JP2009002393A - 多板クラッチ制御装置 - Google Patents

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達哉 鈴木
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Abstract

【課題】液圧検出手段により検出される液圧のバラツキの発生を低減し、供給路内を所望する液圧に調整することができる他板クラッチ制御装置を提供すること。
【解決手段】四輪駆動車が運転者により運転開始され、電動モータ201a,201bが停止しているときの流路220a,220b内の液圧を、圧力センサ302a,302bにより検出し、その値を零点として零点記憶領域87aに記憶するので、製造バラツキや周辺温度、使用期間の影響による検出値のバラツキを抑制することができる。また、圧力センサ302a,302bにより検出される値を零点に基づいて補正し、その補正後の値に応じて電動モータ201a,201bを駆動するので、流路220a,220b内を所望の液圧に調整することができる。
【選択図】図8

Description

本発明は、多板クラッチ制御装置に関し、特に、液圧検出手段により検出される液圧のバラツキの発生を低減し、供給路内を所望する液圧に調整することができる多板クラッチ制御装置に関するものである。
特開平10−86686号公報に開示されているように、入力軸と出力軸とを連結可能な装置本体と、その装置本体にパイプを介して接続された液圧アクチュエータと、その液圧アクチュエータを制御する制御回路とを有するトランスファ装置が知られている。装置本体には、入力軸に入力されたトルクを出力軸に伝達する多板クラッチと、その多板クラッチを押圧するピストンとが設けられており、液体アクチュエータには、ピストンを移動させるための液圧をパイプに供給するモータが設けられている。また、パイプ内の液圧は、圧力センサによって検出され、その圧力センサにより検出される液圧に基づいて制御回路によりモータが駆動されて、パイプ内の液圧が調整される。
一般的に、パイプ内の液圧をモータの駆動により制御する制御回路は、圧力センサにより検出されるパイプ内の液圧に基づいてフィードバック制御を行う。このフィードバック制御は、圧力センサにより実際に検出された液圧の値とモータに流される電流値とを関連付けして予め記憶したテーブルを参照し、モータに流される電流値を設定し、パイプ内の液圧を調整するものである。よって、フィードバック制御を行うことによって、パイプ内を所望の液圧とすることができ、入力軸から出力軸に伝達される駆動力を調整することができる。
特開平10−86686号公報
しかしながら、圧力センサ(液圧検出手段)により検出される値に基づきフィードバック制御を行うことで、パイプ内の液圧を所望の液圧に調整することはできるが、圧力センサは、部品寸法などの製造バラツキがあるので、検出される液圧の値が製品毎に異なる。よって、圧力センサにより実際に検出される液圧の値とモータに流される電流値とを関連付けして予め記憶したテーブルを参照して、モータに流される電流値を設定した場合には、圧力センサ毎に検出される液圧の値が異なるので、供給路内を所望する液圧に調整することができず、入力軸から出力軸に駆動力を正確に伝達することができないという問題点があった。
また、圧力センサは、部品寸法などの製造バラツキだけでなく、その圧力センサが設置された周辺温度によっても検出される液圧の値にバラツキが生じると共に、その使用期間に基づく劣化によっても検出される液圧の値にバラツキが生じる。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、液圧検出手段により検出される液圧のバラツキの発生を低減し、供給路内を所望する液圧に調整することができる多板クラッチ制御装置を提供することを目的としている。
この目的を達成するために請求項1記載の多板クラッチ制御装置は、駆動力が入力される入力軸と、その入力軸に入力された駆動力が出力される出力軸と、その出力軸と前記入力軸とを連結し前記入力軸から出力軸へ駆動力を伝達する多板クラッチと、その多板クラッチを押圧して前記入力軸から出力軸へ伝達される駆動力を調整するピストン部材と、そのピストン部材を動作させる液圧が供給される供給路と、その供給路内に液体を送出し前記液圧を発生させる液圧発生手段と、その液圧発生手段を駆動する駆動手段とを備え、前記駆動手段を駆動または停止させて前記液圧発生手段により前記供給路に送出される液体の圧力を調整し、前記多板クラッチによる前記入力軸から出力軸への駆動力の伝達を制御するものであり、前記供給路内の液圧を検出する液圧検出手段と、前記駆動手段が停止されている状態における前記液圧検出手段により検出される液圧を、その液圧検出手段により検出される初期値として設定する初期値設定手段と、その初期値設定手段により設定された初期値に基づいて、前記液圧検出手段により検出される実際の液圧を補正する補正手段と、その補正手段により補正された液圧に基づいて、前記駆動手段を駆動または停止させて前記液圧発生手段により前記供給路に送出される液体の圧力を調整し、前記供給路内の液圧を調整する液圧調整手段とを備えている。
なお、請求項1において、多板クラッチをピストン部材により押圧するとは、ピストン部材により多板クラッチを直接押圧する場合と、ピストン部材により他部材を押圧しその他部材により多板クラッチを間接的に押圧する場合とを含む。
請求項2記載の多板クラッチ制御装置は、請求項1記載の多板クラッチ制御装置において、前記初期値設定手段は、前記駆動手段を逆転駆動させて、前記液圧発生手段により前記供給路内の液体を吸引し、その供給路内の液圧を負圧とする負圧発生手段と、その負圧発生手段により前記供給路内の液圧が負圧とされ、前記駆動手段の逆転駆動が停止された後に、所定時間が経過したか否かを判断する時間判断手段とを備え、その時間判断手段により所定時間が経過したと判断された場合に、前記液圧検出手段により検出される液圧を、その液圧検出手段により検出される初期値として設定するものである。
なお、請求項2における時間判断手段が判断する所定時間は、駆動手段の逆転駆動が停止された後に、供給路内の液圧が負圧からゼロ圧(大気圧)となるまでに有する時間以上である。
請求項3記載の多板クラッチ制御装置は、請求項2記載の多板クラッチ制御装置において、前記初期値設定手段は、前記駆動手段を駆動させて、前記供給路内を、予め定められたイニシャル値に対応した液圧に調整する液圧イニシャル値調整手段を備え、前記負圧発生手段は、前記液圧イニシャル値調整手段により前記供給路内がイニシャル値に対応した液圧に調整された後に、前記駆動手段を逆転駆動させて前記供給路内の液圧を負圧とするものである。
なお、請求項3において、予め定められたイニシャル値は、前回の初期値設定手段により設定された初期値であっても良いし、供給路内の液圧が安定する液圧値であって供給路の形状や駆動手段(又は液圧発生手段)の性能などに基づいて設定される液圧値であっても良い。
請求項4記載の多板クラッチ制御装置は、請求項2又は3に記載の多板クラッチ制御装置において、前記液圧検出手段は、耐久性上使用可能な負圧の最小値が予め定められており、前記負圧発生手段は、前記供給路内の液圧が、前記液圧検出手段が使用可能な負圧の最小値より大きな値となるように、前記駆動手段の駆動条件を設定するものである。
請求項5記載の多板クラッチ制御装置は、請求項2から4のいずれかに記載の多板クラッチ制御装置において、前記駆動手段は、駆動停止してから次の駆動開始までの間に必要となる待機時間が定められており、前記負圧発生手段は、前記駆動手段が逆転駆動してからその駆動手段の停止後に前記所定時間が経過するまでの時間が、前記待機時間以内となるように、前記駆動手段の駆動条件を設定するものである。
請求項6記載の多板クラッチ制御装置は、請求項2から5のいずれかに記載の多板クラッチ制御装置において、前記液圧検出手段は、耐久性上使用可能な負圧の最小値が予め定められており、前記供給路には、その供給路と外部空気室とを連通する連通口が形成されており、その連通口は、前記駆動手段を逆転駆動させた場合に、前記液圧発生手段により前記供給路から吸引される第1流量と前記連通口から前記供給路に流入する空気の第2流量とに基づいて定められる前記供給路内の液圧が、前記液圧検出手段が使用可能な負圧の最小値より大きな値となるように、その開口量が設定されている。
請求項7記載の多板クラッチ制御装置は、請求項2から6のいずれかに記載の多板クラッチ制御装置において、前記駆動手段は、駆動停止してから次の駆動開始までの間に必要となる待機時間が定められており、前記供給路には、その供給路と外部空気室とを連通する連通口が形成されており、その連通口は、前記駆動手段が逆転駆動してからその駆動手段の停止後に、前記連通口から空気が流入し前記供給路内の圧力が負圧から大気圧に回復する時間が、前記待機時間以内となるように、その開口量が設定されている。
なお、請求項4から7のいずれかにおいて、負圧設定手段により設定される駆動手段の駆動条件としては、例えば、駆動手段の回転速度や回転時間、総回転数などがあげられる。
請求項8記載の多板クラッチ制御装置は、請求項1から7のいずれかに記載の多板クラッチ制御装置において、前記多板クラッチによる前記入力軸から出力軸への駆動力伝達の制御の開始指示または停止指示を検出する指示検出手段を備え、前記初期値設定手段は、前記指示検出手段により前記駆動力伝達の制御の開始指示が検出される毎、又は、前記指示検出手段により前記駆動力伝達の制御の停止指示が検出される毎に、前記液圧検出手段により液圧を検出し初期値を設定するものである。
なお、請求項8の指示検出手段は、駆動手段への電源の供給または停止を検出するものであっても良い。また、例えば、車などを始動または停止させるキーの操作を検出するものであっても良い。キーの操作を検出する構成では、キーが始動側に操作された(イグニッションオン)直後またはキーが停止側に操作された(イグニッションオフ)直後に、初期値設定手段による初期値を設定することが好ましい。これは、通常時に行われる入力軸から出力軸への駆動力の伝達制御に及ぼす影響を低減するためである。
請求項9記載の多板クラッチ制御装置は、請求項1から8のいずれかに記載の多板クラッチ制御装置において、前記負圧発生手段は、前記駆動手段を正転駆動させて前記ピストン部材が最大の移動量動作した場合に前記供給路内に供給される第3流量以上を前記供給路から吸引するように、前記駆動手段を逆転駆動させるものである。
なお、供給路内に供給される第3流量は、供給路自体の機械的な弾性変形および流路内(主に液体内)に含まれる液体の圧縮変形がある場合には、前記供給路自体の機械的な弾性変形に伴って供給される流量と、前記流路内に含まれる気体の圧縮変形に伴って供給される流量とを含むものとする。
請求項10記載の多板クラッチ制御装置は、請求項1から9のいずれかに記載の多板クラッチ制御装置において、前記液圧検出手段が設けられた近傍の温度を検出する温度検出手段と、前記液圧検出手段により検出される液圧を、前記温度検出手段により検出される温度に応じて補正する液圧温度補正手段とを備えている。
請求項1記載の多板クラッチ制御装置によれば、多板クラッチにより入力軸と出力軸とが連結されると、その入力軸に入力された駆動力が出力軸に伝達される。多板クラッチは、ピストン部材に押圧されて入力軸から出力軸に伝達される駆動力が調整され、そのピストン部材は、駆動手段により液圧発生手段が駆動されて、供給路内に液体が送出され発生する液圧により動作する。よって、駆動手段を駆動または停止させて液圧発生手段により供給路に送出される液体の液圧を調整することで、多板クラッチによる入力軸から出力軸への駆動力の伝達が制御される。
また、供給路内の液圧は、液圧検出手段により検出され、駆動手段が停止されている状態における液圧検出手段により検出される液圧が初期値として、初期値設定手段により設定される。液圧調整手段により供給路内の液圧を調整する場合には、初期値設定手段により設定された初期値に基づいて液圧検出手段により検出される実際の液圧が補正手段により補正され、その補正された液圧に基づいて駆動手段を駆動または停止させて液圧発生手段により供給路に送出される液体の液圧が調整される。
一般的に、液圧検出手段は、製造時の寸法誤差からなる製造バラツキや周辺温度、使用期間などによって、検出される液圧の値が実際の液圧の値とは異なるものとなり、液圧の値と駆動手段の駆動条件とを関連付けして予め記憶したテーブルを参照して供給路内の液圧を調整する場合には、供給路内を所望する液圧に調整することが困難であった。
しかし、初期値設定手段によって、駆動手段が停止して、例えばゼロ圧(大気圧)の状態で検出される液圧を初期値に設定できるので、実際に設置されている液圧検出手段の特性に応じた初期値を設定することができ、液圧検出手段の製造バラツキや周辺温度、使用期間による劣化バラツキの影響による検出値のバラツキを抑制することができるという効果がある。さらに、初期値設定手段により実際のゼロ圧の状態で検出される液圧値に基づいて実際の液圧を補正手段によりゼロに補正できるので、その補正した液圧(ゼロ圧)に基づいて供給路内に送出される液体の流量を調整でき、製造バラツキや周辺温度、使用期間による影響を低減し、入力軸から出力軸に駆動力を正確に伝達することができるという効果がある。
請求項2記載の多板クラッチ制御装置によれば、請求項1記載の多板クラッチ制御装置の奏する効果に加え、負圧発生手段により駆動手段が逆転駆動されて液圧発生手段により供給路内の液体が吸引されて供給路内の液圧が負圧とされ、その後、駆動手段の逆転駆動が停止されてから所定時間が経過したと時間判断手段により判断された場合に、液圧検出手段により検出される液圧が初期値設定手段により初期値に設定される。
ここで、駆動手段が停止している状態であっても、駆動手段が駆動され液圧発生手段により供給路内に液体が送出された直後であれば、供給路内に正圧の残圧が残っている場合もあり、液圧検出手段の正確な初期値(ゼロ圧に対応した値)を設定できないことがある。しかし、負圧発生手段により供給路内の液圧を一旦負圧とし、駆動手段を停止させてから所定時間が経過した後に液圧検出手段により検出される検出値を初期値に設定するので、供給路内がほぼ大気圧に回復した状態の液圧(ゼロ圧)を初期値に設定でき、供給路内に正圧の残圧が残り正確な初期値を設定できなくなることを抑制することができるという効果がある。
請求項3記載の多板クラッチ制御装置によれば、請求項2記載の多板クラッチ制御装置の奏する効果に加え、液圧イニシャル値設定手段によって、駆動手段が駆動され供給路内の液圧が予め定められたイニシャル値に対応した液圧に調整され、その後、負圧発生手段により駆動手段が逆転駆動されて供給路内の液圧が負圧とされる。よって、例えば、イニシャル値が、供給路内の液圧をほぼ大気圧とする値に設定されている場合には、供給路内の液圧が予め定められたイニシャル値に対応した液圧となるよう調整された後に、駆動手段を逆転駆動するので、供給路内の残圧を確実に除去でき、大気圧以下とすることができる。
ここで、駆動手段を逆転駆動させて供給路内の液体を吸引する吸引量が一定で且つ、初期値設定手段を開始する時点の液圧が低い値から高い値までばらついている場合について説明する。初期値設定手段を開始する時点の液圧が高い場合には、機械的な弾性変形分の供給路内の液圧も吸引しなければならないので、その分、供給路から吸引する吸引量を大きく設定する必要がある。一方、初期値設定手段を開始する時点の液圧が低い場合に、前述の大きな吸引量の吸引を行うと、供給路内の負圧値が大きくなり過ぎて、液圧検出手段の使用可能な負圧の最小値より小さな値となり、液圧検出手段が破損してしまうという問題が生じる。
しかし、液圧イニシャル値調整手段により供給路内を予め定められたイニシャル値に対応した液圧に調整し、その後に駆動手段を逆転駆動させ、供給路内の液圧を初期値に対応した液圧以下とするので、一定の吸引量で且つ小さな吸引量で供給路内を安定した負圧に設定することができるという効果がある。
請求項4記載の多板クラッチ制御装置によれば、請求項2又は3に記載の多板クラッチ制御装置の奏する効果に加え、供給路内の液圧が、液圧検出手段が使用可能な負圧の最小値より大きな値となるように、駆動手段の駆動条件が負圧発生手段により設定されるので、液圧検出手段が検出可能な負圧の最小値より更に負圧となり、液圧検出手段が破損または誤検出することを防止することができるという効果がある。
請求項5記載の多板クラッチ制御装置によれば、請求項2から4のいずれかに記載の多板クラッチ制御装置の奏する効果に加え、駆動手段が逆転駆動してからその駆動手段の停止後に所定時間が経過するまでの時間が、駆動停止してから次の駆動開始までの間に必要となる待機時間以内となるように、駆動手段の駆動条件が負圧発生手段により設定される。
