JP2010098045A - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高品質のMOS構造に応用可能な、SiC材料の表面にその酸化膜であるSiO膜が形成されてなる半導体装置を製造する方法を提供する。
【解決手段】SiC材料の表面にその酸化膜であるSiO膜が形成されてなる半導体装置は、SiC材料の表面にソフトブレークダウン特性を示すSiO膜を形成し、得られたSiO膜のソフトブレークダウン特性を改善することにより製造する。具体的には、SiCからあらかじめ形成した熱酸化膜を、比較的高温で酸化種濃度が低い条件で熱処理した酸化膜、あるいは比較的高温で酸化種濃度の低い条件でSiC上に形成した酸化膜を、実質的にSiCで酸化が進行しない温度で酸化種濃度の高い条件下で熱処理すればよい。
【選択図】図1A

Description

本発明は、SiCとその表面上に形成された酸化膜との積層物を基礎とするMOS構造デバイス等の半導体装置の製造方法に関する。
炭化ケイ素(SiC)は、高温、高電圧、高周波数、あるいは高出力対応の電子デバイスのための半導体材料として、良好な電気的特性と物理的特性とを併せもっている。例えば、SiCは、3.0eVを超えるバンドギャップ、2.8×10MV/cmの絶縁破壊電界(electric field breakdown)、4.9W/cm・Kの高い熱伝導率、1000cm/sの電子ドリフト速度等の基本的な材料物性を有している。このため、シリコン以上に、電子デバイス、特にパワーデバイスへの応用が期待されている。
また、SiCの電子デバイスへの応用が期待される別の大きな要因は、SiCが熱酸化により酸化物となるため、シリコンの場合と同じ手法を適用して絶縁膜としての酸化膜を形成できるという点である。このことは、集積回路の基本デバイスでもある金属−酸化物−半導体(MOS)デバイス〔MOS電界効果トランジスター(MOSFET)、絶縁ゲートバイポーラートランジスター(IGBT)、MOS制御によるサイリスター(MCT)、および他の関連デバイスを含む〕へのSiCの応用の可能性の存在を指し示すものである。
しかし、SiCは半導体材料として高い潜在的能力を持った材料ではあるが、期待に反し、SiC上の酸化膜は高い界面状態密度(interface state densities)と大きな固定電荷を有することが知られており(特許文献1)、そのことが、SiC−MOSパワーデバイス(SiC MOS power devices)やMOS集積回路を製作する上での最も大きな障害となっていた。このため、SiCの酸化膜の品質を改善するために、幾つかの手法(特許文献1〜3)が提案されているが、十分な結果が得られないのが現状である。
そこで、SiC表面の熱酸化膜厚と固定電荷密度との関係に着目し、熱酸化膜厚の増加に従って固定電荷密度が増加するという知見に基づき、厚みを8〜80nmと薄くすることにより固定電荷密度を4×1011cm−2程度に抑制した初期熱酸化による酸化膜上に窒化アルミナ膜を形成することが提案されている(非特許文献1)。
特表平11−505073号公報 特開2001−210637号公報 特開2003−124208号公報 第54回応用物理学関係連合講演会、講演予稿集 No.1,p443(講演番号29a−N−5)
しかしながら、非特許文献1の場合、依然として固定電荷密度が1×1011cm−2を超えており、高品質のMOS構造を得るために酸化膜の固定電荷密度を1×1011cm−2未満にすることは達成されていない。そればかりか、界面状態密度を5×1010cm−2eV−1未満にすることも達成されていない。
本発明の目的は、高品質のMOS構造に応用可能な、SiC材料の表面にその酸化膜であるSiO膜が形成されてなる半導体装置を製造する方法を提供することである。
