JP2010096198A - 駆動力伝達装置および駆動力伝達装置を搭載した四輪駆動車 - Google Patents

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Abstract

【課題】四輪駆動車の走行安定性を向上しつつ、装置自体を小規模化できると共にコスト低減を図ることができる駆動力伝達装置および駆動力伝達装置を搭載した四輪駆動車を提供すること。
【解決手段】1のオイル供給機構200と切替機構400とによって、一対の駆動力調整機構60a,60bのそれぞれに対応する流通路401a,401bを切り替え、一対の駆動力調整機構60a,60bにおける後輪70a,70bへの駆動力の伝達を調整できるので、オイル供給機構200(電動モータ201)の性能差から生じる後輪70a,70bへの伝達率の差を低減でき、四輪駆動車1の直進時の走行安定性を向上できる。また、1のオイル供給機構200により一対の駆動力調整機構60a,60bの駆動力の伝達を調整できるので、装置を小規模化できるしコスト低減を図ることができる。
【選択図】図6

Description

本発明は、駆動力伝達装置および駆動力伝達装置を搭載した四輪駆動車に関し、特に、四輪駆動車の走行安定性を向上しつつ、装置自体を小規模化できると共にコスト低減を図ることができる駆動力伝達装置および駆動力伝達装置を搭載した四輪駆動車に関するものである。
従来より、四輪駆動車の左右の後輪に伝達される駆動力を左右独立して調整可能な駆動力伝達装置が知られている。この左右の後輪に伝達される駆動力を左右独立して調整可能な駆動力伝達装置としては、特開平10−194003号公報(以下「特許文献1」と称す)及び特開2003−106340号公報(以下「特許文献2」と称す)に開示されている。
特許文献1の駆動力伝達装置は、エンジンからドライブシャフトを介して伝達される駆動力を、左右対称に設けられた一対の多板クラッチ機構を介して左右の後輪にそれぞれ伝達するものであり、一対の多板クラッチ機構は、一対の電磁クラッチによりそれぞれ駆動され、後輪へ伝達される駆動力が調整されるように構成されている。
また、特許文献2の駆動力伝達装置は、特許文献1の駆動力伝達装置の電磁クラッチに代えて、一対の電気モータにより一対の多板クラッチ機構をそれぞれ駆動し、後輪へ伝達する駆動力の調整を行うものである。
特開平10−194003号公報 特開2003−106340号公報
しかしながら、一対の多板クラッチ機構により左右の後輪へ伝達される駆動力の調整を、一対の電磁クラッチや一対の電気モータで行う場合には、同一の駆動指令を一対の電磁クラッチや一対の電気モータに出力したとしても、多板クラッチ機構の複数のクラッチ板の寸法誤差や組み付け誤差などから生じる駆動力の伝達率の差だけでなく、電磁クラッチや電気モータの特性の差によっても、左右の後輪へ伝達される駆動力に差が生じてしまう。また、一般的に、電磁クラッチや電気モータは、磁場や電流にバラ付きが生じ易い特性を有している。よって、四輪駆動車を直進させるために、同一の駆動指令を一対の電磁クラッチや一対の電気モータに出力したとしても、左右の後輪へ伝達される駆動力に差が生じるので、四輪駆動車の直進時の走行安定性が低下してしまうという問題点があった。
また、一対の多板クラッチ機構に対して、一対の電磁クラッチや電気モータが必要になるので、その分、駆動力伝達装置自体が大規模化してしまうと共に、コスト高になるという問題点もあった。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、四輪駆動車の走行安定性を向上しつつ、装置自体を小規模化できると共にコスト低減を図ることができる駆動力伝達装置および駆動力伝達装置を搭載した四輪駆動車を提供することを目的としている。
この目的を達成するために請求項1記載の駆動力伝達装置は、駆動力を発生する原動機と、その原動機により発生された駆動力が入力される入力軸と、その入力軸に入力された駆動力を一対の出力軸に対してそれぞれ断続的に出力可能な一対の出力ユニットとを備えており、前記一対の出力軸に対して駆動力を出力する状態に前記一対の出力ユニットをそれぞれ遷移させる液圧が供給される一対の供給室と、その一対の供給室にそれぞれ連通し、前記液圧を発生させる液体が流通する一対の流通路と、その一対の流通路の反供給室側の端部の両方に連通する合流路と、その合流路と一対の流通路との間に配置され、前記合流路と一対の流通路との間の連通状態を切り替える切替手段と、前記合流路に前記液圧を発生させる液体を送り出す1の液体送出手段と、その1の液体送出手段による液体の送出制御を行うと共に、前記切替手段による連通状態の切替制御を行う制御手段とを備えている。
請求項2記載の駆動力伝達装置は、請求項1記載の駆動力伝達装置において、前記切替手段は、前記合流路と両流通路との間を連通させる第1状態と、前記合流路と一方の流通路との間を連通させると共に前記合流路と他方の流通路との間を非連通にする第2状態とに切替可能に構成され、前記制御手段は、前記切替手段を第1状態または第2状態に切り替える切替制御を行うものである。
請求項3記載の駆動力伝達装置は、請求項1又は2に記載の駆動力伝達装置において、前記切替手段は、前記合流路と一対の流通路との間に設けられる中間領域と、その中間領域内を一方向に往復動作可能に配置され、前記合流路と一対の流通路との間をそれぞれ開放または遮蔽する開放遮蔽部材と、その開放遮蔽部材を往復動作させる駆動手段とを備えている。
請求項4記載の駆動力伝達装置は、請求項1から3のいずれかに記載の駆動力伝達装置において、前記合流路を流通する液体の液圧を検出する検出手段を備え、前記制御手段は、前記検出手段により検出される液圧の検出結果に応じて、前記1の液体送出手段による液体の送出制御と前記切替手段による連通状態の切替制御とを行うものである。
請求項5記載の駆動力伝達装置は、請求項1から4のいずれかに記載の駆動力伝達装置において、前記一対の流通路は、その経路長さ及び形状がほぼ同形状に形成されると共に、前記出力ユニットは、垂直方向の高さがほぼ同位置に配置されている。
請求項6記載の四輪駆動車は、請求項1から5のいずれかに記載の駆動力伝達装置が搭載され、走行状態に応じて前輪および後輪への駆動力の分配制御が行われるものであり、前記四輪駆動車の進行方向を定めるステアリング舵角を取得する舵角取得手段と、その舵角取得手段により取得されるステアリング舵角が所定値以下であれば、前記合流路と両流通路との間を連通させる第1状態に前記切替手段を切り替えて、前記前輪および後輪への駆動力の分配に応じた四輪駆動の制御を行う四輪制御手段と、前記四輪駆動車の走行状態を取得し、その取得した走行状態に基づいて推定される横方向への加速度および旋回量とに基づいて、前記入力軸に入力された駆動力に対して前記一対の出力軸のそれぞれに分配される駆動力を設定する設定手段と、前記舵角取得手段により取得されるステアリング舵角が所定値より大きければ、前記設定手段により設定された駆動力の分配が多い方の出力軸に対応する流通路が連通すると共に、前記設定手段により設定された駆動力の分配が少ない方の出力軸に対応する流通路が非連通となる第2状態に前記切替手段を切り替える制御を行う第2状態制御手段と、その第2状態制御手段により前記切替手段が切り替えられる場合に、その第2状態制御手段により前記切替手段が切り替えられる前の前記合流路の液圧と、前記設定手段により設定された駆動力の分配差とに基づいて、前記液圧送出手段により前記合流路へ送り出される液体の送出量を調整する液圧調整制御手段とを備えている。
請求項1記載の駆動力伝達装置によれば、原動機により発生された駆動力が入力軸に入力され、その入力軸に入力された駆動力が、一対の出力ユニットにより一対の出力軸に対してそれぞれ断続的に出力可能に構成されている。また、液体送出手段からは、合流路に対して液体が送出され、その合流路に送出された液体が一対の流通路を介して一対の供給室に供給される。その一対の供給路に供給される液体により液圧が発生させられると、一対の出力軸に対して駆動力を出力する状態に一対の出力ユニットがそれぞれ遷移し、入力軸に入力された駆動力が出力ユニットを介して出力軸に伝達される。また、合流路と一対の流通路との間には、その合流路と一対の流通路との間の連通状態を切り替える切替手段が配置され、その切替手段により連通状態を切り替える切替制御および液体送出手段により合流路に液体を送出する送出制御が制御手段により行われる。
よって、制御手段によって、液体送出手段による液体の送出が制御されると共に、切替手段による一対の流通路と合流路との間の連通状態が切り替えられるので、出力ユニットを介して出力軸に伝達される駆動力の調整を1つの液体送出手段により行うことができる。従って、一対の出力軸に伝達される駆動力を略同等にしようとした場合には、例えば、一対の出力ユニットの状態の遷移を一対の電磁クラッチや一対の電気モータで行う場合に比べて、少なくとも、一対の出力ユニットを遷移させる構成自体が持つバラツキ(例えば、多板クラッチ機構を押し付ける押付荷重のバラ付きなど)による差を低減できる。その結果、出力ユニットを介して出力軸に伝達される駆動力の伝達率の差も低減できるので、四輪駆動車の直進時の走行安定性を向上できるという効果がある。勿論、液体送出手段が1つになるので、駆動力伝達装置自体を小規模化できると共にコスト低減を図ることもできるという効果がある。
請求項2記載の駆動力伝達装置によれば、請求項1記載の駆動力伝達装置の奏する効果に加え、合流路と両流通路との間を連通させる第1状態と、合流路と一方の流通路との間を連通させると共に合流路と他方の流通路との間を非連通にする第2状態とに切替手段を切り替える切替制御が制御手段により行われる。よって、一対の流通路の両方に液体を流通させた場合には、一対の出力軸に駆動力が伝達される伝達率を略同等にできるし、一対の流通路の一方のみに液体を流通させた場合には、四輪駆動車が曲がる際の出力軸に伝達される駆動力の差を簡単に発生させることができる。従って、四輪駆動車の直進時の走行安定性を向上できるし、四輪駆動車が曲がるときの走行安定性も向上できるという効果がある。
また、一般的な四輪駆動車では、コーナリングをしている時間の中でも姿勢が乱れる様は限界に近い状態で必要になる為、合流路と一方の流通路との間を連通させると共に合流路と他方の流通路との間を非連通にする第2状態は、1秒以内の短時間で行えば良い。そのため、制御手段によって、切替手段を第2状態に切り替える制御を行った場合には、液体の他の流通路への流れ込みやリーク量などを無視できるレベルなので、切替手段の切替制御が複雑になることを抑制でき、制御手段の制御負担を軽減できるという効果がある。
請求項3記載の駆動力伝達装置によれば、請求項1又は2に記載の駆動力伝達装置の奏する効果に加え、合流路と一対の流通路との間に設けられる中間領域内を開放遮蔽部材が駆動手段により一方向に往復動作されて、合流路と一対の流通路との間がそれぞれ開放または遮蔽される。よって、開放遮蔽部材を一方向に往復させる動作によって、合流路と一対の流通路との間を開放または遮蔽できるので、その構造自体を簡略化できコスト低減を図ることができるという効果がある。
請求項4記載の駆動力伝達装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載の駆動力伝達装置の奏する効果に加え、検出手段により検出される合流路を流通する液体の液圧の検出結果に応じて、1の液体送出手段による液体の送出制御と切替手段による連通状態の切替制御とが制御手段により行われる。よって、1の検出手段により一対の出力ユニットの状態を遷移させて出力軸に伝達される駆動力を調整できるので、コスト低減を図ることができるという効果がある。
また、検出手段には、それぞれ製品固有の製品誤差を有しているので、一対の流通路のそれぞれに検出手段を設ける構成では、その検出手段が有する製品誤差を考慮した制御を行わなければならない。しかし、1の検出手段により一対の出力ユニットの状態を遷移させて出力軸に伝達される駆動力を調整できるので、切替制御および送出制御が複雑になることを抑制でき、制御手段の制御負担を軽減できるという効果がある。
請求項5記載の駆動力伝達装置によれば、請求項1から4のいずれかに記載の駆動力伝達装置の奏する効果に加え、一対の流通路は、その経路長さ及び形状がほぼ同形状に形成され、出力ユニットは、垂直方向の高さがほぼ同位置に配置されている。よって、一対の流通路における管路抵抗の影響を低減できるし、液体の垂直方向における圧力水頭差の影響を低減できるという効果がある。