例えば、駆動手段が逆転駆動してからその駆動手段の停止後に所定時間が経過するまでの時間が待機時間より長くなると、初期値設定手段による初期値が設定される前に駆動手段の駆動が開始されるので、初期値が未設定となってしまう。しかし、駆動手段が逆転駆動してからその駆動手段の停止後に所定時間が経過するまでの時間が待機時間より短くなるように駆動手段の駆動条件が設定されるので、初期値設定手段により初期値を確実に設定することができるという効果がある。
請求項6記載の多板クラッチ制御装置によれば、請求項2から5のいずれかに記載の多板クラッチ制御装置の奏する効果に加え、駆動手段を逆転駆動させた場合に、液圧発生手段により供給路から吸引される第1流量と連通口から供給路に流入する空気の第2流量とに基づいて定められる供給路内の液圧が、液圧検出手段が検出可能な負圧の最小値より大きな値となるように、供給路と外部空気室とを連通する連通口の開口量が設定される。よって、液圧検出手段が検出可能な負圧の最小値より更に負圧となり、液圧検出手段が破損または誤検出することを防止することができるという効果がある。
請求項7記載の多板クラッチ制御装置によれば、請求項2から6のいずれかに記載の多板クラッチ制御装置の奏する効果に加え、駆動手段が逆転駆動してからその駆動手段の停止後に、連通口から空気が流入し供給路内の圧力が負圧から大気圧に回復する時間が、駆動手段が駆動停止してから次の駆動開始までの間に必要となる待機時間以内となるように、供給路と外部とを連通する連通口の開口量が設定されている。
例えば、駆動手段が逆転駆動してからその駆動手段の停止後に所定時間が経過するまでの時間が待機時間より長くなると、初期値設定手段による初期値が設定される前に駆動手段の駆動が開始されるので、初期値が未設定となってしまう。しかし、駆動手段が逆転駆動してからその駆動手段の停止後に、連通口から空気が流入し供給路内の圧力が負圧から大気圧に回復する時間が待機時間より短くなるように連通口の開口量が設定されているので、初期値設定手段により初期値を確実に設定することができるという効果がある。
請求項8記載の多板クラッチ制御装置によれば、請求項1から7のいずれかに記載の多板クラッチ制御装置の奏する効果に加え、指示検出手段により多板クラッチによる入力軸から出力軸への駆動力伝達の制御の開始指示が検出される毎、又は、指示検出手段により前記駆動力伝達の制御の停止指示が検出される毎に初期値設定手段により初期値に設定される。よって、駆動力の伝達の制御が通常行われているタイミングでなく、制御の開始または停止の際に初期値を設定するので、通常行われる駆動力の伝達の制御に影響を及ぼすことを低減できるという効果がある。
請求項9記載の多板クラッチ制御装置によれば、請求項1から8のいずれかに記載の多板クラッチ制御装置の奏する効果に加え、駆動手段を正転駆動させてピストン部材が最大の移動量動作した場合に供給路内に供給される第3流量以上が、供給路から吸引されるように駆動手段が逆転駆動されるので、ピストン部材が通常に動作していて供給路内に正圧の残圧が残っている状態で初期値を設定する場合であっても、供給路内を確実に負圧とすることができる。よって、ピストン部材の駆動指示がなされる通常の運転状態の間にも、任意のタイミングで初期値を設定することができるので、液圧検出手段の使用状態に応じた初期値を設定することができ、供給路内を所望する液圧に調整することができるという効果がある。
なお、第3流量以上を供給路から吸引する場合には、初期値を設定するときの液圧のバラツキを考慮して、液圧検出手段の使用可能な負圧の最小値より小さくならないような吸引量に設定する必要があるのは勿論である。
請求項10記載の多板クラッチ制御装置によれば、請求項1から9のいずれかに記載の多板クラッチ制御装置の奏する効果に加え、液圧検出手段により検出される液圧が、温度検出手段により検出される温度に応じて液圧温度補正手段により補正されるので、液圧検出手段の使用環境に応じた初期値を設定することができ、供給路内を所望する液圧に調整することができるという効果がある。
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、本発明の一実施の形態である駆動力調整機構60a,60bが搭載された四輪駆動車1について説明する。本実施の形態の駆動力調整機構60a,60bは、原動機10から出力される駆動力を後輪70a,70bにそれぞれ分配するものである。
図1は、駆動力調整機構60a,60bが搭載された四輪駆動車1を示した概略図である。なお、図1に示す矢印Xは、四輪駆動車1の前後方向を示しており、矢印Yは、四輪駆動車1の左右方向を示している。
図1に示すように、四輪駆動車1は、内燃機関であり駆動力を発生する原動機10と、その原動機10から連結軸91を介して入力された駆動力を変速部21により変速して出力するトランスミッション20と、そのトランスミッション20から連結軸92を介して入力された駆動力を前後駆動力分配装置分配部31により連結軸96と中央ドライブシャフト94とに分配する前後駆動力分配装置30と、その前後駆動力分配装置30によって連結軸96に分配された駆動力を前側ドライブシャフト93a,93bに分配する前輪デファレンシャルギヤ部32と、その前輪デファレンシャルギヤ部32で前側ドライブシャフト93a,93bに分配された駆動力が伝達されて回転動作する一対の前輪40a,40bと、前後駆動力分配装置30によって中央ドライブシャフト94に分配された駆動力が伝達され、その伝達された駆動力を後側ドライブシャフト95a,95bに分配する駆動力分配機構50と、その駆動力分配機構50により後側ドライブシャフト95a,95bに分配される駆動力の割合を調整する駆動力調整機構60a,60bと、その駆動力調整機構60a,60bによって後側ドライブシャフト95a,95bのそれぞれに調整された駆動力が伝達されて回転動作する一対の後輪70a,70bと、駆動力調整機構60a,60bの各種制御を行うECU(エレクトロニック コントロール ユニット)80とを有して構成されている。なお、駆動力分配機構50と駆動力調整機構60a,60bとは、箱形のケース61の内部に回転可能に固定されている。
また、前輪デファレンシャルギヤ部32は、連結軸96から伝達される駆動力を前側ドライブシャフト93a,93bに分配すると共に連結軸96の回転数を前側ドライブシャフト93a,93bに分配する装置である。
駆動力分配機構50は、中央ドライブシャフト94と連結される入力ギヤユニット51と、入力ギヤユニット51に対して直交する方向(図1矢印Y方向)に配置される出力ギヤユニット52とを有して構成されている。よって、駆動力分配機構50は、入力ギヤユニット51に入力された駆動力を、出力ギヤユニット52により分配し、駆動力分配機構50の左右(図1矢印Y方向両側)に配置された駆動力調整機構60a,60bに駆動力を分配するものである。なお、駆動力分配機構50の詳細な説明は、図3を用いて後述する。
駆動力調整機構60a,60bは、駆動力分配機構50の左右(図1矢印Y方向)に対称に設置され、出力ギヤユニット52の両端部にそれぞれ連結されている。なお、駆動力調整機構60a,60bは、駆動力分配機構50の右側(図1矢印Y方向右側)が駆動力調整機構60aであり、駆動力分配機構50の左側(図1矢印Y方向左側)が駆動力調整機構60bである。
駆動力調整機構60aは、駆動力の伝達を調整する駆動力調整部100aと、駆動力調整部100aにオイルを送り出すオイル供給機構200aと、そのオイル供給機構200aにより圧送されたオイルの液圧を検出する圧力検出機構300aとを有して構成されている。駆動力調整部100aは、伝達される駆動力の調整をオイル供給機構200aがオイルを送り出すことで発生する液圧により行なわれる。また、その液圧は圧力検出機構300aにより検出され、その圧力検出機構300aの検出結果はECU80に入力される。駆動力調整機構60bは、駆動力調整機構60aと同様に構成されており、駆動力調整部100bと、オイル供給機構200bと、圧力検出機構300bとを有して構成されている。なお、駆動力調整機構60a,60bの詳細な説明は、図4〜図7を用いて後述する。
ECU80は、主に液圧の情報に基づきオイル供給機構200a,200bを制御する演算処理装置であるCPU85と、オイル供給機構200a,200bを制御するためのプログラムや予め定められた固定値データなどが記憶されたROM84と、CPU85がプログラムを実行する際に用いられる各種データが一時的に記憶されるRAM87と、圧力検出機構300a,300bからの入力線81a,81bとオイル供給機構200a,200bへの出力線82a,82bとが接続されるI/Oポート83と、I/Oポート83及びROM84、CPU85、RAM87を電気的に接続する接続回路であるバスライン86とを有して構成されている。なお、本実施の形態では、ECU80は、圧力検出機構300a,300bの検出結果に基づき、駆動力調整部100a,100bが作動するために必要なオイルを供給するオイル供給機構200a,200bを個別にフィードバック制御している。このECU80により行われる制御については、後述する。
次に、図2を参照して、駆動力調整機構60aの外観について説明する。図2は、駆動力調整機構60aと、駆動力分配機構50とを拡大して示した側面図である。なお、図2に示す矢印Xは、四輪駆動車1の前後方向を示しており、矢印Zは、四輪駆動車1の上下方向を示している。
駆動力調整機構60aは、上述したように、駆動力の伝達を調整する駆動力調整部100aと、駆動力調整部100aにオイルを送り出すオイル供給機構200aと、そのオイル供給機構200aより圧送されたオイルの液圧を検出する圧力検出機構300aとを有して構成されている。
オイル供給機構200aは、駆動力調整部100aの下側(図2矢印Z方向下側)に配置されている。また、オイル供給機構200aは、そのオイル供給機構200aにより駆動力調整部100aに供給されたオイルがその駆動力調整部100aから自然落下により排出され、再度、オイル供給機構200aに溜まる構成となっている。さらに、後述するが、本実施の形態では、オイル供給機構200aにオイル貯留室204a(図6参照)が設けられるので、従来のオートマチックトランスミッションやトランスファーケースの例にあるように、オイル貯留室がオイル供給機構200aの下方に配置される場合に比べてオイルを吸い上げて溜める仕事が不要になり、オイルを送り出す効率を向上することができる。
なお、駆動力分配機構50は、ハイポイドギヤを使用して駆動力を分配しているため、駆動力調整部100の回転軸心Pと駆動力分配機構50の回転軸心Tの延長線とは、交わらない構成となっている。
次に、図3から図6を参照して、駆動力分配機構50及び駆動力調整機構60aの詳細な構成について説明する。図3は、図2のIII−III線における駆動力分配機構50と駆動力調整機構60a,60bとの断面図である。なお、図3においては、断面線を省略して図示してある。また、図3に示す矢印Xは、四輪駆動車1の前後方向であり駆動力分配機構50の回転軸心T方向を示しており、矢印Yは、四輪駆動車1の左右方向であり駆動力調整部100a,100bの回転軸心P方向を示している。
まず、駆動力分配機構50について説明する。上述したように、駆動力分配機構50は、中央ドライブシャフト94(図1参照)により伝達される駆動力の向きを変え、その駆動力を、四輪駆動車1の左右(図1矢印Y方向)にそれぞれ配置される駆動力調整機構60a,60bに分配するものである。
図3に示すように、駆動力分配機構50は、中央ドライブシャフト94(図1参照)により伝達された駆動力が入力される入力ギヤユニット51と、その入力ギヤユニット51に対して直交する方向(図3矢印Y方向)に配置され、入力ギヤユニット51に入力された駆動力を出力する出力ギヤユニット52とを有して構成されている。
入力ギヤユニット51は、入力ギヤユニット51が有するハイポイドギヤ53に出力ギヤユニット52が有するハイポイドギヤ54が嵌合されることで出力ギヤユニット52に連結され、中央ドライブシャフト94(図1参照)により伝達された駆動力を出力ギヤユニット52へ伝達するものである。
出力ギヤユニット52は、出力ギヤユニット52の両端部に形成される出力シャフトスプライン部55に、出力ギヤユニット52の左右(図3矢印Y方向)に配置されているハブ嵌合部103aが嵌合されることで、入力ギヤユニット51から伝達された駆動力を駆動力調整機構60a,60bに分配するものである。
よって、駆動力分配機構50は、ハイポイドギア53,54により入力ギヤユニット51と出力ギアユニット52とが連結され、出力シャフトスプライン部55及びハブ嵌合部103aにより出力ギアユニット52と駆動力調整機構60a,60bとが連結されるので、中央ドライブシャフト94(図1参照)により入力ギヤユニット51に入力された駆動力を出力ギヤユニット52の左右に配置されている駆動力調整機構60a,60bに分配することができる。
なお、入力ギヤユニット51と出力ギヤユニット52とは、ベアリングB1を介してケース61に回転可能に固定されている。よって、入力ギヤユニット51に入力された駆動力は、入力ギヤユニット51とケース61との摺動抵抗、及び、出力ギヤユニット52とケース61との摺動抵抗による大きな損失を受けることなく出力ギヤユニット52へ伝達される。
次に、駆動力調整機構60aの構成の概略について説明する。駆動力調整機構60aは、上述したように、駆動力の伝達を調整する駆動力調整部100aと、駆動力調整部100aにオイルを送り出すオイル供給機構200a(図1参照)と、そのオイル供給機構200aより送り出されたオイルの液圧を検出する圧力検出機構300a(図1参照)とを有して構成されている。
図3に示すように、駆動力調整部100aは、駆動力分配機構50の出力ギヤユニット52により入力される駆動力が伝達される割合を調整する接続機構101aと、その接続機構101aに与える押圧力を増幅するカム機構131aと、そのカム機構131aに押圧力を与えるピストン機構151aと、カム機構131aにピストン機構151aとは逆の付勢力を与えるリリース機構171aとを有して構成されている。
また、駆動力調整機構60bの駆動力調整部100bは、駆動力調整機構60aの駆動力調整部100aと同様に構成されており、接続機構101bと、カム機構131bと、ピストン機構151bと、リリース機構171bとを有して構成されている。
次に、図4及び図5を参照して、駆動力調整機構60aの駆動力調整部100aの詳細な構成について説明する。なお、図4及び図5の説明においては、駆動力調整機構60aの駆動力調整部100aについて説明し、駆動力調整機構60bの駆動力調整部100bは、駆動力調整機構60aの駆動力調整部100aと同様に構成されているため、その詳細な説明は省略する。
図4は、図3のA部分を拡大した断面図であり、駆動力調整機構60aの一部である駆動力調整部100aとケース61の一部とを示している。図5は、カム機構131aの概略を示した図であり、(a)は、カム機構131aの側面図であり、(b)は、図5(a)のVb−Vb線におけるカム機構131aの断面図である。
また、図4に示す矢印Xは、四輪駆動車1の前後方向であり駆動力分配機構50の回転軸心T方向を示しており、矢印Yは、四輪駆動車1の左右方向であり駆動力調整機構60aの駆動力調整部100aの回転軸心P方向を示しており、図6に示す矢印Zは、四輪駆動車の上下方向を示している。さらに、図5に示す矢印Rは、駆動力調整機構60aの駆動力調整部100aの回転軸心Pを中心とする円周方向(図2紙面垂直方向)を示している。
まず、駆動力調整部100aの接続機構101a(図3参照)について詳細に説明する。図4に示すように、接続機構101aは、出力ギヤユニット52から伝達される駆動力が入力されるハブ部102aと、そのハブ部102aに連結される略円筒形状のクラッチドラム部105aと、そのクラッチドラム部105aの内側(回転軸心Pに向かう方向)に連結される複数のドライブプレート106a(本実施の形態では7個)と、その複数のドライブプレート106aの間に交互に一枚ずつ配置される複数のドリブンプレート107a(本実施の形態では7個)と、そのドリブンプレート107a及びドライブプレート106aに隣接して配置され、駆動力調整部100aの回転軸心P方向に並列される各プレート106a,107aの最も外側(矢印Y方向右側)に位置するクラッチリテーナ108aとを有して構成されている。
ハブ部102aは、略環状に形成された部材であり、出力ギアユニット52に嵌合し略筒状に形成された筒状部102a1と、クラッチドラム部105と連結される皿状に形成された皿状部102a2とを有して構成されている。筒状部102a1の内側面の一部には、ハブ嵌合部103aが形成されており、そのハブ嵌合部103aと出力ギアユニット52の出力シャフトスプライン部55とによりスプライン継ぎ手が形成される。
また、皿状部102a2の外側面には、ハブ突起部104aが形成されており、クラッチドラム部105aの内側面には、複数のドラム溝部109aが形成されている。そのハブ突起部104aと、複数のドラム溝部109aとによりスプライン継ぎ手が形成される。よって、ハブ部102aは、出力シャフトスプライン部55から伝達された駆動力をクラッチドラム部105aに伝達することができる。
