また、請求項5記載の発明に係る食器洗浄機は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明の構成において、前記洗浄槽が洗浄機本体内の所定位置まで収納されたときには洗浄槽の上部の前記開口周辺にクランプされ、洗浄槽が洗浄機本体から引き出されたときには洗浄槽から離間するように、洗浄槽の出し入れに応じて連動する内側フレームを備え、前記上面扉はこの内側フレームに開閉自在に取り付けられていることを特徴としている。
また、請求項6記載の発明に係る食器洗浄機は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明の構成において、前記洗浄槽ロック機構は、前記洗浄槽に被係止部が配設され、前記洗浄機本体には前記洗浄槽が前記洗浄機本体の所定収納位置に収納されたときに前記被係止部を係止する係止部材と、前記係止部材を係止位置に向けて付勢する係止用付勢手段と、前記係止用付勢手段の付勢力に抗して前記係止部材を、前記係止位置から、前記被係止部から離脱した非係止位置まで動作させる係止解除用駆動手段とが配設されて構成されていることを特徴としている。
また、請求項7記載の発明に係る食器洗浄機は、請求項5または6のいずれかに記載の発明の構成において、前記上面扉ロック機構は、前記上面扉の回動支点側と反対側の端部に凹部が形成される一方、前記内側フレームには、前記凹部に嵌入される係止爪が進退自在に設けられるとともに、前記係止爪が前記凹部から離脱するのを阻止する阻止手段が設けられて構成されていることを特徴としている。
本発明(請求項1)によれば、制御手段は、洗浄運転時と待機時の下で、それぞれ洗浄槽位置検出手段および上面扉位置検出手段の検出出力に基づいて、洗浄槽ロック機構と上面扉ロック機構とを互いに連係して制御するので、洗浄運転時および待機時のいずれの状態においても、洗浄水の外部飛散などの不都合を生じたり、使用者に不便を感じさせることなく、食器洗浄機を円滑に稼働させることができる。
また、本発明(請求項2)によれば、制御手段は、洗浄運転時において、洗浄槽ロック機構と上面扉ロック機構とによって洗浄槽および上面扉をいずれもロック状態にするため、洗浄運転時に洗浄槽や上面扉が不注意で開かれることがなく、洗浄槽内の洗浄水が外部に噴出、飛散するなどの不具合発生を確実に防止することができる。
また、本発明(請求項3)によれば、制御手段は、待機時において、上面扉が開かれていると判断した場合には、洗浄槽ロック機構を制御して洗浄槽をロック状態にする一方、洗浄槽が引き出されていると判断した場合には、上面扉ロック機構を制御して上面扉をロック状態にするので、洗浄槽を前面開口部から引き出した状態で不注意で上面扉が開いてしまって、洗浄水が洗浄機本体内に流入してケーシング底部に水が溜まったり、上面扉が本体ケーシングと干渉して部品を破損するなどの不具合発生を確実に防止することができる。
また、本発明(請求項4)によれば、制御手段は、洗浄運転開始前に予め洗浄槽の収納状態と上面扉の開閉状態を調べ、洗浄運転の開始前に洗浄槽が洗浄機本体内に収納されていなかったり、上面扉が閉じられていなかったりした場合には警報を発するので、洗浄運転に移行する前に使用者に注意を促して正常な洗浄運転が可能な状態にさせることができる。
また、本発明(請求項5)によれば、洗浄槽の出し入れに応じて連動する内側フレームを備え、この内側フレームに上面扉が開閉自在に取り付けられているので、洗浄槽が洗浄機本体内に収納された状態では、内側フレームが洗浄槽側に押し付けられてその周囲にクランプされ、かつ、洗浄運転中は上面扉が上面扉ロック機構によってロックされるので、比較的簡単な構成でもって、洗浄運転中に洗浄槽内の洗浄水が上面開口部から外部に噴出、飛散するのを確実に防止することができる。また、洗浄運転後に洗浄槽を洗浄機本体から引き出す際には内側フレームの洗浄槽へのクランプ状態が解除されるため、小さな操作力で洗浄槽を手前に引き出すことができる。
また、本発明(請求項6)によれば、洗浄槽ロック機構は、洗浄機本体との間において洗浄槽を直接にロックする機構であるため、洗浄槽は洗浄機本体に確実にロックされ、したがって、使用者が誤って洗浄槽を強く引っ張った場合にも、洗浄槽が外部に引き出されてしまうという不具合が発生するのを防止することが可能で、洗浄運転中の洗浄水の噴出防止対策を有効に講じることができる。しかも、ロック機構の構成も簡単であり、安価に製作することができる。
また、本発明(請求項7)によれば、上面扉ロック機構は、内側フレームに開閉自在に取り付けられた上面扉をロックするようにしているため、上面扉を内側フレームに確実にロックして洗浄機本体の上面開口部を閉じることができ、かつ、内側フレームの動作に何ら支障を生じることがない。しかも、ロック機構の構成も簡単であり、安価に製作することができる。
以下、本発明の実施例を示して、その特徴とするところをさらに詳しく説明する。