請求項6記載の四輪駆動車によれば、請求項1から5のいずれかに記載の駆動力伝達装置が搭載され、走行状態に応じて前輪および後輪への駆動力の分配制御が行われる。また、四輪駆動車の進行方向を定めるステアリング舵角が舵角取得手段により取得され、その取得されたステアリング舵角が所定値以下である場合には、合流路と両流通路との間を連通させる第1状態に切替手段が切り替えられて、前輪および後輪への駆動力の分配に応じた四輪駆動の制御が四輪制御手段により行われる。即ち、ステアリング舵角が小さく四輪駆動車がほぼ直進している状態では、両流通路に略均等な液圧が供給されるので、一対の出力軸に略均等な駆動力を伝達でき、安定した四輪駆動の直進走行を行うことができるという効果がある。
一方、舵角取得手段により取得されるステアリング舵角が所定値より大きい場合には、設定手段によって、四輪駆動車の走行状態に基づいて推定される横方向への加速度および旋回量とに基づいて入力軸に入力された駆動力に対する一対の出力軸のそれぞれに分配される駆動力が設定され、その設定された駆動力の分配が多い方の出力軸に対応する流通路が連通すると共に、設定手段により設定された駆動力の分配が少ない方の出力軸に対応する流通路が非連通となる第2状態に切替手段が第2状態制御手段により切り替えられる。また、第2状態制御手段により切替手段が第2状態に切り替えられる場合には、その第2状態制御手段により切替手段が切り替えられる前の合流路の液圧と、設定手段により設定された駆動力の分配の差とに基づいて、液圧送出手段により合流路へ送り出される液体の送出量が液圧調整制御手段により調整されるので、駆動力の分配が多い方の出力軸に対応する流通路へ供給される液圧を最適な値に調整できる。即ち、ステアリング舵角が大きく四輪駆動車がコーナリングをしている状態では、一対の出力軸の一方に大きな駆動力が伝達されるので、安定したコーナリング走行を行うことができるという効果がある。
なお、請求項6記載の四輪駆動車によれば、出力ユニットを介して出力軸に伝達される駆動力の調整を1つの液体送出手段により行う構成において、車両がほぼ直進する場合の前輪および後輪への駆動力の分配に基づく制御、及び、コーナリング中の四輪駆動車の車両操安性を向上させる制御を、ステアリング舵角や走行状態により推定されるパラメータに基づいて行うことができ、つまり、フィードフォワード制御を簡単なロジックで達成することができるという効果がある。
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、本発明の一実施の形態である駆動力調整機構60a,60bが搭載された四輪駆動車1について説明する。本実施の形態の駆動力調整機構60a,60bは、原動機10から出力される駆動力を後輪70a,70bにそれぞれ分配するものである。
図1は、駆動力調整機構60a,60bが搭載された四輪駆動車1を示した概略図である。なお、図1に示す矢印Xは、四輪駆動車1の前後方向を示しており、矢印Yは、四輪駆動車1の左右方向を示している。
図1に示すように、四輪駆動車1は、内燃機関であり駆動力を発生する原動機10と、その原動機10から連結軸91を介して入力された駆動力を変速部21により変速して出力するトランスミッション20と、そのトランスミッション20から連結軸92を介して入力された駆動力を前後駆動力分配装置分配部31により連結軸96と中央ドライブシャフト94とに分配する前後駆動力分配装置30と、その前後駆動力分配装置30によって連結軸96に分配された駆動力を前側ドライブシャフト93a,93bに分配する前輪デファレンシャルギヤ部32と、その前輪デファレンシャルギヤ部32で前側ドライブシャフト93a,93bに分配された駆動力が伝達されて回転動作する一対の前輪40a,40bと、前後駆動力分配装置30によって中央ドライブシャフト94に分配された駆動力が伝達され、その伝達された駆動力を後側ドライブシャフト95a,95bに分配する駆動力分配機構50と、その駆動力分配機構50により後側ドライブシャフト95a,95bに分配される駆動力の割合を調整する駆動力調整機構60a,60bと、その駆動力調整機構60a,60bに対してオイルを送り出すオイル供給機構200と、そのオイル供給機構200により圧送されたオイルの液圧を検出する圧力検出機構300と、オイル供給機構200と駆動力調整機構60a,60bとの間のオイルが流通する流路を切り替える切替機構400と、駆動力調整機構60a,60bによって後側ドライブシャフト95a,95bそれぞれに調整された駆動力が伝達されて回転動作する一対の後輪70a,70bと、駆動力調整機構60a,60bの各種制御を行う制御装置80とを有して構成されている。なお、駆動力分配機構50と駆動力調整機構60a,60bとは、ケース61の内部に回転可能に固定されている。
なお、図1では、駆動力調整機構60a,60bと切替機構400との間をそれぞれ連通する一対の流通路401a,401bと、オイル供給機構200と切替機構400との間を連通する合流路402とを模式的に図示している。この駆動力調整機構60a,60b、オイル供給機構200、切替機構400、流通路401a,401b及び合流路402の関係については、図6〜図9を用いて後述する。
前輪デファレンシャルギヤ部32は、連結軸96から伝達される駆動力を前側ドライブシャフト93a,93bに分配すると共に連結軸96の回転数を前側ドライブシャフト93a,93bに分配する作動装置である。
駆動力分配機構50は、中央ドライブシャフト94と連結される入力ギヤユニット51と、入力ギヤユニット51に対して直交する方向(図1矢印Y方向)に配置される出力ギヤユニット52とを有して構成されている。よって、駆動力分配機構50は、入力ギヤユニット51に入力された駆動力を、出力ギヤユニット52により分配し、駆動力分配機構50の左右(図1矢印Y方向両側)に配置された駆動力調整機構60a,60bに駆動力を分配するものである。なお、駆動力分配機構50の詳細な説明は、図3を用いて後述する。
駆動力調整機構60a,60bは、駆動力分配機構50の左右(図1矢印Y方向)に対称に設置され、出力ギヤユニット52の両端部にそれぞれ連結されている。なお、駆動力調整機構60a,60bは、駆動力分配機構50の右側(図1矢印Y方向右側)が駆動力調整機構60aであり、駆動力分配機構50の左側(図1矢印Y方向左側)が駆動力調整機構60bである。
制御装置80は、圧力検出機構300からの入力線81、オイル供給機構200への出力線82及び切替機構400への出力線88が接続されるI/Oポート83と、主に液圧の情報に基づきオイル供給機構200及び切替機構400を制御する圧力制御プログラム87と、その圧力制御プログラム87が書き込まれた記憶装置であるROM84と、その圧力制御プログラム87に基づき演算する演算装置であるCPU85と、I/Oポート83とROM84とCPU85とを電気的に接続する接続回路であるバスライン86とを有して構成されている。なお、本実施の形態では、制御装置80は、圧力検出機構300の検出結果に基づき、駆動力調機構60a,60bが作動するために必要なオイルを供給するオイル供給機構200をフィードバック制御している。
次に、図2を参照して、駆動力調整機構60b及び駆動力分配機構50の外観について説明する。図2は、駆動力調整機構60bと駆動力分配機構50とを拡大して示した側面図である。なお、図2に示す矢印Xは、四輪駆動車1の前後方向を示しており、矢印Zは、四輪駆動車1の上下方向を示している。
図2に示すように、駆動力調整機構60bの下方(駆動力調整機構60bの図2矢印Z方向下方)には、オイル供給機構200が配置されている。このオイル供給機構200は、そのオイル供給機構200により駆動力調整機構60bに供給されたオイルがその駆動力調整機構60bから自然落下により排出され、再度、オイル供給機構200に溜まる構成となっている。さらに、後述するが、本実施の形態では、オイル供給機構200にオイル貯留室204(図6参照)が設けられるので、従来のオートマチックトランスミッションやトランスファーケースの例にあるように、オイル貯留室がオイル供給機構200の下方に配置される場合に比べてオイルを吸い上げて溜める仕事が不要になり、オイルを送り出す効率を向上することができる。
駆動力分配機構50は、後述するが、ハイポイドギヤを使用して駆動力を分配しているため、駆動力調整機構60bの回転軸心Pと駆動力分配機構50の回転軸心Tの延長線とは、交わらない構成となっている。
また、駆動力調整機構60bは、カバー61のうちサイドカバー66bにより覆われており、略円筒形に形成されている。そして、図示しないが、駆動力調整機構60aを覆うサイドカバー66aも略円筒形に形成されている。よって、サイドカバー66a,66bは、略同一形状に形成されているので共通部品化することができ、部品点数を削減しコスト低減を図ることができる。
さらに、サイドカバー66bには、電動モータ201(図6参照)を覆うモータカバー68が一体成形されている。このモータカバー68は、両側に開口を有する略筒状に形成されているので、サイドカバー66bが駆動力調整機構60bを覆った状態で、電動モータ201を取り外すことができ、メンテナンスの作業性が向上する。また、四輪駆動車1の走行中にモータカバー68内に泥や水などが入ったとしても、開口から排出されるし、必要ならば、簡単に泥や水を取り出すこともできる。
ここで、駆動力調整機構60bは、四輪駆動車1の下部に位置するので、地面との距離の観点から上下方向(図2矢印Z方向)の厚みを極力小さくすることが好ましい。そこで、本実施の形態では、オイル供給機構200を駆動力調整機構60bに一体的に取り付け、且つ、オイル供給機構200の軸心Q方向が駆動力調整機構60bの回転軸心P方向と略並行となる位置に配置し、更に、オイル供給機構200を駆動力調整機構60bの回転軸心Pの真下(回転軸心Pを通る矢印Z方向下方)ではなく若干外れた位置に設け、駆動力調整機構60bの上下方向の厚みが極端に大きくなることを抑制している。
次に、図3から図5を参照して、駆動力分配機構50及び駆動力調整機構60aの詳細な構成について説明する。
まず、図3を参照して、駆動力分配機構50の構成と、駆動力調整機構60a,60bの構成との概略を説明する。図3は、図2のIII−III線における駆動力分配機構50と駆動力調整機構60a,60bとの断面図である。なお、図3においては、断面線を省略して図示してある。また、図3において、矢印Xは、四輪駆動車1の前後方向であり駆動力分配機構50の回転軸心T方向を示しており、矢印Yは、四輪駆動車1の左右方向であり駆動力調整機構60a,60bの回転軸心P方向を示しており、矢印Zは、四輪駆動車1の上下方向を示している。
まず、駆動力分配機構50について説明する。上述したように、駆動力分配機構50は、中央ドライブシャフト94(図1参照)により伝達される駆動力の向きを変え、その駆動力を、四輪駆動車1の左右(図3矢印Y方向)それぞれに配置されている駆動力調整機構60a,60bに分配するものである。
図3に示すように、駆動力分配機構50は、中央ドライブシャフト94により伝達された駆動力が入力される入力ギヤユニット51と、その入力ギヤユニット51に対して直交する方向(図3矢印Y方向)に配置され、入力ギヤユニット51に入力された駆動力を出力する出力ギヤユニット52とを有して構成されている。
入力ギヤユニット51は、入力ギヤユニット51が有するハイポイドギヤ53に出力ギヤユニット52が有するハイポイドギヤ54が嵌合されることで出力ギヤユニット52に連結され、中央ドライブシャフト94により伝達された駆動力を出力ギヤユニット52へ伝達するものである。
出力ギヤユニット52は、出力ギヤユニット52の両端部に形成される出力シャフトスプライン部55に、出力ギヤユニット52の左右(図3矢印Y方向両側)に配置されているハブ嵌合部103a,103bが嵌合されることで、入力ギヤユニット51から伝達された駆動力を駆動力調整機構60a,60bに分配するものである。
よって、駆動力分配機構50は、ハイポイドギア53,54により入力ギヤユニット51と出力ギアユニット52とが連結され、出力シャフトスプライン部55及びハブ嵌合部103a,103bにより出力ギアユニット52と駆動力調整機構60a,60bとが連結されるので、中央ドライブシャフト94により入力ギヤユニット51に入力された駆動力を出力ギヤユニット52の左右に配置されている駆動力調整機構60a,60bに分配することができる。
