JP2009024765A - ボール式減速機 - Google Patents

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Abstract

【課題】負荷容量を十分に確保しつつ、複数個のボール34、34a、34bの位置を適正にして、作動を円滑化できる構造を実現する。
【解決手段】上記各ボール34、34a、34bが適正位置よりも各回転伝達部材の径方向内側に変位する事を阻止する内径側保持器39と、同じく径方向外側に変位する事を阻止する外径側保持器40とを備える。又、円周方向に隣り合う各ボール34、34a、34bの転動面同士を当接若しくは微小隙間を介して近接対向させる。この構成により、これら各ボール34、34a、34bの転動に対する抵抗を低く抑えつつ、これら各ボール34、34a、34bと各案内溝33a、33bとの位置関係を適正に維持して、上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

この発明は、電動式パワーステアリング装置、舵角可変式ステアリング装置、産業用ロボット等、各種機械装置に組み込むボール式減速機の改良に関する。具体的には、大きな減速比を得られるボール式減速機の作動を円滑化する事で、上記各種機械装置への適用の加工性を拡げる事を意図したものである。
一般的な歯車式減速機に比べて大きな減速比を得られるボール式減速機が、例えば特許文献1、2に記載される等により従来から知られている。図5〜7は、このうちの特許文献2に記載された、従来から知られているボール式減速機の1例を示している。この従来構造の場合、クランク型の入力軸1により円板状の偏心プレート2を、ケーシング3内で振れ回り運動させる。又、この偏心プレート2とこのケーシング3の内面に固定した固定板38との互いに対向する側面に、図7の(A)(B)に示す様なエピサイクロイド型、或いはハイポサイクロイド型の案内溝4a、4bを形成している。そして、これら両案内溝4a、4b同士の間に、複数個のボール5、5を挟持している。これら各部材のうち、上記偏心プレート2と上記固定板38とが、特許請求の範囲に記載した1対の回転伝達部材に相当する。
上記入力軸1を回転させると上記偏心プレート2が、特許文献2の第6欄第4〜9行部分等に記載されている様に、上記両案内溝4a、4bの波数に応じて定まる減速比に応じて、この入力軸1の回転速度よりも低速で回転する。そこで、上記偏心プレート2の回転を、この偏心プレート2の他側面及び回転取り出し板6に形成した環状溝7a、7b同士の間に挟持したボール5a、5aにより取り出し、この回転取り出し板6に結合固定した出力軸8を回転させる。この様な図5〜6に示した従来構造の場合には、上記偏心プレート2とこの出力軸8との間では、変速は行なわれない。但し、この偏心プレート2と上記回転取り出し板6との間にもボール式減速機を設ける事で、より大きな減速比を得る事もできる。
又、ボール式減速機を自動車用操舵装置に組み込む事で、電動式パワーステアリング装置を構成する事に就いても、特許文献3に記載される等により、従来から知られている。更に、ボール式減速機を組み込んだ舵角可変式ステアリング装置で、比較的簡単な構造で安価に製作でき、必要に応じて、電動モータの故障時にも、必要最低限のステアリングホイールの操作に基づいて操舵輪に対し必要な舵角を付与できる構造が、特願2006−342045に開示されている。この先発明の構造に就いて、図8〜10により説明する。
この先発明に係る舵角可変式ステアリング装置は、入力軸9と、出力軸10と、中間回転筒11と、電動モータ12と、偏心プレート13と、第一ボール変速機構14と、第二ボール変速機構15とを備える。このうちの入力軸9が特許請求の範囲に記載した第一回転軸に、出力軸10が同じく第二回転軸に、偏心プレート13が同じく回転伝達部材乃至は中間回転伝達部材に、第一ボール変速機構14が同じく第一減速機構部に、第二ボール変速機構15が同じく第二減速機構部に、それぞれ相当する。又、上記入力軸9は、ステアリングコラム16の内径側に回転自在に支持されたもので、ステアリングホイール17の回転に伴って回転する。又、上記出力軸10の入力側端部を、上記ステアリングコラム16の他端部に結合固定したハウジング18内に、上記入力軸9と同心に、且つ、この入力軸9に対する相対回転を自在に支持している。
又、上記中間回転筒11は、上記ハウジング18内で上記入力軸9と上記出力軸10との間部分に、これら入力軸9及び出力軸10と同心に、且つ、これら入力軸9及び出力軸10に対する相対回転を可能に支持されている。尚、上記中間回転筒11がこれら入力軸9及び出力軸10と同心であるとは、この中間回転筒11の外周面を基準とした状態である。先発明の構造の場合、この中間回転筒11は、断面クランク型で全体を段付円筒状に形成している。この様な中間回転筒11は、小径部19を上記出力軸10の外周面に、回転自在に支持している。
上述の様な中間回転筒11は、上記ハウジング18内に設置した前記電動モータ12により、所望の方向に所望の回転速度で、回転駆動自在としている。又、前記ステアリングコラム16の上端部に上記入力軸9の回転角度を求める為の舵角センサ20を設けると共に、上記小径部19の外周面と上記ハウジング18の下端部内面との間に、制御用回転角センサ21を設けている。この構成により、上記中間回転筒11を、所望の方向に所望の回転速度で、この回転速度を適切に規制しつつ、回転駆動自在としている。