図1は本発明の実施例にかかる食器洗浄機をシステムキッチンに組み込んだ状態を示す斜視図、図2は同食器洗浄機において洗浄槽を引き出した状態の全体構成を示す概略斜視図、図3は同食器洗浄機を一部を省略して示す平面図である。また、図4は同食器洗浄機において上面扉を内側フレームにロックする過程の側面断面図、図5は同食器洗浄機において上面扉を内側フレームにロックする上面扉ロック機構を示す平面図、図6は同食器洗浄機の洗浄槽の引き出し状態を示す側面断面図、図7は同食器洗浄機の引き出し状態における動作説明図、図8は同食器洗浄機の洗浄槽が引き出し状態と収納状態との間の中間状態にある場合を示す側面断面図、図9は同食器洗浄機の洗浄槽の引き出し状態と収納状態との間の中間状態における動作説明図、図10は同食器洗浄機の洗浄槽の収納状態を示す側面断面図、図11は同食器洗浄機の収納状態における動作説明図、図12は同食器洗浄機を構成する洗浄槽の収納状態を、内側フレームと上面扉を除いて示す平面図である。
この実施例の食器洗浄機は、システムキッチンに組み込まれるビルトインタイプのものであって、図1,2および図20などに示すように、略箱状をした洗浄機本体(本体ケーシング)1を備え、この洗浄機本体1の前面側には洗浄槽2を出し入れするための前面開口部3が、また、洗浄機本体1の上面側には食器類を出し入れするための上面開口部4が形成されている。そして、洗浄機本体1の内側の収納空間内には上述の洗浄槽2が前面開口部3を通して略水平方向に出し入れできるような態様で収容されている。さらに、洗浄機本体1内には、洗浄運転を実行するために、図示しないが、食器洗浄用の洗浄液を循環させるポンプが設けられている。
また、図1〜4などに示すように、洗浄機本体1の内側の上部には、上面開口部4の内周に略沿った外形を有し、かつ、内側に食器類の取り出し用の内側開口10a(点線で示す)が形成された内側フレーム10が略上下方向に昇降可能に保持された状態で配置され、この内側フレーム10に上面扉70が設けられている。そして、この上面扉70がシステムキッチンの洗い場のシンク19の横に位置するように設置されている。これにより、洗浄槽2が洗浄機本体1内に収納された状態で上面扉70を開くと、内側フレーム10の内側開口10aおよび洗浄機本体1の上面開口部4を通して食器類を出し入れして洗浄槽2の食器かご6に載置することができる。
また、洗浄機本体1の内部には、図2,図6などに示すように、洗浄槽2を前面開口部3から出し入れするためのガイド用の左右一対のレール7が配設され、その左右一対のレール7を介して洗浄槽2が洗浄機本体1の収納空間に対して、矢印Aで示す収納移動方向と、矢印Bで示す引き出し移動方向へスライド移動することができるように構成されている。
洗浄槽2は、図2に示すように、その上面側に食器類や洗浄かご6(図6)を出し入れするための開口部2aが形成され、また、前面側には洗浄機本体1の前面開口部3を開閉する前面扉9が設けられている。この前面扉9には、引き出し用の把手8、および使用者が洗浄運転やその停止を行うための運転/停止スイッチ57や警告ランプ81などを有する操作パネル20が設けられている。
そして、使用者が把手8を把持して、洗浄槽2を引き出し移動方向Bへスライド移動させることにより、図2に示すように、洗浄槽2が洗浄機本体1の前方側に引き出されて、食器類5や洗浄かご6を取り出したり収納したりすることが可能になる。また、使用者が、洗浄槽2を収納移動方向Aへスライド移動させることにより、洗浄機本体1内に洗浄槽2を収納して、食器類5を洗浄したり乾燥したりすることができるように構成されている。
また、内側フレーム10は、洗浄槽2が洗浄機本体1に収納移動されると洗浄槽2の上部にクランプされた状態となり、洗浄槽が洗浄機本体1から引き出し移動されるとクランプが解除された状態となるように動作するように構成されている。なお、そのための具体的な構成については後に詳述する。
この内側フレーム10の後端側の左右には、図3に示すように、上面扉70の開閉用の支持部71が設けられており、この支持部71によって上面扉70が開閉自在に支持されて内側フレーム10の内側開口10aが開閉される。また、上面扉70の内面には内側フレーム10との間をシールするシール部材(図示せず)が取り付けられている。
また、内側フレーム10の前端側の左右には、上面扉70を閉じたときに当該扉70を内側フレーム10にロックする上面扉ロック機構72が設けられている。この上面扉ロック機構72は、図4に示すように、上面扉70の前端部に凹部73が形成される一方、内側フレーム10の前端側の内側開口10aを臨む位置には、上記凹部73に嵌入される先端が円弧状に形成された係止爪74が内側開口10aに向けて突出するようにスプリング75で付勢された状態で進退自在に設けられるとともに、図5に示すように、係止爪74には嵌入孔76が形成されている。また、ロック機構72には、係止爪74が凹部73に係止された状態において上記の嵌入孔76に挿入されるスピンドル77がロックユニット78により進退可能に設けられている。