なお、入力ギヤユニット51と出力ギヤユニット52とは、ベアリングB1を介してケース61に回転可能に固定されている。よって、入力ギヤユニット51に入力された駆動力は、入力ギヤユニット51とケース61との摺動抵抗、及び、出力ギヤユニット52とケース61との摺動抵抗による大きな損失を受けることなく出力ギヤユニット52へ伝達することができる。
次に、駆動力調整機構60a,60bの構成の概略について説明する。駆動力調整機構60a,60bは、駆動力分配機構50の出力ギヤユニット52により入力される駆動力が伝達される割合を調整する接続機構101a,101bと、その接続機構101a,101bに与える押圧力を増幅するカム機構131a,131bと、そのカム機構131a,131bに押圧力を与えるピストン機構151a,151bと、カム機構131a,131bにピストン機構151a,151bとは逆の付勢力を与えるリリース機構171a,171bとを有して構成されている。
また、駆動力分配機構50及び駆動力調整機構60a,60bは、ケース61により覆われており、そのケース61は、駆動力分配機構50を覆うセンターカバー65と、駆動力調整機構60a,60bを覆うサイドカバー66a,66bと、センターカバー65とサイドカバー66bとの間に位置するリテーナカバー67とで構成されている。このセンターカバー65、サイドカバー66a,66b及びリテーナカバー67により、駆動力分配機構50及び駆動力調整機構60a,60bが一体的に覆われている。つまり、ケース61は、4つのカバー65,66a,66b,67から構成されている。
ここで、駆動力分配機構50、駆動力調整機構60a,60b及びケース61の組み付け手順について簡単に説明する。まず、センターカバー65内で、入力ギアユニット51と出力ギアユニット52とを組み付け(ハイポイドギア53,54とを組み付け)、各ギア53,54の歯当りやベアリングB1のプリロード調整などを行う。そして、出力ギアユニット52の一方の端部に駆動力調機構60aを取り付ける一方、出力ギアユニットの他方の端部にリテーナカバー67を仮止めすると共に駆動力調整機構60bを取り付ける。その後、オイル供給機構200(図2参照)をセンターカバー65及びリテーナカバー67に取り付ける。そして、駆動力調整機構60aを覆うようにサイドカバー66aをセンターカバー65に取り付けると共に、駆動力調整機構60bを覆うように、サイドカバー66a及びリテーナカバー67をセンターカバー65に共締めして、駆動力分配機構50、駆動力調整機構60a,60b及びケース61の組み立てが行われる。
以上の通り、センターカバー65は、駆動力調整機構60b側であって、ハイポイドギア54が配置された側の側面が、リテーナカバー67を取り外すことにって開放可能に構成されている。よって、センターカバー65内で入力ギアユニット51と出力ギアユニット52とを組み付け、各ギア53,54の歯当り調整を行う場合に、その調整がし易く作業を効率良く行うことができる。
次に、図4及び図5を参照して、駆動力調整機構60a,60bのうち駆動力調整機構60aについて説明する。なお、図4及び図5の説明においては、駆動力調整機構60aについて説明し、駆動力調整機構60bは、駆動力調整機構60aと同様に構成されているため、その詳細な説明は省略する。
図4は、図3のA部分を拡大した断面図であり、駆動力調整機構60aの一部とケース61(センターカバー65とサイドカバー66a)の一部とを示している。図5は、カム機構131aの概略を示した図であり、(a)は、カム機構131aの側面図であり、(b)は、図5(a)のVb−Vb線におけるカム機構131aの断面図である。
また、図4に示す矢印Xは、四輪駆動車1の前後方向であり駆動力分配機構50の回転軸心T方向を示しており、矢印Yは、四輪駆動車1の左右方向であり駆動力調整機構60aの回転軸心P方向を示しており、図5に示す矢印Rは、駆動力調整機構60aの回転軸心Pを中心とする円周方向(図2紙面垂直方向)を示している。
まず、駆動力調整機構60aの接続機構101a(図3参照)について詳細に説明する。図4に示すように、接続機構101aは、出力ギヤユニット52から伝達される駆動力が入力されるハブ部102aと、そのハブ部102aに連結される略円筒形状のクラッチドラム部105aと、そのクラッチドラム部105aの内側(回転軸心Pに向かう方向)に連結される複数のドライブプレート106a(本実施の形態では7個)と、その複数のドライブプレート106aの間に交互に一枚ずつ配置される複数のドリブンプレート107a(本実施の形態では7個)と、そのドリブンプレート107a及びドライブプレート106aに隣接して配置され、駆動力調整機構60aの回転軸心P方向に並列される各プレート106a,107aの最も外側(矢印Y方向右側)に位置するクラッチリテーナ108aとを有して構成されている。
ハブ部102aは、略環状に形成された部材であり、出力ギアユニット52に嵌合し略筒状に形成された筒状部102a1と、クラッチドラム部105と連結される皿状に形成された皿状部102a2とを有して構成されている。筒状部102a1の内側面の一部には、ハブ嵌合部103aが形成されており、そのハブ嵌合部103aと出力ギアユニット52の出力シャフトスプライン部55とによりスプライン継ぎ手が形成される。
また、皿状部102a2の外側面(最大径部)には、円周方向に所定間隔をあけて略台形状の複数のハブ突起部104aが形成されており、クラッチドラム部105aの内側面には、円周方向に所定間隔をあけて略台形状の複数のドラム溝部109aが形成されている。即ち、ハブ突起部104a及びドラム溝部109aは、略台形状の凸部と凹部とが円周方向に連続して形成されている。そして、複数のハブ突起部104aと、複数のドラム溝部109aとによりスプライン継ぎ手が形成される。よって、ハブ部102aは、出力シャフトスプライン部55から伝達された駆動力をクラッチドラム部105aに伝達することができる。
上述したように、本実施の形態では、ハブ部102aとクラッチドラム部105aとを別体に構成し、出力シャフトスプライン部55から伝達された駆動力をハブ部120aを介してクラッチドラム部105aに伝達している。ハブ部102aは、筒状部102a1と皿状部102a2とにより略円錐体状に形成さており、筒状部102a1の径が特に小さくなるので、出力シャフトスプライン部55からの駆動力を伝達するために高い材料強度が必要となる一方、クラッチドラム部105aは、筒状部102a1より大きな径となり円筒状に形成されているので、ハブ部102a程の高い材料強度を必要としない。また、ハブ部102aとクラッチドラム部105aとを一体で製作する場合には、その構造が複雑になり製作が困難となる。そのため、本実施の形態では、ハブ部102aとクラッチドラム部105aとを別体に構成し、全てを高い材料強度を有する材料で製作せずにコスト低減を図り、且つ、複雑な製作を必要とせずに製作性の向上を図っている。
また、ハブ部102aは、クラッチドラム部105aに内嵌されるスナップリングS3aにより、クラッチドラム部105aに対して駆動力調整機構60aの回転軸心P方向左側(図4矢印Y方向左側)への動きが規制されている。
クラッチリテーナ108aは、略円板形状の板であり、ハブ部102aと同様に、クラッチリテーナ108aの外縁に形成される略台形形状の複数のクラッチリテーナ突起部115aと、クラッチドラム部105aの内側面に形成される略台形状の複数のドラム溝部109aとによりスプライン継ぎ手が形成されており、クラッチドラム部105aに内嵌されている。また、クラッチリテーナ108aは、クラッチドラム部105aに内嵌されるスナップリングS1aによりクラッチドラム部105aに対して駆動力調整機構60aの回転軸心P方向右側(図4矢印Y方向右側)への動きが規制されている。
以上のことから、クラッチドラム部105aには、駆動力調整機構60aの回転軸心P方向右側(図4矢印Y方向右側)からハブ部102aに作用する力がスナップリングS3aを介して作用すると共に、駆動力調整機構60aの回転軸心P方向左側(図4矢印Y方向左側)からクラッチリテーナ108aに作用する力がスナップリングS1aを介して作用する。よって、クラッチドラム部105aは、ハブ部102aと、クラッチリテーナ108aとに作用する2つの力を受けることができる。後述するが、本実施の形態では、ハブ部102aとクラッチリテーナ108aとに作用する2つの力とは、カム機構131(図3参照)が発生する押圧力とその反力のことを意味している。
ドライブプレート106aは、略円板形状の板であり、ハブ部102aと同様に、ドライブプレート106aの外縁に形成される略台形形状の複数のドライブプレート突起部110aと、クラッチドラム部105aの内側面に形成される略台形状の複数のドラム溝部109aとによりスプライン継ぎ手が形成されており、クラッチドラム部105aに内嵌されている。
ドリブンプレート107aは、略円板形状の板であり、ドリブンプレート107aの内側面に形成されるドリブンプレート突起部111aと、シャフト113aの一部に成型されるプレートスプライン軸部112aとによりスプライン継ぎ手が形成され、シャフト113aに外嵌されている。
なお、ドライブプレート106aとドリブンプレート107aとは、後述するカム機構131aのメインカム132aからの押圧力を受けることで、ドライブプレート106aとドリブンプレート107aとの微小な隙間を詰めながらクラッチリテーナ108aに動きを規制されるまで、駆動力調整機構60aの回転軸心P方向右側(図4矢印Y方向右側)に動作可能に構成されている。
よって、後述するカム機構131aのメインカム132aからの押圧力をドライブプレート106aとドリブンプレート107aとが受けてドライブプレート106aとドリブンプレート107aとの隙間が詰められると、ドライブプレート106aとドリブンプレート107aとの間に摩擦力が発生する。そのドライブプレート106aとドリブンプレート107aとの間に発生する摩擦力は、カム機構131aのメインカム132aからの押圧力に応じて増加され、その押圧力に応じた駆動力がドライブプレート106aからドリブンプレート107aへと伝達される。その結果、クラッチドラム部105aからシャフト113aへ伝達される駆動力の割合が調整される。
また、センターカバー65のセンター保持部69aとハブ部102aとの間には、オイルシール121aが配設されている。一方、ハブ部102aとシャフト113aとの間には、ハブ部102aに形成された凹状の溝102a3内にゴム状のXリング120aが嵌め込まれている。なお、図示は省略するが、リテーナカバー65のリテーナ保持部69bとハブ部102aとの間にも同様にオイルシール121bが配設されている。
ここで、上述したように、ハブ部102aは、原動機10からの駆動力が伝達されている間は回転駆動するので、固定されたセンターカバー65に対して差動が多く生じる一方、原動機10からの回転に対しタイヤ70a側の滑りが発生した時のみ、タイヤ70aと連結されている(アウトプット)シャフト113aとハブ部102aとの間に差動が少し生じる。即ち、通常の走行中であれば、ハブ部102aとセンターカバー65との間には常に差動が生じ、ハブ部102aとシャフト113aとの間には、トルク配分の制御が行われた場合にのみ少しの差動が生じることになる。故に、本実施形態では、ハブ部102aとセンターカバー65との差動が多く生じる部分にはオイルシール121aを配置し、ハブ部102aとシャフト113aとの差動が少ない部分にはXリング120aを配置する構成になっている。
また、オイルシール121aとXリング120aとによって、サイドカバー66aにより覆われる空間(サイド空間)と、センターカバー65により覆われる空間(センター空間)とを遮蔽することができる。よって、サイドカバー66aにより覆われ駆動力調整機構60aを潤滑される潤滑油と、センターカバー65により覆われピニオンギア53,54を潤滑する潤滑油とを異なる種類とすることができ、駆動力調整機構60a及びピニオンギア53,54に適した潤滑油を使用することができる。
なお、ハブ部102aとシャフト113aとの間にXリング120aを配置するものとしたが、ハブ102aとシャフト113aとの間は差動が発生しないので、ハブ102aとシャフト113aとの間に、Xリングに代えてOリングを配置するものとしても良く、サイドカバー66aにより覆われる空間とセンターカバー65により覆われる空間とを遮蔽できるものであれば、その形状および素材は限定されない。また、ハブ部102aとシャフト113aとの間にXリング120aを配置するものとしたが、ハブ部102aと出力ギアユニット52の外周面との間にX又はOリングなどを配置する構成としても良い。この構成であれば、ハブ部102aと出力ギアユニット52との差動は全く無いので、X又はOリングの損傷を抑えることができる。
