JP2010096308A - 伸縮式回転伝達軸 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アウターシャフト21の内周面に、アウター側凹溝24、24と凹部26、26とを設ける。又、インナーシャフト22外周面に、インナー側凹溝25、25と凸部27、27とを設ける。又、上記アウターシャフト21とインナーシャフト22とを組み付けた状態で、上記アウター側、インナー側各凹溝24、25同士の間に玉23、23を設けると共に、上記凸部27、27を上記凹部26、26内に進入させる。そして、これら凹部26、26と凸部27、27との互いに円周方向に対向する側面同士を、回転力に応じて係合(当接)可能とする。
【選択図】図1
Description
このうちのインナーシャフトは、外周面の円周方向少なくとも1個所(より好ましくは円周方向複数個所)に、径方向内方に凹入したインナー側凹溝を、軸方向に設けている。
又、上記アウターシャフトは、上記インナーシャフトを挿入自在なもので、内周面の少なくとも1個所(より好ましくは円周方向複数個所)で上記インナー側凹溝と整合する位置に、径方向外方に凹入したアウター側凹溝を、軸方向に設けている。
又、上記玉は、上記インナー側凹溝と上記アウター側凹溝との間に設けられている。
そして、上記アウターシャフトと上記インナーシャフトとを、互いの間での回転力(トルク)の伝達及び軸方向の相対変位を可能に組み合わせている。
更には、上記インナー、アウター両シャフトの中立状態で、上記玉の表面を、上記インナー側凹溝とアウター側凹溝とのうちの少なくとも何れかの凹溝(より好ましくはインナー側、アウター側両凹溝)の内面のうちの溝底部で接触(当接、係合、噛合)させる(最も好ましくは、玉の表面を当該凹溝の溝底の幅方向中心で接触させる)。
そして、請求項2に記載した発明の様に、凹溝の溝底部で接触させた玉の表面と当該凹溝(玉を溝底部で接触させた凹溝)の内面との接触部の圧力角(接点角)よりも、上記凹部と凸部との互いに円周方向に対向する側面同士の圧力角、即ち、この凹部の側面又は凸部の側面と、上記インナーシャフト及びアウターシャフトの中心軸と上記凹部の底部又は凸部の頂部の幅方向中心を含む仮想平面とのなす角を小さくする。
この場合には、例えば、上記円筒状のアウターシャフトの一部で上記アウター側凹溝の近傍部分の肉厚を小さく(薄肉に)したり、この近傍部分に内外両周面同士を貫通する状態でスリットを設ける事ができる。又、上記インナーシャフトを円筒状に形成すると共に、この円筒状に形成したインナーシャフトの一部で上記インナー側凹溝の近傍部分の肉厚を小さく(薄肉に)したり、この近傍部分に内外両周面同士を貫通する状態でスリットを設ける事もできる。
この場合には、例えば、上記玉の材質を弾性変形し易いものとしたり、或は、この玉を中空のものとすると共に、この玉に内外両周面を貫通する状態でスリットを設ける事ができる。又、この玉(中空であるか充実体であるかは問わない)の外周面に、この外周面から径方向内方に凹入する状態で(貫通しない)凹部を設ける事により、この玉の表面(外周面)を弾性変形し易くする事もできる。
即ち、本発明の場合には、玉に弾性力を付与する為の弾性部材を設ける必要がない分、廉価に構成できる。又、上記回転力の伝達を、上記玉だけでなく、凹部と凸部との互いに円周方向に対向する側面同士の当接に基づいて行う事ができる為、その分(側面同士の当接面積を大きくできる分)大きな回転力を伝達できる(許容負荷トルクを大きくできる)。又、この様に大きな回転力の伝達を、上記側面同士が分担する事により、上記玉と凹溝との当接部の面圧が過度に大きくなる事も防止でき、圧痕等の損傷を生じにくくできる。又、本発明の場合には、大きな回転力の伝達を、前述の図20〜21に示した従来構造の様な円柱部材(円筒部材)を用いずに、上記凹部と凸部との側面同士の当接に基づいて行う為、部品点数の低減を図れ、この面からも廉価に構成できる。
又、請求項3に記載した発明の様に、円周方向に関する側面同士の間隔を、同じく円周方向に関するインナー側、アウター側各凹溝と玉との間隔よりも大きくすれば、回転力の増大に伴って、上記側面同士を確実に係合させられる。即ち、回転力が小さい状態では、上記玉のみがインナー側、アウター側各凹溝との係合(噛み合い)に基づき上記回転力の伝達を行い、この回転力が大きい状態では、上記凸部と凹部との側面同士も係合し(当接し、噛み合い)、上記回転力の伝達を行う様にできる。この様に玉の表面とインナー側、アウター側各凹溝との間隔と側面同士の間隔とを規制すると言う、簡単な構造で、これら側面同士により回転力の伝達を確実に分担させられる為、この面からも、廉価に構成できる(製造コストの低減を図れる)。又、上述の様に間隔を規制する事で、上記アウターシャフトと上記インナーシャフトとの軸方向相対変位(伸縮式回転伝達軸の伸縮)を、上記玉の転動に基づいて行う事ができ(凸部と凹部との側面同士の摺接を低減でき)、この面からも、上記相対変位(伸縮動作)を円滑に行える。