ロックユニット78は、スピンドル77を進退駆動するスピンドル駆動モータ79(図17参照)やギヤ(図示せず)を有し、このロックユニット78がロック機構72に取り付けられている。そして、上面扉70を閉じる場合には、上面扉70の前端部が係止爪74に接した状態になり(図4(イ)参照)、さらに、上面扉70が下降されると上面扉70の両側によって係止爪74がスプリング75の付勢力に抗して後退され(図4(ロ)参照)、その後さらに上面扉70が下降されると、係止爪74がスプリング75の付勢力によって外方に突出して凹部73内に係入される(図4(ハ)参照)。そして、図5(ロ)に示すように、係止爪74が凹部73に係入された状態においてスピンドル77が嵌入孔76内に挿入されると、係止爪74が後退できないため、上面扉70が内側フレーム10にロックされた状態となり、上面扉70を開くことができなくなる。よって、嵌入孔76、スピンドル77およびロックユニット78が、係止爪74が凹部73から離脱するのを阻止する阻止手段を構成している。
さらに、ロック機構72の係止爪74に近接した箇所には、図4に示すように、上面扉70が閉じられた位置にあることを検出するマイクロスイッチ等からなる上面扉位置検出手段としての上面扉位置検出センサ80が設けられている。
さらにまた、内側フレーム10の左右の各側部には、カムフォロアとして機能する前後一対のカムピン37(図7,図9,図11参照)がそれぞれ外側に向けて突出するように設けられている。また、内側フレーム10の上部と洗浄機本体1の前端部との間には、内側フレーム10を洗浄機本体1の前面開口部3側に向けて付勢する左右一対のスプリング38が介装されている(図2,図3など参照)。
また、洗浄機本体1の内側の上部左右の側端には、図13に示すように、前後一対の保持舌片23が内側フレーム10の各カムピン37に個別に対応するように洗浄機本体1と一体的に設けられている。そして、各前後一対の保持舌片23間には、内側フレーム10を洗浄槽2の上部にクランプするためのクランプ部材26が上下方向(符号Cで示す方向(図7,9,11参照))に移動可能な状態で嵌入されている。
各クランプ部材26は、合成樹脂や金属製の成形品からなり、その上部には、内側フレーム10の前述のカムピン37がそれぞれ嵌入するカム溝22が、また、カム溝22の両端部の外側には各保持舌片23の上縁に当接して位置決め保持される保持片24が形成されている。さらに、クランプ部材26の下部には、洗浄槽2の後述の受け止め面35(図7(イ)など)が当接することで当該クランプ部材26の上下方向Cへの移動を規制するための当接部25が形成されている。
前記カム溝22は、図7に示すように、上下方向に沿った中心線Lを中心として左右対称形に略V字状に形成されており、洗浄槽2が洗浄機本体1内に収納されたときにはカムピン37はカム溝22の最下方位置に、洗浄槽2が洗浄機本体1から引き出されたときにはカムピン37はカム溝22の最上方位置にそれぞれ移行する。
前記洗浄槽2は、その開口部2aの外周に沿った各辺に外方に張り出したフランジ部32(図7(イ),図9(イ))が形成され、その内の左右の各フランジ部32からは下方へ向けて突出する状態で受け止め面35(図7(イ),図9(イ))が形成され、各受け止め面35の下縁がクランプ部材26の当接部25に対向している。
洗浄機本体1の内側後方の上部左右の位置には、内側フレーム開閉操作具としての一対の案内レバー11(図7,図9)がそれぞれ配置されている。各案内レバー11は、洗浄機本体1に固定された取付固定部12、揺動支承軸39、プッシュレバー13、および案内ピン14を備えている。そして、プッシュレバー13の基端側は、取付固定部12に設けられた揺動支承軸39を軸心として揺動自在に取り付けられ、また、先端側には上下方向に沿って延びる円筒状の案内ピン14が設けられている。
一方、内側フレーム10の後端部の左右には、洗浄槽2の移動方向と直交する方向に延びる長穴16(図7(イ)参照)が形成されており、各長穴16にプッシュレバー13の先端部の案内ピン14が常時嵌入されている。これにより、案内ピン14が長穴16に沿って摺動する摺動可能範囲内でプッシュレバー13が揺動し得るので、これに応じて内側フレーム10もプッシュレバー13の揺動可能範囲内で前後方向(図7(ロ)の左右方向)に沿って移動するように構成されている。そして、前述のように、内側フレーム10の左右にはカムピン37が固定されているので、内側フレーム10の前後の移動に伴ってカムピン37は、クランプ部材26のカム溝22に沿って摺動する。
また、洗浄槽2の後方端の上部左右には、図12に示すように、洗浄槽溝15が案内レバー11に個別に対応して設けられている。この洗浄槽溝15は、例えば図7(ロ)に示すように、嵌合手前側当接部17と奥側当接部18とで囲まれた状態で形成されており、嵌合手前側当接部17は洗浄槽2の側面まで延び、また奥側当接部18は途中で後方側に後退するようにそれぞれ形成されている。そして、各洗浄槽溝15は、プッシュレバー13の揺動によってプッシュレバー13の先端の案内ピン14と係脱するように構成されている。
また、洗浄機本体1内の後方箇所には、洗浄槽2を収納方向および引き出し方向に移動させる際にその移動力を補助するための左右一対のトグル機構27(図6,7など参照)が設けられている。