本発明者によれば、SiC材料の表面にソフトブレークダウン特性を示すSiO膜を形成し、続いてSiO膜のソフトブレークダウン特性を改善することにより、より具体的には、予めSiCの熱酸化により形成された酸化膜を酸化種濃度が低い条件で熱処理された酸化膜、あるいは酸化種濃度の低い条件でSiCから形成された酸化膜を、実質的にSiCの酸化が進行しないような温度で且つ酸化種濃度の高い条件下で熱処理することにより上述の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、SiC材料の表面にその酸化膜であるSiO膜が形成されてなる半導体装置の製造方法において、以下の工程(A)及び工程(B)を有する製造方法を提供する。
工程(A): SiC材料の表面にソフトブレークダウン特性を示すSiO膜を形成する工程; 及び
工程(B); SiO膜のソフトブレークダウン特性を改善する工程。
また、本発明は、具体的な態様として、SiC材料の表面にその酸化膜であるSiO膜が形成されてなる半導体装置の製造方法において、以下の工程(a)〜工程(c)を有する製造方法を提供する。
工程(a): SiC材料を、高酸素分圧下、高温で熱酸化することによりその表面にSiO膜を形成する酸化膜形成工程;
工程(b): 工程(a)の酸化膜形成工程を経たSiC材料を、低酸素分圧下で高温で熱処理するアニール工程; 及び
工程(c): 工程(b)の第アニール工程を経たSiC材料を、高酸素分圧下で低温で熱処理するアニール工程。
更に、本発明は、別の具体的な態様として、SiC材料の表面にその酸化膜であるSiO膜が形成されてなる半導体装置の製造方法において、以下の工程(d)及び工程(e)を有する製造方法を提供する。
工程(d): SiC材料を、低酸素分圧下、高温で熱酸化することによりその表面にSiO膜を形成する酸化膜形成工程; 及び
工程(e): 工程(d)の酸化膜形成工程を経たSiC材料を、高酸素分圧下で低温で熱処理するアニール工程。
更に、本発明は、上述の製造方法で製造された半導体装置を提供する。
本発明の製造方法においては、SiC材料の表面にソフトブレークダウン特性を示すSiO膜を形成し、続いてSiO膜のソフトブレークダウン特性を改善するので、具体的には、予め高温度高酸素分圧下でSiCの熱酸化により形成された酸化膜を高温低酸素分圧下(換言すれば、酸化種濃度が低い条件)で熱処理(アニール)して得た酸化膜、あるいは高温低酸素分圧下(換言すれば酸化種濃度の低い条件)でSiCの熱酸化により形成された酸化膜を、低温高酸素分圧下(換言すれば、実質的にSiCの酸化が進行しないような温度で且つ酸化種濃度の高い条件)で熱処理(アニール)するので、酸化膜における固定電荷密度を1×1011cm−2未満とすることができる。また、熱酸化であるためSiCとSiOとの間の界面状態密度を5×1010cm−2eV−1未満とすることができる。よって、SiCをMOS構造デバイスに適用することが容易となる。
本発明の、SiC材料の表面にその酸化膜であるSiO膜が形成されてなる半導体装置の製造方法は、以下の工程(A)及び工程(B)を有する。
工程(A): SiC材料の表面にソフトブレークダウン特性を示すSiO膜を形成する工程; 及び
工程(B); SiO膜のソフトブレークダウン特性を改善する工程。
本発明において「ソフトブレークダウン」とは、薄い絶縁膜であるSiO膜に絶縁耐圧以下の電圧を印加し続けることによって、ある時点で絶縁破壊が生じて不連続的に大量の電流が流れ始める(ハードブレークダウン)のではなく、ある時点経過した後に抑制された絶縁破壊が徐々に発生し、それに伴い徐々に電流量が増加しはじめ、その後、不連続的に絶縁破壊が生じ、不連続的に大量の電流が流れ始める現象をいう。
また、ソフトブレークダウン特性の改善とは、ハードブレークダウンするように改善することである。
工程(A)としては、SiC材料の表面にソフトブレークダウン特性を示すSiO膜を形成できる種々のSiO形成工程を適用することができる。中でも工程(A)は、以下の工程(a)及び工程(b)、又は工程(d)から構成されることが好ましい。