又、請求項5に記載した発明の様に、インナーシャフトとアウターシャフトとのうちの少なくとも一方のシャフトのうちで凹溝を設けた部分の剛性を小さく(弾性変形し易く)すれば、回転力の増大に伴って、凸部と凹部との側面同士を係合し(噛み合い)易くできる。この為、上記回転力の伝達の際に、大きい回転力をこれら側面同士により確実に分担でき、圧痕等の損傷をより生じにくくできる。しかも、上記玉にインナー側、アウター側各凹溝に対する締め代を持たせた場合に、この締め代に対する自由度(許容度)を大きくできる(締め代に対し鈍感にできる)。
図1〜3は、請求項1〜4、7に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例は、本発明の伸縮式回転伝達軸をステアリングシャフト20として実施する場合の構造に就いて示している。但し、この様なステアリングシャフト20に限らず、例えば前述の図19に示した中間シャフト5等の、回転力(トルク)の伝達と軸方向の伸縮との両方の機能を必要とされる、各種シャフトとして実施する事ができる。何れにしても、本例のステアリングシャフト20は、例えば炭素鋼等の金属材に、押出加工或いは切削加工を施す事により形成されたアウターシャフト21と、同じく炭素鋼等の金属材に、押出加工、鍛造加工、或いは切削加工を施す事により形成されたインナーシャフト22と、同じくそれぞれが炭素鋼、軸受鋼、ステンレス鋼等の金属材や合成樹脂、高機能樹脂等の非金属材料により造られた複数の玉23、23とを備える。このうちのアウターシャフト21は、円筒状のもので、内周面の円周方向2個所位置(180度反対側位置)に、この内周面から径方向外方に凹入する状態で(2本の)アウター側凹溝24、24を、軸方向に設けている。
即ち、本例の場合には、各玉23、23に弾性力を付与する為の弾性部材(例えば図20〜21の弾性部材16)を設けなくて済む分、部品製作、部品管理、組立作業を何れも単純化して、廉価に構成できる。又、上記回転力の伝達を、上記各玉23、23だけでなく、凹部26、26と凸部27、27との互いに円周方向に対向する側面同士の当接に基づいて行う事ができる為、その分(側面同士の当接面積を大きくできる分)大きな回転力を伝達できる(許容負荷トルクを大きくできる)。又、この様に大きな回転力の伝達を、上記側面同士が分担する事により、上記各玉23、23と各凹溝24、25との当接部の面圧が過度に大きくなる事も防止でき、圧痕等の損傷を生じにくくできる。又、本例の場合には、大きな回転力の伝達を、前述の図20〜21に示した従来構造の様な円柱部材(円筒部材)17を用いずに、上記各凹部26、26と各凸部27、27との側面同士の当接に基づいて行う為、部品点数の低減を図れ、この面からも廉価に構成できる。
又、本例の場合は、図2に示す様に、各玉23、23を保持器28により保持する事により、これら各玉23、23の位置決めを図り(遊びを制限し)、これら各玉23、23が、アウター側、インナー側各凹溝2、25の軸方向にがたつくのを防止している。又、この様な保持器28を設けた場合には、上記各玉23、23を上記アウター側、インナー側各凹溝24、25同士の間に組み込み易くできる。
又、本例の場合には、各玉23、23の表面を、アウター側各凹溝24、24の溝底部とインナー側各凹溝25、25の溝底部とに接触させている(両方の凹溝24、25の溝底部に接触させている)が、これらインナー側各凹溝24、24とアウター側各凹溝25、25とのうちの何れか一方の凹溝24(25)のみの溝底部に接触させる事もできる。即ち、例えば上記アウター側各凹溝24、24とインナー側各凹溝25、25とのうちの何れか一方の凹溝24(25)の断面形状を単一円弧とすると共に、他方の凹溝25(24)の断面形状をゴシックアーチ状とし、このうち断面形状が単一円弧とした一方の凹溝24(25)のみ、上記各玉23、23の表面を溝底部に接触させる事もできる。
図5は、請求項1〜5、7に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、アウターシャフト21aのうちでアウター側凹溝24、24の近傍部分の肉厚を、同じくこれらアウター側凹溝24、24から外れた部分の肉厚に比べて小さくしている。この為に、本例の場合には、上記アウターシャフト21aの外周面に、上記アウター側凹溝24、24の周囲部分を挟む状態で、これら各アウター側凹溝24、24毎に1対ずつの平坦部29、29を、それぞれ設けている。そして、この様に構成する事により、上記アウターシャフト21aのうちで、上記アウター側凹溝24、24を設けた部分の剛性を(凹部26、26を設けた部分の剛性よりも)小さくしている(弾性変形し易くしている)。