又、上記中間回転筒11を構成する大径部22の径方向に関する肉厚は、円周方向に関して漸次変化させ、この大径部22の内周面の中心軸を、上記入力軸9及び上記出力軸10に対し偏心させている。そして、この大径部22の内径側に前記偏心プレート13を、回転自在に支持している。この様な構成により、この偏心プレート13を、上記入力軸9及び上記出力軸10と平行で且つこれら両軸9、10に対し偏心した中心軸βを中心とする回転を可能として、上記中間回転筒11の内径側に支持している。
又、上記偏心プレート13の軸方向両側面と上記入力軸9及び上記出力軸10との間に、前記第一ボール変速機構14と前記第二ボール変速機構15とを設置している。そして、このうちの第一ボール変速機構14により、上記入力軸9から上記偏心プレート13に、上記第二ボール変速機構15によりこの偏心プレート13から上記出力軸10に、それぞれ回転を減速しつつ伝達可能としている。更に、前記電動モータ12により上記偏心プレート13の回転方向及び回転速度を調節する事により、上記入力軸9と上記出力軸10との間の回転速度比を調節可能としている。
上記両ボール変速機構14、15のうちの第一ボール変速機構14を構成する為、上記入力軸9の先端部に、特許請求の範囲に記載した第一回転伝達部材である駆動リング23を結合固定している。そして、この駆動リング23の軸方向両端面のうち、上記偏心プレート13に対向する端面に、特許請求の範囲の第一回転軸側案内溝である、入力軸側案内溝24を形成している。又、上記偏心プレート13の軸方向両側面のうちでこの入力軸側案内溝24に対向する軸方向片側面部分に、特許請求の範囲に記載した中間回転伝達部材側第一案内溝である、偏心プレート入力側案内溝25を形成している。これら両案内溝24、25のピッチ円直径は互いに同じである。又、入力軸側案内溝24のピッチ円の中心は、前記入力軸9の中心軸α上に存在し、偏心プレート入力側案内溝25のピッチ円の中心は、上記偏心プレート13の回転中心軸β上に存在する。先発明の構造の場合には、図10の(A)に示す様に、上記入力軸側案内溝24をエピサイクロイド形状とし、上記偏心プレート入力側案内溝25をハイポサイクロイド形状としている。これら両案内溝24、25の形状は、互いに逆にしても良い。
何れにしても、エピサイクロイド形状の案内溝の波数が、ハイポサイクロイド形状の案内溝の波数よりも2個だけ少ない。先発明の構造の場合には、ハイポサイクロイド形状である上記偏心プレート入力側案内溝25の波数をNとし、エピサイクロイド形状である上記入力軸側案内溝24の波数を「N−2」としている。そして、上記偏心プレート入力側案内溝25と上記入力軸側案内溝24との間で、偏心プレート13の軸方向に関してこれら偏心プレート入力側案内溝25と入力軸側案内溝24とが重畳する部分に、「N−1」個の入力側ボール26、26を配置している。
又、前記第二ボール変速機構15を構成する為、前記出力軸10の基端寄り部分に形成した、特許請求の範囲に記載した第二回転伝達部材である鍔部27のうち、上記偏心プレート13に対向する端面に、特許請求の範囲に記載した第二回転軸側案内溝である出力軸側案内溝28を形成している。又、上記偏心プレート13の軸方向両側面のうちでこの出力軸側案内溝28に対向する軸方向他側面部分に、特許請求の範囲に記載した中間回転伝達部材側第二案内溝である、偏心プレート出力側案内溝29を形成している。これら両案内溝28、29のピッチ円直径は互いに同じである。又、出力軸側案内溝28のピッチ円の中心は、上記出力軸10の中心軸α上に存在し、偏心プレート出力側案内溝29のピッチ円の中心は、上記偏心プレート13の回転軸β上に存在する。先発明の構造の場合には、図10の(B)に示す様に、上記出力軸側案内溝28をエピサイクロイド形状とし、上記偏心プレート出力側案内溝29をハイポサイクロイド形状としている。これら両案内溝28、29の形状は、互いに逆にしても良い。
何れにしても、エピサイクロイド形状の案内溝の波数が、ハイポサイクロイド形状の案内溝の波数よりも2個だけ少ない。先発明の構造の場合には、ハイポサイクロイド形状である上記偏心プレート出力側案内溝29の波数をMとし、エピサイクロイド形状である上記出力軸側案内溝28の波数を「M−2」としている。そして、上記偏心プレート出力側案内溝29と上記出力軸側案内溝28との間で、偏心プレート13の軸方向に関してこれら偏心プレート出力側案内溝29と出力軸側案内溝28とが重畳する部分に、「M−1」個の出力側ボール30、30を配置している。上記偏心プレート入力側案内溝25の波数Nと上記偏心プレート出力側案内溝29の波数Mとは、互いに異ならせている(N≠M)。更に、上記各出力側ボール30、30と前記各入力側ボール26、26とには、上記出力軸10の端部に螺着したナット31の緊締に基づき、予圧を付与して、上記各ボール26、30と上記各案内溝24、25、28、29との転がり接触部のがたつきをなくしている。
それぞれが上述の様な構成を有し、前記中間回転筒11を介して組み合わされた、前記第一ボール変速機構14と前記第二ボール変速機構15とから成るボール式減速機32を備えた、先発明の舵角可変式ステアリング装置の場合には、上記中間回転筒11の回転制御によって、前記入力軸9と前記出力軸10との回転速度比(相対角)を自由に変更できる。例えば、前記ステアリングホイール17を保持して上記入力軸9を固定した状態での、上記出力軸10が1回転する間での上記中間回転筒11の回転数を、上記ボール式減速機32の減速比Kとれば、この減速比Kは、自由に設計する事ができる。一方、上記ステアリングホイール17が操作されて、上記入力軸9が回転する場合は、機構全体が回転すると考えれば、次の(1) 式の関係が成り立つ。