工程(a): SiC材料を、高酸素分圧下、高温で熱酸化することによりその表面にSiO膜を形成する酸化膜形成工程; 及び
工程(b): 工程(a)の酸化膜形成工程を経たSiC材料を、低酸素分圧下で高温で熱処理するアニール工程; 又は
工程(d): SiC材料を、低酸素分圧下、高温で熱酸化することによりその表面にSiO膜を形成する酸化膜形成工程。
また、工程(B)としては、SiC材料上に形成されたソフトブレークダウン特性を示すSiO膜のソフトブレークダウン特性を改善できる種々の工程を適用することができる。中でも工程(A)が工程(a)及び工程(b)から構成されている場合には、工程(B)は以下の工程(c)であることが好ましく、工程(A)が工程(d)から構成されている場合には、工程(B)は以下の工程(e)であることが好ましい。
工程(c): 工程(b)のアニール工程を経たSiC材料を、高酸素分圧下で低温で熱処理するアニール工程;
工程(e): 工程(d)の酸化膜形成工程を経たSiC材料を、高酸素分圧下で低温で熱処理するアニール工程。
従って、本発明の半導体装置の製造方法の好ましい態様は、以下の二つの態様が挙げられる。
第1の態様は、SiC材料の表面にその酸化膜であるSiO膜が形成されてなる半導体装置の製造方法において、以下の工程(a)〜(c):
工程(a): SiC材料を、高酸素分圧下、高温で熱酸化することによりその表面にSiO膜を形成する酸化膜形成工程;
工程(b): 工程(a)の酸化膜形成工程を経たSiC材料を、低酸素分圧下で高温で熱処理するアニール工程; 及び
工程(c): 工程(b)のアニール工程を経たSiC材料を、高酸素分圧下で低温で熱処理するアニール工程
を有する製造方法である。
第2の態様は、SiC材料の表面にその酸化膜であるSiO膜が形成されてなる半導体装置の製造方法において、以下の工程(d)及び(e):
工程(d): SiC材料を、低酸素分圧下、高温で熱酸化することによりその表面にSiO膜を形成する酸化膜形成工程; 及び
工程(e): 工程(d)の酸化膜形成工程を経たSiC材料を、高酸素分圧下で低温で熱処理するアニール工程
を有する製造方法である。
まず、本発明の製造方法を説明する上で必要な概念(臨界的な酸素の分圧、上限臨界酸素分圧、下限臨界酸素分圧)について、図1A、図1Bを参照しつつ説明し、その後で、本発明を更に具体的に説明する。
図1Aの(a)、(b)および(c)並びに図1Bの(d)および(e)において、横軸は時間を表し、縦軸は温度または酸素分圧を示している。また、太い実線は、熱酸化もしくは熱処理(アニール)時の温度、太い破線は、熱酸化もしくは熱処理(アニール)時における酸素分圧(対常圧)を示している。また、二点鎖線の細線で示された2本の線は、臨界的な酸素の分圧を示しており、その上側の二点鎖線が上限臨界酸素分圧とし、下側の二点鎖線が下限臨界酸素分圧を示している。この上限臨界酸素分圧もしくは下限臨界酸素分圧は、以下に説明するように、フィジカルレビューレター、第58巻、第22号、pp2379−2382(1987年)(以下、関連文献1と略称する)に示されたデータから帰納される、酸素の臨界的な分圧である。
<酸素分圧に関する上限臨界酸素分圧ならびに下限臨界酸素分圧>
関連文献1では、Siを1000℃のドライ酸化で得られた5μm厚のSiOを、雰囲気酸素分圧を変えて750℃〜900℃の温度で60分間アニールし、SiOのブレークダウン測定をした結果が示されている(関連文献1のFig.3)。このFig.3を、図2に示す。図2において、横軸は温度の逆数を示し、縦軸は雰囲気酸素の分圧を示している。雰囲気酸素の分圧が、実線の下側になると絶縁膜はソフトブレークダウン特性となることが示されている。また、図2では実線で示されたデータの温度依存性は点線で示されたSiOの平衡圧の温度依存性と同じ活性化エネルギーをもっていることが示されている。