その他の部分の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例と同様であるから、重複する説明は省略する。
図7は、請求項1〜5、7に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合は、インナーシャフト22aのうちでインナー側凹溝25、25の近傍部分を弾性変形し易くしている(剛性を小さくしている)。この為に、本例の場合には、上記各玉23、23を円周方向に挟む状態で玉受部31、31を設けると共に、この玉受部31、31の肉厚(インナーシャフト22aの円周方向に関する肉厚)を、所望の弾性変形を得られる厚さに規制している。
その他の部分の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1〜2例と同様であるから、重複する説明は省略する。
図8〜9は、請求項1〜5、7に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合には、アウターシャフト21bの外周面の円周方向1個所位置に平坦部33を設ける事により、このアウターシャフト21bの一部を、他の部分よりも薄肉にしている。尚、本例の場合は、上記平坦部33を、上記アウターシャフト21bの軸方向全体に亙り設けずに、軸方向に関して一部にのみ設け、薄肉にできない部分(例えば剛性を確保しなければならない部分等)の肉厚を確保している。又、本例の場合には、上記平坦部33を何れかのアウター側凹溝24の近傍部分に設ける事により、このアウター側凹溝24の近傍部分を弾性変形し易くしている(剛性を小さくしている)。そして、この様に何れかのアウター側凹溝24の近傍部分を弾性変形し易くする事により、加工精度のばらつきに拘らず、必要な締め代(締め代に基づく予圧)を確保しつつ(がたつきを防止しつつ)、ステアリングシャフト20の伸縮を円滑に行える様にしている。又、これと共に、大きな回転力(トルク)が加わった場合には、各凹部26、26と各凸部27、27との側面同士によりこの大きなトルクを確実に分担できる様にしている。
尚、図10に示す様に、平坦部33aから各玉23を露出させる事もできる。又、図11〜12に示す様に、薄肉部を1対の平坦部33b、33cを設ける事により構成する事もできる。
その他の部分の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1〜3例と同様であるから、重複する説明は省略する。
図13〜14は、請求項1〜5、7に対応する、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例の場合には、アウターシャフト21cの外周面のうちで何れかのアウター側凹溝24と整合する位置に、これら外周面とアウター側凹溝24の底部とを貫通する状態で、スリット溝30aを設けている。そして、このアウター側凹溝24部分に配置した各玉26の表面と、アウター側、インナー側各凹溝24、25の内面との接触部の面圧上昇を抑えている。
その他の部分の構成及び作用は、上述した実施の形態の第4例と同様であるから、重複する説明は省略する。
図15〜16は、請求項6に対応する、本発明の実施の形態の第6例を示している。本例の場合には、インナーシャフト22及びアウターシャフト21(例えば図1〜2参照)の円周方向に関する玉23aの剛性を、同じく凸部27(例えば図1参照)の剛性に比べて小さくしている(玉23aの剛性≪凸部27の剛性としている)。即ち、回転力の伝達時に、この回転力の増大に伴って、凸部27と凹部26(例えば図1参照)との側面同士を係合し易くすべく、玉23aをこのうちの凸部27に比べて、形状の相違に基づく以上に、より弾性変形し易くしている。この為に本例の場合には、上記玉23aを中空のものとすると共に、この玉23aに内外両周面を貫通する状態でスリット35を設けている。この様なスリット35は、図15に示す様な曲線状(波状)のものとする事ができる他、例えば図16(A)に示す様な凸凹状としたり、同図(B)に示す様な直線状とする事もできる。
その他の部分の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1〜5例と同様であるから、重複する説明は省略する。