また、ハブ部102aは、クラッチドラム部105aに内嵌されるスナップリングS3aにより、クラッチドラム部105aに対して駆動力調整部100の回転軸心P方向左側(図4矢印Y方向左側)への動きが規制されている。
クラッチリテーナ108aは、略円板形状の板であり、ハブ部102aと同様にクラッチドラム部105aに内嵌されるものである。また、クラッチリテーナ108aは、クラッチドラム部105aに内嵌されるスナップリングS1aによりクラッチドラム部105aに対して駆動力調整部100aの回転軸心P方向右側(図4矢印Y方向右側)への動きが規制されている。
以上のことから、クラッチドラム部105aには、駆動力調整部100aの回転軸心P方向右側(図4矢印Y方向右側)からハブ部102aに作用する力がスナップリングS3aを介して作用すると共に、駆動力調整部100aの回転軸心P方向左側(図4矢印Y方向左側)からクラッチリテーナ108aに作用する力がスナップリングS1aを介して作用する。よって、クラッチドラム部105aは、ハブ部102aと、クラッチリテーナ108aとに作用する2つの力を受けることができる。後述するが、本実施の形態では、ハブ部102aとクラッチリテーナ108aとに作用する2つの力とは、カム機構131(図3参照)が発生する押圧力とその反力のことを意味している。
ドライブプレート106aは、略円板形状の板であり、ドライブプレート106aの外縁に形成されるドライブプレート突起部110aと、クラッチドラム部105aの内側面に形成される複数のドラム溝部109aとによりスプライン継ぎ手が形成されており、クラッチドラム部105aに内嵌されている。
ドリブンプレート107aは、略円板形状の板であり、ドリブンプレート107aの内側面に形成されるドリブンプレート突起部111aと、シャフト113aの一部に成型されるプレートスプライン軸部112aとによりスプライン継ぎ手が形成され、シャフト113aに外嵌されている。
なお、ドライブプレート106aとドリブンプレート107aとは、後述するカム機構131aのメインカム132aからの押圧力を受けることで、ドライブプレート106aとドリブンプレート107aとの微小な隙間を詰めながらクラッチリテーナ108aに動きが規制されるまで、駆動力調整部100aの回転軸心P方向右側(図4矢印Y方向右側)に動作可能に構成されている。
よって、後述するカム機構131aのメインカム132aからの押圧力をドライブプレート106aとドリブンプレート107aとが受けてドライブプレート106aとドリブンプレート107aとの隙間が詰められると、ドライブプレート106aとドリブンプレート107aとの間に摩擦力が発生する。そのドライブプレート106aとドリブンプレート107aとの間に発生する摩擦力は、カム機構131aのメインカム132aからの押圧力に応じて増加され、その押圧力に応じた駆動力がドライブプレート106aからドリブンプレート107aへと伝達される。その結果、クラッチドラム部105aからシャフト113aへ伝達される駆動力の割合が調整される。
次に、駆動力調整部100aのカム機構131a(図3参照)について詳細に説明する。カム機構131aは、クラッチドラム部105aから伝達される駆動力を利用した増幅機構であり、駆動力調整部100aの回転軸芯P方向(図4矢印Y方向)においてクラッチリテーナ108aと対向する位置に配置されている。
また、カム機構131aは、後述するピストン機構151aにより押圧される押し圧部材140aと、その押し圧部材140aに押圧される複数(本実施の形態では2枚)のプライマリードライブプレート135aと、そのプライマリードライブプレート135aの間に配置されるプライマリードリブンプレート136aと、そのプライマリードリブンプレート136aに連結されるプライマリーカム133aと、シャフト113aに連結されるメインカム132aと、プライマリーカム133aとメインカム132aとに狭持される複数(本実施の形態では6個)のボール134aと、プライマリーカム133aに隣接するベアリングB2aとを有して構成されている。
プライマリードライブプレート135aは、略円板形状の板であり、プライマリードライブプレート135aの外縁に形成されるプライマリードライブプレート突起部137aと、クラッチドラム部105aの内側面に形成される複数のドラム溝部109aとによりスプライン継ぎ手が形成され、クラッチドラム部105aに内嵌されている。
プライマリードリブンプレート136aは、略円板形状の板であり、プライマリードリブンプレート136aの内側面に形成されるプライマリードリブンプレート突起部138aと、プライマリーカム突起部139aとによりスプライン継ぎ手が形成され、プライマリーカム133aに外嵌されている。
よって、プライマリードライブプレート135aとプライマリードリブンプレート136aは、後述するピストン機構151aからの押圧力を受けることでプライマリードライブプレート135aとプライマリードリブンプレート136aとの微小な隙間を詰めながら駆動力調整部100aの回転軸心Pの軸心方向右側(図4矢印Y方向右側)に動作可能に構成されている。また、プライマリードライブプレート135aは、クラッチドラム部105aに内嵌されるスナップリングS2aにより、クラッチドラム部105aに対して駆動力調整部100aの回転軸心Pの軸心方向右側(図4矢印Y方向右側)への動きが規制されている。
このように、後述するピストン機構151aからの押圧力をプライマリードライブプレート135aとプライマリードリブンプレート136aとが受けて、プライマリードライブプレート135aとプライマリードリブンプレート136aとの隙間が詰まると、プライマリードライブプレート135aとプライマリードリブンプレート136aとの間に摩擦力が発生する。
そのプライマリードライブプレート135aとプライマリードリブンプレート136aとの間に発生する摩擦力は、ピストン機構151aからの押圧力に応じて増加され、その押圧力に応じた駆動力がプライマリードライブプレート135aからプライマリードリブンプレート136aへと伝達される。その結果、プライマリーカム133aへ伝達される駆動力の割合が調整される。
また、プライマリーカム133aのメインカム132aに対向する面には、プライマリーカム溝部141aが形成されており、メインカム132aのプライマリーカム133aに対向する面には、メインカム溝部142aが形成されている。このプライマリーカム溝141aとメインカム溝142aとの間に、ボール134aが挟持されている。
ここで、図5を参照して、プライマリーカム133aとメインカム132aとボール134aとの詳細な構成及び動作について説明する。なお、図5(a)は、図4の左側(図4矢印Y方向左側)から右側(図4矢印Y方向右側)を見た状態が図示されている。
図5(a)に示すように、プライマリーカム133aは、略環状の部材であり、メインカム132aと対向する面(図5(a)に示すプライマリーカム133aにおいて紙面垂直方向奧側の面)に環状のプライマリーカム溝部141aが形成されている。また、プライマリーカム133aの外周面には、プライマリーカム突起部139aが形成されており、このプライマリーカム突起部139aとプライマリードリブンプレート136a(図4参照)のプライマリードリブンプレート突起部138aとによりスプライン継ぎ手が形成される。
また、メインカム132aは、略環状の部材であり、プライマリーカム133aと対向する面(図5(a)に示すメインカム132aにおいて紙面垂直方向視手前側の面)に環状のメインカム溝部142aが形成されている。メインカム132aの内周面には、メインカム突起部144aが形成されており、そのメインカム突起部144aとシャフト113a(図4参照)に形成されるカムスプライン軸部143a(図4参照)とによりスプライン継ぎ手が形成される。
また、図5(a)に示すように、プライマリーカム溝部141aとメインカム溝部142aとは、同形状に形成されており、そのプライマリーカム溝部141aとメインカム溝部142aとの間にボール134aが複数個(本実施の形態では6個)収容されている。
次に、図5(b)を参照して、プライマリーカム133aに駆動力が伝達された時のメインカム132aと、プライマリーカム133aと、ボール134aとのそれぞれの動作について説明する。図5(b)に示すように、メインカム溝部142aとプライマリーカム溝部141aとは、溝部の深さが円周方向(図5(b)矢印R方向)に緩やかに変化している。
また、図5(b)において、プライマリーカム133aの実線で示されている状態が、プライマリーカム133aにクラッチドラム部105aからの駆動力が伝達されていない時の位置であり、ボール134aは、プライマリーカム溝部141aとメインカム溝部142aとの深い部分に収容されている。
なお、後述するリリース機構171aの説明のため、この位置を基準位置と称す。また、プライマリーカム133aが基準位置にある場合のメインカム132aとの距離は、駆動力調整部100aの回転軸心P方向(図5(b)矢印Y方向)において幅L1となる。
図5(b)において、プライマリーカム133aの破線で示されている状態が、プライマリーカム133aにクラッチドラム部105aからの駆動力が伝達された時の位置であり、プライマリーカム133aがメインカム132aに対して円周方向(図5(b)矢印R方向右側)に移動している。この状態では、ボール134aは、プライマリーカム133aへ駆動力が伝達されていない時(実線で示した状態、基準位置)に比べて浅い部分に収容されている。
なお、後述するリリース機構171aの説明のため、この位置を作動位置と称す。また、プライマリーカム133aが作動位置にある場合のメインカム132aとの距離は、駆動力調整部100aの回転軸心P方向(図5(b)矢印Y方向)において幅L2となる。
図5(b)に示すように、プライマリーカム133aとメインカム132aとの幅は、幅L1に比べて幅L2の方が広くなっている。これは、プライマリーカム133aに伝達される駆動力により、プライマリーカム133aがメインカム132aに対して駆動力調整部100aの回転軸心Pを中心に回転した場合に、ボール134aが各溝部141a,142aの深さが浅い部分まで転がり、プライマリーカム133aとメインカム132aとの幅が広がるからである。その結果、プライマリーカム133aとメインカム132aとの間に、押圧力とその押圧力に対する反力とが発生する。また、その押圧力は、ピストン機構151aにより発生される押圧力の数十倍(本実施の形態では略20倍)に増幅されている。
このように、カム機構131a(図3参照)は、ピストン機構151a(図3参照)によって発生された押圧力を簡単な構成で増幅できる。よって、ピストン機構151a(図3参照)は小さな押圧力を発生するだけで、ドライブプレート106aとドリブンプレート107aとを押しつける大きな押圧力が得られる。
また、ピストン機構151a(図3参照)の押圧力は、カム機構131a(図3参照)によって増幅されるので、ドライブプレート106aとドリブンプレート107aとを押しつけている力の略20分の1でよい。すなわち、カム機構131aを省略してピストン機構151aによりドライブプレート106aとドリブンプレート107aとを直接押さえつける場合に比べて、オイルポンプ202aにより発生すべき圧力値を小さく設定することができる。
よって、オイルポンプ202aを駆動させる電動モータ201aを小型化でき、駆動力調整機構60a(図1参照)の軽量化を図ることができる。さらに、電動モータ201aの消費電力を押さえることができるので、車載された発電装置(図示せず)を小型化でき、四輪駆動車1の軽量化を図ることができる。また、電動モータ201aの消費電力が小さくなるので、その消費電力より大きな消費電力となるモータを電動モータ201aに用いることができ、モータの選択肢が増える。その結果、流通量が多く価格が低いモータを選択することも可能となりコスト削減を図ることができる。
また、カム機構131a(図3参照)は、クラッチドラム部105a(図4参照)とシャフト113a(図4参照)との回転速度差によって接続機構101a(図3参照)を押しつける方向(図3矢印Y方向)に広がる。即ち、クラッチドラム部105a(図4参照)とシャフト113a(図4参照)との回転速度差が大きいほど、カム機構131a(図3参照)が接続機構101a(図3参照)に向かって広がる速度が速くなる。
よって、クラッチドラム部105a(図4参照)とシャフト113a(図4参照)との回転速度差を大きく設定すれば、ドライブプレート106aとドリブンプレート107aとの隙間を広く設定したとしても、駆動力調整機構60a(図1参照)の応答性を損なうことがない。従って、ドライブプレート106aとドリブンプレート107aとの隙間を広く設定して引きずりを低減させつつ駆動力調整機構60a(図1参照)の応答性を確保することができる。
また、カム機構131a(図3参照)を介してドライブプレート106a(図4参照)とドリブンプレート107a(図4参照)との隙間を詰めているので、ピストン機構151a(図3参照)は、プライマリードライブプレート135aとプライマリードリブンプレート136aとの隙間のみを詰めれば良い。よって、ピストン機構151a(図3参照)に対してオイル供給機構200a(図6参照)から送り出されるオイル量が少なくてもクラッチドラム105a(図4参照)からの駆動力をシャフト113a(図4参照)に伝えることができる。従って、オイル供給機構200aに設けられるオイルポンプ202a(図6参照)を小型化することができるので、駆動力調整機構60a(図1参照)の軽量化を図ることができる。
ここで、図4を参照しつつ、カム機構131aが発生する押圧力とその反力の伝わり方について説明する。本実施の形態では、プライマリーカム133aと、メインカム132aと、ボール134aとにより発生する押圧力は、複数のドライブプレート106aと、複数のドリブンプレート107aと、クラッチリテーナ108aと、スナップリングS1aとを介してクラッチドラム部105aに伝達される。また、プライマリーカム133aと、メインカム132aと、ボール134aとにより発生する押圧力の反力は、ベアリングB2aと、ハブ部102aと、スナップリングS3aとを介してクラッチドラム部105aに伝達される。即ち、カム機構131aが発生する押圧力と、その反力とは、接続機構101aの構成部材によって伝達されクラッチドラム部105aに作用する。
よって、カム機構131aが発生する押圧力とその反力とは、クラッチドラム部105aに伝わりケース61やピストン機構151aなどには伝わらない。従って、カム機構131aが発生する押圧力とその反力とに基づく駆動力調整機構60a(図1参照)の強度を確保する場合には、接続機構101aとカム機構131aとに対して強度の確保を行えばよく、ケース61やピストン機構151a又はベアリングB3aなどに対してスラスト力(図4矢印Y方向の力)に対する強度確保は必要ない。その結果、強度確保の対象となる部材が少なくなるので、ピストン機構151a又はベアリングB3aの小型化やケース61の薄肉化が可能となり、駆動力調整機構60a(図1参照)の軽量化及びコスト削減を図ることができる。
ここで、上述したドライブプレート106aとドリブンプレート107aとの間に生じる引きずりについて説明する。引きずりとは、メインカム132aが押圧力を発生しておらず、且つ、メインカム132aが作動位置から基準位置に戻りきってないときに発生する現象である。具体的には、ドライブプレート106aと、ドリブンプレート107aとの間に介在するオイルによって、ドリブンプレート107aがドライブプレート106aに張り付き、ドライブプレート106aの回転方向にドリブンプレート107aが引きずられて回転してしまう現象のことである。
リリース機構171aは、皿ばねであり、メインカム132aが基準位置に向かって移動するようにメインカム132aを、ドライブプレート106a及びドリブンプレート107a、クラッチリテーナ108aから離間する方向に(図4矢印Y方向左側)に付勢しており、複数のドライブプレート106aと、複数のドリブンプレート107aとの引きずりを低減させるものである。また、リリース機構171aは、略環状の弾性部材であり、図4に示すように、メインカム132aと、シャフトスプライン軸部112aとの間に狭持固定されている。よって、メインカム132aが、ドライブプレート106a及びドリブンプレート107a、クラッチリテーナ108a側(図4矢印Y方向右側)に移動すると、ドライブプレート106a及びドリブンプレート107a、クラッチリテーナ108aから離間する方向(図4矢印Y方向左側)への付勢力が発生する。