次に、駆動力調整機構60aのカム機構131a(図3参照)について詳細に説明する。カム機構131aは、クラッチドラム部105aから伝達される駆動力を利用した増幅機構であり、駆動力調整機構60aの回転軸芯P方向(図4矢印Y方向)においてクラッチリテーナ108aと対向する位置に配置されている。
また、カム機構131aは、後述するピストン機構151aにより押圧される押し圧部材140aと、その押し圧部材140aに押圧される複数(本実施の形態では2枚)のプライマリードライブプレート135aと、そのプライマリードライブプレート135aの間に配置されるプライマリードリブンプレート136aと、そのプライマリードリブンプレート136aに連結されるプライマリーカム133aと、シャフト113aに連結されるメインカム132aと、プライマリーカム133aとメインカム132aとに狭持される複数(本実施の形態では6個)のボール134aと、プライマリーカム133aに隣接するベアリングB2aとを有して構成されている。
プライマリードライブプレート135aは、略円板形状の板であり、ハブ部102aと同様に、プライマリードライブプレート135aの外縁に形成される略台形状の複数のプライマリードライブプレート突起部137aと、クラッチドラム部105aの内側面に形成される略台形状の複数のドラム溝部109aとによりスプライン継ぎ手が形成され、クラッチドラム部105aに内嵌されている。
なお、上述したように、ドライブプレート突起部110a、クラッチリテーナ突起部115aは、バブ部102aのハブ突起部104aと同形状に形成されており、更に、プライマリードライブプレート突起部137aもハブ突起部104aと同形状に形成される。よって、ドライブプレート突起部110a、クラッチリテーナ突起部115a及びプライマリードライブプレート突起部137aが内嵌されるドラム溝部109aも、ハブ突起部104aが内嵌されるドラム溝部109aと同形状になる。よって、クラッチドラム部105aに形成されるドラム溝部109aを同一形状に製作でき諸元を統一できるので、クラッチドラム部105aの製作が複雑にならず、製作効率をより向上することができる。
プライマリードリブンプレート136aは、略円板形状の板であり、プライマリードリブンプレート136aの内側面に形成されるプライマリードリブンプレート突起部138aと、プライマリーカム突起部139aとによりスプライン継ぎ手が形成され、プライマリーカム133aに外嵌されている。
よって、プライマリードライブプレート135aとプライマリードリブンプレート136aは、後述するピストン機構151aからの押圧力を受けることでプライマリードライブプレート135aとプライマリードリブンプレート136aとの微小な隙間を詰めながら駆動力調整機構60aの回転軸心Pの軸心方向右側(図4矢印Y方向右側)に動作可能に構成されている。また、プライマリードライブプレート135aは、クラッチドラム部105aに内嵌されるスナップリングS2aにより、クラッチドラム部105aに対して駆動力調整機構60aの回転軸心Pの軸心方向右側(図4矢印Y方向右側)への動きが規制されている。
このように、後述するピストン機構151aからの押圧力をプライマリードライブプレート135aとプライマリードリブンプレート136aとが受けて、プライマリードライブプレート135aとプライマリードリブンプレート136aとの隙間が詰まると、プライマリードライブプレート135aとプライマリードリブンプレート136aとの間に摩擦力が発生する。
そのプライマリードライブプレート135aとプライマリードリブンプレート136aとの間に発生する摩擦力は、ピストン機構151aからの押圧力に応じて増加され、その押圧力に応じた駆動力がプライマリードライブプレート135aからプライマリードリブンプレート136aへと伝達される。その結果、プライマリーカム133aへ伝達される駆動力の割合が調整される。
また、プライマリーカム133aのメインカム132aに対向する面には、プライマリーカム溝部141aが形成されており、メインカム132aのプライマリーカム133aに対向する面には、メインカム溝部142aが形成されている。このプライマリーカム溝141aとメインカム溝142aとの間に、ボール134aが挟持されている。
ここで、図5を参照して、プライマリーカム133aとメインカム132aとボール134aとの詳細な構成及び動作について説明する。なお、図5(a)は、図4の左側(図4矢印Y方向左側)から右側(図4矢印Y方向右側)を見た状態が図示されている。
図5(a)に示すように、プライマリーカム133aは、略環状の部材であり、メインカム132aと対向する面(図5(a)に示すプライマリーカム133aにおいて紙面垂直方向奧側の面)に環状のプライマリーカム溝部141aが形成されている。また、プライマリーカム133aの外周面には、プライマリーカム突起部139aが形成されており、このプライマリーカム突起部139aとプライマリードリブンプレート136a(図4参照)のプライマリードリブンプレート突起部138aとによりスプライン継ぎ手が形成される。
また、メインカム132aは、略環状の部材であり、プライマリーカム133aと対向する面(図5(a)に示すメインカム132aにおいて紙面垂直方向視手前側の面)に環状のメインカム溝部142aが形成されている。メインカム132aの内周面には、メインカム突起部144aが形成されており、そのメインカム突起部144aとシャフト113a(図4参照)に形成されるカムスプライン軸部143a(図4参照)とによりスプライン継ぎ手が形成される。
また、図5(a)に示すように、プライマリーカム溝部141aとメインカム溝部142aとは、同形状に形成されており、そのプライマリーカム溝部141aとメインカム溝部142aとの間にボール134aが複数個(本実施の形態では6個)収容されている。
次に、図5(b)を参照して、プライマリーカム133aに駆動力が伝達された時のメインカム132aと、プライマリーカム133aと、ボール134aとのそれぞれの動作について説明する。図5(b)に示すように、メインカム溝部142aとプライマリーカム溝部141aとは、溝部の深さが円周方向(図5(b)矢印R方向)に緩やかに変化している。
また、図5(b)において、プライマリーカム133aの実線で示されている状態が、プライマリーカム133aにクラッチドラム部105aからの駆動力が伝達されていない時の位置であり、ボール134aは、プライマリーカム溝部141aとメインカム溝部142aとの深い部分に収容されている。
なお、後述するリリース機構171aの説明のため、この位置を基準位置と称す。また、プライマリーカム133aが基準位置にある場合のメインカム132aとの距離は、駆動力調整機構60aの回転軸心P方向(図5(b)矢印Y方向)において幅L1となる。
図5(b)において、プライマリーカム133aの破線で示されている状態が、プライマリーカム133aにクラッチドラム部105aからの駆動力が伝達された時の位置であり、プライマリーカム133aがメインカム132aに対して円周方向(図5(b)矢印R方向右側)に移動している。この状態では、ボール134aは、プライマリーカム133aへ駆動力が伝達されていない時(実線で示した状態、基準位置)に比べて浅い部分に収容されている。
なお、後述するリリース機構171aの説明のため、この位置を作動位置と称す。また、プライマリーカム133aが作動位置にある場合のメインカム132aとの距離は、駆動力調整機構60aの回転軸心P方向(図5(b)矢印Y方向)において幅L2となる。
図5(b)に示すように、プライマリーカム133aとメインカム132aとの幅は、幅L1に比べて幅L2の方が広くなっている。これは、プライマリーカム133aに伝達される駆動力により、プライマリーカム133aがメインカム132aに対して駆動力調整機構60aの回転軸心Pを中心に回転した場合に、ボール134aが各溝部141a,142aの深さが浅い部分まで転がり、プライマリーカム133aとメインカム132aとの幅が広がるからである。その結果、プライマリーカム133aとメインカム132aとの間に、押圧力とその押圧力に対する反力とが発生する。また、その押圧力は、ピストン機構151aにより発生される押圧力の数十倍(本実施の形態では略20倍)に増幅されている。
このように、カム機構131a(図3参照)は、ピストン機構151a(図3参照)によって発生された押圧力を簡単な構成で増幅できる。よって、ピストン機構151aは小さな押圧力を発生するだけで、ドライブプレート106aとドリブンプレート107aとを押しつける大きな押圧力が得られる。
また、ピストン機構151aの押圧力は、カム機構131aによって増幅されるので、ドライブプレート106aとドリブンプレート107aとを押しつけている力の略20分の1でよい。すなわち、カム機構131aを省略してピストン機構151aにて直接ドライブプレート106aとドリブンプレート107aとを押さえつける場合に比べて、オイルポンプ202により発生すべき圧力値を小さく設定することができる。
よって、オイルポンプ202を駆動させる電動モータ201を小型化でき、駆動力調整機構60a(図3参照)の軽量化を図ることができる。さらに、電動モータ201の消費電力を押さえることができるので車載された発電装置(図示せず)を小型化でき、四輪駆動車1の軽量化を図ることができる。また、電動モータ201(図6参照)の消費電力が小さくなるので、その消費電力より大きな消費電力となるモータを電動モータ201を用いることができ、それにより、モータの選択肢が増える。その結果、流通量が多く価格が低いモータを選択することも可能となりコスト削減を図ることができる。
また、カム機構131aは、クラッチドラム部105a(図4参照)とシャフト113a(図4参照)との回転速度差によって接続機構101a(図3参照)を押しつける方向(図3矢印Y方向)に広がる。即ち、クラッチドラム部105aとシャフト113aとの回転速度差が大きいほど、カム機構131aが接続機構101aに向かって広がる速度が速くなる。
よって、クラッチドラム部105aとシャフト113aとの回転速度差を大きく設定すれば、ドライブプレート106aとドリブンプレート107aとの隙間を広く設定したとしても、駆動力調整機構60aの応答性を損なうことがない。従って、ドライブプレート106aとドリブンプレート107aとの隙間を広く設定して引きずりを低減させつつ駆動力調整機構60aの応答性を確保することができる。
また、カム機構131aを介してドライブプレート106a(図4参照)とドリブンプレート107a(図4参照)との隙間を詰めているので、ピストン機構151a(図3参照)は、プライマリードライブプレート135aとプライマリードリブンプレート136aとの隙間のみを詰めれば良い。よって、ピストン機構151aに対してオイル供給機構200(図2参照)から送り出されるオイル量が少なくてもクラッチドラム105aからの駆動力をシャフト113aに伝えることができる。従って、オイル供給機構200に設けられるオイルポンプ202(図6参照)を小型化することができるので、駆動力調整機構60aの軽量化を図ることができる。
ここで、図4を参照しつつ、カム機構131aが発生する押圧力とその反力の伝わり方について説明する。本実施の形態では、プライマリーカム133aと、メインカム132aと、ボール134aとにより発生する押圧力は、複数のドライブプレート106aと、複数のドリブンプレート107aと、クラッチリテーナ108aと、スナップリングS1aとを介してクラッチドラム部105aに伝達される。また、プライマリーカム133aと、メインカム132aと、ボール134aにより発生される押圧力の反力は、ベアリングB2aと、ハブ部102aと、スナップリングS3aとを介してクラッチドラム部105aに伝達される。即ち、カム機構131aが発生する押圧力と、その反力とは、接続機構101aの構成部材によって伝達されクラッチドラム部105aに作用する。
よって、カム機構131aが発生する押圧力とその反力とは、クラッチドラム部105aに伝わりケース61やピストン機構151aなどには伝わらない。従って、カム機構131aが発生する押圧力とその反力とに基づく駆動力調整機構60aの強度を確保する場合には、接続機構101aとカム機構131aとに対して強度の確保を行えばよく、ケース61やピストン機構151a又はベアリングB3aなどに対してスラスト力(図4矢印Y方向の力)に対する強度確保は必要ない。その結果、強度確保の対象となる部材が少なくなるので、ピストン機構151a又はベアリングB3aの小型化やケース61の薄肉化が可能となり、駆動力調整機構60aの軽量化及びコスト削減を図ることができる。