各トグル機構27は、洗浄槽2の後端部に係合用ピン36が配設される一方、洗浄機本体1の後端部には、図7(イ),図9(イ)などに示すように、略L字状のレバー29が枢支ピン31によって揺動自在に設けられ、このレバー29の枢支ピン31を挟む一端側には上記の係合用ピン36に係合する係合用切欠き28が形成され、他端側は洗浄機本体1に一端が固定されたコイルスプリング30(図7(イ),図9(イ))の他端が取り付けられて構成されている。これにより、レバー29に対するコイルスプリング30の付勢力(回動作用方向)が、図9(イ)に示す設定切換位置Dを境として時計方向と反時計方向とに切り換わるように構成されている。
また、この実施例では、図10に示すように、洗浄機本体1内の後部側に洗浄槽ロック機構40が設けられている。この洗浄槽ロック機構40は、洗浄運転時には洗浄槽2が洗浄機本体1内に収納されて引き出すことができない状態であるロック状態と、洗浄運転が行われていない状態では洗浄槽2を洗浄機本体1内から自由に引き出すことができる状態であるロック解除状態とを実現することができるように構成されている。
すなわち、この洗浄槽ロック機構40は、この実施例の場合、具体的には図14,図15に示すように、洗浄槽2の後端部に、被係止部としてストライクピン41を配設するとともに、洗浄槽2が洗浄機本体1の所定の収納位置に収納されたときにストライクピン41を係止する係止部材としてのフック42、このフック42をストライクピン41の係止位置側に向けて付勢する係止用付勢手段としての捩りバネ43、この捩りバネ43の付勢力に抗してフック42をストライクピン41の係止位置から、非係止位置まで、すなわちストライクピン41から離脱した位置まで動作させる係止解除用駆動手段としてのカム44をそれぞれ配設することにより構成されており、カム44のカム軸48には、カム44を回転駆動するカム駆動モータ(図示せず)が連結されて構成されている。
そして、フック42は、洗浄機本体1に固定された支軸45によって揺動可能に支持されるとともに、この支軸45に巻回された捩りバネ43によってストライクピン41の係止位置に向けて付勢(図15では時計方向に付勢)されている。さらに、フック42には、ストライクピン41と対向する先端部分に傾斜部46が形成されている。この傾斜部46は、洗浄槽2を所定の収納位置まで移動させたときに、ストライクピン41が当接して捩りバネ43による付勢力に抗してフック42を非係止位置まで円滑に移動させるように作用するものである。なお、洗浄槽2が所定の収納位置まで戻った場合には、再びストライクピン41がフック42により係止された状態になる。
また、フック42の遮光部材47に近接して、フック42が係止位置にあって洗浄槽2がロックされたか、あるいは非係止位置にあって洗浄槽2のロックが解除されたかを検出する洗浄槽ロック検出センサ50が配設されている。この洗浄槽ロック検出センサ50は、例えば投光部50aと受光部50bとが対向配置されたフォトカプラからなる。また、上記フック42の傾斜部46と支軸45を挟んで反対側の位置には、遮光部材47が突設されている。この実施例の構成においては、図15(イ)に示すように、フック42の遮光部材47が投光部50aと受光部50bとの間に介在するときには、受光部50bの出力がオフとなり、フック42が係止位置にあることが検出される。また、図15(ロ)に示すように、遮光部材47が投光部50aと受光部50bとの間から離脱したときには、受光部50bの出力がオンとなり、フック42が非係止位置にあることが検出される。
また、図16(イ),(ロ)に示すように、洗浄槽2の後端部には取付板52が設けられ、この取付板52に洗浄槽位置検出手段としての洗浄槽位置検出センサ53が固定されるとともに、この洗浄槽位置検出センサ53に近接してレバー54が揺動自在に取り付けられている。また、洗浄機本体1のレール7の取付板55にはレバー54に対向する位置にレバー押圧用の突起部56が形成されている。
この洗浄槽位置検出センサ53は、洗浄槽2が所定の収納位置にあるか否かを検出するものであって、前述の洗浄槽ロック検出センサ50と同様、例えば投光部53aと受光部53bとが対向配置されたフォトカプラからなる。そして、図16(イ)に示すように、レバー54が突起部55から離間していて投光部53aと受光部53bとの間に位置するときには、受光部53bの出力がオフするので、洗浄槽2が所定の収納位置から前方に引き出されていることが検出され、また、図16(ロ)に示すように、レバー54が突起部55に押圧されて投光部53aと受光部53bとの間から離脱したときには、受光部53bの出力がオンするので、洗浄槽2が所定の収納位置に収納されたことが検出されるように構成されている。
図17はこの実施例の食器洗浄機の動作制御系の概略構成を示すブロック図である。
制御手段としてのコントローラ58は、例えばマイクロコンピュータからなるもので、所定の制御プログラムをインストールすることにより、運転/停止スイッチ57からの操作信号、前述の洗浄槽ロック検出センサ50、洗浄槽位置検出センサ53、および上面扉位置検出センサ80からの各検出信号に基づいて、洗浄液を循環させるポンプ59や洗浄槽ロック機構40のカム44を駆動するカム駆動モータ60、および上面扉ロック機構72のスピンドル77を駆動するスピンドル駆動モータ79の各部の動作を制御するように構成されている。なお、このコントローラ58による制御動作については後でさらに詳述する。
次に、上記構成を備えた食器洗浄機の動作について説明する。