本発明において、上限臨界酸素分圧は、図2における実線で示されるものであり、一方、下限臨界酸素分圧は、破線で示す平衡圧のSiO(シリコン・モノ・オキサイド)を生じさせるに必要な酸素分圧と考えることができるから、結局、点線で示されたSiOの平衡圧の1/2に相当する。
なお、図2のデータは、750℃〜900℃の温度において取られたデータであるが、さらに高温にあっても同じ活性化エネルギーをもって変化すると考えることができるから、上限臨界酸素分圧Pu〔Torr〕ならびに下限臨界酸素分圧Pl〔Torr〕の温度依存性は、図2の実線および破線から数式化できる。即ち、上限臨界酸素分圧Puは図2の実線から式(1)のように読み取れる。
Figure 2010098045
また、下限臨界酸素分圧Plについては、SiOの平衡蒸気圧PSiOが、図2の破線から式(2a)のように読み取れ、また、下限臨界酸素分圧Plは、式(2b)のようにSiOの平衡蒸気圧PSiOの半分であるから、式(2b)を(2a)に代入することにより式(2)の下限臨界酸素分圧Plが求められる。
Figure 2010098045
上記の式(1)および(2)を、1400℃以上の高温域までの上限臨界酸素分圧ならびに下限臨界酸素分圧の温度依存性がわかるように図3に示した。
上限臨界酸素分圧の意義は、SiもしくはSiCの熱酸化の際の雰囲気酸素分圧が上限臨界酸素分圧よりも低い場合には、絶縁性の酸化膜がソフトブレークダウン特性を呈する点にある。これは、酸化膜中に酸素欠損が生じるためと考えられる。従って、上限臨界酸素分圧は、酸化膜中に酸素欠損が生じる上限の臨界的な酸素分圧という意味がある。また、下限臨界酸素分圧の意義は、揮発性のSiOの分圧を維持するに必要な酸素分圧という点である。従って、下限臨界酸素分圧は酸化膜の生成が可能な下限の臨界的圧力という意味がある。よって、それよりも酸素分圧が低い場合には、もはや酸化膜の生成が困難となる臨界的な酸素分圧という意味がある。
図3ならびに上限臨界酸素分圧および下限臨界酸素分圧の説明の内容を踏まえて以下に本発明の製造方法を説明する。
なお、本発明の製造方法において、SiCの熱酸化膜の形成の際、酸化種としてドライ酸素を使用できるが、水蒸気や一酸化窒素を使用してもよい。また、酸化に用いたSiCの結晶系は4H型で酸化した面はSi面であるが、他の結晶面に対しても同様に適用できる。
また、本発明において、熱酸化による酸化膜形成工程や、アニール工程においては、場合により石英管の軟化温度を超える高温が必要であるところから、CVD(Chemical Vapor Deposition)法で製作されたSiC製の反応管を装備した電気炉を用いた。CVD法で製作されたSiC製の反応管を使用することで1400℃付近までの加熱が可能であり、かつ昇温速度も速めることができ、室温から1400℃まで40分で温度上昇可能である。
本発明の製造方法は、図1Aの態様(前述した第1の態様に対応)および図1Bの態様(前述した第2の態様に対応)を含む。まず、図1Aの態様について説明する。既に説明したように、図中、温度を実線で示し、酸素分圧を太い破線で示し、上限臨界酸素分圧と下限臨界酸素分圧を、二点鎖線で示してある。
図1Aの態様は、SiC材料の表面にその酸化膜であるSiO膜が形成されてなる半導体装置の製造方法であって、以下の工程(a)〜(c)を有する。
工程(a)
この工程は、図1Aの(a)に示すように、SiC材料を、高酸素分圧下、高温で熱酸化することによりその表面にSiO膜を形成する酸化膜形成工程である。即ち、高温(たとえば1350℃)で、充分な酸化種(ドライ酸素)がある雰囲気中(高酸素分圧下、たとえば1気圧=760Torr)でSiCを酸化する工程である。
この工程において、高温とは1050℃以上1400℃以下である。また、高酸素分圧下は、上限臨界酸素分圧よりも高い酸素分圧のことである。すなわち、この工程は当業者には良く知られたSiC表面に数十nmの膜厚の酸化膜が半日以内で成長できるものであればよく、特別な条件ではない。