ここで、引きずりについて説明する。引きずりとは、メインカム132aが押圧力を発生しておらず、且つ、メインカム132aが作動位置から基準位置に戻りきってないときに発生する現象である。具体的には、ドライブプレート106aと、ドリブンプレート107aとの間に介在するオイルによって、ドリブンプレート107aがドライブプレート106aに張り付き、ドリブンプレート107aがドライブプレート106aに引きずられて回転する現象のことである。また、引きずりは、ドライブプレート106aとドリブンプレート107aとの回転により軸方向へ動きが変動し、接触することでも発生する。
リリース機構171aは、皿ばねであり、メインカム132aが基準位置に向かって移動するようにメインカム132aを、ドライブプレート106a及びドリブンプレート107a、クラッチリテーナ108aから離間する方向に(図4矢印Y方向左側)に付勢しており、複数のドライブプレート106aと、複数のドリブンプレート107aとの引きずりを低減させるものである。また、リリース機構171aは、略環状の弾性部材であり、図4に示すように、メインカム132aと、プレートスプライン軸部112aとの間に狭持固定されている。よって、メインカム132aが、ドライブプレート106a及びドリブンプレート107a、クラッチリテーナ108a側(図4矢印Y方向右側)に移動すると、ドライブプレート106a及びドリブンプレート107a、クラッチリテーナ108aから離間する方向(図4矢印Y方向左側)への付勢力が発生する。
また、リリース機構171aは、メインカム132aとドライブプレート106aとに働くオイルの粘着力と、メインカム132aの内周面に形成されるメインカム突起部144aとシャフト113aに形成されるカムスプライン軸部143aとの摩擦力と、ボール134aの転がり抵抗力とプライマリードライブプレート135a及びプライマリードリブンプレートの引きずりにより発生されるメインカム132aの反力とをあわせた力を上回る付勢力を発生するように構成されている。
つまり、リリース機構171aには、上記複数の力より大きな付勢力を発生するばね定数や初期荷重が設定されている。その結果、カム機構131からの押圧力の供給がなくなると、リリース機構171aの付勢力によりメインカム132aは作動位置から基準位置に向かって移動し、ドライブプレート106aとメインカム132aとの引きずりを低減することができる。従って、引きずりによって余分な駆動力がクラッチドラム部105aからシャフト113aに伝達されることを低減することができる。
上述したように、本実施の形態では、プライマリードライブプレート135aとプライマリードリブンプレート136aとは、後述するピストン機構151aにより発生される押圧力によって摩擦力が発生する。そのプライマリードライブプレート135aとプライマリードリブンプレート136aとの間に発生する摩擦力によってクラッチドラム部105aから伝達される駆動力をカム機構131aにより増幅し、ドライブプレート106aとドリブンプレート107aとの間に摩擦力を発生させる構成となっている。即ち、ピストン機構151aの押圧力によって、各プレート135a,136a,106a,107aとの間に摩擦力を発生させることができる。
また、ピストン機構151aは、ピストン室154a内に発生する圧力の上昇によってピストン本体153aをプライマリードライブプレート135a及びプライマリードリブンプレート136aの方向(図4矢印Y方向)に移動して押圧力を発生する為、プライマリードライブプレート135aとプライマリードリブンプレート136aとの間に隙間を設定して引きずりを低減させることができる。
これに対し、電磁力により押圧力を発生させ各プレート135a,136a,106a,107aとの間に摩擦力を発生させる方法があるが、この方法は、電磁力を発生させるためにコイルを通電し、アーマチャと呼ばれる部材の内部に磁束を発生させ、そのアーマチャをコイルが引きつけることで、押圧力を発生させることができる。即ち、アーマチャとコイルとの間に複数のプレート(本実施の形態では、プライマリードライブプレート135aとプライマリードリブンプレート136aとを示す。)を配置し、アーマチャをコイルがひきつける力を複数のプレートの押圧力とし、その押圧力によりプレートとプレートとの間に摩擦力を発生させる構成となる。
この電磁力により押圧力を発生させる方法は、オイルの液圧を使用しないため、オイルの粘度の影響を受けにくい特徴があるが、その代わりに、アーマチャとコイルの間には磁束を通す必要がある。そのため、電磁力を使って押圧力を発生する方法は、磁束を通す部材(主に鉄)のみを用いて複数のプレートを構成しなければならない。
また、磁束を強く安定させるために、上述した複数のプレート(本実施の形態では、プライマリードライブプレート135aとプライマリードリブンプレート136aとを示す。)とアーマチャとは常時接触させておく必要がある。その結果、プレートの引きずりが発生しその引きずりによってカム機構132aはスラスト力(図4矢印Y方向の力)を発生する。それにより、ドライブプレート106aとドリブンプレート107aとの隙間が詰まりさらに引きずりが発生する。そのため、リリース機構171aには、ドライブプレート106aとドリブンプレート107aとの隙間を詰めないように、そのスラスト力分の押圧力に勝るばね定数や初期荷重を設定する必要があり、リリース機構171aが大型化する。
しかし、本実施の形態では、ピストン機構151aの押圧力によって摩擦力を発生させる構成であるので、磁束を通す部材でプレートを構成しなくても良い。よって、透磁性のない材料(金属以外の材料)を使うことができる。そこで、本実施の形態では、プライマリードライブプレート135aとプライマリードリブンプレート136a、及び、ドライブプレート106aとドリブンプレート107aは、透磁性のないペーパー材を用いて構成されている。
このペーパー材は、金属材料を使った部材に比べて耐ジャダー性が良好な材料であるので、各プレート135a,136a及び106a,107aの摩擦面に金属材料を使ったプレートを使用する場合に対して、耐ジャダー性向上を目的とするプレートの表面形状の最適化や、プレートの表面処理による摩擦特性の安定化などの特殊加工や、摩擦特性を改善するための特殊オイルの使用などを行う必要がなくなる。その結果、プレートの表面形状の最適化や、プレートの表面処理による摩擦特性の安定化などの特殊加工を行うことによる製作工程の追加や、オイルに添加剤を追加しなくてよいので、製作工程におけるコスト削減を図れると共にランニングコスト削減を図ることができる。
また、磁束により押圧力を発生しないので、磁束を強く安定させる必要がなく、複数のプレート(本実施の形態では、プライマリードライブプレート135aとプライマリードリブンプレート136aとを示す。)の間に隙間を持たせることができる。よって、プライマリードライブプレート135aとプライマリードリブンプレート136aとの引きずりにより、カム機構132aがスラスト力を発生させドライブプレート106aとドリブンプレート107aとの隙間が詰まることがないので、スラスト力分の押圧力に勝るばね定数や初期荷重を設定する必要がなく、リリース機構171aが大型化することを防止することができる。
また、電磁力を使って発生される押圧力と、オイルの液圧により発生される押圧力および駆動力によって増幅される押圧力とを混在しないので、プレートの材料の統一やオイル室の1室化及び同種オイルの使用が可能となり、コスト削減、部品管理工数削減および組み立て工数削減を図ることができる。
以上のように、本実施の形態では、オイルの液圧により発生される押圧力、及び、駆動力によって増幅される押圧力を用いるので、電磁力を使って発生される押圧力を用いる場合に比べて、プレートの材料の選択範囲が広くなり、耐ジャダー性が良好なペーパー材を選択し、プレートの表面形状の最適化のための特殊加工や摩擦特性を改善する為の特殊オイルの使用の必要性がなくなる。さらに、引きずりが発生しづらいので小さな駆動力を伝達する場合の駆動力の制御精度を向上させることができる。
次に、ピストン機構151a(図3参照)について説明する。図4に示すように、ピストン機構151aは、オイル供給機構200(図2参照)から送られてくるオイルの液圧により、押圧力を発生し、その押圧力をカム機構131a(図3参照)に伝達する機構であり、オイル供給機構200から送られてくるオイルで満たされるピストン室154aと、オイル供給機構200から送られてくるオイルの液圧により押圧力を発生させるピストン本体部153aと、ピストン本体部153aに外嵌されるシリンダー部152aと、ピストン室154aに満たされたオイルに混入した気体(空気)を放出するステムブリーダ155a(図6参照)と、ピストン本体部153aに対して駆動力調整機構60aの回転軸心Pを中心として回転しているカム機構131aの押し圧部材140aにピストン本体部153aからの押圧力を円滑に伝達するベアリングB3aとを有して構成されている。
ピストン室154aは、略環形状をしたピストン本体部153aが略環形状をしたシリンダー部152aに内嵌されることにより形成される空間であり、オイル供給機構200から送られてくるオイルで満たされている。そのピストン室154aの上部(図6では矢印Z方向の上部)には、ピストン本体部153aの上部に形成される貫通孔であるステムブリーダ155aが配設されており、ピストン室154aは、オイル回収室64aとステムブリーダ155aを介して連通されている。よって、オイル供給機構200からピストン室154aへ送られてきたオイルは、そのオイルに混入した気体(空気)と共にオイル回収室64aへと放出される。
ステムブリーダ155aは、主にオイルに混入した気体(空気)をオイル回収室64aへ放出するものであり、オイルに混入した気体(空気)を通り易く、オイルを通り難くするために環状の隙間形状としてされている。このステムブリーダ155aの詳細な説明は、図6を参照して後述する。
ベアリングB3aは、ピストン本体部153aと、カム機構131a(図3参照)の押し圧部材140aとの間に隣接して配置されおり、カム機構131aの押し圧部材140aは、ハブ部102aの回転に伴って回転するのでピストン本体部153aに対して回転している。即ち、ベアリングB3aは、回転差による抵抗を発生させないように作動しており、ピストン本体部153aから伝達される押圧力は、カム機構131aの押し圧部材140aに円滑に伝達されている。
また、ピストン本体部153aから伝達される押圧力は、カム機構131aにより増幅されるため、カム機構131aを有さない場合に比べて、そのピストン本体部153aから伝達される押圧力を十分小さくすることができる。よって、カム機構131aを有さない場合に比べて、ベアリングB3aを低負荷のものにすることができ、ベアリングB3aの選択肢が増えコスト削減を図ることができる。
なお、図4に示すように、センターカバー65の駆動力調整機構60a側の内壁には、その内壁の一部から突起した一対の規制壁161a(図4では奥側の規制壁161aは図示せず)が形成され、この一対の規制壁161aの間に介挿部162aが形成されている。また、規制壁161aの介挿部162aは、駆動力調整機構60aの回転軸心Pを通る垂直線上から四輪駆動車1の前進方向に所定角度(本実施の形態では30度)ずれた位置に配置されている。
規制壁161aは、ピストン本体部153aの回転方向R(図5参照)への回動を規制するために設けられており、介挿部162a内には、ピストン本体部153aの外周部から外方(サイドカバー66a方向)に突起した突起部153a1が配置されている。
よって、上述したように、電動モータ200によりピストン室154aにオイルが供給され、ピストン本体部153aが押し圧部材140aを押圧して、その押し圧部材140aの回動に伴う引きずりがピストン本体部153aに生じたとしても、突起部153a1が規制壁161aの端面に当接することで、ピストン本体部153aがセンターカバー65に対して回動することを規制することができる。
また、センターカバー65の内壁であって一対の規制壁161a間および介挿部162aの中央には、ブリーザ穴65a2が形成されている。このブリーザ穴65a2は、サイドカバー66aにより覆われた空間(サイド空間)と外部とを連通する連通孔であり、サイドカバー66aの外部に設けられるブリーザ室(図示せず)に連通している。