(1)洗浄槽2の収納移動および引き出し移動に伴う内側フレーム10の動作
洗浄槽2が洗浄機本体1から引き出された状態では、図6,図7(ロ)に示すように、洗浄機本体1の案内ピン14は洗浄槽溝15から離脱しており、また内側フレーム10はスプリング38で洗浄機本体1の前方開口側に引っ張られているので、各案内ピン14は内側フレーム10の長穴16内の外方端側の位置(以下、引き出し操作位置という)にある。このため、内側フレーム10のカムピン37はクランプ部材26のカム溝22の最上方位置に移行しており、内側フレーム10は上昇して洗浄槽2の開口部2aから離脱している。
この状態から洗浄槽2を収納方向Aへ次第に移動させていくと、洗浄槽2が図8および図9に示す中間位置に到達するまでの範囲では、洗浄槽溝15は案内ピン14に依然として係合しないので、案内ピン14は引き出し操作位置に保持されている。
そして、洗浄槽2が図8および図9に示す中間位置に到達すると、図9(ロ)に示すように、洗浄槽2の手前側当接部17が案内ピン14に当接する。洗浄槽2をさらに収納方向Aへ移動させると、案内ピン14が洗浄槽2の手前側当接部17によって押圧されるので、案内ピン14は内側フレーム10の長穴16に沿って内方に向けて摺動するとともに、洗浄槽溝15内に嵌入する。これに伴いプッシュレバー13が図中反時計方向に回動する。このプッシュレバー13の回動によって内側フレーム10がスプリング38の引っ張り力に抗して収納方向Aへ押し移動される(図9(イ)参照)。そのため、内側フレーム10のカムピン37はクランプ部材26のカム溝22の最上方位置から最下方位置に向けて移行し、その結果、内側フレーム10が洗浄槽2の開口部2aに向けて下降する。
洗浄槽2を最終の収納位置まで移動させると、図11(ロ)に示すように、各案内ピン14は内側フレーム10の長穴16内の内方端側の位置(以下、収納操作位置という)に移行する。これに伴い、内側フレーム10のカムピン37はクランプ部材26のカム溝22の最下方位置に移行し、その結果、各クランプ部材26の当接部25が、洗浄槽2の受け止め面35に当接し、クランプ部材26の開閉方向Cへの移動が阻止されるとともに、内側フレーム10が洗浄槽2側に押し付けられて洗浄槽2の開口部2aの周囲に確実にクランプされる。しかも、洗浄運転中は、後述のように上面扉70は上面扉ロック機構72によって内側フレーム10に確実にロックされるので、洗浄運転中に洗浄槽2内の洗浄水が上面開口部4および内側フレーム10の内側開口10aを通じて外部に噴出、飛散するなどの不具合を生じることはない。
一方、洗浄運転が終了して、洗浄槽2を最終の収納位置から引き出し方向Bへ移動させるときは、上記の説明とは逆の動作となる。すなわち、洗浄槽2の手前側当接部17による案内ピン14への押圧作用が解除されるとともに、内側フレーム10にはスプリング38の引っ張り力が加わるため、案内ピン14は内側フレーム10の長穴16に沿って収納操作位置から引き出し操作位置に向けて摺動するとともに、内側フレーム10のカムピン37はクランプ部材26のカム溝22の最下方位置から最上方位置まで移行する。その結果、内側フレーム10が洗浄槽2の開口部2aの周囲にクランプされた状態から開放されるので、洗浄槽2を小さな操作力でもって容易に引き出すことができる。
このように、洗浄槽2を収納移動および引き出し移動すると、これに応じて案内レバー11、クランプ部材26のカム溝22、およびスプリング38の相互作用によって内側フレーム10が連動して内側フレーム10のクランプおよび開放操作が行われることになる。
(2)洗浄槽2の収納移動および引き出し移動に伴うトグル機構27の動作
洗浄槽2を洗浄機本体1の収納空間に収納した状態では、図10、図11(イ)に示すように、洗浄槽2から後方に向けて突出する係合用ピン36が、レバー29の係合用切欠き28内に嵌入し、コイルスプリング30の付勢力に起因するレバー29の回動力が、洗浄槽2の収納移動方向A側に作用する。
その際、前述のように、洗浄槽2の手前側当接部17が案内ピン14に当接してこれを収納移動方向A側に押圧しているので、内側フレーム10のカムピン37がカム溝22内における最下方位置に位置し、その結果、内側フレーム10が洗浄槽2の開口部2aの周囲にクランプされた状態となる。
この収納状態から洗浄槽2を引き出し移動方向B側へ移動すると、レバー29がコイルスプリング30の付勢力に抗して引き出し移動方向B側に回動され、レバー29が図9(イ)に示した設定切換位置Dを越えると、図7(イ)、図8に示すように、コイルスプリング30の付勢力に起因するレバー29の回動力が、引き出し移動方向B側に作用するように切り換わる。これにより、コイルスプリング30の付勢力によって、洗浄槽2が引き出し移動方向B側に押し出され、その後、係合用ピン36が係合用切欠き28から外れるとともに、前述のように内側フレーム10の上昇による洗浄槽2からのクランプが解除されるので、洗浄槽2を前面開口部3から洗浄機本体1の外方に引き出すことができるようになる。