また、リリース機構171aは、メインカム132aとドライブプレート106aとに働くオイルの粘着力と、メインカム132aの内周面に形成されるメインカム突起部144aとシャフト113aに形成されるカムスプライン軸部143aとの摩擦力と、ボール134aの転がり抵抗力と、プライマリードライブプレート135a及びプライマリードリブンプレートの引きずりにより発生されるメインカム132aの反力とをあわせた力を上回る付勢力を発生するように構成されている。
つまり、リリース機構171aには、上記複数の力より大きな付勢力を発生するばね定数や初期荷重が設定されている。その結果、カム機構131からの押圧力の供給がなくなると、リリース機構171aの付勢力によりメインカム132aは作動位置から基準位置に向かって移動し、ドライブプレート106aとメインカム132aとの引きずりを低減することができる。従って、引きずりによって余分な駆動力がクラッチドラム部105aからシャフト113aに伝達されることを低減することができる。
上述したように、本実施の形態では、プライマリードライブプレート135aとプライマリードリブンプレート136aとは、後述するピストン機構151a(図3参照)により発生される押圧力によって摩擦力が発生する。そのプライマリードライブプレート135aとプライマリードリブンプレート136aとの間に発生する摩擦力によってクラッチドラム部105aから伝達される駆動力をカム機構131a(図3参照)により増幅し、ドライブプレート106aとドリブンプレート107aとの間に摩擦力を発生させる構成となっている。即ち、ピストン機構151aの押圧力によって、各プレート135a,136a,106a,107aとの間に摩擦力を発生させることができる。
また、ピストン機構151a(図3参照)は、ピストン室154a内に発生する圧力の上昇によってピストン本体153aをプライマリードライブプレート135a及びプライマリードリブンプレート136aの方向(図4矢印Y方向)に移動して押圧力を発生する為、プライマリードライブプレート135aとプライマリードリブンプレート136aとの間に隙間を設定して引きずりを低減させることができる。
これに対し、電磁力により押圧力を発生させ各プレート135a,136a,106a,107aとの間に摩擦力を発生させる方法があるが、この方法は、電磁力を発生させるためにコイルを通電し、アーマチャと呼ばれる部材の内部に磁束を発生させ、そのアーマチャをコイルが引きつけることで、押圧力を発生させるものである。即ち、アーマチャとコイルとの間に複数のプレート(本実施の形態では、プライマリードライブプレート135aとプライマリードリブンプレート136aとを示す。)を配置し、コイルがアーマチャをひきつける力を複数のプレートの押圧力とし、その押圧力によりプレートとプレートとの間に摩擦力を発生させる構成となる。
この電磁力により押圧力を発生させる方法は、オイルの液圧を使用しないため、オイルの粘度の影響を受けにくい特徴があるが、その代わりに、アーマチャとコイルの間には磁束を通す必要がある。そのため、電磁力を使って押圧力を発生する方法は、磁束を通す部材(主に鉄)のみを用いて複数のプレートを構成しなければならない。
また、磁束を強く安定させるために、上述した複数のプレート(本実施の形態では、プライマリードライブプレート135aとプライマリードリブンプレート136aとを示す。)とアーマチャとは常時接触させておく必要がある。その結果、プレートの引きずりが発生しその引きずりによってカム機構132aはスラスト力(図4矢印Y方向の力)を発生する。そのスラスト力により、ドライブプレート106aとドリブンプレート107aとの隙間が詰まりさらに引きずりが発生する。そのため、リリース機構171aには、ドライブプレート106aとドリブンプレート107aとの隙間を詰めないように、そのスラスト力分の押圧力に勝るばね定数や初期荷重を設定する必要があり、リリース機構171aが大型化する。
しかし、本実施の形態では、ピストン機構151aの押圧力によって摩擦力を発生させる構成なので、磁束を通す部材でプレートを構成しなくても良い。よって、透磁性のない材料(金属以外の材料)を使うことができる。そこで、本実施の形態では、プライマリードライブプレート135aとプライマリードリブンプレート136a、及び、ドライブプレート106aとドリブンプレート107aは、透磁性のないペーパー材を用いて構成されている。
このペーパー材は、金属材料を使った部材に比べて耐ジャダー性が良好な材料であるので、各プレート135a,136a及び106a,107aの摩擦面に金属材料を使ったプレートを使用する場合に対して、耐ジャダー性向上を目的とするプレートの表面形状の最適化や、プレートの表面処理による摩擦特性の安定化などの特殊加工や、摩擦特性を改善するための特殊オイルの使用などを行う必要がなくなる。その結果、プレートの表面形状の最適化や、プレートの表面処理による摩擦特性の安定化などの特殊加工を行うことによる製作工程の追加や、オイルに添加剤を追加しなくてよいので、製作工程におけるコスト削減を図れると共にランニングコスト削減を図ることができる。
また、磁束により押圧力を発生しないので、磁束を強く安定させる必要がなく、複数のプレート(本実施の形態では、プライマリードライブプレート135aとプライマリードリブンプレート136aとを示す。)の間に隙間を持たせることができる。よって、プライマリードライブプレート135aとプライマリードリブンプレート136aとの引きずりにより、カム機構132aがスラスト力を発生させドライブプレート106aとドリブンプレート107aとの隙間が詰まることがないので、スラスト力分の押圧力に勝るばね定数や初期荷重を設定する必要がなく、リリース機構171aが大型化することを防止することができる。
また、電磁力を使って発生される押圧力と、オイルの液圧により発生される押圧力および駆動力によって増幅される押圧力とを混在しないので、プレートの材料の統一やオイル室の1室化及び同種オイルの使用が可能となり、コスト削減、部品管理工数削減および組み立て工数削減を図ることができる。
以上のように、本実施の形態では、オイルの液圧により発生する押圧力、及び、駆動力によって増幅される押圧力を用いるので、電磁力を使って発生する押圧力を用いる場合に比べて、プレートの材料の選択範囲が広くなり、耐ジャダー性が良好なペーパー材を選択し、プレートの表面形状の最適化のための特殊加工や摩擦特性を改善する為の特殊オイルの使用の必要性がなくなる。さらに、引きずりが発生しづらいので小さな駆動力を伝達する場合の駆動力の制御精度を向上させることができる。
次に、ピストン機構151a(図3参照)について説明する。図4に示すように、ピストン機構151aは、オイル供給機構200a(図2参照)から送られてくるオイルの液圧により、押圧力を発生し、その押圧力をカム機構131a(図3参照)に伝達する機構であり、オイル供給機構200aから送られてくるオイルで満たされるピストン室154aと、オイル供給機構200aから送られてくるオイルの液圧により押圧力を発生させるピストン本体部153aと、ピストン本体部153aに外嵌されるシリンダー部152aと、ピストン室154aに満たされたオイルに混入した気体(空気)を放出するステムブリーダ155a(図6参照)と、ピストン本体部153aに対して駆動力調整部100aの回転軸心Pを中心として回転しているカム機構131aの押し圧部材140aにピストン本体部153aからの押圧力を円滑に伝達するベアリングB3aとを有して構成されている。
ピストン室154aは、略環形状をしたピストン本体部153aが略環形状をしたシリンダー部152aに内嵌されることにより形成される空間であり、オイル供給機構200a(図2参照)から送られてくるオイルで満たされている。そのピストン室154aの上部(図6矢印Z方向上部)には、ピストン本体部153aの上部に形成される貫通孔であるステムブリーダ155aが配設されており、ピストン室154aは、オイル回収室64aとステムブリーダ155aを介して連通されている。よって、オイル供給機構200aからピストン室154aへ送られてきたオイルは、そのオイルに混入した気体(空気)と共にオイル回収室64aへと放出される。
なお、ステムブリーダ155aは、主にオイルに混入した気体(空気)をオイル回収室64aへ放出するものであるので、後述する第2の実施の形態のように、オイルに混入した気体(空気)を通り易く、オイルを通り難くするために環状の隙間形状としても良い。その環状の隙間形状は、貫通孔であるステムブリーダ155aにその内径より小さな外径に形成される円筒部材を挿入して構成される。
ベアリングB3aは、ピストン本体部153a(図3参照)と、カム機構131a(図3参照)の押し圧部材140aとの間に隣接して配置されており、カム機構131aの押し圧部材140aは、ハブ部102aの回転に伴って回転するので、ピストン本体部153aに対して回転している。即ち、ベアリングB3aは、回転差による抵抗を発生させないように作動しており、ピストン本体部153aから伝達される押圧力は、カム機構131aの押し圧部材140aに円滑に伝達される。
また、ピストン本体部153a(図3参照)から伝達される押圧力は、カム機構131a(図3参照)により増幅されるため、カム機構131aを有さない場合に比べて、そのピストン本体部153aから伝達される押圧力を十分小さくすることができる。よって、カム機構131aを有さない場合に比べて、ベアリングB3aを低負荷のものにすることができ、ベアリングB3aの選択肢が増えコスト削減を図ることができる。
次に、図6を参照して、オイル供給機構200aの詳細な構成ついて説明する。図6は、図2のVI−VI線における駆動力調整機構60aを示した断面図である。なお、図6においては、接続機構101a、カム機構131a及びリリース機構171aに関係する符号は省略して図示する。また、図6に示す矢印Yは、四輪駆動車1の左右方向であり駆動力調整部100aの回転軸心P方向を示しており、矢印Zは、四輪駆動車1の上下方向を示している。
図6に示すように、オイル供給機構200aは、駆動力調整部100aにオイルを送り出すものであり、電動モータ201aと、その電動モータ201aにより駆動されるオイルポンプ202aと、そのオイルポンプ202aにより送り出されるオイルが貯留されるオイル貯留室204aと、電動モータ201aとオイルポンプ202aとの間でオイル貯留室204aの壁部を形成する電動モータ凸部203aとを有して構成されている。
図6に示すように、電動モータ201aと、電動モータ凸部203aと、オイルポンプ202aとは、駆動力調整部100aの回転軸心P方向(図6矢印Y方向)に隣接して配置されている。なお、オイル貯留室204aは、電動モータ凸部203aの一方の端面(図6矢印Y方向右側の面)に密接される電動モータ201aと、電動モータ凸部203aの他方の端面(図6矢印Y方向左側の面)に密接されるオイルポンプ202aと、電動モータ凸部203aとに囲まれて形成される空間である。即ち、電動モータ201aとオイルポンプ202aとがオイル貯留室204aの壁部を兼ねている。
また、電動モータ201aは、回転力を出力する円柱形状の軸であるモータ軸部207aを有している。そのモータ軸部207aは、オイル貯留室204aを貫通してオイルポンプ202aと連結されている。即ち、オイル貯留室204aの空間の一部にモータ軸部207aを配置し、電動モータ201aとオイルポンプ202aとが最短距離(直線上)で接続されている。よって、オイル貯留室204aの外部にモータ軸部207aを配置する場所を省略でき、電動モータ201aと電動モータ凸部203aとオイルポンプ202aとで構成される装置を小型化することができる。
また、オイル貯留室204aは、オイルポンプ202aと水平な位置に隣接して配置されているので、例えば、オイル貯留室がオイルポンプ202aから離れた下方に配置され、その下方に配置されたオイル貯留室から吸い上げ通路を介してオイルを吸い上げる場合に比べて、オイルを吸い上げる仕事と通路内の管路抵抗とを削減することができる。
また、オイルポンプ202aは、右側(図6矢印Y方向右側の面)にポンプ吸入口205aを配置すると共に、左側(図6矢印Y方向左側の面)にポンプ吐出口206aを配置している。即ち、オイル供給機構200aは、オイル貯留室204aからオイルを送り出す際にはオイルの送られる方向が直線方向となるので、管路抵抗の影響を受けにくく、効率よくオイルを送り出すことができる。
また、電動モータ凸部203aは、オイルポンプ202aと同じ直径を有する略円筒形状の部材であり、オイル回収穴208aとポンプ内壁209aとを有している。オイル回収穴208aは、電動モータ凸部203aの上部(図6矢印Z方向上部)に設置される貫通孔であり、回収通路210aを介してオイル回収室64aに連結されている。また、ポンプ内壁209aは、オイル回収穴208aに連成される電動モータ凸部203aの内側の壁であり、オイル回収穴208aに向かって上昇傾斜して形成されている。
よって、オイル回収室64aからオイル貯留室204aに気体(空気)を混入したオイルが流入した場合、オイル貯留室204aに気体(空気)を滞留させること無く、オイル回収穴208aへ移送し、回収通路210aを介して気体(空気)だけをオイル回収室64aに戻すことができる。
さらに、ポンプ吸入口205aは、オイル貯留室204aの深部(図6矢印Z方向下部)に設置されている。よって、オイル貯留室204aの深部まで到達する気体(空気)の割合は非常に少ないので、気体(空気)がオイル貯留室204aに滞留している間でも、その気体(空気)がポンプ吸入口205aからオイルポンプ202aへ流入されることを非常に少なくすることができる。
このように、混入した気体(空気)は、オイル回収室64aへ排出されやすく、且つ、オイルポンプ202aに流入し難いので、オイルポンプ202aにオイルと気体(空気)が混入したときに発生する異音を押さえることができると共に、オイルポンプ202aが送り出すオイルに気体(空気)が混入し難く、ダンパー効果を低減し、オイルポンプ202aによって発生させられるオイルの液圧を早期に所望の液圧(ピストン機構151aを押圧するのに必要な液圧)にまで上昇させることができる。
オイルポンプ202aと、電動モータ凸部203aとは同じ直径を有する略円柱形状の部材であり、ケース61の外縁に形成される凹部挿入孔213aに一体となって内嵌され、電動モータ201aをケース61に対して固定することによりオイルポンプ202aは電動モータ凸部203aによりケース61に押さえつけられて固定される。
このように、電動モータ201aと、電動モータ凸部203aと、オイルポンプ202aとは水平方向(図6矢印Y方向)に隣接して配置されており、且つ、電動モータ201aと、電動モータ凸部203aとの直径が同一なので、電動モータ201aと、電動モータ凸部203aとを凹部挿入孔213aへ重ねて挿入でき、且つ、簡単に組み付けることができる。
また、電動モータ201aと電動モータ凸部203aとオイルポンプ202aとを回転軸心P方向に隣接して一体に形成しているので、オイル供給機構200aを小型化することができるだけでなく、電動モータ201aと電動モータ凸部203aとオイルポンプ202aとを組み合わせて他の装置に簡単に取り付けて使用することができる。よって、電動モータ201aと電動モータ凸部203aとオイルポンプ202aとが一体に形成された装置の汎用性を高めることができる。
オイル供給機構200aは、気体(空気)が混入した循環後のオイルを回収し、気体(空気)を分離してから、そのオイルをピストン機構151aに送り出している。しかし、オイルに混入している気体(空気)を完璧に取り除くことは非常に難しい。そこで、ピストン機構151aは、オイルに混入している気体(空気)を取り除くために、ピストン室154aの上部(図6矢印Z方向上部)にステムブリーダ155aを配置している。
よって、気体(空気)が混入したオイルがピストン機構151aに送り出された場合でも、気体(空気)はピストン室154aの上部に自然に移送され、そのピストン室154aに溜まった気体(空気)は、ステムブリーダ155aからオイルと一緒にオイル回収室64aへ排出される。
このように、ピストン室154aに気体(空気)が混入したオイルが送られても、その気体(空気)は滞留することなく排出されるので、オイル供給機構200aから送られてくるオイルの液圧を安定してピストン本体部153aの押圧力に変えることができる。
また、オイルポンプ202aが停止された状態が長く続くと、ピストン室154a内のオイルはオイルポンプ202aの隙間を通ってオイル回収室64aに徐々に逆流し、ピストン室154a内には、オイルの変わりにステムブリーダ155aを通って気体(空気)が流入する。
このように、ピストン室154a内に気体(空気)が流入した状態からピストン室154a内の圧力を所定の圧力まで上昇させる場合には、ピストン室154a内をオイルで充満させる必要があり、オイルが充満されるまでは、気体(空気)が混在しているためピストン室154a内の圧力の上昇が鈍くなる。よって、所定の圧力値になるまでに時間がかかり制御精度が悪化する。