よって、押し圧部材140aの回動に伴い、その押し圧部材140aの回動方向にピストン本体部153aが引きずられて、突起部153a1が規制壁161aの端面に当接したとしても、ブリーザ穴65a2と突起部153a1とは対向して配置される。従って、ブリーザ穴65a2がサイドカバー66aに覆われた空間内に完全に露出することを防止でき、ブリーザ穴65a2の連通を障蔽するプレートとして突起部153a1が機能する。即ち、突起部153a1は、サイドカバー66a内において駆動力調機構60aを潤滑する油がブリーザ穴65a2から外部に流出することを抑制するバッフルプレートとして機能する。よって、ブリーザ穴65a2を覆うプレートが不要になり、そのプレートを取り付けるスペースも不要になるので、コスト低減、軽量化および小規模化を図ることができる。
なお、図4の説明では、センターカバー65とピストン本体部153aとの関係を説明したが、リテーナカバー67とピストン本体部153bとの関係も同様に構成されている。係る場合には、突起部153a1は突起部153b1、押圧面153a2は押圧面153b2、規制壁161aは規制壁161b、介挿部162aは介挿部162b、ブリーザ穴65a2はブリーザ穴67b12と読み替えるものとする。
次に、図6を参照して、オイル供給機構200の詳細な構成ついて説明する。図6は、図2のVI−VI線における駆動力調整機構60aと駆動力調整機構60bの一部とを示した断面図である。なお、図6においては、接続機構101a、カム機構131a及びリリース機構171aに関係する符号は省略すると共に、駆動力調整機構60bの接続機構101b、カム機構131b及びリリース機構171bを省略して図示する。また、図6に示す矢印Yは、四輪駆動車1の左右方向であり駆動力調整機構60aの回転軸心P方向を示しており、矢印Zは、四輪駆動車1の上下方向を示している。
図6に示すように、オイル供給機構200は、駆動力調整機構60a,60bにオイルを送り出すものであり、電動モータ201と、その電動モータ201により駆動されるオイルポンプ202と、そのオイルポンプ202により送り出されるオイルが貯留されるオイル貯留室204と、電動モータ201とオイルポンプ202との間でオイル貯留室204の壁部を形成する電動モータ凸部203とを有して構成されている。
図6に示すように、電動モータ201と、電動モータ凸部203と、オイルポンプ202とは、駆動力調整機構60aの回転軸心P方向(図6矢印Y方向)に隣接して配置されている。なお、オイル貯留室204は、電動モータ凸部203の一方の端面(図6矢印Y方向右側の面)に密接される電動モータ201と、電動モータ凸部203の他方の端面(図6矢印Y方向左側の面)に密接されるオイルポンプ202と、電動モータ凸部203とに囲まれて形成されている空間である。即ち、電動モータ201とオイルポンプ202とがオイル貯留室204の壁部を兼ねている。
また、電動モータ201は、回転力を出力する円柱形状の軸であるモータ軸部207を有している。そのモータ軸部207は、オイル貯留室204を貫通してオイルポンプ202と連結している。即ち、オイル貯留室204の空間の一部にモータ軸部207を配置し、電動モータ201とオイルポンプ202とが最短距離(直線上)で接続されている。よって、オイル貯留室204の外部にモータ軸部207を配置する場所を省略でき、電動モータ201と電動モータ凸部203とオイルポンプ202とで構成される装置を小型化することができる。
また、オイル貯留室204は、オイルポンプ202と水平な位置に隣接して配置されているので、例えば、オイル貯留室がオイルポンプ202から離れた下方に配置され、その下方に配置されたオイル貯留室から吸い上げ通路を介してオイルを吸い上げる場合に比べて、オイルを吸い上げる仕事と通路内の管路抵抗とを削減することができる。
また、オイルポンプ202は、右側(図6矢印Y方向右側の面)にポンプ吸入口205を配置すると共に、左側(図6矢印Y方向左側の面)にポンプ吐出口206を配置している。即ち、オイル供給機構200は、オイル貯留室204からオイルを送り出す際にはオイルの送られる方向が直線方向となるので、管路抵抗の影響を受けにくく、効率よくオイルを送り出すことができる。
また、電動モータ凸部203は、オイルポンプ202と同じ直径を有する略円筒形状の部材であり、オイル回収穴208とポンプ内壁209とを有している。オイル回収穴208は、電動モータ凸部203の上部(図6矢印Z方向上部)に設置される貫通孔であり、回収通路210aを介してオイル回収室64aに連結されている。なお、回収通路210aは、駆動力調整機構60bのオイル回収室64bに連結されると共にセンターカバー65に形成される回収通路201bとも連通しており、両オイル回収室64a,64bに溜まったオイルがオイル回収穴208を介してオイル貯留室204に回収される。
また、ポンプ内壁209は、オイル回収穴208に連成される電動モータ凸部203の内側の壁であり、オイル回収穴208に向かって上昇傾斜して形成されている。よって、オイル回収室64a,64bからオイル貯留室204に気体(空気)を混入したオイルが流入した場合、オイル貯留室204に気体(空気)を滞留させること無く、オイル回収穴208へ移送し、回収通路210a(又は回収通路210b)を介して気体(空気)だけをオイル回収室64a(又はオイル回収室64b)に戻すことができる。
さらに、ポンプ吸入口205は、オイル貯留室204の深部(図6矢印Z方向下部)に設置されている。よって、オイル貯留室204の深部まで到達する気体(空気)の割合は非常に少ないので、気体(空気)がオイル貯留室204に滞留している間でも、その気体(空気)がポンプ吸入口205からオイルポンプ202へ流入されることを非常に少なくすることができる。
このように、混入した気体(空気)は、オイル回収室64aへ排出されやすく、且つ、オイルポンプ202に流入し難いので、オイルポンプ202にオイルと気体(空気)が混入したときに発生する異音を押さえることができると共に、オイルポンプ202が送り出すオイルに気体(空気)が混入し難く、ダンパー効果を低減し、オイルポンプ202によって発生されるオイルの液圧を早期に所望の液圧(ピストン機構151a,151bを押圧するのに必要な液圧)にまで上昇させることができる。
オイルポンプ202と、電動モータ凸部203とは同じ直径を有する略円柱形状の部材であり、ケース61(センターカバー65)の外縁に形成される凹部挿入孔213に一体となって内嵌され、電動モータ201をケース61に対して固定することによりオイルポンプ202は電動モータ凸部203によりケース61に押さえつけられて固定される。
このように、電動モータ201と、電動モータ凸部203と、オイルポンプ202とは水平方向(図6矢印Y方向)に隣接して配置されており、且つ、電動モータ201と、電動モータ凸部203との直径が同一なので、電動モータ201と、電動モータ凸部203とを凹部挿入孔213へ重ねて挿入でき、且つ、簡単に組みつけができる。
また、電動モータ201と電動モータ凸部203とオイルポンプ202とを回転軸心P方向に隣接して一体に形成しているので、オイル供給機構200を小型化することができるだけでなく、電動モータ201と電動モータ凸部203とオイルポンプ202とを組み合わせて他の装置に簡単に取り付けて使用することができる。よって、電動モータ201と電動モータ凸部203とオイルポンプ202とが一体に形成された装置の汎用性を高めることができる。
また、ポンプ吐出口206は、吐出通路212及び圧力検出通路301に連通している。圧力検出通路301には、圧力センサ302が固着されており、この圧力センサ302の検出結果が制御部80(図1参照)に入力される。吐出通路212は、バルブボディ407内の合流路402に連通しており、ポンプ吐出口206から吐出されたオイルを切替機構400のバルブ403に供給する通路である。即ち、圧力検出通路301及び吐出通路212は、合流路402の一部を形成していることになる。
また、バルブ403には、オイル供給室154a,154bにそれぞれ連通する流通路401a,401bが接続されており、このバルブ403を切り替えることで、合流路402と流通路401a,401bとの連通状態が切り替えられ、オイル供給室154a,154bに供給されるオイルの液圧が調整される。
図6に示すように、流通路401a,401bは、その形状がほぼ同一形状に形成され、且つ、オイル供給室154a,154bまでの距離もほぼ同距離に形成されている。更に、四輪駆動車1における上下方向の高さ(図6の矢印Z方向における高さ)もほぼ同位置に設けられている。よって、流通路401a,401bは、その通路における管路抵抗の差を低減できるし、オイルの垂直方向における圧力水頭差も低減できるので、オイル供給室154a,154bの圧力の差を低減でき、左右のトルク差を小さく抑えることができる。
次に、ステムブリーダ155aについて説明する。オイル供給機構200は、気体(空気)が混入した循環後のオイルを回収し、気体(空気)を分離してから、そのオイルをピストン機構151a,151bに送り出している。しかし、オイルに混入している気体(空気)を完璧に取り除くことは非常に難しい。そこで、ピストン機構151aは、オイルに混入している気体(空気)を取り除くために、ピストン室154aの上部(図6矢印Z方向上部)にステムブリーダ155a,155b(ステムブリーダ155bは図示せず)を配置している。なお、以下の説明では、図6に示したステムブリーダ155aについてのみ説明し、ステムブリーダ155bの説明は省略する。
流通路401a,401b内の気体(空気)が混入したオイルは、ピストン機構151aに送り出された場合でも、気体(空気)はピストン室154aの上部に自然に移送され、そのピストン室154aに溜まった気体(空気)は、ステムブリーダ155aからオイルと一緒にオイル回収室64aへ排出される。
このように、ピストン室154aに気体(空気)が混入したオイルが送られても、その気体(空気)は滞留することなく排出されるので、オイル供給機構200から送られてくるオイルの液圧を安定してピストン本体部153aの押圧力に変えることができる。
また、オイルポンプ202が停止された状態が長く続くと、ピストン室154a内のオイルはオイルポンプ202の隙間を通ってオイル回収室64aに徐々に逆流し、ピストン室154a内には、オイルの変わりにステムブリーダ155aを通って気体(空気)が流入する。
このように、ピストン室154a内に気体(空気)が流入した状態からピストン室154a内の圧力を所定の圧力まで上昇させる場合には、ピストン室154a内をオイルで充満させる必要があり、オイルが充満されるまでは、気体(空気)が混在しているためピストン室154a内の圧力の上昇が鈍くなる。よって、所定の圧力値になるまでに時間がかかり制御精度が悪化する。
ここで、本実施の形態では、電動モータ201を常時運転させピストン室154a内に常にオイルが供給されるように構成されている。これにより、ピストン室154a内が常にオイルで充満され、ピストン室154aにオイルが充満される時間が省略される。よって、ピストン室154a内の圧力の上昇の遅れが無くなり、制御精度を改善することができる。
また、ピストン室154a内の圧力値の大きさを、その圧力値により接続機構101aが発生する押圧力がリリース機構171aの付勢力より小さくなるように設定しても良い。この場合、ドライブプレート106aとドリブンプレート107aとにカム機構131aからの押圧力が作用しないので、ドライブプレート106aとドリブンプレート107aとに引きずりを低減することができる。よって、余分な駆動力がクラッチドラム部105a(図4参照)からシャフト113a(図4参照)に伝達されることを低減することができる。
また、上述したリリース機構171aの付勢力は、量産された場合の下限の付勢力に設定しても良い。この場合、量産品においてもドライブプレート106aとドリブンプレート107aとにカム機構131aからの押圧力が作用しないので、ドライブプレート106aとドリブンプレート107aとに引きずりを低減することができる。よって、量産品においても余分な駆動力がクラッチドラム部105aからシャフト113aに伝達されることを低減することができる。