図18は、請求項1〜5に対応する、本発明の実施の形態の第7例を示している。本例の場合には、アウター側、インナー側各凹溝24、25を、アウターシャフト21d及びインナーシャフト22bの径方向反対側(180度反対側)位置に、それぞれ2本ずつ設けている。又、これら2本ずつのアウター側、インナー側各凹溝24、25同士の間に、それぞれ凹部26、26と凸部27、27とを設けている。又、本例の場合には、円筒状の上記アウターシャフト21dの一部の肉厚t1、即ち、上記各アウター側凹溝24、24を設けた部分の肉厚t1を、これら各アウター側凹溝24、24から外れた部分の肉厚t2に比べて小さくしている。
その他の部分の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1〜6例と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は省略する。
本発明は、以上に述べた各実施の形態の構造に限らず、これら各実施の形態の構造を適宜組み合わせる等、種々の構造で実施可能である。又、構成各部の形状、構造、材質に就いても、各種変更実施できる。
2 ステアリングギヤユニット
3、3a ステアリングシャフト
4a、4b 自在継手
5 中間シャフト
6 入力軸
7 タイロッド
8 電動モータ
9 ステアリングコラム
10、10a アウターシャフト
11、11a インナーシャフト
12 アウターコラム
13 インナーコラム
14 鋼球
15 保持器
16 弾性部材
17 円柱部材
18 アウター側凹溝
19 インナー側凹溝
20 ステアリングシャフト
21、21a、21b、21c、21d アウターシャフト
22、22a、22b インナーシャフト
23 玉
24、24a アウター側凹溝
25、25a インナー側凹溝
26 凹部
27 凸部
28 保持器
29 平坦部
30、30a スリット溝
31 玉受部
32 除肉部
33、33a、33b、33c 平坦部
34 曲面部
35 スリット
Claims (7)
- 外周面の円周方向の少なくとも1個所に、径方向内方に凹入したインナー側凹溝を軸方向に設けたインナーシャフトと、内周面の円周方向の少なくとも1個所で上記インナー側凹溝と整合する位置に、径方向外方に凹入したアウター側凹溝を軸方向に設けた、上記インナーシャフトを挿入自在なアウターシャフトと、上記インナー側凹溝と上記アウター側凹溝との間に設けられた少なくとも1個の玉とを備え、上記アウターシャフトと上記インナーシャフトとを、互いの間での回転力の伝達及び軸方向の相対変位を可能に組み合わせた
伸縮式回転伝達軸に於いて、
上記インナーシャフトの外周面と上記アウターシャフトの内周面とのうちの一方の周面に、この一方の周面から径方向に凹入する状態で凹部を、これら両周面のうちの他方の周面から径方向に突出する状態で凸部を、それぞれ設けると共に、この凸部を上記凹部内に進入させ、これら凹部と凸部との互いに円周方向に対向する側面同士を、上記回転力の大きさに応じて係合可能としており、
更に、上記インナー、アウター両シャフトの中立状態で、上記玉の表面を、上記インナー側凹溝とアウター側凹溝とのうちの少なくとも何れかの凹溝の内面のうちの溝底部で接触させた
事を特徴とする伸縮式回転伝達軸。 - 凹部と凸部との互いに円周方向に対向する側面同士の圧力角を、凹溝の溝底部で接触させた玉の表面と当該凹溝の内面との接触部の圧力角よりも小さくした、
請求項1に記載した伸縮式回転伝達軸。 - アウターシャフトとインナーシャフトとの間に回転力が加わらない中立位置での、これらインナーシャフト及びアウターシャフトの円周方向に関する、凹部と凸部との互いに対向する側面同士の間隔を、同じく円周方向に関する、インナー側、アウター側各凹溝と玉との間隔よりも大きくした、
請求項1〜2のうちの何れか1項に記載した伸縮式回転伝達軸。 - 玉に、インナー側、アウター側各凹溝に対する締め代を持たせた、
請求項3に記載した伸縮式回転伝達軸。 - インナーシャフトとアウターシャフトとのうちの少なくとも一方のシャフトのうちで、凹溝を設けた部分の剛性を、同じく凹部又は凸部を設けた部分の剛性よりも小さくした、
請求項1〜4のうちの何れか1項に記載した伸縮式回転伝達軸。 - インナーシャフト及びアウターシャフトの円周方向に関する玉の剛性を、同じく円周方向に関する凸部の剛性に比べて小さくした、
請求項1〜5のうちの何れか1項に記載した伸縮式回転伝達軸。 - インナー側、アウター側各凹溝を、インナーシャフト及びアウターシャフトの円周方向等間隔複数個所に設けた、
請求項1〜6のうちの何れか1項に記載した伸縮式回転伝達軸。
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