ここで、本実施の形態では、電動モータ201aを常時運転させピストン室154a内に常にオイルが供給されるように構成されている。これにより、ピストン室154a内が常にオイルで充満され、ピストン室154aにオイルが充満される時間が省略される。よって、ピストン室154a内の圧力の上昇の遅れが無くなり、制御精度を改善することができる。
また、ピストン室154a内の圧力値の大きさは、ピストンシール部材218a,219aの摺動抵抗より大きくしても良い。この場合、ピストン本体153aが押圧力を発生しプライマリープレート135aとプライマリードリブンプレート136aとの隙間を詰めることができる。よって、ピストン室154aの圧力上昇に遅れることなくプライマリープレート135aからプライマリードリブンプレート136aに駆動力が伝達される。よって、ピストン室154a内の圧力上昇に対する駆動力伝達の応答遅れが無くなり、制御精度を改善しつつ応答性を速くすることができる。
さらに、ピストン室154a内の圧力値の大きさを、その圧力値により発生するカム機構131aの押圧力が、リリース機構171aの付勢力より小さくなるように設定しても良い。この場合、ドライブプレート106aとドリブンプレート107aとにカム機構131aからの押圧力が作用しないので、ドライブプレート106aとドリブンプレート107aとの間に生じる引きずりを低減することができる。よって、余分な駆動力がクラッチドラム部105a(図4参照)からシャフト113a(図4参照)に伝達されることを低減することができる。
このように、本実施の形態では、オイルポンプ202aによりピストン室154a内に所定の圧力を常時発生させることにより、ドライブプレート106aとドリブンプレート107aとの間に発生する引きずりを低減させ、余分な駆動力を伝えることなく応答性を向上させることができる。
次に、図7を参照して、駆動力調整機構60aのオイル通路の構成について詳細に説明する。図7は、駆動力調整機構60aのオイル通路の構成を示した図であり、(a)は、駆動力調整機構60aの回転軸心P方向視におけるオイルの通路の概略を示した概略図であり、(b)は、図7(a)のVIIb−VIIb線における断面図であり、(c)は、図7(a)のVIIc−VIIc線における断面図である。
なお、図7においては、斜線で示された部分がオイル通路である。また、図7においては、オイル通路以外の断面線は省略して図示する。図7に示す矢印Xは、四輪駆動車1(図1参照)の前後方向であり、駆動力分配機構50(図1参照)の回転軸心T方向を示しており、矢印Zは、四輪駆動車1の上下方向を示している。
駆動力調整機構60aのオイル通路は、ピストン機構151aのピストン本体部153aを動作させるためのオイルを供給する通路である。さらに、駆動力調整機構60aのオイル通路は、オイルを循環させることでオイルに混入した気体(空気)を滞留させること無く排出する機構であり、気体(空気)の混入によるダンパー効果を低減し、オイルの液圧を早期に安定させるものである。
図7(a)に示すように、駆動力調整機構60aのオイル通路は、主に、略環状のピストン室154aと、そのピストン室154aに連通して形成される圧力検出通路301aと、圧力検出通路301aに取着される圧力センサ302aと、ピストン室154aに連通して形成される第一供給通路211aとによりオイルの流れる流路が形成される。
さらに、図7(c)に示すように、駆動力調整機構60aのオイル通路は、第一供給通路211aに連通して形成される第二供給通路212aと、その第二供給通路212aにオイルを送り出すオイルポンプ202aと、そのオイルポンプ202aへ供給されるオイルを貯めているオイル貯留室204aと、そのオイル貯留室204aとオイル回収室64aとに連通して形成される回収通路210aと、ピストン室154aの上部に連通して形成されるステムブリーダ155aと、そのステムブリーダ155aによりピストン室154aと連通されるオイル回収室64aとによりオイルの流れる流路が形成される。
図7(a)に示すように、ピストン室154aは、環状の通路であり、その上部(図7(a)矢印Z方向上部)にステムブリーダ155aを有している。即ち、ピストン室154aに流入したオイルに混入している気体(空気)は、ピストン室154aの壁面(湾曲した面)に沿って移送され、オイルポンプ202aより送り出されたオイルと共にピストン室154aの上部に取着されるステムブリーダ155aから排出される。
よって、オイルに混入している気体は、ピストン室154aの湾曲した面により上部へ移送されるので、ピストン室154a内に留まることを抑制することができる。その結果、気体(空気)の混入によるダンパー効果を低減し、オイルの液圧を早期に安定させることができる。
また、図7(a)に示すように、圧力検出通路301aは、水平面に対して傾斜を持つ直線形状の孔であり、圧力検出通路301aの上端(図7(a)矢印Z方向上端)は、ピストン室154aのステムブリーダ155aより下方に開口214aを介して連通して形成されている。
よって、圧力検出通路301aは、ピストン室154aに向かって上昇傾斜して形成されるので、圧力検出通路301aに混入した気体(空気)を圧力検出通路301aの壁面に沿ってピストン室154aに移送することができる。従って、圧力検出通路301aに混入した気体(空気)は、ステムブリーダ155aから円滑に排出されるので、ピストン室154aと圧力検出通路301aとに気体(空気)が滞留した場合に比べて、オイルの液圧による気体(空気)の容積変化分と同じ容積のオイルをオイルポンプ202aから圧送する必要が無くなり、ダンパー効果を低減できるので、オイルポンプ202aより送り出されたオイルの液圧を早期に安定させることができる。
また、圧力検出通路301aの下端部(図7(b)矢印Z方向下端部)に連成される第二取付口217aには、圧力センサ302aを螺着するためのネジ溝が形成され、圧力センサ部302aは、圧力検出通路301aの第二取付口217aに螺着されることで取り付けられる。
このように、圧力センサ302aは、ステムブリーダ155aより下方(図7(a)矢印Z方向下方)に取り付けられるので、ステムブリーダ155aの上方(図7(a)矢印Z方向上方)に気体(空気)が残留しても気体(空気)の影響を受けない。その結果、圧力センサ302aによって計測されるオイルの液圧の測定精度を向上させることができる。
図7(c)に示すように、第一供給通路211aは、圧力検出通路301aと同様に、水平面に対して傾斜を持つ直線形状の孔であり、第一供給通路211aの上端は、ピストン室154aに連通して形成され、第一供給通路211aの下端部には、取付口215aが連成され、ピストン室154aに向かって上昇傾斜して形成されている。
よって、第一供給通路211aに混入した気体(空気)は、第一供給通路211aの壁面に沿って移送され、ピストン室154aに排出される。従って、圧力検出通路301aと同様に、オイルの液圧による気体(空気)の容積変化分と同じ容積のオイルをオイルポンプ202aから圧送する必要が無くなり、ダンパー効果を低減できるので、オイルポンプ202aより送り出されたオイルの液圧を早期に安定させることができる。
圧力センサ302a(図7(b)参照)にて検出されたオイルの液圧値は、圧力センサ302aにより電気信号に変えられ、入力線81a(図1参照)を介してECU80(図1参照)へ送られる。また、オイル供給機構200aを構成する電動モータ201aは、圧力センサ302aより送られた電気信号を元にECU80により出力線82a(図1参照)を介して制御される。即ち、検出されたオイルの液圧値を元にECU80により電動モータ201aはフィードバック制御が実行されている。よって、オイルの液圧の検出精度を向上させることは、フィードバック制御の精度を向上させることにつながる。なお、ECU80により実行されるフィードバック制御の詳細な説明については、後述する。
電動モータ201a及びオイルポンプ202aは、コスト削減を図るために汎用品が使用されるが、汎用品である電動モータ201aは出力バラツキを持っており、汎用品であるオイルポンプ202aは摺動抵抗のバラツキを持っている。即ち、電動モータ201aに供給される電力値が一定であっても、電動モータ201aにより発生されるピストン室154a内の圧力にバラツキが生じる。
しかし、本実施の形態では、フィードバック制御により圧力センサ302aの電気信号に基づいて、目標とする駆動力を伝達するのに必要な圧力がピストン室154aに供給されるように、電動モータ201aを制御するので、汎用品である電動モータ201a及びオイルポンプ202aを使用したとしても、ピストン室154a内の圧力値を所望の値に調整することができる。
また、オイル供給機構200a自体の温度が変化することでオイルの粘性と各部クリアランスと電動モータ201aの出力特性とが変化し、電動モータ201aに供給される電力値に対する、ピストン室154a内の圧力値が変化する場合がある。しかし、本実施の形態では、フィードバック制御により圧力センサ302aの電気信号に基づいて、目標とする駆動力を伝達するのに必要な圧力がピストン室154aに供給されるように、電動モータ201aを制御するので、オイル供給機構200a自体が温度変化しオイルの粘性と各部のクリアランスと電動モータ201aの出力特性とが変化したとしても、ピストン室154a内の圧力値を所望の値に調整することができる。
このように、フィードバック制御によりバラツキやオイル供給機構200aの温度変化などに関係なくピストン室154aの圧力を精度よく設定することができるので、オイル供給機構200aにより駆動力の伝達が調整される駆動力調整部100aを搭載する四輪駆動車1(図1参照)の運転状況が変化しても、所望する駆動力を出力ギヤユニット52(図1参照)から後輪70a(図1参照)に伝達することができる。
そこで、図7(b)に示すように、本実施の形態では、圧力センサ302aをピストン室154aではなく圧力検出通路301aに取り付けている。上述したが、圧力検出通路301aは、上端がピストン室154aに連通して形成されているので、圧力検出通路301aの内部ではオイルの流れが発生しづらい構造になっている。さらに、圧力検出通路301a内の気体は、ピストン室154aに移送されるので、圧力センサ302aはオイル内に位置することになる。
よって、オイルの流れによる圧力損失が発生することがないので、オイルの流れによる影響を受けることなく、ピストン室154a内のオイルの液圧を測定することができる。これにより、圧力センサ302aが気体に触れずにオイル内に位置しているのでオイルの液圧の検出精度を向上させることができる。
以下に、図8〜図11を参照して、上述したECU80により実行されるフィードバック制御について説明する。図8は、フィードバック制御を行うために必要な構成を模式的に示した図である。図9は、ECU80により実行されるフィードバック制御を模式的に示した図である。図10は、本実施の形態のCPU85により実行される圧力センサ零点設定処理を示したフローチャートである。図11は、本実施の形態のCPU84により実行される圧力制御処理を示したフローチャートである。
まず、図8を参照して、ECU80により実行されるフィードバック制御を行うために必要な構成について説明する。なお、図8に示す各構成は、上述した構成を概略的に示したものであるので、その詳細な説明は省略する。
図8に示すように、ECU80は、CPU85と、ROM84と、RAM87とを有して構成されている。ROM84には、フィードバック制御により電動モータ201a,201bを制御するための圧力制御プログラム84aと、中央ドライブシャフト94(図1参照)から入力されるトルクを後側ドライブシャフト95a,95b(図1参照)に伝達するトルクを設定するために用いられる目標トルク設定テーブル84bとが設けられている。RAM87には、後述する圧力センサ零点設定処理(図10参照)により設定された圧力センサ302a,302bの零点が記憶される零点記憶領域87aが設けられている。
なお、RAM87に代えて、書き換え可能な不揮発性の記憶装置であるフラッシュROMを備える構成とし、そのフラッシュROMに、圧力センサ302a,302bの零点を常に記憶しておくものとしても良い。
ECU80と電動モータ201a,201bとは、出力線82a,82bにより接続されており、その出力線82a,82bを介して電動モータ201a,201bを駆動させるための電流が供給される(又は電圧が印可される)。
電動モータ201a,201bとオイルポンプ202a,202bとは、モータ軸部207a,207bにより連結されており、そのモータ軸部207a,207bにより電動モータ201a,201bの回転力(駆動力)がオイルポンプ202a,202bに伝達される。
オイルポンプ202a,202bとピストン機構151a,151bとは、流路220a,220b(第1供給路211a,211b及び第2供給路212a,212b、ピストン室154a,154bを含む流路)により連通しており、オイルポンプ202a,202bから流路220a,220bにオイルが送出され、ピストン機構151a,151bへ液圧が供給される。
ピストン機構151a,151bは、接続機構101a,101bの多板クラッチ機構により中央ドライブシャフト94(図1参照)と後側ドライブシャフト95a,95b(図1参照)とが連結されるように、接続機構101a,101bを押圧可能に構成されている。
即ち、ピストン機構151a,151bは、オイルポンプ202a,202bに液圧が供給されると伸長動作をして、接続機構101a,101bを押圧し、中央ドライブシャフト94と後側ドライブシャフト95a,95bとを連結すると共に、オイルポンプ202a,202bが停止されると縮小動作をして、接続機構101a,101bの押圧を解除し、中央ドライブシャフト94と後側ドライブシャフト95a,95bとを非連結とするものである。
流路220a,220bには、圧力センサ302a,302bが取り付けられており、その流路220a,220b内の液圧を検出することができる。また、圧力センサ302a,302bは、入力線81a,81bを介してECU80と接続されており、圧力センサ302a,302bにより検出された値は、入力線81a,81bからECU80に入力される。
次に、図9を参照して、ECU80により実行されるフィードバック制御について説明する。ECU80により実行されるフィードバック制御は、まず、目標トルク値設定処理において、四輪駆動車1の制御部(図示せず)から送信される後側ドライブシャフト95a,95b(図1参照)の駆動を指示をする駆動信号を受信し、その駆動信号に含まれる情報(後側ドライブシャフト95a,95bに伝達すべき駆動力を指示する情報など)から目標トルク値を設定する(図9のS1)。
そして、目標荷重演算処理において、目標トルク値設定処理において設定された目標トルク値からピストン機構151a,151bが接続機構101a,101bを押圧する荷重となる目標荷重を演算する(図9のS2)。
次に、入力処理において、圧力センサ302a,302bから入力される情報(例えば電流値など)から液圧を算出し(図9のS3)、その入力処理において算出された液圧と、目標荷重演算処理において演算された目標荷重とに基づいてPID演算処理を実行する(図9のS4)。なお、PID演算処理は、目標荷重となった場合の流路220a,220b内の液圧と、入力処理により入力された液圧との偏差から、積分および微分演算するものであり、公知の処理であるので、その詳細な説明は省略する。
そして、PID演算処理による演算結果に基づいて、電動モータ201a,201bに供給される電流値(又は電圧値)とその供給される間隔(印可される間隔)がDUTY比演算処理において演算される(図9のS5)。なお、DUTY比演算処理は、電動モータ201a,201bを間欠的に駆動させるために、その電動モータ201a,201bに供給される電流値とその供給される間隔とを設定する処理であり、公知の処理であるので、その詳細な説明は省略する。
このように、ECU80により実行されるフィードバック制御は、圧力センサ302a,302bにより検出された流路220a,220b内の液圧と、目標トルク値に応じて設定された目標荷重となる液圧との偏差に基づいて、PID演算処理およびDUTY比演算処理を実行し、電動モータ201a,201bの駆動を制御するものである。
ここで、図10を参照して、圧力センサ302a,302bにより検出される液圧の零点(初期値)の設定方法について説明する。なお、圧力センサ零点設定処理は、四輪駆動車1の駆動開始が操作者により指示された場合、又は、その操作者により駆動停止が指示された場合に実行される処理である。具体的には、運転者が四輪駆動車1を運転開始するための操作(キーを差し込み回す操作(イグニッションオンの操作))又は、運転停止するための操作(キーを逆に回す操作(イグニッションオフの操作))を検出した場合に実行される処理である。なお、圧力センサ零点設定処理は、キーが操作されて電動モータ201a,201bに電源が供給されたこと、又は、電源の供給が停止されたことを検出した場合に実行するものとしても良い。