K=(N11−N9 )/(N10−N9 ) −−− (1)
この(1) 式中の符号N9 、N10、N11は、それぞれ入力軸9、出力軸10、中間回転筒11の回転数若しくは回転角度を表している。
一方、上記減速比Kは、前記各案内溝24、25、28、29の波数によって定まる、設計可能な定数である。これらの事を考慮すれば、上記入力軸9の回転数若しくは回転角度N9 が定まれば、上記中間回転筒11の回転数若しくは回転角度N11を適宜調節する事により、上記出力軸10の回転数若しくは回転角度N10を任意に調節できる事が分かる。即ち、先発明の構造の舵角可変式ステアリング装置は、上記入力軸9と上記出力軸10との回転速度比(相対角)を自由に変更できる構造となっている。
例えば、上記中間回転筒11の回転数若しくは回転角度N11を次の(2) 式の様に設定した場合に就いて考える。
11={K(k−1)+1}N9 −−− (2)
この(2) 式を上記(1) 式に代入する事で、次の(3) 式を得られる。
10=k・N9 −−− (3)
この(3) 式から明らかな通り、上記中間回転筒11の回転数若しくは回転角度N11を上記(2) 式の様に規制する事で、先発明の構造は、舵角比kの舵角可変式ステアリング装置となる。その他にも、前記電動モータ12により上記中間回転筒11の回転数若しくは回転角度N11を操作して、出力軸角N10を自由に制御する事ができる。更には、車両の横滑りやスピンを検知し、自動的に修正舵(カウンターステア)を与える操作も可能となる。
上述の様な先発明の舵角可変式ステアリング装置を構成するボール式減速機32にしても、前述の図5〜7に示した従来構造のボール式減速機にしても、円滑なトルク伝達の為には、各ボール5、26、30の位置が適正である事が必要である。これら各ボール5、26、30のうちの何れかのボール5、26、30の位置が不適正になると、不適正になったボール5、26、30が何れかの案内溝4a、4b、24、25、28、29をこじる様になり、トルク伝達が不安定になる。一方、上記各ボール5、26、30の位置は不適正になり易い。この点に就いて、図11を参照しつつ説明する。
この図11には、ボール式減速機を構成する1対の案内溝33a、33bを実線及び破線で、これら両案内溝33a、33b同士の重なり部に配置したボール34、34a、34bの中心(これら両案内溝33a、33bに沿って移動する部分)を黒点で、それぞれ表している。これら両案内溝33a、33bがこれら各ボール34、34を拘束する力は、これら両案内溝33a、33bに対し直角方向には大きいが、これら両案内溝33a、33bの方向には小さい。従って、図11の左右両側部分の様に、これら両案内溝33a、33bが交差している部分では、上記各ボール34、34が何れの方向に関しても、十分に大きな力で拘束されて、これら各ボール34、34が適正位置に保持される。
これに対して、図11の上下両端部分の様に、上記両案内溝33a、33bが互いに接線方向に重なり合っている部分では、この接線方向に関して、上記各ボール34a、34bを拘束する力が小さくなり、これら各ボール34a、34bが適正位置がずれ易くなる。例えば、図11の上端部分では、上記両案内溝33a、33bがピッチ円Pの接線方向に向いた部分で互いに重なり合っている。この為、この部分に存在するボール34aが、矢印αで示す様に、円周方向にずれ動き易く、このボール34aの位置が不適正になり易い。又、図11の下端部分では、上記両案内溝33a、33bの変曲点が互いに重なり合っている。これら両案内溝33a、33bの変曲点では、この変曲点の両側の曲線形状が互いに干渉する、所謂切り下げによって、上記両案内溝33a、33bの溝幅が広くなっている。この為、上記下端部分に存在するボール34b、34bが、矢印βで示す方向にずれ動き易く、これら各ボール34b、34bの位置が不適正になり易い。
そして、位置が不適正になったボール34a、34bに関しては、上記両案内溝33a、33bと強く摩擦し合う状況になって、トルク伝達に伴って振動を発生する等、円滑なトルク伝達を妨げる原因となる。この結果、舵角可変式ステアリング装置に組み込んだ場合に、ステアリングホイールを操作する運転者に違和感を与える可能性がある。又、何れかのボール34a、34bの位置が不適正になる分、入力軸の回転角度と出力軸の回転角度との関係が、僅かとは言えずれる可能性がある。この為、高精度を要求される産業用ロボット等の減速機として利用する事は難しい。
上述の様な不都合の原因となる、上記各ボール34a、34bの位置ずれを防止する為に従来から、例えば前記特許文献1に記載されている様に、各ボールを保持器により拘束したり、或いは、前記特許文献2に記載されている様に、案内溝の断面形状をV字形とする事が考えられている。図12は、各ボール34、34を保持器35のポケット36、36内に保持して、これら各ボール34、34の径方向位置及び円周方向位置を規制する構造を示している。この様な構造の場合、上記各ポケット36、36内での上記各ボール34、34の転動を許容する必要上、これら各ポケット36、36の内径をこれらボール34、34の直径よりも少し大きくする必要がある。この結果、これら各ポケット36、36内でのこれらボール34、34の動き量を十分に小さく抑える事が難しくなり、上記不都合を必ずしも十分に解消できない。更には、上記保持器35の強度及び耐久性を確保する必要上、円周方向に隣り合うポケット36、36同士の間の柱部37、37の幅寸法W37を或る程度確保する必要がある。この為、これら各ポケット36、36の内径、更には上記各ボール34、34の直径を小さくせざるを得なくなり、ボール式減速機で伝達可能なトルクの大きさ(負荷容量)を確保する事が難しくなる。