この引き出し状態から逆に洗浄槽2を収納移動方向A側へ押し込むと、洗浄槽2から突出する係合用ピン36がレバー29の係合用切欠き28内に嵌入してこれを押圧するので、引き出し時とは逆に、レバー29をコイルスプリング30の付勢力に抗して収納移動方向A側に回動させる。そして、レバー29が設定切換位置Dを越えると、レバー29の回動力が収納移動方向A側に作用するように切り換わるので、コイルスプリング30の付勢力によって洗浄槽2が収納移動方向A側に引き込まれる。
このように、洗浄槽2の収納移動および引き出し移動に伴って、トグル機構27のレバー29に対するコイルスプリング30の付勢力(回動作用方向)が、設定切換位置Dを境として時計方向と反時計方向とに切り換わるので、洗浄槽2の収納移動および引き出し移動を小さな操作力でもって行うことが可能になる。
(3)食器洗浄機の運転/停止などに伴うコントローラ58による制御動作
以下、コントローラ58による制御動作の一例について、図18および図19に示すフローチャートを参照して説明する。なお、符号Sは各処理ステップを意味する。
コントローラ58は、洗浄運転が終了した時点において、まず、運転/停止スイッチ57の操作による洗浄運転の開始指令があるか否かを判断する(S1)。運転/停止スイッチ57が操作されていなければ、洗浄運転後の待機状態と判断して、上面扉70のロック状態を解除する(S2)。すなわち、コントローラ58は、スピンドル駆動モータ79を駆動してスピンドル77を後退させて係止爪74の嵌入孔76から離脱させる。
次に、コントローラ58は、上面扉位置検出センサ80の検出出力に基づいて上面扉70が開かれた状態になったか否かを判断する(S3)。このとき、上面扉70が開かれずに閉じた状態あると判断した場合には、洗浄槽2のロック状態を解除する(S4)。すなわち、コントローラ58は、カム駆動モータ60を駆動してカム44を回動させ、フック42を洗浄槽2のストライクピン41から離脱させる(図15(ロ)の状態)。
次に、コントローラ58は、洗浄槽位置検出センサ53の検出出力に基づいて洗浄槽2が洗浄機本体1から引き出された状態になったか否かを判断する(S5)。このとき、洗浄槽2が前方に引き出されておらず、洗浄機本体1内に収納されたままであると判断した場合には、S3に戻る。また、S5で洗浄槽2が前方に引き出されていると判断した場合には、上面扉70をロックする(S6)。すなわち、上面扉ロック機構72のスピンドル駆動モータ79を駆動してスピンドル77を進出させて係止爪74を嵌入孔76に嵌入させる。次に、洗浄槽位置検出センサ53の検出出力に基づいて、洗浄槽2が洗浄機本体1内の所定位置まで収納されたか否かを判断し(S7)、洗浄槽2が所定位置に収納されていなければ、S6に戻って上面扉70のロック状態を継続する。また、S7で洗浄槽2が所定位置に収納されたと判断した場合にはS1に戻る。
このように、洗浄運転後の待機状態において、洗浄槽2が洗浄機本体1の前面開口部3から引き出された状態になると、これに連係して上面扉70が内側フレーム10にロックされる。このため、洗浄槽2が洗浄機本体1から引き出された状態で、不注意で上面70が開放されてしまい、その結果、シンク19からの水滴が洗浄機本体1内に流入して洗浄機本体1内の底部に水が溜まったり、洗浄機本体1内を汚染したり、上面扉70が洗浄機本体1と干渉して部品を破損するなどの不具合発生を確実に防止することができる。
しかも、洗浄運転の終了後は、上面扉70が閉じた状態であれば、洗浄槽2を洗浄機本体1の前面開口部3から手前に引き出すことができるので、洗浄した食器類が再びシンク19から飛散した水で濡れたり、汚れてしまうといった不具合が生じるのを防止することができる。
また、コントローラ58は、S3で上面扉70が開かれた状態になったと判断した場合には、洗浄槽2を洗浄機本体1にロックする(S8)。すなわち、カム駆動モータ60を起動してカム44を回動し、フック42によって洗浄槽2のストライクピン41を係止する(図15(イ)の状態)。次に、上面扉70が閉じられたかどうかを判断し(S9)、上面扉70が閉じられていなければ、S8に戻って洗浄槽2のロック状態を継続する。また、S9で上面扉70が閉じられたと判断した場合にはS1に戻る。
このように、図20(イ)に示すように、洗浄運転後の食器類が収納された洗浄槽2を洗浄機本体1から手前に引き出して、洗浄後の食器類を取り出した後、洗浄槽2を再び洗浄機本体1内に収納すれば、上面扉70のロックは解除されて開くことができる。したがって、図20(ロ)に示すように、上面扉70を開いて内側フレーム10の内側開口10aおよび上面開口部4を通じて食器類を洗浄槽2の食器かご6内に載置することができる。これにより、洗浄槽2を前面開口部3から手前に引き出さなくても、食器類をシンク19で軽く濯いだ後、直接に上部から浄機本体1内に収納されている洗浄槽2内に移すことができる。したがって、食器類から落下する水滴で床や調理台を汚してしまう恐れがない。しかも、上面扉70が開かれると、これに連係して洗浄槽2が洗浄機本体1にロックされるので、上面扉70が開かれた状態のときに不注意で洗浄槽2が洗浄機本体1の前面開口部3から引き出されてしまうのを確実に防止することができる。