圧力センサ零点設定処理が実行されると、まず、圧力センサ302a,302bにより検出される液圧の値を取得して、流路220a,220b内の液圧を算出し(S101)、その算出した液圧の値を零点記憶領域87aに記憶して(S102)、本処理を終了する。
圧力センサ零点設定処理は、四輪駆動車1が停止している状態から運転開始されるタイミング又は、運転している状態から停止するタイミングで、圧力センサ302a,302bにより検出される値を取得し、その値に対応した液圧を零点としている。よって、電動モータ201a,201bが駆動していない状態の流路220a,220b内の液圧を零点とすることができるので、圧力センサ302a,302bの使用環境および使用期間に応じた零点を正確に設定することができる。
次に、図11を参照して、ピストン機構151a,151bを駆動させる場合に実行される圧力制御処理について説明する。なお、圧力制御処理は、圧力制御プログラム84aを読み出して実行される処理であり、四輪駆動車1の制御部(図示せず)から送信される後側ドライブシャフト95a,95bの駆動を指示をする駆動信号を受信した場合に実行される処理である。
圧力制御処理が実行されると、四輪駆動車1の制御部から受信した駆動信号に含まれる情報(後側ドライブシャフト95a,95bに伝達すべき駆動力を指示する情報など)から目標トルク値を設定するために、目標トルク設定テーブル84bを参照して、駆動信号に応じた目標トルク値を設定する(S201、図10のS1)。S201の処理は、例えば、駆動信号により指示される後側ドライブシャフト95a,95bに伝達すべき駆動力に対応したトルク値を、目標トルク設定テーブル84bから取得し、その取得したトルク値を目標トルク値として設定するものである。
S201の処理で、目標トルク値が設定されたら、その設定された目標トルク値からピストン機構151a,151bにより接続機構101a,101bを押圧するための目標荷重を演算する(S202、図10のS2)。S202の処理では、流路220a,220b(図8参照)の長さや直径、形状、管路抵抗およびピストン機構151a,151bの構造、接続機構101a,101bの構造などの各種条件から目標荷重の演算が行われる。例えば、目標トルク値に対して乗算される係数などを各種条件により予め設定しておき、その係数を乗算することで目標荷重が演算される。なお、係数を予め設定して目標荷重を演算するのは一例であり、その他演算方法は如何なる方法であっても良い。
S202の処理で、目標荷重が設定されると、次に、圧力センサ302a,302bの値を取得して、その取得した圧力センサ302a,302bの値から流路220a,220b内の液圧を算出する(S203、図10のS3の一部)。
そして、S203の処理で算出された流路220a,220b内の液圧を、零点記憶領域87aに記憶されている液圧を読み出し、その差分に基づいて補正し(S204、図10のS3の一部)、その補正後の流路220a,220b内の液圧から現在の実荷重を演算する(S205)。この実荷重の演算方法は、S202の処理で目標荷重を演算する場合と同様である。
S205の処理で、実荷重が演算されると、その演算された実荷重がS202の処理で演算された目標荷重に達したか否かを判別し(S206)、目標荷重に達していなければ(S206:No)、電動モータ201a,201b(図8参照)の駆動を継続するために、S205の処理で演算された実荷重と、S202の処理で演算された目標荷重との偏差に基づいてPID演算処理を実行する(S207、図9のS4)。
S207の処理で、PID演算処理が実行されたら、その演算結果に基づいて、電動モータ201a,201bに供給される電流値とその間隔などがDUTY比演算処理により演算され(S208、図9のS5)、その演算結果に基づいて、電動モータ201a,201bが電動モータ駆動処理により駆動される(S209)。
S209の処理において、電動モータ駆動処理が終わると、S203の処理へ戻り、再度、圧力センサ302a,302bの値を取得し、S203以降の処理を実行する(フィードバック制御を行う)。
一方、S206の処理で、S205の処理で演算された実荷重がS202の処理で演算された目標荷重に達していれば(S206:Yes)、それ以上、オイルポンプ202a,202bにより流路220a,220bにオイルを送出する必要がないので、その流路220a,220b内の液圧を保持しつつ、四輪駆動車1の制御部(図示せず)から送信される駆動停止信号を受信するまで待機する(S210:No)。
そして、四輪駆動車1の制御部から駆動停止信号を受信したら(S210:Yes)、流路220a,220b内の液圧を戻し、ピストン機構151a,151bによる接続機構101a,101bの押圧を解除するために、電動モータ201a,201bを電動モータ停止処理により停止し(S211)、本処理を終了する。
以上、説明したように、本実施の形態によれば、四輪駆動車1が運転者により運転開始されたときの流路220a,220b内の液圧を、圧力センサ302a,302bにより検出し、その値を零点記憶領域87aに記憶する。そして、零点記憶領域87aに記憶されている値に基づいて、ピストン機構151a,151bが動作している状態の実際の圧力センサ302a,302bの値を補正し、その補正後の値に応じて電動モータ201a,201bを駆動している。
一般的に、圧力センサ302a,302bは、製造時の寸法誤差からなる製造バラツキや周辺温度、使用期間などによって、検出される液圧の値が実際の液圧の値とは異なるものとなり、液圧の値と電動モータ201a,201bへ供給する電流値とを関連付けして予め記憶したテーブルを参照して流路220a,220b内の液圧を調整する場合には、流路220a,220b内を所望する液圧に調整することが困難であった。
しかし、四輪駆動車1の運転開始時または運転停止時、即ち、流路220a,220b内が初期の状態(液圧がかけられていない状態)で圧力センサ302a,302bにより検出される値を零点に設定し、その零点から実際の圧力センサ302a,302bの値を補正し、その補正後の値に応じて電動モータ201a,201bを駆動している。よって、製造バラツキや周辺温度、使用期間の影響による検出値のバラツキを抑制することができ、流路220a,220b内を所望の液圧に調整することができる。
次に、図12〜図14を参照して、第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態は、四輪駆動車1の運転開始時であって、流路220a,220bに液圧がかけられていない状態(電動モータ201a,201bが駆動されていない状態)の圧力センサ302a,302bにより検出される液圧を、零点記憶領域87aに記憶するものとした。これに代えて、第2の実施の形態では、流路220a,220b内を一旦負圧とし、その後、所定時間(本実施の形態では、0.5秒)が経過した後に圧力センサ320a,302bにより検出される液圧を、零点記憶領域87aに記憶するものとした。なお、第2の実施の形態において、第1の実施の形態と同一の部分には、同一の符号を付して、その説明は省略する。
第2の実施の形態の説明では、まず、図12を参照して、CPU85により実行される圧力センサ零点設定処理を説明し、その後、図13を参照して、圧力センサ零点設定処理が実行された場合の流路220a,220b内の液圧の変化について説明する。そして、最後に、図14を参照して、電動モータ201a,201bを逆転駆動させる場合の回転速度および回転角度(時間)の設定方法、ステムブリーダ155a,155bの開口量の設定方法について説明する。
図12は、第2の実施形態のCPU85により実行される圧力センサ零点設定処理を示したフローチャートである。なお、第2の実施の形態の圧力センサ零点設定処理は、第1の実施の形態と同様に、四輪駆動車1の運転を開始する操作(キーを回す操作)が行われた場合または四輪駆動車1を運転している状態から停止する操作(キーを逆に回す操作)が行われた場合に実行される。
第2の実施の形態の圧力センサ零点設定処理が実行されると、まず、前回、零点記憶領域87aに記憶された値を取得し、流路220a,220b(図8参照)内の液圧が、零点記憶領域87aから取得した値を基準としたイニシャル圧力になるように、電動モータ201a,201b(図8参照)を駆動させるイニシャル圧力制御を行う(S301)。
なお、S301の処理では、流路220a,220b内の液圧を、前回の圧力センサ零点設定処理により設定された値に基づいたイニシャル圧力にするものとしたが、流路220a,220bの形状や長さ及び電動モータ201a,201bの性能などから、流路220a,220b内が安定する液圧(例えば、「0」または「0」より若干高い正圧)となる値を予め記憶しておき、その記憶された値に基づいたイニシャル圧力にするものとしても良い。
S301の処理で、流路220a,220b内の液圧がイニシャル圧力相当の値になったら、電動モータ逆転駆動処理において、電動モータ201a,201bを逆転駆動させると共に、所定時間が経過したら、電動モータ201a,201bの駆動を停止する(S302)。なお、第2の実施の形態では、電動モータ201a,201bが逆転駆動される所定時間は、0.5秒であり、その0.5秒の間に電動モータ201a,201bは、2回転する。
S302の処理で、電動モータ逆転駆動処理により電動モータ201a,201bが停止されたら、その電動モータ201a,201bの停止後、一定時間(本実施の形態では0.5秒)が経過したか否かを判別し(S303)、一定時間が経過するまで待機する(S303:No)。
S303の処理で、電動モータ201a,201bの停止後、一定時間が経過したと判別されたら(S303:Yes)、圧力センサ302a,302bの値を取得して流路220a,220b内の液圧を算出し、その算出した液圧の値を零点記憶領域87aに記憶して(S304)、本処理を終了する。
図13は、圧力センサ零点設定処理が実行された場合における流路220a,220b内の液圧pと、時間tとの関係を示した図である。図13に示す横軸は、時間tを示しており、縦軸は、流路220a,220b内の液圧pの変化を示している。また、液圧p0は零点記憶領域87aに記憶されている液圧を示しており、液圧pIはイニシャル圧力を、液圧p1は新たな零点となる液圧を示している。
まず、0から時間t1の区間について説明する。0から時間t1の区間は、圧力センサ零点設定処理が実行される前の状態であり、図13では、「通常」と示している。
時間t1から時間t2の区間は、流路220a,220b内の液圧を、零点記憶領域87aに記憶されている液圧を基準にしたイニシャル圧力制御が実行されている区間であり、図13では、「イニシャル圧力制御」と示している。なお、この「イニシャル圧力制御」の状態は、圧力センサ零点設定処理(図12参照)のS301の処理が実行されている状態である。
時間t2から時間t3の区間は、流路220a,220b内の液圧を負圧とし、その後、電動モータ201a,201bを停止する区間であり、図13では、「電動モータ逆転駆動処理」と示されている。なお、時間t2から時間t3の間は、本実施の形態では、0.5秒となっている。また、電動モータ201a,201bの停止は、時刻t3において行われる。また、「電動モータ逆転駆動処理」の状態は、圧力センサ零点設定処理(図12参照)のS302の処理が実行されている状態である。
時間t3から時間t4の区間は、電動モータ201a,201bの停止後、一定時間が経過するまで待機している区間であり、図13では、「一定時間の待ち」と示されている。なお、時間t3から時間t4の間は、本実施の形態では、0.5秒となっている。また、「一定時間の待ち」の状態は、圧力センサ零点設定処理(図12参照)のS303の処理が実行されている状態であり、時刻t3以降で且つ時刻t4に達する前は、S303の処理がNoと判断され、時刻t4の時にS303の処理がYesと判断される。
そして、時刻t4となったときの流路220a,220b内の液圧が、零点として零点記憶領域87aに記憶される。なお、図示するように、「一定時間の待ち」の区間において、流路220a,220bの液圧は安定して一定の値となっていることがわかる。
上述したように、第2の実施形態では、「電動モータ逆転駆動処理」の区間と、「一定時間の待ち」の区間とを、それぞれ0.5秒に設定している。これは、例えば、運転者が四輪駆動車1を運転開始するための操作(キーを回す操作)と、運転停止するための操作(キーを逆方向に回す操作)とを連続で行った場合に、四輪駆動車1の制御部が次の運転開始状態に移行するために設けられた待機時間(本実施の形態では1.5秒)の間に、圧力センサ零点設定処理を実行完了するためである。また、本実施の形態では、その他の機構、例えば、ピストン機構151a,151bの待機時間も1.5秒に設定されている。よって、圧力センサ零点設定処理は、待機時間以内に零点を確実に設定することができるので、圧力センサ302a,302bの使用環境や使用期間に応じた零点を確実に設定することができる。
また、電動モータ201a,201bを逆転駆動させたとしても、流路220a,220bの液圧が負圧とならないと、圧力センサ302a,302bが検出する零点を通過していないこととなり、流路220a,220b内に残圧が残っている場合がある。この場合には、一定時間が経過するまでの間に、流路220a,220b内の液圧が一定とならず、正確な零点を設定できない場合がある。
しかし、圧力センサ302a,302bの零点を設定する場合には、以前設定した零点を零点記憶領域87aから読み出し、その読み出した値を基準にしたイニシャル圧力制御を行っているので、流路220a,220bの液圧を確実に負圧とすることができる。よって、圧力センサ302a,302bの新たな零点を正確に設定することができる。
また、一般的な圧力センサ302a,302bは、その精度がフルスケール値に対する誤差で表される特性を持っている。そのため、流路220a,220bの検出する液圧が高い場合に比較して、流路220a,220b内の液圧が低い場合には、その検出する液圧のバラツキが大きくなってしまう。本実施の形態のように、四輪駆動車1の駆動力調整部60a,60bにおいては、特に低トルク(即ち、流路220a,220b内の液圧が低い場合)の高精度な制御が要求される。
そこで、圧力センサ302a,302bの零点を正確に設定することで、流路220a,220b内の液圧が低い場合に生じるバラツキを抑制することができる。その結果、四輪駆動車1の駆動力調整部60a,60bにおいて、低トルクの制御を高精度に行うことができる。
図14は、第2の実施の形態のオイルが流れる流路を概略的に示した図である。具体的には、オイルポンプ202a,202bと、流路220a,220bと、ピストン室154a,154bと、ステムブリーダ155a,155bとを概略的に示した図である。なお、図14において、流量Q1は、電動モータ201a,201bが逆転駆動した場合に、オイルポンプ202a,202bにより吸引される流量であり、流量Q2は、オイルポンプ202a,202bにより流量Q1が吸引された場合に、ステムブリーダ155a,155bから侵入する気体の流量である。また、負圧−p2は、流路220a,220b内の液圧を示しており、開口面積Aは、ステムブリーダ155a,155bの開口の総面積を示している。
また、流量Q1は、電動モータ201a,201bのモータ回転数(rev/sec)にオイルポンプ202a,202bの理論吐出量(立方センチメートル/rev)を乗算することで算出することができる。
なお、第2の実施の形態のステムブリーダ155a,155bは、貫通口151a1,151b1の内側に円柱状の筒部材155a2,155b2が配置されており、その貫通口151a1,151a1と筒部材155a2,155b2との間に形成される隙間によって空気が放出または侵入する経路が形成されている。
上述した圧力センサ零点設定処理(図13参照)のS302の処理で、電動モータ201a,201bが逆転駆動されると、オイルポンプ202a,202bが流路220a,220b内のオイルを流量Q1吸引する。この時、ステムブリーダ155a,155bからは、ピストン室154a,154b内に流量Q2の空気が侵入する。よって、流路220a,220b内の液圧は、所定時間(本実施の形態では0.5秒)あたりに吸引されるΔ流量Q1と、その所定時間あたりに侵入するΔ流量Q2との関係により定められる。即ち、ステムブリーダ155a,155bの開口量または電動モータ201a,201bの回転数を設定することで、ピストン室154a,154b内の負圧を調整することができる。
以上のことから、流路220a,220b内を負圧−p2に調整する場合には、
−p2∝((Q1−Q2)/A)2
の関係が成り立つように、電動モータ201a,201bの回転数と、ステムブリーダ155a,155bの開口面積Aが設定される。