尚、各案内溝33a、33bのピッチ円の円周方向に関する、各ボール34、34の位置を規制する為には、図13に示す様に、円周方向に隣り合うボール34、34の転動面同士を当接若しくは近接対向させる、総ボール型の構造とする事が考えられる。この様な構造によれば、ボール式減速機の負荷容量を確保しつつ、上記各ボール34、34の円周方向位置を適正にできる。但し、この様な総ボール型の構造の場合でも、これら各ボール34、34を円滑に転動させる事を考慮すれば、円周方向に隣り合う総てのボール34、34の転動面同士を当接させる事はできない。更に、上記総ボール型の構造の場合には、これら各ボール34、34の径方向位置を規制できない。この為、前記不都合を十分に抑える事はできない。
特公平1−21378号公報 特公平7−62495号公報 特開2003−261048号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、負荷容量を十分に確保しつつ、複数個のボールの位置を適正にして、このボール式減速機の作動を円滑化できるボール式減速機の構造を実現すべく発明したものである。
本発明のボール式減速機のうち、請求項1に記載したボール式減速機は、少なくとも1対の回転伝達部材と、案内溝と、複数個のボールと、保持器とを備える。
このうちの各回転伝達部材は、互いに偏心して平行に配置された状態で、相対回転する。
又、上記案内溝は、上記各回転伝達部材の互いに対向する少なくとも1対の軸方向側面にそれぞれ形成されたもので、サイクロイド波形状又はトロコイド波形状である。
又、上記各ボールは、上記各案内溝同士の間に挟持されている。
又、上記保持器は、上記各ボールの位置決めを図る為のものである。
そして、この保持器は、これら各ボールの外径側に配置された、内接円の直径がこれら各ボールのピッチ円直径よりも大きな外径側保持器と、これら各ボールの内径側に配置された、外接円の直径がこれら各ボールのピッチ円直径よりも小さな内径側保持器とのうちの少なくとも一方である。
又、請求項2に記載したボール式減速機は、前述した従来から知られている、或いは先発明の舵角可変式ステアリング装置に組み込んだボール式変速機と同様に、少なくとも1対の回転伝達部材と、複数の案内溝と、複数個のボールと、保持器とを備える。
このうちの各回転伝達部材は、互いに偏心して平行に配置された状態で相対回転する。何れか一方の回転伝達部材は、全く回転しなくても良い。
又、上記各案内溝は、上記各回転伝達部材の互いに対向する少なくとも1対の軸方向側面にそれぞれ形成されたもので、サイクロイド波形状又はトロコイド波形状である。
又、上記各ボールは、上記各案内溝同士の間に挟持されている。
更に、上記保持器は、円環状で、上記各ボールを、直径が一定である同一のピッチ円上に配置した状態のまま、上記各回転伝達部材の径方向に変位させる。
特に、請求項2に記載した発明のボール式減速機に於いては、上記保持器は、上記各回転伝達部材の径方向に関して、上記ピッチ円の片側に片寄せた状態で設けられている。即ち、上記保持器は、その一部にしろ、このピッチ円上に存在する事はない。そして、この保持器の内外両周縁のうち、上記各ボールの転動面に対向する周縁の直径を、これら各ボールを上記ピッチ円上に配置させるのに適正な寸法としている。
上述の様な請求項2に記載した発明のボール式減速機を実施する場合に、例えば請求項3に記載した発明の様に、内径側保持器と外径側保持器とを設ける。このうちの内径側保持器は、上記各ボールが適正位置よりも各回転伝達部材の径方向内側に変位する事を阻止する。又、上記外径側保持器は、上記各ボールが適正位置よりもこれら各回転伝達部材の径方向外側に変位する事を阻止する。
この様な請求項3に記載した発明を実施する場合に好ましくは、円周方向に隣り合うボールの転動面同士を、当接若しくは近接対向させる(例えば、各ボールを円周方向に関して等間隔に配置した状態で、円周方向に隣り合うボールの転動面同士の隙間を、5〜20μm程度、或いは、ボールの直径の0.1〜0.5%程度の微小値に抑える)。
或いは、上述の様な請求項3に記載した発明を実施する場合に好ましくは、請求項4、5に記載した発明の様な構造を採用する。
このうちの請求項4に記載した発明の場合には、上記各保持器の中心軸に直交する仮想平面での断面形状に関して、上記内径側保持器の外周面の断面形状を円形とする。これに対して、上記外径側保持器の内周面の断面形状を波形とする。そして、この外径側保持器の波形の底部と各ボールの転動面との係合により、これら各ボールが適正位置よりも各回転伝達部材の径方向外側に変位する事を阻止する。又、上記外径側保持器の波形の円周方向側面と各ボールの転動面との係合により、これら各ボールが適正位置よりも各回転伝達部材の周方向に変位する事を阻止する。
これに対して、請求項5に記載した発明の場合には、上記各保持器の中心軸に直交する仮想平面での断面形状に関して、上記外径側保持器の外周面の断面形状を円形とする。これに対して、上記内径側保持器の外周面の断面形状を波形とする。そして、この内径側保持器の波形の底部と各ボールの転動面との係合により、これら各ボールが適正位置よりも各回転伝達部材の径方向内側に変位する事を阻止する。又、上記内径側保持器の波形の円周方向側面と各ボールの転動面との係合により、これら各ボールが適正位置よりも各回転伝達部材の周方向に変位する事を阻止する。
又、上述の様な本発明のボール式減速機を、例えば前述の図8〜9に示した舵角可変式ステアリング装置に組み込む場合には、請求項6に記載した発明の構造を採用する。