工程(a)で形成された熱酸化膜は、その内部にカーボンが残留しており、比較的高い固定電荷密度の膜となる傾向がある。
工程(b)
この工程は、工程(a)で形成された熱酸化膜中の残留カーボンを拡散さらには酸化して除去し、酸化膜の固定電荷密度を低減させために、工程(a)の酸化膜形成工程を経たSiC材料を、低酸素分圧下で高温で熱処理するアニール工程である。即ち、図1Aの(b)に示すように、工程(a)で形成された酸化膜を、高温(たとえば1350℃)で、充分な酸化種のない雰囲気中(低酸素分圧下、たとえば10Torr)でアニールする工程である。
この工程において、高温とは、数十nmの膜厚の酸化膜が半日以内で成長できる温度であり、好ましくは1050℃以上1400℃以下である。また、低酸素分圧下は、上限臨界酸素分圧と下限臨界酸素分圧との間の酸素分圧である。本工程では上限臨界酸素分圧よりも下限臨界酸素分圧に近い酸素分圧を選択する。試料表面における臨界酸素分圧を定義することは、使用する装置依存性もあり困難であるが、この工程においては工程(a)で形成された酸化膜厚の増加がなく、かつ膜厚の減少が5パーセントとなるような条件である。
工程(b)では、工程(a)で形成された熱酸化膜中のカーボンが除去されるが、それにより酸化膜中に酸素欠損が生ずる傾向がある。従って、この工程は、SiO膜がソフトブレークダウン特性を示すように熱処理する工程という意味がある。
工程(c)
この工程は、工程(b)でアニール処理された酸化膜中の酸素欠損を解消し、界面状態密度を低減させるために、工程(b)のアニール工程を経たSiC材料を、高酸素分圧下で低温で熱処理するアニール工程である。即ち、図1Aの(c)に示すように、工程(b)を経たSiC材料を、酸化が進行しない程度の低温(例えば、950℃付近)で、充分な酸化種(ドライ酸素)がある雰囲気中(高酸素分圧下、たとえば1気圧=760Torr)で、アニールする工程である。
この工程において、低温とは、低温とは半日程度の時間では事実上酸化が進まない温度であり、好ましくは700℃以上1050℃未満である。また、高酸素分圧下は、上限臨界酸素分圧よりも高い酸素分圧のことである。換言すればこの工程においては工程(b)の後での酸化膜厚が、5パーセント以上増大することない条件設定のもとで熱処理することを意味する。
以上の工程(a)〜(c)を、図3と以下の式(1)および(2)と関連づけると以下のように表現できる。即ち、工程(a)における高酸素分圧が上限臨界酸素分圧Puより高く、工程(b)における低酸素圧が上限臨界酸素分圧Puと下限臨界酸素分圧Plとの間であり、工程(c)における高酸素分圧が上限臨界酸素分圧Puより高い。
Figure 2010098045
次に、図1Bの態様について説明する。この態様は、SiC材料の表面にその酸化膜であるSiO膜が形成されてなる半導体装置の製造方法であって、以下の工程(d)および(e)を有する。
工程(d)
この工程は、SiCを熱酸化して酸化膜を形成する工程であると同時に、酸化膜形成時に残留したカーボンの除去を行い、熱酸化膜中に酸素欠損を生じさせる工程であり、SiC材料を、低酸素分圧下、高温で熱酸化することによりその表面にSiO膜を形成する酸化膜形成工程である。即ち、図1Bの(d)に示すように、高温(たとえば1350℃)で、充分な酸化種(ドライ酸素)のない雰囲気中(低酸素分圧下、たとえば1気圧=20Torr)でSiCを酸化する工程である。
この工程において、高温とは、数十nmの膜厚の酸化膜が半日以内で成長できる温度であり、好ましくは1050℃以上1400℃以下である。また、低酸素分圧下は、上限臨界酸素分圧と下限臨界酸素分圧との間の酸素分圧である。但し、本工程では、SiCの酸化膜を形成するために、下限臨界酸素分圧よりも上限臨界酸素分圧に近い酸素分圧を選択することが望まれる。この条件を作るには装置依存性や酸素分圧設定条件依存性もあり、微妙な調整が必要であるが、換言すればソフトブレークダウン特性を示す酸化膜を数十nm形成できる条件とすればよい。