また、本実施の形態で使用されている圧力センサ302a,302bは、正圧に対する耐圧力性能は優れているが、負圧に対する耐圧力性能は劣っている。これは、コスト削減のために汎用品の圧力センサ302a,302bを使用しているからである。
そのため、流路220a,220b内を極端に低い負圧とすると、圧力センサ302a,302bが破損したり、正確な液圧を検出できなくなる場合がある。よって、流路220a,220b内を一旦負圧する場合であっても、圧力センサ302a,302bが検出可能な負圧より低い液圧とすることができない。
本実施の形態では、電動モータ201a,201bが0.5秒間に2回転する回転速度に設定されると共に、直径10mmの貫通口151a1,151b1と直径9mmの筒部材151a2,151b2とでステムブリーダ155a,155bが構成されている。即ち、電動モータ201a,201bが4rev/secの回転数で駆動され、ステムブリーダ155a,155bの開口面積Aが2π×((10/2)2−(9/2)2)に形成されている。
なお、電動モータ201a,201bの回転数とステムブリーダ155a,155bとの開口面積との関係は、2〜200rev/secの間で且つ、0.2π〜20πの間で、どのような組合せとしても良い。また、上記した範囲は一例であり、その範囲外であっても、流路220a,220b内を所定時間の間に所定の負圧となる液圧にできる組合せであれば如何なる回転数および開口面積としても良い。
また、モータ停止後の待ち時間となる時間t3から時間t4の間は、ピストン室154a,154b内の液圧が負圧−p2となった状態で、ステムブリーダ155a,155bから空気が流入し内圧が「0」となるのにかかる時間以上に設定する。
次に、図15を参照して、第3の実施形態について説明する。第1の実施の形態は、四輪駆動車1の運転開始時であって、流路220a,220bに液圧がかけられていない状態(電動モータ201a,201bが駆動されていない状態)の圧力センサ302a,302bにより検出される液圧を、零点記憶領域87aに記憶するものとし、第2の実施の形態では、電動モータ201a,201bを所定時間(本実施の形態では、0.5秒)逆転駆動し、その後、所定時間(本実施の形態では、0.5秒)が経過した後に圧力センサ320a,302bにより検出される液圧を、零点記憶領域87aに記憶するものとした。これに代えて、第3の実施の形態では、電動モータ201a,201bを逆転駆動する場合の電動モータ201a,201bの駆動条件として、トータル回転数を設定するものとした。なお、第3の実施の形態において、第1及び第2の実施の形態と同一の部分には、同一の符号を付して、その説明は省略する。
図15は、電動モータ201a,201bを正転駆動させた場合の流路220a,220b内の液圧pおよびピストン153a,153bのストローク量と、時間tとの関係を示した図である。
また、図15に示す実線が流路220a,220b内の液圧pを示しており、2点鎖線がピストン153a,153bのストローク量を示している。また、液圧p1は、通常状態の流路220a,220b内の液圧であり、液圧pmaxは、ピストン機構151a,151bを最大ストローク動作させた場合の流路220a,220b内の液圧である。
まず、時間t11に、電動モータ201a,201bを駆動させ、オイルポンプ202a,202bにより流路220a,220b内にオイルを送り出す。そのため、時間t11から時間t12までの間は、流路220a,220b内の液圧pが徐々に上昇すると共に、その圧力による押しつけ力によりクラッチ機構100a,100b部がたわむ為、ピストン153a,153bのストローク量も徐々に増加している。
時間t12から時間t13の間は、流路220a,220b内の液圧pは最大液圧pmaxとなり、一定に保持される時間であり、ピストン153a,153bのストローク量も一定値で変化しない。
時間t13以降は、図示するように、流路220a,220b内の液圧pは徐々に低下し、最終的に液圧p1の値となっている。
第3の実施の形態では、流路220a,220bの圧力を「0」まで下げるには、クラッチ機構100a,100b部のたわみでピストン153a,153bがストロークした分のオイル量を流路220a,220bから吸引する必要がある為、圧力センサ零点設定処理において、流路220a,220b内を負圧にする場合には、その吸引するオイル量以上の回転数分、逆転駆動させる。なお、電動モータ201a,201bの回転速度は、正転時の回転速度と同様に設定するものとする。
よって、第3の実施形態によれば、流路220a,220b内の液圧が最大液圧pmaxであったとしても、その液圧pmaxとするためにオイルポンプ202a,202bから送出された流量分以上を吸引することができるので、電動モータ逆転駆動処理が実行されると、流路220a,220bを確実に負圧にすることができ、圧力センサ302a,302bの新たな零点を正確に設定することができる。
次に、図16を参照して、第4の実施の形態について説明する。第1の実施の形態は、圧力検出通路301aに圧力センサ302aを取り付ける構成としたが、これに代えて、第2の実施の形態では、第1供給通路211aに圧力センサ302aを取り付ける構成とした。よって、第4の実施の形態では、圧力センサ302aの取り付け位置以外は第1の実施の形態と同様となるので、第1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図8は、第4の実施の形態の駆動力調整機構60aを示した断面図である。なお、図8においては、駆動力調整機構60aの符号は省略して図示する。また、図8に示す矢印Yは、四輪駆動車1の左右方向であり駆動力調整機構60a,60bの回転軸心P方向を示しており、矢印Zは、四輪駆動車1の上下方向を示している。
図8に示すように、圧力センサ302aは、第一供給通路211aの上端(図8矢印Z方向上端)に連成される第二開口216aと対称な位置である第一供給通路211aの下端(図8矢印Z方向下端)に形成される第二取付口217aに取り付けられている。この場合、第1供給通路211aの下端を遮蔽する埋栓が不要となるので、部品点数を削減でき、コスト削減を図ることができる。また、圧力センサ302aを取り付けるだけで、第1供給通路211aを外部に対して遮蔽できるので、製作工程を削減でき、コスト削減を図ることができる。また、第2の実施の形態では、圧力検出通路301aが不要となるので、加工の手間が無くなり、コスト削減を図ることもできる。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施の形態になんら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記各実施の形態で挙げた数値(例えば、各構成の数量や寸法・角度など)は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
また、上記各実施の形態では、ステムブリーダ155aは、ピストン室154aに隣接するピストン本体部153aの上部に取着されているが、必ずしもピストン本体部153aの上部に取着される必要はなく、例えば、ピストン本体部153aの最上部に取着されても良い。この場合、気体(空気)が滞留せずに円滑に排出されるので、オイルの液圧による気体(空気)の容積変化分と同じ容積のオイルをオイルポンプ202aから圧送する必要が無くなり、ダンパー効果が低減されるので、オイルポンプ202aより送り出されたオイルの液圧を早期に安定させることができる。また、ステムブリーダ155aは、圧力センサ302aより上部に配置すれば、圧力センサ302aが常にオイル内に存在することとなるので、少なくとも圧力センサ302aの上部であれば、如何なる場所に取り付けても良い。
また、上記各実施の形態では、リリース機構171aに皿ばねを用いたが、必ずしも皿ばねである必要はなく、例えば、環形のゴム状弾性体を用いても良い。
また、上記第2及び第3の実施の形態では、電動モータ逆転駆動処理により、流路220a,220b内の液圧を一旦負圧とし、その後、所定時間が経過したときの圧力センサ302a,302bにより検出される液圧を零点に設定しているので、四輪駆動車1が運転開始または停止するタイミングだけでなく、四輪駆動車1の運転中の任意のタイミングで圧力センサ零点設定処理を実行するものとしても良い。この構成では、圧力センサ302a,302bの使用環境および使用期間に応じた零点を短い期間で設定できるので、流路220a,220b内の液圧を正確に調整することができる。
また、上記各実施の形態において、圧力センサ302a,302b近傍の温度を検出する温度センサ(温度検出手段)を備えるものとしても良い。この構成とすれば、圧力センサ302a,302bにより検出される値に対して、温度に応じた補正をする(液圧温度補正手段)ことができるので、流路220a,220b内の液圧を所望する液圧に設定することができると共に、零点も正確に設定することができる。
以下に、本発明の駆動力伝達装置および液体送出装置の変形例を示す。
駆動力を発生する原動機と、その原動機によって発生する駆動力が入力される入力軸と、その入力軸に入力された駆動力が出力される出力軸と、その出力軸と前記入力軸とを連結するクラッチ機構とを備えた駆動力伝達装置において、前記クラッチ機構に設けられ、前記入力軸側と出力軸側とを連結可能な多板クラッチと、その多板クラッチを押圧して前記入力軸側と出力軸側とを連結させるピストン部材と、そのピストン部材を駆動する液圧が供給される供給路と、その供給路内の液圧を検出する検出手段と、その検出手段による検出結果に基づいて、前記供給路に供給する液圧の供給および停止を行う液圧供給手段と、前記供給路内の液体および気体のうち少なくとも気体を放出する放出口とを備え、前記検出手段は、垂直方向において、前記放出口より下方で且つ、前記液圧供給手段による液圧の供給および停止に伴い前記供給路内の液面が変化した場合に最も下降した液面より下方に配置されることを特徴とする駆動力伝達装置A1。
駆動力伝達装置A1において、前記供給路は、前記ピストン部材に隣接して形成されそのピストン部材を駆動する液圧が供給される供給室と、その供給室より下流側に形成されその供給室と前記液圧供給手段との間を連通する連通路とを有し、前記検出手段は、前記連通路を介して前記供給室に供給される液圧を検出するものであることを特徴とする駆動力伝達装置A2。
駆動力伝達装置A1又はA2において、前記供給路に連通し、前記検出手段が取り付ける取付通路を備え、前記取付通路は、水平方向に対して、前記検出手段から前記供給路と連通する開口への方向が上方傾斜して形成されていることを特徴とする駆動力伝達装置A3。
駆動力伝達装置A3において、前記取付通路には、前記供給路と連通する開口と、その開口に対称的に形成され前記検出手段が取り付けられる取付口とが形成されており、前記取付口は、前記検出手段が取り付けられると密閉される形状に形成されていることを特徴とする駆動力伝達装置A4。
駆動力伝達装置A1からA4のいずれかにおいて、前記供給路は、前記ピストン部材に隣接して形成されそのピストン部材を駆動する液圧が供給される供給室と、その供給室より下流側に形成されその供給室と前記液圧供給手段との間を連通する連通路とを有し、前記放出口は、垂直方向において、前記供給室より上方または前記供給室の上部に設けられていることを特徴とする駆動力伝達装置A5。
駆動力伝達装置A1からA5のいずれかにおいて、前記クラッチ機構は、前記ピストン部材により押圧されるプライマリークラッチ(第1多板クラッチ)と、そのプライマリークラッチ(第1多板クラッチ)が連結された場合に、前記ピストン部材の押圧力をカム機構によって増幅する増幅機構と、その増幅機構により増幅された押圧力によって押圧され、前記入力軸と出力軸とを連結して駆動力を伝動するメインクラッチ(第2多板クラッチ)とを備え、前記入力軸側から出力軸側に、前記ピストン部材、プライマリークラッチ(第1多板クラッチ)、増幅機構およびメインクラッチ(第2多板クラッチ)の順に配置されると共に、そのピストン部材、プライマリークラッチ(第1多板クラッチ)、増幅機構およびメインクラッチ(第2多板クラッチ)が配置される方向と、前記ピストン部材が駆動する方向とが同方向に構成されていることを特徴とする駆動力伝達装置A6。
液体が流通する流通路と、その流通路を流通する液体が貯留される液体貯留室と、その液体貯留室に貯留された液体を前記流通路に送り出す液体送出手段と、その液体送出手段に対して、前記液体貯留室に貯留された液体を前記流通路に送り出す駆動力を付与する駆動手段とを備え、前記液体貯留室は、前記液体送出手段と駆動手段との間で且つ、その液体送出手段および駆動手段のそれぞれに隣接して配置されることを特徴とする液体送出装置B1。
液体送出装置B1において、前記液体送出手段と駆動手段との間を連結し、前記駆動手段により付与される駆動力を前記液体送出手段に伝動する駆動力伝動手段を備え、その駆動力伝達手段は、前記液体貯留室内に配置されていることを特徴とする液体送出装置B2。
液体送出装置B1又はB2において、前記流通路に送り出された液体が放出される放出口と、その放出口から放出された液体を、前記液体貯留室に循環される循環路とを備え、前記液体送出手段、液体貯留室および駆動手段は、水平方向に並設されており、その循環路は、前記液体貯留室の上部に形成された上部開口と連通すると共に、前記流通路は、前記液体貯留室の側部に形成された側部開口と連通していることを特徴とする液体送出装置B3。
液体送出装置B3において、前記側部開口は、垂直方向において、前記液体貯留室の下部に形成されていることを特徴とする液体送出装置B4。
液体送出装置B3又はB4において、前記液体貯留室内に設けられ、前記駆動手段または液体送出手段の少なくとも一方の側部から前記循環路と連通する上部開口に亘って上方傾斜した傾斜面を備えていることを特徴とする液体送出装置B5。
液体送出装置B1からB5のいずれかにおいて、駆動力を発生する原動機と、その原動機によって発生する駆動力が入力される入力軸と、その入力軸に入力された駆動力が出力される出力軸と、その出力軸と前記入力軸とを連結可能なクラッチ機構と、そのクラッチ機構を押圧して前記入力軸と出力軸とを連結させるピストン部材とを有する駆動力伝達装置を備え、前記流通路は、前記ピストン部材を駆動させる液圧が供給される供給室に連通していることを特徴とする液体送出装置B6。
駆動力を発生する原動機と、その原動機によって発生する駆動力が入力される入力軸と、その入力軸に入力された駆動力が出力される出力軸と、前記入力軸から前記出力軸に伝達される駆動力を断続するメインクラッチとを備えたものであって、前記メインクラッチよりも前記入力軸側において前記入力軸から伝達される駆動力を断続するプライマリクラッチと、液圧を発生する液圧ポンプと、その液圧ポンプによって発生する液圧で前記プライマリクラッチを押圧するピストンと、前記プライマリクラッチと嵌合し、前記ピストンによって前記プライマリクラッチが締結されている状態で、前記プライマリクラッチを介して前記入力軸から入力される駆動力を利用して、前記ピストンの押圧力よりも増幅した押圧力で前記メインクラッチを押圧し、前記メインクラッチを締結するカム機構とを備えていることを特徴とする駆動力伝達装置C1。
駆動力伝達装置C1において、前記液圧ポンプを駆動する電動モータと、前記液圧ポンプから前記ピストンに通じる液圧回路内の液圧を検出する液圧検出手段と、その液圧検出手段の検出結果に基づいて前記電動モータを制御する制御手段とを備えていることを特徴とする駆動力伝達装置C2。
駆動力伝達装置C2において、前記カム機構は、前記プライマリクラッチと嵌合するプライマリカムと、そのプライマリカムと対向配置され、前記出力軸に対して移動可能に嵌合し、前記メインクラッチを押圧するメインカムと、そのメインカムと前記プライマリカムとの間に移動可能に配置されるカムフォロアと、そのカムフォロアの移動経路であって、前記メインカムの前記プライマリカムとの対向面と、前記プライマリカムの前記メインカムとの対向面との少なくとも一方に、深さが連続的に変化するように形成されたカム溝とを備えていることを特徴とする駆動力伝達装置C3。
駆動力伝達装置C3において、前記メインクラッチと前記メインカムとの間に配置され、前記メインカムが前記メインクラッチを押圧する方向とは反対方向に前記メインカムを付勢する付勢部材を備えていることを特徴とする駆動力伝達装置C4。
駆動力伝達装置C4において、前記制御手段は、前記液圧回路内の液体に対し、前記液圧回路内に液体が充満されるために必要なイニシャル圧力、又は、前記プライマリクラッチのがたつきを抑制するために前記ピストンの摺動抵抗よりも大きいイニシャル圧力が常時負荷されるように前記電動モータを制御することを特徴とする駆動力伝達装置C5。
駆動力伝達装置C5において、前記イニシャル圧力は、前記付勢部材が前記メインカムを付勢する付勢力よりも小さく設定されていることを特徴とする駆動力伝達装置C6。
駆動力伝達装置C4からC6のいずれかにおいて、前記付勢部材は、前記出力軸を挿通する皿バネによって構成されていることを特徴とする駆動力伝達装置C7。