即ち、この場合には、ボール式変速機を、第一減速機構部と第二減速機構部とから構成する。
このうちの第一減速機構部は、中間回転伝達部材と、第一回転軸側案内溝と、中間回転伝達部材側第一案内溝と、複数個の第一ボールと、第一保持器とを備える。
このうちの中間回転伝達部材は、円板状で、軸方向両側面に案内溝を形成したものとする。
又、上記第一回転軸側案内溝は、第一回転軸若しくはこの第一回転軸と共に回転する第一回転伝達部材の端面に形成されたものとする。
又、上記中間回転伝達部材側第一案内溝は、上記中間回転伝達部材の軸方向両側面のうちで上記第一回転軸側案内溝に対向する軸方向片側面部分に形成されたものとする。
又、上記各第一ボールは、上記中間回転伝達部材側第一案内溝と上記第一回転軸側案内溝との間に挟持する。
又、上記第一保持器は、上記各第一ボールを保持するもので、前述した請求項1〜4に記載した如きものとする。
そして、上記中間回転伝達部材側第一案内溝及び第一回転軸側案内溝を、直径が互いに同じであるピッチ円に沿うサイクロイド系波形状又はトロコイド波形状とすると共に、上記中間回転伝達部材の中心軸と上記第一回転軸の中心軸との偏心量分だけ互いに偏心させる。
又、上記第二減速機構部は、上記中間回転伝達部材に加えて、第二回転軸側案内溝と、中間回転伝達部材側第二案内溝と、複数個の第二ボールと、第二保持器とを備える。
このうちの第二回転軸側案内溝は、第二回転軸若しくはこの第二回転軸と共に回転する第二回転伝達部材の端面に形成されたものとする。
又、上記中間回転伝達部材側第二案内溝は、上記中間回転伝達部材の軸方向両側面のうちで上記第二回転軸側案内溝に対向する軸方向他側面部分に形成されたものとする。
又、上記各第二ボールは、上記中間回転伝達部材側第二案内溝と上記第二回転軸側案内溝との間に挟持する。
又、上記第二保持器は、上記各第二ボールを保持するもので、前述した請求項1〜4に記載した如きものとする。
そして、上記中間回転伝達部材側第二案内溝及び第二回転軸側案内溝を、直径が互いに同じであるピッチ円に沿うサイクロイド系波形状又はトロコイド波形状とすると共に、上記中間回転伝達部材の中心軸と上記第二回転軸の中心軸との偏心量分だけ互いに偏心させる。
更に、上記中間回転伝達部材側第一案内溝の波数と上記中間回転伝達部材側第二案内溝の波数とを互いに異ならせる。
上述の様な請求項6に記載した発明を実施する場合、より具体的には、請求項7に記載した発明の様に、前記中間回転伝達部材側第一案内溝と前記第一回転軸側案内溝とのうちの一方の案内溝を、波数がNであるハイポサイクロイド形状又はハイポトロコイド形状とする。同じく他方の案内溝を、波数が「N−2」であるエピサイクロイド形状又はエピトロコイド形状とする。そして、上記中間回転伝達部材側第一案内溝と上記第一回転軸側案内溝との間で、中間回転伝達部材の軸方向に関してこれら中間回転伝達部材側第一案内溝と第一回転軸側案内溝とが重畳する部分に、「N−1」個のボールを配置する。
又、上記中間回転伝達部材側第二案内溝と上記第二回転軸側案内溝とのうちの一方の案内溝を、波数がMであるハイポサイクロイド形状又はハイポトロコイド形状とする。同じく他方の案内溝を、波数が「M−2」であるエピサイクロイド形状又はエピトロコイド形状とする。そして、上記中間回転伝達部材側第二案内溝と上記第二回転軸側案内溝との間で、上記中間回転伝達部材の軸方向に関してこれら中間回転伝達部材側第二案内溝と第二回転軸側案内溝とが重畳する部分に、「M−1」個のボールを配置する。
上述の様に構成する本発明によれば、負荷容量を十分に確保しつつ、複数個のボールの位置を適正にして、作動を円滑化できるボール式減速機の構造を実現できる。
即ち、保持器により各ボールを、直径が一定である同一のピッチ円上に配置した状態のままに保持できる。そして、これら各ボールを、直径が一定である同一のピッチ円上に配置させられれば、何れかの案内溝とピッチ円との交差角度が大きい部分に存在する各ボールに関しては、これら各ボールと各案内溝との係合に基づき、これら各ボールの円周方向の位置も一義的に規制される。更に、各案内溝とピッチ円との交差角度が小さい部分(ほぼ平行な部分も含む)に存在するボールに関しては、例えば当該ボールの転動面と上記交差角度が大きい部分に存在するボールの転動面との係合に基づき、円周方向の位置も規制される。又、各回転伝達部材に対する上記ピッチ円の、径方向位置に関しても、何れかのボールと上記各係合溝との係合により規制される。この為、上記各伝達部材の径方向及び円周方向の何れの方向に関しても、上記各ボールを適正位置に保持できて、これら各ボールを各案内溝同士の間で滑らかに転動させられる。
この結果、トルク伝達に伴って振動等を発生する事なく、円滑なトルク伝達を行なえて、例えば舵角可変式ステアリング装置に組み込んだ場合に、ステアリングホイールを操作する運転者に違和感を与える事がなくなる。
又、入力軸の回転角度と出力軸の回転角度との関係を厳密に一致させる(減速比がばらつく事を防止する)事ができて、高精度を要求される産業用ロボット等の減速機として利用可能になる。
[実施の形態の第1例]
図1は、請求項1〜3に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例を含めて、本発明の特徴は、特殊な保持器により各ボール34、34a、34bの径方向位置を規制する事で、これら各ボール34、34a、34bの位置を、偏心プレート2、固定板38(図5〜6参照)、偏心プレート13、駆動リング23、鍔部27(図8〜9参照)等の回転伝達部材の径方向及び円周方向に関して、厳密に規制できる様にする点にある。ボール式減速機全体の構造及び作用に就いては、図5〜6に記載した従来構造、或いは図8〜9に記載した先発明の構造と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は、省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