工程(d)では、形成された熱酸化膜中のカーボンが除去されるが、それにより酸化膜中に酸素欠損が生ずる。従って、この工程は、SiO膜がソフトブレークダウン特性を示すように熱処理する工程という意味がある。
工程(e)
この工程は、工程(d)で形成された、酸素欠損が存在する熱酸化膜を、その中の酸素欠損を解消し、界面状態密度を低減させるために、高酸素分圧下で低温で熱処理するアニール工程である。即ち、図1Bの(e)に示すように、工程(d)を経たSiC材料を、酸化が進行しない程度の低温(例えば、950℃付近)で、充分な酸化種(ドライ酸素)がある雰囲気中(高酸素分圧下、たとえば1気圧=760Torr)で、アニールする工程である。
この工程において、低温とは、低温とは半日程度の時間では事実上酸化が進まない温度であり、好ましくは700℃以上1050℃未満である。また、高酸素分圧下は、上限臨界酸素分圧よりも高い酸素分圧のことである。
以上の工程(d)〜(e)を、図3と前出の式(1)および(2)と関連づけると以下のように表現できる。即ち、工程(d)における低酸素分圧が上限臨界酸素分圧Puと下限臨界酸素分圧Plとの間であり、工程(e)における高酸素分圧が上限臨界酸素分圧Puより高い。装置依存性や酸素分圧設定条件の不確定性を考慮して換言すれば工程(d)はソフトブレークダウン特性を示す酸化膜を形成する高温での工程であり、工程(e)は前記ソフトブレークダウン特性を改善する低温での工程ということである。
本発明の製造方法の二つの態様を説明したが、両者の相違を一言で表現すれば、前者(図1Aに対応)では作成した酸化膜に熱処理で酸素欠損をつくるのに対し、後者(図1Bに対応)では酸素欠損がある酸化膜そのものを作るところが相違しているのである。共通するところは酸素欠損がある膜をSiCの酸化が進行しない程度の低温でアニールして酸素欠損を埋める点であると理解できる。また、本発明に従って、SiCからその熱酸化膜を形成することにより、界面状態密度ならびに固定電荷密度の低い酸化膜形成が可能になる。
本発明の半導体装置の製造方法では、比較的厚い酸化膜(例えば50nm厚)を形成することができるが、カーボンを酸化膜から抜くのに有効と考えられる高温低酸素分圧アニール(図1Aの(b)工程)や高温低酸素分圧酸化(図1Bの(d)工程)のプロセスや酸化膜の酸素欠損を埋めるのに有効と考えられる低温酸素供給アニール(図1Aの(c)工程および図1Bの(e)工程)のプロセスを短時間にするためには酸化膜の厚さは薄い方が好ましい。従って、本発明の方法を適用して形成する酸化膜の厚さを2〜3nmにとどめ、他方、MOSデバイスに必要な酸化膜厚は数10nmのため、上記2〜3nm厚の酸化膜の上に、さらに40nm程度のSiOなどの酸化膜を良く知られた常圧CVD(Chemical Vapor Deposition)法等で積層することが好ましい。ここで、堆積膜としてはアルミナ、HfOなどでもよい。また、堆積法としても常圧CVDに限る必要はなく、減圧法でもよく、また、絶縁膜を堆積するさまざまな手段であるスパッタ法やプラズマ法などの堆積法を使ってもよい。
以上説明した本発明の製造方法により得られる半導体装置は、SiCから形成されたMOS構造を有するものであり、特にMOSパワーデバイスに適したものである。上述したように、この半導体装置のSiO膜の上には堆積法で形成した絶縁膜が形成されていることが好ましい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
実施例1(図1Aの態様)
まず、3片のSiCウエーハを用意し、5%濃度のフッ酸に漬け、水洗した。その後、標準的なRCAクリーンニングを行い、酸化炉に入れた。酸化炉は常圧で酸素ガスを流し、温度は1350℃に設定し、熱酸化を1時間行った。その結果、SiC表面に厚さ約45nmのSiO膜が形成された。