駆動力伝達装置C1からC7のいずれかにおいて、前記プライマリクラッチの摩擦材は紙製で構成されていることを特徴とする駆動力伝達装置C8。
駆動力を発生する原動機と、その原動機によって発生する駆動力が入力される入力軸と、その入力軸に入力された駆動力が出力される出力軸と、前記入力軸から前記出力軸に伝達される駆動力を断続するメインクラッチとを備えたものであって、前記メインクラッチよりも前記入力軸側において前記入力軸から伝達される駆動力を断続するプライマリクラッチと、そのプライマリクラッチよりも入力軸側において前記入力軸を挿嵌するハブと、液圧を発生する液圧ポンプと、前記プライマリクラッチとの間に前記ハブを挟んだ位置に配置され、前記液圧ポンプによって発生する液圧で作動するピストンと、前記ハブを貫通して前記ピストンと前記プライマリクラッチとを回転可能に連結し、前記ピストンの押圧力によって前記プライマリクラッチを押圧する第1押圧部材と、前記ピストンとの間に前記ハブを挟んだ側において前記ハブと対向配置され、前記プライマリクラッチと嵌合し、前記第1押圧部材によって前記プライマリクラッチが締結されている状態で、前記プライマリクラッチを介して前記入力軸から入力される駆動力を利用して、前記ピストンの押圧力よりも増幅した押圧力で前記メインクラッチを押圧し、前記メインクラッチを締結するカム機構と、そのカム機構と前記ハブとを回転可能に連結し、前記カム機構によって前記メインクラッチを押圧することで前記カム機構に発生する反力で前記ハブを押圧する第2押圧部材とを備えていることを特徴とする駆動力伝達装置D1。
駆動力伝達装置D1において、前記ハブと、前記プライマリクラッチと、前記カム機構と、前記メインクラッチとを内包し、前記ハブと、前記プライマリクラッチと、前記メインクラッチとの各々と嵌合する筒状のクラッチドラムと、そのクラッチドラムの前記ハブと嵌合する部分とは反対側に嵌合し、前記メインクラッチと対向する位置に垂下する支持プレートとを備えていることを特徴とする駆動伝達装置D2。
駆動力伝達装置D1又は2において、前記カム機構は、前記プライマリクラッチと嵌合するプライマリカムと、そのプライマリカムと対向配置され、前記出力軸に対して移動可能に嵌合し、前記メインクラッチを押圧するメインカムと、そのメインカムと前記プライマリカムとの間に移動可能に配置されるカムフォロアと、そのカムフォロアの移動経路であって、前記メインカムの前記プライマリカムとの対向面と、前記プライマリカムの前記メインカムとの対向面との少なくとも一方に、深さが連続的に変化するように形成されたカム溝とを備えていることを特徴とする駆動力伝達装置D3。
ここで、本実施の形態において、請求項1の初期値設定手段としては図10のS102の処理および図12のS304の処理が該当し、請求項1の補正手段としては図11のS204の処理が該当し、請求項1の液圧調整手段としては図11のS209の処理が該当し、請求項2の負圧発生手段としては図12のS302の処理が該当し、請求項2の時間判断手段としては図12のS303の処理が該当し、請求項3の液圧イニシャル値調整手段としては図12のS301の処理が該当する。
本発明の一実施の形態における四輪駆動車1の概略図である。 駆動力調整機構の外観図である。 図2のIII−III線における駆動力分配機構と駆動力調整機構との断面図である。 図3のA部分を拡大した断面図である。 カム機構の概略を示した図であり、(a)は、カム機構の側面図である。(b)は、図5(a)のVb−Vb線におけるカム機構の断面図である。 図2のVI−VI線における駆動力調整機構の断面図である。 駆動力調整機構のオイル通路の構成を示した図であり、(a)は、駆動力調整機構60aの回転軸心P方向視におけるオイルの通路の概略を示した概略図であり、(b)は、図7(a)のVIIb−VIIb線における断面図であり、(c)は、図7(a)のVIIc−VIIc線における断面図である。 フィードバック制御を行うために必要な構成を模式的に示した図である。 ECUにより実行されるフィードバック制御を模式的に示した図である。 本実施の形態のCPUにより実行される圧力センサ零点設定処理を示したフローチャートである。 本実施の形態のCPUにより実行される圧力制御処理を示したフローチャートである。 第2の実施形態のCPUにより実行される圧力センサ零点設定処理を示したフローチャートである。 圧力センサ零点設定処理が実行された場合における流路内の液圧pと、時間tとの関係を示した図である。 第2の実施の形態のオイルが流れる流路を概略的に示した図である。 電動モータを正転駆動させた場合の流路内の液圧pおよびピストンのストローク量と、時間tとの関係を示した図である。 第2の実施の形態の駆動力調整機構を示した断面図である。
符号の説明
1 四輪駆動車
10 原動機(原動機)
20 トランスミッション
21 変速部
30 前後駆動力分配装置
31 前後駆動力分配装置分配部
32 前輪デファレンシャルギヤ部
40a,40b 前輪
50 駆動力分配機構(入力軸の一部)
51 入力ギヤユニット(入力軸の一部)
52 出力ギヤユニット(入力軸の一部)
53 ハイポイドギヤ
54 ハイポイドギヤ
55 出力シャフトスプライン部
60a,60b 駆動力調整機構(駆動力伝達装置)
61 ケース
64a,64b オイル回収室(流通路の一部、循環路の一部)
70a,70b 後輪
80 ECU(液圧供給手段、多板クラッチ制御装置の一部)
81a,81b 入力線
82a,82b 出力線
83 I/Oポート
84 ROM
87 圧力制御プログラム
85 CPU(指示検出手段)
86 バスライン
91 連結軸(入力軸の一部)
92 連結軸(入力軸の一部)
93a,93b 前側ドライブシャフト
94 中央ドライブシャフト(入力軸の一部)
95a,95b 後側ドライブシャフト(出力軸の一部)
96 連結軸(入力軸の一部)
100a,100b 駆動力調整部(クラッチ機構)
101a,101b 接続機構(クラッチ機構)
102a,102b ハブ部(クラッチ機構の一部、多板クラッチの一部)
102a1,102b1 筒状部(クラッチ機構の一部、多板クラッチの一部)
102a2,102b2 皿状部(クラッチ機構の一部、多板クラッチの一部)
103a,103b ハブ嵌合部(クラッチ機構の一部、多板クラッチの一部)
104a,104b ハブ突起部(クラッチ機構の一部、多板クラッチの一部)
105a,105b クラッチドラム部(クラッチ機構の一部、多板クラッチの一部、クラッチドラム)
106a,106b ドライブプレート(クラッチ機構の一部、多板クラッチの一部、第2多板クラッチの一部、メインクラッチの一部)
107a,107b ドリブンプレート(クラッチ機構の一部、多板クラッチの一部、第2多板クラッチの一部、メインクラッチの一部)
108a,108b クラッチリテーナ(クラッチ機構の一部、多板クラッチの一部、第2多板クラッチの一部、メインクラッチの一部)
109a,109b ドラム溝部(クラッチ機構の一部、多板クラッチの一部、支持プレート)
110a,110b ドライブプレート突起部(クラッチ機構の一部、多板クラッチの一部、第2多板クラッチの一部、メインクラッチの一部)
111a,111b ドリブンプレート突起部(クラッチ機構の一部、多板クラッチの一部、第2多板クラッチの一部、メインクラッチの一部)
112a,112b プレートスプライン軸部(クラッチ機構の一部、多板クラッチの一部、第2多板クラッチの一部、メインクラッチの一部)
113a,113b シャフト(出力軸、出力軸の一部)
114a,114b カムスプライン軸部
131a,131b カム機構(増幅機構)
132a,132b メインカム(増幅機構の一部、カム機構の一部、メインカム)
133a,133b プライマリーカム(増幅機構の一部、カム機構の一部、プライマリカム)
134a,134b ボール(増幅機構の一部、カム機構の一部、カムフォロア)
135a,135b プライマリードライブプレート(第1多板クラッチの一部、プライマリクラッチの一部)
136a,136b プライマリードリブンプレート(第1多板クラッチの一部、プライマリクラッチの一部)
137a,137b プライマリードライブプレート突起部(第1多板クラッチの一部、プライマリクラッチの一部)
138a,138b プライマリードリブンプレート突起部(第1多板クラッチの一部、プライマリクラッチの一部)
139a,139b プライマリーカム突起部
140a,140b 押し圧部材(第1押圧部材の一部)
141a,141b プライマリーカム溝部(カム溝)
142a,142b メインカム溝部(カム溝)
143a,143b カムスプライン軸部
144a,144b メインカム突起部
151a,151b ピストン機構
152a,152b シリンダー部
153a,153b ピストン本体部(ピストン部材、ピストン)
154a,154b ピストン室(供給室,供給路の一部、流通路の一部、供給路の一部)
155a,155b ステムブリーダ(放出口、流通路の一部、連通口)
151a1,151b1 貫通口(連通口の一部)
151a2,151b2 筒部材(連通口の一部)
171a,171b リリース機構(付勢部材)
200a,200b オイル供給機構
201a,201b 電動モータ(液圧供給手段、駆動手段)
202a,202b オイルポンプ(液圧供給手段、液体送出手段、液圧発生手段)
203a,203b 電動モータ凸部
204a,204b オイル貯留室(液体貯留室)
205a,205b ポンプ吸入口(側部開口)
206a,206b ポンプ吐出口
207a,207b モータ軸部(駆動力伝達手段)
208a,208b オイル回収穴(上部開口、流通路の一部、循環路の一部)
209a,209b ポンプ内壁(傾斜面)
210a,210b 回収通路(流通路の一部、循環路の一部)
211a,211b 第一供給通路(供給路の一部、連通路、流通路の一部、供給路の一部)
212a,212b 第二供給通路(供給路の一部、連通路、流通路の一部、供給路の一部)
213a,213b 凹部挿入孔
214a,214b 開口(開口)
215a,215b 取付口(取付口)
216a,216ab 第二開口(開口)
217a,217ab 第二取付口(取付口)
218a,218ab ピストン部アウターシール部材
219a,219ab ピストン部インナーシール部材
220a,220b 流路(供給路)
300a,300ab 圧力検出機構
301a,301ab 圧力検出通路(取付通路、流通路の一部)
302a,302ab 圧力センサ(液圧検出手段)
B1 ベアリング
B2a,B2ab ベアリング(第2押圧部材の一部)
B3a,B3ab ベアリング(第1押圧部材の一部)
S1a,S1ab スナップリング
S2a,S2ab スナップリング
S3a,S3ab スナップリング
L1 幅
L2 幅
P 駆動力調整部の回転軸心
R 駆動力調整部の回転軸心Pを中心とする円周方向
T 駆動力分配機構の回転軸心T

Claims (10)

  1. 駆動力が入力される入力軸と、その入力軸に入力された駆動力が出力される出力軸と、その出力軸と前記入力軸とを連結し前記入力軸から出力軸へ駆動力を伝達する多板クラッチと、その多板クラッチを押圧して前記入力軸から出力軸へ伝達される駆動力を調整するピストン部材と、そのピストン部材を動作させる液圧が供給される供給路と、その供給路内に液体を送出し前記液圧を発生させる液圧発生手段と、その液圧発生手段を駆動する駆動手段とを備え、前記駆動手段を駆動または停止させて前記液圧発生手段により前記供給路に送出される液体の圧力を調整し、前記多板クラッチによる前記入力軸から出力軸への駆動力の伝達を制御する多板クラッチ制御装置において、
    前記供給路内の液圧を検出する液圧検出手段と、
    前記駆動手段が停止されている状態における前記液圧検出手段により検出される液圧を、その液圧検出手段により検出される初期値として設定する初期値設定手段と、
    その初期値設定手段により設定された初期値に基づいて、前記液圧検出手段により検出される実際の液圧を補正する補正手段と、
    その補正手段により補正された液圧に基づいて、前記駆動手段を駆動または停止させて前記液圧発生手段により前記供給路に送出される液体の圧力を調整し、前記供給路内の液圧を調整する液圧調整手段とを備えていることを特徴とする多板クラッチ制御装置。
  2. 前記初期値設定手段は、
    前記駆動手段を逆転駆動させて、前記液圧発生手段により前記供給路内の液体を吸引し、その供給路内の液圧を負圧とする負圧発生手段と、
    その負圧発生手段により前記供給路内の液圧が負圧とされ、前記駆動手段の逆転駆動が停止された後に、所定時間が経過したか否かを判断する時間判断手段とを備え、
    その時間判断手段により所定時間が経過したと判断された場合に、前記液圧検出手段により検出される液圧を、その液圧検出手段により検出される初期値として設定するものであることを特徴とする請求項1記載の多板クラッチ制御装置。
  3. 前記初期値設定手段は、前記駆動手段を駆動させて、前記供給路内を、予め定められたイニシャル値に対応した液圧に調整する液圧イニシャル値調整手段を備え、
    前記負圧発生手段は、前記液圧イニシャル値調整手段により前記供給路内がイニシャル値に対応した液圧に調整された後に、前記駆動手段を逆転駆動させて前記供給路内の液圧を負圧とするものであることを特徴とする請求項2記載の多板クラッチ制御装置。
  4. 前記液圧検出手段は、耐久性上使用可能な負圧の最小値が予め定められており、
    前記負圧発生手段は、前記供給路内の液圧が、前記液圧検出手段が使用可能な負圧の最小値より大きな値となるように、前記駆動手段の駆動条件を設定するものであることを特徴とする請求項2又は3に記載の多板クラッチ制御装置。
  5. 前記駆動手段は、駆動停止してから次の駆動開始までの間に必要となる待機時間が定められており、
    前記負圧発生手段は、前記駆動手段が逆転駆動してからその駆動手段の停止後に前記所定時間が経過するまでの時間が、前記待機時間以内となるように、前記駆動手段の駆動条件を設定するものであることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の多板クラッチ制御装置。
  6. 前記液圧検出手段は、耐久性上使用可能な負圧の最小値が予め定められており、
    前記供給路には、その供給路と外部空気室とを連通する連通口が形成されており、
    その連通口は、前記駆動手段を逆転駆動させた場合に、前記液圧発生手段により前記供給路から吸引される第1流量と前記連通口から前記供給路に流入する空気の第2流量とに基づいて定められる前記供給路内の液圧が、前記液圧検出手段が使用可能な負圧の最小値より大きな値となるように、その開口量が設定されていることを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の多板クラッチ制御装置。
  7. 前記駆動手段は、駆動停止してから次の駆動開始までの間に必要となる待機時間が定められており、
    前記供給路には、その供給路と外部空気室とを連通する連通口が形成されており、
    その連通口は、前記駆動手段が逆転駆動してからその駆動手段の停止後に、前記連通口から空気が流入し前記供給路内の圧力が負圧から大気圧に回復する時間が、前記待機時間以内となるように、その開口量が設定されていることを特徴とする請求項2から6のいずれかに記載の多板クラッチ制御装置。
  8. 前記多板クラッチによる前記入力軸から出力軸への駆動力伝達の制御の開始指示または停止指示を検出する指示検出手段を備え、
    前記初期値設定手段は、前記指示検出手段により前記駆動力伝達の制御の開始指示が検出される毎、又は、前記指示検出手段により前記駆動力伝達の制御の停止指示が検出される毎に、前記液圧検出手段により液圧を検出し初期値を設定するものであることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の多板クラッチ制御装置。
  9. 前記負圧発生手段は、前記駆動手段を正転駆動させて前記ピストン部材が最大の移動量動作した場合に前記供給路内に供給される第3流量以上を前記供給路から吸引するように、前記駆動手段を逆転駆動させるものであることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の多板クラッチ制御装置。
  10. 前記液圧検出手段が設けられた近傍の温度を検出する温度検出手段と、
    前記液圧検出手段により検出される液圧を、前記温度検出手段により検出される温度に応じて補正する液圧温度補正手段とを備えていることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の多板クラッチ制御装置。
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