上記図1には、前述した図11と同様に、ボール式減速機を構成する1対の案内溝33a、33bを実線及び破線で、これら両案内溝33a、33b同士の重なり部に配置したボール34、34a、34bの中心で上記両案内溝33a、33bに沿って移動する部分を黒点で、それぞれ表している。本例の場合、これら各ボール34、34a、34bの内側に内径側保持器39を、同じく周囲に外径側保持器40を、それぞれ配置している。これら両保持器39、40はそれぞれ円環状であり、上記各ボール34、34a、34bの内側又は外側に、ほぼ隙間なく配置している。又、上記両保持器39、40は、黄銅等の銅系合金、或いはステンレス鋼、炭素鋼等の鉄系合金等により造る。潤滑性を重視するならば銅系合金製のものを、強度を重視するならば鉄系合金製のものを、それぞれ使用する事が好ましい。
先ず、上記内径側保持器39は、上記各ボール34、34a、34bを総て適正位置に配置した状態での、これら各ボール34、34a、34bの内接円の直径よりも僅かに(例えば5〜20μm程度、或いは、これら各ボール34、34a、34bの直径の0.1〜0.5%程度の微小値分だけ)小さくしている。従ってこれら各ボール34、34a、34bは、適正位置よりも径方向内方に変位する事は殆どない。
一方、上記外径側保持器40は、上記各ボール34、34a、34bを総て適正位置に配置した状態での、これら各ボール34、34a、34bの外接円の直径よりも僅かに(例えば5〜20μm程度、或いは、これら各ボール34、34a、34bの直径の0.1〜0.5%程度の微小値分だけ)大きくしている。従ってこれら各ボール34、34a、34bは、適正位置よりも径方向外方に変位する事は殆どない。
従って、上記両保持器39、40を上記各ボール34、34a、34bの内側又は外側に配置した状態では、これら各ボール34、34a、34bの径方向に関する位置は、適正位置に規制される。尚、上記両保持器39、40の周面で上記各ボール34、34a、34bの径方向位置を規制する部分は、単純な円筒面である。この為、この部分を精度良く加工する事は容易であり、上記各ボール34、34a、34bの径方向位置を精度良く規制できる。
又、本例の場合には、円周方向に隣り合う各ボール34、34a、34bの転動面同士の間に存在する隙間を、ゼロ乃至は僅少{例えば、各ボール34、34a、34bを円周方向に関して等間隔(適性位置)に配置した状態で、5〜20μm程度、或いは、これら各ボール34、34a、34bの直径の0.1〜0.5%程度の微小値}に抑えている。この様に、円周方向に隣り合う各ボール34、34a、34bの転動面同士の間に存在する隙間をゼロ乃至は僅少に抑える事は、前記両案内溝33a、33bのトロコイド係数、前記各伝達部材(偏心プレート2、固定板38、偏心プレート13、駆動リング23、鍔部27)の偏心量、上記各ボール34、34a、34bの直径に基づいて、精度良く規制できる。即ち、これらトロコイド係数、偏心量、直径の3種類のパラメータは、上記各案内溝33a、33bの形状を決定する基本的なパラメータであり、又、これら各案内溝33a、33bは精密に加工される。この為、上記各ボール34、34a、34bの転動面同士の間に存在する隙間を僅少値としても、この隙間を精度良く規制できる。
本例のボール式減速機は、上述の様に構成する為、上記両保持器39、40及び上記各ボール34、34a、34bを組み込んだボール式減速機に関して、負荷容量を十分に確保しつつ、これら各ボール34、34a、34bの位置を適正にして、作動を円滑化できる。
即ち、上記両保持器39、40により各ボール34、34a、34bを、直径が一定である同一のピッチ円P上に配置できる。そして、これら各ボール34、34a、34bを、直径が一定である同一のピッチ円P上に配置できれば、図1の左右両側乃至下側部分に存在する各ボール34、34bの様に、何れかの案内溝(案内溝33a、33bの一方又は双方)とピッチ円Pとの交差角度が大きい部分に存在する各ボール34、34bに関しては、これら各ボール34、34bと各案内溝33a、33bとの係合に基づき、これら各ボール34、34bの円周方向の位置も一義的に規制される。
これに対して、図1の上端部に存在するボール34aの様に、各案内溝33a、33bとピッチ円Pとの交差角度が小さい部分(ほぼ平行な部分も含む)に存在するボール34aに関しては、当該ボール34aの転動面と、上記交差角度が大きい部分に存在するボール34、34の転動面との係合に基づき、円周方向の位置が規制される。又、上記ピッチ円Pの径方向位置に関しても、例えば図1の上端部に存在するボール34aと上記各係合溝33a、33bとの係合により規制される。この為、上記各伝達部材(偏心プレート2、固定板38、偏心プレート13、駆動リング23、鍔部27)の径方向及び円周方向の何れの方向に関しても、上記各ボール34、34a、34bを適正位置に保持できて、これら各ボール34、34a、34bを上記各案内溝33a、33b同士の間で滑らかに転動させられる。
[実施の形態の第2例]