熱酸化が完了した1片のSiCウエーハ(試料a)のうち、2片を再び、酸化炉中に入れ、酸素ガスの分圧が10Torrとなるように調整したアルゴンガス中、1350℃で3時間の熱処理(アニール)を行った。この場合、酸化膜の厚さの変化はほとんど観測できなかった。
熱処理後の2片のSiCウエーハのうち1片(試料b)を残してもう1片(試料c)をさらに1気圧の酸素ガス中、950℃で12時間の熱処理(アニール)を行った。最終的に得られた酸化膜の厚さは約45nmであり、当初の厚さを保っており、目に見えた変化は観測できなかった。
実施例2(図1Bの態様)
2片のSiCウエーハを用意し、実施例1と同様の前処理を行い、酸化炉中に入れた。酸化炉には酸素ガスの分圧が50Torrとなるように調整したアルゴンガスを流し、1350℃で12時間の酸化処理を行った。得られた酸化膜の膜厚は約40nmであった。
酸化膜が形成された2片のSiCウエーハのうち1片(試料d)を残し、もう1片(資料e)を実施例1と同様に1気圧の酸素ガス中、950℃で20時間の熱処理(アニール)を行った。この場合にも実施例1と同様に酸化膜の厚さは約40nmであり、変化は観測されなかった。
<実施例1および2の評価>
以上の実施例1およびで得た試料a〜試料eまでの中で、本発明の方法が適用されて最終的につくられたものは試料c(図1Aの態様)と試料e(図1Bの態様)である。
すべての5種類の試料に対し、金属マスクを用いてAlを蒸着し、直径500μmの電極を形成し、MOS(metal−oxide−semiconductor)キャパシターを作製し、常法に従って電流−電圧特性ならびに固定電荷密度を測定した。
(電流−電圧特性)
試料aに基づくMOSキャパシターにおいては、関連文献1に示されているように、正常なMOS構造の電流―電圧特性で見られるファウラー−ノルドハイム(Fowler−Nordheim:FNと略記)トンネリング機構に基づくと考えられる電流の増加が6MV/cm付近から始まることが観察された。
それに対し、酸素欠損が生じていると考えられる試料bおよび試料dに基づくMOSキャパシターでは、FNトンネリングでの電流の増加の手前、2〜3MV/cm付近で異常な電流(ソフトブレークダウン)の増加が観測された。
一方、酸素分圧を高めて低温でアニールした試料cおよび試料eに基づくMOSキャパシターでは再び、6MV/cm付近でのFNトンネリングでの電流の増加の手前での異常な電流増加は観察されなくなった。
(固定電荷密度)
室温での高周波(1MHz)でのキャパシタンス−電圧(C−V)の掃引によって測定したフラットバンド電圧(Vfb)から酸化物の正味の電荷を算出した。試料aに基づくMOSキャパシターでは約5×10−12cm−2と高い値を示した。しかし、低酸素分圧で処理された後、高酸素分圧下で低温で処理された試料cおよび試料eに基づくMOSキャパシターにおいては固定電荷密度は0.9〜3×10−11cm−2と低い値が得られた。
実施例3
まず、SiCウエーハを用意し、5%濃度のフッ酸に漬け、水洗した。その後、標準的なRCAクリーンニングを行い、酸化炉に入れた。酸化炉は常圧で酸素ガスを流し、温度は1350℃に設定し、熱酸化を4分行った。その結果、SiC表面に厚さ約3nmのSiO膜が形成された。
熱酸化が完了したSiCウエーハを再び、酸化炉中に入れ、酸素ガスの分圧が10Torrとなるように調整したアルゴンガス中、1350℃で3時間の熱処理(アニール)を行った。この場合、酸化膜の厚さの変化はほとんど観測できなかった。
熱処理後のSiCウエーハをさらに1気圧の酸素ガス中、950℃で12時間の熱処理(アニール)を行った。最終的に得られた酸化膜の厚さは約3nmであり、当初の厚さを保っており、目に見えた変化は観測できなかった。
次に、この酸化膜上に、常圧CVD(Chemical Vapor Deposition)法により40nm厚のSiO膜を積層した。
得られた絶縁積層膜上に、金属マスクを用いてAlを蒸着し、直径500μmの電極を形成し、MOSキャパシターを作製し、常法に従って電流−電圧特性ならびに固定電荷密度を測定したところ、実施例1の場合と同様の良好な結果が得られた。