このように、本実施の形態では、オイルポンプ202によりピストン室154a内に所定の圧力を常時発生させることにより、ドライブプレート106aとドリブンプレート107aとの間に発生する引きずりを低減させ、余分な駆動力を伝えることなく応答性を向上させることができる。
また、図示しないが、ステムブリーダ155aは、ピストン本体部153aのベアリングB3a側の端面に凹状の溝と、その凹状の溝の最上部(溝における図6の矢印Z方向の最上部)でピストン室154aに連通する連通路と、その連通路の内径より若干小さい外径となる円柱状のピンとで構成され、連通路とピンとの間に形成される環状の隙間を介して駆動力調整機構60a側にオイルと共に混入した気体(空気)が排出され、最終的にオイル回収室64aへ流入する。
よって、ピストン本体部153aのベアリングB3a側に凹状の溝が形成されているので、ピストン本体部153aとベアリングB3aとが当接した状態となっても、溝によって連通路と駆動力調整機構60aとの連通を確実に確保することもできる。
また、連通路からは気体だけでなく油も排出されるので、ベアリングB3aへの油の供給を確実に行うことができる。よって、連通路から排出される油をベアリングB3aの潤滑油として作用させることができ、ベアリングB3aの滑りを円滑に行うことができる。さらに、ベアリングB3aへの油を供給するための通路を別に設ける必要がなくなるので、その分のコスト低減および小スペース化も図ることができる。
次に、図7から図9を参照して、オイル供給機構200による駆動力調整機構60a,60bへのオイルの供給方法について説明する。図7は、切替機構400近傍の構成の概略および切替機構400の切替状態を示した図であり、図8は、CPU85に対する制御信号の入出力の状態を模式的に示した図であり、図9は、四輪駆動車1のCPU85により実行されるトルク制御処理を示したフローチャートである。
なお、本実施形態では、切替機構400は、外部からの電気的な信号により油圧で動作するバルブ403を使用しており、図7では、バルブ403の流路(部屋)を切り替えた状態の概略が図示されている。また、図9に示すトルク制御処理は、ROM84に記憶される圧力制御プログラム87に含まれるものであり、四輪駆動車1の直進時やカーブを曲がる時(コーナリング時)などに切替機構400の切り替えを行う処理である。
まず、図7(a)を参照して、切替機構400近傍の構造について説明する。図7(a)に示すように、切替機構400は、バルブ403を有している。そのバルブ403は、駆動力調整機構60a,60bのオイル供給室154a,154b(図6参照)にそれぞれ接続される流通路401a,401bと、オイル供給機構200のポンプ吐出口206(図6参照)に接続される合流路402とに連通する内部空間404を有しており、その内部空間404内に、流路変更部材405が配置されている。また、バルブ403には、流路変更部材405を内部空間404内で駆動させる駆動回路部を有する切替ソレノイド406a,406bが設けられている。
制御部80のCPU85から流路の切り替えを指示する電気的な信号が信号線88を介して切替ソレノイド406a,406bに入力されると、流路変更部材405が、内部空間404内を一方向(図7(a)では左右方向)に往復動作し、一対の流通路401a,401bと合流路402との間の流路(部屋)の切り替えが行われる。
具体的には、図7(a)の右側に位置する切替ソレノイド406aに対して切替指示が信号線88を介して入力されると、流路変更部材405が左側に動作し(図7(c)の状態)、図7(a)の左側に位置する切替ソレノイド406bに対して切替指示が信号線88を介して入力されると、流路変更部材405が右側に動作し(図7(b)の状態)、両方の切替ソレノイド406a,406bに対して切替指示が入力されなければ、流路変更部材405が中央に位置する状態に動作する(図7(a)の状態)ように構成されている。
次に、図7(a)〜図7(c)を参照して、四輪駆動車1が直進している状態、四輪駆動車1がコーナリングしている状態のバルブ403の状態について説明する。なお、オイル供給機構200から供給されるオイルの流れは矢印Cで示し、流通路401aのオイルの流れは矢印C1で示し、流通路401bのオイルの流れは矢印C2で示す。
図7(a)は、四輪駆動車1が直進している場合に、後輪70a,70bに駆動力が伝達されている状態であり、流路変更部材405は、内部空間404の中央(第1状態、図7(a)では左右方向の真ん中)に位置している。その結果、オイル供給機構200から矢印Cの流れにより供給されるオイルは、矢印C1,C2に示すように、一対の流通路401a,401bの両方に供給され、駆動力調整機構60a,60bのオイル供給室154a,154b(図6参照)に略均等な液圧を供給することができる。
図7(b)は、四輪駆動車1が左カーブをコーナリングしている場合に、右側の後輪70aに多くの駆動力を伝達している状態であり、流路変更部材405は、図7(a)の状態から図7(b)のように、右方向に移動している(第2状態)。その結果、流通路401aと合流路402との間が開放され、流通路401bと合流路402との間が遮蔽され、オイル供給機構200から矢印Cの流れにより供給されるオイルは、矢印C1に示すように、流通路401aのみに供給される。よって、四輪駆動車1が左カーブのコーナリング時に、左側の後輪70bより右側の後輪70aの方が駆動力が多く伝達されるので、左カーブをスムーズに曲がることができる。
一方、図7(c)は、四輪駆動車1が右カーブをコーナリングしている場合に、左側の後輪70bに多くの駆動力が伝達されている状態であり、流路変更部材405は、図7(a)の状態から図7(c)のように、左方向に移動している(第2状態)。その結果、流通路401bと合流路402との間が開放され、流通路401aと合流路402との間が遮蔽され、オイル供給機構200から矢印Cの流れにより供給されるオイルは、矢印C2に示すように、流通路401bのみに供給される。よって、四輪駆動車1が右カーブのコーナリング時に、右側の後輪70aより左側の後輪70bの方が駆動力が多く伝達されるので、右カーブをスムーズに曲がることができる。
次に、図8を参照して、CPU85に対する制御信号の入出力状態について説明する。図8に示すように、CPU85には、制御信号の入力として、四輪駆動車1のステアリング(図示せず)の舵角を示すSteer angle(舵角取得手段)と、前輪40a,40b及び後輪70a,70bの4輪それぞれの車輪速度と、四輪駆動車1が回転する速度を示すYaw rateと、四輪駆動車1の横方向への横加速度と、四輪駆動車1のアクセル(図示せず)の開度を示すAcc開度と、原動機10の回転数を示すENG回転数とが入力される。さらに、CPU85には、圧力センサ302から合流路402内の液圧値がフィードバック信号として入力される。また、CPU85は、電動モータ201に対して駆動指示を出力可能であるとと共に、切替ソレノイド406a,406bに対して駆動指示を出力可能に構成されている。
CPU85は、Steer angle及び車輪速度の入力に基づいて四輪駆動車1の横方向への推定横加速度を演算し、Yaw rate及び横加速度の入力に基づいて四輪駆動車1の旋回量を演算し、Steer angle、車輪速度、Yaw rate、横加速度、Acc開度およびENG回転数の入力に基づいて、前輪40a,40b及び後輪70a,70bにおける前後輪のトルク分配値を決定する。
本実施形態では、後述するが、CPU85は、Steer angleの絶対値が所定の値より大きい場合に、推定横加速度と旋回量とに基づいて、後輪70a,70bの左右輪における目標トルク差を演算し、その左右輪の目標トルク差に対応した左右輪のトルク値をトルクmapから取得し、その左右輪のトルク値が駆動力調整機構60a,60bに与えられるように、電動モータ201及び切替ソレノイド406a,406bに対して駆動指示を出力する。つまり、推定横加速度と旋回量とに基づいて左右輪のトルク値を取得することで、後輪70a,70bのそれぞれに伝達される駆動力の分配を設定し、その設定された分配に応じた駆動指示を電動モータ201及び切替ソレノイド406a,406bに出力することになる。なお、トルクmapは、後輪70a,70bの左右輪における目標トルク差と左右輪のトルク値とを対応付けさせて、予めROM84(図1参照)などに記憶しておいたものである。
Steer angleの絶対値が所定の値より大きい場合のCPU85からの駆動指示は、具体的には、バルブ403の連通状態が合流路402と一対の流通路401a,401bの一方とが連通するように、切替ソレノイド406a,406bの一方に駆動指示を出力すると共に、圧力センサ302からの直前のフィードバック信号による油圧の値と、トルクmapから取得した各後輪70a,70bのトルク値の差に対応する油圧とを加算した値となるように、合流路402へのオイルの供給を調整する駆動指示を電動モータ201に出力する。
一方、CPU85は、Steer angleの絶対値が所定の値以下であれば、前輪40a,40b及び後輪70a,70bにおける前後輪のトルク分配値に応じて、電動モータ201及び切替ソレノイド406a,406bに対して駆動指示を出力する。
Steer angleの絶対値が所定の値以下である場合のCPU85からの駆動指示は、具体的には、バルブ403の連通状態が合流路402と一対の流通路401a,401bの両方とが連通するように、切替ソレノイド406a,406bの両方への駆動指示を未出力にすると共に、前輪40a,40bと後輪70a,70bとが設定された前後トルク分配値となるように、合流路402へのオイルの供給を調整する駆動指示を電動モータ201に出力する。
次に、図9を参照して、CPU85により実行されるトルク制御処理について説明する。なお、トルク制御処理は、運転者がキーなどを操作して原動機10(図1参照)が始動開始した場合に繰り返し実行される処理である。
トルク制御処理が実行されると、まず、Steer angleの入力値αの絶対値が予め定めた所定の値a以下であるか否かを確認する(S1)。なお、S1の処理は、例えば、ステアリングの右側への操作が+となり、左側への操作が−となる場合、ステアリングの操作量が所定の量より多いか少ないかを確認するために、入力値αの絶対値と値aとを比較している。
S1の処理で確認した結果、Steer angleの入力値αの絶対値が値a以下であれば(S1:Yes)、四輪駆動車1のほぼ直進時のトルク制御として、通常の前後トルク分配制御を実行し(S2)、S1の処理へ戻る。
S2の処理は、具体的には、上述したように、バルブ403の連通状態が合流路402と一対の流通路401a,401bの両方とが連通するように(図7(a)の状態)、切替ソレノイド406a,406bの両方への駆動指示を未出力にすると共に、Steer angle、車輪速度、Yaw rate、横加速度、Acc開度およびENG回転数とに基づいて決定された前輪40a,40b及び後輪70a,70bのトルク分配値に応じて、合流路402へのオイルの供給を調整する駆動指示を電動モータ201に出力する処理である。なお、S2の処理は、Steer angle、車輪速度、Yaw rate、横加速度、Acc開度およびENG回転数の入力に基づいて、四輪駆動車1の次の走行状態を推定して制御するものなので、フィードフォワード制御である。
一方、S1の処理で確認した結果、Steer angleの入力値αの絶対値が値aより大きければ(S1:No)、ステアリングの操作が多くなされた場合になるので、S3〜S8の四輪駆動車1のコーナリング時のトルク制御が行われる。なお、S3〜S8の処理は、四輪駆動車1がコーナリングをしている時間の中でも姿勢が乱れる短時間の間に実行される処理である。
S3の処理では、Steer angle及び車輪速度に基づいて演算された四輪駆動車1の横方向への推定横加速度と、Yaw rate及び横加速度に基づいて演算された四輪駆動車1の旋回量とから後輪70a,70bの左右輪の目標トルク差を演算し(S3)、その左右輪の目標トルク差に対応する左右輪のトルク値をトルクmapから取得する(S4)。
S5の処理では、S4の処理で取得した左右輪のトルク値のうち、右側の後輪70aに対応する右トルクの値の方が、左側の後輪70bに対応する左トルクの値より大きいか否かを確認する(S5)。
S5の処理で確認した結果、右トルクの値の方が大きければ(S5:Yes)、右側の駆動力調整機構60aに連通する流通路401aと合流路402とが連通するように(図7(b)の状態)、切替ソレノイド406bに駆動指示を出力して、バルブ403の流路変更部材405を右側にシフトさせて(S6)、S8の処理へ移行する。