図2〜3は、請求項1〜4に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、外径側保持器40aの内周面の(中心軸に直交する仮想平面での)断面形状を、波形としている。即ち、この外径側保持器40aの内周面に、それぞれが半円弧よりも小さい、部分円弧状の凹部41、41を、この外径側保持器40aの内径側に転動自在に保持すべきボール34、34a、34bの適正ピッチと同じピッチで形成している。上記外径側保持器40aの内接円の直径は、上記各ボール34、34a、34bのピッチ円Pの直径(PCD)よりも大きい。即ち、上記外径側保持器40aの径方向内端部に関しても、上記ピッチ円Pよりも径方向内方に突出する事はない。
尚、上記各凹部41、41の曲率半径は、これら各ボール34、34a、34bの転動面の曲率半径よりも僅かに(例えば2〜10μm程度、或いは、これら各ボール34、34a、34bの直径の0.05〜0.2%程度の微小値分だけ)大きくしている。又、これら各ボール34、34a、34bを上記各凹部41、41に保持した状態で、円周方向に隣り合うボール34、34a、34bの転動面同士の間の隙間が0.1mm程度、或いは、これら各ボール34、34a、34bの直径の1〜5%程度になる様に、上記各凹部41、41及びこれら各ボール34、34a、34bの直径を規制している。この様な外径側保持器40aの材質は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様に考えても良いが、潤滑性をより重視するならば、合成樹脂製としても良い。内径側保持器39に関しては、上述した実施の形態の第1例の場合と同様のものを組み込む。
この様な本例の構造によれば、上記各凹部41、41と上記各ボール34、34a、34bとの係合に基づき、総てのボール34、34a、34bに関して、それぞれの位置を、径方向だけでなく円周方向に関しても、高精度で規制できる。この為、トルク伝達時の円滑化、減速比のばらつき防止を、実施の形態の第1例の場合よりも、より高レベルで図れる。又、円周方向に隣り合うボール34、34a、34bの転動面同士が擦れ合う事をなくせる為、これら各ボール34、34a、34bの転動を、より円滑に行なわせる事ができる。尚、上記各凹部41、41は、半円弧未満の部分円弧である為、これら各凹部41、41の内面と上記各ボール34、34a、34bの転動面との摩擦は限られたものとなる。この為、上記各凹部41、41を設ける事により、これら各ボール34、34a、34bの転がり抵抗増加は限られる。その他の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
[実施の形態の第3例]
図4は、請求項1〜3、5に関する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、内径側保持器39aの外周面の(中心軸に直交する仮想平面での)断面形状を波形としている。即ち、この内径側保持器39aの外周面に、それぞれが半円弧よりも小さい、部分円弧状の凹部41a、41aを、この内径側保持器39aの内径側に転動自在に保持すべきボール34、34a、34bの適正ピッチと同じピッチで形成している。上記内径側保持器39aの外接円の直径は、上記各ボール34、34a、34bのピッチ円Pの直径(PCD)よりも小さい。即ち、上記内径側保持器39aの径方向外端部に関しても、上記ピッチ円Pよりも径方向外方に突出する事はない。外径側保持器40に関しては、前述した実施の形態の第1例の場合と同様のものを組み込む。この様な本例の構造によっても、上述した実施の形態の第2例の場合と同様、トルク伝達時の円滑化、減速比のばらつき防止を、実施の形態の第1例の場合よりも、より高レベルで図れる。
本発明の実施の形態の第1例を示す、ボール式減速機の要部を図9の上方から見た状態で示す模式図。 同第2例を示す、図1と同様の図。 外径側保持器を取り出して図2と同方向から見た図。 本発明の実施の形態の第3例を示す、図1と同様の図。 従来から知られているボール式減速機の1例を示す断面図。 同じく分解斜視図。 同じく1対の案内溝の形状を説明する為の模式図。 先発明に係る、ボール式減速機を組み込んだ舵角可変式ステアリング装置の断面図。 図8のA部拡大図。 同じく1対の案内溝の係合状態を説明する為の模式図。 各ボールの位置がずれる理由を説明する為の、図10と同様の模式図。 各ボールの位置がずれるのを防止する為に考えられた従来構造の第1例を示す模式図。 同第2例を説明する為の模式図。
符号の説明
1 入力軸
2 偏心プレート
3 ケーシング
4a、4b 案内溝
5、5a ボール
6 回転取り出し板
7a、7b 環状溝
8 出力軸
9 入力軸
10 出力軸
11 中間回転筒
12 電動モータ
13 偏心プレート
14 第一ボール変速機構
15 第二ボール変速機構
16 ステアリングコラム
17 ステアリングホイール
18 ハウジング
19 小径部
20 舵角センサ
21 制御用回転角センサ
22 大径部
23 駆動リング
24 入力軸側案内溝
25 偏心プレート入力側案内溝
26 入力側ボール
27 鍔部
28 出力軸側案内溝
29 偏心プレート出力側案内溝
30 出力側ボール
31 ナット
32 ボール式減速機
33a、33b 案内溝
34、34a、34b ボール
35 保持器
36 ポケット
37 柱部
38 固定板
39 内径側保持器
40、40a 外径側保持器
41、41a 凹部

Claims (7)