本発明の半導体装置の製造方法によれば、酸化膜における固定電荷密度を1×1011cm−2未満とすることができ、また、SiCとSiOとの間の界面状態密度を5×1010cm−2eV−1未満とすることができる。よって、本発明の半導体装置の製造方法は、SiCからMOS構造デバイスに有用な材料を製造する場合に有用である。
本発明の半導体装置の製造方法の説明図である。 本発明の半導体装置の製造方法の説明図である。 関連文献1が開示するソフトブレークダウンの説明図である。 温度の逆数に対する上限臨界酸素分圧および下限臨界酸素分圧の関係図である。

Claims (10)

  1. SiC材料の表面にその酸化膜であるSiO膜が形成されてなる半導体装置の製造方法において、以下の工程(A)及び工程(B)を有する製造方法:
    工程(A): SiC材料の表面にソフトブレークダウン特性を示すSiO膜を形成する工程; 及び
    工程(B); SiO膜のソフトブレークダウン特性を改善する工程。
  2. 工程(A)が、以下の工程(a)及び工程(b)、又は工程(d)から構成されている請求項1記載の製造方法:
    工程(a): SiC材料を、高酸素分圧下、高温で熱酸化することによりその表面にSiO膜を形成する酸化膜形成工程; 及び
    工程(b): 工程(a)の酸化膜形成工程を経たSiC材料を、低酸素分圧下で高温で熱処理するアニール工程; 又は
    工程(d): SiC材料を、低酸素分圧下、高温で熱酸化することによりその表面にSiO膜を形成する酸化膜形成工程。
  3. 工程(A)が工程(a)及び工程(b)から構成されている場合に工程(B)が以下の工程(c)であり、工程(A)が工程(d)から構成されている場合に工程(B)が以下の工程(e)である請求項2記載の製造方法:
    工程(c): 工程(b)のアニール工程を経たSiC材料を、高酸素分圧下で低温で熱処理するアニール工程;
    工程(e): 工程(d)の酸化膜形成工程を経たSiC材料を、高酸素分圧下で低温で熱処理するアニール工程。
  4. SiC材料の表面にその酸化膜であるSiO膜が形成されてなる半導体装置の製造方法において、以下の工程(a)〜(c)を有する製造方法:
    工程(a): SiC材料を、高酸素分圧下、高温で熱酸化することによりその表面にSiO膜を形成する酸化膜形成工程;
    工程(b): 工程(a)の酸化膜形成工程を経たSiC材料を、低酸素分圧下で高温で熱処理するアニール工程; 及び
    工程(c): 工程(b)のアニール工程を経たSiC材料を、高酸素分圧下で低温で熱処理するアニール工程。
  5. 工程(a)及び工程(b)における高温が1050℃以上1400℃以下であり、工程(c)における低温が700℃以上1050℃未満である請求項4記載の製造方法。
  6. SiC材料の表面にその酸化膜であるSiO膜が形成されてなる半導体装置の製造方法において、以下の工程(d)及び(e)を有する製造方法:
    工程(d): SiC材料を、低酸素分圧下、高温で熱酸化することによりその表面にSiO膜を形成する酸化膜形成工程; 及び
    工程(e): 工程(d)の酸化膜形成工程を経たSiC材料を、高酸素分圧下で低温で熱処理するアニール工程。
  7. 工程(d)における高温が1050℃以上1400℃以下であり、工程(e)における低温が700℃以上1050℃未満である請求項6記載の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかの製造方法で製造された半導体装置。
  9. SiO膜の上に堆積法で形成した絶縁膜が形成されてなる請求項8記載の半導体装置。
  10. MOSデバイスである請求項10記載の半導体装置。
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