一方、S5の処理で確認した結果、左トルクの値の方が大きければ(S5:No)、左側の駆動力調整機構60bに連通する流通路401bと合流路402とが連通するように(図7(c)の状態)、切替ソレノイド406aに駆動指示を出力して、バルブ403を左側にシフトさせて(S7)、S8の処理へ移行する。
S8の処理では、圧力センサ302からのフィードバック信号に基づいて、S6及びS7の処理でバルブ403を切り替える直前の合流路402内の油圧を取得し、その取得した油圧に、S3の処理で演算した左右輪の目標トルク差から演算される油圧を加算した油圧となるように、電動モータ201を駆動させる駆動指示を出力し(S8)、S1の処理へ戻る。
なお、S8の処理では、油圧を基準に演算を行うものとしたが、フィードバック信号から取得される油圧をトルク値に変換し、S3の処理で演算した左右輪の目標トルク差を加算したトルクに対応する油圧となるように、電動モータ201へ駆動指示を出力するように構成しても良い。
また、S3〜S8の処理も、Steer angle、車輪速度、Yaw rate、横加速度などの入力に基づいて、四輪駆動車1の次の走行状態を推定して制御するものなので、フィードフォワード制御である。
以上、説明したように、本実施形態では、1のオイル供給機構200により供給されるオイルの流路を、切替機構400(バルブ403)によって、一対の駆動力調整機構60a,60bに対応する流通路401a,401bにそれぞれ切り替えることができる。よって、1のオイル供給機構200によって、一対の駆動力調整機構60a,60bにおける後輪70a,70bへの駆動力の伝達を調整できる。
ここで、例えば、四輪駆動車1の直進時に、後輪70a,70bに伝達される駆動力を略同等にしようとした場合、一対の駆動力調整機構に対して一対のオイル供給機構によりそれぞれオイルを送出すると、駆動力調整機構の各部品の製造誤差や組み付け誤差などから生じる駆動力の伝達率の差だけでなく、オイル供給機構(電動モータ)の性能の差によっても、左右の後輪へ伝達される駆動力に差が生じてしまい、四輪駆動車の直進時の走行安定性が低下してしまう。しかし、1のオイル供給機構200と切替機構400によって、一対の駆動力調整機構60a,60bにおける後輪70a,70bへの駆動力の伝達を調整できるので、少なくとも、オイル供給機構200の性能差から生じる伝達率の差を低減でき、四輪駆動車1の直進時の走行安定性を向上できる。
また、オイル供給機構200が1つになるので、駆動力調整機構60a,60bの全体を小規模化できるし、コスト低減を図ることもできる。
また、圧力センサ302は、オイル供給機構200とバルブ403との間の圧力を検出している。一般的に、圧力センサも、それぞれ製品固有の製品誤差を有しているので、一対の流通路401a,401bのそれぞれに圧力センサを設けると、その圧力センサが有する製品誤差を考慮した制御を行わなければならない。しかし、1の圧力センサ302により一対の駆動力調整機構60a,60bの後輪70a,70bへの駆動力の出力状態を調整できるので、CPU85の演算の制御負担を軽減することができる。勿論、圧力センサ302が1つになるので、コスト低減を図ることもできる。
また、トルク制御処理は、ステアリングの操作量であるSteer angleの入力値に応じて直進時とコーナリング時とを区別し、更に、Steer angle、車輪速度、Yaw rate、横加速度、Acc開度およびENG回転数の入力に基づいて、前輪40a,40bと後輪70a,70bとのトルク分配および後輪70a,70bの左右輪のトルク値を演算し、四輪駆動車1の直進時とコーナリング時の走行安定性を確保している。つまり、1のオイル供給機構200と切替機構400とにより駆動力調整機構60a,60bにおけるトルク制御を行っているので、フィードフォワード制御を簡単なロジックで達成することが可能になる。
なお、S3〜S8の処理は、四輪駆動車1がコーナリングをしている時間の中でも姿勢が乱れる様は限界に近い状態で必要になる為、1秒以内の短時間で行われる。そのため、S3〜S8の処理では、バルブ403からのオイルのリークや各流路401a,401b,402の繋ぎ目などからのオイルのリーク、更には、合流路402から遮蔽されている流通路401a,401bへの流れ込みなどを無視できるレベルなので、CPU85の演算の制御負担を軽減することができる。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施の形態になんら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記各実施の形態で挙げた数値(例えば、各構成の数量や寸法・角度など)は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
また、上記各実施の形態では、リリース機構171aに皿ばねを用いたが、必ずしも皿ばねである必要はなく、例えば、環形のゴム状弾性体を用いても良い。
また、上記各実施の形態では、切替機構400を、油圧で動作するバルブ403で構成するものとしたが、エアー圧で動作するバルブ403を使用しても良い。また、バルブ403の動作を切替ソレノイド406a,406bにより動作させるように構成したが、電気モータにより流路変更部材405を往復動作するように構成しても良い。さらに、流路変更部材405が往復動作することで流路を切り替えるものとしたが、略球体の表面に流路を形成し、その球体の部材を回転させることで流路を切り替えるように構成しても良い。
また、上記各実施の形態では、オイル供給機構200と切替機構400(バルブ403)との間を連通する合流路402をバルブボディ407に形成するものとしたが、パイプやチューブなどで接続するものとしても良い。また、切替機構400とオイル供給室154a,154bとの間をパイプやチューブなどで接続するように構成しても良い。即ち、1のオイル供給機構200と切替機構400とによって、オイル供給室154a,154bにオイルを切り替えて供給可能であれば、その流路を形成する部材や部品の組み合わせは如何なる組み合わせであっても良い。なお、オイル回収室64a,64bとオイル回収穴208との間を連通する回収通路210a,210bも、パイプやチューブなどで接続する構成にしても良い。
本発明の一実施の形態における四輪駆動車1の概略図である。 駆動力調整機構の外観図である。 図2のIII−III線における駆動力分配機構と駆動力調整機構との断面図である。 図3のA部分を拡大した断面図であり、駆動力調整機構の一部とケースの一部とを示している。 カム機構の概略を示した図であり、(a)は、カム機構の側面図であり、(b)は、図5(a)のVb−Vb線におけるカム機構の断面図である。 図2のVI−VI線における駆動力調整機構と駆動力調整機構の一部とを示した断面図である。 切替機構近傍の構成の概略および切替機構の切替状態を示した図である。 CPUに対する制御信号の入出力の状態を模式的に示した図である。 四輪駆動車のCPUにより実行されるトルク制御処理を示したフローチャートである。
符号の説明
1 四輪駆動車
10 原動機
50 駆動力分配機構(入力軸の一部)
51 入力ギヤユニット(入力軸の一部)
52 出力ギヤユニット(入力軸の一部)
60a,60b 駆動力調整機構(出力ユニットの一部)
80 制御部(制御手段の一部)
85 CPU(制御手段の一部)
94 中央ドライブシャフト(入力軸の一部)
94a,94b 後輪ドライブシャフト(出力軸の一部)
154a,154b オイル供給室(供給室の一部)
200 オイル供給機構(液体送出手段の一部)
201 電動モータ(液体送出手段の一部)
212 吐出通路(合流路の一部)
301 圧力検出通路(合流路の一部)
302 圧力センサ(検出手段の一部)
400 切替機構(切替手段の一部)
401a,401b 流通路
402 合流路
403 バルブ(切替手段の一部)
404 内部空間(中間領域の一部)
405 流路変更部材(開放遮蔽部材の一部)
P 駆動力調整機構の回転軸心
Q 電動モータの軸心(モータの軸心)
R 回転軸心Pを中心とする円周方向
T 駆動力分配機構の回転軸心
S2 四輪制御手段
S3,S4 設定手段
S5〜S7 第2状態制御手段
S9 液圧調整制御手段

Claims (6)

  1. 駆動力を発生する原動機と、その原動機により発生された駆動力が入力される入力軸と、その入力軸に入力された駆動力を一対の出力軸に対してそれぞれ断続的に出力可能な一対の出力ユニットとを備えた駆動力伝達装置において、
    前記一対の出力軸に対して駆動力を出力する状態に前記一対の出力ユニットをそれぞれ遷移させる液圧が供給される一対の供給室と、
    その一対の供給室にそれぞれ連通し、前記液圧を発生させる液体が流通する一対の流通路と、
    その一対の流通路に連通する合流路と、
    その合流路と一対の流通路との間に配置され、前記合流路と一対の流通路との間の連通状態を切り替える切替手段と、
    前記合流路に前記液圧を発生させる液体を送り出す液体送出手段と、
    その液体送出手段による液体の送出制御を行うと共に、前記切替手段による連通状態の切替制御を行う制御手段とを備えていることを特徴とする駆動力伝達装置。
  2. 前記切替手段は、前記合流路と両流通路との間を連通させる第1状態と、前記合流路と一方の流通路との間を連通させると共に前記合流路と他方の流通路との間を非連通にする第2状態とに切替可能に構成され、
    前記制御手段は、前記切替手段を第1状態または第2状態に切り替える切替制御を行うものであることを特徴とする請求項1記載の駆動力伝達装置。
  3. 前記切替手段は、
    前記合流路と一対の流通路との間に設けられる中間領域と、
    その中間領域内を一方向に往復動作可能に配置され、前記合流路と一対の流通路との間をそれぞれ開放または遮蔽する開放遮蔽部材と、
    その開放遮蔽部材を往復動作させる駆動手段とを備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の駆動力伝達装置。
  4. 前記合流路を流通する液体の液圧を検出する検出手段を備え、
    前記制御手段は、前記検出手段により検出される液圧の検出結果に応じて、前記1の液体送出手段による液体の送出制御と前記切替手段による連通状態の切替制御とを行うものであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の駆動力伝達装置。
  5. 前記一対の流通路は、その経路長さ及び形状がほぼ同形状に形成されると共に、前記出力ユニットは、垂直方向の高さがほぼ同位置に配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の駆動力伝達装置。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の駆動力伝達装置が搭載され、走行状態に応じて前輪および後輪への駆動力の分配制御が行われる四輪駆動車において、
    前記四輪駆動車の進行方向を定めるステアリング舵角を取得する舵角取得手段と、
    その舵角取得手段により取得されるステアリング舵角が所定値以下であれば、前記合流路と両流通路との間を連通させる第1状態に前記切替手段を切り替えて、前記前輪および後輪への駆動力の分配に応じた四輪駆動の制御を行う四輪制御手段と、
    前記四輪駆動車の走行状態を取得し、その取得した走行状態に基づいて推定される横方向への加速度および旋回量とに基づいて、前記入力軸に入力された駆動力に対して前記一対の出力軸のそれぞれに分配される駆動力を設定する設定手段と、
    前記舵角取得手段により取得されるステアリング舵角が所定値より大きければ、前記設定手段により設定された駆動力の分配が多い方の出力軸に対応する流通路が連通すると共に、前記設定手段により設定された駆動力の分配が少ない方の出力軸に対応する流通路が非連通となる第2状態に前記切替手段を切り替える制御を行う第2状態制御手段とを備え、
    その第2状態制御手段により前記切替手段が切り替えられる場合に、その第2状態制御手段により前記切替手段が切り替えられる前の前記合流路の液圧と、前記設定手段により設定された駆動力の分配差とに基づいて、前記液圧送出手段により前記合流路へ送り出される液体の送出量を調整する液圧調整制御手段とを備えていることを特徴とする四輪駆動車。
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