  1. 互いに偏心して平行に配置された状態で相対回転する、少なくとも1対の回転伝達部材と、これら各回転伝達部材の互いに対向する少なくとも1対の軸方向側面にそれぞれ形成された、サイクロイド波形状又はトロコイド波形状である案内溝と、これら各案内溝同士の間に挟持された複数個のボールと、これら各ボールの位置決めを図る為の保持器とを備え、この保持器は、これら各ボールの外径側に配置された、内接円の直径がこれら各ボールのピッチ円直径よりも大きな外径側保持器と、これら各ボールの内径側に配置された、外接円の直径がこれら各ボールのピッチ円直径よりも小さな内径側保持器とのうちの少なくとも一方であるボール式減速機。
  2. 互いに偏心して平行に配置された状態で相対回転する、少なくとも1対の回転伝達部材と、これら各回転伝達部材の互いに対向する少なくとも1対の軸方向側面にそれぞれ形成された、サイクロイド波形状又はトロコイド波形状である案内溝と、これら各案内溝同士の間に挟持された複数個のボールと、これら各ボールを、直径が一定である同一のピッチ円上に配置した状態のまま、上記各回転伝達部材の径方向に変位させる為の、円環状の保持器とを備えたボール式減速機に於いて、この保持器は、上記ピッチ円の径方向に関して、このピッチ円の片側に片寄せた状態で設けられたものであって、上記保持器の内外両周縁のうち、上記各ボールの転動面に対向する周縁の直径が、これら各ボールを上記ピッチ円上に配置させるのに適正な寸法である事を特徴とするボール式減速機。
  3. 各ボールが適正位置よりも各回転伝達部材の径方向内側に変位する事を阻止する内径側保持器と、これら各ボールが適正位置よりもこれら各回転伝達部材の径方向外側に変位する事を阻止する外径側保持器とを備えた、請求項2に記載したボール式減速機。
  4. 各保持器の中心軸に直交する仮想平面での断面形状に関して、内径側保持器の外周面の断面形状が円形であり、外径側保持器の内周面の断面形状が波形であり、この外径側保持器の波形の底部と各ボールの転動面との係合により、これら各ボールが適正位置よりも各回転伝達部材の径方向外側に変位する事を阻止し、上記外径側保持器の波形の円周方向側面と各ボールの転動面との係合により、これら各ボールが適正位置よりも各回転伝達部材の周方向に変位する事を阻止している、請求項3に記載したボール式減速機。
  5. 各保持器の中心軸に直交する仮想平面での断面形状に関して、外径側保持器の外周面の断面形状が円形であり、内径側保持器の外周面の断面形状が波形であり、この内径側保持器の波形の底部と各ボールの転動面との係合により、これら各ボールが適正位置よりも各回転伝達部材の径方向内側に変位する事を阻止し、上記内径側保持器の波形の円周方向側面と各ボールの転動面との係合により、これら各ボールが適正位置よりも各回転伝達部材の周方向に変位する事を阻止している、請求項3に記載したボール式減速機。
  6. 軸方向両側面に案内溝を形成した円板状の中間回転伝達部材と、第一回転軸若しくはこの第一回転軸と共に回転する第一回転伝達部材の端面に形成された第一回転軸側案内溝と、上記中間回転伝達部材の軸方向両側面のうちでこの第一回転軸側案内溝に対向する軸方向片側面部分に形成された中間回転伝達部材側第一案内溝と、この中間回転伝達部材側第一案内溝と上記第一回転軸側案内溝との間に挟持された複数個の第一ボールと、これら各第一ボールを保持する第一保持器とを備え、これら中間回転伝達部材側第一案内溝及び第一回転軸側案内溝を、直径が互いに同じであるピッチ円に沿うサイクロイド系波形状又はトロコイド波形状とすると共に、上記中間回転伝達部材の中心軸と上記第一回転軸の中心軸との偏心量分だけ互いに偏心させた第一減速機構部と、第二回転軸若しくはこの第二回転軸と共に回転する第二回転伝達部材の端面に形成された第二回転軸側案内溝と、上記中間回転伝達部材の軸方向両側面のうちでこの第二回転軸側案内溝に対向する軸方向他側面部分に形成された中間回転伝達部材側第二案内溝と、この中間回転伝達部材側第二案内溝と上記第二回転軸側案内溝との間に挟持された複数個の第二ボールと、これら各第二ボールを保持する第二保持器とを備え、これら中間回転伝達部材側第二案内溝及び第二回転軸側案内溝を、直径が互いに同じであるピッチ円に沿うサイクロイド系波形状又はトロコイド波形状とすると共に、上記中間回転伝達部材の中心軸と上記第二回転軸の中心軸との偏心量分だけ互いに偏心させた第二減速機構部とから成り、上記中間回転伝達部材側第一案内溝の波数と上記中間回転伝達部材側第二案内溝の波数とを互いに異ならせている、請求項2〜5のうちの何れか1項に記載したボール式減速機。
  7. 中間回転伝達部材側第一案内溝と第一回転軸側案内溝とのうちの一方の案内溝が、波数がNであるハイポサイクロイド形状又はハイポトロコイド形状であり、同じく他方の案内溝が、波数が「N−2」であるエピサイクロイド形状又はエピトロコイド形状であり、上記中間回転伝達部材側第一案内溝と上記第一回転軸側案内溝との間で、中間回転伝達部材の軸方向に関してこれら中間回転伝達部材側第一案内溝と第一回転軸側案内溝とが重畳する部分に、「N−1」個のボールが配置されており、中間回転伝達部材側第二案内溝と第二回転軸側案内溝とのうちの一方の案内溝が、波数がMであるハイポサイクロイド形状又はハイポトロコイド形状であり、同じく他方の案内溝が、波数が「M−2」であるエピサイクロイド形状又はエピトロコイド形状であり、上記中間回転伝達部材側第二案内溝と上記第二回転軸側案内溝との間で、上記中間回転伝達部材の軸方向に関してこれら中間回転伝達部材側第二案内溝と第二回転軸側案内溝とが重畳する部分に、「M−1」個のボールが配置されている、請求項6に記載したボール式減速機。
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