一方、S1において、運転/停止スイッチ57が操作されて洗浄運転が指令されたときには、コントローラ58は、まず、洗浄槽2が洗浄機本体1内に確実に収納されているかどうかを判断する(S11)。すなわち、洗浄槽位置検出センサ53の検出出力がオンになっているか否かを判定する。洗浄槽位置検出センサ53がオンになっていなければ、洗浄槽2が所定の収納位置に収納されていないので、操作パネル20に設けられている警告ランプ81を点滅して使用者に注意を促す(S13)。
洗浄槽位置検出センサ53の検出出力がオンになっていて洗浄槽2が洗浄機本体1内に確実に収納されていると判断した場合には、続いて、上面扉位置検出センサ80の検出出力に基づいて上面扉70が閉じられているかどうかを判断する(S12)。上面扉70が閉じられていなければ、操作パネル20に設けられている警告ランプ81を点滅して使用者に注意を促す(S13)。
洗浄槽2が洗浄機本体1内に確実に収納され、かつ、上面扉70も閉じられていることが確認されると、コントローラ58は、洗浄槽ロック機構40を動作させて洗浄槽2を洗浄機本体1にロックするとともに(S14)、上面扉ロック機構72を動作させて上面扉70を内側フレーム10にロックする(S15)。すなわち、洗浄槽ロック機構40のカム駆動モータ60を起動してカム44を回動し、フック42によって洗浄槽2のストライクピン41を係止する。また、上面扉ロック機構72のスピンドル駆動モータ79を駆動してスピンドル77を進出させ、係止爪74の嵌入孔76に嵌入させる。なお、S14において、コントローラ58は、洗浄槽ロック検出センサ50がオフになっているか否かを判定し、オフになっておればフック42によって洗浄槽2のストライクピン41が確実に係止されたと判断する。
こうして、洗浄槽2が洗浄機本体1内に収納されて確実にロックされ、かつ、上面扉70も閉じられてロックさせた状態になると、コントローラ58は、初めて、洗浄運転を開始する(S16)。これにより、ポンプ59で加圧された洗浄水が食器類5に吹き付けられて洗浄が実施される。したがって、洗浄運転中に、不注意で洗浄槽2が引き出されたり、上面扉70が開かれたりして洗浄水が外部に飛散するといった不具合が生じるのを確実に防止することができる。
なお、洗浄運転中は、図15(イ)に示すように、洗浄槽ロック機構40の捩りバネ43の作用によってフック42がストライクピン41を確実に係止しているので、洗浄槽2が収納位置にロックされた状態が安定的に保持される。したがって、使用者が不用意に洗浄槽2を強く引っ張った場合にも、洗浄槽2が外部に引き出されてしまうという不具合の発生を確実に防止することができる。
コントローラ58は、洗浄運転の所定のシーケンスが終了したと判断すると(S17)、ポンプ59を停止した後(S19)、S1に戻る。また、洗浄運転の途中で運転/停止スイッチ57が操作されて運転停止が指令された場合にも(S18)、コントローラ58は、これに応じてポンプ59の動作を停止した後(S19)、S1に戻る。
なお、上記実施例の食器洗浄機では、トグル機構27を設けた例を示したが、このトグル機構27は必須のものではなく、トグル機構27を省略した構成とすることもできる。また、上記実施例では、洗浄槽ロック機構40を洗浄機本体1内の後端部側に設けているが、洗浄槽ロック機構40の位置は必ずしも洗浄機本体1内の後端部側に設ける必要はなく、洗浄機本体1の前側開口部3を開閉する前面扉9以外の領域であれば、任意の箇所に配設することが可能である。
本発明は、さらにその他の点においても上記実施例に限定されるものではなく、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
本発明の実施例にかかる食器洗浄機をシステムキッチンに組み込んだ状態を示す斜視図である。 本発明の実施例にかかる食器洗浄機において洗浄槽を引き出した状態の全体構成を示す概略斜視図である。 本発明の実施例にかかる食器洗浄機を一部を省略して示す平面図である。 本発明の実施例にかかる食器洗浄機において上面扉を内側フレームにロックする過程の側面断面図である。 本発明の実施例にかかる食器洗浄機において上面扉を内側フレームにロックする上面扉ロック機構を示す平面図である。 本発明の実施例にかかる食器洗浄機を構成する洗浄槽が引き出し状態にある場合を示す側面断面図である。 本発明の実施例にかかる食器洗浄機の動作を説明する図であって、洗浄槽が引き出し状態にある場合を示す図である。 本発明の実施例にかかる食器洗浄機を構成する洗浄槽が引き出し状態と収納状態との間の中間状態にある場合を示す側面断面図である。 本発明の実施例にかかる食器洗浄機の動作を説明する図であって、洗浄槽が引き出し状態と収納状態の中間状態にある場合を示す図である。 本発明の実施例にかかる食器洗浄機を構成する洗浄槽が収納状態にある場合を示す側面断面図である。 本発明の実施例にかかる食器洗浄機の動作を説明する図であって、洗浄槽が収納状態にある場合を示す図である。 本発明の実施例にかかる食器洗浄機を構成する洗浄槽の収納状態を、内側フレームと上面扉を除いて示す平面図である。 本発明の実施例にかかる食器洗浄機を構成するクランプ部材の洗浄機本体への取り付け状態を示す斜視図である。 本発明の実施例にかかる食器洗浄機を構成する洗浄槽ロック機構の平面図である。 本発明の実施例にかかる食器洗浄機を構成する洗浄槽ロック機構の側面図である。 本発明の実施例にかかる食器洗浄機を構成する洗浄槽位置検出センサの取り付け状態を示す要部側面断面図である。 本発明の実施例にかかる食器洗浄機の動作制御系の概略構成を示すブロック図である。 本発明の実施例にかかる食器洗浄機におけるコントローラによる制御動作の説明に供するフローチャートである。 本発明の実施例にかかる食器洗浄機におけるコントローラによる制御動作の説明に供するフローチャートである。 本発明の実施例にかかる食器洗浄機における洗浄槽の引き出し状態と上面扉の開放状態を示す斜視図である。
符号の説明
1 洗浄機本体(本体ケーシング)
2 洗浄槽
3 前面開口部
4 上面開口部
9 前面扉
10 内側フレーム
40 洗浄槽ロック機構
41 ストライクピン(被係止部)
42 フック(係止部材)
43 捩りバネ(係止用付勢手段)
44 カム(係止解除用駆動手段)
46 傾斜部
50 洗浄槽ロック検出センサ(洗浄槽ロック検出手段)
53 洗浄槽位置検出センサ(洗浄槽位置検出手段)
57 運転/停止スイッチ
58 コントローラ(制御手段)
59 ポンプ
60 カム駆動モータ
70 上面扉
72 上面扉ロック機構
73 凹部
74 係止爪
75 スプリング
77 スピンドル
78 ロックユニット
79 スピンドル駆動モータ
80 上面扉位置検出センサ(上面扉位置検出手段)
81 警告ランプ

Claims (7)

  1. 洗浄すべき食器類が収容されるように少なくとも上部が開口した洗浄槽と、
    前記洗浄槽を収納して洗浄運転を実行する洗浄機本体と、
    前記洗浄機本体の前面側に設けられて前記洗浄槽が出し入れされる前面開口部と、
    前記洗浄機本体の上面側に設けられて食器類が出し入れされる上面開口部と、
    前記前面開口部を開閉する前面扉と、
    前記上面開口部を開閉する上面扉と、
    前記洗浄槽が前記洗浄機本体から引き出されないようにロックする洗浄槽ロック機構と、
    前記上面扉が開放されないようにロックする上面扉ロック機構と、
    前記洗浄槽の収納位置を検出する洗浄槽位置検出手段と、
    前記上面扉の開閉位置を検出する上面扉位置検出手段と、
    前記洗浄運転時と洗浄運転が行われていない待機時に応じて、それぞれ前記洗浄槽位置検出手段および前記上面扉位置検出手段の検出出力に基づいて、前記洗浄槽ロック機構と前記上面扉ロック機構とを互いに連係して制御する制御手段と、
    を備えることを特徴とする食器洗浄機。
  2. 前記制御手段は、前記洗浄運転時において、前記洗浄槽ロック機構を制御して前記洗浄槽をロック状態にし、かつ、前記上面扉ロック機構を制御して前記上面扉をロック状態にするものであることを特徴とする請求項1記載の食器洗浄機。
  3. 前記制御手段は、前記待機時において、上面扉位置検出手段の検出出力に基づいて上面扉が開かれていると判断した場合には、前記洗浄槽ロック機構を制御して前記洗浄槽をロック状態にする一方、前記洗浄槽位置検出手段の検出出力に基づいて前記洗浄槽が引き出されていると判断した場合には、前記上面扉ロック機構を制御して前記上面扉をロック状態にするものであることを特徴とする請求項1記載の食器洗浄機。
  4. 前記制御手段は、洗浄運転指令が入力された場合には、洗浄運転の開始前に予め前記洗浄槽位置検出手段および上面扉位置検出手段の検出出力に基づいて前記洗浄槽が前記洗浄機本体内の所定位置に収納され、かつ、前記上面扉が閉じられているか否かを判断し、前記洗浄槽が洗浄機本体内に収納されていない状態と、前記上面扉が閉じられていない状態の少なくとも一方の状態であるときには警報を発するものであることを特徴とする請求項1記載の食器洗浄機。
  5. 前記洗浄槽が前記洗浄機本体内の所定位置まで収納されたときには前記洗浄槽の上部の前記開口周辺にクランプされ、前記洗浄槽が前記洗浄機本体から引き出されたときには前記洗浄槽から離間するように、前記洗浄槽の出し入れに応じて連動する内側フレームを備え、前記上面扉はこの内側フレームに開閉自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の食器洗浄機。
  6. 前記洗浄槽ロック機構は、前記洗浄槽に被係止部が配設され、前記洗浄機本体には前記洗浄槽が前記洗浄機本体の所定収納位置に収納されたときに前記被係止部を係止する係止部材と、前記係止部材を係止位置に向けて付勢する係止用付勢手段と、前記係止用付勢手段の付勢力に抗して前記係止部材を、前記係止位置から、前記被係止部から離脱した非係止位置まで動作させる係止解除用駆動手段とが配設されて構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の食器洗浄機。
  7. 前記上面扉ロック機構は、前記上面扉の回動支点側と反対側の端部に凹部が形成される一方、前記内側フレームには、前記凹部に嵌入される係止爪が進退自在に設けられるとともに、前記係止爪が前記凹部から離脱するのを阻止する阻止手段が設けられて構成されていることを特徴とする請求項5または6に記載の食器洗浄機。
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